障害者差別解消法の見直しの検討に係る障害者団体ヒアリング(10月26日)議事録
令和2年10月26日(月)
15:00~16:20
中央合同庁舎8号館1階講堂
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○内閣府 衣笠参事官 それでは、順番に御発言をお願いしたいと思います。
まず、筋痛性脳脊髄炎の会様、お願いいたします。
○(特非)筋痛性脳脊髄炎の会 篠原理事長 本日はこのような機会を頂き、本当にありがとうございます。また、このような形で参加できるように合理的配慮を頂いたことや、遅れて提出した資料も印刷して頂き、本当に御配慮に感謝いたしております。
私は、NPО法人筋痛性脳脊髄炎の会理事長の篠原三恵子と申します。
皆さんは御存じないと思いますので、少しだけ病気の説明から入らせて頂きます。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、今後はМE/CFSと呼ばせて頂きますこの病気は、脳と中枢神経系に影響を及ぼす慢性疾患で、2014年の厚生労働省の患者の実態調査において、約3割が寝たきりに近く、ほとんどの人が職を失うという深刻な実態が明らかになっています。
この病気は客観的診断基準が確立しておらず、一般の検査では異常がないため、精神的なもの=怠けていると思われ、診断まで何年もかかる方がほとんどという状況です。この病気の中核症状は労作後の消耗と呼ばれ、ほんの短い間動いた後でも、急激に症状が悪化し、何日も寝たきりになることが多いのですが、他の方は家で寝たきりになっている状態を見ることがありませんので、怠けているという誤解や差別を生む傾向があります。
その上、WHОで神経系疾患と分類されている難病であるにもかかわらず、日本では一部の医師が認知行動療法や、段階的運動療法などによって症状が改善するという事実と異なった情報を20~30年間にわたって流しています。医師の情報だけに誤解を解くことが難しく、重症患者でも身体障害者手帳取得が困難で、その上、障害者総合支援法の対象疾患にもなっておりません。
こうした誤った認識が社会的な理解に影響し、他の人と平等に社会参加する権利、必要な介護を受ける権利、外出する権利、選挙権を行使する権利、教育を受ける権利、医療を受ける権利、就労する権利などを保障する合理的配慮がほとんど受けられていない状況です。
厚労省から出された「医療関係事業者向けガイドライン」では「不当な差別的取扱いと考えられる例」として「わずらわしそうな態度や、患者を傷つけるような言葉をかけること」が挙げられています。ところが、患者たちは詐病とみなされることが多く、医療関係者からも患者の尊厳を踏みにじるような差別的な処遇をいまだに受け、全く医学的に関係がない精神科に回されるケースが多く見られます。
私たちは世界的な常識である、МE/CFSは神経系疾患であるということを10年近く厚生労働省に訴えてきていますが、2019年2月の国会議員へのレクチャー資料に、病気の症状として「抑うつ」「気分障害」「不安障害」「身体表現性障害」など、精神的な疾患を思わせる記載があったことを確認しています。
実例として、つい3週間前に当法人に電話で相談があった方は、10歳で発症して、病歴が約30年。15年以上前に診断を受けていたにもかかわらず、両親のみならず、行政からも怠けていると思われて、障害者手帳を取得できないために何のサポートも得られず、寝たきりに近い状態で一人暮らしをされています。スポーツドリンクだけでしばらく命をつないでいるという電話が当会に入りました。
もう一人の方は、出産後に発症され、数年後にはおむつが必要なほど重症化したのですが、一般の検査で異常がないために診断も下りず、治療のためと称して精神病院に入院させられ、配偶者や両親が引取りを拒んだために、数年に及んで精神科に入院されていました。これがこの病気の現状です。
そして、これは最近のコロナウイルスの感染に伴って起きてきた差別的な状況です。МE/CFSはウイルス感染後に発症することが知られ、コロナウイルスがこの病気の引き金になると多くの専門家は警告しており、当法人でもアンケートで日本でもコロナ後にМE/CFSを発症した方を確認しました。日本でも1万人規模の新たな患者が生まれる可能性が危惧されますが、コロナ患者に対する風評被害は非常に大きく、また、PCR検査を受けられなかった方が後遺症に苦しんでおり、現在、この方たちが差別的な扱いを受けております。
これを受けて、要望を4つさせて頂きます。
障害者総合支援法の福祉サービスの対象疾患には、客観的に診断基準が確立していることなどが求められるために、多くの疾患が除外されています。疾患によって日常生活や社会生活に相当な制限を受けているのに、病名によって除外される疾患があることは「行政機関において不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」としたことと矛盾しています。福祉サービスの対象を病名ではなく、生活の困難さに応じて支援する仕組みに変えて、慢性疾患によって困窮する全ての人に必要な合理的配慮が提供されるようにしてください。
2、病気による内部障害は外からは見えないために、障害を理解されることが困難で、詐病の扱いを受けてきた疾患もたくさんあります。疾患を抱える障害者も障害者差別解消法の対象であることを当事者や国民に広く周知すると同時に、難病者が合理的配慮を求めやすくするような環境整備をしてください。また、各行政機関及び事業者などにおいて、支援者となるべき職員が疾患を抱える障害者の特性を理解するために、担当者による研修を必須としてください。
3、医療関係者や行政によって、疾患について間違った情報が長年にわたって広められており、このことについて弁護士の方にも相談しましたが、表現の自由があるので何ともならないと言われました。しかし、それによって必要な合理的配慮が受けられない状況が続いていることに関して、障害者差別解消法によってどのように解決できるか、その道をどうか示して頂きたいと心からお願いいたします。
4、新型コロナ感染症罹患後の病態を理解する上で、МE/CFSの正しい理解は必要であり、新型コロナウイルス感染症患者や後遺症に苦しむ患者が差別的な扱いを受けないように、後遺症の追跡調査や研究を行い、正しい認知を広めるための啓発活動を行ってください。
私からは以上です。ありがとうございました。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
続きまして、全国言友会連絡協議会様、お願いいたします。
○(特非)全国言友会連絡協議会 横井事務局長 それでは、よろしくお願いいたします。全国言友会連絡協議会の横井と申します。
私どもは吃音という発話の流暢性の障害がある人たちの団体でございます。その観点から、今回のヒアリングに関しまして、御意見差し上げたいと考えております。
事前に提出させて頂いた資料のとおりなのですけれども、私どもは特に私立学校における合理的配慮の提供の義務化を強く要請したいと考えております。
事前に配付頂いた資料の概要ではピックアップされていなかったのですけれども、詳細を記された資料の方ですと「公的主体と私的主体との区別なく合理的配慮を提供する」のが障害者権利条約の精神であるということが言及されています。
しかし、現在の障害者差別解消法は必ずしもそうなってはいないという現実があると思います。もちろん、私的主体に対して一括に合理的配慮の提供を義務化するということは過度な負担となったり、また、円滑に対応するための事例の蓄積がまだ足りていないといった事情もあるのだと思います。
しかし、だからと言って私的主体は努力義務でよいといった状態で立ち止まるのではなくて、まさしく委員会の御意見の中にもあったように、生活に密着しているなど、特に社会的な必要性が高い分野について早急に義務化することから歩み出すことを提案いたします。私たちとしては、特にそれを学校という場で注目したいと考えております。
特に私ども吃音のある人にとっては、学校は非常に重みのある生活場面として捉えられています。私ども吃音のある人はまさしく話し方に特徴のある人間なのですけれども、話し方というのはその人のアイデンティティの一角を占めているわけです。言うならば、これは外見や容姿に近い意味合いを帯びていますから、例えば方言をからかわれるという経験が子供たちにとってとても傷つく体験として刻まれるのに近い感覚であると御説明さしあげれば御理解頂けるのではないかと思っております。話し方に対して、からかいなどネガティブな反応を受けたりですとか、その際に適切なフォローを受けられない、あるいは再発防止のための対応が十分に得られなかったりするということは、多感な思春期とか、自己概念を形成していくべき青年期においては、とても大きな挫折体験として受け止められかねないと考えるわけです。
文部科学省が平成22年に発表した資料によりますと、私立高校に通う生徒は全体の3割、大学に至っては7割以上に達します。しかし、それにもかかわらず、彼ら、彼女らが合理的配慮を努力義務の範囲でしか受けられないということは、我が国におけるダイバーシティ社会の建設という目標にとって非常に大きな問題であると私たちは考えております。
また、事例の蓄積が足りないということに関しても、努力義務であるという状態だからこそ蓄積できていないのではないかと私たちは考えました。
また、学校生活において、教職員など身近な大人たちから適切な支援が受けられるということは、社会に対する信頼感を醸成する契機にもなると考えます。吃音のある人、ひいては障害のある人が学校生活を通じて、社会に対する不安を強くしていくのではなくて、むしろ希望を持って羽ばたいていく機会とするためにも、まずは私立学校における合理的配慮の提供の義務化から、私的主体に対する義務化に先鞭をつけるということを私たちは強く要請します。
私からは以上となります。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
続きまして、DPI日本会議様、お願いいたします。
○(特非)DPI日本会議 尾上副議長 DPI日本会議の尾上です。
今日は貴重な発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。
私どもDPI日本会議は、全国93の障害当事者団体から成っている団体でありますけれども、全ての団体がこの差別解消法の見直しにすごく大きな期待を持っているということをまずお伝えしておきたいと思います。
「資料4 団体提出資料:(特非)DPI日本会議」を御覧ください。
1点目なのですけれども「事業者による合理的配慮の提供の義務化について」ということで、障害者権利条約との整合性、あるいは来年以降に控えております障害者権利委員会による日本審査への対応、また、現行の障害者差別解消法の趣旨や基本方針、対応指針などすら十分に守られているとは言えない実態を改善し、建設的対話がきちんと行われるようにするためにも合理的配慮の義務化が不可欠だと考えます。
障害者権利条約第5条は平等及び無差別ということで、ここに引用していますような規定をしています。時間の関係で読み上げませんけれども、これらの点から、障害者権利条約との整合性を図るために、事業者に対しても合理的配慮の義務化が不可欠であると考えます。
そのことは障害者権利委員会から日本政府に対して出されました事前質問事項においても、次のような項目があるわけなのです。障害者差別解消法が合理的配慮の否定を私的及び公共の場所における障害に基づく差別の形態として認めているかにつき、明確に説明願いたいというある意味非常に厳しい質問を頂いているような状況です。
こうした状況の中で、先ほど「資料1 障害者差別解消法及び障害者政策委員会の「施行3年後見直しに関する意見」について(概要)」ということで紹介頂きました障害者政策委員会のまとめのときの議論で、委員長からこのような発言がありました。「条約との整合性を確保し、条約の国内実施を進めていくという観点からも、合理的配慮の義務化は避けて通れない」という石川委員長のある意味強い決意を持った発言をもって取りまとめられたこの障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見を最大限尊重して頂きたいと思います。
また、私どもDPIが全国の仲間に呼びかけて収集した差別事例の多くは、合理的配慮の不提供に関するものでございました。特に民間の事業者に関しては、代替措置の選択も含めた建設的対話すらも行われず、一方的に合理的配慮の提供が拒否されている、門前払いされている実態が明らかになっています。
資料に事例を2つ載せています。ガソリンスタンドで給油を手伝って頂いていたのが、店長が替わってしてもらえなくなった。それを求めたところ、それは努力義務だ、だからしなくていいのだというようなことであったり、あるいは産婦人科を受診しようとした車椅子ユーザーが尋ねたところ、介護者がいたとしても、自力で乗れる人しか受け入れられないと門前払いで、建設的対話の土俵にすら乗って頂けない。このことを解決するために、何としても合理的配慮の義務付けは必須だということを強調しておきたいと思います。
2つ目であります。「合理的配慮の提供を促す環境整備の在り方と相談体制の充実について」であります。
合理的配慮の義務化とともに、実質的に必要とする合理的配慮がきちんと提供されるよう促すためにも、相談体制の充実が必要です。そして、国においては、適切な省庁の相談窓口へアクセスを確保できるようにワンストップ相談窓口をぜひ設けて頂きたいと思います。
ここに紹介をしております事例で、全国チェーンのエステ関係の相談事例でございます。相談者本人がいろいろな省庁に電話をかけて相談したところ、最初は厚労省から内閣府、法務局とたらい回しになっていたのです。それで困られてDPIに御相談頂いて、DPIからいろいろ問い合わせたら、経済産業省のヘルスケア産業課だということが分かりまして、そちらにつないだところ、経産省はすごく適切に対応して頂いて、非常にスムーズに解決していった。所轄の窓口にたどり着けさえすればこのように解決できる事例はたくさんあるというものなのです。
ところが、一市民はどの省庁が担当というのはなかなか分からないですし、あるいは自治体での相談体制を強化しても、国に相談しなければいけないときに、自治体の担当者もどこの省庁がというのはすぐに分かるわけではございません。自治体の相談機関の機能を高めていく意味でも、国におけるワンストップ相談窓口が重要だと考えております。
最後に「その他の重要課題について」ということで、項目のみ申し上げます。
「差別の定義・概念について」ということで、関連差別と間接差別、あるいは障害のある女性や子供等に対する複合的差別を含む差別の定義・概念の明確化をぜひお願いいたします。
あと「対象範囲の拡大」でございますけれども、これも政策委員会に意見がありましたが、障害当事者はもちろんですけれども、それのみならず、家族など関係者に対する差別にもしっかり取り組んでいくということを明確にして頂きたい。
最後に、障害者基本法は2011年に改正されたまま、もう10年近く経ってしまっております。ぜひ障害者基本法の改正に関しましても検討を早急に進めて頂きますことを最後にお願いしまして、DPIからの発言に代えさせて頂きます。
どうもありがとうございました。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
続きまして、難病のこども支援全国ネットワーク様、お願いいたします。
○(特非)難病のこども支援全国ネットワーク 福島専務理事 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。どうぞよろしくお願いします。
本日はこのような機会を頂きまして、ありがとうございます。
私どもは名前のとおり、難病や慢性疾病、障害のある子供と家族を支えるために相談活動、啓発活動、交流活動などを行っている支援団体でございます。
「資料5 団体提出資料:(特非)難病のこども支援全国ネットワーク」に箇条書きでまとめさせて頂いておりますので、御覧ください。
1点目が「差別の定義・概念について」でございます。差別の定義・概念の明確化を図ることによって、実効性のあるものにすべきだと思います。実効性がなければ全く意味がないわけで、ここは明確に規定すべきだと思います。
ただ、そうは言っても、逆にここに書かれていないからやらなくていいという反対解釈の濫用などの恣意的な解釈を防ぐためにも、基本方針であるとかガイドラインといったものも並行して策定・運用して頂く必要があると考えます。
2点目が、合理的配慮の提供に関する環境整備ということでございます。
合理的配慮の適用については、当事者及び家族の完全参加と同意を条件とすべきだというのは当たり前のことだと思いますけれども、学校現場における一例として、胃ろうのある子供がクラスで食事をするのに、学校側は別室を用意しました。本人はクラスの他の子供たちと一緒に食べたいと言っているのに、学校側はこれは合理的配慮だと言うのです。そんな事例も実際に聞こえてくるのです。合理的配慮という意味が正しく伝わっていないところもあると思いますので、そういったものをきちんと伝えて頂きたいと思います。
それから、こちらも当然のことですけれども、合理的配慮というのは当事者の個別ニードを基に決められるものでありますので、前例がないなどということによって、一律に上限や制限を設けるべきではないということでございます。
学校なども含めてですけれども、行政機関における合理的配慮は民間事業主におけるそれと比べても、より高い次元のものが求められるということを規定してもいいのではないかと思います。特に均衡を失した、または過重な負担を理由にして、多くの場合、行政あるいは学校で合理的配慮が提供されないという事例が見受けられるわけです。こういった場合には、当事者及びその家族の求めに応じて、書面でその理由と根拠とを明示するような仕組みも必要なのではないかと思います。
3点目の「事業者による合理的配慮の提供について」です。御案内のとおり、障害者雇用促進法においては、既に民間事業主に対する合理的配慮の提供は法的義務となっているわけでありますので、障害者差別解消法においても民間事業主に対する合理的配慮の提供は当然法的義務とすべきだと考えます。
4点目の「相談・紛争解決の体制整備について」ですけれども、相談窓口が非常に分かりにくい、どこに相談していいか分からないという状況で、また、トラブルがあった場合にも、第三者機関における調整とか助言といったもの、あるいは不服申立て等の救済制度を確保しなければ意味がないのではないかと思います。
最後に、障害者差別解消支援地域協議会です。私は埼玉県の入間市に住んでいるのですが、この協議会が障害者自立支援協議会と一緒に設置されているのですけれども、できてから一度も実質的に具体的な差別の事例を取り扱ったことはございません。これはきちんとこういったものがあるということが伝わっていないのと、先ほど申し上げた相談・紛争解決の体制整備が進んでいないということだと思いますので、せっかく設置されている協議会を活性化するための情報、あるいはノウハウの提供というものが必要だと考えます。
最後になりますけれども、障害者差別解消法の施行の際には、私たちにとって大変力強い、頼りになる法律ができたと大変喜んでいたのですが、実際には、特に学校問題が耳に入ってくるわけですが、学校などのトラブルの解決に対して極めて無力と言わざるを得ない状況だと思っております。こうした状況が一日も早く改善されるように、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
続きまして、日本筋ジストロフィー協会様、お願いいたします。
○(一社)日本筋ジストロフィー協会 貝谷理事 一般社団法人日本筋ジストロフィー協会理事の貝谷と申します。
本日はこのようなヒアリングの機会を頂きまして、誠にありがとうございます。
私どもは今回、2,500名に及ぶ会員の中から意見を募りまして、3つの提言をさせて頂きたいと存じます。1つ目が公立の学校における生徒への合理的配慮の徹底、2つ目が国庫補助金を受けている事業者について合理的配慮の義務化、3つ目がデジタル化促進を法文に明記ということで、特に障害者手帳の電子化について提言するところであります。
1つ目の「公立の学校による生徒への合理的配慮の徹底」です。今回、会員に意見を募ったところ、最も多く寄せられた意見として、普通学校教育における差別的な取扱いがありました。特に校外学習、これは修学旅行であったりとか課外学習といったものに当たると思うのですけれども、親の同行を参加の条件とする事例が特に目立ちました。これは親から離れることが教育目的の一環であるはずなのに、教育目的と矛盾しているという意見でございました。
こちらは昭和29年から始まったものなのですけれども、長年にわたる重度肢体不自由児の特別支援教育の歴史から、関係者の意識が特別支援教育の方に誘導しがちであるということ、また、実際に普通学校ではバリアフリーの設備が整っていないということで、こちらについてはそういう理由もありまして、改善に向けて関係者の大きな努力が必要と思われます。協議会等を設置して、教職員、関係者の研修の徹底、必要な教職員の配置、施設の改変、自治体へ教育における合理的配慮の予算確保をするよう通達の強化を提言したいと存じます。
会員から寄せられた不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供の事例について、こちらに挙げました。
校外学習への介添え者不提供。
事故の危険性を理由にした遊具の使用禁止。
介護時の事故による学校の損害賠償責任回避のための介護の不提供。
介護の必要性を理由に、学童保育の利用制限。
生徒のリハビリの必要性を理由としたエレベーターの使用制限。まだ力が残っているのにエレベーターは要らないというような言い方だということでした。
体育科目における見学の強要。体育授業の不提供ということです。こういった公立の学校における合理的配慮提供の徹底をお願いしたいというところでございます。
2つ目は、国庫補助金を受けている事業者については、合理的配慮の義務化をして頂きたいということです。
これはどこまで義務化するかによって、どのような経済的な効果があるかということの調査が必要だと思います。少なくとも、例えば国庫補助金を受けている事業体がどのぐらいあるのかということも含めまして、大規模な調査が必要ではないかと考えています。
今回寄せられました事業者の合理的配慮の不提供の事例は、ほぼ公共性の高い国庫補助金を使用しているような企業団体に限られました。逆に御意見として、ボランティア団体や障害者団体が規制の対象となるのは不合理であるという意見もありました。こういった団体は国庫から補助金を受けている可能性が高いからということです。
それから、私どもとしましては、障害者差別解消法施行後3年の段階では、米国の1973年リハビリテーション法504条というものがあるのですけれども、連邦政府の補助金を受けている事業体については、合理的配慮が義務化されたということなのですが、段階がありますでしょうから、合理的配慮を義務化するとしたら、今の時点ではもう一歩ぐらいではないかという提言でございます。
そのほかに障がい者コーディネーターの配置による窓口や自宅での相談体制を強化、障がい者相談員を活用するなど、合理的配慮に欠ける事例を蓄積することも必要であると考えています。
以下、会員から寄せられた不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供の事例です。
職場(病院)における合理的配慮(バリアフリートイレ、介護委嘱職員)の不提供。利用者の患者さんには合理的配慮を提供するが、車椅子の職員に対してはしないといったことでした。
人工呼吸器使用、障がいの程度を理由としたデイサービスの拒否。
既存大規模商業施設、新規の商業施設における合理的配慮の不提供。
磁器タイルや磨き大理石の床への滑りを防止するマットの未敷設。
フレイル歩行のバス利用者に対してニーリングの不実行。
例を省きます。
3番目は、デジタル化、特に障害者手帳の電子化を促進することを法文に明記するということなのですけれども、行政においては、オンライン申請化を推進しまして、未手続者の減少を図る必要があると考えます。
また、障害者手帳の頻繁な提示のたびに病名や症状、障害の程度、居住地などの個人情報を窓口の職員に見せるのは、個人情報保護の観点から見ても、障害者差別禁止条約の趣旨からしても著しい不条理であるということです。
一般のオンラインチケット決済サービスが障害者割引で利用できないのは、悪用や誤用防止のためだというのが理由なら、移動困難な筋ジストロフィー者にとって、更に大きな格差を感じる。公共性の高い事業者は一般並みのサービスを提供すべきである。
デジタル庁創設の動きがあり、マイナンバーカード使用が促進されている今、最も必要な人が優先的に恩恵を受けられるように促進すべきであると考えます。
以上、どうもありがとうございました。
○内閣府 衣笠参事官 どうもありがとうございました。
続きまして、日本障害フォーラム様、お願いいたします。
○日本障害フォーラム(JDF) 竹下副代表 今回、発言の機会を頂きましたことにお礼を申し上げます。
日本障害フォーラムの副代表をしている竹下といいます。
日本障害フォーラムは、障害者団体全国組織とその関連団体13団体で構成している組織であります。
今回、障害者差別解消法の見直しに当たっては、2014年に我が国が条約を批准していること、そしてコロナで延びている日本政府レポートに対する審査、すなわち日本の実情を審査の対象とするわけですが、それらが来年に予定されていることを踏まえて、障害者差別解消法の改正をぜひお願いしたいと思っております。
4点ほど申し上げます。
1点目は、差別の定義の問題であります。障害者差別の定義を法文そのものに書き込むことが困難であれば、基本方針に書き込むだけでなく、その定義がより法的規範性を持つためにも政省令で書き込むなどの工夫をして頂きたいと思います。障害者の差別の定義を明確にするということは、とりもなおさず国民に、あるいは企業に対して何が禁止されている差別かを十分に理解して頂くためには極めて有効な内容になることを御理解頂きたい。その際は、ぜひ女性に対する複合差別の問題も含めた内容にして頂くことをお願いしたい。
2点目です。民間事業者に対する合理的配慮の提供の法的義務化であります。東京都しかり、自治体の条例においては、民間事業者に対しても合理的配慮の提供が既に法的義務として規定されているところがあります。現にそうした条例による法的義務化がされている自治体において、企業に混乱が生じているという実態はどこにもありません。そうしてみますと、法律において、一日も早く民間事業者に対する合理的配慮の提供が法的義務に格上げされることを強くお願いするものであります。
3点目は、紛争解決のための仕組みづくりであります。合理的配慮の提供も含めて、差別の禁止も当然でありますが、これらを解決するためには、建設的対話による解決が最も重要だと思っております。継続性のある当事者間の関係を考えますと、裁判のような対立構造ではなくて、あくまでも話合いによる解決が最もふさわしいわけであります。そのためにも、相談窓口から始まって、紛争解決の体制がしっかりしていることが必要です。そして、最終的にはその紛争解決機関が仲裁、あっせんのような形で関係当事者により適切な解決の方向性を示せるような仕組みづくりをして頂きたい。
しかも、その紛争解決はあくまでも行政から独立したものでなければなりません。なぜならば、最後に申し上げる司法、立法の適用の問題にも絡むわけですが、現在のように例えば監視機関である障害者政策委員会が内閣府の中の審議会である限りは、司法や立法に対する監視をしていくことはあり得ないわけです。内閣府の審議会が司法や立法に監視の権限を及ぼすとなれば、三権分立が壊れるわけでありますから、あり得ないわけです。そうした点から考えても、紛争解決の機能、さらには監視の機能は政府から一定の独立性を持った機関でなければならないということもぜひ考えて頂きたい。
最後に、現在の障害者差別解消法の適用範囲はあくまでも内閣府の管轄に属する機関に対するものだとされております。その結果として、司法、立法、地方自治体に対する適用はないとさえ言われております。これは極めて不自然で、不完全なものです。障害者権利条約の関係からいっても極めておかしな話であります。
そうした点から考えますと、あくまでも司法、立法への適用、地方自治体への適用がきちんと視野に入れられた改正法になることをぜひともお願いしたい。そうでなければ、障害者権利条約が我が国において十分に具体化され、施行されたことにはならないということを強く申し上げて、JDFとしての意見を終わらせて頂きます。
どうもありがとうございました。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
続きまして、日本ダウン症協会様、お願いいたします。
○(公財)日本ダウン症協会 江上専務理事 日本ダウン症協会の江上といいます。よろしくお願いします。
まず、今日、このような機会を設けて頂いたことに感謝を申し上げておきますが、私どもが申し上げたいことは提出資料に書いてあるので、資料に書いてあることの裏側の話を少しさせて頂きたいと思います。
やや個人的な話になりますが、私のダウン症のある子供が48年前に生まれました。その頃は生まれてすぐ死ぬというような言われ方をしておりまして、お宅のお子さんは二十歳まで生きないよと病院の先生も言うような状況でした。
ところが、現実には、現在は48歳まで生きておりますし、ダウン症の人は70歳を超えている人もたくさんおられます。そうすると、時代の変化の中で、差別に対する考え方も変わってきているということをひとつ認識していく必要があるのではないかと思います。
具体的には、今、出生前診断という生まれてくる前のお子さんのことを判断する仕組みが非常に普及するというか、広がりつつあって、そのことが生まれてくること自体を差別しているという社会になってきているのではないか。これをどうすべきかということを考えないで差別解消というのは、多分ないだろうと私は思っております。出生前診断について最初に来るのは、ダウン症のほかという言い方をしますけれども、まずやり玉に上がるのはダウン症でありますが、実は染色体の検査は日進月歩しておって、いろいろな障害が生まれる前から分かっていくという状況は、科学の進歩によってどうもあるようなのです。そうすると、特定の疾病あるいは症状だけを捉えて産むなとか、こうしろとか、ああしろとか言う権利は誰にもないし、そういう社会になってはいけないと思うところです。
今、ダウン症協会としては、医療者とか福祉関係者、教育者などいろいろな人と一緒にダウン症学会を立ち上げて、いろいろな研究をしてもらっています。先ほど申し上げましたように、現在のダウン症のある人たちの状況が未来では同じではないのだろうという最初に申し上げた話から敷衍して、どのように法を見ていくか、法の在り方を考えていくというふうに、そのことを少し考えて頂くといいのかなと思います。我々も立法府の人間ではありませんから、内閣府の皆様方にもお考え頂ければありがたいと思っております。
最後に、差別をしないで受け入れる社会をどうつくっていくかということは、今日、私たちが出席している意味なのだろうと思っております。
ありがとうございました。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
続きまして、日本てんかん協会様、お願いいたします。
○(公社)日本てんかん協会 田所理事・事務局長 日本てんかん協会の田所と申します。
本日、てんかんの領域にもお声がけ頂きまして、ありがとうございます。
障害や疾病の種類は違いますけれども、こうやって多くの団体から基本的なお話はされていますので、改めて私どもが同じようなことを言うのもどうかということで、たまたまなのですが、毎年10月を「てんかん月間」として、内閣府を始め、厚労省、文科省の後援も頂いて、今、全国で啓発の強化月間をやっている最中でしたので、怠慢をしたわけではないのですけれども、限られた資料の数でしたので、皆さんのようにレジュメを提出せずに、今、うちが地方行政と一般企業に対してPRをしている資料を縮小しましたので、皆さんのお手元のものは両面ですけれども、実際にはA3の見開きのリーフレットにしてお配りしているのですが、これを見て頂いて、私たちが今どんなことに取り組んでいるのかということを知って頂ければと思ってお配りしました。
ポイントとしては、自治体等にとにかくてんかんというくくりで物事を考えないでほしいという話をしています。私どもは国際組織の日本支部にも当たるのですけれども、障害者領域でも同じでしょうが「People with Epilepsy」というのが基本的な考え方です。「People」が前提ですので、たまたまてんかんという症状がある人なのだという活動を全世界でやっておりますので、誰でも、どこに住んでいても、専門医療をきちんと受けられるということ、また、先ほどDPI様が言われていましたけれども、安心して相談ができる窓口をきちんと作っていくという2つが当事者の方々が一番望んでいることですので、今、こういったことを自治体にお願いをしています。
昨年、うちの会員ではなくて、244人の一般の企業で働いているてんかんのある当事者の方々にアンケート調査をすることができて、実際に働いてみてどうなのかという本音の調査をしました。その中身をこのリーフレットにまとめさせてもらって、私たちが思っているよりも意外とみんな困っていなくて、働けている人たちもいるのだとか、てんかんを隠しているということがストレスになっているということもありますし、実はてんかんではなくて、その人のキャラクターの問題でうまく仕事ができていないということもあったり、事業主や学校でもそうなのですけれども、てんかんのことが分かると一生懸命理解しようとしてくれる事業所もあるということも分かっています。
本人たちがどう適切に伝えるかということもありますけれども、基本的には一人一人の状態を分かってしまったときに、事業主、学校、自治体等がこの人の症状はどういったもので、どういうフォローをすればいいのかという個別の対応をしてもらえることが一番望ましいのだろうということで、病気とか障害でのラベリングで、てんかんだからこうなのだという見方ではなくて、あくまでもこの人の症状をどのように克服していったらいいのかというコミュニケーションが取れるような取組が一般化していってもらえると有り難いという思いで今取組をしています。
ですので、私どもが思っているのは、最初に言いました専門医療と相談窓口が誰にでも提供できるような仕組みを義務付けていってもらいたいというのが一点と、差別という意味では、てんかんとか、ラベリングでの決めつけはしないでほしい。そういったものがしっかりしていってくれると、甘いかもしれませんけれども、意外とてんかんの領域はそれなりに活動できている方々がいるのだなということが、今回のこの調査と活動で分かってきていますので、その辺をお伝えさせて頂ければと思いました。
以上です。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
3 意見交換
○内閣府 衣笠参事官 それでは、残りの時間ですけれども、更に御意見のある方などに御発言頂く時間としたいと思います。
挙手を頂きましたら、順に指名をさせて頂きます。
オンラインで御参加頂いている方がいらっしゃることもありますので、指名を受けてから団体名を仰って頂き、御発言をお願いいたします。
また、会場の都合によりまして、4時半までの時間となりますので、多くの方に御発言頂けるよう、御協力をお願いいたします。
それでは、御発言のある方は挙手等をお願いいたします。もしくは御質問等でも結構です。
DPI日本会議様、どうぞ。
○(特非)DPI日本会議 尾上副議長 ありがとうございます。
質問と意見です。
「資料6 団体提出資料:(一社)日本筋ジストロフィー協会」の件で、日本筋ジストロフィー協会様に御質問させて頂いていいですか。
2つ目の「国庫補助金を受けている事業者について合理的配慮の義務化」ということなのですが、国庫補助金を受けている事業者はいろいろなところがありますけれども、例えば独立行政法人とかのイメージでしょうか。もしこれが独立行政法人とかでしたら、現状でも民間事業者ではなくて、行政機関等ということになるのかなと。ここの「国庫補助金を受けている事業者」というのがちょっと私の中でイメージがつかなかったもので、教えて頂ければということです。
あと、時間の関係で先ほど説明できなかったのですけれども、特に民間事業者の合理的配慮の義務化について、先ほどJDFの竹下さんも仰っておられましたが、自治体において、既に民間事業者の合理的配慮を義務付けしている自治体が増えてきているのです。特に経済団体が一番多い東京都で義務付けして、何一つ混乱していない。
さらに、私は大阪に住んでいるのですけれども、大阪の条例は、現在、民間事業者は努力義務なのですが、来年4月から合理的配慮を義務付けるということで、改正案を今準備されているところです。もちろん、これは最終的には議会で議決されなければなりませんけれども、既にパブリックコメントが終わって、大阪府としては改正案で議会に諮りたいとなっています。
そういう意味では、人口比的に言えば既に40数%、5割近くの自治体で民間事業者の義務化がなされていて、それがなされるということで何一つ混乱することがないということと、もう一つは、そのように義務付けをすることで、真剣に合理的配慮を理解して頂けると。つまり、私たちは何よりも理解や建設的対話を求めたいのですけれども、努力義務だから適当でいいやと言うのではなく、真剣に合理的配慮を理解して頂いて、当事者と向き合って頂く。建設的対話や理解を促進する意味でも合理的配慮の義務付けが必要なのではないかということ。
あと、そのようにしたときに、相談体制をしっかりするという、この相談体制の部分を多くの団体から言われていますけれども、特に合理的配慮の義務付けのときに、障害当事者や家族からの相談はもちろんですけれども、もう一つは企業からの相談で、合理的配慮を求められたけれども、自分たちでどのように提供したらいいかがよく分からないというときに、例えば自治体の相談窓口であったり、あるいは国のワンストップ窓口や、各省庁に相談がしやすいようにするというのが大事です。どちらからも相談ができるようにして、合理的配慮の義務付けをすれば、混乱することは全然ないのではないかと思います。
そういう意味で、合理的配慮の義務付けは、既に人口の半分ぐらいの自治体で義務付けになっていきます。しかも混乱がない。東京都なんかを見ますと、義務付けになってから多くの企業からの相談が増えた。つまり、それまでは努力義務だからなぐらいで相談をされなかったのです。義務付けされることで、ちゃんと向き合って、相談もされるという理解が広まるということもぜひ知って頂きたい。
私どもは特にその2つを強調したいのですけれども、その2つにはすごく深いつながりがあるということで、補足で意見させて頂きました。
以上です。
○(一社)日本筋ジストロフィー協会 貝谷理事 質問にお答えしたいと思います。
この国庫補助金という意味は、例えば皆さんが御存じのGо Tоトラベルといったものは、民間事業者が国庫補助金を利用している会社ということになる。そういった民間事業者です。だから、ありとあらゆる国庫による補助金がございますので、ほとんどの大企業はそうだと思いますし、我々障害者団体も国庫のいろいろな調整金を取って活動していると思うのですけれども、障害者団体も国庫補助金を取っていれば合理的配慮の提供の義務があるといった意味で、日本の場合は恐らく国庫補助金を受けている団体は大多数ではないかと思っているので、かなりの業態がこれによってカバーされるのではないかといった思いで、こういった提言になっております。
○内閣府 衣笠参事官 内閣府です。一応補足しますと、御指摘のとおり、独立行政法人は国、地方公共団体と同じような位置付けで、今は既に合理的配慮が義務化されております。
ただ、例えば学校法人や社会福祉法人などは補助金を受けているわけですけれども、それらは確かに民間事業者ということで、事実としては、今は努力義務であるということです。
難病のこども支援全国ネットワーク様、どうぞ。
○(特非)難病のこども支援全国ネットワーク 福島専務理事 ありがとうございます。難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
先ほど皆様のお話の中でも学校関係の話がたくさん出てきたと思うのですけれども、おさらいも含めてまとめさせて頂くと、2011年に障害者基本法が改正されて、第16条の教育というところに、障害者である子供と、そうでない生徒が共に教育を受けられるように配慮しつつ、その保護者等に対しても情報の提供を十分に行って、可能な限りその意向を尊重するということがうたわれています。けれども、実際に、私どもに寄せられる相談は、現在においても不当な差別的取扱いであるとか合理的配慮の不提供と思われるようなものが本当に多数寄せられているのです。
就学システムも、2013年9月に変わっていて、本人と保護者の意見を最大限尊重して、学校と教育委員会及び保護者が合意形成を行うことを原則として、就学先を決定するとなっているにもかかわらず、いろいろな問題が今でも続いているという状況であります。
そこには、分離を前提とした就学システムがあるのが理由だと私は思っていますけれども、今でも就学基準に該当している障害のある子供は特別支援学校に就学すべきで、本来はここにいるべき存在ではないという意識が学校現場、あるいは教育委員会の現場にもあると思いますし、そういったことから、就学するときにも親の付添いが強要されるような事例も多々あります。
具体的には、就学するときに、介助者がいないという理由で親の付添いを求められたり、遠足とか校外学習に出かけるときに親の付添いを求められるような事例もありますし、宿泊を伴う行事に対する付添い、それから、高等学校が義務教育ではないという理由でもって、親の付添いを求められるような事例もあります。
それから、実は特別支援学校にも付添いの問題が実際にあって、例えば呼吸器を付けている子供は、現実的には親が付き添わないと通学ができないという現状が今でも存在しているということであります。
先ほどの3点目の合理的配慮の提供のところで、こういった行政機関における合理的配慮は、民間事業主におけるそれと比べてより高い次元のものが保証されるべきだと申し上げました。学校とか行政には、ぜひとも民間の事業主の模範になるような形で合理的配慮が提供されるように取り組んで頂きたいと思います。
よろしくお願いします。
○内閣府 衣笠参事官 ありがとうございました。
その他にございますでしょうか。
日本筋ジストロフィー協会様、どうぞ。
○(一社)日本筋ジストロフィー協会 貝谷理事 内閣府の方に質問なのですけれども、合理的配慮の提供によって、もちろん社会的費用はかかると思うのですけれども、それによる経済的に浮揚するという経済効果もあると思うのですけれども、これに関する費用対効果の分析をするに当たって、民間事業者に大規模調査をするような予定はあるのでしょうかということと、必要はあるのでしょうかという質問になるのですけれども、お願いします。
○内閣府 衣笠参事官 内閣府です。
費用対効果と言いますと、具体的にどのようなことを指していらっしゃいますか。
○(一社)日本筋ジストロフィー協会 貝谷理事 例えばスロープを設置したときにコストがかかりますよね。一応それは投資ということになりますので、もちろんそれによって経済的効果もあるわけですよね。
予算を執行すれば必ずそういう経済的効果があると思うのですけれども、民間事業者が例えばスロープを付けるのに使ったお金を出して、どのぐらいの経済的効果があるかとか、合理的配慮によって企業の収益が落ちると思うのですけれども、そういったことも含めて、合理的配慮の義務化をしたときに経済面でどのような効果があるかといった分析、調査はされないかということなのですけれども。
○内閣府 衣笠参事官 一点、スロープの設置などについてですけれども、こちらは環境の整備と言われるものです。障害者差別解消法では合理的配慮と別の規定で、不特定多数の障害者を主な念頭に置いた施設の改修は、環境の整備として位置付けられています。こちらは行政機関、民間事業者共に努力義務になっていまして、合理的配慮の義務化とはまた別の議論ということになっております。環境の整備は費用がかなりかかる話もあると思いますので、もしその義務化ということになれば、また別の大きな議論が必要になってくると考えます。
環境の整備があればより良い合理的配慮ができるのは事実なのですが、法律上はまた別の規定の話ということになっています。
あとは、先ほどの費用対効果といいますか、合理的配慮に関して、収益とか経営上与える影響の大規模な調査につきましては、内閣府としては今のところ予定していません。個別性がかなり高いもので、金銭に換算できるかどうかという難しい面もあると思います。我々としては、過重な負担のない範囲ということについて分かりやすく示すため、例えば事例をたくさん集積ことや、各省と連携してガイドラインで示すこと等で対応させて頂くということであり、費用というところでは今のところ予定していないということです。
以上です。
○内閣府 植草企画官 企画官の植草でございます。
一点補足します。経済効果についてですけれども、我々は合理的配慮の義務化というときに、障害の有無にかかわらず共に暮らしていける共生社会づくりを目指していこうという観点から実施するものですので、それによって経済がどうなるかということは、また論点が別なのかという気がしておりますので、そういった点からの検討は今のところ実施する予定はないということだと思います。
○内閣府 衣笠参事官 今までの回答がお答えになっているかどうかわかりませんが。申し訳ありません。
他に何か御質問等はございますでしょうか。
○日本障害フォーラム(JDF) 竹下副代表 JDFの竹下です。
質問ですけれども、進行の関係なのですが、3回に分けて障害者団体からのヒアリングが行われるということになっているかと思うのですけれども、今日はその何回目か知りませんが、それが全て終わった後、このヒアリングを受けた内容を精査されて、今後どういう手順で障害者差別解消法の見直しのところに反映されるのかについて、少し御説明頂ければ有り難いと思います。
○内閣府 衣笠参事官 実は障害者団体の皆様からのヒアリングは今日が初めてなのですけれども、3回に分けて開催させて頂きます。また事業者団体からもヒアリングをさせて頂いていますので、いろいろな御意見も含めて我々で整理した上で、政府内部で検討を進めさせて頂きたいと考えています。
障害者政策委員会では意見書ということで具体的に方向性の提示を頂いていますが、意見書の中では関係各方面の意見等を踏まえて義務化を検討すべきと書かれていますので、その具体的なプロセスとして、今まさにこのヒアリングを実施させて頂いているということです。今後、ヒアリング等の結果も踏まえて、例えば事業者による合理的配慮であれば、義務化を検討すべきと意見書に書かれていますけれども、義務化をすべきかどうか方向性の確定というものをさせて頂きたいということです。
○日本障害フォーラム(JDF) 竹下副代表 端的に言えば、6月22日に政策委員会が答申といいますか、意見書をまとめたわけですが、それにプラスしてこの19団体のヒアリングの結果を精査したものは、内閣府において改正のための参考資料として用いられるということですか。
○内閣府 衣笠参事官 そのとおりです。
意見書を踏まえてということなのですが、プロセスとして関係各方面の意見等を踏まえ検討すべきとなっていますので、その意見等を踏まえということの具体的な対応ということで、今こういったヒアリングをさせて頂いているということです。
○日本障害フォーラム(JDF) 竹下副代表 分かりました。ありがとうございました。
○(特非)DPI日本会議 尾上副議長 関連質問でよろしいですか。
今日は団体を代表してこちらに来させてもらっていますので、今日聞いてきたことをまた仲間にも報告する役割がありますので、ちょっとお尋ねしたいのですが、先ほどの竹下さんからの御質問に対するお答えだと、今日からこの3日間で障害者団体のヒアリングが終わって、並行して経済界なり、業界団体のヒアリングもされているというか、その団体ヒアリングは大体どれぐらいの規模で、いつぐらいにヒアリングが終わるのか、時期的なめどみたいなものも併せてお教え頂ければありがたいと思います。
○内閣府 衣笠参事官 団体ヒアリングですけれども、事業者団体のヒアリングは本日で終了しました。障害者団体のヒアリングは28日に時間を取らせて頂いて、そちらで残りのヒアリングを実施させて頂きます。ですので、10月でこうした形のヒアリングは全て終える予定です。
○(特非)DPI日本会議 尾上副議長 それぞれ団体数はどれぐらいで、それぞれのヒアリングの結果のいわゆる概要みたいなものはまたウェブとか、そういう形で報告というか、まとめられるのでしょうか。ヒアリングの結果がどのようにまとめられるかということも併せて教えて頂ければと思います。
○内閣府 衣笠参事官 まず、団体数は事業者団体で約30団体です。障害者団体は約20団体ということになっています。
結果につきましては、今日皆様方に申し上げましたけれども、公表を前提にということで実施させて頂いていますので、いずれかの段階で、何らかの形で表にはまとめた形で出させて頂くことにはなりますが、どういう形というのはまだ事務局でも確定しておりません。このため、明確に申し上げられないのですが、何らかの形で公表はさせて頂きます。
○(特非)DPI日本会議 尾上副議長 大体いつぐらい。11月ぐらいには公表ぐらいのイメージでしょうか。
要は、ほかのみんなにヒアリングはいつ分かるのということを聞かれたとき、いつぐらいに例えば内閣府のウェブページを見たらいいのかということです。
○内閣府 衣笠参事官 作業も伴いますので、はっきりとは申し上げられないのですが、検討に使っていくということなので、あまり時間をかけずに公表させて頂きたいと思います。具体的にいつまでというのはまだ申し上げられない状況です。
よろしいでしょうか。
○内閣府 難波審議官 失礼いたします。内閣府の審議官の難波でございます。
本日は大変貴重なお話をそれぞれ直接お聞かせ頂きまして、ありがとうございました。
いろいろと個々のケースがあり、事業者の側から見ますと、伝統的にと言いますか、車椅子の方など身体障害者の方が来られれば外見からいわゆる障害のある方だというのが分かる場合と、外見では分からずやり取りして初めて分かる場合といろいろあって、それぞれに対応すべき内容も様々でという話も事業者団体から伺っておりますが、本日御出席頂いている方もそういった様々な障害がある方々の団体であると認識を新たにした次第であります。
ただ、全体として共通して、個々の障害のある方のニーズというものを受けて、それに対して必要かつ合理的な配慮をするというのが今回のいわゆる合理的配慮の趣旨でございまして、今回頂いた内容も踏まえて、また検討を深めてまいりたいと思います。
いろいろと御意見を頂きましたけれども、その際には広く国民に対する周知、事例の収集、あるいは相談体制といったものを明確化して、また、その実効性をしっかり高めるなど、大きく言えば、そういったものもセットになってこそ共生社会の構築に向けた歩みがまた進むのだろうと思っております。
ぜひ引き続き御理解、御協力を頂きまして、この検討に適切な結論が得られるように、また、最大限早くや実施できるように取り組んでまいりたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○内閣府 衣笠参事官 それでは、少し時間は早いですけれども、これをもちましてヒアリングを終了させて頂きます。
4 閉会(省略)