新しい障害者基本計画に関する懇談会(第7回)議事録

1.日時
平成14年11月29日(金) 10:00~12:00

2.場所
総理大臣官邸大会議室

3.出席者

米田副大臣
大坪内閣府審議官
大前大臣官房審議官
吉冨参事官
安藤 豊喜 (財)全日本ろうあ連盟理事長
池末 亨 (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事
雄谷 助成 (財)日本知的障害者福祉協会会長
河端 静子 日本障害者協議会代表
北浦 雅子 (福)全国重症心身障害児(者)を守る会会長
座長 京極 高宣 日本社会事業大学学長
兒玉 明 (福)日本身体障害者団体連合会会長
笹川 吉彦 (福)日本盲人会連合会会長
清野 智 東日本旅客鉄道(株)代表取締役副社長
鶴岡 啓一 千葉市長
比留川 実 (社)電気通信事業者協会専務理事
細村 迪夫 独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長
松友 了 (福)全日本手をつなぐ育成会常務理事
丸山 一郎 埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科教授
村上 忠行 日本労働組合総連合会副事務局長
谷中 輝雄 (福)全国精神障害者社会復帰施設協会会長

4.議第

  1. 開会
  2. 意見発表
  3. 新障害者基本計画案について
  4. その他
  5. 閉会

5.配付資料

  1. 新障害者基本計画案
  2. 各委員からの意見

6.参考資料

  • 新しい障害者基本計画案の枠組み

午前10時00分開会

○京極座長 定刻になりましたので、これより新しい障害者基本計画に関する懇談会の第7回目を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、秋山委員、伊藤委員、鹿島委員、君塚委員、紀陸委員、斎藤委員、潮谷委員、竹中委員、松尾委員、松矢委員、山内委員がご都合によりご欠席でございます。
 当懇談会は、皆様のご協力によりこれまで6回開催してまいりましたが、本日で最後といたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今月8日の江崎政策統括官の異動に伴い、大坪内閣府審議官が政策統括官の事務取扱をされることになりましたので、ご紹介いたします。

○大坪内閣府審議官 内閣府審議官をやっております大坪でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 皆様方にはこれまで6回、精力的にご審議、ご協議いただいているふうに聞いております。ただいま座長の方から今回で最終回とさせていただきたいというお話があったようでございますが、私どもといたしまして、これまでのご意見を参考としながら、基本計画に向けて作業をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
 なお、本日は官房長官が出席の予定でございましたけれども、ご承知のとおり、故高円宮様のご斂葬の儀がとり行なわれている最中でございまして、出席できません。皆さんによろしくお伝えください、というようなことでございました。
 本日、よろしくお願い申し上げます。

○京極座長 なお、おくれて米田副大臣がご出席される予定でございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 お手元に委員の皆様からあらかじめ文書の形でご提出していただきましたご意見をお配りしてありますが、内容について何か補足することがありましたら、なるべく手短に、要点を絞ってお願いいたします。
 なお、最終的な文章としてはかなり絞った形になりますけれども、議事録としては永久に残りますので、後の10年の計画をつくるとき本文よりむしろ議事録の方が参考になるというようなこともありますので、率直にご意見をいただければと思っております。
 どうぞ、どなたからでも。特になかなかお忙しくて参加数が少ない方、この際……。
 では、清野委員から。

○清野委員 私、出席がほんとに少なくて申しわけないんですけれども、事前に取りまとめた基本計画案を読ませていただきまして、私自身、ともすれば健常者として障害を持った方の問題をなかなか真剣にとらえていなかったんじゃないか、個人的にそう思っております。
 私自身、最近、皆さん方は全く違うと思いますが、母が寝たきりになっちゃいまして、個人的にはいろいろございますけれども、今回の案に基づきまして新障害者プランが作成されたり、あるいはいろんな施策が実施されることになると思いますが、この計画案に障害を持った方々の意見が十分反映され、またそれに該当する業界あるいはその他の関係団体なんかとも十分調整を行なって、実りある対策が実施されることを私個人としても強く望んでいるところでございます。
 以上です。

○京極座長 国土交通省、大変熱心にご議論いただいたような気がいたします。
 では、安藤委員。

○安藤委員 安藤でございます。最後ということですので確認したいんですけれども、意見書については、個人的な意見というよりも、組織的な検討を行なった上で4回出しているわけですが、基本計画の中に反映されていない面が多いです。したがって、意見書が出しっ放しになっているのではないかというような感じもするので、意見書に対する対応のあり方というものをはっきり説明していただきたいと思います。そうでないと、私、組織内部に説明がつかないわけです。全体の要望からしますと、きちんとこの計画の中に意見が反映されておると思えない面が余りにも多いと思います。

○吉冨参事官 これまで6回にわたりまして懇談会を開催させていただきました。そして、その都度、大変貴重なご意見をいただいたというふうに考えております。私どもとしましては、それぞれいただきました意見を関係省庁と十分協議しまして、その都度必要な修正といいますか、そういったものを盛り込んで、この懇談会の場にお出ししたということでございます。
 確かに一つ一つのご意見に対しましてどういうふうに対応したのかをご回答すればよろしいのかもしれませんが、ご存知のように、毎回冒頭に私の方から資料についてご説明申し上げますが、その時間に20分くらい費やすということで、一つずつのご意見に対しまして詳細なご説明がなかなかできなかったというのが現状でございまして、そういった意味では私ども、大変申しわけなく思っております。ただ、いただきましたご意見につきましては、取り入れることが必要な部分あるいは政府として対応できるものにつきましてはその都度取り入れて、資料としてご提出しているということでございます。
 本日は、そのようなことでございますので、前回この懇談会の場で出されましたご意見につきましてそれぞれどのような考え方で対応したかにつきましては、できるだけ具体的にご説明させていただきたいというふうに考えております。そういうことで、時間の制約というものがかなりあったということをご理解いただければというふうに思います。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 私も一応意見書は読んでおりまして、大体入っているんじゃないかというふうに思っています。9割ぐらい入っているんじゃないかという印象ですけれども、最終的な議論を今している最中なのであれですが、意見書も議事録もすべて記録に残っておりますので、場合によっては、意見書がどういうふうなプロセスで各省協議から文案に反映されるかというフローチャートといいますか、流れ図、説明するようなもの、報告書が出た後でいいと思いますけれども、資料集としてつくる。本来であれば、意見書のこの部分はここに入っているという貸借対照表みたいなのをつくると一番いいんでしょうけれども、事務的に非常に膨大な作業がかかります。
 例えば、団体が考えているこのフレーズの意味は行政のとらえ方とちょっと違うとか、いろいろあると思います。いずれにしても、皆様が出された意見書そのものは重要な記録として資料に載せられる、あるいは報告書が出たときに冊子の中に参考資料として載りますので、後の人がこの部分が入っていないんじゃないかということが言えるような資料とする、最終的な報告案がまとまりましたらそういう処理にしたらどうかと思っています。
 個別のところ、それぞれの団体の方のどこの箇所がというふうなことはなかなか難しいんですけれども、わかりやすく、例えば報告書の骨子だったら、骨子のこの部分にこういう矢印で入っているというのができれば一番いいんですが、なかなかそういう……。小さな審議会だとそういうことができるんですけれども、これだけ大きく、分野別にも幅広いですし、そういうことで、この意見書はこうやったというのはつくりにくいんですね。ただ、資料として残りますので、短い期間で作業をする関係で1対1の対応はなかなか困難でありますので、そこはお含みいただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 ほかにどうでしょうか。河端委員。

○河端委員 日本障害者協議会の河端でございますが、いつもいろいろとご配慮いただきまして、ありがとうございます。
 意見書が出ていると思ったら、長々といつも出しておりますが、うちの協議会の方から出ていないんですね。特に最終なものですから、これだけは言ってこいと。私どもの団体は大変多うございますので、ほんとに申しわけないんですけれども、私、この素案、議事録も拝見いたしまして、大変細かいところまで入れていただいたこと、ほんとによかったなと思っています。私の方は最終的に8つほどあります。
 簡単に申しますれば、第1番目は、障害者の権利、障害を理由に差別禁止ですね、差別禁止法を何とか制定してほしい。これから国連の方では障害者の権利条約ということも出ておりますので、差別禁止法の法制化、これをぜひ図ってほしい。
 2番目は、障害者基本法で身体、知的、精神、そのほかいろんな附帯事項が出ておりますが、そういうところの谷間でサービスを受けられないというような高次脳機能障害の事例、LDとか、てんかんとか、難病とか、そういうものの障害者たちがサービスを受けられるような問題をきちんとやっていただきたい。障害の種類別ではなくて、窓口がそれぞれ市町村になったりしておりますので、総合的な障害者の福祉法を何とか具体的に検討していただきたいということが第2番目です。
 第3番目は、国際障害者分類が昨年5月改定されまして国際生活機能分類になりましたので、今度の障害者の認定も国際生活機能分類に沿ってやっていただきたいということが3つ目。
 4つ目は、重い障害者に対する所得保障の問題、あと民法の扶養義務の問題です。成人になった場合は、障害者の人格をきちんと認めていただきたい、扶養者ではないということをお願いしたい。
 5番目は、4番目の扶養義務と関連しますが、サービスの給付水準などは、世帯単位のものではなくて、個人単位にしていただきたい。
 6番目は、数値目標ですね。いろいろお話を伺っていますが、最終的には私ども、数値目標がどういうふうに出るかということを大変期待しております。その中で私たちの要望がある程度取り入れられるんじゃないかなというふうに期待しています。
 7番目は、新しい障害者基本計画をつくった場合に、その計画の見直しを適当なときにきちんと図っていただきたい。懇談会の位置づけがどういうような性質のものであるかということなんですよね。これが非常にあいまいではないかというような感じがいたしますけれども、今後はもう少しきちんと、あいまいではなく、表現の仕方としてもう少し格づけのあるものにしていただきたい、そして各省庁間の連絡をほんとに密にしていただきたいということでございます。
 先ほど申しましたけれども、8つ目の最後は、見直しですね。10年計画というふうに伺っていますので、10年先、日本がどうなるかわからない、内閣もどういうふうになるかわからないということを誰か前におっしゃっていましたから、見直しを適当な時期、5年後か。障害者基本法も、見直しを図る図ると言っていながら、10年過ぎちゃったんですよね。そういうことですから、5年なら5年経過したら見直しをしてもらう、その間に社会情勢も変わっていくと思います。そういうことで、ぜひお願いいたします。
 それからもう一つ、支援費の問題なんですけれども、介護保険のホームヘルパーと障害者のホームヘルパーは単価基準が違うんですね。介護保険のヘルパーの派遣は、身体介護が4,000円、生活支援が2,000円。障害者の場合は、身体介護が4,000円であっても、家事援助は1,500円、生活支援の方は2,000円になるのかどうか、まだはっきり伺っておりません。ガイドの方は1,500円です。そうしますと、町村の方で、1,500円でやってくれる事業者が出てこないと言われたんです。

○京極座長 支援制度は、これから検討していくんですが、この場ではないので。

○河端委員 基本的に障害者が在宅で生活できる、在宅で生活できない人は、きちんと見直していただいて、人格を尊重するような施設をつくっていただきたい。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

○京極座長 ありがとうございました。
 なお、見直しにつきましては、35ページのところに「必要に応じ計画を見直す」とはっきり書いてあります。ただ、それを行政が行なうかどうかというところに問題があって、文面的には……。
 今おっしゃった7点、大事な点でございますけれども、1点目、2点目の法制のことにつきましては、今回、内閣府の大変な調整努力で、村上委員からもたびたびご指摘がありましたけれども、35ページの「4 必要な法制的整備」という項目が入りましたが、これは今までなかったところです。法制のところはなるべく触れたくないという役所の本音があるんですけれども、必要な法制的整備というのは、民法から始まって、障害者基本法の話から、総合福祉障害者法もそうですが、それも含みに入れて……

○河端委員 何ページですか。

○京極座長 35ページの4、一番下のところです。
 ただし、法の具体的名称を行政計画に入れるのはよっぽどのことでない限りありません。皆さん方の議論が進んできて、世論がどうなっているかということ、法律は国会の審議でつくりますので、政治状況も含めて考えて、個々の言葉を全部ここに書き込むということはしない。しかし、法制的な整備が必要なときに基本計画を見たら何にも書いてないということでは困りますので、今度の計画の特徴として「必要な法制的整備」を入れました。

○河端委員 お願いいたします。

○京極座長 あと、国際分類、その他については、ばらして入っておりますので、よく見ますと、かなり細かく入っていると思っております。これで十分かどうかという点では、もう少しという意見もございますけれども、かなり検討が進んだ、最初の素案に比べると大分違っているというふうに思います。
 どうぞ。

○松友委員 育成会の松友でございますが、3点あります。
 つまらない方から言いますと、言葉の問題ですが、「びわこミレニアムフレームワーク」、これ、何とか日本語に定訳していただいた方がいいのではないかということが1つ。
 2つ目は、大きな計画案の枠組みという様式の中で、ミレニアムフレームワーク……

○京極座長 本文はこれからで、修正案を出していただいた団体にということです。
 村上委員。

○村上委員 1点は、確認でございますが、先ほどのお話で、前回までの議論で修正した、今回の意見書並びにきょうの議論はその後修正される、それは座長に一任という形になるのかどうか、今後の取り扱いについてまずお伺いしたい。
 それから、意見ですが、私の意見、きょう出ておりますけれども、特に要点だけお願いしたいと思いますのは、重点政策、アジアが重点であろうということになっていますが、国連の動きなんかを見ますと、アジアという限り方がいいのかどうか。国連のいろんな関係が出てくるのではないかと思っていますので、国連の動きに合わせるという形の方がよろしいのではないかということで、私は「国際協力と国際貢献」という形にすべきだと思っているわけであります。
 2つ目は、権利擁護の問題でございますけれども、今の時代、多用な権利擁護が必要であろう。その点として、私は、これからオンブズマン、オンブズパーソンというんでしょうか、そういうものがどうしても必要ではないかという形で意見書を出させていただいております。いろんな方たちが権利擁護に参加していく必要があるだろう、その一つの形としてオンブズパーソン制度といったものが必要ではないかと思っておるわけであります。
 それから、雇用・就労の問題ですが、確かに言葉は並んでいるんですが、就労という問題がなかなかうまくいかない。この厳しいご時勢で、過日、何新聞かに出ておりましたけれども、障害の方々が相当就労の場を失っておる。特に障害を持っている方々のところに寒い風が当たっているという感じでその新聞を読ませていただきましたが、どうやったら就労・雇用がふえるのかというところをもうちょっと書き込んでもらわないと。前と同じような言葉が並んでいるにすぎないと思いますけれども、何とか雇用・就労がふえるようもうちょっと言葉を入れていただきたい。雇用・就労問題は障害者にとっては大変大きな問題だと私は思っていますので、ぜひお願いしたいわけです。
 それから、情報コミュニケーションの問題で、字幕放送の義務づけをぜひこの際お願いしたい。
 それから、法律の問題でありますが、項目は入ったんですけれども、必要な法整備の検討を行なうんじゃなくて、法整備を図る。私、こういう計画でも、法律を検討し、必要な法整備を図るというのがあっていいと思うんですよ。法律の名前が入ってはいかんということは絶対ないと私は思っていまして、こういうことを検討していこうよということが見えた方がいいと思います。例えば、先ほど委員からあったように差別禁止法とか、基本計画の義務化とか、民法表現の見直しとか、障害三法の統合とか、そういう項目について検討し、必要な法整備を図っていくというぐらいのことを表現していただかないと、何をどうするのか全然わからない。あとはあなたたちに任せろ、任せた結果何にも進んでいないこの10年でございますから、私どもとしてはそこはぜひ書き込んでいただきたいということをお願いしたいわけであります。
 それから、何をやるにしてもお金がかかるんですね。財政をどうするかぐらい数字を書いておく。必要な財政を確保するということがないと、こういうものは絵にかいたもちでずうっと終わってしまうんですね。結局、財政がついていかないのでフォローアップもされない、見直されるまで10年たつという過去の経験則に照らすと、財政をきちっと確保するよということがないとだれも安心できないと思います。そこはぜひお願いしたいわけであります。
 それから、調査研究のところで、障害当事者のいろんなデータが少な過ぎる。障害を持っている方でなく家族のなんかは割合あるんですけれども、障害者自身のいろんな調査が少な過ぎる、私の勉強不足かもしれませんが、トータルで見れない。そこを一回きちっとやっていただいた方がいいんじゃないかというふうに思っておりますので、そこもよろしくお願いしたい。
 以上であります。

○京極座長 ありがとうございました。
 他の省の方もいらっしゃっていますので、行政の方で……。

○総務省 総務省でございます。今、村上委員からお話がありました字幕放送の義務づけの問題でございます。今、放送事業者に対しましては、法律上、字幕放送の付与努力義務というものが既にございます。
 一つご留意いただきたいのは、放送事業者に相当努力していただきまして、字幕付与の割合というのは年々ふえております。ただ、生放送になりますと、日本語の特性上、同音異義語とかがございますので、アルファベット26文字を機械的に入力するのと違いまして、なかなか難しいという技術的な課題もございます。今、放送事業者としましては、2007年中には技術的に付与可能なものにつきましては字幕を付与するという目標に向けまして、努力している最中でございます。
 行政側としましては、案の中にも盛り込まれておりますけれども、そういった事業者の取り組みを支援する、あるいは字幕番組の製作過程をより効率的に可能にするような技術開発、この研究開発に今、取り組んでおりまして、その成果が上がり次第、格段と字幕番組の普及の割合は高まるものというふうに期待されております。よろしくご理解ください。

○京極座長 それから、厚生労働省サイドの質問がございましたけど。

○厚生労働省 雇用の関係でございますが、村上委員がおっしゃられたように、現在、非常に厳しい情勢が続いておりまして、今、予算を伴わない緊急的な措置につきましては、事業主団体に対しまして雇用維持の要請を行なっております。それから、都道府県労働局に窓口を設置して、相談等を行なう。受発注についても、各自治体に要請するというようなことを行なっております。また、補正予算、どうなるかわかりませんが、その中でも雇用の拡大ということで検討してまいりたい。
 それから、この基本計画を受けまして障害者雇用対策基本方針、より具体的な方針というものを今年度作成する予定にしておりまして、その中でも、雇用の拡大という点については必要なことだと思いますので、検討させていただければと思っております。

○京極座長 確かに村上委員のおっしゃるとおり、データにつきましても、例えば所得保障といった面で、障害者の所得が一体どうなっているか、全体像の統計数字はないんですね。こういうのは10年間でつくっていかなくちゃいけないし、極めて縦割りになっている。厚生労働省の中でも、障害者年金は年金局、生活保護の障害者加算は社会援護局ですし、手当の問題は障害保健福祉部、労働関係の就労でどう獲得しているかというのは旧労働省サイドですし、税制上の配慮は財務省ですし、非常に見えにくいのであります。この10年で、障害者の生活状態について各省で協力して、また、調査に対して答えなければ全然数字が入りませんので、障害者団体のご協力を得て、ぜひつくっていきたい。これは私からもかねがね申し上げていることでございます。
 それから、お金に関しましても、おっしゃるとおりですが、これは基本的な骨組みを出すということで数字を入れていないわけでありますけれども、障害者プランになりますと、完全にお金がついていくわけでありますので、この骨組みを肉づけるところで検討することでやれるんじゃないか。実際に10年やったら、計算すると、過去の10年より、この厳しいご時勢の中でも大きな予算措置が必要になるんじゃないかという気もいたしております。また、あえて申しますと、高齢者福祉に相当お金を使い過ぎたというと怒られますけれども、もうちょっと障害者に手厚い時期がそろそろ来ないといけないということもありまして、大前大臣官房審議官は大蔵のご出身でございますから、そういうことを聞いている中で議論しているということをお含みいただきたいと思います。
 ほかにどうでしょうか。――それでは本文に入らせていただいてよろしいでしょうか。
 ただいま意見書の補完というか、追加説明でお話しいただきましたので、本日は、前回に引き続きまして新障害者基本計画について意見交換をしたいと思います。
 なお、村上委員から先ほど質問がありましたように、座長預かりということでないとエンドレスになりますので、きょう出た意見を含めて決めるということにさせていただければ幸いです。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から初めにご説明いただきまして、その後、意見交換に入りたいと思います。

○吉冨参事官 初めに、先ほど村上委員からご指摘がございました調査研究の関係でございますが、私どももデータ不足ということは痛切に感じておりまして、内閣府としましても、関係省庁、横断的な立場でぜひ総合的な資料づくりに取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
 それでは、本日の資料につきましてご説明を申し上げます。前回出されましたご意見に対します考え方や、ご意見を踏まえて修正した点などを中心に、ページに沿ってご説明してまいります。
 まず最初に、最後の37ページをごらんください。ここに「用語(注)」ということで、ノーマライゼーションにリハビリテーション、バリアフリー、ユニバーサルデザイン、障害者福祉の非常に重要な横文字の概念につきまして解説してございます。ぜひご参考にしていただければと思います。
 特にバリアフリーとユニバーサルデザインの使い分けにつきまして当懇談会でもいろいろご議論がございましたけれども、事務局としましては、障害者が活動し、社会参加する上で現に多くのバリアが存在している、こういったバリアを除去する考え方を本基本計画では強調する必要があるのではないか。そのような考え方に立ちまして、この基本計画では原則として“バリアフリー”の用語を使うこととしております。ただし、まちづくり、さらには製品などにつきましては、ケース・バイ・ケースで“ユニバーサルデザイン”という用語を使う、このような考え方で整理してございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、2ページをごらんください。最初のところに「これまでの国際的な取組の成果を踏まえ」とございますけれども、この中にはびわこミレニアムフレームワークも当然に含まれるわけでございます。前回の懇談会で、びわこミレニアムフレームワークが採択されたという事実だけ書いてあって、それをどうこの基本計画に反映するのかという記述がないのではないかというご指摘がございましたが、当然この基本計画はびわこミレニアムフレームワークを踏まえたものになっているというふうにご理解いただければと思います。
 また、「基本的な方針」の「考え方」のところで、当初、「国民誰もが相互に個性を尊重し」というふうにしてございまして、その中で、個性につきましては、私どもの考えでは、人それぞれの人格も含めた個性を尊重するという共生社会のあり方を述べる、こういったような趣旨で記述したものでございます。そういうことで、個性には人格も含まれるということは一般的にも用いられている表現だというふうに理解してございますが、ただ障害者基本計画におきます表現としてより厳格なものとするために、個性に含まれる人格の部分を特に入念的にイメージすることとしました。そういうことで、従来「個性」とあった部分につきましては「人格と個性」というふうに修文してございます。
 次に、3ページをごらんください。「1 社会のバリアフリー化の推進」の2つ目のパラグラフでございますが、従来といいますか、前回までは「バリアフリーなまちづくり」というふうに記述しておりました。ただ、この部分、まちづくりとか生活環境といったようなものにつきましてはユニバーサルデザインという用語によって整理するべきではないか、こういったようなご指摘もございまして、先ほどご説明しましたように、この基本計画でのバリアフリーとユニバーザルデザインという言葉の使い分けに従いまして、ここはそのように修正してございます。
 次に、32ページでございますけれども、「情報・コミュニケーション」の「情報バリアフリー化の推進」というところで、ガイド71について記述してございます。これは情報通信機器設計の指針をJIS化するというものでございますが、非常に重要な考え方なので、情報通信に限定しないで、すべての分野についてこのような考え方に立つべきではないかというご指摘がございました。
 この点につきましては、5ページの(2)をごらんいただきたいと思いますけれども、「福祉用具等の研究開発とユニバーサルデザイン化の促進」の部分でございます。ここに、国際標準によるガイドラインの設定としまして、製品一般について国際標準による障害者に使いやすい形での製品の普及活動をしていこう、こういったような趣旨を記述させていただいております。
 また、同じ5ページの「地域基盤の整備」のところに、基盤整備の内容として情報・コミュニケーションについても明示的に記述してほしいとのご指摘がございました。
 まず、ITにつきましては、その前の「(3)IT革命への対応」ということで、かなり詳細に記述させていただいております。その他、例えば手話通訳士の派遣といったような種類につきましては、「自立生活のための地域基盤の整備」の中の「日常生活の支援体制」という中で包み込むということにしております。ここは個々の事業につきまして具体的に書くという部分ではないというふうに考えておりまして、そのようなことでご理解いただければと思います。
 次に、6ページの「(2)経済自立基盤の強化」のところでございますが、前回と異なっておりますのは、最後のところに「また、年金、手当等による所得保障を引き続き推進する」ということで、経済自立基盤の観点から年金、手当等による所得保障が大変重要な役割を果たしている、こういったことにかんがみまして独立して記述させていただいております。
 また、「4 アジア太平洋地域における域内協力の強化」のところでは、我が国の果たします役割を強調するということで、これまで最後のところは「協力関係の強化に努める」というふうになっておりましたけれども、ここを「関係の強化に主導的な役割を果たす」というふうに修文させていただきました。
 次に、8ページでございますが、最初のところ、「c 公共サービス従事者に対する障害者理解の促進」の部分でございます。最後の表現、「障害者に関する理解の徹底を図る」というふうにしておりましたものを、より強調した表現として「理解の促進とその徹底化を図る」というふうに修文させていただいております。
 次に、10ページでございますが、「障害者団体や本人活動の支援」の部分でございます。この第2パラグラフの最後の部分につきまして、「支援することについても検討する」というふうにしておりましたが、検討という言葉を削除しております。
 次に、11ページをごらんください。「自立及び社会参加の促進」の第2パラグラフでございますが、この中で「生活訓練、コミュニケーション手段の確保、移動支援等」というような形で記述しておりましたけれども、移動支援につきましては、屋外と屋内、両方の移動があって、外出に重点を置いた記述とすべきではないか、こういったようなご指摘がございました。そういったことを踏まえまして、この部分では「外出のための移動支援等」、外出ということを特に強調した表現といたしました。
 次に、12ページの「d 施設サービスの再構築」の部分でございますが、「施設等から地域生活への移行の推進」のところの第2パラグラフについてでございます。「「障害者は施設」という認識を改めるため」、こういったような表現は、施設入所者はスティグマであるかのような印象を与えるといったご意見、地域福祉の観点からの説明が必要ではないかといったようなご意見、さらに施設入所が必要な場合もあるのではないか、そういった場合は、施設に入所してきても、自立した生活が可能なような記述にすべきではないか、といったようなさまざまなご意見がございました。
 私どもといたしましては、入所者の地域生活への移行ということにつきましては、地域福祉の観点から大きな流れになっているということ、また、現在、本人の意向と関係なく施設に入所して生活するのがよいと判断しがちな関係者の意識改革が強く求められているということ、こういったようなことから、基本的には原案に沿った内容といたしまして、意識改革の視点として新たに「地域福祉」という言葉を追加させていただきました。
 なお、必要があって施設に入所する人につきましては、その次の「施設の在り方の見直し」の最後のところでございます。13ページをごらんください。13ページの最後のパラグラフでございますが、ここに入所者の生活の質の向上の観点からの記述をしてございます。
 なお、地域福祉についての記述が不足しているのではないかというようなご指摘もたびたびいただいておりますが、この点につきましては、35ページの「推進体制等」の「2連携・協力の確保」というところをごらんください。この点につきましては、そういったご意見も踏まえまして、前回の案から、第3パラグラフの部分に「地域福祉推進の観点から、障害者関係団体、NPO等民間団体、事業者団体、地方公共団体との連携・協力を推進する」という地域福祉の考え方を記述させていただいております。
 次に、15ページをごらんください。先ほどから何度かご説明いたしておりますが、ユニバーサルデザインという言葉の使い方に沿いまして、「基本方針」の部分でユニバーサルデザインへの配慮ということを明記しております。
 次に、「基本方針」のところの第2パラグラフでございますが、こちらに「住宅、建築物、公共交通機関、歩行空間等」というのがございます。前回は、住宅、建築物、公共交通機関、歩行空間等といったものをばらばらにそれぞれ列挙する形でありましたが、こういったものは一つの考え方でくくる必要があるのではないかというようなご指摘がございました。そういったようなことを踏まえまして、ここに全体をつなぐ概念として「生活空間」という言葉を入れさせていただいております。
 次に、16ページをごらんください。最初のパラグラフでございますが、記述を追加した部分でございます。障害者につきましては非常に移動制約がある、そういったことで交通のバリアフリー化ということが必要でありますが、ただ公共交通機関のないような過疎地なんかではどうするのか、地域における対策も含めて考える必要があるのではないかといったようなご指摘がございました。そういうご指摘も踏まえまして、16ページの最初のパラグラフで、単独では公共交通機関を利用できないような外出を制約されている障害者につきまして移動サービスを考えていく、こういったような趣旨の記述を追加させていただいております。
 次に、17ページをごらんください。17ページの「イ 住宅等の防災対策」のところでございますが、避難するまでは書いてあるけれども、避難した後、どのように支援するのかという部分が視点として弱いといったようなご指摘もございました。そういったようなことから、「住宅等の防災対策」の第3パラグラフの部分で、避難した後の問題、避難所となる公共施設、そういったところでもきちっと支援していくということで、「避難所となる公共施設等」という言葉をつけ加えさせていただいております。
 次に、19ページの「教育・育成」の部分をごらんいただきたいと思います。この部分では、用語、言葉の使い方の問題としまして、児童生徒、児童生徒等、子どもといったような用語の使い方が不統一ではないかというようなご指摘がございましたので、そういった点を踏まえまして、小・中・高校に在籍している場合は児童生徒、これに養護学校等の幼稚部を含めた者を児童生徒等、それ以外の子ども一般をあらわす場合は子どもという形で整理させていただきました。
 また、思春期の児童生徒に対する教育現場での対応についてでございますが、「一貫した相談支援体制の整備」の2番目のパラグラフのところで「さらに、思春期の児童生徒についても、必要な支援を行なう」、こういったような記述を追加しております。
 次に、22ページをごらんください。「5 雇用・就業」でございますが、まず言葉の使い方としまして、これまでタイトルも「雇用・就労」というふうにしておりました。これに対しまして、特に視覚障害者の皆さんにつきましては、きゅう、マッサージ等を自営でやっている皆さんが多い。したがって、そういった自営で仕事をしていらっしゃる方に対する対策もわかるようにするべきではないかということで、就労という言葉に若干のあいまいさがあるものですから、ここを「雇用・就業」という形に改めさせていただいております。
 また、23ページの「イ 障害者の能力・特性に応じた職域の拡大」のところをごらんください。最初のパラグラフに記述を追加させていただいております。「また、障害者がその能力に相応しい処遇がなされ、労働条件面を含む職業生活の質の向上が図れるよう、諸条件の整備に努める」、このような記述を追加させていただきました。
 次に、24ページをごらんいただきたいと思います。「障害者の雇用・就業を行なう事業の活性化」というところでございますが、この部分で、官公需における配慮につきましては、在宅就労を行なう障害者への仕事の発注状況につきましても配慮するべきではないか、そういうことで明示すべきではないかといったようなご指摘もございましたが、この部分につきましては、さまざまな形が考えられますので、代表的な例としまして「障害者多数雇用事業所」を挙げさせていただいて、それ以外の形につきましては「等」で読むというような形で整理させていただいております。
 次の「b 総合的な支援施策の推進」のアの部分で、その次の25ページに入りますけれども、2行目に、中途障害者についての職業リハビリテーションの推進ということをつけ加えさせていただきました。これも前回の懇談会でのご意見を踏まえたものでございます。
 また、このページのその次のパラグラフにつきましては、職業リハビリテーション技法に関するパラグラフを追加いたしております。
 次に、30ページの「研究開発の推進」のところをごらんください。保健・医療の分野での研究開発の推進でございますが、この部分では、倫理的なリスク面への配慮が不可欠である、こういったようなご指摘を踏まえまして、その旨つけ加えさせていただきました。
 次に、34ページの「国際協力」の部分をごらんください。「b 障害者問題に関する国際的な取組への参加」でございますが、取組への参加の中に条約の問題も含まれることを明記するべきではないかといったようなご指摘でございまして、これも「条約」という言葉をきちっと書かせていただいております。
 次に、35ページの「推進体制等」の部分でございますが、まず、国と県、市町村の役割分担と支援についてご指摘がございました。この点につきましては、私どもとしては、現在、地方分権が推進されている、また障害者保健福祉につきましても、市町村での実施で流れができているといったようなことから、国、県、市町村それぞれの関係につきましては、連携・協力をしっかりやっていくことになるのではないかというふうに考えております。
 ただ、そういった中で、障害者基本計画の考え方をどのような形で都道府県、市町村行政に反映していくのかということにつきましては、障害者基本法で地方自治体は障害者計画を策定するように努めなければならない。義務化すべきだという非常に強いご意見もございますが、そういうふうに規定されておりまして、そういった中で地方自治体が障害者計画を策定するときには、国の基本計画を踏まえなければならないというか、基本としなければならないというふうになっております。そういったようなことで、都道府県、市町村それぞれの障害者計画におきましては、国の基本計画を基本として策定推進がなされるのではないかというふうに考えております。
 「4 必要な法制的整備」につきましては、先ほど座長の方からお話があったとおりでございます。政府としてこういう計画に法律改正に及ぶようなことを明記するというのは大変難しいわけでございますが、座長の方ともご相談させていただきまして、かつまた関係省庁とも相談しまして、このような表現とさせていただければということでございます。
 なお、人権問題についていろんなご指摘があったわけでございますが、人権問題につきましてはこの基本計画すべてに共通したテーマであります。非常に重要な要素ではないかというふうに考えておりますが、そういった性格上、最初の「基本的な方針」の「考え方」の部分で言及させていただいております。そのようなことでご理解いただければと思います。
 そのほか、今回は、片仮名語につきましては括弧書きでできるだけ日本語の注釈をつけるということ、また全体として細かな用語の適正化、文章の適正化をしております。そういうことで、若干細部にわたって異なる点があろうかと思いますが、内容、趣旨においては変わっておりませんので、ご理解をいただければと思います。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 ただいま内閣府米田副大臣がお見えになりましたので、ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○米田副大臣 ご紹介賜りました内閣府副大臣の米田でございます。懇談会の委員の諸先生には、我が国の障害者施策に関しまして常日ごろ大変貴重なご意見をちょうだいし、深く感謝申し上げるところでございます。
 また、本日は今後の障害者施策にかかわる重要な基本計画の取りまとめということでもございまして、先生方のご見識に基づく貴重なご意見を承り、政府としても今後一層の努力をしてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

○京極座長 ありがとうございました。
 吉冨参事官から大変詳しい説明がありましたが、きょうは最終回となりますので、原則的に各委員に一言ずつご発言いただきたいと思っています。
 用語の問題に関しましては、案が承認された段階で、一般国民がわかりやすい辞典じゃないけれども、報告書の後に、本報告で使われている用語について簡単なコメントをつけないとわからない。さっきのびわこミレニアムもそうですが、そういうのも見てもわからない。障害者団体、関係者は常識なんですけれども、一般の人は知らないですから、それは別途説明を加える。本文に加えると長くなりますので、本文の外に用語解説みたいなことを出せば、関係団体で報告書を読むときにも非常に参考になると思いますので、そういう点は技術的に解決させていただきたいと思います。
 最終回ということなので、大変恐縮ですけれども、全員発言ということでございますので、安藤委員からお話しいただければ幸いです。

○安藤委員 安藤でございます。今、吉冨参事官の報告を聞きながら思ったことは、教科書的な書き方にならざるを得ないということで、包括的な意味では、先ほど座長から出ましたように、90%意見が取り入れられているような見方も可能です。ただ、個々の具体的な問題となると、それが見えてこないというような考え方も出てくるわけです。国の基本計画というものは全国の都道府県、市町村のモデルになるもので、基本計画の持つ具体的な意味というものを検討していく必要があるわけです。したがって、今、吉冨参事官が言われた個々の文章の持つ意味というものをきちんと解説していくにつれて、全国の都道府県、市町村に徹底するような努力が必要になると思います。それが第1点です。
 2つ目は、この懇談会のイメージとして、基本的な方向が確認されて、それをもとにした障害者プランというものは、懇談会の中の皆さんの意見が反映されるものとしてまとめられるんじゃないかと思っていたわけです。ただ、障害者プランというものは、数値目標が要るし、財源問題もあるので、私の意見というものが反映しにくいという事情も理解できますけれども、この基本計画が閣議決定されて障害者プランとなったときに、私たちの意見、またニーズというものはどのような形でまとめられるのか。全くそれは関係なくて、障害者プランは行政の枠内で決定されるものなのか、またこれからのプログラムでいつごろ出されるのか、それを確認したいと思います。よろしくお願いします。
 この2点です。

○吉冨参事官 まず、基本計画の内容についてきちっと説明したものをつけるべきではないかというようなご指摘でありますが、私どもとしても、この基本計画の趣旨、さらには内容につきましては都道府県に対しまして説明をしていきたいというふうに考えております。
 あと、障害者プランについて今後どういったようなスケジュールで決まっていくのかということでございますが、私どもとしては、この基本計画の策定とほぼ同じような時期にできればというふうに考えております。
 以上です。

○京極座長 私の印象なんですけれども、前回の障害者基本計画は今年度で終わるんですが、ノーマライゼーション7ヵ年計画も今年度終わるんですけれども、障害者基本計画と7ヵ年計画は整合性があったかどうかというと、今から考えますと、ないとも言えないんですが、やや木に竹を接ぐ感があったという印象を持っています。
 今度の計画は、早く閣議で決まりますと、今、各省でやっている障害者プランに弾みがつくんじゃないか。つまり、これは私の期待でありますけれども、幹に枝がつくというような形で障害者プランができれば一番いい。ただし、最終的なもっと小さな枝というのは市町村になりますので、市町村がこの基本計画のどこの場所をうちは特にやりたいかというときに、これしなさい、あれしなさいということは今の段階ではなかなか言えない。法的にも努力目標ですから、自分たちの町ではこういうことをやりたい、市ではどうしたい、そういう性格がございますので、そのあたりがあるんじゃないかと思っています。余りそれを言ってもしようがない。

○安藤委員 関連していいですか。

○京極座長 どうぞ。

○安藤委員 障害者プランの問題については、前回の委員会のときに、行政でプロジェクトをつくって検討するというお話があったわけです。具体的に行政の中のプロジェクトチームで研究開発が進んでいるのではないかと思いますけれども、その内容、方向について私たちとしては全くタッチできないのか、それが出るまで私たちは待たなくてはならないのか、確認が欲しいということですけど。

○吉冨参事官 障害者プランにつきましては、これまでの懇談会でいろんなご意見をいただく中で、私の方からも申し上げましたけれども、基本計画で反映できるような内容と、障害者プランで反映すべきもの、いろいろございます。私どもとしては、障害者プランについてのご意見もこれまで再三にわたってお聞かせいただいてきた、基本的にはそのように考えております。
 一方で、障害者プランの策定プロセス、作業状況でございますけれども、現在、来年度の予算編成も絡みまして、各省で真剣に検討していただいているところでございます。そういうことで、この基本計画がほぼ固まったところで、私どもとしては、障害者プランの策定作業に着手して、できるだけ早くまとめたい、このように考えているわけでございます。ただ、障害者プランは、どういたしましても予算編成過程と絡んで進んでまいりますので、その辺、スケジュール的にはかなり厳しいものになるんじゃないかなというふうに思っております。

○京極座長 それでは、池末委員。

○池末委員 全国精神障害者家族会連合会の池末です。
 重点的に取り組むべき課題の3、ページでいうと6ページ目に「精神障害者施策の総合的な取組」ということが掲げられています。その中で、「保健・医療、福祉等関連施策の総合的かつ計画的な……」ということで、精神障害者の課題というのは非常に幅広く、膨大なものなんですけれども、私はその中で一点、社会的入院の解消、入院中心から地域生活支援へということに絞って発言してきました。
 この問題について障害者プランの中で具体的な数値目標をしっかりと書き込んで、ぜひ実現していっていただきたい。そのことが総合的な施策の推進と非常に関連する、そこの部分ができなければ総合的な施策の推進も広がっていかない、そういうふうに思っています。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございます。
 厚生労働省の社会保障審議会障害者部会で、池末委員のおっしゃったことは重点的に取り組んでいまして、34万人の入院者を7万人解消させるというだけではなくて、34万人の中でも、いわゆる病院的な生活でなくて、中間施設みたいな形にすることもできるんじゃないかと私の方から問題提起しております。これは検討する場がきちっとございますので、そこで反映していただければと思います。
 雄谷委員、お願いします。

○雄谷委員 12ページ、「施設の在り方の見直し」というところで、「入所施設は、地域の実情を踏まえて、真に必要なものに限定する」という文章がございます。何が真実で、何が虚であるかわかりませんが、この表現というのは、必要がないのに施設が存在したかの印象を私は受けます。「真に必要なもの」というのはどうも納得しかねる表現でありまして、これは否定的な文章でありますが、必要なものについては逆に整備するというプラス思考の表現に変更できないものかということが1つであります。
 もう一つは、この問題の中で、いわゆる地域でという問題があります。例えば、支援費の問題は、来年4月1日からでありますが、その認定作業が始まります。そうすると、市町村の格差が非常に大きくて、3段階でも混乱が起こっています。市町村は、なるべく認定を軽くして、負担を逃れようという傾向であります。ですから、市町村格差が起こらないような表現をこの文章の中に挿入していただきたい。
 どこが適当であるかを考えておるんですが、13ページの「入所者の……施設の一層の小規模化・個室化を図るとともに、市町村格差の是正」、これを努力目標というか、そういうふうに挿入していただけないものかという要望であります。
 以上です。

○京極座長 これはちょっと検討させていただいて、趣旨に合うように努力したいと思います。

○吉冨参事官 ただいまのご指摘でありますが、私どもとしては、「真に必要なものに限定する」という文については、決して施設を否定しているという考え方ではございません。必要なものはつくるという考え方でございまして、先ほど全体の資料のご説明の中で申し上げましたが、これまで障害者は施設という考え方が一部にあったことは否定できない。特に知的障害の皆さんについてそういうようなことが言われたかもしれませんが、そういった方が地域で生活できる基盤を整備して、地域で生活できるようにする、それが最優先ではないか。そういった中で、どうしても施設に入ることが必要な方、そういった方につきましては施設は当然必要なわけでございまして、そういったことをここに書いてございます。
 もう一度繰り返しますけれども、13ページの最後のところで、施設に入所していらっしゃる方につきましては、生活の質の向上を図る観点から対応していこう、こういうようなことでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、市町村格差、地方自治体の間の格差の是正ということにつきましては、全体に共通する話でございますので、35ページの「推進体制等」のところにございますが、「全国的に均衡あるサービス水準の実現を図るため、地方公共団体との連携を図る」ということで記述させていただいております。

○京極座長 河端委員は大分発言されていますので、少な目に。

○河端委員 大変見直しをしていただきまして新しく入れていただいたりして、ほんとに大変だったんじゃないかなと思います。いろいろありがとうございます。
 誤字のことについてですけれども、思春期の問題なんですが、教育の方で、19ページの(2)aの2番目に「思春期の児童生徒」、児童生徒と書いてあるんですね。しかしながら、30ページの「ア 心の健康づくり」、3番目の項目の中では「児童思春期」、生徒が抜けているんですね。前に児童生徒と書いてございますので、これも児童生徒、まして思春期の場合は生徒の方が多いんですよね。
 思春期という言葉を使っていただいたことは大変よかったと私、思っています。というのは、保護者は、「精神的に疾患がある」と言われますと、ぎくっときちゃうんですよね。ですけれども、「思春期の一つの症状なんですよ」と言われますと、あ、そうかなと納得できるんですね。ですから、思春期という言葉を入れていただいたこと、大変よかったと思っています。
 あとは、先ほどお話しいただきました35ページの「必要な法制的整備」、これはほんとにやっていただきたい。
 それから、障害者プランは数値目標が出ますから、数値目標につきましては大変期待しておりますから、よろしくどうぞお願いしたいと思います。
 さらに、先ほど精神障害者の問題で、社会的入院の解消という言葉が池末委員からございましたけれども、私たちもそれに全く同感でございますから、解消を極力お願いしたいと思います。
 以上でございます。

○京極座長 それでは、北浦委員、お願いします。

○北浦委員 全国重症心身障害児を守る会の北浦でございます。事務方の皆様には大変なご苦労をおかけしたと思いますけれども、基本計画がまとまって、大変ありがたいと思っております。
 特に考え方として、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の実現、これが一番大きな目標だと思います。これをするための考え方をここへ載せてくださっていますが、これは各団体が細かい要求をするよりもっと大きなものですので、それを受けとめて、私どもは、関係のある各省と連携を密にして、これの具体化に努力していきたい。
 バリアフリーというのは、建物とか、そういうふうに社会全体、エレベーターができたとかなんとか、そういう意味では形となってあらわれていますけれども、一番大事なのは心のバリアフリーを取るということだと思います。そうした意味で、関係ある私どもの姿勢も大切なことではないかと改めて思わせていただきました。
 いろいろありがとうございます。

○京極座長 どうもありがとうございました。
 兒玉委員、お願いします。

○兒玉委員 日身連の兒玉でございます。4つばかりお願いなど、訂正できればと思ってお話しさせていただきます。
 まず、12ページでございます。この中で、ジョブコーチ事業というのを取り上げております。その中におきまして、精神障害者の場合のジョブコーチにつきましては、私どもといたしましては医療機関の参加を必ずつけていただきたい。といいますのは、いろいろな問題がございますが、ジョブコーチそのものの中で、精神障害者の皆さん方の医療面について非常に疎いというような観点がございまして、すぐ退職してしまうとかということがございますので、ぜひそれを強調したいと思っております。
 それから、13ページでございます。「日本障害者スポーツ協会を中心として障害者スポーツの振興を進める」ということが書かれておりまして、それで結構だと思うのでございますが、特に障害者のスポーツにつきましては、身体、聴覚、視覚、知的、精神の当事者団体の競技はばらばらとなっておりますので、ぜひ当事者団体を必ず参加させていただきまして、きちんとしたスポーツの振興を図るようにお願いしたいと思っております。
 それから、26ページでございますが、「教育訓練ソフトをインターネットを通じて配信し、在宅でも……遠隔訓練システムを開発し」、こういうようなことが書いてございますが、在宅の障害者がITのイロハに取り組むための前段が抜けているのではないかと思っております。まずイロハから教えるということをみんな期待しておりますので、その辺につきましては、インターネットでいきなり配信しても、それを受ける障害者自身がイロハがわからないということがないようにご配慮いただきたい、そういうふうに思っております。
 それから、福祉用具について書かれてございますが、ご承知のように、福祉用具の開発につきましては日進月歩でございまして、毎年行なわれております福祉機器の展示会を見ましても、どんどん新しい機器ができております。ぜひ国におきましても、福祉機器のセンター、そういうようなものをきちんとつくっていただきたい。広く障害者が、自分の障害を補完する意味において、これをつければ社会参加、自立ができる。国においてきちんと一大拠点をつくっていただきたい、そういうお願いでございます。
 また、全日本障害者センターなど、堺にございます施設と同じように東京にも、当事者本人の活動を中心とした障害者団体への支援策をまずお考えいただきたい、そんなことを考えておりまして、要望としてお願いいたします。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 それでは、笹川委員、お願いします。

○笹川委員 私は、先ほどの安藤委員と重複するんですけれども、前回の懇談会でも数値目標はどうなっているのかというようなことをお尋ねしました。先ほどのご説明を伺っていますと、障害者プランの方もどんどん進行していて、来年度予算に伴うものが多いから、かなり具体化されているということでございます。
 私は、今まで基本計画に対する意見は述べてきましたけれども、障害者プランとなると、具体策ですから、まだまだ出すことがたくさんあるんですが、来年度予算の原案が決まるのは大体年末でしょう。それまでに出して、具体的に組み込まれるものなのかどうか。できたら、厚生労働省の方でまとめておられるということですから、今の作業状況、恐らく原案ぐらいはできていると思いますので、そういったものを示していただきたい、そして私たちがそれに発言できるような状況にしていただきたい、そのように思います。
 以上です。

○京極座長 清野委員、お願いします。

○清野委員 冒頭申し上げましたが、多方面のご意見をここまでまとめてこられた座長を始め事務局の方々に敬意を表したいと思います。
 あとは、結局は予算といいますか、お金が非常に大きな問題になると思いますので、予算の問題等に裏づけをいただきながら、具体案を詰めていただければと思います。
 以上です。

○京極座長 鶴岡委員、市町村を代表して。

○鶴岡委員 忙しくてほとんど出られなくて、ほんとに申しわけございませんでした。各委員の皆さんのご努力で計画案がまとまりまして、心から敬意を表する次第でございます。
 私、前に一回発言したと思いますけれども、今、市町村の間には、財政力からしても、いろんな意味で差があります。ですから、すべての行政について差が出ています。今、国の大きな流れは、地方分権の時代にその差を認めていこう、小泉改革の中ではこういう大きな流れがあらゆる面で出ているわけです。福祉も、そういう流れの中で均一にということをやるとすると、無理があるんじゃないか。小さい団体と大きな団体、財政力の豊かな団体と小さい団体ではおのずから差が出てしまう、これをとめるということはまずできない。それを障害者の団体の人たちも――それぞれの市町村はその中でできる最善を尽くしますけれども、最善を尽くした結果として、生活保護のように全国一律というふうにはいかないんじゃないだろうかなという危惧というか、そういう実態にあるということをご理解いただきたいと思います。
 それから、先ほど支援費制度のことで話がありましたが、今、千葉市でもやっていますけれども、少なくとも費用を安くしようという関係から準備作業をやっている市町村はどこにもないと思う、ぜひその誤解は解いていただきたいと思います。担当者は大変な苦労をしながら今、やっておると思います。
 それから、障害者プランをこれからつくられるということで、大蔵省の人もこのメンバーに入っているということですけれども、県も市町村も財政事情は厳しい、国も厳しいわけですから、10年というスパンの中でやっていくわけで、そのうちには景気もよくなるときもあると思うし、大きな意味の税制改正が行なわれるかもしれません。そういう中で、地方公共団体がついていけるような足が地に着いた障害者プランをつくっていただきたい。来年1年で決まるのではないわけですから、5年なら5年を見ながら、年次的に……。今、どの自治体もバリアフリーとかユニバーサルデザインというのは必死になってやっていますから、その中で実現可能なプランをぜひつくっていただきたい。
 以上です。

○京極座長 比留川委員。

○比留川委員 全体の感想といたしましては、障害者にとって重要な課題を実態に即してよく掘り下げられて、その課題に対して実効性の期待できる取り組み、こういったものがわかりやすく表現されているなというふうに思います。
 私どもの業界としましても、特にITが障害者のコミュニケーションの確保あるいは自立、社会参画にとって非常に重要な役割を果たすという認識を持っておりますので、こういった懇談会の検討を踏まえて、さらに一層障害者の方の電気通信へのアクセスビリティー、円滑に電気通信設備を使えるようなアクセスビリティーを高めることに努めていきたいなと思っています。
 一点、5ページ目のところなんですが、全体を通してもこういうふうに言っていますが、「IT革命への対応」というところ、ITというのは、確かに働く能力を引き出し、経済的自立を促す効果が大変大きいことはそのとおりです。ITの役割というのは、先ほどのコミュニケーションの確保、社会参加の面でも大変大きな役割を持っております。ほかでそういう部分について触れているところがあるかなと思ったところ、余りないような感じもしましたので、ITというものの持つ役割をもう少し広くとらえることができるんじゃないかなと思っております。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございます。細村委員、お願いいたします。

○細村委員 細村でございます。私、障害のある子供の教育が専門でございます。
 障害のある子供の教育につきましては、昭和54年度から養護学校教育が義務化されて、すべての障害のある子供に教育を受ける権利が保障された、制度的に障害児教育の義務制が完成しております。それから二十数年たちまして、その間に世界の障害者をめぐる考え方等に変化が起こっております。すなわち、ノーマライゼーションの理念の普及ということで、我が国の障害児の教育も、この動向を踏まえまして現在、大きな改革期にございます。恐らく数年後にはこれまでとは違った変革が起こるのではないか、こんなふうに予想しております。
 こうした動向を障害者基本計画は踏まえておりまして、細かな事項がまだたくさんございますが、大きな方向性を示しているものとして適当であると考えております。今後、基本的方向を踏まえて、この方向を推進する具体的な障害者プランが作成されることを期待しております。
 最後に、この計画をまとめるに当たりましてご尽力いただきました座長を始め事務局の方々に御礼申し上げます。ありがとうございました。

○京極座長 ありがとうございます。
 松友委員、一番先に発言がありましたが、あいうえお順になりましたので。

○松友委員 皆様がおっしゃるように、ほんとにご苦労いただいて、大きい流れとしてはすばらしい計画ではないだろうか。
 特に私たち知的障害の分野からいいますと、本人諸君、私たちの子供が委員として参画できないということを私を含めて厳しく言われておりまして、それを念頭にこの案を見させていただきますと、私の理解では、明確に地域福祉の充実、地域福祉を主体とした方向性が打ち出されたというふうに理解しております。ですので、ぜひ障害者プランあるいは現在進行中の来年度予算について、それが数値あるいは予算としてあらわれることをこれからの作業としてお願いしたい、これが第1点であります。
 第2点は、であるとしたら、ある面では言葉の問題ですが、枠組み、参考資料の中で初めて、ミレニアムフレームワークの中の理念の「インクルーシブなバリアフリー」というところが日本語に直されています。バリアフリーならこれでよろしいかもわかりませんが、何ゆえにバリアフリーの前に「インクルーシブな」という言葉がついたか。インクルーシブ・アンド・バリアフリーだと思いますが、これはインクルージョンという基本的な理念、戦略を取り入れているわけであって、これを単純に「全ての人のための」と訳するのは誤訳だと思います。ノーマライゼーションとか3つほど用語がありますから、ぜひそこの中にインクルージョンというのを入れていただきたいと思います。
 バリアフリーというのは、書かれているように障壁をなくすだけ、力のない人は、障壁をなくされても前に行けないわけです。明らかに後ろから押さなきゃいけないということを含めた援助つきの非排除ということであって、そのあたりが明確に出てくるサポートというのがないと。バリアだけなくなって、あとはやれということではない。インクルーシブ・アンド・バリアフリーのインクルーシブというところをぜひ入れてほしい、そうでないと教育分野で混乱が起こると思います。
 つまり、このままでいくとインテグレーションと誤解して、あるいは意図的に誤解する方もいますから、インクルーシブは違うということを含めて、日本語に直されるのは大いに結構であって賛成ですが、これはこのまま使われますから、訳と説明についてはぜひ再検討いただきたい。
 2点であります。よろしくお願いします。ありがとうございました。

○京極座長 ありがとうございました。丸山委員、お願いします。

○丸山委員 丸山です。2つ申し上げたいと思います。
 この計画は新しい時代の計画である、新しい観点を入れるということについて最初に話がありました。何が新しいかと考えておりますが、今、松友さんが言われたように、ノーマライゼーションという言葉をようやく具体的に示すことができた、そこが新しいと思っています。それは施設、病院から地域へという言葉にあらわれていると思っておりまして、この計画はこれを強力に進めることが必要だというふうに考えております。
 そういう意味で、この会に精神障害の人に来ていただいて、話を聞く機会がありました。そのときに一番アピールされたのは、地域に生きるのは自分たちの権利として認めてほしい、そういう言葉であったと思います。この計画はここが一番ポイントの計画だというふうに思われます。2ページ目の考え方、2つ目のフレーズで、「共生社会……あらゆる活動に参加、参画するとともに、社会の一員としてその責任を分担する」とありますが、これが実現するのが計画の一番大事なところだと思います。
 今の日本の現状は、先ほど7万2,000人ですか、数字が出まして、まだ社会的入院があるとか、多くの知的障害の人は施設に入所しているとか、そういう状況を一刻も早く解消すべきだというふうに考えます。そういう意味では、この段落にぜひこういう言葉をつけてもらいたいと思います。「多くの障害のある国民が今なお地域社会に参画できない状況は直ちに解消すべき重大な課題である」、そういう認識を考え方の中に入れるべきだというふうに考えます。それが1つ目です。
 2つ目は、リハビリテーションということが理念としてうたわれておりまして、何度も使われてまいります。後ろの方でリハビリテーションの説明が明確にされております。これは国連のリハビリテーションの定義とほぼ同じものでありまして、日本は、50年前からリハビリテーションを導入しながら、技術だけ導入して、考え方を導入しておりませんでした。したがって、これが復権であるということについて国民の理解はなくて、機能訓練というふうにとらえて、非常に残念なことでありますが、ことしのアフガンの復興会議がリハビリテーション会議と言われるように、復興を意味する言葉であるということについてもう一度理解するべきだと思っております。
 ざっと見ますと、三十何ページの文章の中に18ヵ所近くリハビリテーションが出てきます。そのくらい出てきますが、医学的なリハビリテーションということに偏重した書き方がされております。ですから、そうじゃなくて、リハビリテーションというのは社会的に総合したサービスのことを言っているのでありますので、医学的リハビリテーションという言葉はできるだけ避けた方がいいと思っています。特に5ページ、20ページ、29ページ、31ページの「医学的リハビリテーション」という言葉は「リハビリテーション」と置きかえた方がいいと考えています。
 以上であります。

○京極座長 貴重なご意見ですけれども、リハビリテーションについては、厚生労働省の中でも、この報告書をつくるに当たって相当検討しております。特に山内先生はお医者さんではなくて工学者ですけれども、きょうご欠席ですが、山内委員のご意見を踏まえてまとめました。
 リハビリテーションの広い理念というものと、リハビリテーション医療とか医学的リハビリテーションという具体的なもの、それからリハビリテーションシステム、この3つの概念がリハビリテーションにはあるので、いつの場所でもリハビリテーションと書くと、どのフレーズのリハビリテーションかというのがわかりにくいので、意識的に医学リハと書き分けたり、医療と医学的リハビリテーションという言い方をしたり、職業リハビリテーションと限定したり、いろいろ使い分けていまして、再検討したいと思います。

○丸山委員 おっしゃる意味はわかりますが、私が危惧するのは、リハビリテーションは医学的なサービスにとどまってはだめなのでありまして、社会参加するためのサービスが必要、そのためのサービスがリハビリテーションサービスですから、医学的と書いてしまったら、そこで限定されるので、職業や社会参加できるいろんな技術、そういうものに参加するためのサービスが必要なので、医学的というふうに限定されることを恐れております。

○吉冨参事官 ちょっとご説明させていただきますけれども、注にリハビリテーションという言葉についての解説をつけましたのは、2ページにございますように、今回の基本計画は、これまでの新長期計画で理念としておりましたリハビリテーションとノーマライゼーションという考え方を継承しておるわけでございます。したがって、リハビリテーション、ノーマライゼーションという理念は、新基本計画でも全体にわたって有効な考え方であるというふうに考えております。そういった意味で、リハビリテーションという理念、考え方はすべての分野に共通したものであるというふうに考えておりまして、リハビリテーションという言葉が出てこないから、そうではないということでは決してございません。

○京極座長 村上委員、お願いします。

○村上委員 冒頭申し上げたこととのダブりは避けたいと思いますが、「検討する」という言葉がやたらに出てくるんですね。官庁用語で、「検討する」というのはやらないということだというふうに私はこれまで思っているわけであります。しかも、10年の計画で、検討を10年されたのでは、とてもじゃないけれども、世の中、全然変化しちゃって、また検討しなきゃいけない、検討検討がずうっと続くだろうと思います。検討して、やることはやるよと。「検討する」で語尾を結ばれますと、10年間検討するんですか、だからやらないということになってしまうわけで、そこはぜひお願いしておきたいと思うわけであります。
 それから、多くの委員から出されましたこの場で出た意見は、障害者プランの中でぜひ生かしていただきたいということを最後に要請しておきたい。
 以上であります。

○京極座長 ありがとうございました。谷中委員。

○谷中委員 谷中です。私は、精神障害者の社会参加のために三十数年活動してまいり、十数年、全国の精神障害者社会復帰施設協会を組織化し、今日まで来ています。
 今回の計画において、精神障害者もようやく仲間入りができたのかなと。基本的には人権ということがベースにあって、相談のとり口としてはケアマネ、三者合同で、これを市町村が主体になって行なっていく、さらに生活支援ということがはっきりうたわれて、居宅生活支援事業の主体は市町村にある。私は、これらのこと、今までのことを振り返って考えますと、随分進んできたな、いよいよ精神障害者もまちの中で暮らせる、そういう体制づくりができてきたのかなというふうに受けとめて、このことを評価したいと思います。
 ただし、私どもの進めてきた歴史を振り返ってみますと、公衆衛生審議会における精神保健部会のテーマソングは、精神病院から社会復帰施設へ、さらには地域の中へということです。このことを振り返ってみますと、残念ながらまだ移行段階です。器をつくって、精神病院の中から地域に移すべく、いってみれば社会復帰施設を一つの受け皿にしている、私はこれを早く終わりにしなきゃいけないというふうに思っています。各委員に触れていただきましたように、7万2,000人の社会的な理由、すなわち何らかのケアがあればまちで暮らすことのできる方々が、今は病院の中に抱え込まれているという現状を一刻も早く解消するということだと思います。
 ここでは触れられませんが、精神科のベッドを削減して、まちに生きることができるような生活支援システムというものを構築していくということ、これが重大な戦略だというふうに思っておりますが、これは皆さんも触れているような障害者プランの方に具体的にはね返っていくことだろうというふうに思っております。
 もう一つ重要なことは、精神障害の問題だけではございません。すべての障害の方々が施設から出て、町中で暮らせるというノーマライゼーションの理念というものを具現化することの第一歩だというふうに受けとめております。
 それから、先ほどリハビリテーションのことも出ましたが、リハビリテーションについての解釈は大変広いものがあると思いますが、私も一言触れておきたいのは、やはり復権です。もう一度人として生きる、自尊心を回復することへの手助け、これがリハビリテーションプログラムの中の基本だというふうに思っておりますし、そのことは生活支援の方に引き継がれて、先ほど丸山委員の言われたことと全く同じなんですが、精神障害者ができる限り地域で生活できる。今は移行段階ですから、これでいくしかないだろうと私は思っていますが、このあたりは、将来的に生きる権利がある、復権をきちっと保障するということの考え方、裏づけを持たなきゃいけないというふうに思います。
 例えば、バンクーバーでは、重篤の精神障害者もまちで生きる権利があるということを市の憲章にうたっております。これはまれなことと言えばまれなことかもしれませんが、私たちも障害者全体の問題として、地域の中でどう支え合って生きていくか。前にもちょっと申しましたが、これは単に精神障害者がまちに住むことを可能にするということだけではございません。健康な私たちも、彼らとともにまちづくりを進めていくことによって活性化され、より生きがいを持った生き方ができるということが中心的なテーマではないかというふうに思っております。
 現段階におきましては、まだまだマンパワー、支える人がどうも十分でない。ですから、人的養成をしつつ、もう一方で、それらの受け皿としてのさまざまな活動と一体化させないと、理念だけが先行して、実態は絵にかいたもちのようになってしまうというふうに思われます。でも、私はこれがノーマライゼーションの理念を具現化する第一歩ではなかろうかと思いますので、市町村が中心に役割を展開して、先ほどお話がありましたように温度差が生じるのはやむを得ないとは思っておりますが、国は市町村をサポートしてこれを推進していただきたいし、障害者プランにこれを具体的な形としてあらわしていただきたいということをお願いする次第です。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 委員からいただいたご意見は座長責任で最終的にまとめさせていただきます。
 最後に、副大臣からごあいさつをいただきます。

○米田副大臣 京極座長を始め委員の皆様方におかれましては、まことに貴重なご意見をちょうだいし、ありがとうございました。
 内閣府といたしましては、本日ご説明いたしました案でございますが、これにさらに必要な検討を加えまして、政府部内での調整を図らせていただきます。そして、12月中には閣議決定をしたいというふうに考えております。また、新しい障害者基本計画の前期5年間の重点施策、実施計画でもございます新障害者プランにつきましても、新基本計画案の閣議決定と同時期に策定するべく、政府の障害者施策推進本部において検討作業を進めたいというふうに考えております。
 政府といたしましては、新基本計画案にあります国民誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の考え方に立ちまして、社会のバリアフリー化や利用者本位の支援といった4つの視点と、また活動に参加するための基盤の整備や精神障害者施策の総合的な取り組みといった4つの重点課題を踏まえまして、各般の施策を推進したいというふうに考えております。
 今後とも我が国の障害者施策の推進のため皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。ほんとに長い間ありがとうございました。

○京極座長 それでは、時間も参りましたので、新しい障害者基本計画に関する懇談会はこれで終了したいと思います。委員の皆様、大変難しい問題、また厳しい財政状況の中で積極的なご発言をいただきました。この10年、胸を張っていい計画ができたというところまで100%いくかどうかわかりませんけれども、当初の素案と比較いたしてみますと、相当な盛り込みができたというふうに座長としても思っております。
 委員の皆様、大変ご苦労さまでした。

午前11時49分閉会