第2編 海上交通
第2章 海上交通安全施策の現況
第6節 海上交通に関する法秩序の維持
第2編 海上交通
第2章 海上交通安全施策の現況
第6節 海上交通に関する法秩序の維持
海上保安庁は、海上における犯罪の予防及び法令の励行を図るため、令和6年は2万9,780隻の船舶に立入検査を実施した。また、取締りの実施により、関係法令違反について2,836件を送致したほか、違反の内容が軽微で是正が容易なもの、あるいは、検挙に至らないものの危険かつ有責な行為について1,090件の警告措置を講じた。
また、海事関係者等を対象とした海難防止講習会の開催、訪船指導の実施等により航法や関係法令の遵守等安全指導を行った。さらに、他の船舶の動静を無視したプレジャーボートの無謀な操船を行う者に対しては、訪船・現場指導や取締りを実施するなど、海難の未然防止及び海上交通秩序の維持に努めた。
港内、主要狭水道等船舶交通がふくそうする海域においては、巡視船艇による船舶交通の整理・指導及び航法違反等の取締りを実施しており、特に、海上交通安全法(昭47法115)に定める11の航路については、巡視船艇を常時配備するとともに、航空機によるしょう戒を実施し、重点的な指導・取締りを行った。
このほか、年末年始等に多客期となる旅客船、カーフェリー、遊漁船、海上タクシー等では、窃盗等の犯罪が発生するおそれがあるほか、テロの対象となる危険性や船内における事故発生の可能性も高くなることから、「年末年始特別警戒及び安全指導」等を実施し、必要に応じて旅客ターミナル等における警戒を実施するとともに、不審事象を認めた場合や犯罪・事故等が発生した場合には、直ちに海上保安庁に通報するよう指導を徹底した。
警察では、船舶交通のふくそうする港内や事故の起きやすい海浜、河川、湖沼やこれらの沿岸における警察用船舶、警ら用無線自動車及び警察用航空機が連携したパトロールや事故に直結しやすい無免許操縦、無検査船舶の航行等違反行為の取締りを実施するとともに、訪船連絡等を通じた安全指導や関係行政機関・団体と連携した広報啓発活動等により、水上交通の安全と秩序の維持に努めた。
そのほか、近年における多様な水上レジャースポーツに伴う事故を防止するため、関係機関・団体との連携を図り、水上レジャースポーツ関係者に対する安全指導を行ったほか、水上レジャースポーツを行う者同士の事故やこれらの者と遊泳者、漁業関係者等との事故を防止するため、水上交通安全に関する都道府県条例等に基づいて、危険行為者に対する指導を行った。
なお、水上交通安全に関する都道府県条例については、北海道、岩手県、福島県、東京都、茨城県、神奈川県、山梨県、栃木県、静岡県、福井県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、和歌山県、山口県、長崎県、宮崎県及び沖縄県の19都道府県において施行されている。