障害者差別解消法の見直しの検討に関する事業者団体合同ヒアリング(10月20日)議事録
令和2年10月20日(火)
15:00~15:52
中央合同庁舎8号館1階講堂
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○内閣府 衣笠参事官 それでは、お配りしている出席者一覧の記載順に御発言をお願いしたいと思います。まずは消費者関連専門家会議様からお願いいたします。
○消費者関連専門家会議 花田理事 今、仰ったのは、この資料3「事業者団体に特にお伺いしたい事項」についての発言をすればよろしいですか。
○内閣府 衣笠参事官 我々としましては、資料3について、特に御説明頂ければと思います。ただ、これに限らず、別にあらかじめ御用意されていれば、それも含めてお願いいたします。
○消費者関連専門家会議 花田理事 消費者関連専門家会議の理事をしております花田と申します。
時間もありませんので、資料3の1つ目、義務化についてどのように考えているのかを説明いたします。義務となりますと、きちんと考えますと、企業としてはマストであると。イコール法律であるので、コンプライアンスにも関係する、コンプライアンスは守らなくてはならないということになって、企業にもよるかも分かりませんけれども、かなりがちがちにいろいろな対応していくことになると思います。やらないとコンプライアンス違反だということになると思います。
努力義務から義務化になる場合は、当会には550社ぐらいが加盟しておりまして、大きな企業から小さな企業までありますので、意見集約はしておりませんが全ての企業が対応できるかということを考えると、簡単ではないのではないかと思います。
また、合理的配慮の中で過重な負担がないというところについて、資料の中でもその基準みたいなところが言及されていますけれども、この辺が判断に迷うところで、明確化されないとなかなかできないのではないかと思います。
それから、2つ目の業界で困っていることにつきましては、いろいろなことがあるのでしょうけれども、1つ挙げますと、例えば契約という行為を伴う企業ですと、障害者の方と契約したときに、その身内の方から、障害者なのに契約させたのかという申出がある場合と、あるいは障害者だから契約できないのかというような逆のお申出がある場合と、それはきちんと企業としては対応して説明はするのですけれども、色々な申出があるということ、双方の側面からあるということです。
合理的配慮についてということですけれども、これも企業によって様々ですが、進んでいる企業については、既に2016年から合理的配慮についてかなり段階的に取り組んでいるところがあります。2016年からガイドブックを作って全社的に研修をやっているところ、いろいろなものを整えているところ、まだそこまで至っていないところとかなり差があるのではないかなと思っております。
簡単ですけれども、以上でございます。よろしくお願いします。
○内閣府 衣笠参事官 それでは、日本経済団体連合会様、お願いします。
経団連様は、障害者政策委員会の構成員として既に御意見を頂いているところですが、追加の御意見、改めての御発言がないということであれば、その旨を御説明頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○(一社)日本経済団体連合会 長澤統括主幹 ありがとうございます。
経団連のSDGs本部の長澤と申します。
本日は、障害者政策委員会のメンバーである長谷川に別件があり、代理で参加させて頂いております。
障害者政策委員会で正式な意見は何度か述べさせて頂いているので、特に追加することはございませんが、企業側の当事者である方々の御意見を直接聞いて、それを踏まえて決めて頂きたいというのが経団連のスタンスでございます。このような場を設けて頂きまして、ありがとうございます。その点だけ付け加えさせて頂きます。
○内閣府 衣笠参事官 それでは、日本商工会議所様、お願いいたします。
○日本商工会議所 杉崎担当部長 日本商工会議所の杉崎と申します。本日はありがとうございます。
障害者差別解消法の見直しの検討につきまして、差別の解消はもとより、共生社会の構築が非常に重要であるという立場を前提に意見を申し上げたいと思います。
本年6月に取りまとめられました施行3年後の見直しに関する意見には、事業者による合理的配慮の提供について義務化を検討すべきであるということが記載されておりますが、合理的配慮は多様かつ個別性が非常に強いので、現状の努力義務を維持することが適当であると考えております。また、仮に義務化されますと、マンパワーとかノウハウが十分ではない中小企業、とりわけBtoCの業種では不安に思う企業が多いのではないかと考えております。
そもそも合理的配慮の言葉そのものとか、定義、内容に関する認知が十分とは言えない状況の中で、仮に義務化をするならば、事業者にとって何が具体的にどのように変わるのか、どのような配慮をすることが義務化されるのかを、事業者のみならずあらゆる主体が共通認識を持つことが不可欠であると考えております。また、過重な負担の判断に当たっての基準も明確にしなければならないと考えております。
加えまして、深刻な人手不足が続いている中で、働き方改革関連法はじめ、度重なる労働規制の強化もあり、企業は法対応に精一杯で、現場負担が増していることから、十分な周知期間とか準備期間を確保することが不可欠であると考えております。
さらに、共通認識の形成に向けまして、内閣府を中心に合理的配慮の周知、広報にこれまで以上に取り組んで頂く必要がありますし、中小企業、特に小売業とか飲食業等のBtoC分野の企業に対する、ソフト、ハード両面の具体的な支援策を講ずることが不可欠であるとも考えてございます。
義務化を議論するのであれば、これらのことをしっかりと担保することが大前提であると思いますし、義務化の対象になる事業者、特に中小企業の実態を十分に踏まえることが必要だと思いますので、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございます。
続きまして、西日本遊園地協会様、お願いいたします。
○西日本遊園地協会 橋本事務局長 西日本遊園地協会の事務局長を務めております橋本と申します。
まず、西日本遊園地協会は九州から愛知県までの遊園施設11社、また、新たに2社増えますので、13社で構成される遊園施設の会合でございます。また、同じく東日本遊園地協会というのが19施設ありまして、静岡県から北海道までと。今回、西日本遊園地協会として代表で参加させて頂いておりますが、各30施設の遊園施設の中における対応につきましては、それぞれの対応によって若干の違いがあるところ、また、回答によって解釈の違うところもあるものですから、私ども東条湖おもちゃ王国を代表して、今回、御説明させて頂きます。
ただし、西日本遊園地協会につきましては、総会、会合を行う中で、過去にも障害のある方の対応等につきましては、協議、情報共有をさせて頂いているところでございます。
こちらに添付させて頂いております資料4「団体提出資料:西日本遊園地協会」に、当施設の、私のコメントを付けさせて頂いておりますので、こちらを御覧頂きながら簡単に御説明をさせて頂こうと思います。
まず、合理的配慮の義務につきましては、おおむね定義につきましては曖昧というか、判断の難しいところがございますが、障害者の合理的配慮の部分については、賛成という意見でさせて頂いております。
遊園地につきまして、やはり楽しむ目的で来られた場合に、乗り物に乗れる、乗れないという判断が、差別、差別ではないということの中で紛争が起こるケースがあります。現在におきましては、私どもにつきまして、また、各遊園地につきましても、付添者の方の御利用を確認して頂いたりするケースで対応しているところがございます。
こちらにつきましても、障害のある方のみならず、障害のない方であっても身長制限や年齢制限が設けられておりますので、全ての制限に当てはまって御利用頂いているという状況ですが、合理的配慮という形の中において、その障害の度合い、また判断という状況の中においての対応によって、施設側の判断のみで対応した場合においては、やはり差別という判断を受けられるケースがあるということを、少なからずとも、私どもにおいては注意配慮の負担が一番多いのではないかということを危惧しているところではございます。
施設的には、各遊園施設もそうですけれども、障害者の方の御利用頂く施設環境という部分については、バリアフリーとか掲示物、また、インフォメーション、案内関係、そういうものについてのユニバーサル化というものについての環境整備というのは、なかなか進めていない状況でもありますので、そういうところに対して義務化していくのであれば、そういう支援が必要と考えているところです。
過去の対応の中で、具体的に困っていること、この内容につきましては記載しておりますけれども、いろいろな形の中で、事故やトラブルが起こった場合の中で、一番問題となりますのは、施設側の責任という形の中で、紛争となった場合に、どうしても施設側の方に大きく責任を問われるケースがあるという状況を不安視しているところでございます。
あと、合理的配慮についての取組をしている内容につきましては、療育手帳等を御提示頂いた際につきましては、入園券、フリーパス等の半額での販売(付添者含む2名)、アトラクション利用時に、付き添いの方のみ列に並んで頂いて、障害のある方はお待ち頂く形の中で負担を軽減していく対応、また、当施設につきましては、行政機関と連携して手話の講習会を定期的に開催して、お客様の対応をするという状況を作っております。
アトラクションの特徴を理解して頂くために「乗り物の特性」と「乗り物御利用について」というのを配布して、まず、乗り物の特性や利用においての注意事項を理解頂いてから御利用頂くようにしているところです。
その他、障害者差別解消法についての見直しについての御意見ということですけれども、先ほども申しましたが、まず、事業者側からしますと、兵庫県とか、地元、私どもですと加東市の中においての取組における情報開示、また、業界団体等を含めた中における連携ということの情報がやはり行き届いていないように感じているところでございます。
特にそういうことについては、比較的事業者単体での解決は難しい部分も非常に多くありますので、しっかりと情報の啓発をして、また、何かあった場合においての相談窓口の明確化をお願いしたいと。また、既存施設や新規施設についてのユニバーサル化への助成制度などの支援をお願いしたいと回答させて頂きます。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
3 意見交換
○内閣府 衣笠参事官 それでは、残りの時間で意見交換をさせて頂きます。
各団体の皆様から御発言を頂きましたけれども、言い足りなかったことや、内閣府に御質問があるといった方、その他、御意見がある方は挙手を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○消費者関連専門家会議 花田理事 消費者関連専門家会議ですが、冒頭、説明を省略しましたけれども、我々の団体といいますのは、企業のお客様相談室の者が550社ぐらい集まって、お客様の声を生かした改善取組をする、あるいは消費者志向経営を推進していくということに取り組んでいる団体です。よって、企業全体を見てという部分もあるのですけれども、若干このお客様対応寄り、限定とまで言いませんけれども、そこに偏った感じの物の見方をしているかも分かりません。そういう中で、消費者庁が、今進めております消費者志向経営の推進というものについて、我々の団体も一緒に旗を振って会員企業と取り組んでいるわけですけれども、消費者志向経営の推進の中に、やはり障害者対応も当然含まれるわけでして、これを推し進めていこうという精神は、我々各社が持っていると思っております。
それから、御質問ということになるのかも分かりませんけれども、配付資料の中で、我々の団体の特性から質問させて頂きます。相談・紛争解決の体制整備というような資料がございまして、これは深くは理解していないのですけれども、何かそういうトラブルがあったら、こういうところに御相談が行って、各企業にそれについてお話があって、今の、いわゆる消費生活センターのあっせんのようなことが行われて、解決していくのかなと勝手に考えたのですけれども、そのような理解でいいのでしょうか。
もし、そういうようなことであれば、我々としてもそういう機関から、そういう話があるということを踏まえて、準備、心積もりをしておかなければならないなと思っております。
以上でございます。
○内閣府 衣笠参事官 今、相談体制についてのお話がありましたので、そこについて若干補足をさせて頂きたいと思います。意見書の概要というのが、この資料1「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の概要と見直しの方向性について」の8ページ以降に載っていまして、こちらの意見書、障害者政策委員会でまとめられたものとしては、相談体制の充実を図るということも一つの大きな柱になっています。
中身としましては、今でも障害者差別解消法の中で、国、地方公共団体に相談体制を整備する義務が課されておるわけですけれども、ただ、国と地方公共団体が、それぞれどういう役割分担でやっていくのかまでは、地域の実情に応じてやれるようにとの配慮もあり、政府全体で作っている基本方針等でも明確にはされておりません。
ただ、法施行後の状況を見据えて、見直した方がいいのではないかということで、国、地方公共団体の基本的な役割分担として、例えば、国、都道府県、市町村、それぞれ何をやるかということを示すことがあってもいいのではないかということが言及されています。
それから、先ほどいろいろと相談窓口の明確化のお求めもありましたが、そういったことも含めて、適切な相談機関へのアクセス向上のための情報提供等の取組を積極的に行うことも、一つあります。
御質問がありました相談体制としましては、障害者の当事者の方々から相談を受け付けるといったときには、例えば、身近な窓口として市町村がまず一次的に受けて、都道府県が難しいものを受けるといったことが考えられます。
都道府県では、もしかすると、ここに行ったらどうですかというつなぎをするかもしれませんし、都道府県で、当事者、事業者の双方の話を聞いて調整をするかもしれませんが、そこは、これから細かく詰めていく部分でありまして、先ほどの役割分担もそうなのですけれど、今の段階ではイメージとして、こちらの意見書の概要のような例として書かれています。この「(ア)国・地方公共団体の役割分担の明確化」のところですけれども、市町村は最も身近な相談窓口を担い、都道府県は、広域的な事案、専門性が求められる事案の解決を担い、国は、重層的な相談体制の一翼を担うということです。
また、国につきましては、9ページで書かれていますけれども、「(オ)国・地方公共団体の関係機関の効果的な連携」のところの2つ目に、法務省の人権擁護機関などにつないで、どうしても対立モードになってしまった事案の解決を図ることもあるのではないかという内容になっております。
ですので、先ほどお話しのありました、あっせんなどは、そういうことも一応あり得るのですけれども、これからまさに検討するという状況になります。
○消費者関連専門家会議 花田理事 ありがとうございました。
○内閣府 難波審議官 失礼いたします。内閣府審議官の難波でございます。
消費者関連専門家会議の位置付けについて、先ほど説明頂きましてありがとうございました。ホームページ等で拝見していましても、例えば、苦情対応とか、そういったことを対応されている部署に対する研修であったり、あるいは情報交換であったり、そういったことを公益社団法人としてされていると理解はしたのですけれども、例えば、そういった取り扱う苦情の中で、障害者から、これは差別だというような苦情が来たときにどうすればいいのかとか、そういう事例研究といいますか、あるいはそれに基づいた検討とか議論とか、そういったことをされてきたような経緯がもしあるのであれば、承知したいなと思っておるのですけれども、いかがでしょうか。
○消費者関連専門家会議 花田理事 ありがとうございます。
結論から言いまして、まだ障害者の方に対するそういう検討ということは、団体としてはしておりません。
今、我々の中で一番大きな問題は、認知症をはじめ高齢者対応というのが最も大きな問題だと考えております。これは世の中もそうなのですけれども、そういうことを踏まえて研究をやって、各社の対応を集めてマニュアルを作る。そして、各社の研修に役立ててもらうというようなものを。手元に持ってきたのですけれども、これは外には出していないのですけれども、こういう高齢者対応ガイドライン編というような資料、高齢者に対して、電話窓口で話すときは、こういうトーンで話しなさいとか、こういうところは聞きとりにくいですよ、こういう単語はこのように言い換えなさいとかというテクニカルなところまで、そういうところはかなり事例も集まって、知恵を絞って作ったものが、今年の2月に作った高齢者対応資料でございます。
というように、いずれ今日のテーマのことについても、そのようになるのかも分かりませんが、現在のところはまだそこまで至っていないということでして、今日、私、ここに出席させて頂いていますけれども、会として固まった考え方がない中で来させて頂いておりまして、そこは大変申し訳なく思っているのですけれども、そのような状況でございます。
○内閣府 難波審議官 どうもありがとうございました。
ただ、世間一般で、カスタマーハラスメントとか、そういったところの矢面に立つ方が会員の中におられるのだろうなと思っております。やはりそういった要望であったり、あるいはそれが要求になったときにどう対応するかという意味では、お客さんの要望に対して、できることはできる、できないことはできないと最大限話合いもして納得頂くように努めるといったような流れは、恐らく本質的にそんなに変わらないのかなと思っておりまして、また、そういった知見も、こちらも参考にさせて頂くこともあるかもしれませんし、そういった中で、もし今後、実はということで、個別に問題になったような事例があったとか、そういった話がどこかにあるようであれば、そういったものも参考にさせて頂ければなと思った次第であります。どうもありがとうございました。
○内閣府 衣笠参事官 どなたか御質問等はございますでしょうか。
○日本商工会議所 杉崎担当部長 日本商工会議所でございます。
先ほど基本的なスタンスについて意見を申し上げさせて頂いたのですが、その中でも触れさせて頂きました企業に対する支援策についてでございます。
西日本遊園地協会様から、バリアフリーとか点字、ユニバーサル化の推進が非常に重要であるということで、こうしたことへの支援が必要だということは、まさしくそのとおりであろうかと思います。こういったハード面への支援ということに加えまして、ソフト面の支援も非常に重要なのではないかと思ってございます。
中小企業は、ノウハウとかマンパワーがなかなか十分ではないというのが実態でございますので、ソフト面の支援といたしましては、これは努力義務にかかわらず、例えば、企業の中で研修をする際に講師を無料で派遣するといったようなことですとか、専門家を無料で派遣する、また、相談機能を創設する、分かりやすいパンフレットを作成する、解説の動画をつくる、対応の事例集を作るなど、多岐にわたるソフト面の支援が大事なのではないかと思います。
また、合理的配慮の認知が進んでいないというようなことも申し上げさせて頂いたのですけれども、この法律自体の内容や、具体例も含めまして、周知に当たりましてはぜひ関係省庁、特に業所管省庁を始め、あらゆる政府系の機関を含めまして、ぜひ連携を図って頂きたいと思います。
私は、今、労働政策を担当しているのですけれども、例えば、厚生労働省で、働き方改革に関するいろいろなセミナーですとかPRをなさっております。こうした機会をうまく捉まえて、連携して周知をしていくというような視点も大事なのではないかと思ってございます。
最後に、過重な負担の判断についてですが、これは企業実務上、非常に迷うこともあろうかと思います。したがいまして、この過重な負担の具体例や判断基準について分かりやすく提示していくことが、企業実務上、非常に有効だと思っておりますので、そういった情報提供もして頂ければと思います。
先ほど来、紛争に対する懸念に関する御意見も出ておりますが、そういった紛争の未然防止という観点からも非常に重要なのではないかと思いますので、ぜひ御配慮をお願いいたします。
以上でございます。
○内閣府 衣笠参事官 内閣府です。ここで一つだけ御説明をさせて頂ければと思います。資料1の6ページに、環境の整備と記載されている資料がございます。障害者差別解消法におきましては、この上の四角で書いていますとおり、合理的配慮を的確に行えるようにする環境の整備というものを、行政機関、事業者の努力義務としております。この環境の整備というのは、下の例のところに少し書いていますが、まず、括弧内のように不特定多数の障害者が主な対象となっていまして、携帯スロープを購入する、これは要はいろいろな障害者を念頭にあらかじめ購入しておくという話であり、あとは、施設をバリアフリー化するとか、障害者への対応ができるようにマニュアルを整備しておくとかそういったことが、いわゆる環境の整備となります。
一方で、合理的配慮というのは、こういった環境の整備というものを基礎にして行うものでありまして、個々の場面における個々の障害者が対象ということになっております。
携帯スロープであれば、段差があった場合に携帯スロープを架けるとか、バリアフリー化されているものは単に使うということですけれど、マニュアルであれば、マニュアルに基づいて対応していくということです。
資料1の6ページの右下にありますように、図で表しますと、環境の整備というのは、施設や設備、もしくは人的な資源などのリソースであり、これらの上に乗るのが合理的配慮ということでありまして、今回、検討の結果としてこの合理的配慮を義務化するとしても、この環境整備についても義務化しようとしているわけではなくて引き続き努力義務ということになります。
今あるリソース、環境の中で行うことについて義務化するという議論ということであり、ハードの整備というのは、どちらかというとこの環境の整備に関わる部分でありますので、そちらの議論が混ざらないよう留意が必要と考えております。
○日本商工会議所 杉崎担当部長 参事官の御説明は、そのとおりであろうかと思います。ただし、この環境の整備に関しまして、政府、あと、恐らく自治体でもいろいろな支援策を用意されている例もあろうかと思います。そういった支援策について、内閣府でも分かりやすく、企業、事業者に対して周知をしていくといったようなことも大事だと思います。
今回、合理的配慮、今は努力義務の段階、義務化を検討すべきであるというような記載もありますが、いずれにしましても共生社会をつくっていくということは非常に重要ですし、その前提となるのがこの環境整備ということでございますので、この環境整備に関するいろいろな支援策についても、分かりやすく周知していくというところが必要だと思います。
○内閣府 難波審議官 どうもありがとうございます。内閣府の難波でございます。
今、杉崎担当部長が仰った点も重々踏まえて、今後、作業させて頂きたいと思います。
もう一点、過重な負担のない範囲でとあるが、これが非常に分かりづらい、判断基準がないものか、具体例はどうなのだというお話もあったかと思います。ここは確かに一律に線が引けると非常に分かりやすいのですけれども、なかなかそうもいかないというのが悩ましいところでありまして、今も対応指針等を各事業所管官庁で定めて頂いているのですけれども、幾つかメルクマールがございます。事務・事業への影響の程度は、同じリクエストであっても、体力のある企業ならできる、人がいればできるけれども、人がいなければできない。あるいは、たまたま忙しければできない、他にお客さんがいなければできる。そういった非常に相対的で個別的な話がある。あるいは、費用負担の程度は、これも財務の余裕があるかないかによっても違うし、そのときの、今、新型コロナで事業が大変だという話もありましたけれども、そういった事業がうまくいっているかどうかによっても、応じる、応じられないというのは違ってくることもあるというメルクマールを、各対応指針でも書いてあるところであります。
さはさりながら、やはりここに、実際に事業者の立場として非常に懸念もあり関心もあるということは、こちらも毎回お話を伺うたびに、強く認識をしているところでありまして、どれぐらいの具体化ができるか、明確化できるかというところは、最大限努力をするということを、改めて申し上げたいと思っております。
以上です。
○(一社)日本経済団体連合会 長澤統括主幹 経団連の長澤です。ありがとうございます。
経団連としては、日本商工会議所の杉崎さんから御発言があったように、共生社会、更にはユニバーサル社会をつくっていくことを目指して、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を踏まえて取組を進めています。当然ながら、障害者の方も、その範疇に入ります。各団体から御説明があったように、障害者の方々からの個別具体的な要望に対してどう対応するのか、丁寧な対応が必要とされており、現場の方々は大変ご苦労されていることと存じます。
第51回の障害者政策委員会で長谷川から発言をさせて頂いたとおり、義務化に向けて、これまでどのような準備をしてきたか、によるのではないかと思っています。
どういうことかというと、大阪府が、今、合理的配慮の義務化を検討されていると聞いていますが、大阪府ではその前段階として、条例で事業者に啓発する責任が自治体にあることを明確にした上で、啓発キャンペーンの実施、分かりやすいガイドラインの策定など、事業者や市民の関心や理解を深めてこられました。また、体制整備の要となる広域支援相談員の配置や研修によるノウハウの蓄積、広域支援相談員による解決が難しい場合に、地域協議会があっせんの機能、検証、助言機能を持っているというようなお話もありました。そういう事業者としても安心できる体制が整備されていって初めて義務化になるということかと思い、長谷川から意見を表明させて頂きました。
その中で、先ほど消費者関連専門家会議の花田さんからマニュアルの御紹介がありましたが、広域支援相談員の相談対応マニュアルの整備なども、障害者政策委員会で委員の中から御提案があったと記憶しています。全国やブロック単位での研修による経験交流とか相談者間のネットワーク構築といったようなものも御提案されておりましたので、地域の相談力の底上げを図るということにも御尽力頂きたいと思います。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございます。
今、御指摘頂きましたような周知啓発の強化の必要性というのは、我々としても十分認識をしておりまして、これまで以上にやっていきたいと考えております。
あとは、相談体制、その他マニュアルの作成も含めて、意見書で内容に盛り込まれておりますので、我々としてもこの意見書を踏まえて具体的な対応をこれから検討させて頂きたいと考えております。
そのほか、特に何かございますでしょうか。
○(一社)日本経済団体連合会 長澤統括主幹 このような機会は何度か設けられて、より幅広い団体に意見をお伺いになられるという理解でよろしいでしょうか。
○内閣府 衣笠参事官 本日お集まり頂いたのは、この時間帯が御都合がよいということや、団体の性格の共通性のようなものも含めて考慮して、セットさせて頂いたものです。他の時間帯、日時でも、同じような考え方で調整させて頂いており、幅広い団体からご意見を伺うことを予定しています。
○消費者関連専門家会議 花田理事 消費者関連専門家会議でございます。
先ほど、冒頭、どのような取組をしてきたかというところで、時間がなかったので十分お話しできなかったのですけれども、我々はお客様からの相談を受ける窓口とか、電話でお客様と接点を持つことが多くあります。窓口に来られたときは、当然窓口に行くところのバリアフリーの設備とか、あと、カウンターに座って頂いたときに、コミュニケーションツールとして筆談でやるとか、それから、comuoon(コミューン)を使って拡張して、声を大きくする。それから、よくあるのが、手の不自由な方について代筆はできないのかと。契約なども結ぶ場合は、そういうこともございまして代筆を可とするとか。それから、目の見えない、視覚障害者の方については資料を読み上げるとか、そんなことをやっている場合もございます。
あるいは、通知物を我々がお客様のところに送る場合も、これはねんきん定期便などでもやっているのですけれども、封筒の横にくぼみを入れまして、その横に音声コードがありまして、そこにスマホをかざすと音声で読み上げるというような取組をしている企業もございます。
現在、各社いろいろ知恵を絞ってやっているのですけれども、どうやって知恵を絞っているかというと、それぞれ担当者が絞る場合もあるのですが、今、企業の中には、障害者の方が雇用されていますよね。その方に御意見を聞く。同じ企業に障害者の方がいらっしゃるわけですから、その障害者の方に、こういうことを考えているんだけれども、こういうことでどうですかとか、あるいは、うちの会社で困っていることはありますかというようなことを聞いて、それを取り入れて改善に取り組むといったケース、そういう会社もあります。
あるいは、もっと進んでいるところは、積極的に障害者団体とコミュニケーションを取りまして、そこでいろいろと御意見を伺って、障害者団体の意見を反映して、その企業の改善につなげるといった積極的な取組をしているところもございます。
ただ、先ほども言いましたように、550社ぐらいあるのですけれども、そういう取組のできる余裕のあるところ、人的資源、あるいは財政的資源のあるところ、それから、なかなかそういうことまで手が回らないところといろいろございますが、やるところはかなり進んでやっているかと思います。
冒頭、取組のところで具体的な御紹介ができなかったので、御紹介させて頂きました。
○内閣府 衣笠参事官 先ほど審議官から、消費者関連専門家会議様に同じような質問があったのですけれども、最後にちょっと確認させて頂ければと思います。
障害者差別解消法の合理的配慮の関係で、何かトラブルがあったということで、そちらまで上がってきたりした事例というのは、結構あるものなのでしょうか。
○消費者関連専門家会議 花田理事 具体的に、そういう相談が上がってきたりとか、そういうことが話題になっているというのには私は接したことはございません。
よくありますのは、我々これだけ会員会社がありますので、ある会社が対応に困った時に、他の会員企業に電話して聞いてみることがあります。そして、こういうトラブルがあったけれども、こういう時はどうするのですかというようなことを聞いたり、自主研究会という研究会が10個ほどございまして、そこの仲間同士で意見交換をするというような、オフィシャルではない中での意見交換はあるので、そういうところでされているのか分かりませんけれども、何か上がってきたりということは、私は承知しておりません。
4 閉会(省略)