第3編 航空交通
第2章 航空交通安全施策の現況
第1節 航空安全プログラム等の更なる推進

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第3編 航空交通

第2章 航空交通安全施策の現況

第1節 航空安全プログラム等の更なる推進

1 航空安全プログラム(SSP)に基づく安全の推進

国際民間航空条約第19附属書に従い、航空安全プログラム(SSP)を定め、平成26年から実施しており、以下に記載のとおり、関係省庁や航空業務提供者と協力して安全に関する法令及び規定類の策定、安全情報の収集、分析及び共有、監査及び検査活動、安全文化に係る啓蒙活動を行っている。

(1)業務提供者における安全管理システム(SMS)の強化

本邦航空運送事業者等の業務提供者に対して安全の向上の取組に直結した安全指標及び安全目標値の設定を促進し、安全に係るリスク管理の仕組みであるSMSの質の向上を図るように指導した。特に、新たに航空運送事業者となった者等、SMSの取組の実績が浅い業務提供者に対しては、安全指標及び安全目標値の設定等が的確に実施されるよう、連携を密にして指導、監督、助言等を行った。

(2)安全に関する航空法規等の策定・見直し等

把握した安全情報、国際標準の動向、技術開発の状況等を踏まえて、民間航空の安全性の向上を目指し、必要となる民間航空の安全に係る基準等の反映について適時適切に対応した。また、我が国における取組により得た知見を踏まえ、国際標準の改正やガイドラインの充実のための議論に参画するとともに、各国の取組に関する情報を積極的に入手した。

(3)業務提供者に対する監査等の強化

業務提供者に対し、定期的に実施する監査・検査等のほか、航空事故、重大インシデント、安全上の支障を及ぼす事態の発生又はそのおそれがある場合、不適切・不安全な事象が発生した場合等、航空安全当局が必要と判断した場合は、随時監査・検査等を実施した。また、年末年始の輸送等に関する安全総点検により、事業者の安全意識の向上を図った。

(4)安全情報の収集・分析等

ア 安全情報の収集

航空事故その他の航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態に関する情報を適切に分析し、また関係者と共有することにより、再発防止及び予防的安全対策の実施に役立てるため、業務提供者から義務報告制度による確実な報告を求めた。

航空安全情報自発報告制度(VOICES)については、安全情報を幅広く収集するため、当該制度の周知・広報活動を行い、安全に係る情報共有の重要性の再認識を図るなど、報告文化の更なる醸成に重点を置いて、関係者への働き掛けを行った。

イ 安全情報の分析等

航空運送、交通管制及び空港の各分野において、業務提供者から報告を受けた安全情報、再発防止策及び安全指標等の把握・分析、分析結果の各業務提供者との共有等を行った。また、有識者・学識経験者を含む安全情報分析委員会を開催し安全情報の評価・分析を行い、分析後、輸送の安全に関わる情報を整理し公表した。

安全に係るリスクに応じた安全対策を可能とするために、統計的評価・分析手法にてリスク把握を行った。

(5)安全文化の醸成及び安全監督の強化

ア 安全文化の醸成

航空活動関係者に対して、安全監査、講習会、セミナー等を通じた知識の普及や安全情報の共有、意見の交換等の活動を行うとともに、特定操縦技能審査制度等を通じて、小型航空機等運航者に対する監督・指導を強化し安全文化の醸成を促した。

イ 安全監督の強化

業務提供者等に対する監査・検査等を実施する要員に対し、航空安全当局が設定する資格要件に係る内部規程に基づき、必要な知識・技量の習得及び維持を目的とした教育・訓練を実施した。

2 国家航空安全計画(NASP)(仮称)の策定

国際民間航空機関(ICAO)では2030年以降に民間航空機の死亡事故をゼロにするというビジョンを実現するため、航空の安全上の課題を特定し、これに対処するための具体的取組等を取りまとめた、世界航空安全計画(GASP)を定めており、我が国においてもこのビジョンの実現に貢献するべく、国家航空安全計画(NASP)(仮称)の策定を行うこととしている。

ICAO
International Civil Aviation Organization

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