障害者差別解消法の見直しの検討に関する事業者団体合同ヒアリング(10月19日)議事録

令和2年10月19日(月)
10:30~11:30
中央合同庁舎8号館1階講堂

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○内閣府 植草企画官 それではまず、公益社団法人日本建築士会連合会の柳澤副会長よりお願いいたします。

○(公社)日本建築士会連合会 柳澤副会長 私は、日本建築士会連合会の副会長で、総務・企画委員会の委員長をやっています。また、愛知県の愛知建築士会の会長をやっております柳澤講次でございます。私は設計事務所を経営しております。よろしくお願いいたします。
 まず、公益社団法人日本建築士会連合会の概要でございますが、47都道府県の連合体でございまして、建築士法に基づき設立されている団体でございます。都道府県の会員は個人の建築士が対象で、全国合わせて7万人余りの会員を有しております。
 そのため、我々の組織としては、個人や中小規模の設計事務所、工務店、行政職、教育関係という幅広い建築士が会員となっております。そのような立場で意見を申し上げます。
 まず最初に、我々建築士が設計する場合において、この法律云々というよりも、障害者だからどうこうと考えたことは、私を含めてほとんどの人がないと思います。そういう意味においては、障害者の方は我々のクライアントとしてまさに全然違和感のない存在で仕事を進めさせていただいているというのが現状かと思います。
 もう一つ、次の合理的配慮の件でございますが、今まで行っている仕事のやり方で、障害者の方と仕事をやったにしてもクレームもありませんでしたし、何か他に合理的な配慮というものが必要であれば、それは受け入れる余地はあると思いますが、建築士は非常に零細な企業から大きな企業の方までいろいろいますので、あまり大企業しかできないようなことを言われても、なかなか難しいというのが現実ではないかと思っております。
 あと、今後の環境整備というところですけれども、現在、もし障害者から御相談や何かがあるとすると、行政からこういう相談があるが乗ってくれないかという話が来て、快くそれを受けて、所によっては1か月や2か月、3か月に1回の相談会などを開いております。
 我々と同じような日本建築士事務所協会様も同じようなことをやっておりますので、そのようなことで大体済んでおるかなと思います。
 ただ、設計事務所の経営者として、今までの経験上から申し上げるのですけれども、障害者の方はまだ良いのですが、もしかしたら障害のある方かなという、その辺のところは非常にプライバシーの問題に関わってくるので難しいところはあるのですけれども、障害者か障害者でないかというところで若干悩むことがあり、また、それでトラブルになることはあります。その際、事業者がそういうことに関して、障害者か分からない方に関してトラブルが起こったときに相談に乗ってもらえるところがあるとよいのではないかとは感じます。
 以上です。

○内閣府 植草企画官 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本建築士事務所協会連合会様からお願いいたします。

○(一社)日本建築士事務所協会連合会 白井副会長 皆さん、おはようございます。
 日本建築士事務所協会連合会の副会長をしております白井でございます。
 私は、神奈川県の建築士事務所協会の会長を務めておりまして、日事連の中では総財務関係を担当しておりまして、もう一つ、働き方改革等の取組を中心に活動しております。
 私自身は設計事務所を経営しておりまして、主に教育施設や住宅関係、教育施設は公共の小中高、幼稚園、保育所等を設計して、住宅については戸建ての住宅あるいは集合住宅を公共、民間問わずやっております。
 日本建築士事務所協会連合会なのですが、47と言いたいのですが46都道府県で全国の会員が1万5000社前後おります。今、登録事務所は10万社と言われていますので、15%前後の入会率という形になります。一級、二級、木造建築士事務所という形になっております。
 今回の話の中で、対応指針についての中で状況ですけれども、先ほど日本建築士会連合会の副会長さんからもお話がありましたように、今までも我々が設計するというのは、当然お客様はいろいろなタイプの方がいらっしゃったりしておりますし、障害者、障害のない者問わず、基本的な要件を聞く中でどういう状況ですかというお話、趣味の話から体の話まで、例えば明らかに車椅子を使っているような障害者の方ですと分かるのですけれども、その他、例えば化学物質過敏症というようなお客様もいらっしゃって、その辺は細かく伺わないと見た目では分かりませんので、例えばお子さんもどうでしょうかというようなことで、一般的に設計をする場合には、本当に細かく受け止めて質問をしたりしてやっておりますので、実際には、配慮という中では今までも当然やってきているということでございます。
 見直しについての基本的な考え方の中で、合理的配慮の提供の義務化ということが今回の議題だろうと思うのですが、合理的配慮というのがどこまでか、これは社会常識というか一般的に、先ほど申し上げたように、設計する場合は我々もかなり細かく神経を使いながらやっておりますが、その中で合理的配慮というのが、常識という範囲がどこまでかという話になりますので、定義や範囲をある程度はという感じはしますが、先ほど日本建築士会連合会の副会長さんからも言われたように、あまり過度な負担をという。我々の事務所の形態も、8~9割近くが少人数事務所ですので、会社としての対応みたいな形で求められることは少し無理があるのかなということはございます。
 我々業界だけではなくて、国民的な合意はどこにあるかどうかというのは難しいところですけれども、数字で表すとだんだん難しくなってきますし、あるいは定性的な話をいつまでもしていても分かりませんので、そこら辺は、どこかの時点である程度の目安は必要かなと思っております。
 それと同時に、こういう時代ですから、だんだんそういうことがいろいろな方に周知はされてきていますが、はっきりそういうものを作りましたよということになると、そこを明確にして、いろいろな機会を通じて周知徹底をすることを段階的にやっていく必要があるだろうと思います。
 それから、後ほどでもいいのですけれども、たまたま私もバリアフリー法ができたり、福祉のまちづくり条例等との関わりをずっとやっている中で、重度の障害者と住宅改造等で付き合って、お話を伺う機会が幾つかあるのですけれども、その辺も何年かやっている中で、かなり重度になりますとある程度分かってまいりますので、そこは家族の方や他の付添いの方等の対応になるということになります。その辺は今後どのようにしていくかということになります。
 長くなりまして失礼しました。

○内閣府 植草企画官 ありがとうございました。
 続きまして、日本建築家協会様、お願いいたします。

○(公社)日本建築家協会 左元副会長 日本建築家協会元副会長の左と申します。
 日本建築家協会はJIAという略称で呼ばれておりますけれども、設計の専門家の集団でございます。日本建築士会連合会と違うところは専業だということと、全国組織でございまして、各都道府県に分かれていないというところが特徴的な組織だと思います。
 今回お配りいただいたお伺いしたい事項という点について、少しお話しさせていただきます。
 最初に、義務化についてどのように考えているかということにつきましては、制度をつくっていただくときには是非タフな制度にしていただきたい。非常に細かい部分に入った制度にしてしまいますと、意外と現場では使いにくいと思いますのと、今回、障害者という対象が非常に広範囲であるということを考えますと、そういった配慮をしていただくのが有り難いかなと思いました。
 業界で障害者への対応において困っていることといいますと、大学等ですけれども、建築教育においてノーマライゼーションという考え方がほとんどされてきていない。ですから、若い方が現場に出て、初めてその場に即したときには、その視点から指導というか声掛けをしていかなければいけない。
 これだけ長い期間、ノーマライゼーションと言われているわけなのですが、教育の中ではそこをもう少し増やしていただければと思っておりました。
 もう一つ、障害関係の法整備をしていただくときに、縦行政と横行政の連携が私どもには見えてこない。どこに行けばどういう情報が得られるかという何かアプリ的なものが整備されると、大変助かるかなと思いました。
 建築、設計そのものでは、全体として取り組んでいることはございませんが、今まで日本建築士会連合会さんや日本建築士事務所協会連合会さんからお話しいただいたように、設計というのは発注者があって設計がスタートするので、そこはどのような状況であっても対応していくという立場にはございます。そういう意味で、情報がどこで得られるかということが一番ポイントになるかと思いました。
 見直しについての意見ということでは、先ほど申し上げた建築教育機関への取扱いを広げてほしいと思いましたのと、アプリを使った情報の取得ができるような体制がもう少しできるとよいのではないかと考えています。常にそうあると良いなと思いました。
 どこに行けばどういう情報が得られるかということの解決としては、障害者政策委員会の議事録に出ていましたけれども、ワンストップの窓口というものがありました。これは、そこに行けば全てが分かるということで、大変有効なのではないかと思いました。
 体験の中でですが、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律というものがあって、それは駅などの設計をしますときには非常に重い点になるわけなのですけれども、これがある一定の障害者の方には逆に阻害要因になることもありまして、そういう意味で、制度としてはタフさが求められるのではないかと思いました。
 例で言いますと、点字ブロックを設置しますと、キャスターのついた道具を使って移動される方、バギーとか車椅子、車椅子は車輪が少し大きいので大丈夫だと思いますけれども、シルバーカーのようなものは点字ブロックで立ち止まってしまう、移動できないということが起きていて、そこは時々指摘を受けるところでございます。
 そういった点で、一つの障害にとどまらないような体制、制度づくりをできればいいかなと考えておりました。
 以上でございます。

○内閣府 植草企画官 ありがとうございました。
 続きまして、日本旅行業協会様、お願いいたします。

○(一社)日本旅行業協会 関UT推進部会長 よろしくお願いいたします。
 日本旅行業協会ユニバーサル推進部会の関と申します。よろしくお願いいたします。
 資料を確認しながら御説明させていただこうと思います。
 今日御用意していただいている追加資料の「国土交通省管轄事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」の26ページに旅行業関係の対応指針を記載いただいているのですけれども、「1 対象事業」に定義がございまして、3行目なのですが、旅行業とは、旅行者と運送機関、宿泊施設、飲食施設その他の観光関連施設との間に入って、旅行者が運送機関等による運送、宿泊、飲食その他の観光に関連するサービスの提供を受けられるように、ツアーの企画や運送等サービスの手配を行う事業を我々はしています。
 ここが重要なのですが、自ら運送等のサービスを提供する事業ではないというところで、サービスの提供主体が実際はサービス提供事業者さんのほうになるといったところが我々業界の特色になっています。
 2番以降が差別と合理的配慮の具体例が書かれているのですが、1つ御覧になっていただきたいのが27ページ中段の「合理的配慮の提供の具体例」のところなのですが、①のポツの5つ目なのですけれども、合理的配慮の具体例として、旅行申込時に申告された障害の状況や希望を踏まえ、利用する運送機関等に対して、障害者に対して合理的配慮の提供を要請するということで、サービス提供事業者さんにお客様の要望、状況をお伝えして、要請することが一つの合理的配慮となっています。
 ここでもそうなのですが、実際、合理的配慮の要請はするのですが、合理的配慮を提供していただくのは先ほど申し上げた運送機関様や宿泊施設様などサービス提供事業者様側になります。
 ここでいつも誤解が生じてしまうのですけれども、旅行者、消費者の方々なのですが、旅行の申込み、旅行代金の支払というのは当然我々旅行事業者の方にしていただきますので、旅行事業者とサービス提供事業者の提供する合理的配慮を混同されてしまうケースがあります。これが我々業界における課題にもなっております。
 御質問の中にもあった合理的配慮の義務化に関してなのですけれども、この辺の区別がはっきりつかない中でされてしまうと、要は旅行業界における義務違反が追及されてしまうケースも増えてくるかなと思いまして、苦情が増加するというような業界としての懸念がございます。
 お伺いしたい事項の中にあります3つ目なのですけれども、合理的配慮についてどのような取組をしてきたかということです。
 私が所属しているのがユニバーサルツーリズムの推進部会と申します。今日、観光庁様がいらっしゃっていますが、観光庁様が2012年から、障害もそうなのですが、年齢、性別、国籍にかかわらず誰もが楽しめる旅行の環境、サービスを提供していこうということで政策を立ち上げていただいて、色々と推進していますが、これを業界としてもしっかりやっていこうということで部会を立ち上げています。
 この部会の中で色々議論もしまして、現在では、障害者差別解消法が施行される年から、業界内における障害者差別解消法の理解の促進を深めるために、マニュアルの作成、あと毎年研修を実施させていただいています。オリンピック・パラリンピックに向けて国に定めていただいた「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づいて、心のバリアフリー、これは社会モデルの考え方などが重要ですけれども、外部から有識者をお呼びしまして、心のバリアフリー、社会モデルの理解に関してもここ数年、会員に向けて研修を実施しているという状況です。
 見直しに関する御意見なのですが、国交省様の中の対応指針を見ても、お客様から見ると同じ運送機関でもバス会社、航空会社、鉄道もそうなのですが、業界によってできることとできないことが異なっている。なので、障害者差別解消法の中で合理的配慮を義務化して、この辺の合理的配慮の対応指針に書かれているようなことが一緒くたになってしまうと、そこの窓口的な役割をしている旅行会社の方もそうなのですが、我々もきちんと理解をしなければいけないのですけれども、この辺の理解促進や啓発みたいなところをしっかり進めていただかないと、混乱が生じるかなという懸念はございます。
 前向きに進めてはいるのですけれども、法の義務化に関してはそういった課題を抱えております。
 以上です。

○内閣府 植草企画官 どうもありがとうございました。
 続きまして、全日本不動産協会様、お願いいたします。

○(公社)全日本不動産協会 石川理事 全日本不動産協会の石川と申します。よろしくお願いいたします。
 全日本不動産協会は、公益社団法人としまして全国で1つの不動産団体なのですが、全国で3万6000社ほど会員がおります。そんな中で、ほとんどの会員は不動産の売買、賃貸といった流通関係が非常に多い団体です。しかも中小の業者が多いです。ですから、バリアフリーや障害者に対してのこういう指針というのは、私どもにとっても非常に会員さんに周知させるのに、こういうものを作っていただけるとよいのかなということは思っております。
 今日、国交省さんから出していただいている資料を基にお話しさせていただきますと、8ページから、まず対象事業と具体例(1)、(2)とありますけれども、「(1)差別的取扱いの具体例」の中で、「障害者不可」とか「障害者お断り」といったものについては、既に私どもは、例えば広告を規制する段階でこういうものはいけないということはやっております。それと、いろいろな研修会などを通じてでも、この辺りのことはやらないようにということは、研修その他、冊子、弁護士さんの相談事例といったものも含めて、ホームページでも公開してやっております。
 (2)の具体例についても、バリアフリー化という物理的なところの具体例が色々示されておりますが、これについては業者あるいは物件によってかなり状況が変わってきますので、状況に合わせて、これは合理的配慮なのか、あるいは過重な負担になってしまうのかということをよく対応指針の中でも出していただきたいということはまず考えております。
 ここにある対応指針は、主に障害者の中でも身体障害あるいは知的障害に当てはまるものが非常に多いかと思うのですが、実は障害者差別解消法の障害者という定義を見ますと、障害者とは身体障害、知的障害、精神障害(発達障害も含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)があるものであって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいうと定義付けられているのですけれども、今までの議論の中で、目に見える障害といいますか身体障害、知的障害といったものについては非常に議論が多く、お話もたくさんいただいているのですけれども、私たち不動産の流通業界からしますと、精神障害というのが一つの非常に難しい問題になってきているのです。
 精神障害の症状がどういうものかというと、幻覚や妄想、アルコールの依存、薬物、ギャンブル、社会的な行動の障害、何かあったときにはパニックを起こして暴力を振るったり大声を出すといったものが精神障害に当たるとなっているのですけれども、例えば賃貸物件を紹介する場合、よく精神病院から退院された方が、お医者さんのお墨付きでもうこれは治っているから、一人で暮らせるから、是非物件を紹介してほしいと。私は三鷹というところでやっているのですけれども、近くに精神病院もありまして、退院された方が来るのですけれども、入居していただいた後でしばらくしてから、またお酒を飲んでアルコール依存症になってしまって、夜中に大声を出す。あるいは妄想があって、一番困るのは、静かにしているのに2階の人がうるさいということで、2階を棒でつついたり、横の壁を叩いたりというケースがあって、このようなものは私たちとしても非常に対応に苦しむところなのです。
 長くなってしまいますけれども、精神障害についての合理的配慮とはどういうものなのか。それから、過重な負担とはどの程度までを言うのか、そういったものも是非御検討の材料にしていただきたいなということを考えております。
 お時間があれなのですけれども、もう一つだけ言わせていただくと、売買についても同じようなことが言えまして、例えば近隣に精神的な障害がある方がいるということを知っていながら隣の物件を紹介してしまった、買ってしまったと。この場合、言っていいのかどうか。事前に知っていることは告知しなければいけないという義務が宅地建物取引業法にはあるのですけれども、ただ、それはお隣の方のプライバシーとか個人情報に配慮しなければいけないという一面もあるのです。そういったことも含めますと、私どもはどこまでそういったことをお話ししたらいいのかという問題も出てくると思います。ですから、障害のうちの精神障害についても、いろいろと指針を出していただきたいなと考えております。
 以上です。よろしくお願いいたします。

3 意見交換

○内閣府 植草企画官 皆様、どうもありがとうございました。
 それでは、残りの時間で意見交換とさせていただきます。限られた時間で御発言をいただきましたので、まだお話し足りないことがある方でも結構でございます。御意見と御質問がございましたらば、挙手にてお願いいたします。それでは、よろしくお願いします。
 日本建築士会連合会様、どうぞ。

○(公社)日本建築士会連合会 柳澤副会長 私のほうも、先ほど全日本不動産協会さんが仰いました、あえて言うならば見えない障害者の対応で、分かっていれば別に問題はないのですけれども、トラブルになったりする。特に我々は設計するというよりも、建物が出来上がるまでをまとめ上げるのが仕事でございますので、そういうことは早く分かったほどトラブルなく合理的に仕事が進められるのではないかと思います。
 現実、私も紛争処理委員会等をやっていまして、そういう物件に遭いました。後から聞いたことですので、もう契約解除しかなくて、契約解除もそう簡単にはできない契約解除になって、非常に困った例がありました。ですから、見えない障害というものをどのようにするかというのが分かると非常によいかなと思います。
 以上です。

○内閣府 植草企画官 他に同じような御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 コメントはございますか。

○内閣府 衣笠参事官 障害者差別解消法の合理的配慮というところで言えば、見えない障害がある場合、基本的には合理的配慮というのは障害者の側から社会的障壁、要は社会的なバリアを取り除くことについて意思の表明があるといった場合に合理的配慮をしましょうという話なので、障害者側からの働き掛けを前提にしております。そういった働き掛けがない場合には、法律の範囲外としてどこまで配慮するかという話になります。
 仰っているのは、具体的にはどういった例なのでしょうか。プライバシーの関係で言えないのでなければ、差し支えない範囲でお願いします。

○(公社)日本建築士会連合会 柳澤副会長 今、インターネットの時代で、インターネットで簡単にオファーが入る状況でございますので、これは状況判断なのですけれども、要するにインターネットで契約したところ、建てるときにトラブルになったわけです。そのトラブルが順当なトラブルではなくて、お客様のほうは数百項目のクレームをぶわっと出してきて、それも本当に取るに足らないことなのですけれども、それをやりなさいと。そうでないとお金を払わないというような形でした。
 もちろんそういうケースは、クレーマーと質の悪い業者のときはあるのですけれども、その域をはるかに超えたことで、結局は業者のほうも、もう結構ですと。お金も結構ですと。ここで契約解除させていただいて、今、建っているものはあなたにあげますので、これで終わりましょうということで片付いたのですけれども、業者のほうもかわいそうですし、障害のあるお客様もかわいそうなものですから、最初にそういうことを一言言っていただければ良かったかなという事例なのです。
 以上です。

○内閣府 植草企画官 他に御意見がある方はいらっしゃいますでしょうか。

○内閣府 衣笠参事官 本日は幾つか御意見等がありましたので、ここで御説明できる範囲で申し上げておきたいと思います。中小企業の方もいらっしゃるので大企業しかできないようなことを求められても困るといった話なのですけれども、そこは誤解のないように御説明すると、今日お配りしている資料1「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の概要と見直しの方向性について」の5ページを見ていただくと、「合理的配慮の提供」ということで説明を記載しているものがございます。
 上のところで四角で囲んでいますけれども、行政機関と事業者は、事務・事業を行うに当たり、障害者から何らかの配慮を求められた場合、過重な負担がない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要かつ合理的な配慮を行うということでありまして、この過重な負担というものは、右下のところで判断の要素が書かれています。事務・事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用・負担の程度といったことなども勘案して行うということになっていまして、恐らく大企業と中小企業では過重な負担がないという範囲が違うのだろうとは考えています。
 個別ケースごとに判断されるものですので、ここでどこまでできるのだということをはっきりとは申し上げられないわけなのですが、法律上は、できる範囲でといったことが記載されているということです。
 あとは、どこまでやらなければいけないのかといった話につきましては、同じページの一番上の四角の3つ目のポツですけれども、各事業分野の考え方等については、主務大臣が定める「対応指針(ガイドライン)」に規定すると書いています。今日お配りしている対応指針のようなものでどこまで書けるのかは、内閣府と各省庁が連携してこうしたものを作っていくことになりますが、施行から何年か経っており見直しができる部分もあるかもしれませんので、そこは今後取り組んでいくことと考えております。
 何か相談ができるような体制がないかということにつきましては、どなたかが仰ったように、この意見書の中では、相談体制をもう少し充実させていこうということが記載されていまして、8ページに相談体制の充実の内容が書かれております。例えば、相談体制の明確化等ということで、相談窓口や事案の取扱いの流れを分かりやすく示すなど、アクセス向上のための取組を積極的に行うことや、その下の○にありますように、事業者からの相談も対象とすることを明確化していくこともあります。その点は相談窓口の特性には応じて行う必要がありますが、こうしたことも方向性として記載されているところです。
 念のため、御説明をさせていただきました。

○内閣府 植草企画官 今の説明も踏まえまして、特に何かございましたら。日本建築士事務所協会連合会様、どうぞ。

○(一社)日本建築士事務所協会連合会 白井副会長 今、相談体制ということでお話がありましたので、我々の団体は、各県ごとの団体について相談窓口を設けているのですけれども、ただ、こういう問題について確認をしてみたのですが、毎週のように相談窓口を開いて、随時やっておりますけれども、対面でやる機会を毎週設けているのですが、その中でも、ここのところずっと見ていますと、障害者の差別に関するようなことは今まではあまりないということなのですが、今後こういう形でもう少し周知をする段階では、そういった方々から恐らく話が出てくるのだろうと思うのです。先ほどの合理的な対応という問題も含めて、それに対する答えをある程度考えておかなければいけないなと。
 相談員のレベルやいろいろな考え方もありますので、そこら辺は少し基準を設けていただかないとまずいかなという感じはしておりますので、ここは我々も努力しなければいけないのですけれども、こういう相談を持ちかけられたときにはこういう形の対応がどうだということが少し出せるとよいのではないかなと思っております。

○内閣府 植草企画官 ありがとうございました。
 私の方から若干コメントさせていただきます。
 相談窓口を設けていただいているということで、ありがとうございます。仰るとおり、仮に合理的配慮が義務化されるとなった場合は、相談の件数は増えてくるのかもしれないということは我々も考えておりまして、そのためになるべく皆様の参考になるようなものは提供していきたいと思っております。
 それから、先ほど参事官から申し上げました国土交通省が定める対応方針、その上に内閣府が主体的に定める基本方針があるわけでございますが、そうしたもので考え方をブレークダウンしていきたいと思っております。
 ただ一方で、先ほど御意見をいただきましたように、企業にも大企業から中小企業までいろいろな規模があるということで、そこで対応指針なりでぱしっと考え方を書いてしまいますと、逆に企業規模をどこまで反映できるのかということもありますので、実態としていろいろな企業があるということも踏まえながら、各省庁とも相談して、指針を作らせていただくことになると考えております。
 相談に対する参考みたいなものは、我々も結構悩ましいところがございまして、これまでもいろいろな事例を集めていたのですけれども、なお一層これから努力しなければいけないだろうと考えております。法改正する場合には、相談窓口をどうするかということと併せて、事例の収集などもどうすれば効果的に集まるのかということを考えさせていただいて、それを皆さんに共有できるように頑張っていきたいと思っております。
 国土交通省さん、何かよろしいですか。
 他に御意見はありますか。
 日本旅行業協会様、どうぞ。

○(一社)日本旅行業協会 関UT推進部会長 これは是非お願いしたいのですけれども、コロナ禍でニュー・ノーマル時代に入りまして、コロナの中で当事者の方々が感じる社会的障壁というものも変化してきている。新たな社会的障壁も生まれてきていると思うのです。ソーシャルディスタンスだとか非接触、むしろ心のバリアフリーなどもそうですが、どちらかというともう少し寄り添ってみたいなところがあったと思うのですけれども、距離も置きながら、マスクの着用もある意味義務化されている中で、例えばお客様と接客するときに聴覚障害者の方がいらっしゃると、口の動きが読み取れなくてコミュニケーションに困るみたいな意見もお伺いしたことがあるのです。先ほどの相談体制のところもそうなのですが、事例の共有の中で、ニュー・ノーマルの時代で合理的配慮のやり方も少し変わってきている。社会的障壁が変わってきているので、配慮の仕方も少し変わってきているかと思うので、ニュー・ノーマルの時代に対応した合理的配慮の事例みたいなものを、是非当事者の方々からもこういうことで困っているみたいな形で、それに対する具体的な方法みたいなところを共有していただけると、義務化する、しないではなくて、やっていかなければいけないことかなと思っていますので、その辺の情報の整備もしていただけると助かります。

○内閣府 植草企画官 ありがとうございました。
 我々も、今仰ったニュー・ノーマルのことについては、どうすればいいかということを考えております。我々もいろいろと考えていきたいと思うのですけれども、1年後、2年後に今みたいに皆様がマスクをつけるような生活が続いているのかということもありますので、その辺りの流れも踏まえながら対応させていただければと思っております。ありがとうございました。  他に御意見はございますでしょうか。
 全日本不動産協会様、お願いいたします。

○(公社)全日本不動産協会 石川理事 先ほどお話に時間がかかってしまって言えなかったのですけれども、障害者差別解消法による障害者という定義が書かれています。このうち議論やこういうものを見ても、ほとんどが物理的なバリアを取るというところに重点が置かれていると思うのですけれども、特に相談体制の中でお願いしたいことが、精神障害のある方に対しての対応をどうしたらいいか。これについては是非合理的配慮とはどういうものなのか、あるいはこれは過重な負担なのかという事例をたくさん出していただいて、指針を作っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○内閣府 植草企画官 ありがとうございました。
 先ほどの御意見を伺っていますと、精神障害者の方から障害があるというお話が頂ければ対応のやり方はあると思うのですけれども、そういうお話がない場合、なかなか難しいと思います。
 我々も基本的に合理的配慮を提供する場合には、建設的対話という、お互いが対話をする中でどういった配慮がふさわしいかという着地点を見つけていこうという考えがあります。なかなか難しいところもありますけれども、少しでも良い方法が見出せるようにこちらも頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 他に御意見はございますでしょうか。お願いします。

○(一社)日本建築士事務所協会連合会 白井副会長 合理的配慮を的確に行うための環境の整備ということがありますので、そこだけ少し触れさせていただきます。
 ここまで非常にバリアフリー化というか、いろいろな場面で施設等もかなりなされていると思うのです。例えば施設ですと、国交省さんの情報提供もかなりあると思うのですけれども、私は自分の地域で個人的にやり出そうかと思っているのですが、スマホ等で、こういうところに行くにはこのルートがいいですよといった情報提供のやり方を、今後デジタル化という話も叫ばれておりますので、そこをどうしていくかというところが、こういった形の合理的配慮に最終的には結びつくようなところになるのかなという感じはしております。今、情報を集めることはある程度できてはいるのですけれども、今後、そこをどのような形で提供していくかということを模索していっているところです。こういう場でやるのかどうかは分かりませんけれども、その辺もできれば議論の中で進めていただければと思います。

○内閣府 植草企画官 ありがとうございました。
 いろいろ前向きな御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 障害者差別解消法から少し離れてしまうのですけれども、我々内閣府では、障害者基本計画というものを所管しておりまして、5年ごとに障害者政策はこういった方向性でやっていこうということを議論して策定しております。
 今、白井副会長が仰ったデジタル化についても、総務省などとも相談しつつ、検討させていただければと思っております。
 他に御意見等はございますでしょうか。
 お願いします。

○(公社)日本建築家協会 左元副会長 意見というよりは質問なのですけれども、相談体制の明確化の中で、資料1の8ページに相談のたらい回し防止等の観点から云々で、ワンストップ相談窓口の設置とありますが、大体どのようなイメージで検討されているのでしょうか。

○内閣府 衣笠参事官 イメージとしましては、同じページの(ア)国・地方公共団体の役割分担の明確化の例なのですけれども、あくまで例ですが、市町村が最も身近な相談窓口を担う、都道府県は、広域的な事案や専門性が求められる事案の解決、市町村への情報提供等の支援を行う、国は、関係機関と連携しつつ、重層的な相談体制の一翼を担うということであります。基本的に地域に密着した話が多いと思われますので、市町村、都道府県に役割が期待されるとの考えです。
 また、国は、地方にも法務局などいろいろな関係機関がありますけれども、9ページの(オ)の2つ目の○で書いているように、相談対応による解決が困難となった場合に、地方公共団体と法務省の人権擁護機関等や主務大臣との一層の連携を図るために、事案対応の流れなどを整理することを検討すべきとされております。地方の法務局のほうで人権侵犯事件の調査救済の機能を持っていますので、そちらで一定関与いただくなども国の役割としてあるのだろうというイメージです。

○(公社)日本建築家協会 左元副会長 そうしますと、市町村なのか都道府県なのか国なのかという判断を相談者がしなければいけないということでしょうか。

○内閣府 衣笠参事官 相談体制の在り方はこれから具体的に詰めていくので、まだここではっきりとは言えないのですが、一般的な相談であれば、最も身近な市町村に持ちかけていただくということではないかと考えております。
 ただ、市町村と都道府県の役割分担として、難しそうなものであれば都道府県にということもあり得るかもしれませんけれども、そこはこれから整理していく部分です。

○(公社)日本建築家協会 左元副会長 福祉系のものもそうなのですけれども、おおむね市町村から始まるのですが、結果的にたらい回し的になってしまう。非常に弱者の方々なので、そこをどうやってクリアするかということを、この制度においても是非検討していただきたいと思います。

○内閣府 植草企画官 ありがとうございます。
 今、左元副会長が仰いましたたらい回し防止については、我々もそれはあってはいけないと思っておりまして、相談窓口についても、報告書では国にワンストップ窓口を置くこともなどを検討すべきということで、我々も検討しなければいけないと思っておるのですが、他方、それぞれの地域で起きたことを全部国で一緒くたにやるのかということもありまして、まずは身近な市町村に行っていただいて、市町村で解決できる問題であれば解決していただく。それが駄目であれば都道府県にやっていただくとか、それが駄目な場合は連携した形を考えていかなければいけないのではないかと思っております。
 ただ、この辺は今、軽々にはこういう形だと言えない状況でございまして、調査結果などを踏まえつつ、良いやり方をつくって、自治体にもガイドラインで示していくようなことを考えております。よろしくお願いいたします。
 他に御意見等はございますでしょうか。

○内閣府 衣笠参事官 先ほどの精神障害の関係で、隣家に精神障害者の方がいらっしゃるという話があったと思うのですけれども、グループホームなどにつきましては、周辺住民の同意を求める必要がないということを十分に周知するということは基本方針に書かれていまして、単にいるだけということであれば、それだけで拒否するという話ではないのだろうと思っています。ただ、個別の事情は何があるのかという話は当然あろうと思いますので、そこは今後の蓄積等、事例の中で見えてくるものもあると考えています。

○内閣府 植草企画官 よろしいでしょうか。

○(公社)全日本不動産協会 石川理事 結構個別な事例がありますので、よろしくお願いします。

○内閣府 植草企画官 他に御意見等はございますでしょうか。

4 閉会(省略)