第7回資料 各委員からの意見
目次
(50音順)
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「新障害者基本計画(未定稿)」に対する意見
財団法人全日本ろうあ連盟
理事長 安藤豊喜
10月15日付け「新障害者基本計画骨子(案)分野別施策の基本的方向に対する意見」を踏まえ、さらに下記について意見を提出いたします。
一 「新障害者基本計画」を策定する上での基本的な方針に、下記を特に位置づけてください。
「手話」の言語的な認知が国民的に広がってきた現在、政府としての統一的な手話の法的位置づけに取り組み、ろう者の言語的権利を尊重しての「手話通訳制度」確立による各省庁の施策充実を推進してください。
知的障害をもつ聴覚障害者など「身体」・「知的」・「精神」の種別を超えて重複する障害を併せ持つ国民の実態とニーズを掘り起こし、それに対応できる福祉制度と社会資源の整備を推進してください。
国際機能分類(ICF)に示されるように、「障害」は「障害者」本人においてではなく、社会との関連において捉える視点が国民的に求められてきています。この視点に立脚しての「障害」・「障害者」の定義と基準の見直しとその浸透を図ってください。
ハイレベル政府間会合にて採択された「びわこミレニアム・フレームワーク」の原則と政策方針である「障害者団体の参加により国の全ての開発政策・計画に障害者問題を取り組む」「国の政策決定過程への障害者団体の参加」を、「新障害者基本計画」の全ての項目にこの趣旨を記載してください。
二 以下、「新障害者基本計画(未定稿)」の各項目にそって言及します。
はじめに
- P1―下から6行目:「インクルーシブ」を日本語表記に。
(理由)
社会的認知(広がり)がまだなカタカナ語については、できるだけ日本語表記にするよう検討が必要である。
一 基本的な考え方
(考え方)
- P2―:『「びわこミレニアムフレームワーク」の実現への取り組みが重要である。』を追記する。
(理由)
「はじめに」の項に「わが国の主唱によりさらに10年延長され・・びわこミレニアムフレームワークが採択された」と記載している。この経過を重視し、国として取り組む姿勢を明記する必要がある。 - P2―上から11行目:
「21世紀にわが国が・・・国民誰もが相互に個性を尊重し・・」(理由)
⇒ 「21世紀にわが国が・・・国民誰もが相互に『個人』を尊重し・・」と、個性を『個人』に変更。
個性はその人を特徴付ける性格にしかすぎない。権利の主体である『個人』とするのが妥当。 - P2―上から13行目:
「共生社会においては、障害者は社会の対等な構成員として・・」(理由)
⇒ 「共生社会においては、障害者は社会の『平等』な構成員として・・」と、「対等」を『平等』に変更。
「対等」は相対的な意味を持つ。社会の全ての人が等しく構成員としてある場合は『平等』が妥当。
(横断的視点)
2.利用者本位の支援
- P3:「公的なサービス・支援体制の拡充」を追記する。
(理由)
10月19日付け「意見」でも記したが、利用者(私どもで言えば特に「ろう重複障害者」)のニーズに沿った多様且つ十分なサービスは、殆どと言ってよいほど整備されていない。これを「民間企業等やボランティア・NPO等市民団体」の活用で済まされては、重度の障害者ほど置き去りにされてしまう。いまだ行政主導で整備する公的なサービスは必要である。
3.障害者の特性を踏まえた施策の展開
- P4―1行目:
「WHO(世界保健機関)で採択された・・・障害の理解や適切な施策推進等の観点から活用する方策を検討する。」(理由)
⇒ 「障害の理解や適切な施策推進等の観点から、『ICFの視点にたった「障害」「障害者」を新たに定義し、その浸透を図る。』」に修正する。
10月19日付け「意見」でも記したが、ICFを活用する「方策を検討する」に留まらず、今後十年に向けてはその活用そのものにも踏み込んだ記載を求める。新しい障害者観・概念の共通化・浸透により障害者をとりまく環境は一段と充実する。
二 重点的に取り組むべき課題
2 活動し参加する基盤の整備
(1)自立生活のための地域基盤の整備
- P5―下から7行目:
「障害のある人が・・住宅、交通、公共施設等の基盤整備を・・」(理由)
⇒ 「・・住宅、交通、公共施設等の基盤整備、『および情報・コミュニケーションの基盤整備』を一層推進すると・・」 と、『』部分を追記する。
先の懇談会でも発言したが、ろう者にとって自立した生活をするには「情報・コミュニケーション」の基盤整備が最低必要条件である。
三 分野別施策の基本的方向
1. 啓発・広報
(1)基本方針
- P7―上から4行目:
「障害者の有無に・・相互に個性を尊重し・・」(理由)
⇒ 「障害者の有無に・・相互に『個人』を尊重し・・」と「個性」を『個人』に変更。
P2の「基本的な方針」と同じ。
2. 生活支援
(2)施策の基本的方向
a 利用者本位の生活支援体制の整備
ア 身近な相談支援体制の構築
- P9―上から9行目:
「身近な相談・・・。なお、これらの相談窓口は、障害種別にこだわらず総合的に運営を図る」(理由)
⇒ 「なお、これらの相談窓口は、『さまざまな』障害種別に『対応した』総合的な運営を図る」と『』に訂正する。
「障害にこだわらず」ではなく、さまざまな障害者のニーズに正しく「対応できる」相談窓口が必要である。 - P9 「ア身近な相談支援体制の構築」の項に:
『ろう者には「相談・支援」の前提となるコミュニケーションが十分保障されるよう、「ろうあ者相談員」等の活用をはかる。』を盛り込む。(理由)
相談支援体制がシステムとして構築されても、それが機能するにはコミュニケーション保障が最低条件である。それこそ身近な必要性から地方自治体主導で設置されてきた「ろうあ者相談員」を「身近な相談支援体制の構築」に組み込むことを求める。
ウ 障害者団体や本人活動の支援
- P10 「ウ障害者団体や本人活動の支援」の項に:
『障害者団体における家族への支援、福祉・医療・教育・就労等さまざまな場面での提言・支援活動を推進する』を盛り込む。(理由)
自助団体である障害者団体・障害当事者としての政策提言への参画・支援は、「びわこミレニアムフレームワーク」でも採択されたように障害者施策の大きな柱として位置づける必要がある。 - P10下から10行目:
「ボランティアを育成し、障害のニーズに応じて派遣されるための体制整備を検討する」のボランティア派遣の範囲・内容の規定を求める。(理由)
ボランティアの定義もなく、安易なボランティア派遣にならないようその範囲の記述を求める。専門家とボランティアの役割の整理が前提に必要である。
b 在宅サービスの充実
ウ 自立及び社会参加の促進
- P11上から11行目:
「地域での自立生活・・当事者による相談活動などの推進を図っていく。」(理由)
⇒ 「地域での自立生活・・『ろうあ者相談員を含めた』当事者による相談活動の推進を図っていく。『』部分追記。
『P9「ア身近な相談支援体制の構築」の項に』に関しての記載参照。
オ 各種障害への対応
- P12上から2行目:
「盲ろうなどの・・・強度行動障害への対応のあり方を検討する。」(理由)
⇒ 「・・強度行動障害への『支援システム整備』を検討する。」の『』に訂正する。
「対応のあり方」では抽象的である。何の対応か明確にすべき。
c 施設サービスの再構築
イ 施設のあり方の見直し
- P12下から1行目:
「入所施設は、地域の実情を踏まえて、真に必要なものに限定する。」(理由)
⇒ 「入所施設は、地域の実情『および障害の特性』を踏まえて『整備する』」と、『』の部分に追記・訂正する。
原文はかなり限定した記述になっている。聴覚障害者特にろう重複障害者の場合はコミュニケーション上の問題があり、地域で生活することが特に困難なことが多い。障害の特性を考慮して施設整備にあたる必要。
g 専門職種の養成・確保
- P14の「専門職種の養成・確保」の項に:
『ろう者の情報・コミュニケーションに従事する手話通訳者の質的・量的充実を図る。』を盛り込む。(理由)
障害者プランにある手話通訳者数にいまだ達していない。更なる養成と質的向上が必要である。
3. 生活環境
(2)施策の基本的方向
a 住宅、建築物のバリアフリー化の推進
- P15 「住宅、建築物のバリアフリー化の推進」の項に:
『緊急・災害時の障害者への避難・誘導設備の整備を図る。』を盛り込む。(理由)
多数の人たちが利用する建築物については、障害者の避難誘導のための設備整備を義務付ける必要。
d 防災、防犯対策の推進
ア 災害対策
- P16 「ア災害対策」の項に:
『大規模災害発生の際の障害者支援システムの構築を検討・推進する。聴覚障害者へはその情報提供の方途として字幕・手話を付加したCS放送の確立を図る。』を盛り込む。(理由)
阪神・淡路大震災の教訓を生かし、大規模災害が発生した際の障害者への支援方法は、早急にそのシステムを構築する必要がある。特に外見上からはその障害が見えないろう者への、災害時における支援体制は遅れがちになる。障害に配慮した支援システムが必要。
4. 教育・育成
(2)施策の基本的方向
b 専門機関の機能の充実と多様化
- P18 「専門機関の機能の充実と多様化」の項に:
『ろう児の専門的教育機関である聾学校においては、その障害の特性に合わせた手話等による指導を推進する。』を盛り込む。(理由)
10月19日付け「意見」でも記したが、「手話」の言語的認知が国民的な広がりを持つ中で、厚生労働省は「手話」をろう者の言語とて位置づけさまざまな施策を展開している。「手話」をろう者の言語として聾学校での認知を求める。
c 指導力の向上と研究の推進
- P19上から11行目:
「児童生徒の・・現在盲・聾・養護学校の学校毎に特定されている特殊教育に係る免許制度の改善を図る。」
⇒ 「・・現在盲・聾・養護学校の『障害別、教育毎』に特定されている『障害児教育』に係る免許制度『をより専門性を重視したものに改善する』。」と『』部分に変更する。
d 社会的及び職業的自立の促進
- P19下から7行目:
「また、後期中等教育、高等教育への就学を支援するため、各学校や地域における支援の」(理由)
⇒ 「・・高等教育への就学を支援するため、『各学校における障害者受け入れ体制を整備・推進し、』各学校や地域における・・」と『』部分を追記する。
10月19日付け「意見」でも記したが、内閣府における「欠格条項の改正」でろう者も医師・薬剤師等の免許取得が可能となり、その法改正の折、付帯決議として「教育・職場環境の整備」が付された。この付帯決議の実現を基本計画に盛り込むことを求める。
5. 雇用・就労
(2)施策の基本的方向
a 障害者の雇用の場の拡大
- P21 「a 障害者の雇用の場の拡大」の項に:
『障害者の就労環境の整備』の項目を新設し、『障害者のニーズにあった就労環境の整備を図る。』を盛り込む。(理由)
教育の項でも記したように「欠格条項改正」の付帯決議遵守を求める。資格取得が可能になっても、就労し職場定着がなければ障害者の自立へと繋がらない。就労・職場定着のための環境整備を図る必要がある。
イ 障害者の能力・特性に応じた職域の拡大
- P22上から12行目:
「重度障害者多数雇用事業所については・・・助成金制度による支援を行う」にある「助成金」が納付金であるなら他の財源とするよう求める。(理由)
その「助成金」が企業納付金によるものであれば、その財源確保のため「雇用率未達成もやむなし」となりかねない。納付金によらない支援の財源確保が必要である。
b 総合的な支援施策に推進
イ 雇用の移行を進める支援策の充実
- P24上から16行目:
「授産施設・・・ジョブコーチ事業を活用するほか、・・施設外授産を行う。」(理由)
⇒ 「・・施設外授産を行う。『なお、ジョブコーチにおいては障害者個々のニーズに対応できるよう研修制度を設ける。』」と『』部分を追記する。
ジョブコーチ制度等、人的支援制度においてはその人材育成が重要になる。障害者の特性を把握し対応するには、その研修は欠かせない。 - P24 「イ雇用の移行を進める支援策の充実の項に:
『障害者の雇用・職場定着を図る職業安定所においては、その機能の一層の拡充を図る。』を盛り込む。(理由)
不況下での障害者の雇用は厳しく、就労・職場定着の要となる職業安定所は重要なものである。
7. 情報・コミュニケーション
(2) 施策の基本的方向
b 社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及
- P31 「b 社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」の項に:
『障害者がITを利用するための技術習得の環境を整備する。』を追記する。(理由)
「障害者のIT利用促進のため情報通信機器の取得を支援する施策」だけでなく、機器取得後のIT活用技術の習得まで推進する必要。また、その習得に関しては障害者個々の特性に合わせた配慮が必要。 - P31 「b 社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」の項に:
『ろう者への参政権保障の施策として、全ての政見放送に手話通訳及び文字放送によるリアルタイム字幕を付加する。』を追記する。(理由)
基本的人権でもある参政権の保障が聴覚障害者にはまだなされていない。国政選挙はもちろんのこと全ての選挙においてその政見放送には手話通訳およびリアルタイム字幕によって、ろう者の参政権保障の整備をおこなうよう求める。
c 情報提供の充実
- P32上から5行目:
「聴覚障害者情報提供施設について・・促進する。」(理由)
⇒ 「・・促進する。『あわせてその機能に手話通訳設置・派遣事業を組み込み、市町村手話通訳派遣事業の支援センターとして整備する。』」
聴覚障害者情報提供施設をろう者の情報・コミュニケーション支援の拠点として位置づけ、その機能を拡充することは、ろう者の生活全般を支えるものとなる。
d コミュニケーション支援体制の充実
- P32下から5行目:
「コミュニケーション支援を必要とする視聴覚障害者に対する手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳者・・」(理由)
⇒ 「・・視聴覚障害者に対する手話通訳者『の養成・設置・派遣の制度的確立および』、要約筆記者・・・」と『』を追記する。
10月19日付け「意見」および、先の懇談会でも意見を述べた「ろう者の言語的権利の尊重としての手話通訳制度の確立」を求める。手話通訳者の養成は昭和45年の手話奉仕員養成・昭和48年手話通訳者設置事業・昭和51年手話奉仕員派遣事業と拡充されてきた。今後はこの拡充を踏まえて制度的に整備することが求められる。要約筆記・盲ろう通訳者の養成とは並列できない。
以上
「新障害者基本計画案」に対する意見
全国身体障害者施設協議会副会長
伊藤 勇一
「新障害者基本計画」の作成にあたっては、以下の点を十分考慮していただきたい。
「『障害者は施設』という認識を改めるため‥‥」(「三 分野別施策の基本的方向」「2 生活支援」「(2) 施策の基本的方向」「c 施設サービスの再構築」)とあるが、それは在宅サービスの整備が不十分であったり、もしくは成年後見制度などが不十分であったりすることに起因していると考えるが、原因を見極めたうえで、対策を講じるべきである。この原因を見極めずに「施設=悪」であるかのように表記するのは納得しがたい。
施設はより身近なところで利用できるよう、一層、施設の小規模化に取り組むことを明記すべきである。
急性期医療は終えていても、人工呼吸器を使用する者など相当の医療行為を伴う者を療護施設で受け入れているが、看護師等の配置が不十分であり、利用者のQOLが満たされにくい状況にある。先天性障害の場合は、児童福祉法上の重症心身障害児施設等で対応することが可能であるが、後天性の進行性難病等を併せ持つ障害者への対応などは極めて不十分である。そこで、病院と福祉施設の中間的な位置づけにある施設(ex.成人版重症心身障害児施設 or 医療中心型療護施設)を設け、今まで以上に看護師を多く配置できる仕組みを講じ、より効率的に最適なサービスが提供できる仕組みを検討すべきである。
以上
新障害者基本計画案についての意見
全国社会就労センター協議会
会長 斎藤 公生
本会では現在、社会就労センター(授産施設)のあり方について検討を重ねている段階であり、厚生労働省においても、近々社会就労センター(授産施設)のあり方に関する検討会を設置するとされている。
そこで、10年にわたるこの計画のなかに、現段階では見直し案を含めることは無理としても、検討の必要性を盛り込むと共に、現在、障害者の福祉的就労の場としての機能を実質的に果たしている社会就労センター(授産施設)を正当に評価し、社会福祉施設であり雇用の場でもある福祉工場を積極的に評価する内容を盛り込む視点で検討いただきたい。
具体的な修正提案は、下記のとおりである。
なお、インクルージョンの視点から、別途修正提案をまとめたので、併せてご検討いただきたい。
記
「分野別施策の基本的方向 2 生活支援 c 施設サービスの再構築」(12頁)
授産施設などにおける活動から一般就労への移行を推進するため、施設外授産の活用やジョブコーチ事業の利用を推進していく。
↓
職業訓練等の機関などにおける活動から に修正一般就労への移行は、授産施設だけでなく、更生施設、職業訓練校などさまざまな施設からも求められる。案による授産施設の例示では、福祉的就労の場としての社会就労センター(授産施設)を否定していることになるため、修正提案に改められたい。
「分野別施策の基本的方向 5 雇用・就労 a 障害者の雇用の場の拡大」(21頁)
「ア 障害者雇用率制度を柱とした施策の推進」において、雇用率制度のさらなる充実について掲げ新しい障害者雇用を推進する施策の検討 について盛り込んでいただきたい。雇用率制度については、改善だけでなく、充実・拡大方向の施策が必要である。
さらに、「イ 障害者の能力・特性に応じた職域の拡大」において、
重度障害者多数雇用事業所や特例子会社における障害者雇用の取り組みを支援するとともに
↓
福祉工場や重度障害者多数雇用事業所や特例子会社における障害者雇用の取り組み(22頁)障害者の労働者性を確保している福祉工場を評価し、盛り込んでいただきたい。
「分野別施策の基本的方向 5 雇用・就労 b 総合的な支援施策の推進」
イ 授産施設、小規模作業所がその本来の機能を十分に果たし、企業等における雇用に一層効果的につなげていくことができるよう、障害者就業・生活支援センターやジョブコーチ事業を活用するほか、適切な方法で施設外授産を行う。(24頁)
↓
イ 授産施設、小規模作業所がその機能の一部を十分に果たし授産施設の機能は、一般就労移行だけではなく、働く場を提供する福祉的就労の場であることは、平成4年の厚生省提言でも明らかである。
新障害者基本計画案に対する意見(別紙)
新障害者基本計画案への意見書
日本労働組合総連合会
副事務局長 村上忠行
第6回「新しい障害者基本計画に関する懇談会」で、「新障害者基本計画案」が提示されました。懇談会として「新障害者基本計画」を最終的に取りまとめるにあたっては、下記事項について盛り込んでいただくことを要請いたします。
記
一 基本的な方針
「(横断的視点)」の「4 総合的かつ効果的な施策の推進」の「(2)広域的かつ計画的観点からの施策の推進」(4ページ)の第2パラグラフの文尾を、「整合性に留意する。」から「整合性をはかる。」に改める。
二 重点的に取り組むべき課題
「2 活動し参加する基盤の整備」の「(2)経済自立基盤の強化」(6ページ)の第2パラグラフの最後に、「また、障害者が、できる限り就業できるように、障害の状態に応じて、多様な就業の場を拡充・創出する。」と追加する。
「4 アジア太平洋地域における域内協力の強化」(6ページ)について、見出しを「国際協力と国際貢献」とし、パラグラフの冒頭に、「国連や各種の国際的な非政府組織における障害者問題についての取り組み等に積極的に参加する。また、」と追加する。
三 分野別施策の基本的方向
「1 啓発・広報」について
(1) 「(2)施策の基本的方向」の「a 啓発・広報活動の推進」(7ページ)の最後に、「雇用率を達成した企業名やボランティアに積極的に取り組んでいる企業名を公表し、広報する。」と追加する。 「2 生活支援」について
(1) 「(2)施策の基本的方向」の「a 利用者本位の生活支援体制の整備」の「ア 身近な相談支援体制の構築」(9ページ)の第1パラグラフの最後に、「また、ケアマネジメント制度については支援費制度の中できちんと位置付ける。」と追加する。 (2) 「イ 権利擁護の推進」(10ページ)の第1パラグラフは、「成年後見制度など障害者の権利擁護に関する事業及び財産管理を支援するシステムについて、だれもが使いやすいように、制度の改善を早急に行い、利用の促進を図る」と修正する。
第2パラグラフは、文尾を「支援することを検討する。」ではなく、「支援する。」と修正する。(3) 権利擁護に関して、「イ 権利擁護の推進」の次に、「ウ オンブズマン制度の導入」という新しいパラグラフを設ける。内容としては、「障害者の権利の擁護と回復のために、行政、地域、施設、NPO、障害当事者組織等において、福祉オンブズマンを導入する。福祉オンブズマンは、独立性を確保し、調査権や勧告権を備えたものとし、だれもが利用しやすい制度とする。」という文章とする。 (4) 「ウ 障害者団体や本人活動の支援」(10ページ)について、それぞれのパラグラフの文尾から「検討する」を削除し、「関与等を支援する。」、「活動できるよう支援する。」とする。 (5) 「b 在宅サービス等の充実」の「ア 在宅サービスの充実」(10ページ)の第1パラグラフの2行目を、「早急にその量的・質的充実に努める。」と改める。 (6) 「c 施設サービスの再構築」の「イ 施設のあり方の見直し」(12ページ)の第2パラグラフに、「また、施設入所者の人権が守られ、地域に開かれた施設に改善する。」という文言を追加する。 (7) 「f サービスの質の向上」(14ページ)について、「サービス評価の実施も検討する。」を「サービス評価を実施する。」と改める。 「3 生活環境」について
(1) 「(2)施策の基本的方向」の「a 住宅、建築物のバリアフリー化の推進」と「b 公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進」(15ページ)の間に、新たに「b 障害者の公営住宅への入居に関する欠格条項の撤廃」という項目を設ける。内容は、「公営住宅の知的・精神障害者の単身入居の欠格条項を撤廃する。また、長期の施設入所者、入院者が賃貸住宅契約をする際には、公的保証人制度等を充実させ、地域における住まいの確保を支援する。」という文章とする。 「5 雇用・就労」について
(1) 「(2)施策の基本的方向」の「a 障害者の雇用の場の拡大」の「ア 障害者雇用率制度を柱とした施策の推進」(21ページ)の第2パラグラフの2行目は、「雇入れ計画の作成命令等の指導の厳格化を図る一方、雇用率制度の実効性を確保し、障害者の雇用を促進するため、障害者納付金を大幅に引き上げる。また、」と追加する。 (2) 「イ 障害者の能力・特性に応じた職域の拡大」(22ページ)は、見出しを「イ 障害者の能力・特性に応じた職域と雇用の拡大」とし、最後のパラグラフとして、「国は、障害者の就業を阻む要因を分析するとともに、企業のみならずNPOなど社会全体での多様な就労機会の創出など、新しい雇用のあり方を検討するために、当事者、企業、労働組合などをはじめ幅広い参加者で構成する「障害者の就業を創出する対策会議」(仮称)を各都道府県ごとに設置する。」という文章を追加する。 (3) 「オ 障害者の雇用・就労を行う事業の活性化」(23ページ)の、「官公需における障害者多数雇用事業所等及び障害者雇用率達成状況への配慮の方法について検討する。」を、「官公需の入札については、予算総額の一定割合を、雇用率を遵守している企業に限定する。」と改める。 「7 情報・コミュニケーション」について
「(2)施策の基本的方向」の「a 情報バリアフリー化の推進」(31ページ)の第2パラグラフに、「また、民間企業においても、IT機器等の開発にあたっては、障害当事者が参画し意見を反映できるようにするとともに、当事者による評価システムをつくることが望まれる。」と追加する。
「c 情報提供の充実」(32ページ)の第2パラグラフについて、「字幕番組、」を「全放送に字幕放送を義務づけるとともに、」と修正する。「8 国際協力」について
「(2)施策の基本的方向」の「b 国際的な障害者問題への取り組みへの参加」(33ページ)に、「国連の障害者権利条約をはじめ、国連等の条約などに積極的に対応するとともに、権利条約を受けた国内法の改正・整備も積極的に行う。」という文言を追加する。
四 推進体制
1.「法律改正・制定」の項目の新設「2 連携・協力の確保」と「3 計画の評価・管理」の間に、「法律改正・制定」の項目を新設し、以下の項目を盛り込む。
- (1)「障害者差別禁止法」の制定
- 障害のある人の社会参加を阻むバリアを解消し、完全な平等を達成するために、救済機関の設置を盛り込んだ「障害のある人に対する差別を禁止する法律」(「障害者差別禁止法」)を制定する。
- (2)数値目標を明記した市町村障害者基本計画策定の義務化
- 障害者基本法を改正し、都道府県・市町村障害者計画の策定を義務化する。計画の実効性を担保するためには、都道府県・市町村障害者基本計画策定のための予算を確保するとともに、都道府県・市町村地域福祉(支援)計画との連携・整合性をはかる。また、策定する計画には、必ず数値目標を明記することを、あわせて義務化する。
- (3)民法における扶養義務の見直し
- 民法の扶養義務については直ちに見直し、子どもに対する親の扶養義務は、子が成人に達するまでとする。
- (4)障害3法の統合
- 法律が障害別に分かれており、障害別に違うサービスが行われているが、ニーズに応じてサービスが受けられるように、計画の中で既存法体系の見直しに言及し、法体系を統合化する。
- (5)条例における規制・制限の撤廃
- 地方自治体の条例や規則、要綱等に残っている、市議会の傍聴制限、公営住宅の入居制限、市民プールや図書館等への入場制限、保育所への入所制限等を早急に撤廃する。
新障害者基本計画を実効性あるものにするためには、各施策についての財源の確保が必要である。そのため、「財源の確保」の項目を新たに追加する。内容は、「新障害者基本計画の実効性を確保するのに十分な予算を確保する。とくに新しい障害者プランについては、『障害者プラン ~ノーマライゼーション7カ年戦略~』の予算額から大幅に引き上げる。」というものとする。
4.「4 調査研究・情報提供」について
「4 調査研究・情報提供」(34ページ)について、「ニーズ調査、国内外の」を、「ニーズ調査の充実を図る。とくに、障害当事者の、障害者施策に対する評価についての調査を実施し、結果を施策に反映させる。なお、調査の際は、障害者手帳をもっていない障害者も、調査の対象に含める。また、国内外の」と改める。
以上