障害者差別解消法の見直しの検討に関する事業者団体合同ヒアリング(10月26日)議事録

令和2年10月26日(月)
10:30~11:53
中央合同庁舎8号館1階講堂

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○内閣府 衣笠参事官 それでは、全私学連合様、よろしくお願いいたします。

○全私学連合 小出事務局長 全私学連合の小出と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 私は、昨年12月の「障害者政策委員会」の会合にもご案内をいただきまして、その場で私立学校の現況、あるいは私立学校教育の本質と申しますか、さようなことを絡めた障害者支援に関わる論点で発言をさせていただきました。この間の政策委員会の御検討の中で、そうした辺りを参考にして検討されてきたことに心から敬意を表したいと思います。
 本日もまたかようにお声掛けを頂戴いたしましたことにもお礼を申し上げておきたいと思います。
 私の基本的な線は変わらないのであります。私学教育は心の教育を行う場、魂の教育を行う場でありまして、それらの教育はこれからの新しい日本の時代、つまり成熟化した日本社会の中のありようを目指していくものでもあります。そのありようの中にあって、少なくとも障害のある方々と障害のない方々とが共生して、共に人間社会をつくってまいる、共生社会の思想を現実化させていくということは当然の事柄であると理解いたしております。強い者も、弱い者も共に手を携えて、様々な人類社会の課題を克服していかなければならないと考えているものです。
 本日は、私は資料4「私立学校の振興と充実は、我が国の礎」を持参いたしました。全私学連合は昭和30年、1955年に創立されまして、私立の幼稚園から学校階梯、初等教育、中等教育、後期中等教育、高等教育の私立学校全体を包含する団体です。それぞれの団体の中にあって、冒頭に私が申し上げた共生社会実現のための心の教育、とりわけ看護・介護等の支援マインドを養成する人間教育が行われているということを冒頭に申し上げたいと存じます。
 同時に、前回も指摘を申し上げたのでありますけれども、私立学校は経営組織体でございます。とりわけ財政的な側面を鑑みますと、私立大学の財政の収入の部の8割が学生の授業料収入と学生納付金収入ということになっています。様々な政策を打って出ますときに、その辺りの制約が存在することもまた事実です。
 したがいまして、そのような教育機関として目標といたすもの、しかもそれを現実、実態として推進する際の基本的な問題点といったものが両々クリアされながら、今般の障害者支援の形が順調な形で進められていくことが極めて重要であろうと考えています。
 お手元の資料4「私立学校の振興と充実は、我が国の礎」の2枚目以降のところに、JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)がまとめましたデータでありますけれども、障害のある学生の在籍者数の推移ということで、平成27年度からオレンジ色の「精神障害」を加えておりますから、数がぐんと増えているのでありますが、平成18年から令和元年度までの障害者学生在籍者数のグラフに御注目を頂戴したいと思います。特に私立大学の対応の仕方については、2枚目以降の私立大学が大いに対応してきている点をご覧いただきたい。
 後ほどの質疑応答の時間にあっても、幾つかお尋ねしたいこともあります。時間が限られていますので、あとは結論を端的に申し上げたい。
 私立学校の特性は、建学の精神があり、教育の方針・目標が皆さんそれぞれ違っています。したがって、障害者支援に関する事柄についても、学園の方針として建学の精神にダイバーシティー・インクルージョン教育の重要性を宣言として謳い込んでいる大学もありますし、都内の大学などでは、最近の傾向として、ほとんどの大学がこのインクルージョン宣言をしながら進めてきているという状況、実態を承知しています。
 いずれにいたしましても、共生の思想に基づいて、障害者支援を共々につくり上げていこうという基本的な方向に関しては、教育機関は皆々異存のない話であろうと思っております。
 以上、雑駁でありますが、お話をさせていただきました。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 続きまして、私立特別支援学校連合会様、よろしくお願いいたします。

○私立特別支援学校連合会 大出会長 私は私立特別支援学校連合会の会長を務めております、群馬県の支援学校若葉高等学園の校長の大出と申します。よろしくお願いいたします。
 全国でおよそ1,150校の盲・聾特別支援学校が存在しますけれども、その中で私立の特別支援学校は僅か13法人14校で成り立っております。それについて意見をさせていただきます。
 まず、意見としてまとめたものなのですが、共生社会の身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者が障害のない者と同時に社会で暮らしていくのに必要な合理的配慮というものは何なのかということを考えてみました。
 まず、身体障害者ですけれども、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱・虚弱等、それぞれ障害に対応した配慮については進んでいるという印象を受けます。例えばスロープ、駅ホームの転落防止、ユニバーサルデザインなどです。
 それから、知的障害者ですけれども、知的なハンディというと社会生活能力の脆弱さがありますので、分かりやすい社会の仕組みが共生社会の実現には必須でないかと考えます。
 本校においては、作業学習では体験を通して就労の義務を伝えていますし、領域・教科を併せました生活単元学習では、生活に必要な知識や技能の習得を目指している。また、類型別で人文社会・自然は生徒自身から学びたいと思う内容を時の話題を通して行う授業なのですけれども、そこも社会の仕組みを分かりやすく教えているということです。
 それから、精神障害者、発達障害者はストレスを抱えやすいというところから、正直な社会の実現が求められて、そのことに配慮することが生きやすさにつながっていくのではないかと思います。
 次に、憲法第13条の国民の幸福追求という観点からなのですが、障害者の幸福とは、自分の力が十分に発揮されるように教育されて、職場においても他人との比較がなく、その人が持てる力が十分に発揮される仕事があることを周りの人たちが認めるような状態だと考えています。教育の場面や福祉の場面、職場の場面で力が発揮されるように、おのおので合理的配慮がなされているかという点検が必要であって、それが実現したときに共生社会が訪れるのではないかと思います。
 3つ目は、教育活動においては合理的配慮に類似した事項として、各指導・支援計画の中に、特記事項として指導・支援上配慮すべき事項というものが記載されています。これは指導・支援の目標を達成するために、集団活動における配慮事項が必要になる個別の指導・支援の目標と、配慮事項を含めた一人一人の教育活動の見知を、福祉、労働でつなげていくことで合理的配慮が抽象論ではなく、一人一人に応じた配慮事項になっていき、将来の共生社会の実現につながっていくものと考えております。
 そして、合理的配慮の義務化については賛成であります。必要な条件とすると、私学にはなかなかお金がございませんので、建物とか人的な配置のところで根拠のある支援をしていただきたいと思っております。私立学校の中にも含まれておりますけれども、実際にこれまでの間に、経常的経費というところではなかなか厳しい財政の中で、0.9%プラスコンマ幾つということで、私立特別支援学校連合会に関しては国の特段の配慮をいただいておりますけれども、今は同額ということになっております。幼児・児童・生徒数が非常に少ないということから考えますと、公立学校の約2分の1で学校運営がなされている。そして、実際、学校教育法施行規則以上に教員の配置もしているということを考えると、やはり国からの支援をいただきたいと思っております。
 業界について、具体的に困っているところなのですが、やはり教育的予算という部分でありまして、ここは合理的配慮に欠けているのではないかと思っているところであります。
 特に、数年前に文部科学省から学校教育施設の高機能化事業のバリアフリー事業として、本校で使用して、それを整備しましたが、実際にはエレベーターの設置のみが補助対象になっていた。ただ、その他の部分である手すりとか、階段回りとか、スロープとか、ドアとか、照明とかに関係するものも併せてそこの中に盛り込んでいただけるということでないと、学校の資金持ち出しというところがあって、なかなか厳しいところにあるということであります。
 これに関しては、いろいろ相談しているところで、毎年6月に私立連合会の総会がありまして、概要説明を特別支援教育課長から頂戴した後に、私どものほうとして文部科学省のほうに大臣宛てで要望書を提出させていただいております。
 また、合理的配慮について、どんな取組をしているかというところなのですけれども、私たちのほうでは、本校でもそうなのですが、特に特別支援学校を卒業した子供たちの就業先ということで、今、なかぽつセンターがあってということで、取組はされて、私たちの作業負担が大分少なくなってきてはいるのですけれども、その中でもこの学校に3年間学んだことで勤めたいという子供が中にはおりまして、本校のほうではその子を採用して、継続している。ですから、特別支援学校の中にも残って、先輩として働けるといった環境を作ってあげる必要があるかと思います。以前に栃木県のものを例として聞いたことがあるのですけれども、障害者雇用になかなか進まないところで、各特別支援学校のほうで1年間は雇用してつなげているということを聞いたことがあります。
 また、それ以外の取組として、合理的配慮としては私立の特別支援学校は教員が担当採用ということもありまして、入学してから卒業するまで子供たちをずっと見ることができているという中では、かなりの配慮はされていると思います。
 また、大規模校ではなく小規模校であるために、PTAの関係がよくできているということで、一人一人が見渡せる環境にもあるということです。
 それから、専攻等も設置しているということも合理的配慮になろうかと思っています。全国で9校しかございません。これは大学行政法人としては鳥取大学の附属特別支援学校がありますが、それ以外は全て私立の特別支援学校が2年制から4年制までを設置しているということです。ですから、その中で、まだゆっくりと伸びゆく子供たちがおりますので、その子供たちの教育の保障ということで、その取組をして、成果が上がってきております。
 また、本校では、福祉と教育の連携というところで切れ目のない教育ということで、生涯学習も考えておりまして、卒業した子供たちが専攻科を卒業し、福祉の連携ということでB型の作業所等と同じ別の法人を作って、そこにつなげているというところで取組がなされているということだと思います。
 また、別の意見といたしまして、幾つかあります。交流及び共同学習について継続的な実施、本校のほうでも幼稚園の年長さんぐらいから小学校6年生ぐらいまで作業学習を通してとか、環境学習としてその取組を一緒に年3回程度行うことで、顔や名前で覚えてくれて、障害に対する理解や啓発にもつながっていると思います。
 それから、養成課程での基礎講義に入れていただいて、介護等体験等にも。

○内閣府 衣笠参事官 申し訳ございません。
 時間が過ぎていますので、もう少し簡潔によろしくお願いします。

○私立特別支援学校連合会 大出会長 はい。
 その知識の習得をしていただければ有り難い。
 それから、5歳児健診に関しては、特に保護者への配慮が必要ではないかと思います。
 それから、差別も障害種によって異なるということがそれぞれありますので、在学中に本人たちの意見を集約して、地域性も考慮すべきであるということであります。
 長くなりましたが、以上です。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 続きまして、日本チェーンドラッグストア協会様、よろしくお願いいたします。

○(一社)日本チェーンドラッグストア協会 石田理事 日本チェーンドラッグストア協会で理事を仰せつかっております、ウエルシアホールディングスウエルシア薬局副社長の石田と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料5「ドラッグストアにおける障がい者対策の現状」を御参照いただければと思っております。
 私のほうからは、本日の議案に対して、少しでも参考になるものはないかと思いまして、ドラッグストア業界における障害者対策の現状について触れさせていただきたいと思っております。
 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会は、全国のドラッグストアの92%が加入している業界団体でございます。現在、店舗数で2万店を超える店舗数となっております。健康な暮らしへの共創をテーマに、尊敬される企業集団になっていこうという協会で、今年6月に一般社団法人化されました。
 左下にありますように、今日は代表的な会員企業の主な障害者対策事例を紹介させていただきたいと思っています。
 ここに幾つか挙げさせていただいておりますけれども、オストメイト配慮型のトイレの設置、AEDの設置、認知症サポーターの養成、障害者施設とのコラボレーション、日本盲導犬協会やそらぷちキッズキャンプへの寄附、特例子会社における雇用と自立支援などでございます。この中で、私が所属しておりますウエルシアホールディングスの事例について御紹介したいと思います。
 現在、ウエルシアは店舗数が2,178店舗となっております。
 裏のページをお願いいたします。先ほどの協会の事例に沿って説明させていただきます。
 まず「オストメイト配慮型トイレの設置」ですけれども、つまり人工肛門とか人工膀胱を保有している方の排せつのためのトイレですが、今は1,515店舗で右の写真にあるようなトイレを設置させていただいています。
 また「AEDの設置」に関しては、1,992店で設置しておりまして、昨年1年間のAEDの稼働は20回ございました。従業員研修を毎年1回実施しておりまして、先ほどの右側のトイレの写真は研修風景になっています。なお、ここで研修を受けている従業員は当社の障害者のメンバーでございます。
 3番目の「認知症サポーターの養成」でございますけれども、現在、社内には12名のキャラバンメイト、つまり講師役になる従業員がおりまして、毎年の従業員の研修、これは障害者の従業員も含まれております。また、地域の自治会等と連携しまして、その自治会等の集まりでもその教育を実施しております。
 また「日本盲導犬協会への寄付」ですけれども、長年実施しておりまして、盲導犬の育成のための寄附ということで、昨年度は2,200万円の寄附を行いました。
 そらぷちキッズキャンプは何かといいますと、北海道の滝川市にあります難病と闘う子供たちのための医療ケア付キャンプ場で、子供たちが各地から北海道の滝川に集まって、2泊なり3泊なりのキャンプの生活を送るという団体でございます。こちらのほうもチェーンドラッグストア協会としてもずっと寄附を行っておりまして、当社としまして昨年は826万円の寄附をさせていただきました。
 また「障がい者施設とのコラボレーション」ということで、当社は全国の中で305店舗に「ウエルカフェ」という地域の方の居場所といいますか、約10坪程度のスペースを設けております。このスペースは地域の、例えば社会福祉協議会の皆さん、あるいは自治会の皆さん等へ場所の貸出しをしまして、そこで例えば認知症の予防のための体操をしたりとか、当社の薬剤師や栄養士も応援をする形でそこにサポートさせていただいているような場所なのですけれども、ここで生産・製造された野菜やパン等の販売、ワークショップの開催などを行っております。
 また、埼玉県の白岡市から受託しております当社運営の地域包括支援センターにて、白岡市の障害者施設の手作りの座布団だとかアクセサリー類をいろいろと展示し、紹介をさせていただいています。これはちょっと暗くなってしまっていますけれども、右側の左側にある写真がその風景になっています。
 また、この地域包括支援センターでは、メインの介護相談業務も行っておりまして、月に100件ぐらいありますけれども、そのうち障害に関係する案件は約10%を占めております。
 右側に行きまして「特例子会社における雇用と自立支援」ということで、当社の中に特例子会社のウエルシアオアシスという会社があります。障害者の自立と、65歳定年までの雇用を目標にサポートさせていただいています。
 現在、障害者は537名所属しております。内訳は以下のとおりでございます。
 雇用率は3.1%となっております。また、離職率は昨年度で6.5%と何とか低めに抑えられたのではないかと思っております。
 業務の内容は、右下の2つの写真にあるように、接客・売場管理などの店舗業務、清掃・買い物籠洗浄等の環境整備、あるいはオリコンの積載仕分けやトレー回収などの物流センター業務などを行ってもらっています。
 また、余暇のサポートも積極的に行っておりまして、スポーツ大会の開催が多くなっております。従業員の中には、一昨年行われました障害者のワールドカップサッカーに正ゴールキーパーとして参加した者もおります。
 ここまで事例の紹介となりました。今後についてですが、先ほど御紹介しましたがドラッグストア企業が131社加入しておりますけれども、当社もそうですが、上場している企業もあれば、10店舗以下の中小のドラッグストア企業もたくさんあります。費用や人員確保の問題を抱えている企業もあります。そのような中で、各社ができる限り障害者に対応していけるよう努力していけるように、協会内でもさらなる対策を推進していきたいと考えております。
 チェーンドラッグストア協会からは以上となります。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 続きまして、全国生活衛生同業組合中央会様、よろしくお願いいたします。

○(一社)全国生活衛生同業組合中央会 秋本事務局長 全国生活衛生同業組合中央会事務局長をしております秋本と申します。よろしくお願いします。  初めに、私どもの業界を簡単に説明させていただきたいと思います。
 皆様方はあまりなじみがないと思いますが、生活衛生関係の営業の適正化及び振興に関する法律、私どもは生衛法と言っておりますけれども、その法律に規定されております生活衛生業というものが18業種ございます。そのうち、全国規模で組織があるのは16業種となっておりまして、簡単に言いますと、すし業、麺類、中華と料理、これは料亭とかをやっている料理業になります。一般の飲食業関係、喫茶、食鳥肉販売、食肉販売業、氷雪、床屋さんの理容、美容室の美容、映画館なんかをやっている興行、社交飲食業、ホテル・旅館、公衆浴場、クリーニング業といった16業種ごとに全国規模の同業組合連合会というものがございます。その16業種の全体の調整を行っておりますのが全国生活衛生同業組合中央会ということになります。
 これらの生衛業の多くは中小企業、小規模事業者でございまして、最近では大規模商店とかコンビニ、チェーン店などの進出を受けて、厳しい経営を強いられて、日々営業を行っていることでございます。さらに今回の新型コロナ禍の影響で未曽有の痛手を受けて、閉店を余儀なくされているような飲食、旅館なども多く見られ、苦境を強いられているという状況下で営業をしているということです。
 これらの事業の内容はいずれも地域住民の生活に密着しておりまして、歴史もありますので、地域のコミュニティーづくりに大きく寄与しているということ、あと、高齢化社会との動きと相まって、高齢者夫婦でこういった営業を行っているケースも珍しくなくて、事業の後継者も減少しているのが業界の特徴ということでございます。
 事業所としては、全国に107万5000事業所があって、従業者は668万人ということが平成28年の経済センサスの統計結果が出ております。
 ということで、私どもで今回の見直しに当たって、各全連さんにいろいろと御意見を伺うと、まず、環境整備の支援、特にハード面についてなのですけれども、バリアフリーになりますが、入店あるいは店内での段差の解消が一つ。店舗に入る際の出入口、トイレでの車椅子で使用できるようなスペースの確保といった対応がキーワードになると考えておりますけれども、業界からは次のような意見が出ております。基本的には良いのですけれども、次のような問題がある。バリアフリーについては、当連合会の会員(事業者)の多くが賃貸の店舗で経営しているため、改造を含む対応には建物のオーナーの考え方も左右してくる。
 2番目に、車椅子での入店については、身体障害者の場合、車椅子での入店が想定されますけれども、本人だけでも移動のルートの確保、席の確保にはかなりのスペースを取り、また、介助者がつく場合、さらに大きなスペースを必要とする。中小企業、小規模事業者が多数を占める我々としては、排除の意思がなくても、現実として入店がなかなか難しい、対応し難いのは実情であるということでございます。
 3番目です。盲導犬を伴う視覚障害者について、これも経営者側では排除の意向はないが、入店しているお客様の中には犬嫌いの方がいて、クレームになることがあります。これについては、法的な義務化の推進を図るということで、行政側でも根拠に基づき広く広報していただくことで、我々一人一人の意識が高まれば解決するかと思っております。
 このように環境整備について、特にハード面について、事業者への負担が過度に増すようなことがないような配慮があれば良いなということでございます。
 続きまして、取組でございます。3年前の立法後、各全連さんでは、ハンディキャップのあるお客の対応とか、困ったときの飲食店のマニュアルの冊子を作って、スタッフの教育、あるいは周知のための啓発を行ったりしております。理容関係ではお店までのバリアフリー化、店の中での車椅子も回転可能なトイレの設置などということで努力はしてございます。あと、寝たきりの方とか、施設入居者の方に対して出張理容、理容師の方が施設に出向いて、訪問福祉理容等をしていますけれども、組合員を対象に講習会を実施しており、これまで約1万5000名の方が受講を終了して、活動されているということでございます。
 そういった流れの中で、総論としては、私どもが事業者を見て、こういう取組がどうなのかというのは、障害者に対する対応としての思惑とは別に、なかなか思いどおりにならないという実情もありますけれども、業界全体としてはまだまだ取組が進んでいる状況とは言い難いかと思ってございます。
 最後ですけれども、こういった制度改正の見直しに関しての意見になりますが、そういった普通の劇場とかでの車椅子の利用とか、スペースといった設備整備に係る、いわゆる普及といいますか、行政側からの支援、特に設備改修に関する助成制度、税の減免制度があれば更に良いのかなということは要望として挙げさせていただきたいと思います。
 長くなりましたが、以上でございます。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 続きまして、日本自動車販売協会連合会様、よろしくお願いいたします。

○(一社)日本自動車販売協会連合会 泉水参事 総務部長 私どもは一般社団法人日本自動車販売協会連合会と申します。よろしくお願いします。
 私どもの組織は、皆様方がふだん新車を買われるときに、多分言われていると思いますいわゆる「○○トヨタ」とか「○○日産」「○○ホンダ」、あるいは大型車であれば「日野○○」といったブランドの看板を立てている新車ディーラーの集まりでございます。
 全国で約1,500社、従業員がパート等も含めまして約33万人、店舗数ですけれども、拠点数が約1万6000店舗。車を売っているお店ですので、大きい建物ということで、これだけの数があるという感じはしないと思うのですけれども、1万6000店舗あるような小売業はあまり多くはありませんので、相当全国満遍なくあるということでございます。
 今回、合理的配慮の義務化あるいは障害者差別解消法の見直しということでお声掛けいただいたのですけれども、前回、この法の施行前に行われましたヒアリングに参加していたという経緯がございましたので、お邪魔しましたが、今回のヒアリングの趣旨についてはお役に立てるかどうかは分かりませんが、そんなに構えてお邪魔したわけではございませんので、意見としてお話を聞いていただければと思います。
 各団体からいろいろなお話がございましたけれども、私どもの業界の特性ということでいきますと、このコロナ禍におきまして、テレワーク等が広まってきたりとか、働き方改革が取り沙汰されておりますけれども、いわゆる自動車販売業界という小売業は、日常的な商品を扱っているものではなく、小売業の中でも非常に高額な商品を扱っている業界です。皆さんもそうだと思いますけれども、5年に一度とか、10年に一度という何年かに一度の買い物をされるということでありますが、車を購入した以降は、半年であるとか1年ごとにメンテナンスを行うということで、国民生活の維持ということで、コロナ禍においても一切テレワーク等を行えず、現場は絶対に開くという商売を行っております。そういった商売上でございますので、いわゆるハンディキャップを持たれているお客様との付き合いも以前からございます。
 調べたところ、いわゆる福祉車両、ハンディキャップがある方の車椅子で乗る車であるとか、そういった車は前回の東京オリンピックの際に、グローバル化の中で出てきた話だということで、約半世紀にわたって福祉車両の開発、販売、お客様の見守りといったものが始まってきたということが書かれておりました。我々も初めて物語は存じませんが、そういった経緯のようでございます。
 現在、自動車のディーラーでございますけれども、小売業ということでありますが、先ほど申し上げましたように、日常生活の商品を売っているわけではなく、生活基盤となる商品を扱っているわけですので、どちらかといいますと、これを包んでくださいといったものではなく、生活の中の人と人とのつながりで商売をしているといった事業でございます。
 日常ですけれども、店舗の立地条件や規模、あるいは古い・新しいもありますので、そこについては画一的ではございませんけれども、ハンディキャップのあるお客様が来られた際には、バリアフリー化で完全に対応できるところもありますし、そうではなく、例えば老朽化している店舗等でありましたら、従業員の皆さんがすぐ介助するといったことでヒューマンな取扱いということで、ハードは人がカバーするといったことで対応してございます。
 実際には、日常生活の中でそういった福祉車両の展示会をするといった機会を設けるとか、いろいろなこともしておりますし、通常でも福祉車両の販売、あるいはお客様のニーズに沿った改造の御相談、メンテナンスといったことで、ハンディキャップのある方との生活ということでは、これまで排除するとかそういうことではなく、むしろ私どもの業界はウエルカムで対応してございますので、今回の合理的配慮の義務化という言葉は重いのですけれども、どちらかといいますと、日常生活の中でごく当たり前に行っていることですので、義務化に対してどうだということは、多分、従業員の皆さんからしてもあまり意識がない、当たり前のことだということで、今回のこちらのヒアリングの趣旨につきましては否定することでもなく、特別賛同するということでもないのかもしれませんが、ごく当たり前に対応しているということで御理解いただきたいと存じます。
 私どもの業界では、現在、特段障害のある方、ハンディキャップの方だけではなく、いわゆる交通弱者、少子高齢化によりまして車を手放さなければいけない、今まで車に乗っていた地方にお住まいの方が、例えば山間部であるとか、そういったところに住んでいて、車がないと病院に行けない、買い物も行けない、生活が困窮するといった方の支援であるとか、ハンディキャップにもいろいろなものがありますので、いわゆる障害のある方ではなくても、交通弱者であるとか、そういうことを含めての見守りをしているところが私どもの業界ということになります。
 私は業界団体の職員でございますので、いわゆる現場主義の商売の中での現場をくまなく分かっているわけではございませんので、本日は現場の皆さんに御参加いただいておりますので、具体的に御質問等がございましたら、後ほどの意見交換等で遠慮なくよろしくお願いします。
 短いのですけれども、私からは以上でございます。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 続きまして、日本チェーンストア協会様、よろしくお願いいたします。

○日本チェーンストア協会 井上専務理事 チェーンストア協会専務理事の井上です。今日はどうもありがとうございます。
 まず、イメージをつかんでいただくために、チェーンストア、すなわちスーパー、ホームセンター、あるいは100円ショップというところの特徴は一言で申し上げますと、多数、多様性、人と人との触れ合いの場ということだと思います。お店と一言で言っても、小さいお店から何階建ての大きなところもある多様なところでありますし、毎日のお客様も数千から数万、老若男女いろいろな方がいらっしゃいます。従業員も御近所の主婦の方をはじめ、パートが中心であります。私どもは各お店で、店長からパートまで一丸となって、一人一人のお客様それぞれの方に楽しいお買い物をしてもらえるよう毎日頑張っています。
 そんな中で、最近、カスハラと言われますように、一部のお客様ではあるのですけれども、威圧的態度あるいは理不尽な要求ということで、従業員の心が折れてしまうというケースでも悩まされています。こんなところが一般の現場のイメージです。
 それを念頭に置きながら今日のテーマの合理的配慮の取組ですけれども、最初にこの取組の状況を一言で申し上げますと、一人一人のお客様それぞれに楽しいお買い物をしていただきたいという精神で精いっぱい、一生懸命に取り組んでいるということをぜひ御理解ください。
 取組例のごく一部を簡単に申し上げますと、バリアフリー、点字ブロックといったものの施設面、それから従業員によるお声掛けやサポート、あるいは筆談がありますというポップなどのソフト面、それから差別解消法についての研修とか、サービス介助士の資格取得の奨励とかの体制面などであります。各社はこのハード、ソフト、体制整備を精いっぱい頑張っていますけれども、対応に困ることがあることも事実です。
 例えば人手不足の中でスタッフが足りない。どうしてもお一人お一人の御要望には十分にお答えできないという場面が出てきてしまいます。また、時にはよかれと思ってお声掛けをしたら、特別扱いしないでほしいと逆に気分を害してしまったということがあって、お客様のお気持ちも当然お一人お一人様々ですから、それぞれの方々の要望に応えるということの難しさを痛感しているところです。また、施設面での変更はお金も時間もかかりますから、目の前のお客様の御要望には直ちにお答えができないという悩みがございます。
 それから、先ほど申し上げましたパートをはじめ、従業員が抱える深刻な悩みはカスハラです。もちろん、一部のお客様ではあるのですけれども、お客様あるいはその御家族の方の中から従業員に対しての威嚇あるいは理不尽と思える御要望をされる方も残念ながらいらっしゃいます。あまりにひどい場合には警察に相談をするということでありますけれども、深刻な問題、困り事です。
 もう一つ困るのは、障害のないお客様の無理解です。例えば障害者の方の専用駐車場に平気で車を止める。従業員やお店の対応以前に、一人一人のお客様に少し配慮していただけたら有り難いと思います。
 以上が取組と困り事ですけれども、義務化についての意見ですが、義務化という言葉の悪意なき独り歩きということが行われないかという懸念を持っております。
 私どもは先ほど申しましたように、義務化の有無にかかわらず、各社は合理的配慮に向けて頑張って取り組んでおりますし、これからも頑張って取り組んでいきます。そして、一番大事なことは法律の在り方ではなくて、共生社会をつくっていくという社会の在り方だと思います。義務化という手段も、もちろん思いとしてはこれによって共生社会を進化させたいということだと思いますし、その思いについてはもちろん我々も賛成するところであります。ただ、本当に義務化という法律上の制度の改正という手段がそういう思いの実現につながるのかというと、幾つか懸念がございます。すなわち、先ほど来申し上げていますように、個々のケースはお客様一人一人で異なります。極めて多様で、柔軟な対応が求められています。
 そういう中で、義務化ということが独り歩きしてしまうと、マニュアル化あるいは画一化が進み、目の前のお客様に対しての御要望への対応ということではなく、マニュアルどおりにやっていこうということが助長され、また、これは法令上セーフなの、アウトなのという形式的議論に目が奪われて、その結果、義務化の思いとは裏腹に魂の込もった多様、柔軟な共生社会への歩みというものに対して、むしろ足を引っ張ってしまうのではないかというおそれがあります。こういったことは本件のテーマだけではなく、日本の社会のいろいろなところで規制が起こるときによく見られることで、皮肉な現象だと思っています。
 また、先ほど述べたような一部のお客様が独り歩きした義務化ということを盾に取られてしまいますと、カスハラがさらに深刻になってしまい、懸念されるところです。そうなると、もちろん従業員の心身も非常に困り事、心配事でありますけれども、他の障害者の方へこの対応をする時間も奪われてしまいますし、従業員が委縮してしまいますと、障害のある方と距離を置こうということで、その思いとは違ってかえってマイナスになってしまうのではないかということが懸念されるところであります。
 最後に、義務化かどうかにかかわらず、御要望ということで2つ申し上げたいと思います。
 一つは、多くの国民の方々が法律論がどうした、こうしたということではなくて、障害さ差別解消法の趣旨や内容を理解する。それから、好事例の蓄積や共有を進めていくといったことを通しまして、実際の社会が共生社会に向けて歩んでいくような政策をぜひ国も自治体もよろしくお願いしたいと思います。
 もう一つは、具体的ケースにおける相談あるいは紛争解決でありますけれども、もちろん障害のある方からの相談への対応も大切ですが、併せて事業者からの相談にもきちんと対応していただける体制をつくっていただけると有り難いと思います。
 こうしたことを通じて、現場レベルでの実際の建設的対話、それから共生社会への歩みを進めていくことが大切だろうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

3 意見交換

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 それでは、残りの時間で意見交換をさせていただきたいと思います。
 最初に1点お願いがございます。
 本日はオンラインで御参加いただいている方がいらっしゃいますので、どなたの御発言かが分かるように、御発言の冒頭に団体名を仰っていただければと思います。
 では、先ほど皆様から御発言いただきましたけれども、言い足りなかったことでありますとか、内閣府に御質問がある方、その他御意見がある方は挙手をお願いいたします。
 では、全私学連合様、お願いします。

○全私学連合 小出事務局長 全私学連合の小出と申します。
 私は先ほどのお尋ねの中に、事業者団体としては皆様方と共通的な理解がかなりあるのではないかという感じでありましたが、特に私立学校、学校の場合に、施設の整備に関わるところが義務化されるということになると、一体、それが各私立学校は可能であろうか。財政的な側面もある、あるいは時間的な側面もある。精いっぱい努力はしていても、学校ごとに様々な財政事情、教職員の理解、ステークホルダー、保護者の理解云々もあるわけでありまして、その辺りのところが義務化ということになったときに、現実問題、どういうイメージで捉えたらよろしいのかという辺りのところはお尋ねいたしておきたい。
 例えば、これは私が承知している合理的な配慮の提供が義務付けされている公立学校、圧倒的多くの小学校、中学校、そして進学率が98%にもなっている高等学校にあっては、文部科学省の調査であったと理解しておりますけれども、スロープ等の設置により、段差が解消された校舎は約7割、体育館は6割。多目的トイレが設置された校舎は約7割、体育館は約4割にとどまっているという現実です。義務化されながらもこうした現状になっているということはどういう具合に理解したらよろしいのかということは一度内閣府にお尋ねをしたい。
 仮に今度、私立学校にかような義務がかかってまいりますと、趣旨は大いに尊重して、その方向で進んでいくのだけれども、やりたくてもやれない事情がいろいろと出てきたときに、現場は一体どのように対応したらよろしいのかというところがハード面におけるお尋ね、問題点。
 それから、私どもは教育機関でありますから、ソフト面に関わっては、教職員の理解についても研修会を行ったり、各大学の役員会、研修会でも合理的配慮に関する研修を私学は大いに進めてきているのです。
 現実に、私の所属する全私学連合の大学団体の一つであるが、日本私立大学協会でもこの問題を重要な問題として取り上げて、委員会の研究活動、あるいは研修会の活動などでも展開をし奨励してきております。
 また、学園の中での教職員の理解を得ることや子供たちに看護・介護支援マインドを育むことへの取組は、一層重要と考えて推進中でありますが、合理的配慮に関して公立学校のこの事情を見る限り、これが法的な解釈云々という意味合いのところをどう理解するのかという辺りはお教えいただけると幸いだと思っております。
 以上でございます。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございます。
 バリアフリー化などで何人かの方から御発言もありましたので、補足の御説明をさせていただければと思います。資料1「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の概要と見直しの方向性について」の6ページを見ていただければと思います。
 「合理的配慮を的確に行うための『環境の整備』」というタイトルのものがありますが、上の四角で書いていますとおり、障害者差別解消法におきましては、合理的配慮を的確に行えるようにする環境の整備というものが合理的配慮とは別に規定がありまして、そちらで行政機関、事業者に努力義務が課されております。
 この環境の整備とは一体何かということですが、下に「『環境の整備』の例」というところがありまして、更に括弧で書いていますけれども、不特定多数の障害者が主な対象であり、Aさん、Bさん、どういった人が来るか分からないといった障害者の方に対応できるようにということで、事前に準備しておくような措置が環境の整備であります。例えば携帯スロープを購入しておくという行為であり、要は、もし携帯スロープが必要な方が現れたときに、前もって買っておいた携帯スロープで電車に乗れるようにしておくといったことです。
 あとは、施設をバリアフリー化するといったこと、これもどなたが来るか分からないわけですけれども、障害のある方が来たときに、階段ではなくて、例えば段差がないようにして上に行けるようにということです。
 社員の対応マニュアルを整備する、研修を実施するということも、どなたか障害のある方が来られたときに対応できるように、あらかじめマニュアルをつくっておいて、研修もやっておくということが環境の整備というものです。
 一方で、合理的配慮とは何かというと、個々の場面、具体的にAさん、Bさんという人が目の前にいる。目の前にいるAさん、Bさんの個々の場面での状態に応じて具体的に対応するということでありまして、そのときの対応というのは、今ある施設、設備や人的資源、今あるインフラやリソースを基にして行う個々の対応が合理的配慮というものです。
 携帯スロープの例で言いますと、必要な場合に、買っておいた携帯スロープを架けるという行為です。バリアフリー化の場合はどなたも使えるわけですが、もしあるとすれば、例えばスロープがある施設で、車椅子の方を後ろから押してあげるとか、もしくはマニュアルの話で言うと、マニュアルに基づきまして、個々の状態に応じて的確に対応するということです。
 右下に図を書いていますけれども、バリアフリー化された施設や設備といった環境の整備というベースになるものを基礎に置いて、その環境の中でやれる行為をするのが上の「合理的配慮」です。ただ、合理的配慮はあくまでも個々の状態に応じて行うものであり、かつ過重な負担のない範囲で必要かつ合理的なものということで、要は無茶なことを言われたとしても、過重な負担がある場合には、それはこの法律上しなければならないわけではないですし、必要かつ合理的なものと言えない関係ないことをやる必要もないものです。そうしたことを個々に判断して行っていくものとなります。
 バリアフリー化はまさに環境の整備の部分でありまして、今回、ここを努力義務から義務化するという見直しの方向性が示されているわけではなく、合理的配慮を義務化したからといって、直ちに例えばバリアフリー化が義務づけられるといった関係ではない。当然、やっていただくべき努力義務ではありますけれども、しなければならないという義務になるということではないことは補足で御説明をさせていただきました。
 以上です。
 その他にどなたから御意見、御質問等はございますでしょうか。
 私立特別支援学校連合会様、お願いします。

○私立特別支援学校連合会 大出会長 私立特別支援学校の大出です。
 先生方からもいろいろとお話を伺いまして、納得するところもどこかありましたようで、参加させていただいてよかったと思います。
 先ほどの学校教育法施行規則、学校を設置するに当たって必要なことということで、別の特別支援教育の有識者会議のほうでも出ていることなのですけれども、実際には、現在、私立の特別支援学校も人的配置も十分されているというところがほとんどであるのですが、これは入学してくる幼児、児童、生徒の特性に応じて教員が配置できているということだと思います。
 ただ、言ったように、障害がとにかく重い子に関しては、重複学級、日本はそうですけれども、そういった子供たちに手がかかるということは現実の話でありますので、そういった中で経常的経費の部分を上げていただくということをしていただけると本当に助かるかと思いました。法律上の中では、私たちの学校もあまり圧迫がかからないような数値で決定という形でしていただけるとよいかと思っているところです。
 これは建物についてもそうですけれども、私学はお金がなかなかないものですから、例えば今度は建物の1人当たりの面積の数字が大きくなるとか、必要な設備を今度は努力義務から設置するという中にあって、あるいは何年間の猶予が設けられるかといった中で、段階的にやっていただけるということになると、当然のことながら、私たちも環境整備は協力的に少しずつしなければいけない立場になるものですから、そういったことを考えていただけるとよろしいかと思います。
 あと、御質問なのですけれども、先ほど生活衛生同業組合中央会から理容のことがありました。私どものほうでも、理容師が通常の店舗でやりながら、休みを利用して福祉施設といったところに出張していただけているというところで、ある程度人数がまとまったら理髪していただけることをやっていただいています。これまでは車での送迎があったのですけれども、それができなくなったということで、手入れの内容を限定しているようですけれども、働く部分に関して、新潟辺りに就労している人たちは障害基礎年金を基に低賃金の中で生活をしているものですから、低い賃金でやっていただけるということは本当に助かります。そういったところがあるのかどうか、これからまた増えるのかどうかというところです。
 あと、日本自動車販売協会連合会様なのですけれども、例えば身体障害のある方が福祉車両を利用したいといったときに、何か国からの補助がついたりするのですか。通常よりは高い車両になるかと思うのですけれども、そういった支援があるかどうかということをお伺いしたいところもあります。  以上です。

○内閣府 衣笠参事官 今、御質問等もありましたけれども、全国生活衛生同業組合中央会様と日本自動車販売協会連合会様は何かございますか。

○(一社)全国生活衛生同業組合中央会 秋本事務局長 どうもありがとうございます。全国中央会でございます。
 訪問理容の話なのですが、料金までは確認しておりませんので、また確認しておきたいと思います。
 ありがとうございます。

○(一社)日本自動車販売協会連合会 トヨタモビリティ東京株式会社 トヨタ企画部・販売促進室 齋藤室長 トヨタの販売店から参りました、トヨタモビリティ東京の齋藤と申します。
 障害者が御利用いただくお車なのですけれども、支援というよりは、消費税が免税となります。若干高いですけれども、国のほうからはそのような形で補助的なものがされています。
 以上でございます。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 その他に御質問、御意見等はございますでしょうか。

○内閣府 難波審議官 失礼いたします。内閣府の審議官の難波でございます。
 いろいろお伺いしていまして、一つ補足的に申し上げたいのは、現在、事業者の合理的配慮が努力義務になっていて、これを義務化するとしたらどうでしょうかとお尋ねしていますけれども、要件とかハードルといった合理的配慮そのものの中身といったものに関してはどちらも変わらないということであります。これまでの合理的配慮の枠を超えるようなもの、すなわち過重な負担だからできませんとか、あるいは必要かつ合理的なものではないから、そこまで配慮はできませんといったものが、義務化になったからといって枠が広がって義務になるという立て付けではございません。あくまでも、これまで合理的配慮として努力義務になっていたものを義務にするということでありまして、お話を伺っていますと、日常の中で当たり前にやっていることという表現をされている方もおられたかと思いますけれども、そういったものを法律に照らして言うと合理的配慮なのだということなのだろうと思っております。
 ただ、一部の問題事例とかトラブル事例を見ますと、障害者なり、あるいはその特性に対する理解がまだまだ足りない一部の事業者がおられたり、あるいは広く一般国民に対する周知が必要というお話もございましたけれども、理解のない一般の方がたまたま客として居合わせて、そのお客さんとの兼ね合いでやりたくてもできなかったといった、そういった点がネックになってトラブルになったといった事例もありますし、他方で障害者の側がこの法律の中身である合理的配慮を超えて、更に何でも要求してよいのだと誤解されている向きがもしかしたらあるのかもしれない。
 いずれにしても、事業者だけではなく、障害者の側、あるいは広く国民の側に対してもこういった法律の意味するところについて、我々の立場でもこれまでもしっかり周知は図ってきたつもりですが、更に周知をしていく必要は当然あるのだろうと思いました。また、先ほど御覧いただいた資料6ページにもあるように、合理的配慮は個々の場面における、個々の障害者からの個別のリクエストに対応するといった場面を想定しておりますので、当然ながらケース・バイ・ケースであり、そもそも柔軟な対応がその特性といいますか、本質的にそういうものだろうと思っております。
 そういった中で、法律上で義務化したからといって、逆にその柔軟性が失われるといったことがあっては当然本末転倒だろうと思いますので、今後、義務化をすることになったとしても、もともと本質的に柔軟な対応をお願いするものですということを外すことのないようにこちらとしても取組をしたいと思います。また、相談体制という御指摘もあったかと思いますが、その場その場でとか、柔軟にと言われても面食らってしまうという事業者の方も当然おられると思います。そういったときに、的確に相談をお受けして、また、それに応じられるような体制は、現在も各事業所管庁に対応指針等を作っていただいていまして、そこに相談窓口も示しておりますけれども、より身近な自治体、基礎自治体を含め、そういったいろいろなところでちゃんと受けられるような体制といったものもまたセットで検討を進めていく必要があるのだろうと思っているところでございます。
 今日は短い時間でありましたけれども、いろいろとお伺いして、若干コメント、補足をさせていただきました。また引き続きこちらも検討を続けてまいりたいと思いますが、ぜひ今後とも御協力いただければ大変幸いに存じます。
 私からは以上です。

○内閣府 衣笠参事官 何か御意見、御質問はございますでしょうか。

○日本チェーンストア協会 田中総務委員会特別委員 座ったままで失礼いたします。
 日本チェーンストア協会会員企業で、日々店舗からのリアルな報告、相談を受けている立場から、この場で共有すべきと思いまして、マイクを持たせていただきました。
 難波審議官からいただいた包括的な話は非常に心に響くものがありまして、そのとおりと受け止めておることが前提でございます。
 今回の議論の中で、義務化なのか、努力義務なのかは井上が申したとおり、独り歩きの懸念がございます。本来は建設的対話によってお互いの意見を尊重し、それによって共生社会を実現していくことが、日本で初めて差別の解消の推進と名のついた法律のみそだと思います。
 しかしながら、現場レベルでいきますと、正直なところ、義務化というワードの強圧的なインパクトがございまして、そこが一番憂慮すべき点だと認識しております。障害者と言いますけれども、対象は障害者手帳を有している人だけではなく、障害を自認する人も対象でありますし、言ってみれば我々が気付いて声を出すということよりも、そういった方が声として出されたものに対応し、合理的配慮をするということですので、声を上げる側も勇気が要ることですから、思いが強ければ強いほど、その内容が具体的であればあるほど、声として上げていただいたものに我々がよりスピーディーに、的確に対応しなければいけないといったことが日々現場でございます。
 したがいまして、過重な負担というところも、先ほど来バリアフリーであったり、ユニバーサルデザインであったり、設備面、経済性のところに多くの目がある。これまでの議論の中でも言っておりましたけれども、このコロナ禍における新たな認識といたしまして付け加えさせていただきますと、労働集約型で働く職場の一人一人が心理的安全性、企業としては労働安全衛生法上の安全配慮義務といったものがどこまで担保できるのだろうか。これは数値、金額には換算できませんけれども、非常に大きな過重な負担といったものが背景にあるのではないかということを我々は認識しております。
 義務化という言葉が独り歩きをして、建設的対話を阻害し、お互いの主張がぶつかり合って、何か共生社会を阻害するようなアナウンスにならないように、本日一言申させていただきました。
 よろしくお願いいたします。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
 御指摘のとおり、仮に義務化するとしても、当然その趣旨はよくよく皆様方に理解していただかなければいけないということでもありますし、今の御意見を踏まえまして、我々もまた検討させていただきます。
 では、御意見その他はよろしいでしょうか。

○全私学連合 小出事務局長 国会における法律審議はどのような予定、スケジュールをお考えでしょうか。

○内閣府 衣笠参事官 仮に法改正をするということになれば、政府全体の中での検討等もありますので、今は予断をもって申し上げられませんが、一番早ければ来年の通常国会に法案を提出することもあり得るということになります。
 私立特別支援学校連合会様、どうぞ。

○私立特別支援学校連合会 大出会長 よろしくお願いいたします。
 今のお話をお伺いしまして、本当に良い機会をまた頂けたと思っております。
 学校のほうとしても、本校のほうでは一貫性の学校教育期間が3年、4年、5年ということでありますけれども、その中で、私たちのほうも事業所に対して、どうしたら受けてもらえるだろうかということ、いわゆる企業への就業体験といった中でいろいろと意見を吸収させていただいております。これは学校在学中において、子供たちに社会における必要な力を身につけさせるということもあるのですけれども、今お伺いする中では、各事業所が障害者を受け入れていただくに当たって、学校としてもこういった配慮をすることによって、それぞれの事業所の受入れがもっとしやすくなるといったところもあるかと思っております。
 そのために、今、お話をお伺いしましたところでは、各教員のほうにまたその話をしつつ、うまく事業所との連携を取っていくことができたらよいかと思っております。
 ありがとうございます。以上です。

○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。

4 閉会(省略)