障害者差別解消法の見直しの検討に関する事業者団体合同ヒアリング(10月21日)議事録

令和2年10月21日(水)
10:30~11:37
中央合同庁舎8号館1階講堂

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○内閣府 衣笠参事官 それでは、お配りしている出席者一覧の記載順に御発言をお願いしたいと思います。
 まず、全国商工会連合会様から、よろしくお願いいたします。

○全国商工会連合会 土井課長 全国商工会連合会の土井と申します。よろしくお願いします。
 今日はこのようなヒアリングの場を設けて頂いて、ありがとうございます。着座にて発言をさせて頂きます。まず、具体的にヒアリング事項にお答えする前に、簡単に私ども商工会の概要について御説明をしたいと思います。
 商工会というのは全国の市町村を主な単位として、全国に1,650か所程度ございます。そこで事業を営む主に中小企業、小規模事業者、ほとんどが小規模事業者とお考え頂ければと思いますが、その方たちを会員にして地域ごとに成り立っている組織でございます。
 商工会のもう一方の側面としては、本日は中小企業庁がいらっしゃいますけれども、国、あるいは都道府県の支援を受けて、その地域の小規模事業者に関する経営支援を行う組織といった二面性を持った組織でございます。
 もう一つは、商工会の地域特性についてでございます。私どもと商工会議所は、同じように中小企業を中心とした事業者団体でございます。私どもと商工会議所とは似たような組織ではございますが、エリアを一切分けているということで、重複している地域がなく、日本中のどこかが商工会議所のエリア、あるいは商工会のエリアと区分をされます。中でも、商工会のエリアの特徴として、平成の大合併前の旧町村部が主であるといったところでございます。ですので、面積が広くて人口が少ない過疎地域、中山間地域、あるいは離島なども含めて商工会のエリアとお考え頂ければと思います。
 地域団体でございますので、業種については多様な業種がございます。主要4業種でいうと、製造業、建設業、小売業、サービス業が中心ですが、細かく分ければかなりいろいろな業種の方が、それぞれ加盟をされているといったような状況でございます。
 こういった地域特性もございまして、今回のテーマである合理的配慮だけではなくて、障害のある方に対する対応といったところも都市部とは違ったような特徴があると思っております。やはり人口減少地域ですので、障害のある方というのも貴重な労働力として、我々の会員企業などでかなり積極的に雇用させて頂いているような事例もございますし、地域の障害のある方が通われる施設ですとか、特別支援学級などの施設があることも結構多く、そういった施設に会員企業から仕事を発注するといった取組などをかなり積極的にやっております。
 また、中小企業ということもあり、小回りが利きますので、そういった方たちの生活の不便を解消するような器具やサービスであるとか、あるいはもっと生活を楽しくするような衣類などの開発をやっている企業というのも会員に数多くございます。
 私どもは毎月機関誌を発行しておりますが、障害者というキーワードで検索すると、毎月のように何らかの事例を御紹介しているというぐらい、ある意味身近で、連携なり、逆にサービスを利用して頂けるお客様として、お付き合いをしているところであり、この法律が施行される前から良好な関係を築けているのかなと自負しております。
 そういった状況を御理解して頂いた上で、私どもの団体の意見を申し上げさせて頂きたいと思いますが、資料3「事業者団体に特にお伺いしたい事項」に沿ってお答えをしていきたいと思います。
 まず、合理的配慮の義務化について、どのように考えているのかといった本題の部分でございますが、私どもの意見としては、現段階での義務化というのは早急であると考えているところでございます。もちろん法律の趣旨である差別を解消していくこと、それについて、事業者としても社会的責務を果たしていかなければならないといった趣旨は十分に理解をしておりますし、先ほどお話ししたように、既にこの法律にかかわらず、各地で様々な形での連携なり対話というのをさせて頂いているところではございますが、世の中全般的に見ると、まだまだこの法律の趣旨であるとか、それこそ、合理的配慮といった言葉の理解も十分には進んでいないというのが現状であると思っております。
 例えば既に条例で義務化されている東京都で今年公表された調査、モニター調査などを拝見させて頂きますと、やはりまだ7割以上は、この合理的配慮という言葉を御存じないといったような実態があります。そういった中で、我々としては、もっと世の中に合理的配慮という言葉や考え方のみならず、差別が解消されなければいけない、あるいはそのために事業者のみならず、国民全体が努力しなければいけないといったことをもっと啓発して頂くことのほうが必要ではないかと思っております。
 国民全体での理解が十分に進んでいない状況で、事業者だけに責務を課すことについては、尚早ではないかと思っております。
 また、報告書も読ませて頂きましたが、例えば、具体的にこういう差別が横行している、合理的配慮が行われていない、という事例が多く発生していることから、義務化しないと状況が発展しないといった御意見もほとんど見られず、障害者権利条約との整合性であるとか、あるいは法施行してそれなりに時間が経ったのだから義務化をするべきであるといった御意見が多かったように見受けられますので、こういった御意見だけをもって事業者のみに義務を課すというのは納得を得られないのではないかと思っております。
 2番目のところでございます。業界で困ったことがあるかという御質問でございますが、正直我々も先ほど申し上げたように、個別の業界といったわけではなく、そういった調査自体も実施しておりませんので、こちらの御質問についてはお答えするような具体的なものを把握しておりません。
 3番目につきましても、先ほど冒頭のところで合理的配慮なのかどうかといったところは別として、数多く連携させて頂いている事例があるといったことで、それなりに取組は進んでいると考えております。
 以上、雑駁ではございますが、我々からの意見とさせて頂きます。また御質問等があれば、後ほど頂ければと思います。本日はどうもありがとうございました。

○内閣府 衣笠参事官 続きまして、日本ショッピングセンター協会様よろしくお願いいたします。

○日本ショッピングセンター協会 村上参与 日本ショッピングセンター協会の村上でございます。本日は貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございます。
 リモートなものですから、ちょっとお聞き取りにくいところがあるかと思いますけれども、その場合は御指摘を頂ければと思います。
 本日の議題につきましてお答えをする前に、当協会のことについて、取組の状況も含めまして、簡単に御説明をさせて頂きたいと思います。ショッピングセンター業界というのは、皆様御存じのように、戦後新しくアメリカを中心とした海外から導入された事業形態ということで、現在全国にショッピングセンター協会で認定する基準に沿った施設としては、約3,200の施設が北海道から沖縄までございます。
 現在、ショッピングセンターが我が国で開業してから大体50年が経過をするということで、後ほどちょっと申し上げますけれども、私どもの業界の中で一つの課題となっております古い施設、小規模の施設のいろいろなハード面、ソフト面を含めての対応、これが今一つ大きな課題になっているということ。それから人口減少、お客様が減ってきているという実情がございますので、それと併せて、その裏返しとする都市部への人口集中、これらの影響を受けて、特に地方を中心として古いショッピングセンター等の閉店が最近散見されるような状況になってきているというような背景がございます。
 今回の件につきましては、最近建設されました比較的新しいショッピングセンターにおいては、障害者対応についてハード面でのバリアフリー化等については、相当進んでいると私どものほうでは把握しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、できて数十年たつ古いショッピングセンターにおいては、建物の基本的な構造から手を加えないといけないような部分もございますので、最低限のバリアフリー化までしか達成しきれていないという現状もございます。
 これが今後、施設のリニューアル等を行うに当たって、各ショッピングセンターで対応して頂きたいということで、協会での一つの課題になっております。
 一方、ハード面に対してソフト面のところから申し上げますと、ショッピングセンターの運営面にかかるお客様の接遇の関係については、協会でユニバーサルデザイン2020行動計画で取り組む心のバリアフリー、これを体現して具体的に行動することを目的とした接遇マニュアルを作成して会員に周知をし、活用を図ってもらっているような状況になっております。
 この接遇マニュアルなのですけれど、私どもの協会のホームページでも公表しておりますけれども、オリパラ組織委員会において作成をされました「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」を取り込みつつ、障害者差別解消法の理念を十分に取り込んだ形、かつ具体的な経産省の指針等も踏まえて作成をしてございます。ショッピングセンターの中で、全てのお客様が安心して快適に利用して頂けるような環境づくりに取り組んで頂けるよう、施設運営者であるショッピングセンターのデベロッパー企業、運営企業と中で営業を行っておりますテナント企業の両者で活用できるようなお客様対応マニュアルとして作成をいたしております。
 協会においては、この接遇マニュアルの会員企業への活用促進のために、協会で毎月発行いたしております月刊誌への掲載であるとか、セミナーでの会員への周知、それから、当協会の会員団体でございますサービス介助士の試験団体である公益法人等との連携を行って、これの普及活動等にも力を入れております。そういう取組を当協会としては行っております。
 先ほど申し上げたことにも関連するわけなのですけれども、当協会の課題といたしましては、開業して50年経つということで、古いショッピングセンターのハード面での対応が大きな課題となっているというようなことが一つ。
 もう一つは、最近特に頻発しております災害時の対応、ショッピングセンターは地域のライフラインとして、災害時に一時避難場所等で活用されるケースも非常に多いというようなこともございます。当協会では、今年東京都さんと災害時の防災協力を締結いたしまして、具体的な取組を始めたところでございますけれども、災害時に一時避難等でショッピングセンターを御利用になる場合に、健常者のみならず障害者の方にも分け隔てなく対応が可能なような措置を、今後どういう形で取り組んでいくのかということを、今、喫緊の課題として検討しているという状況になっております。
 ショッピングセンターはそういう状況でございまして、非常にたくさんの方が御利用される施設でございます。そういう面で、ハード面についてはバリアフリー法の規程等もございますので、積極的に改修等に取り組んで対応いたしておりますけれども、なかなか先ほど申し上げましたように、古いショッピングセンター等もございまして、かつ規模的に資本力等が十分にある企業、ない企業とばらばらでございます。そういう意味で、なかなか一律にある一定水準以上を全てが網羅するという形になっていない部分がございますけれども、その点については、ショッピングセンターがリニューアル等を行っていく中において、逐次、できるところから改修を行って頂くということで、協会としては要請をしているという状況にございます。
 ショッピングセンターの状況は今申し上げたとおりでございます。
 それでは、具体的にお伺いした事項ということで、頂いた御質問についてのお答えをさせて頂きたいと思います。
 まず、1点目の合理的配慮の義務化について、どのように考えているかということでございますけれども、これにつきましては、先ほども全国商工会連合会さんからもお話がございましたように、なかなか事業者が一律にこれに対して対応するということが、事業者の規模、それから、経営状況等を含めてなかなか難しい部分もあるということで、期間が3年経過したから義務化をするということは、法の趣旨からして分からないことはないのですけれども、事業者への理解の促進であるとか、具体的な事例の蓄積等の共有を進めていくという委員の皆様の御意見がございますけれども、そういう作業をもう少し深掘りしして頂いた上で、事業者の理解をもう少し進めるような形で、義務化について御検討頂ければということでお願いできればと考えております。
 合理的配慮の義務化に当たっては、いずれ対応せざるを得なくなるというのは十分理解しておりますので、そういう状況判断をした上で、実施するに当たっても、より取り組みやすいような形で、例えば段階的な義務化の進め方をするであるとか、そういうことも併せて行って頂ければと考えております。
 それから、2点目に関することでございますけれども、私どもは業界団体でございますので、会員さんからいろいろな御意見等が上がってきております。この場でお話をするのもなかなか憚られる点もあると思いますので、1つだけ申し上げておきたい点がございます。これは専門家による相談や助成金等の支援ということを障害者政策委員会の中でもお話が出ておりますけれども、事業者として具体的に障害者の方とのいろいろな課題・問題等が生じたときに、どういう取組、どういう解決方法をとればいいのか、それを誰にどういう相談をすればいいのか、なかなか分かりにくいということがございます。
 このあたりが分からないことによって、かえって積極的な解消の方法をとろうとしても、なかなか前に進まないという現実があるというお話を聞いております。その辺りについて、具体的な対応事例であるとか、具体的な相談先、そういうものをもう少し周知するように進めていったらよいのではないかと思っております。
 2点目は、今言った点と重複しますので、今の説明ということにさせて頂きます。
 3点目の合理的配慮についてどのような取組をしてきたかと、業界でどれくらい取組が進んでいると考えているかということでございますけれども、どのような取組ということで申し上げますと、先ほど申し上げましたハード面については相当部分進んでいるかなという感想を持っております。実は私は古い施設については先ほど申し上げましたような事情によって、なかなか進んでいない部分がございますので、その辺りについて、できればいろいろな助成措置等を含めて御検討頂ければと考えております。
 協会としては、先ほど申し上げましたように、ソフト面においてはマニュアル等を作成することによって、心のバリアフリーへの取組の促進を図っているであるとか、いろいろなセミナー、それから、月刊誌等での周知活動等を行って、会員に意識の醸成を図っているという形になっております。
 業界全体としましては、新しい商業施設については、逆に皆様の御参考になるようなレベルも含めて、ハード面においては整備が進んでいるという点もございます。
 一方、ソフト面については、まだまだいろいろな知見等の蓄積が進まないということもございまして、このあたりについてはいろいろな経験値等も含めて、そのようなマニュアル等をより充実させるものに今後改定をしていかなければいけないかなと考えております。
 最後の見直しについての御意見の部分でございますけれども、これは1点、お願いございます。先ほどショッピングセンターの機能ということについてちょっと触れさせて頂きましたけれども、災害時等の一時避難場所も含めて、ショッピングセンターの社会的に求められている機能というのが非常に多くなっているということもございますので、これを義務化に進めていくに当たっては、特定の企業がコストを丸ごと負担するということではなく、やはりそういう施設の社会的な役割とかそういうものも十分御配慮頂いた上で、社会全体でコスト負担する法設計等をお願いできればと考えております。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございます。
 続きまして、全国石油商業組合連合会様、よろしくお願いいたします。

○全国石油商業組合連合会 坂井常務理事 本日は、このような貴重な機会を頂きまして、誠にありがとうございます。私は今御紹介頂きましたように、全国石油商業組合連合会の坂井信と申します。本日は、どうかよろしくお願い申し上げます。
 私どもの団体は、全国のガソリンスタンドさんが主に加盟している事業者団体でございまして、意見を述べる前に、今日お手元に資料4「団体提出資料:全国石油商業組合連合会」として御用意してございますので、まず我々の業界の現状ということで簡単に御説明した後、意見を述べさせて頂ければと思います。
 資料4の1ページ目にございますように、SS(サービス・ステーション)事業者の大半は中小企業者いうことでございますし、横の2番目にありますように、7割以上は1つのSSだけ運営している中小、小規模の事業者が主な固まりになってございます。下の方にまいりますと、赤字がやはり4割ぐらいございまして、大変経営状況が厳しいというような話、また今後、廃業を検討している事業者が1割程度存在するというようなこともあります。
 御案内のとおり石油需要というのは年々、高齢化等、あるいは人口減少、また、EVですとか、いろいろと新しいモータリゼーションも入っておりますものですから、需要が減少していくという中で、なかなか厳しい状況にあります。
 また、裏面でございますけれども、いわゆる人材とかのお話でございますが、ここにありますように、人材確保の課題として、募集しても従業員が確保できていないという回答が72.1%ということでございますし、後継者がいない等の問題もございまして、人材確保、あるいは人手不足ということも非常に厳しい現状にあるというところでございます。
 そういう業界ではございますけれども、これからちょっと若干意見を述べさせて頂きます。私ども石油販売業界といたしましては、企業の社会的責任において、障害者差別解消法の規定にのっとりまして、全国、今ありますように約3分の1がセルフのSSになってございますけれども、障害があるお客様から給油協力という御依頼があった場合は、その実施において、負担が過重でないときは、できる限り対応に努めているというのが現状でございます。
 御案内のとおりSSというのは危険物施設ということで、消防法上、構造ですとか、設備に対して規制をされてございます。セルフSSにおきましては、給油監視業務と申しますけれども、給油許可をする者が最低1名常駐するという義務もございます。
 また、セルフSS自体のコンセプトでございますけれども、給油行為をセルフサービス化するという、お客様自ら給油するということで、必要最小限のスタッフで運営するというのが基本的なビジネスコンセプトであるということもございまして、セルフSSの中には、常駐スタッフが1名というような形で運営しているSSも多々ございますし、スロープとか、車椅子対応トイレといったような設備がないSSも多いわけでございます。
 義務化の範囲がどこまでかという議論に関連するのですけれども、仮に給油協力以外、それのみではなくて、そうした設備の対応も必要ということになりますと、新たに設備投資が必要だとかということで、なかなかSSの経営上、大きな負担になるということが懸念されるところもあるかと思います。
 一方で、現在、石油元売、ENEOSさんとか出光興産さんとかコスモ石油さんがございますけれども、石油元売さんの中では、当然ながらホームページでSSの検索サイトを運営されております。例えばENEOSさんですが、今年の4月からSSの検索サイトの中で障害者対応の設備ということで、スロープと車椅子可能トイレをお持ちのSSについては、そのアイコンを設けさせて頂いて、そこのアイコンで検索することができるというような形で、障害者の方々の利便向上にも努めてございます。
 また、お客様相談室といったものも設けておりますので、障害者の方を含むお客様からの御意見等を頂戴する窓口も御用意してございます。そして、SSのスタッフに対する啓蒙ということで、ENEOSさんとか出光興産さんではポスター、チラシ等を御用意させて頂いて、SSのスタッフにも今の障害者差別解消法の合理的配慮の努力義務のところを御案内させて頂いたりして、スタッフの啓蒙にも努めているところでございます。
 私ども販売業界といたしましても、企業の社会的責任ということを受けまして、やはり障害者差別がない社会の実現に向けて取り組んでまいりたいということでございます。障害があるお客様から合理的配慮を求められた場合におきましては、引き続きその実施に伴う過重な負担でないときには、できる限りの給油協力のサポートに努めてまいりたいと思っております。
 他方、SSには先ほど申し上げましたように消防法上の規制もございますし、現在、SSの4割は赤字という中小・小規模事業者ということでございまして、我々のこういう厳しい経営状況におきましては、やはりそういうソフト面・ハード面等で対応が難しいSSがあるというのも事実であろうかと思ってございます。したがいまして、一部のセルフSSにおきましては、義務化された場合は、セルフSSの基本的なビジネスコンセプトもございますので、障害者の方への給油の協力に十分に御要望にお応えできないというようなケースも想定されますことから、合理的配慮の提供の義務化につきましては、今般、現状の努力義務の継続というものを希望するところでございます。
 なお、合理的な配慮の提供につきましては、改めて、全国のセルフのSSの方々に対しまして、周知並びに啓発に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

3 意見交換

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 それでは、残りの時間で意見交換をさせて頂きたいと思います。本日は日本ショッピングセンター協会様がオンラインで参加ということでありますので、どなたが御発言されたか分かるように、最初に発言の際に団体名を仰って頂ければ大変有り難く存じます。
 今、各団体の皆様から御発言を頂きましたが、言い足りなかったことでありますとか、あとは内閣府に御質問やその他御意見がある方は挙手等お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、内閣府の方から少し補足の説明だけさせて頂ければと思うのですけれども、資料1「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の概要と見直しの方向性について」の5ページを見て頂ければと思います。
 こちらは合理的配慮の提供についての説明資料となります。念のためということでありますけれども、こちらの上の四角で記載のとおり、行政機関と事業者は事務・事業を行うに当たり、障害者から何らかの配慮を求められた場合、過重な負担がない範囲で社会的障壁を取り除くために必要かつ合理的な配慮を行うということでありまして、あくまで過重な負担がない範囲、必要かつ合理的なものということです。もし仮に義務化をするといたしましても、この部分の変更は恐らくないわけでございます。
 ですので、あくまで今そこにあるリソース、人手や設備でありますとか、今あるものの中で可能な範囲で行うという趣旨のものということは、念のため申し上げておきたいと思います。そのため、小規模な事業者の方も、その有している施設や設備、人手、そうした中で可能であるものが前提になっております。
 それから、その次の6ページで、環境の整備についての御説明の資料も入れておりますが、こちらも少し御説明をさせて頂ければと思います。障害者差別解消法におきましては、合理的配慮を的確に行えるようにする環境の整備というものが行政機関、事業者双方の努力義務とされております。
 環境の整備というものは何かと言いますと、この四角の中でも括弧で書いていますが、不特定多数の障害者に向けた事前改善措置ということです。
 具体的な環境整備の例ですけれども、要は今目の前に障害者がいて、その人に対応するということではなくて、障害者が来た際に対応できるようにという事前の対応であり、不特定多数の障害者を主な対象として念頭に置いたものでありまして、携帯スロープを購入しておく、誰か来たときに対応できるように、そういうものを買っておくということであるとか、施設をバリアフリー化するということ、対応できるようにマニュアルなどを整備して、研修も実施しておくといったことなどです。こういったことが環境整備ということで、あくまでも不特定多数を主な対象とし、誰かが今目の前にいるのではなくて、誰かが来てもいいようにというものです。
 一方で、今回義務化するかどうかという話が出ていますのは、合理的配慮についてですが、そちらは個々の場面における個々の障害者が対象ということでありまして、例えば携帯スロープの例ですと、段差があった場合に必要に応じて携帯スロープを架けること、要は個々の状態に応じて、Aさんには必要がない可能性がありますけれども、Bさんのときは架けた方がいいということであれば、Bさんには携帯スロープを架けますよということです。あとは、バリアフリー化の対応は、そのまま設備で対応できると思うのですけれども、マニュアルであれば、それに基づいて個々の状態に応じて何らかの対応をするということです。
 次に、下の図にありますとおり、環境の整備というのが基礎となる部分です。リソース、インフラ、こういったものを基にして可能な範囲で対応するというのが、図の上に乗っています個々の対応であり、Aさんへの合理的配慮、Bさんへの合理的配慮という部分で個々の場面に応じた対応ということです。
 バリアフリー化の話も一部御意見等でございましたけれど、バリアフリー化は下の環境の整備の部分であります。あくまで上の部分、個々の対応を過重な負担のない範囲で行うことについて、義務化をするかどうかということですので、もし合理的配慮を義務化するとしても、それで直ちに何か施設の改修や設備の購入などが義務になるといったことではないということは、念のために御説明をさせて頂きたいということです。
 補足として説明は以上です。何か御意見、御質問等ありますでしょうか。

○全国商工会連合会 土井課長 全国商工会連合会でございます。
 今御説明頂いた合理的配慮の内容については、十分理解しているつもりでございますが、事業者の立場から言わせて頂くと、まさしくその合理的配慮という概念ができる前から、障害者への対応というのを進めておりまして、そこと合理的配慮と何が違うのかといったところは、利用される方、事業サービスを提供する事業者の双方で、何が正しい合理的配慮なのかといった概念や共通認識がまだ十分にできていないのではないかと考えております。義務化となると事業者が何を一番に考えるのかというと、義務を果たしていないのではないかと指摘されるリスクを想定しなければいけないわけです。そういった場合に、何がその事業者にとって正しい合理的配慮かといったところは、正直世の中的にも我々でも何が正しいのかといったところがまだ分からないような状況であると思っております。
 当然、私たち小規模事業者の団体からすれば、そんなものは全部合理的配慮です、うちは人がいませんからそのような要請は全てお断りしますと言ってしまえば済むのかもしれませんが、世の中はそれで済まないと思います。義務化されているにも関わらず、あそこは検討もせずに人がいないからと断ったと言われてしまうリスクを考えなければいけないといったことでございます。
 そのため、単純にルール上は、事業者はちゃんとした説明をすれば、その要請を断ることはできるといったものが法律上定められているというのは分かりますが、それだけでは済まないのではないかといったことまで含めて、事業者としては限られた人員、あるいは設備の中で、何ができるかをその時々で考えてやらなければいけないという、非常に難しい対応を今の努力義務の中でも強いられているといった点については、御理解を頂ければと思っております。
 もちろんできる限りの努力義務というのは、我々の会員としても果たしていくところには変わりはないと思いますが、今、単純にそこを義務化しましたと言っただけでは、事業者は防衛に入ってしまい、逆に事業者の創意工夫も止まるおそれがあります。今までは努力義務なのである程度工夫して対応できる範囲でやってきたところですけれども、確実に提供できる範囲しかやらないといったことになりはしないかといった懸念も併せて持っていることだけはお伝えしたいと思います。
 以上でございます。

○内閣府 難波審議官 内閣府の審議官の難波でございます。冒頭の3団体からの御説明も含め、大変ありがとうございます。
 平素から、あるいは以前から個々の顧客なり障害者への対応について、いろいろと意を尽くしてやってきているという、その大前提の中で御意見を賜ったということで、改めて認識をしたところであります。
 なかなか個別性が強い話ではありますので、合理的配慮とこれまで各事業者がやっている、いわゆるおもてなしといいますか、何かリクエストがあったときの対応と何が違うのだという話になりますと、厳密に法律的にどうこうというのは難しいですけれども、ある意味ほぼ重なると考えることもできると思います。ものが見えにくいという人に、見えるようにちょっと近くにとか、声が聞こえにくいという人にはちょっと大きな声でお話をするとか、そういったものも含めて、ある意味ここでいう合理的配慮でありますし、それぐらいは過重な負担ではないでしょうということなのだろうという理解をしております。
 その上で、現行上は努力義務で、それの義務化を検討すべしとなっていますけれども、今対応している中で、過重な負担でないにもかかわらずできていないということがあるのであれば、それは義務化になったときに義務を果たしていないと判断される可能性はあると思いますけれども、逆に、今対応していて何か問題が発生していることが特段ないのであれば、これまでのそういった個々のケースバイケースでの取組をされていく中においては、何か義務を果たしていないということには、基本的にならないのだろうと思っております。
 人手の話もございましたし、あるいは事業規模の話もございました。経済産業省の指針も御覧頂ければと思いますけれども、事業の規模によっても、できること、できないことの線引きというのは変わってくるということが、合理的配慮の一つの考え方であります。
 また、何かお困りごとがあったときに、どこに相談したらいいのか分からないというお話も頂いたかと思いますけれども、非常に重要な御指摘だろうと思います。ケースバイケースの判断になることから、あらかじめ何かマニュアルがあって、それで白黒つけられるものではないという性質のものですので、何かあったときに相談できると非常に心強いということなのだろうと思います。
 その点につきましては、政策委員会の意見書などでも指摘もございますし、我々としても義務化の検討だけではなくて、併せて相談にしっかり応じられるような体制、これは国がというだけではなくて、やはり身近な都道府県とか、あるいは基礎自治体、市町村を含めて、そういったところでつくるネットワーク、そういったものも含めて相談しやすい、あるいは相談が機能する仕組みというのは大事なのだろうなと思っているところです。
 他方で、この合理的配慮、あるいは障害者差別解消法というのは、御案内のとおりと思いますけれども、国連の障害者権利条約の批准に伴ってできたという経緯もございます。条約そのものでは国・地方公共団体と民間の事業者の間で差は設けていない。合理的配慮というのは両方に同じように義務という形になっている。
 ただ、3年前の法施行の段階で、民間事業者については努力義務でスタートをさせて頂いたわけですけれども、条約の流れからすると全体を義務化するのがより整合性がとれるのではないかいう判断でございます。それは障害者政策委員会の意見書の判断であって、それを踏まえて、御意見を伺いながら、その法制化に向けるかどうかというのを、今まさに検討させて頂いているというところであります。
 その中で、周知啓発という話もございました。こういった点につきましても、これまで我々としても努力している部分もあれば、あるいは足りなかった部分もあるのだろうと思います。そういったものもセットで今後取り組んでいくことになろうと思います。周知啓発などは、できることは先行してやることはやりたいと思っております。その中で、具体的にこういうのが欲しいのだといったものがあれば、また御意見として頂ければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。

○内閣府 衣笠参事官 御意見等、もしくは御質問等、何かございますでしょうか。
 実態についてもお伺いできればと思うのですけれど、石油商業組合連合会様で、例えば合理的配慮の関係でトラブルが起きたとか、何かそういったことはございますか。

○全国石油商業組合連合会 坂井常務理事 トラブルと申しますか、例えば私どもの元売さんは現状でENEOSさんとか出光興産さんとか5社ございますけれども、先ほど申し上げましたように、お客様相談室というのを設けてございます。
 2019年のデータですが、全体の相談で約5,800件、5,793件頂戴している中で、こういったセルフSSにおける障害者の方々からの御意見というのは21件あったということでございまして、パーセントにすると、毎年平均すると0.5%ぐらいということなのだと思うのですが、その中に、やはりセルフSSで車椅子に乗っているということで、御案内かもしれませんが、計量器のところに例えば油種を選択するとか、カードを入れる口とかそういうもののタッチパネルがあるのですが、カードの入口に車椅子に乗っていると届かないということで、そのような形で困ったときにはこの番号に電話してくださいとか、そういった電話番号を用意するというようなサポートもやってもらいたいとか、そういう相談が昨年でも21件ということですが、障害者の方々からの御意見等々もございます。
 一方で、やはり車椅子に乗っている方なのですけれども、SSスタッフの方が毎回ご来店されるということでよく覚えて頂いているということもあるのかもしれませんが、セルフSSですけれども、積極的に給油をサポートしてくれて感謝しますというような御意見も頂いております。そういう形でお客様相談室なり、あるいは現場においても対応をしているというような現状かなと思ってございます。

○内閣府 衣笠参事官 日本ショッピングセンター協会様、先ほど個別の具体例はなかなか言いにくいのでということですけれども、お話しできる範囲で何かなかなか難しかった事例はございますか。

○日本ショッピングセンター協会 村上参与 障害者の立場からのいろいろな御意見と施設を運営するスタッフ側からの困りごとは当然ながら両方あるのだと思うのです。
 障害者の方からのいろいろな御意見等については、今回障害者差別解消法の関係でこういうものを用意して頂いて、いろいろな御意見を皆さんから御聴取頂いているのですけれども、例えばバリアフリー法の関係で言えば、小規模店舗の中に車椅子が入れないという障害者の方からの強い御要望があるということで、具体的に例えばバリアフリー法の見直しのいろいろな作業をやっているとか、あとは飲食店、ショッピングセンターの中にあるレストランとか、食品を販売しているところが結構多いのですけれども、介助犬の受け入れについて、なかなか受入れが進んでいないので、受入側から断られてトラブルになるケース、逆にその辺りについての告知を含めて、十分な受け入れ側の用意がされていないということでトラブルになったりというケースがあったりします。
 それから、ケースとして一番多いのが、ショッピングセンターは大規模な駐車場を持っていますので、障害者用の駐車スペースを確保すると決められていますので、そちらに障害者ではない方が停めて、障害者の方が駐車できないというようなトラブルが結構多いということで、別の部署でパーキングパーミット制度等についての御検討を頂いていますけれども、例えばそういうものをもう少し、これは私見の部分があるのですけれども、例えば義務化も含めて、もう少し進めていくとかいうようなことはあるのかなということで、多様な障害者の方の御意見を、もう少し幅広に捉えた上でどういう対応が必要なのか、何が対応できるのか、そのあたりを少し踏み込んで議論したほうがいいのかなという感じを現場の声として聞いた限りは感じております。
 それから、やはりスタッフ側の困りごとという点も当然ながらあるわけです。これは特にショッピングセンターのスタッフとして若い女性が多く勤務をしているということがあって、例えば特定のスタッフに対して接触を行うということで、なかなか困りごとではあるのだけれども、そういうものを具体的に誰にどう相談したらいいのかと、なかなかデリケートな問題なので難しいということもあったりして、現場での障害者の方とスタッフとのいろいろなトラブルも含めての対応というか困りごとを実際に間に入って、アドバイスをして頂けるとかいうようなことがあると非常に助かるかなと。
 実際に例えば警察であるとか、そういうところと相談してもなかなか御理解を頂けない部分もあったりして、現場を運営する者としては、そういう困りごと等もあったりするということで、対人関係から生ずるそのようなトラブルについて、何らかの相談窓口等を設けて頂けると非常に有り難いなと思っております。
 以上です。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 全国商工会連合会様はかなり取り組んで頂いているようなお話でありましたけれども、同じようなそういった困りごとみたいなものは何かございますか。

○全国商工会連合会 土井課長 特段そういった調査等をやっておりませんが、少なくとも我々のところに聞こえてくるほどトラブルが出てきているといったお話は特段ないです。しかしながら、当然、今御発言された2団体の事業者は、我々の会員も結構いらっしゃいますので、同じような話というのは当然あるのだろうなと思っております。
 1点思ったのは、やはり我々事業者で対応しなければいけないトラブルというのは当然あるわけなのですが、トラブルの要因というのは、事業者、それから、利用される障害者の方ともう一つ、同じ施設を利用される一般のお客様というところの要因というのがあろうかと思います。その観点を考えずに、やはり事業者対障害者という考え方のみでは、この問題というのは解決しないと思います。今の駐車場の利用の話などはまさしくそうですし、例えばよくある話で、飲食店などで車椅子の方が利用されるときに、たまたま既に車椅子が入れるスペースに別のお客様を御案内していたといった場合に、移動してくださいといったお願いをして理解されないといったケースもございます。
 事業者としては、できる限りの合理的配慮をしようとしたのだけれども、他のお客様との関係で、実際には御満足頂ける対応ができないといった場合もございますので、そういった点からも、事業者だけに義務を課して、なおかつ一般の方の理解が進んでない状況というところが、我々としては引っかかっているといったところだと思います。
 以上でございます。

4 閉会(省略)