障害者差別解消法に基づく対応要領改定案及び対応指針改定案に関する合同ヒアリング 議事概要(5月10日)
経済産業省
- 日時:令和5年5月10日(水)16:30~17:30
- 場所:中央合同庁舎8号館1階講堂(Webex会議併用)
- 出席団体:
- 日本身体障害者団体連合会、全日本ろうあ連盟、日本難病・疾病団体協議会、
全国脊髄損傷者連合会、全国盲ろう者協会、全国肢体不自由児者父母の会連合会、
全国精神保健福祉会連合会、DPI日本会議、日本視覚障害者団体連合、
全国手をつなぐ育成会連合会、日本発達障害ネットワーク、
全国重症心身障害児(者)を守る会
出席省庁等:
- 経済産業省経済産業政策局経済社会政策室、経済産業省大臣官房秘書課、
- 経済産業省大臣官房厚生企画室、独立行政法人経済産業研究所(RIETI)、
- 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)、
- 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)、独立行政法人情報推進機構(IPA)、
- 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)、
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、
- 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)、株式会社日本貿易保険(NEXT)
- 議事概要
- (1)
- 開会・議事と資料の確認及び挨拶
- (2)
- 対応要領改正案について説明
- 経済産業省職員における対応要領改正案について配布資料に基づき説明が行われた。
経済産業省所管の独立行政法人等の職員における対応要領案について配布資料に基づき、経済産業省の対応要領案と異なる点を中心に説明が行われた。
- (3)
- 意見交換
- 経済産業省からの説明を踏まえ、概ね以下のようなご指摘をいただいた。
- 基本方針には「環境整備」と「合理的配慮」の両輪が必要と示されている。例えば、聴覚に障害のある人は、動画の手話や文字の字幕があって初めて情報の獲得ができる。「環境整備」を対応要領にも明記してほしい。また、予算の制約により手話通訳や字幕を付けられず、情報保障について断ることがないように指令を出してほしい。
- 「望ましい」という記載がいくつかあった。「望ましい」はやらないという逃げの言い方というニュアンスが含まれている印象を受ける。「やる」という強い文言にしていただきたい。
- 合理的配慮は一方的に提供されるものではない。提供を受ける側の当事者が納得できる配慮が必要。例えば、手話が必要な人もいれば筆談が必要な人もおり、人によって様々な合理的配慮がある。対等な立場で情報保障が得られることを前提に建設的対話をしていただきたい。
- 対応要領の中で視覚障害者という言い回しがあるが、視覚に障害がある人は盲ろう者(視覚と聴覚の両方に障害のある人)にも当てはまる。対応要領9ページ目の災害時に関する例の中で「聴覚障害者に対し」を「聴覚障害者・盲ろう者に対し」か「聴覚に障害のある人に対し」といった記載をするのがいいのではないか。
- 盲ろう者のニーズに合わせる形の支援者もいる。対応要領11ページにおける障害のある委員の理解を援助する者及びコミュニケーションを支援する者として、手話通訳者・要約筆記者に加えて、「盲ろう者向け通訳介助者」という文言を入れていただきたい。
- (4)
- 対応指針改正案について説明
- 経済産業省所管事業分野における対応指針改正案について配付資料に基づき説明が行われた。
- (5)
- 意見交換
- 経済産業省からの説明を踏まえ、概ね以下のようなご指摘をいただいた。
- 対応要領及び対応指針ともに経産省独自のオリジナリティがあって素晴らしい。特にヒアリングで事例を集めた上で改訂することは素晴らしい。福祉を専門とする省庁並みに対応に踏み込んでいただいて大変ありがたい。
- 経産省の業所管分野は幅広い。百貨店、コンビニ、カラオケボックスなど日常的に障害者が利用する分野だけでも、様々な接客シーン、対応シーンが想定される業分野を所管されている。その意味で一つ一つの業分野に引きつけて考えた時に接客シーンをもう少しイメージできるものが入るとよい。例えば、厚労省は業分野を限定して対応指針を作成している。接客シーンの違いで整理できるなら今回に限らず、次回以降も見直しがあると思うため検討いただきたい。
- 知的障害発達分野でいうと、例えばカラオケボックスのような席を選ぶ場所では、ざわついた出入り口付近ではなく、奥のスペースを障害のある人が希望した時、空いていれば席の選択の自由度を高めてもらうとか、買い物をする場面で具体物を見て選択ができることが文字情報だけで判断できない特性に配慮いただくなどがある。障害が中程度の人は一人で買い物に行くが、後ろに数人待っている場合、慌てないように横にずれていただき、ゆっくり計算できるよう会計上の配慮を行うなど、接客シーンに引きつけてイメージできるものにしていただくとなおよい。
- 対応指針P18「オンラインセミナー」に関する記載について、聞こえない人の場合には手話が必要になる。手話が第一言語の方にとっては手話通訳等が必要なため、配慮をお願いしたい。
- 対応指針p20「緊急時の対応」について、聞こえない人の場合は、館内放送や避難放送が聞こえず、電光掲示板等の文字も長いとじっと見ている余裕がないので、文字を見てすぐ分かるような文字情報の工夫が必要になる。そのあたりも含めて訓練をしていただきたい。
- 障害をもって暮らしているといろいろな店や施設利用を拒否されることが多くある。例えばテーマパークのアトラクション等で車椅子の方が「一番端の席は無理です」と場所を制限されたり、電動車いすに乗るとき「非常時の配慮が出来ない」と言われ、他の人と平等に施設やアトラクションを利用できない事例がある。そのため、対応指針のp16に「漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否すること」とあるが、「又は制限すること」という文言を追記してほしい。車椅子、電動車椅子でも他のお客様とぶつかり危ないからという漠然とした理由で制限されることが多く、入店拒否になるケースも多いため、なんらかの形で指針に反映をお願いしたい。
- ガソリンスタンドの記載について、改正前よりも後退しているように思う。要望があった場合は安全確保を前提として、給油補助を行うというシンプルに記載をしてほしい。アメリカではガソリンスタンドでも車椅子ユーザーは店員が給油しますという形できちんと貼り紙が掲示されている。そういう形でセルフスタンドでも使えるような形の改定をお願いしたい。
- また、電話リレーサービスの例についても、これまで一部のクレジットカード会社や通販会社などでは、本人確認をしないといけないため電話リレーサービスを認めてこなかったというケースがあるため、改めて徹底していただくようにお願いしたい。
- 対応指針、要領ともに具体例を箇条書きする場合には、下から三つ目などと言われるとスムーズに分からないこともあり、具体例等を箇条書きにする場合は例えば「例1、例2、例3」のように番号を振ってほしい。
- 障害特性について踏み込んで書いていただいたのは良いが、盲ろう者は視覚障害、聴覚障害を併せ持つ人のことをいい、「盲ろう者」という障害についてもニーズと特徴があるのでp14に「盲ろう者」についても書き加えてほしい。例えば、厚労省では、福祉事業者向けガイドラインの中で障害種別ごとの特性と対応の例が書いてあるので参考にすると良い。障害種別が一つではない者も多くいるため、個人に合わせて柔軟に対応が必要と明記していただくとさらに良い。
- 説明の中で「障害者の方々」という言葉の使いまわしが気になった。他人事みたいで距離を感じる。言い回しとしてはあまり印象が良くない。
- 視覚障害者の中ではセルフレジの普及が買い物の障壁になることが多く報告されており、相談もあがっている。対応指針の事例の中で、「(2)意思疎通の配慮の例」の中に精算時における合理的配慮の例が2箇所あるが、セルフレジへの対応についても1項目入れてほしい。事業者の意見もあると思うが、セルフレジへの対応として柔軟に対応するように、という項目でも良いので可能であれば追記いただけると非常に心強い。
- (6)
- 閉会