特集 通学路における交通安全の確保について
特集 通学路における交通安全の確保について
はじめに
これまで、我が国においては、交通安全対策基本法(昭45法110)に基づき、交通安全基本計画を作成し、人命尊重の理念に基づいて、国、地方公共団体はもとより、関係機関・団体・民間企業等が一体となった交通安全に係る諸施策の取組や、地域における日々の交通安全の取組が推進されてきた。
こうした取組の成果等により、令和6年中の道路交通における交通事故死者数は2,663人と、5年連続で3,000人を下回るとともに、5年の交通事故死者数と比較して15人減少したところであるが、今なお多くの尊い命が交通事故で失われていることには変わりなく、痛ましい交通事故が後を絶たない。これらの交通事故には、こどもが犠牲となっているものも含まれており、次世代を担うこどものかけがえのない命を交通事故から守っていくことは重要である。
令和3年6月には、千葉県八街市において、下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが衝突し、小学生5人が死傷する痛ましい交通事故が発生しており、その後も通学路における交通安全を脅かす交通事故が相次いで発生している。
政府においては、千葉県八街市における痛ましい交通事故の発生を受け、令和3年8月4日に開催された第2回「交通安全対策に関する関係閣僚会議」において、「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」を決定し、目標期間である5年度末までに、通学路の合同点検結果に基づく対策について、暫定的な安全対策を含めて、全ての対策必要箇所で安全対策を講じるよう取り組むなど各種施策を推進してきた。
また、現在は、当該緊急対策も踏まえつつ、令和3年度から7年度までを計画期間とする「交通安全基本計画」(令和3年3月29日中央交通安全対策会議決定。以下「第11次交通安全基本計画」という。)や交通事故発生状況等に基づき、通学路における交通安全の確保に向けた各種施策に取り組んでいるところである。
本特集では、小学生が関係する交通事故の状況や特徴を分析するとともに、国と地方公共団体、関係機関・団体等が連携して取り組んでいる通学路における交通安全の確保に向けた様々な対策について紹介することとし、通学路における交通事故を防止する一助にしたい。