特集 通学路における交通安全の確保について
第1章 小学生の交通事故の状況
第1節 状態別にみた小学生の交通事故の状況
特集 通学路における交通安全の確保について
第1章 小学生の交通事故の状況
第1節 状態別にみた小学生の交通事故の状況
1 状態別にみた交通事故の状況
全年齢層の交通事故による死者・重傷者数の推移をみると、総数は10年前の平成27年が4万3,076人であるのに対し、令和6年は2万9,948人と約30.5%減少している。これを状態別にみると、平成27年から令和元年までは自動車乗車中が最も多いが、令和2年以降は歩行中が最も多くなっている。
一方、小学生の交通事故による死者・重傷者数の推移をみると、総数は平成27年が1,185人であるのに対し、令和6年は686人と約42.1%減少しており、全年齢層よりも減少割合が大きくなっている。これを状態別にみると、平成27年から令和6年のいずれの年においても歩行中が半数以上を占めており、次いで自転車乗用中が多くなっている。平成27年と比較して令和6年は、歩行中が約46.4%、自転車乗用中が約36.8%減少している(特集-第1図)。
また、交通事故による状態別死者・重傷者数(令和2年から6年までの過去5年間の合計)をみると、全年齢層は歩行中が3万9,586人で全体の26.5%を占めて最も多く、次いで自動車乗車中が3万8,892人で26.0%を占めているが、小学生は歩行中が1,875人で55.6%を占めて最も多く、次いで自転車乗用中が1,205人で35.8%を占めており、歩行中及び自転車乗用中が全体の約9割を占めている(特集-第2図)。
小学生の交通事故による状態別死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)について、学齢別にみると、歩行中は小学1年生及び2年生が特に多く、それぞれ446人、453人となっており、小学3年生以降は学齢が上がるとともに減少している。一方、自転車乗用中は小学1年生から学齢が上がるとともに増加し、小学6年生が282人と最も多くなっている。また、割合では、小学3年生までは歩行中が5割以上を占めているが、小学4年生は歩行中が占める割合が最も大きいものの5割を下回っている。小学5年生以降は自転車乗用中が占める割合が最も大きくなり、自転車乗用中が5割以上を占めている(特集-第3図)。



2 歩行中の交通事故の状況
(1)通行目的別にみた交通事故の状況
交通事故による歩行中の死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)について、通行目的別にみると、全年齢層では買物が1万368人で26.2%と最も多く、次いで散歩が5,307人で13.4%となっている(その他を除く。)。また、小学生では登校中が232人で12.4%、下校中が484人で25.8%となっており、登校中・下校中を合わせると716人で38.2%を占めている(特集-第4図)。

(2)発生時間帯別にみた交通事故の状況
交通事故による歩行中の死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)について、発生時間帯別にみると、全年齢層では18時から19時台が最も多く、次いで16時から17時台が多くなっているが、小学生では14時から15時台が最も多く、次いで16時から17時台が多くなっており、全年齢層と小学生とで、多い時間帯が異なっていることが分かる(特集-第5図)。

(3)発生月別にみた交通事故の状況
交通事故による歩行中の死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)について、発生月別にみると、全年齢層では4月から9月まではほぼ横ばいで推移しているが、10月から12月にかけて大きく増加している。一方で、小学生では1学期期間中である5月及び6月、2学期期間中である10月及び12月に多くなっている。特に小学1年生は、4月は27人であるのに対し、6月は40人と13人増加しているほか、10月は61人と最も多くなっている(特集-第6図)。

(4)法令違反等別にみた交通事故の状況
交通事故による歩行中の死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)について、歩行者の法令違反等別にみると、全年齢層では違反なしが最も多く2万4,965人で64.9%を占めているのに対し、小学生でも違反なしが749人で40.9%と最も大きな割合を占めているが、全年齢層と比較して約24.0ポイント低い。
小学生では、約6割で法令違反等があり、その内訳をみると、飛出しが最も多く、次いで横断違反※、信号無視、路上遊戯の順となっている。
飛出しが占める割合は、全年齢層と小学生で大きく異なるが、横断違反が占める割合は、全年齢層及び小学生ともに約2割となっている。また、信号無視が占める割合も全年齢層及び小学生で大きな差はみられない(特集-第7図)。

※横断違反
横断歩道外横断、走行車両直前直後横断等。
※第1当事者
最初に交通事故に関与した事故当事者のうち、最も過失の重い者をいう。
※第2当事者
最初に交通事故に関与した事故当事者のうち、第1当事者以外の者をいう。