第1編 陸上交通
第1部 道路交通
第2章 道路交通安全施策の現況
第4節 車両の安全性の確保
第1編 陸上交通
第1部 道路交通
第2章 道路交通安全施策の現況
第4節 車両の安全性の確保
1 自動車保有台数の推移
令和7年12月末現在の自動車保有台数は第1-33図のとおりで、自動車1台当たりの人口は1.5人(令和7年10月末現在)である。

用途別及び車種別自動車保有台数は第1-13表のとおりで、軽四輪乗用自動車が最も多数を占め、普通乗用自動車、小型乗用自動車の3車種で全体の75.0%を占めている。
| 用途別・車種別 | 令和6年 | 令和7年 | 対前年比 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 台数 | 構成率 | 台数 | 構成率 | 増減数 | 増減率 | ||
| 台 | % | 台 | % | 台 | % | ||
| 貨物用計 | 14,605,663 | 17.6 | 14,600,942 | 17.6 | -4,721 | 0.0 | |
| 乗合用 | 普通車 | 102,684 | 0.1 | 102,761 | 0.1 | 77 | 0.1 |
| 乗合用計 | 208,819 | 0.3 | 207,535 | 0.2 | -1,284 | -0.6 | |
| 乗用 | 普通車 | 21,361,984 | 25.7 | 21,704,591 | 26.1 | 342,607 | 1.6 |
| 乗用計 | 62,321,516 | 75.0 | 62,365,924 | 75.0 | 44,408 | 0.1 | |
| 特種(殊)用途用 | 普通車 | 1,148,637 | 1.4 | 1,156,680 | 1.4 | 8,043 | 0.7 |
| 特種(殊)用途用計 | 1,834,883 | 2.2 | 1,846,527 | 2.2 | 11,644 | 0.6 | |
| 二輪車 | 小型二輪車 | 1,970,196 | 2.4 | 1,996,690 | 2.4 | 26,494 | 1.3 |
| 二輪車計 | 4,122,706 | 5.0 | 4,163,218 | 5.0 | 40,512 | 1.0 | |
| 総計 | 83,093,587 | 100.0 | 83,184,146 | 100.0 | 90,559 | 0.1 | |
2 車両の安全性に関する基準等の改善の推進
(1)道路運送車両の保安基準の拡充・強化等
第11次交通安全基本計画を踏まえて令和3年6月に取りまとめられた交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会の報告書に基づき、「歩行者・自転車等利用者の安全確保」、「自動車乗員の安全確保」、「社会的背景を踏まえて重視すべき重大事故の防止」、「自動運転関連技術の活用・適正利用促進」など車両安全対策等に取り組んだ。
また、自動車の安全性能の国際基準を議論する国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)においては、日本が副議長を担うなど議論を主導しており、例えば、日本発の技術である「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」について、国連基準の策定を通じ、乗用車等への搭載を義務付けるなど、道路運送車両の保安基準(昭26運輸省令67)の拡充・強化を行った。
(2)先進安全自動車(ASV)の開発・普及の促進
産学官の連携により、先進技術を搭載した自動車の開発と普及を促進し、交通事故削減を目指す「先進安全自動車(ASV)推進プロジェクト」では、令和3年度から7年度までの5年間にわたる第7期ASV推進検討会において、「自動運転の高度化に向けたASVの更なる推進」を基本テーマに掲げ、事故実態の分析を通じ、①ドライバーの認知ミス又は操作ミスによる明らかに誤った操作に対して、システムの安全操作を優先する安全技術、②車両間の通信により、見通しの悪い交差点での出会い頭の事故等を防止する安全技術、③歩行者等の交通弱者と通信を行い、交通弱者が被害者となる事故を防止する安全技術等がより安全に寄与する事故形態の検討を行った。
また、バス、トラック等の安全対策として、歩行者まで検知可能な衝突被害軽減ブレーキ、ドライバー異常時対応システム、事故自動緊急通報システム等ASV装置に対する補助を継続して実施するとともに、歩行者まで検知可能な衝突被害軽減ブレーキに対する税制特例措置を講じた。
(3)高齢運転者による事故が相次いで発生している状況を踏まえた安全対策の推進
ペダルの踏み間違いなど運転操作ミス等に起因する高齢運転者による事故が発生していることや、高齢化の進展により運転者の高齢化が今後も加速していくことを踏まえ、「安全運転サポート車」(サポカー)の普及促進に取り組む等により、先進的な安全技術を搭載した自動車の性能向上と普及促進に取り組んだ。また、ペダル踏み間違い時加速抑制装置について性能評価・公表を行った。
3 自動運転車の安全対策・活用の推進
(1)自動運転車に係る安全基準の策定
より高度な自動運転車の国連基準を策定するべく、令和7年度においても、国連WP29傘下の自動運転システム専門家会議で日本は共同議長を務め、WP29における議論を官民をあげて主導した。
(2)安全な無人自動運転移動サービスの普及・拡大に向けた取組の促進
交通事故削減や高齢者等の移動手段の確保等に資する自動運転について、その早期の普及・拡大に向け、自動運転移動サービスの導入を目指す地方公共団体の取組を地域公共交通確保維持改善事業(自動運転社会実装推進事業)により67事業の支援を行った。
(3)自動運転車に対する過信・誤解の防止に向けた取組の推進
レベル1、レベル2の自動運転機能を搭載した自動車について、技術に対する過信による事故を防止するため、関係団体等と連携した広報啓発活動により、技術の限界や使用上の注意点等の理解の促進を図った。
(4)自動運転車に係る電子的な検査の導入や審査・許可制度の的確な運用
自動運転機能等の故障による事故を防ぐため、令和6年10月から自動車の検査に電子装置の機能確認(OBD検査※)を導入した。また、自動運転車に対するシミュレーション等を活用した審査手法の構築に向け、調査を行った。さらに、ソフトウェアアップデート後の自動車の保安基準適合性や配信する事業者のサイバーセキュリティについて審査を行う等、自動車の特定改造等の許可制度を適切に運用した。
※OBD(On Board Diagnostics)検査
自動車に搭載された電子装置の故障や不具合の有無に関する検査。
(5)自動運転車の事故に関する原因究明及び再発防止に向けた取組の推進
自動運転車の事故の原因を究明するための調査分析及び再発防止に向けた提言を行うことを目的として設置している「自動運転車事故調査委員会」において、自動運転の実証実験中等に発生した事故についての調査分析を行ったほか、自動運転車の事故調査に資する知見の収集を行った。
また、今後見込まれる自動運転タクシー実装に向け、責任追及から分離された事故原因究明を通じた再発防止を図るべく、令和6年10月に、交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会の傘下に、有識者からなる自動運転ワーキンググループを設置し、運輸安全委員会における自動運転車に係る事故調査体制の確保に向けた検討を行った。
4 自動車アセスメント情報の提供等
自動車アセスメントは、市販されている自動車やチャイルドシートの安全性能評価試験を行い、その結果を公表することで、ユーザーが安全な自動車等を選択できる環境をつくり、安全な自動車等の普及を図ることを目的としている。令和7年度は、8車種について「自動車安全性能2025」の結果を公表した。
5 自動車の検査及び点検整備の充実
(1)自動車の検査の充実
ア 自動車検査の実施状況
自動車の安全確保と公害の防止を図るため、独立行政法人自動車技術総合機構と連携して、道路運送車両法(昭26法185)に基づき、自動車(軽自動車及び小型特殊自動車を除く。)の新規検査、継続検査及び構造等変更検査を行っている。令和6年度の検査実施状況は第1-14表のとおりである。また、不正改造車の排除等を目的とした街頭検査を行っており、6年度の検査実施車両は、約16万台であった。
| 検査の種類 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 件数 | 構成率 | 件数 | 構成率 | 件数 | 構成率 | 件数 | 構成率 | 件数 | 構成率 | |
| 件 | % | 件 | % | 件 | % | 件 | % | 件 | % | |
| 計 | 25,684,157 | 100.0 | 25,227,274 | 100.0 | 25,888,047 | 100.0 | 25,560,593 | 100.0 | 25,870,108 | 100.0 |
イ 自動車検査施設の整備
自動車検査施設については、自動車ユーザーが受検しやすいよう音声誘導装置付検査機器及び映像式受検案内表示システムを導入している。また、より確実な自動車検査を行うため、車両画像取得装置等の自動車検査の高度化施設を整備し活用している。
ウ 軽自動車の検査の実施状況
軽自動車検査協会において、令和6年度に約1,501万台の軽自動車(二輪の軽自動車を除く。)の検査を実施した。
(2)型式指定制度の充実
自動車の型式指定等に当たっては、保安基準への適合性及び生産過程における品質管理体制等の審査を独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所と連携して実施し、自動車の安全性の増進等を図っている。
また、複数の自動車メーカー等において明らかとなった認証不正事案の再発を防止するため、令和6年12月に外部有識者を含めた検討会で取りまとめられた再発防止策を踏まえ、自動車メーカー等における内部統制の強化のための制度見直しを実施した。
(3)自動車点検整備の充実
ア 自動車点検整備の推進
自動車ユーザーの保守管理意識の向上と適切な点検整備の推進を目的に、毎年9月・10月を強化月間として「自動車点検整備推進運動」を全国的に展開している。この運動を通じて、大型車の車輪脱落事故やバス火災、車体腐食など整備不良に起因する事故防止のため、事故状況の公表や注意事項の周知を徹底した。特に依然として多数の事故が発生している大型車の車輪脱落事故に対応し、令和7年10月から翌年2月まで「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施した。
また、冬用タイヤ交換の早期化による作業平準化を推進し、点検奨励や適切な整備内容の啓発を強化した。
イ 不正改造車の排除
消音器の切断や車体からの車輪のはみ出し等の不正改造車等を排除するため「不正改造車を排除する運動」を全国的に展開した。特に毎年6月(沖縄は10月)を強化月間としており、広報活動や関係者への指導を強化し、令和7年度においても自動車ユーザーや自動車関係事業者等への不正改造防止に係る意識の高揚を図った。
また、街頭検査を重点的に実施し、不正改造車の排除を徹底するとともに、不正改造を行った自動車特定整備事業者への立入検査を厳正に行った。
ウ 自動車特定整備事業の適正化及び生産性向上
整備事業者の適正な事業運営を確保することで自動車ユーザーの安全・安心を担保するため、法令違反行為を行った自動車特定整備事業者及び指定自動車整備事業者に対し、処分基準に基づく行政処分を適切に実施し、各地方運輸局等において公示するとともに、国土交通省ネガティブ情報等検索サイトを通じて処分の統一的な公表を実施している。
また、認証を受けずに特定整備を行っている事業者を排除し、道路運送車両の安全確保を図るため、毎年7月を「未認証行為の調査・確認・指導のための強化月間」と定め、情報の収集及び収集した情報に基づく指導等を推進した。
さらに、事業者における中小企業等経営強化法(平11法18)に基づく「経営力向上計画」の認定取得を促進し、税制面や金融面の支援を受けることによる経営管理の改善や生産性の向上等を図った。
エ 自動車の新技術への対応等整備技術の向上
自動車特定整備事業者は、自動車の点検整備を適切に実施するため、自動車への新技術の採用等の車社会の環境の変化に対応することが求められている。このため、整備主任者を対象とした技術研修等の実施により、自動車の新技術及び多様化するユーザーニーズに対応していくための技術の向上や高度化を図っているほか、自動車特定整備事業者の整備技術の高度化等への支援を行った。
また、自動車の新技術への対応等整備に必要な技術及び環境の維持・向上を図るため「自動車整備技術の高度化検討会」を開催し、高度な整備に必要な情報や機器及びこれらを使いこなす自動車整備士の確保・育成に関する制度の検討等を通じ、整備技術の高度化と人材確保策の推進を図っている。令和7年度は、引き続き、自動車特定整備事業者の「困りごと」の実態調査、整備マニュアル等の提供環境の改善、スキャンツールの高機能化に関する取組を行うとともに、人材確保・育成に資する職場環境づくりについてのガイドラインの改訂等※を行った。
さらに、新技術が採用された自動車の整備や自動車ユーザーに対する自動車の正しい使用についての説明等のニーズに対応するため、一級自動車整備士制度を活用している。
なお、令和6年度には1,464名が一級小型自動車整備士技能検定に合格した(7年3月末までの累計2万4,372名)。
※「自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン」改訂、「自動車整備事業者のための高校生向け仕事体験学習受入れマニュアル・事例集」策定及び「自動車整備事業者のための社会科見学受入れマニュアル・事例集」策定。
オ ペーパー車検等の不正事案に対する対処の強化
指定自動車整備事業者は、国の検査を代行し自動車の安全・環境基準への適合性を確保する車検制度の根幹に関わることから、引き続き監査等を厳正に実施し、法令遵守の指導を徹底していく。
また、令和5年度に発覚した整備事業者による大規模な不正事案を踏まえ、車体整備の消費者に対する透明性を十分に確保するため、整備事業者において実施することが求められる取組等についてのガイドラインを6年3月に公表し、引き続き7年度もその周知を行った。
6 リコール制度の充実・強化
自動車のリコールの迅速かつ着実な実施のため、自動車製作者等のリコール業務について監査等の際に確認・指導するとともに、安全・環境性に疑義のある自動車については独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所において現車確認等による技術的検証を行った。くわえて、リコール制度の的確な運用のため、自動車不具合情報ホットラインを活用し、ユーザーからの情報の収集に努めた。
さらに、国土交通省に寄せられた不具合情報や事故・火災情報等を公表し、ユーザーへの注意喚起が必要な事案や適切な使用及び保守管理、不具合発生時の対応について、YouTubeで動画を配信する等、ユーザーへの情報提供に努めた。
なお、令和7年度のリコール届出件数は385件、対象台数は401万4,432台であった。
7 自転車の安全性の確保
自転車の安全な利用を確保し、自転車事故の防止を図るため、駆動補助機付自転車(人の力を補うため原動機を用いるもの)及び普通自転車に係る型式認定制度を運用している。
この型式認定制度は、型式認定を受けた駆動補助機付自転車等に型式認定番号等を表示させ、また、基準適合品であることを示す標章(TSマーク)を貼付することができることとし、当該駆動補助機付自転車等が道路交通法等に規定されている基準に適合したものであることを外観上明確にして、利用者の利便を図るとともに、基準に適合した駆動補助機付自転車等を普及させることにより、交通の安全の推進を図るものである。
また、自転車利用者が定期的な点検整備や正しい利用方法等の指導を受ける気運を醸成するため、関係団体は全国各地の学校等で自転車の安全点検促進活動や安全利用講習を実施するとともに、近年、歩行者との事故等自転車の利用者が加害者となる事故に関し、高額な賠償額となるケースもあり、こうした賠償責任を負った際の支払原資を担保し、被害者の救済の十全を図るため、損害賠償責任保険等への加入を促進した。
さらに、薄暮の時間帯から夜間における交通事故の防止を図るため、灯火点灯の徹底と反射材用品等の取付けの促進により、自転車の被視認性の向上を図った。
くわえて、BAAマークを始めとする各種マーク制度(BAAマーク、SBAA PLUSマーク、幼児2人同乗基準適合車マーク、TSマーク、SGマーク、JISマーク)を活用した安全性の高い自転車の供給・普及のため自転車技士※及び自転車安全整備士※に関する制度を後援した。
※自転車技士
(一財)日本車両検査協会が、「自転車組立、検査及び整備技術審査」合格者に付与する称号。自転車技士は、(一社)自転車協会によるBAAマーク等貼付自転車、(一財)製品安全協会によるSGマーク表示自転車及び産業標準化法(昭24法185)によるJISマーク表示自転車の組立、検査及び整備を行う。
※自転車安全整備士
(公財)日本交通管理技術協会が、自転車安全整備技能検定合格者に付与する称号。自転車安全整備士は、自転車の点検整備を行い、道路交通法令の基準に適合する普通自転車に点検整備済TSマークを貼付するとともに、利用者に対して自転車の交通ルールや正しい乗り方について指導する。