障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会(第2回)議事録
○ 野澤会長 定刻になりましたので、これより、第2回障害者差別解消支援地域協議会在り方検討会を開催させていただきます。障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会を始めたいと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙中のところお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
本日の会議は12時までを予定していますので、短い時間ですけれども、有意義な議論ができたらと思います。よろしくお願いいたします。
まず、会議の流れと資料について事務局から御説明をお願いします。
○ 田中企画官 おはようございます。
本日の資料といたしましては、
資料1「障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針の論点整理に向けて」。
資料2「想定される障害者差別解消支援地域協議会の在り方(叩き台)」。
資料3「障害者差別に関する相談の流れイメージ(案)」。
参考資料1は、暫定指針の論点に対する御意見についてということで、提出のございました委員の先生方の御意見を参考資料として配付しております。
参考資料1-1としまして田門委員。次第の1枚紙に戻っていただきまして、大変申しわけございません。こちらのほうに田門委員のお名前に誤植がございました。大変失礼いたしました。申しわけございません。この場で訂正させていただきます。
参考資料1-2として渋沢委員。
参考資料1-3として又村委員の御意見です。
次に参考資料2としまして、国の出先機関一覧。
参考資料3として、市町村における障害児者が利用できる相談について。
参考資料4でございますが、中核地域生活支援センターについての資料を配付させていただいております。
資料については以上でございます。資料の不足等がございましたら事務局までお知らせください。
それでは、ここからの議事進行につきましては、会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○ 野澤会長 それでは、議事に入りたいと思います。
まず、障害者差別解消法における地域協議会に関する規定の確認及びスケジュールについて、事務局から御説明をお願いします。
○ 事務局 まず、資料1をごらんいただけますでしょうか。こちらは前回の議論をいただきまして、また一部参考資料で配付させていただいておりますとおり、参考資料1-1から1-3に係るものです。こちらのいただいた御意見をある程度踏まえた上でまとめさせていただいたものとなっております。
資料1の表の一番上の指針の名称についてというところなのですけれども、こちらにつましては御意見として、事業実施のためのものであることがわかるような名称ということでございますので、今後は障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針とするという形に変更させていただければと思います。
続きまして、協議会を設置する趣旨というところになりますが、前回いただいた御意見としては地域協議会の目的を明確にすべきでありますとか、機能を整理した上でその機能を持つのだという視点を示すべきでありますとか、また、事例を集積される機能でありますとか、差別を予防していく機能、周知啓発のテーマを設定し、取り組みを行っていく機能、障害者差別を解消するために必要な社会資源を開発する機能が必要ではないか。また、差別解消に係る政策的な提言をするなどの機能を持つべきではないか。こういった御意見をいただいたところでございます。
これを踏まえまして2枚目になりますが、この法律の規定を踏まえた上で障害者差別の解消の推進に係る事例の集積を通じた認識の共通化、構成機関による周知啓発の取り組みの実施、新たな社会資源の開発に関する協議等、政策的な提言を実施する機能を整理し明示することとしてはどうかという形で整理させていただきました。
また、そのほかの趣旨において明示すべき視点としても、御意見といたしましては地域協議会において取り上げるテーマは、地方公共団体が受け入れやすいものとすべきではないかでありますとか、障害者差別についても一般化することで、各地域で取り組むようなものを明示していくべきではないか。また、地方公共団体に受け入れやすいものとしていくべきではないか。こういった御意見をいただいたところでございますので、それを踏まえまして地方公共団体が受け入れやすいものとするために、障害者差別の解消の推進に資するだけではなく、地域全体の課題に取り組むことなどを含め、趣旨として明記することとしてはどうかという形で整理させていただきました。
今回の検討会においては、その上で地域全体の課題として想定されるものは何かということについても、御示唆等いただければと思っております。
2番目の協議会の基本的な仕組みというところになりますが、まず協議会の組織といたしまして御意見といたしましては、地方公共団体の現場が柔軟に対応できるようなものを示すべきではないかでありますとか、また、都道府県レベルでないと見えてこないものでありますとか、市区町村の場合は支援者中心のネットワークであって、都道府県は当事者中心として課題を話し合って、政策を出していくという役割分担が考えられるのではないかでありますとか、また、地域全体として底上げしていくネットワークというのは都道府県にふさわしいのではないか。また、都道府県単位であれば国の出先機関も入りやすいのではないか。都道府県でつくる場合と市区町村でつくる場合のそれぞれの役割を整理すべきではないか。市の場合であったら政令市、中核市モデルと一般市モデルを分けて考えるべきではないか。市区町村ならではの問題もあることから、市区町村においても事業を展開すべきである。こういった御意見をいただいているところでございますので、現時点で都道府県レベルと市町村レベルで組織する場合の双方を想定し、役割を明確にする等にあわせて市の場合は政令指定都市、中核市とその規模に応じた協議会の役割等に留意することとしてはどうかという形で整理させていただきました。
次に構成者といたしまして、御意見といたしまして、現状において障害のある方がどこに相談しているかを把握した上で、当事者も参加するべき。また、当事者を巻き込んでネットワークをつくっていくべき。当事者も支援などを受けるという立場だけではなく、自分たちも役割を担うという視点を加えるべきといった御意見をいただいたところでございます。そこで当事者の参加について明記するとともに、期待される役割についても示すこととしてはどうかという形で整理させていただきました。
その上で、協議会を構成する具体的な機関についても明示するという形にさせていただければと思いますので、こちらについても本日、御意見、御示唆等をいただければと考えております。
3番目の運営方法になりますが、こちらも御意見といたしまして、虐待防止とは別の角度から俯瞰できるような立場の組織がつくれるといいのではないか。市役所など身近なところに相談が集中すると思われるので、それをスムーズに解決できるようなネットワークを形づくるべきではないか。また、既に取り組みを行っている道県や市の状況を加味するべきではないか。ほかの相談機関で対応できない問題を受けつけて、他の機関を紹介するような救済機能を置くようにするべきといった御意見をいただいたところでございます。そこで既に取り組みを行っている地方公共団体を参考とし、当事者にとって相談しやすい身近な機関によるネットワークづくりに留意する。また、関係機関が対応できない事案に遭遇した場合を想定した事務局の機能等についても示すこととしてはどうかという形で整理させていただきました。
続きまして、協議会と相談窓口との関係について。こちら御意見といたしましては相談窓口の情報を地域協議会に上げていくというシステムをしっかりと持たせることを示すべきではないか。新しい窓口を設置することができない以上、相談を担う機関が機能を広げて対応する必要があることについて示すべき。ハード、運用、支援といった各面で生じる谷間を埋める役割を明示することが必要。こういった御意見をいただいたところでございます。
そこで相談窓口から地域協議会における協議に至る過程を明示してはどうか。また、相談窓口の機能の強化に係る視点をハード、ソフトの双方の面から示すこととしてはどうかという形で整理させていただきました。その上で、活用が期待される既存の相談窓口についても具体的に示してはどうかとさせていただいておりまして、この点についても本日、御意見、御示唆をいただければと考えております。
また、協議の対象とする事案についてといたしまして御意見、女性差別や子供差別といった中に障害者差別があるという視点を持つべき。本人が差別と感じていなくても、障害者差別である事案については拾っていくという視点が必要といった御意見をいただいたところでございます。
そこで明らかに障害者差別と考えられる事案はもとより、新たな視点を持って障害者差別を把握していく姿勢が求められていることを示すこととしてはどうかという形で整理させていただきました。
続きまして4番の協議会における情報の取り扱いについて。個人情報を協議会に提供する際の留意事項につきましては、御意見といたしまして、個別の事例の取り扱いについても相談窓口と地域協議会全体を見据えた枠づくりをすべきではないかという御意見をいただきました。
こちらを踏まえ、都道府県が組織する協議会の役割、市町村が組織する協議会の役割を踏まえ、相談窓口から協議会への情報提供のあり方について明記してはどうかという形で整理させていただきました。
最後の5番、既存の協議会との関係につきましては、御意見といたしまして障害者総合支援法に規定される協議会の個別の支援会議から見えてくる課題を抽出して、その地域の障害福祉施策に反映させていくプロセスを参考とすべきという形の御意見をいただいたかと思っております。そこでいわゆる地域自立支援協議会を参考としつつ、既存の協議会に障害者差別解消支援地域協議会の機能を付加していくという視点もあることを示すこととしてはどうかという形で整理させていただいたところでございます。
以上が前回の議論を踏まえまして、論点の整理に向けて新しくテーマという形で今回提示させていただいたものでございます。
続きまして、資料2をごらんいただけますでしょうか。資料2は想定される障害者差別解消支援地域協議会のあり方のたたき台という形で整理させていただいたものでございます。こちらは先ほど申し上げました資料1の内容を若干可視化できるような形で整理したものでございます。
まず都道府県、市町村と2つのバージョンを設定させていただきました。その上で差別解消の推進に関する取り組み、また、個別事案への対応、当該自治体に存在すると考えられる主な構成機関の担い手、そして最後に事務局機能。この4点について項目を設定させていただき、そして望まれる機能等、そしてもう一つ、地域の実情に応じて検討する機能という形で機能の部分を分けております。
都道府県におきましては、望まれる機能といたしまして都道府県内における、相談や相談に係る事例の情報共有及び構成機関等への意見表明。2番目には差別解消の推進のための取り組み関する協議。事例の集積による認識の共通化、構成機関による周知啓発の取り組み、社会資源の開発・改善。そして、3番は②を踏まえた構成機関等に対する差別解消の推進のための取り組みに関する提言といったものを望まれる機能といたしました。
下の当該自治体に存在すると考えられる主な構成機関の担い手として、当事者、障害者団体、家族会等、行政といたしましては法務局、労働局、知事部局、教育委員会、都道府県警等。医療といたしましては医師会、歯科医師会、看護協会等。福祉といたしましては都道府県社会福祉協議会、民生委員児童委員協議会、福祉専門職等団体、社会福祉施設等団体等。事業者といたしまして商工会議所、経営者協会、公共交通機関等。また、法曹といたしまして弁護士会、司法書士会等。その他といたしまして学識経験者、新聞社、放送局等、こういったものが想定されるのではないかと考えておるところでございます。
そして事務局機能といたしまして、事務局機能の一環として適切な相談機関の紹介を行う。これを望まれる機能という形で整理いたしました。
一方で、地域の実情に応じて検討する機能という形で、どちらかと言うとオプションという感じなのですけれども、こちらにつきましては望まれる機能を備えた上で個別事案への対応といたしまして、相談機関や市町村協議会等から寄せられた相談や相談に係る事例の対応を協議。②といたしまして、①の協議結果をもとに相談機関等に提案という形のものをここに示させていただきました。そして事務局機能といたしまして相談機関の紹介のほか、相談員等を別途配置し、事例の掘り起こしや相談業務を通じた紛争解決を図る。これはオプションという形でここに示させていただいたところでございます。
一方で市町村につきまして望まれる機能ということで、市町村内における相談や相談に係る事例の情報共有及び構成機関等への意見表明、相談及び相談に係る事例を都道府県の協議会に報告、相談機関等から寄せられた相談の対応を協議、そして、この対応の協議結果を基に相談機関等に提案をしていくといったものが望まれるのではないかという形で示させていただきました。
当該構成機関の担い手といたしましては、やはり当事者の障害者団体、家族会等。そして行政の市町村部局、教育委員会。福祉、社会福祉協議会、相談支援事業者等。相談関係といたしまして人権擁護委員、民生委員、身体・知的障害者相談員等。そして専門職、医師、弁護士、社会保険労務士、福祉専門職等。そして事業者といたしまして商工会議所等。その他、学識経験者。こういった機関もそうなのですけれども、個人の専門家的な知見を集めた上で、この協議を行うという形を考えてみました。
続きまして事務局機能といたしましては、望まれる機能といたしまして事務局機能の一環として適切な相談機関の紹介を行う。寄せられた場合には適切にコーディネートしていく。
一方でオプションといいますか、地域の実情に応じて検討する機能といたしましては、市町村内における差別解消の推進のための取り組みに関する協議。政策的な提言を行っていくことを考えております。そして、事務局機能のオプションとしては、相談機関の紹介のほか、相談員等を別途配置し、相談業務を通じた紛争解決を図るというものが考えられるのではないかということで、こちらに挙げさせていただいております。
こちらはたたき台となっておりますので、こちらも含めて後ほど御意見をいただきたいと思ってございます。
最後に、資料3をごらんいただけますでしょうか。前回、相談の流れのイメージがつかみにくいという御意見を受けまして、大体このようなものなのではないかということで図としてつくらせていただいたものでございます。
まず障害を理由とする差別に関する相談があって、一義的には構成機関、相談窓口でありますとか、非構成機関であってもその相談窓口が相談を受けつけて紛争解決を図っていく。障害を理由とする差別に関する相談に係る紛争解決に当たっては、各相談窓口で対応することが基本となっております。
一方で協議会の事務局といいますか、そこに寄せられる相談もあろうかと思います。事務局に相談が寄せられた場合については、協議会または適切な相談の後に情報提供することを基本とするという形で整理させていただいています。
一方で、この紛争解決が難しいでありますとか、その解決した事例といったものをこの障害者差別解消支援地域協議会で共有していく。そしてそれを踏まえた取り組み等について協議していく。ここが先ほどから申し上げているとおり具体的には事例の集積による認識の共通化であったり、構成機関による周知啓発の取り組みであったり、また、社会資源の開発、改善などの協議をすることが考えられると思っております。
一方で、非構成機関の場合は必要に応じて参加という形態をとらせてもらっています。実際に非構成機関が相談を受けた場合、こちらは構成機関のとある相談窓口のほうがふさわしいのではないかといったときのつなぎとして、この協議会などの活動などが考えられるのではないかと思っております。
一方で、非構成機関であっても協議会の事務局からはもっと広く取り組みを進めるでありますとか、事例でこういったものがあったということを情報提供する必要があるという場合には、協議会の協議結果などを情報提供していくことも考えられると思っています。
これらを受けまして、構成機関による相談窓口のほうに協議の結果が知らされて、構成機関による差別解消の取り組みの実施または協議結果に基づく紛争解決等でありますとか、非構成機関にあってもその地域協議会の協議結果でありますとか提案等を受けまして、差別解消の取り組みの実施や協議結果に基づく紛争の解決等を図っていくということにより、障害を理由とする差別の解消を図る。これが一連の流れという形でイメージしております。こちらは案でございますので、ほかに必要な要素でありますとか、視点、そういったものがあれば、あわせて御意見等いただければと思っております。
以上が雑駁でありますけれども、資料の説明となります。どうかよろしくお願いいたします。
○ 野澤会長 スケジュールのほうはどうですか。
○ 事務局 スケジュールにつきましては、今回、次回の3月19日ということが決まっておるところなのですけれども、4月以降につきましてはまだ調整中ということで、また改めて調整でき次第、お話させていただければと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
○ 野澤会長 わかりました。議論に入る前に、今の事務局からの資料あるいは説明について、何か質問があればお伺いしたいと思います。田門委員、お願いします。
○ 田門委員 田門です。スケジュールについて確認をさせていただきたいと思います。
暫定指針についてなのですが、3月中に決めるということになるのでしょうか。教えていただければと思います。
○ 事務局 前回いただいた御意見をもとに今回、論点整理に向けてという形で資料を提出させていただいたところなのですけれども、本日またそれに加えて御意見を頂戴した上で、3月の次回のときに本文という形で提示させていただければと思っております。そこで了承をいただき、ある意味これでとりあえずやってみようということで御了解いただけるのであれば、そのまま事業のほうに入らせていただき、また、そこで幾つか課題があって、もう一度審議が必要だということであれば、またそのときの状況に応じて別途意見書のやりとりでございますとか、そういった形で取りまとめさせていただければと思ってございます。
○ 田門委員 そういたしますと、委員からの意見があれば、3月のその前に意見書を出すみたいな形になるわけでしょうか。
○ 事務局 左様でございます。
○ 田門委員 ありがとうございました。
○ 野澤会長 ほかによろしいでしょうか。そうしたら、各委員からいろいろ御意見を出していただきたいのですけれども、まず全体的なものについてあれこれと意見を出していただく。そして、その後にもう少し具体的に明示するために、各分野、例えば教育とか労働、医療、福祉、公共交通とか、そういうところでこういう何らかの事案が持ち上がったときに、現在どんなふうな相談から解決に向けてのものがあるのかというようなことを少しイメージしながら、それぞれの分野の専門家の方に御意見を伺いたいなと思っております。
まず、今、事務局から提示していただいた資料1、2及び3です。資料1のところは前回の議論や田門さんや渋沢さん、又村さんから出していただいたペーパーをもとに、これをまとめていただいたのですけれども、これらについて何か意見をいただきたいなと思っております。
せっかくなのでペーパーを出していただいた3人に、ここのところは特に言いたいというか、あるいは事務局がまとめてくれたものについての意見とか注文とかあったら、それぞれ少しずついただければと思っているのですが、田門委員からでいいでしょうか。
○ 田門委員 田門です。御指名をいただきましたので、少し御意見を述べさせていただきます。
私の意見は参考資料1-1になります。特にお示ししたいのが4つほどございます。1つは参考資料1-1の1ページのところです。下の四角がございますが、その中の4行目、少し読み上げます。「差別解消のための取組に関する協議を行い、構成機関等による調停やあっせんを含む様々な取組による差別の解決を後押しすることとすること」というところなのですが、これは、以前に内閣府でつくられましたQ&Aのところにあります。今回の暫定指針にそれを入れていければと思います。それが1つです。
参考資料1-1の4ページ、四角の3つ目です。いろいろな障害者の意見によると、独立した機関をつくってほしいという意見がございます。実際、この協議会に入れるのかどうかはともかくとして、新しい窓口機関、相談機関をつくっていただきたいという意見がございますので、それを出させていただきたいと思います。また、実際に協議会になるのか、違うものなのかは置いておきますが、そういう意見が強くありました。
3番目ですが、6ページ、四角の2つ目、上から2つ目の四角です。自立支援協議会などがあります。それは地域支援協議会とは別にすべきだという意見です。そういった意見が強くございました。
資料2について、まだたたき台ということでつくっていただいておりますが、上から3番目の項目、専門職というところなのですけれども、障害者差別解消法にかかわるものについて、必ず弁護士を入れていただきたいと思います。そういった意見が強くございます。
以上で私の意見をまとめさせていただきました。ありがとうございました。
○ 野澤会長 いろいろ議論すべき点があるかと思いますけれども、ひとまず置いておいていただいて、次に渋沢委員、お願いできますか。
○ 渋沢委員 参考資料1-2として、お出しさせていただいた意見をまとめさせていただいたものです。
全体的な論調としては、問題意識としては全国あまねくところでどうやってつくっていくことができるかということを考えました。特に私が実際に活動しているところは余り大きな規模の自治体ではなくて、人口10万人ぐらいのところなので、そういったところで新しいものを法律ができたから新しいものを立ち上げていくというのは、なかなか無理があるかなと思っています。
全体的な論調としては、今ある総合支援法に基づく協議会にこの役割を付与していくことがふさわしいのではないかということで書いています。ただ、先ほどの田門委員の御意見では機能が違うので、新しい取り組みをするべきではないかということに対抗するわけでは必ずしもないのですけれども、その辺については例えば都道府県では新しいものをつくる。市町村単位では既存のものに機能を付与していくということなどを考えることができるのではないかと思ったりしました。
あと、その立ち上げた後に継続して活動していくためには事務局の機能というのはかなり大事だなと思っています。この辺は法律に明記されていない中で、これをどこまで継続して担保できるかという中では心配なのですが、それがまた議論していく中で適当な方法が見つけられたらなと思っております。
以上です。
○ 野澤会長 では、又村委員、お願いできますか。
○ 又村委員 おはようございます。又村です。私の資料は参考資料1-3にまとめさせていただきました。田門委員が新しい組織をということの御意見をいただいたのですが、そうなればいいなと思う反面、今、渋沢委員がおっしゃったように現状でどこまでそれを求めて対応できるかという懸念もあるものですから、今の部分だけで申し上げれば、私もどちらかと言うと協議会を活用するほうが、リアリティがあるかなと考えております。ただし、機能が違うというのはおっしゃるとおりであって、例えば部会を置く。自立支援協議会の下に部会を置いて、その部会がここで言うところの差別解消支援地域協議会に相当する組織ということがあり得るというイメージでございます。
私のほうで申し上げたいのは、資料で申しますとまずは1ページ目のところで、これは前回からしつこく申し上げておりますけれども、1ページ目の2つ目の★で言えば地公体が協議会を前向きに立ち上げることができるように、地域内における好事例の収集といった前向きにというか、これは参考になるね、これはおもしろいねといったようなことが入口になって、差別の解消を図るというような役割になっていくといいのかなというのが1点でございます。
2点目として、これは後ほど触れる機会があるかもしれませんが、参考資料3というものがございまして、これが前回、野澤さんから宿題をいただいて頑張ってつくってみた、では一体どういう相談窓口があるのかというものを改めてリサーチしてみたものがあるのです。そうするとこれは人口規模で言うと10万から20万人ぐらいの市を割とホームページを見ながらどんなものがあるのかなと調べてみたらこれぐらいあったということなのですけれども、相当あるわけです。そうすると、こういった相談窓口から資料3になると思いますが、構成員であるかないかにかかわらず、相談窓口はこれだけあって、その相談窓口で相談に対応している相談員さんがいらっしゃって、ここは障害者差別解消ですけれども、恐らく女性であったり子供であったりという入口から、一皮むいてみると障害者差別が横たわっていたというような相談事例をお受けになっているケースが結構あるのではないかという推測をしました。
そのときに現状では、この相談員さんは、そうですね、大変ですねということでお話をお聞きするわけですが、その解決というか、その先につなげるものははっきり言えば何もないわけです。せいぜい市町村の障害福祉課に実はこんな話があったのだけれども、ということで言うわけですが、肝心な市町村の障害福祉課もそこから先につながるものは今、何もないというようなことで考えると、資料3の非構成機関から必要に応じて参加というふうになっておりますけれども、こういったことのイメージでいけば、それぞれの相談窓口で相談に応じていらっしゃる方が話は受けたのだけれども、今、話がそこで終わってしまっている事例を何らかの形でこの地域協議会に上げて、もちろんそうなると個別の事例というよりは類型化されたデータ的なものになると思いますけれども、それをもってこの協議会で一体こういう問題に対してはどうアプローチしたらいいのだろうねというようなことを協議するというイメージになれば、それぞれの個々の相談窓口で今、相談を受けるだけ受けて、出口がなくて苦しんでおられる相談員の方々にも、少なくともつなぎ先ができてくるということで前向きに少しそこは変わっていけるのではないかと思いますし、そういう視点でぜひ資料3で言えば構成機関、行政であるとか事業所の方も、この協議会に行くとつるし上げられるのではないかということではなくて、この協議会があれば少なくともそこにつなげるんだよ、つなげますからねというふうに相談に来た人にお返しできるというような位置づけになっていくと、ポジティブに受けとめられるのかなという印象を受けました。
細かいところはございますが、1回目ですのでこれぐらいで。
以上でございます。
○ 野澤会長 ありがとうございます。それでは、総括的にいろいろ出ていましたけれども、今、お話いただいた皆さんの意見あるいは触れられなかった点も含めてで結構ですので、それぞれ自由に御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。柘植委員、お願いします。
○ 柘植委員 柘植です。先ほど3名の渋沢、田門、又村委員のお話を聞いていて、なるほどなと思いました。前回第1回の会議のときに、私も何度か発言しましたし、ほかの方も何人か同じような発言をされた方がいらっしゃったと思うのですけれども、都道府県で担うことと、市町村で担うことは恐らく共通部分があるけれども、違う部分もあるだろう。また、市町村にしても非常に大きな市町村もあれば、市もあれば、非常に小さいなところもあるので、余りにも同じような望まれる機能を出してしまって首を絞めてしまったりするよりも、最大限このくらいはというものを示しながら、地域の実情に応じてこんな感じという、何か二層構造といいますか、三層構造というか、そういうものがいいのではないかという話をさせていただいたのですが、先ほどの人口規模で私がかかわっているところは10万人規模。あるいは平塚はということで出にそういう意見が出てきているので、地方分権の時代なのでここまでは絶対譲れないというものを明確にしながら、ここからはどうぞ市町村の独自の歴史だとか考え方とかいろんなものでつくっていくという、そういうつくりのものが今回まとまっていくといいなというのを改めて感じました。
以上です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。委員、お願いします。
○ 今の柘植委員のおっしゃったことに、まさしくそのとおりだなと聞いておりました。前回もそういう意味での発言をさせていただきましたけれども、今回、事務局のほうで一応、資料1として論点整理をしていただいている中の2ページ目でしょうか。協議会の組織というところで、それぞれの地方公共団体の現場が柔軟に対応できるようなものを示すという前回の意見を入れて、今回の3ページのところに都道府県レベルと市町村レベルで組織する場合の双方を想定しという形の取りまとめあるいは提案をしていただいて、御相談につながるというふうに思っております。
この際に、やはりかなり都道府県レベルではある程度一定のそういう組織というものは可能なのだろうと思いますけれども、先ほどの御意見のようにかなり市町村レベルになると、さまざまな社会資源の違いであったりとか、あるいは規模の違い。まさにこのあたりをどういうふうにそれぞれの市町村がこういう組織化というものに入っていきやすいかどうかということを念頭に置いた組織の構成というものを、しっかりと議論する必要があるのではないか。改めてそういうことを感じたということです。
とりあえず以上です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。堀江委員、お願いします。
○ 堀江委員 私は就労支援という立場から発言をさせていただきたいと思います。現在、就労を希望される方というのは、御自分で就職活動をして社会生活を送れるという方もいらっしゃいますけれども、主には生活の支援が必要な方たちというところで、又村委員からも出していただいた社会資源の一覧など、私たちも毎日の活動の中でフルに活用させていただいて、やっているところです。本当に各地域によって、例えば私たちの障害者・就業生活支援センターについても、10万人ぐらいの規模で3.5人の職員がやっている地域もあれば、私のところのように110万人障害者人口のところでやっているところもある。そうすると、私たちの所轄も区市町村、都道府県、国ということで、そこを私たちがつなげながら事業を推進していっているのですけれども、恐らく現実的に同じようなものを設置するのは難しいのだろうなという現場感覚ですが、感じています。
働くということを1つはキーワードにして、どういうあり方がその地域にふさわしいのか。働くということを考えたときに例えば中央官庁で私たちはいろいろな研究事業をさせていただいていまして、知的障害の方、精神障害の方、発達障害の方をこちらで働くというようなことでトライアル的なことをやっているのですけれども、最終的には雇用にはならないのです。チャレンジ雇用という形でやっています。なぜかというと、いろいろな法律、壁があって、正式に採用されるには試験を受けなければいけないとか、では試験を受ければいいだろうという話ではなくて、それなりの教育や訓練を受けてきていらっしゃらないということで、実は試験のチャンスをつくればいいだけではなくて、その人たちがどんな教育を受ければもしかしてチャレンジできたかもしれない。あるいはチャレンジできる試験をつくることができたかもしれないというようなところがあるので、各地域で働くということをキーワードに、いろんな障害の方が例えば区役所に働きに行くのに建物にバリアがあって電車が使えないとか、路線がすごく少ないとか、庁舎に入ってみたら庁舎もこうだったとか、仕事もそれなりの学習をしていなければできない仕事が多かったとか、そういうような社会実験的なものをやっていただきながら、協議会の形というか、やらないと、多分、協議会の形そのものはぱっといろいろ構成をつくっていけると思いますが、実際的に障害のある方や家族にとってできてよかったという協議会になるかというと、なかなか難しいのかなと感じています。
もう一点、当事者の参加についてもぜひこの中に盛り込んでいただきたいなと思うのですが、1点だけ、当事者の方の自己選択とか、そのあたりが非常に危ういものではないかと感じているのです。いろんな教育の機会だとか、先の見通しがない中で選択ができないという状況の中で、御本人たちが当事者として活動に参加したときに、本当に役割が発揮できるのかというところを少し補完しながらやらないと、なかなか周りの方とうまくコミュニケーションをとりながら、自分たちのお伝えしたいことがかえって伝わらずに、亀裂を生むことも現場的には起きている面もいろいろな協議会などを参加していてあるように感じますので、考慮していただければと思います。
以上です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。では、平野委員、お願いします。
○ 平野委員 私は3点ほどあるのですけれども、1つは、今回の指針のことで、言い方は乱暴なのですけれども、多分理念と現実の間に相当ギャップがあるなと、そこを踏まえて考えたほうがいいのではないかという気がするのです。
1つの例なのですけれども、事務局の協議会ですけれども、理念だけ言えば恐らく各自治体の中には、市民の権利擁護とか、市民全体の差別の解消を担当するセクションがあるのです。総務部とかそういうところで、そこは障害とか地域とかいろんなことをやっているわけですけれども、本来なら、そこがやっていただくのが理念的に見れば一番いいわけです。つまり、いろんな女性差別だとか高齢者差別、いろんな差別があって、その中の1つとして障害の差別があるわけですから、そのセクションがやってもらうのが理念的に言えば一番望ましいわけです。でも、現実にそこにやってもらおうと、言い方が乱暴ですけれども、なかなか進まない1つのハードルになってしまう。実際、それぞれの女性の担当だとか障害の担当がやらざるを得ないという。ですから、ここも場合によっては理念としてはできれば市の差別のセクションがやってほしいけれども、現実には障害担当のほうでやってほしい。
先ほどの自立支援協議会も、できれば理念系としては、本来なら役割が違うのだから新しい組織をつくってほしい。でも、現実としては一番実行可能なところがやってくださいというようなことを示してあげないと、どちらかにすると厳しい。その理念と現実の違いという、本当はこうあるべきなのだけれども、これが現実の落としどころですよというのを示さないと苦しいのではないかという。ですから、その両方を示してあげたほうがいいのではないかというのが1点目です。
2点目は、きっと戦略という言い方がいいのですが、結論からいえば、都道府県のほうをある程度優先につくっていって、それから市町村にというのが1つの戦略かなと思っているのです。これはどういうことかといいますと、前に厚生労働省のほうで2000年に基礎構造改革をやったときに、地域福祉権利擁護事業というのをやったのです。これは地域で暮らす障害者の方たち、認知症の高齢者も含まれるのですけれども、それがサービスを利用したりとか、生活できるように支援する事業なのです。これは都道府県の社会福祉協議会を実施主体にしてやったのです。これは都道府県の社会福祉協議会が実施者になれば、市町村が全部カバーできる。日本中どこでも、という趣旨でやったわけです。今回のは、最初のときはいろいろ形があったと思うのですけれども、できれば都道府県のほうをやれば一応市町村もカバーできる。市町村が中心になってしまうとあるところとないところになってしまうというのは、これで障害者の側からすればあるところとないところからあるというのは問題になりますから、できれば市町村のないところを都道府県がカバーしていくという、そんなような戦略が必要あるかなというのが2点目です。
3つ目は、資料2です。当該自治体で主な構成者ということで、機能はこれでいいと思うのですけれども、どこが参加するかということなのです。やはりこの辺はどこで差別が起きているのかというところをもう一回見ていく必要があるのではないかという気がするのです。
そうすると、例えば1つの例ですけれども、都道府県のほうですと運営適正委員会というのがあるのです。ここは福祉の現場のサービスの苦情を受けつけるところですが、私も実はそこの埼玉県の委員長をやっているのですが、相当苦情のケースが寄せられるのですが、この中には相当差別に相当するものも入っています。どこで起きているのかということを大事にして、こういうところで起きているというところ、そこが集積する場所に参加してもらう。ですから、場合によっては、市町村の方でも差別が多いのは消費生活センター、あそこなどは相当寄せられているのがありますけれども、そういう現実に問題が起きているところに参加できるような視点で考えていくというのが大事ではないかと思っています。この3つを思っています。
○ 野澤会長 ありがとうございます。貴重な意見をいろいろ伺いました。今の皆さんの意見を伺っていると、本体をどういうふうにしていくか。独立した協議会をつくるのか、それとも今ある自立支援協議会を少し応用してつくっていくのか。それぞれ自治体の考えや力量だとか、いろんなものがあるのだろうと思います。
もう一つは、渋沢委員からもあったように、継続していくために事務局です。実際に本体を動かしていく事務局をどこに置いていくとより機能するのかという問題です。
ごめんなさい、又村委員、ありがとうございました。ねぎらいの言葉ぐらい言う必要がありますね。済みませんでした。忙しいところ御苦労さまでした。この又村委員が調べてきてくれたこれが全部差別にかかわるかというとそうではなくて、この中でいろいろ寄せられている相談の中に実は障害者差別にかかわるものが含まれているのではないかというところをピックアップしていただいたわけですね。
先ほど平野委員の話にもあったように、それぞれ今ある相談窓口とかシステムの中でいっぱいいろんな相談が来るわけですけれども、その中に実は障害者差別に当たるものがかなり含まれているだろうと。実際に、どの分野にどんな機関があって、どのぐらいの頻度で差別にかかわる相談が寄せられているのだろうかというのは知りたいところですね。その上で、どういう人たちを協議会に巻き込んでいったらいいのか、参加していただけたらいいのかということが見えてくるのかなと、そんなことも思ったりしました。
ほかにもいろいろあるのですけれども、この辺を踏まえてもう少しどうでしょうか。何か御意見あれば。委員、お願いします。
○ 私は一応医療の立場で、特に精神科医療という立場で少しイメージを考えてみたのですけれども、一般の医療という部分での差別、障害者の方たち、こういうところの声が一体どういうふうな経路でしっかりと情報として集積されていっているのかという部分に関しては、非常に不十分であろうかなと思います。これまでのいろんな障害者の方たちの議論の中でも、やはり障害を理由として十分な医療が受けられないということは大きな差別であるということも、皆さん十分に承知のところだろうと思います。ただ、こういう実態が果たしてどれだけあって、そして、そのことがどのように相談として上がってきて、それがどのように解決していっているのかというのが余りはっきりとした形では出ていないのではないか。そういうような意味で今回の障害者差別解消地域協議会という部分が、そういうような問題に対して改めてしっかりと対応できるような組織づくりがこの際必要ではないかなと思ったりします。
資料2を見させていただいて、主な構成機関の担い手というところの都道府県レベルで医療として医師会であったり歯科医師会、看護協会等という中で、この「等」の中にはいろんなものが含まれるのだろうなとは思いながら、なかなか医師会として今のような問題にこれまでどのように取り組んできているのかというところも、いろんな調査等も必要かもしれませんけれども、やはり障害者の方たちの医療に直接かかわっている人たちの声あるいはそういう人たちもこういう構成メンバーの中に入れていくべきではないか。
精神に関していうと、やはり精神科医療的なかかわりをしている医療関係というものも必要になってくるのかもわかりませんし、障害者医療ということになってくると医師会として含めてしまっているということもあるかもしれませんけれども、やはりそういうところの専門的な知識や、あるいは日常的なかかわりをなさっている医療関係者等が構成メンバーとして入っていくべきではないかというようなことも資料2を見まして感じたところです。
以上です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。せっかく委員が各論のほうに踏み込んで発言していただいたので、このあたりから各論も含めて御意見いただければと思います。
私も思っているのですが、障害者差別と医療というと、どうしても精神とイメージを持たれるかもしれないですね。確かに入院に関する手続のあり方だとか機関だとかということ、これはとても大事なのですけれども、こういう国の制度とか法律にかかわることが果たして地域協議会でどのぐらいできるのか。全くそれはできませんと突っぱねてしまうのもどうかなという気がして、これがありますね。それとは別に、今、委員御指摘のように一般の医療ですね。受診しに行ったら自閉の子が走り回るので診察できませんと、そんなのはできないから帰ってくれと言われたとか、いろんなアンケートをとるといっぱい出てくるわけです。
御参考にと思ってですが、千葉県で私は市川で知的障害の子の親たち、親の会が医療機関におけるこういう困っていることのアンケートを集めたのです。膨大な数が集まってきた。それを地元の医師会長のところに持っていって、実はこんなふうな状況なのですと言ったら医師会長はびっくりしてしまって、そんなことはあるわけがないという。あるわけがないけれども、実際にユーザーからするとこういうのがある。
千葉県で差別をなくす条例をつくったときの医療分野というのはかなりあって、なかなか悪意でどうこうというよりも、診察がなかなか難しいタイプの自閉とかADHDとか、そういうお子さんたちになかなかお医者さんも困ってしまって診察できないというようなのが結構あって、それをきっかけにして市川市では毎年親の会と医師会の共催で、障害のある人に対する医療をどうやってよくしていくのかみたいな研修会が開かれるようになるのです。そうすると、うまく歯の治療をやってくれている歯科医師さんだとか、自閉の子の診察を上手にやろうとしているお医者さんとかが出てきて、それを医師会の中で広げていってもらうとか、そんなことをやっているのです。
できれば、そういうふうな前向きな流れになっていくといいなと思いながら今お話を聞いていたのですけれども、一般の医療の場合、こういう苦情を申し立てる窓口とかはどうなっているのでしょうか。
○ 私もその辺をいろいろと今考えながら野澤会長のお話をお聞きしていたのですけれども、通常は医療の上のそういう問題点というのは、地域の方たちとかからすると、保健所に相談なさるのが1点あろうかと思うのです。その保健所への相談というのが内容によっては、最近はいろんな保健所への相談とか苦情も含めてあれば、かなり保健所等から医療機関のほうへ直接こういうような話があったのだと、あるいはこういうような事例としての相談もあったのだけれども、どういうことなのでしょうかというような問いかけのような形で、それに対して医療機関が一応その内容を説明したり、あるいはそのあたりの実際の内容によっては医療機関のほうが是正すべきところは是正するということはあろうかと思うのです。
ただ、余りそういう声がどこまで真摯に対応してもらえているかということに関していえば、随分全国的には違いがあるのではないかと思ったりするのです。ですので、先ほどお話があったように、障害福祉サービス等であれば運営の適正化委員会等に結構そういう話というのは上がってくるのだろうと思うのですけれども、実はそういうような仕組みが医療の中ではまだないのだと思います。ですから、本当に身近なところで保健所に相談するなり、市町村の窓口に相談するなりというところで終わっているケースも多いのだと思います。
○ 野澤会長 柘植委員、お願いします。
○ 柘植委員 今、野澤会長と委員のお話を聞いていて、なるほどそうだなと思いました。差別解消法が2年後に施行されて、差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の不提供が禁止されているわけですね。そのときに、やはり都道府県だとか市町村レベルで医療だとか福祉だとか、教育だとか、建物だとか、通信だとか、一体差別的なものがどれぐらいあるのか、それが前と比べて減ってきたのかどうなっているのか、それをモニターしていくということが非常に重要で、Q&Aの問18のところに施行3年後、始める前から3年後の見直しのことに入っているのですけれども、そのときにモニタリングは非常に重要なのです。ですから、これからつくっていく差別解消支援地域協議会というものの役割の1つに、県でつくるのでその県下で、あるいは平塚ならつくる場合は平塚ではどうなのかと。企業がどうなのか、福祉はどうなのか、それを丁寧に集約していくという場がこれまでなかったので、そこをするというのが非常に重要な役割なのだろうなというのが2人の委員の意見聞いていて感じました。
以上です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。お願いします。
○ 渋沢委員 今のお話を伺っていて感じたこととして、地域の取り組み、例えば市川市の取り組みなどが、私は実は前から知っていましたけれども、今始めて知った委員の方もいらっしゃると思いますし、きょうお見えの皆さんもそんなことをしているのだと思った方も結構いらっしゃると思います。そうすると、よい事例を広く知らせていく機能と、あとその前に野澤さんがおっしゃった、例えば精神科医療のアクセスの問題であるとか、あるいは入院期間の問題のように、その法制度。多分これは障害福祉サービスの中にもあるのでしょうし、教育の中にもあるのでしょうし、まさに堀江委員のおっしゃったように法律の壁で今悪意がないけれども、差別状態になってしまっていて、改善の望まれるものというのは、どちらも多分集約として、柘植委員がおっしゃったように都道府県が集約するというところはこの地域協議会の役割としてすごくいいなと思ったのです。
実はその先があったほうがいいなと思っていて、つまり、何かというと、国として、それは内閣府さんがおやりになるのか、それぞれの参加している機関があるので、その機関がそれぞれ上に本庁に上げるのかわかりませんが、私のイメージだと多分都道府県単位の協議会から今度は国に対して、特に法制度の改善であるとか、好事例を広げていく役割として、どこかで日本国として集約するところも必要になってくるのかなと。でないと、都道府県協議会で、これは法制度のことだから済みませんねと言って終わりになってしまう可能性がありますね。それは相談をしてかなわなかった方に対して申しわけがない部分があるので、多分田門委員もずっとおっしゃっていた当事者の方の参画ということも含めて、その都道府県でみんなで話し合った結果として、やはり改善してほしいのだということを意見表明というか、答申できる仕組みとして最後は国があったほうがいいのかなという印象を持ちました。
○ 野澤会長 そうですね。私もその辺はどうかと思っていて、国だと政策委員会とかというところがそういうのを担うのでしょうか。余りこれまでそういう議論はしてこなかったような気がするのです。地域協議会、市と県との間をどうするか。その上の国をどうつなげていくか。
○ 事務局 法律にも情報収集という項目がございますし、それに県でありますとかそういったところから、また市町村もそうですし、一応要望をそれぞれ出してきている。要望書を組織として受け取るみたいな、例えば知事会さんであるとか、そういった形で集約して何かないかというところにつなげていって、こちらに要望書を図るというような流れというのはあるかなと思います。
また、ほかにこちらの事務局、内閣府の事務局のほうが情報収集とか、各地域協議会にお願いして、地域協議会の事務局からいただいたものをまとめていくとか、そういったことは十分考えられるとは思っております。
○ 野澤会長 ありがとうございます。後で柘植委員に、教育ではどんな窓口があって、今どんなふうになっているのかというのをお聞きしたいのですが、その前に医療のことがせっかく出たので、もう少し委員に教えていただきたいことがあるのです。
例えば保健所というのはどのぐらい現場の医療機関に対しての実質的な監督権限というか、そういうことがあったときに改善を求められるのか。あるいは地元の医師会等でそういうことを担い得るのか、ほかにどんなところにそういう情報は行っていそうなのか、何か考えられるところはありますか。
○ 保健所は、例えば医療現場に対しては、病院であれば年に一度の医療監視という形で法的なきっちりとした監査ということが、これは全ての入院病床を持っている、病床を持っている医療機関で行っています。ですので、その部分で日ごろいろんな問題点としてあるならば、そういうような内容についての指摘というのはあり得る話なのです。
先ほど私が申し上げたのは、これは全国全ての保健所がそういうような対応をしているかどうかはわかりませんけれども、それぞれの医療機関ごとに何らかの相談が当事者の方あるいは医療を受けている一般の方たちからあれば、その内容についてはかなりこういうような意見が寄せられていますけれどもというような形でフィードバックするところもあるのですけれども、それは私の今の自分の医療機関の保健所だけのことなのか、全国的にそうなのかまではよくわからないところがございます。
先ほど少し精神科医療のことについて野澤会長も述べられたわけですけれども、実は御存じのように精神科医療は、現状は精神保健福祉法という法律にのっとって医療の提供あるいは福祉提供の一部分そういう形で行われているわけですけれども、この法律そのものは本年4月から新たに体制があって、その法律が施行されるということになっているわけですが、さまざまな問題点がこれまで指摘されてきて、やはり特に入院患者さんの権利擁護というものをどういうふうにして図っていくのかということがこの数年来の大きな議論のテーマだったと思っています。
ただ、医療を提供する立場から申しますと、かなり精神保健福祉法という法律の中で精神障害者の方たちに対する特に入院医療という部分に関しては、きっちりとしたそういう条文があって、それにのっとっての医療を提供していくということが大原則になっているわけで、その理念そのものの問題点ということについては、やはりそのほうが現状の法律に沿って我々は医療を提供するということにもちろんなるわけですから、その問題点に関しては、また違うところでも議論になっていくのかなとは思ったりもしております。
ですので、新しい法律がスタートはしますけれども、その法律も3年後に見直しという条項がついたりもしておりますので、我々としますと、やはり真摯に精神科医療を提供していくということが一番求められているところとは感じているところです。
以上です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。あと今思ったのですけれども、患者会とかというのはこういう情報はいっぱい持っているのではないかなと思います。どこに言っているのだろうかとかいろいろ研究してみたいなとは思うのです。ふと思いました。ほかにいかがでしょうか。田門委員、お願いします。
○ 田門委員 田門です。
医療についてですが、いろいろな意見があると思います。先生の医療の関係者も協議会に入れるということであれば、当事者のほうもあわせて入れる必要があると思います。そのほうがバランスはとれると思います。個人的にはそう思っております。
○ 野澤会長 ほかにいかがでしょうか。そうしたら、柘植委員、教育はどんなふうになっているのか。教育もいっぱい差別事例などを集めると、一番量としては多いですね。特に進路相談のときにどこに行くか、普通学級に行きたいのですけれどもと言うと、お宅の子は普通ではないのだからと言われたとか、付き添いを求められるとか、学校の中でも修学旅行に行かせてもらえないとか、いっぱい出てくるのです。そのとき親御さんたちはどこに言っていくのかあたりはどうでしょう。
○ 柘植委員 柘植です。今の野澤会長の前振りの御説明が非常にある意味わかりやすかったのですが、その一方で、今、注意しなければいけないことがあるのです。何かといいますと、例えば20年ぐらい前、きょう、委員の皆さんが小学生だったころだとか、あるいはそのころはもう既にこうだったというのはあるかもしれないのですが、あるいは10年前だとか、あるいは30年前とは大きく今は違ってきているということを理解していただきたい。つまり、特殊教育の時代ではなくて、特別支援教育に制度も含めて転換してしまって既に10年近くになろうとしている時代だということはまず理解する必要があると思うのです。
例えば障害の種類だとか程度だとか、ずっとお子さんたちを並べて一本の線を引いて、ここからこちらはこのサービスだ、この学校だ、こちらはこうだということが明確にあった時代だったとすれば、今はそうではなくて、まさに多様なニーズを関係者が保護者とか入って協議していきながら合意形成をしていって必要なサービスを決めていくというようなことになったということなのです。ただ、これも都道府県、市町村、学校によって、まさにそれに向かって動いていっている最中ですので非常に差があるのは事実だと思います。
半年ほど前の10月に、これまで就学指導委員会、就学指導資料というものがあったのですが、それが教育支援資料と変わって、まさに今私が発言したことが物として整って、実はこの2カ月後の4月入学のお子さんからその制度が始まるわけなのです。その準備を今いろいろしています。ということで、まず我々が10年前、30年前に感じていた状況とはかなり違ってきているということが1つ必要だということ。
それから、予防という話がきょう最初に何人かから出たのですが、実は特殊教育の一つとして、例えば非常に細かい話で恐縮ですが、授業ユニバーサルデザインは聞いたことがございますか。障害のある子供が授業、教室にいる場合にその子もいるという前提で授業を組み立てるというような考え方が出てきまして、これが非常にブレークしているのです。あるいはRDIといってアメリカから入ってきたのですが、障害が顕著になってしまって学力、学習だとか行動上の問題だとか、そこから手を打つのではなくて、そうなるかもしれない子供がいるという前提で組み立てていくというような考え方のフォーラムも出てきまして、学会の中でもかなりされているのです。ですから、教育の中でも予防的な対応のような考え方が非常に4~5年ぐらい色濃く出てきているということ。
それから、合理的配慮です。差別解消法の不提供の禁止について教育のほうで国とか都道府県とか市町村が今いろいろモデル事業に取り組んでいて、6月ぐらいにはとりあえず国としてはデータベースが完成をして、今年度からモデル事業が全国で動いていますので、合理的配慮として各障害種別で何が合理的配慮なのか。これぐらいまでやっていくといいのではないかと、でも、ここまでやらないとアウトだよねという、その辺の感触を今年度から教育関係者が持ち始めようとしている、そんな感じです。
その一方で、個別事案になりますと、さまざまあります。例えば1年半ほど前にある町で4年生か5年生の発達障害の子供が通常学級でいじめに遭いまして、「ガイジ」と呼ばれ、それでどうしようもなくなってしまって、いじめを受けた子供が別のところへ転校するという。子供が転校すると友達関係が変わってしまいますし大変なことなのです。いじめられておきながら、さらにその子供が転校せざるを得ないという、これは全国紙にわっと載りましたのであのことかと思う方はいらっしゃると思いますが、個別事案になりますと就学のところからさまざまいろんなところがあると思います。でも、そういうふうにモデルチェンジをしてやっていこうという中で、いち早くよい方向へ持っていこうとしているという中でこの法律ができて2年後に施行されて、それで支援協議会が議論されているということは、教育に携わっている関係者からすると、一教員、学校の関係者、あるいは行政、さまざまな方が非常にウェルカムな形で見ているのではないかと思います。そんなところでよろしいですか。
○ 野澤会長 先ほど言った「ガイジ」とかいじめとかというのは、どこが窓口役になるのですか。
○ 柘植委員 基本的には都道府県と各市町村に相談の窓口があります。先ほど又村委員がまとめてくださった裏の下から2つ目です。教育センターがあります。あるいは小さな町だとか村ですと教育委員会がそれを兼ねてしまって、基本的には教育関係の相談はそこに集約されます。もちろん、それ以外に大学の研究室でありますとか、いろんなNPOだとか、当事者団体もいろんな相談をくださっていますので、親の会だとか多いですけれども、法的なところで言うとそこですね。
以上です。
○ 野澤会長 貴重な御意見ありがとうございました。いかがでしょうか。医療、教育だけでなくても結構です。又村さんのは裏もあったのですね。表しか見ていなかった。済みません。
○ 又村委員 1点だけ参考資料3で重大なミスを発見してしまって、ホームページでアップするときは直していただければと思うのですが、その表面の法律相談の開設頻度が週2回になっているのですけれども、これは月に2回の間違いです。多分週2回やってらっしゃる市町村はないのではないかと思われます。それだけ訂正です。
○ 野澤会長 先ほど柘植委員のお話の中で、教育センターだとか、教育委員会にそういう相談があったときに、それは現地の学校に入って調査して何らかの改善とかはそこが担っていく。相談を受ける側と解決することと市町村。
○ 柘植委員 今のところはそういうことですね。
○ 野澤会長 では、堀江委員、どうぞ。
○ 堀江委員 現場の話しかしなくて済みません、なのですけれども、昨日、まさにそういう相談があったのですけれども、今、特別支援学校の在学2年生の男の子から、発達障害の男の子から電話がありました。自分は兄から虐待を受けているのだけれども、結構IQは高い青年でして、お父さんがいらっしゃらなくてお母さんは働いているという課程なのですが、学校の先生に相談をしても、そしてお母さんに相談しても、区役所に相談しても、兄弟のことだからといって誰も話を聞いてくれないのだけれども、就業・生活支援センターではそうだんを受けてくれますかという電話がありました。もちろんいいですよということで来ていただきました。
学校の帰りに来たのですけれども、発達に障害があるので捉え方の問題とかもあるのでしょうけれども、明らかに本人は兄から叩かれたりとか大きな音を立てられておびえたりだとかというのがありまして、彼が言うには、生活支援の先生は、話は聞いてくれるけれども、半分は私を助けてくれましたと言うのですが、半分はまだ私を助けてはくれていないと言うのです。それはどういうことですかと言ったら、具体的に私は安心して暮らせないということを言っていて、ではこれは、私はどこに相談するかというと、例えば区役所に持って行っても、大変ですねとかで終わるわけで、まさに目の前の人を誰がという話になったときに、つなぎ先がないなと、虐待防止法のときにすごく感じていることなのです。そこがアウトリーチの相談ということで、お兄さんにそれは虐待に当たるからといって1回お話に私が行きましょうということで本人は1回納得をしてきのう帰って行ったのですが、週末にお兄さんとお話をすることになっているのですが、こういうようなことが現実的にあるということで、自分で言える人、あるいは親が相談を持ちかける力がある人はいいのですけれども、恐らくそうではない人の声がたくさんあると思うのです。
それは私たちのように就労生活支援センターとか相談支援事業所とか、みんなのところに入っていると思うので、そういった全国のネットワークみたいなのもありますので、やはり大変かもしれないのですが、現場で感じていることだとかというのをなかなか声が届けられない人たちの声を形にするようなこともやることが必要なのかなと。その高校生は明るい顔をして帰っていってくれたので、今度は日曜日にお兄さんとお話をして、解決をして半分を埋めましょうねというお約束をして帰っていっていただけたのですけれども、たまたま多分何かで見て私たちのところに電話してくれたのですが、そうではなかったら怒りを爆発させて駅前で何か看板でも叩いて補導されたりとか、そういう青年になってしまうかもしれない。いろいろといろんなところを叩いたりとかして落ちつきましたなどという話をしていたので、もしかしたらそういうような子がもっとたくさんいるのではないかと思いますので、現場からこんなことがあったという報告です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。ほかはいかがどうでしょうか。
又村さん、御質問ですが、多分一般の市民の方、市役所だとかいろんな公的なところに行って窓口でうまくやりとりしてもらえなかったとか、変なことを言われたとかという相談も結構あると思うのです。実際いっぱいある。そのときは市役所とかそういう公的な機関はどこが相談を受けるのですか。
○ 又村委員 自治体の規模であるとか、組織によっても違うと思いますけれども、基本的には、いわゆる住民広報広聴する部署があって、その広聴のほうが担うことが多いと思います。御存じの方も多いと思いますけれども、市長への手紙とか、町長への手紙といって紙に書いて封筒に入れると切手なしで届く紙が大体どこの市町村にもあると思うのですが、あれはどこに行くかというと、大体広聴の担当部署に届くようになっているのです。
ですから、もし、そういった法的な窓口で障害のある人で言えば差別的な扱いを受けたとか、あるいは配慮の足らない対応だったというようなことの苦情があれば、広聴の担当部署に集約はされると思います。ですから、そこはかなり市役所であれば市役所の足らざるところ、失礼のあったことについてはかなり押さえている。そこからそれぞれの担当部署に、こういうことが、例えば障害福祉課であれば障害福祉課でこういう対応が非常に傷ついたということがあったので改善するようにということが実際の事例とともに指示されるわけです。
そうすると、多くの窓口では、窓口のいわゆる研修という形でどういう対応をすればよかったのかということを投書というか、いただいた情報をもとにフィードバックして改善していくというのが恐らく一般的な流れだと思うので、そういうこと自体はしているのだと思うのです。ただ、今、例えば堀江先生がおっしゃったような、窓口で一般的にお見えになった住民の方に対して丁寧に対応すれば足りるタイプの応対と、例えば発達障害があって非常に特別なものの捉え方をされる方に対して、丁寧に対応すればそれは解決する問題ではないことも結構ある。
逆に、丁寧に対応したことがトラブルを拡大させるとかというような方に対してのノウハウの不足というのはあると思うのです。ですので、先ほどの堀江さんのお話を伺っていて、確かにそれは知らなければどんどん悪い被害が拡大してしまうタイプの方なのだなと感じたので、そういう方に対する対応の仕方のノウハウみたいなものを例えば地域協議会が発信していくということはあり得るし、それはかなりポジティブな役割として期待されるのかなとお話を伺っていて思いました。
○ 野澤会長 では、どうぞ。
○ 渋沢委員 私が現場でいつも感じているのですけれども、こういった専門機関の方はすごく専門知識があるのですが、障害に関する知識というのがすごく弱いというか、知らないだけなのですけれども、例えば病院に行くにしろ、弁護士さんと話をするにしろ、私たちが通訳のような形で、つまり、こういうことを先生にお願いしたいのですかというような通訳をしていかないと主訴が伝わらない。お医者さんとのお話も会社での様子がこうだという話も、私たちが具体的に言うとこうですという通訳をしていかないとうまく専門家が使えないという場面がありまして、この資源はあったとしても、資源を活用するためには何かつなぎのようなものとしての役割がきちんとないと、それぞれが専門性を生かすというのは難しいのかなという気がしています。
○ 野澤会長 ありがとうございます。ほかにありますか。では、田門委員、お願いします。
○ 田門委員 田門です。今の討議で少し感じたことが2つあります。
1つは、又村先生からのお話で相談の一覧表をいただきましたけれども、参考資料3で、相談というのは一般市民向けのものの相談がありますが、障害についての専門性があるかというと、ある方もない方もあるということになっています。ですので、障害差別解消法の知識があるのかどうかということも千差万別だと思っています。まず最初に申し上げましたけれども、専門的な相談窓口も最終的には必要になるのではないかと思っています。
資料3、内閣府がつくってくださった資料のほうですが、真ん中のあたりですが、協議会の事務局という部分になります。そこに矢印が入っていますね。相談2のところの矢印です。内閣府がつくってくださったイメージというのは、ほかの相談窓口に送るというような形になっているのではないかと思うのですが、協議会の事務局で専門的な相談をするということも考えてもよいのではないかと思っています。例えば都道府県の場合は、専門的な相談もできるかなというようなイメージは持っています。それが1つです。
2つ目は、柘植先生からいただいたお話で、合理的な配慮というお話が出ました。特に教育機関の場合は、合理的な配慮を求める場面というのがふえてくると思います。特に行政機関等は合理的配慮が法的義務になりました。特に学校の場合は行政機関に含まれていますので、合理的配慮をしなければならない場面がふえてくると思います。ですので、今までの想像できなかったような合理的配慮がふえてくるのではないかと思います。
例えば聴覚障害者の場合、普通学校に手話通訳をつけなければならないというような事例もふえてくるかと思います。また、生徒によってはパソコン通訳が必要になる子供もふえてくるのではないかと思います。つまり、今まで予想できなかったような合理的配慮がふえてくるのではないかと思います。地域協議会の場で当事者または弁護士など専門家も入って適当な合理的配慮は何なのかということを議論する場をつくればいいかなと思っています。
以上です。
○ 野澤会長 ありがとうございます。
皆さんの意見を聞いていて私は思ったのですけれども、分野によって監督官庁がしっかりあって、窓口があって、かなり改善に対する権限を持っている分野と、一応監督官庁はあるけれども、業界団体の自治が強くてなかなか監督官庁の権限でどうこうというのは若干難しそうな分野と、そもそも監督官庁がない分野がありますね。新聞などはそうだと思いますけれども、そういうところはどうしていくのかとか、新聞、雑誌で差別的なことをどうする。それぞれ新聞などだとオンブズマン制度みたいなもので、そこに言っていくと割とまともにできるとなります。監督官庁があっても、そういう意識が強くてなかなか難しい。あるいはそもそもそういうようなものがないものというのは一体どこに持ち込まれるのだろうと考えると、そういうのを全部網羅しているところは、例えば法務局とかがそうですか。あるいは弁護士会もそういうことを受けていますね。人権侵害救済申し立てとかですね。ほかには何かありますか。あるいは法務局や弁護士会がどのぐらい機能しているのかとか。というのは、ここの地域協議会に入っていただくメンバーをどうするのかというあたりを想像しながら言っているわけです。そのあたりはどうでしょうか。
どうぞ。
○ 渋沢委員 いろいろ考えながらお話を伺っていました。
私は千葉県の中核地域生活支援センターという福祉の総合相談の仕事をしているのでいろんなところと一緒に仕事をすることがあります。差別とか虐待とか、特例的なものとかというようなところからお話を伺ったりするのですけれども、例えば学校のことですが、柘植先生が言われるように、10年前と20年前と学校の先生や教育委員会の方たちは随分違うなと思っています。昔は普通学級に入れろ、みたいな感じで、私がやっていたわけではないですけれども、後ろからついていったりとかというような感じもあったのですが、今は本当に教育委員会の方も学校の先生も当事者の利益を酌んで考えてくださっているなと思っています。おべんちゃらを言うわけではないです。
ただ、どこまでそれをできるかということになると、現実的にはなかなか難しい面もあって、具体例を申し上げると、気管切開している女の子が普通学級に入学するようなことがあって、相談をいただいて、いろんなところとそれこそ往診医院の人を探して緊急態勢をつくるとかというところから始まって、これは教育委員会も学校も知的には問題ないし、仲間と一緒にいることが大好きな子供だったので何とか一緒に入れてあげたいなと考えてくださったし、補助教員をつけてくださったりということもしたのですけれども、これも予算の問題もあったりして四六時中いるわけにもいかない。部分部分でお母さんが来ざるを得ない。学校の外の行事にはお母さんが行かざるを得ないとか、その辺が折り合いのつけどころと言ったら申しわけないかもしれないですけれども、現実的な着地点としてはその辺で考えざるを得ないというようなことがありました。
でも、お母さんのほうにもいろいろ事情があって、ほかにも障害を持った子がいて家をあけられないとか、宣伝するわけではないですけれども、お母さんができないときに私たちが遠足についていって教員の手伝いをしたりとかしているのですが、いろんな機関の人が集まったりしても明らかな差別とかということについてはできるのだけれども、その辺の段階というか、立場によってとか見方によってとか、どこで折り合いをつけるかという折り合いのつけどころはどんな機関の人であっても違うのだろうなと思いますし、そのときに忘れていけないのは、みんなが会議で話している間に当事者の人は学校に行けるか行けないかということを日々刻々と暮らしているわけですから、そこは協議会の問題とは離れるかもしれないのですけれども、そういうことも地域の問題として考えなければいけないなと思ったりしました。
最初の質問と違うかもしれないですけれども、動きながらつき合いながら、いろんな人が考えを合わせていかなければいけないなと思います。
○ 野澤会長 ありがとうございます。ほかに御意見はどうでしょうか。
法務局とかはそれなりのと言ったら失礼ですけれども、権限を持っていますね。差別事例があったときにいろいろ改善していくための権限とか持っていますね。中核センターでは相談を受けられるけれども、権限はないのですね。そういうところもあるわけですね。いっぱい相談を受ける。そのとき、せっかく渋沢さんは中核センターのこれを用意してくれたので、それはどういうふうに解決していくのですか。
○ 渋沢委員 前回、会長から言われたので中核センターの説明資料をつくってきました。余り時間もないので説明することは避けたほうがいいと思いますけれども、最初のほうに中核センター設置の様子とかその辺のことについて書いてあります。保健所の設置、地域ごとに1カ所ずつ千葉県が設置しています。要するに、福祉の相談、何でもやりなさいということで言われています。
3枚目ぐらいめくったスライドに活動の特徴というのが書いてあります。中核センターは対象を限定していないので、入り口で断ることはしない。野澤さんが言われるように、権限を持っていないので当事者の方とか、場合には関係者機関との関係性が勝負というようなところもあります。アウトリーチ、外出しての手法はとても重視しています。先ほど申し上げたように、相談を受けるだけではなくて具体的な生活支援を行うこと。制度を使えるものはもちろん使えるのですけれども、遠足についていったりとか、お金の管理をしたりとか、食べ物を届けたりとか、病院に付き添ったりとか、具体的な生活支援をしていくことも行っています。個別の課題を地域の課題につなげていくこと。こんなことは全部のセンターでとても意識してやっているところです。
相談の数とかということも書いてあるのですけれども、実際どんなことをしているかということは、先ほど学校に通っている女の子のお話が出ましたけれども、結構権限がないのでほかの事例も虐待に近いような事例、どんなふうにつき合っているか申し上げたいと思います。
後ろから2枚目ぐらいのスライドで、お父さんの職場の社長から性的な虐待を受けたような方のケース。その前の職親から酷使されるような男性のケースをお話ししたいと思います。
先ほど又村委員のお話の中で、相談を受けてなかなか出口が見えないというようなお話がありましたが、これも最初はなかなか難しい問題で、ホテルで働いていた人ですが、そこにパートで働いていた人が障害を持った子のお母さんで、その方がどうもうちのホテルで何か理解の弱い子が朝から晩までお風呂掃除しているみたいな、これは何なのだろうというようなことを従業員の人が千葉県に障害者差別の条例がありますから、条例の相談員の人に相談され、相談員の人が私のところにも相談してくれて一緒にかかわったケースです。
きっとそういうことがなかったら何だろうということで埋もれていってしまったのではないかなと思いますが、最初、どうしたかというと、何かよくわからないですが、職親の制度を使っているらしいということはわかって、職親の制度は数年前に県の所管から市町村の所管に移ってしまったことがあって、ホテルがある市町村はそのホテルが職親として登録する。そこの人に聞いても、そのホテルがそこで職親をやっているということはわかったのだけれども、中で誰が働いているのかよくわからない。いろんなつてを使って調べたところ、うんと離れた統括のほうの市がその職親の委託を出して働いていたということがわかりました。ただ、制度が移管したこともあって、こちらの市もこちらの市も、そこのホテルに調査に行くということはほとんどしていなかったです。
そんなようなことの事実をまずは突きとめながら、条例の相談員の人と一緒にどうするかといって、まず本人に会いに行ったのですが、本人は結構楽しくやっているのです。仕事が嫌いではないし、そういう意味では朝から晩まで働いて、後でわかったのですが、給料もほんの少しで、でも、昔の住み込みの仕事はそんなものなのかなと思ったりとか、本人は差別されている、虐待されているという意識がない中で、とりあえず付き合おうということで、本人はホテルの外に出ることがほとんどないので、月に1回ぐらい彼と一緒にボーリング行ったりとか映画を見に行ったりとかということを続けました。1年半ぐらい結構続けたのですけれども、その間に出資元の市の人に後見を申請してもらったりとか、ずっと7年も8年も家族と疎遠になっていたのをお母さんのところに連れていってお母さんと再会したりとか、そういうことをしている中で本人がホテル出ない暮らしもあるのだなということを感じてきたのです。2年ぐらいかけて付き合ったのですが、本人がちょっと別な暮らしもしてみたいというような気持ちを引き出した上で、地元のほうの市町村に帰られるような手続を障害福祉担当課の方とやっていったというようなことがありました。
その後、いろいろ本人の年金が余り適切に使われていなかったとかということもあったりして、そこは後見人と一緒にサポートをしているのですけれども、要するに私たちは権限がないのでまず先ほど申し上げたような本人との関係性がとても大事。そこによらざるを得ないということとか、あとは別のケースで法務局の人とか一緒にやったこともあるのですけれども、その機関の人が求めるルートに乗らないとなかなかそういう機関は使いにくいようなところがあって、そこは結構口八丁というわけではないのですけれども、弁護士さんと一緒に虐待した加害者の人を統括したりとか、そんなこともケース、ケースで工夫しながらやっています。
○ 野澤会長 ありがとうございます。そういう資源のある自治体もある、余りそういうのがない自治体もあるということですね。
私、非常に進め方がまずいのではないかと思い始めて、事務局が出してくれた資料1のところでそれぞれの項目について何々としてはどうかと。例えば一番上のところだと、政策的な提言を実施する機能を整理し、明示することとしてはどうかとか、いろいろと何々してはどうかという問いかけがあるのですが、これに対して何もお答えがないというか、議論ができていないということに気がついて、どうしますか。余り時間がなくなってしまった。これについてここはこうすべきだと明確に答える点があれば言っていただきたいのです。ここはこれでいいのではないかとか、ここはここというようなのはどうでしょうか。
当事者の参加について明記などというのは別に妥当ですね。さらに期待される役割についても示すというのは、そのほうがいいなと思います。どうでしょうか。私がこんなに決めつけてはいけないのですが、気になるところはありますか。
都道府県レベルと市町村レベルで組織する場合の双方を想定しというのはどうでしょうか。前回は都道府県というようなイメージであったのですけれども、実際に相談する側の人たちはどこでそういうものが発生しているのかと、あるいはどこに申し立てるのかなというと、なかなか県まで出向いていってというよりも、やはり地元の市町村あたりに何かそういうものがあるといいのかなと思うので、どのぐらい市町村がやってくれるかどうかわかりませんけれども、そこを想定するというのはいいなと思っているところです。例えばこんな感じで何かそれぞれの項目で御意見を出していただければと思います。
又村委員、お願いします。
○ 又村委員 今お話をいただいた都道府県レベルと市町村レベルの組織については、実は私の意見書もそういうことを一部書かせていただいているのです。とはいいながら、神奈川県と全ての市町村との関係性でこれをモデル的に進めることは難しいので、例えばですけれども、神奈川県と平塚市というような組み合わせでモデルにする。恐らくこの地域協議会は一義的には都道府県だと思います。先ほども平野先生もおっしゃったように、戦略的な意味でもまずは都道府県からというのは私もおっしゃるとおりだなと思っているので。
ただ、その都道府県だけで1カ所、例えば神奈川県としたときに、これは前回も申し上げましたけれども、神奈川県が900万人の県民の方がいらっしゃる中で、個別の相談を例えば神奈川県の障害福祉課で受けるというのは物理的に不可能なので、恐らく神奈川県なのだけれども、神奈川県全域ということではなくて市町村との関係性でどういう情報を例えば市町村から県に上げてもらうと県での協議がしやすいかみたいなことを検証するという意図で、平塚市に勝手に言うと怒られるのであえて藤沢市と言いますが、神奈川県と藤沢市の関係で、つまり、900万を対象にするのではなくて25万とか30万を単位として組み合わせでモデルとしてみるということであれば全部全部ではないので、実際やるときには多分全県やらざるを得ないというか、法が施行されればなると思うのですけれども、これは多分あくまでモデルというか、試行なので、試行の段階では実際に本施行された後に都道府県が協議会を持つとして、どういうふうな進め方、どういうふうな市町村との関係性、あるいは各窓口の関係性をどういうふうに見立てれば欲しい情報がもらえるのか、あるいはよい取り組みが広めやすくなるのか、情報収集をしやすくなるのかというのをモデルで実際やって、その成果を広く全国に広げていくためのものではないかという認識をしているので、そういう意味ではボリューム感はそれぐらいでもいいかなと思っていました。
○ 野澤会長 幾つかモデルを示すと、どの市町村とかもそれぞれ当てはまりそうな、参考にできそうなものが出てくるのではないかと思います。
では、田門委員、お願いします。
○ 田門委員 田門です。
資料1の6ページ、最後の四角のところですが、私たちは協議会と地域協議会は別だという意見を持っております。なので、最後の書き方については、もう少しごまかす書き方がないかなと思うのです。といいますのは、例えば自立支援協議会のメンバーの選び方と地域協議会のメンバーの選び方というのは違うのではないかと思うのです。それを一緒にできるのかどうかというところがわからない面ではあります。それも含めて考えていただければと思います。
○ 野澤会長 確かに自立支援協議会は、それぞれ地域によって違いますね。活動も内容もね。そもそもの設立の目的が違うので、それをそのままというのは私もどうかと思うのです。ただ、それぞれの地で幾つも同じようなものを、だっとつくっていくという余裕が自治体にあるのかどうなのかということも含めて、この差別解消法の理念に沿ったような組織というか、ものにするというところでは、それは皆さんそう思っていると思うのです。
柘植委員、お願いします。
○ 柘植委員 私も6ページの最後のところが気になっていまして、基本的にはこれでいいと思います。ただ、田門委員の御心配もよくわかって、問題は、機能を付加していく、同じものがあるからこれでいいやで終わったら元も子もないわけなのです。ですから、今回障害者差別解消法が動いていって、それを支える地域協議会はこんな機能があって、これは譲れない、これは各都道府県でやってよというような、ここを明確にいかに出していけるかというところがポイントであって、それはうまくいけば私はこのままでいいかなと思います。余りこうすべきだ、こうすべきでないということを言うべきではないのかなと思っていますので、そこをきちんとしないといけない。だから、先ほどの話に戻りますけれども、どんな状況なのかということを集約することはしてくださいとか、あるいはうまく紛争が解決していった事例についてはまた集めてくださいとかというようなPDCAサイクルのチェックのところをきちんと来年度からのモデル事業で展開していくということがあればいいのかなと思います。
以上です。
○ 野澤会長 どうぞ。
○ 渋沢委員 私は自立支援協議会の枠組みを使っていくのが現実かなと思っているのです。実際のところは最初のところで又村委員が言われたように、部会づくりとか、その辺が現実的な対応策かなと思っています。
あと、もう一つ、くどいようですけれども、事務局をどこに置くかというのは結構大事かなと思っていて、当初先ほどまでは、協議会の事務局は兼任してやるのだというような考えをしていたのですけれども、皆さんのお話を伺ったりしていく中で、協議会の事務局、うちのあたりは市町村がやっているのですけれども、市町村は虐待の判断もする。差別の事務局もやって、事例を蓄積していくというのは、評価が1つの方向から描いてしまって余りよくないなと思ったりすると、この協議会、差別のほうの協議会と都道府県と市町村との関係とかというようなことを考えると、つくること自体は自立支援法の枠をつくるのが現実的だと思うのですが、その中で事務局的な機能、県の出先のような機関が保健所の地域福祉課とか、その辺がやっていくと差別の情報については県の立場で評価するなり蓄積していくということがいいのではないかなと思いました。
○ 野澤会長 堀江さん、どうぞ。
○ 堀江委員 私は田門先生の御意見も伺いまして、差別について各分野についてはそれぞれの障害者雇用促進法ですとか、そういう法によって問題の振り分けをしたり解決をするということになっているので、今、地域の協議会で見ると法律でジャッジできる人がいないので、もし司法の方がいらっしゃると、それは消費者法で見てもらったほうがいいとか、これは雇用促進法の問題ですとか、私たちは今個別のケースの中では司法書士の先生やいろいろな方に相談しながら持って行きどころをジャッジしているのですけれども、その司法がきちんとかかわるとかというのはあってもいい視点ではないかなと考えます。
○ 野澤会長 ありがとうございます。
では、平野先生、お願いします。
○ 平野委員 資料3のところですが、基本的には一番上の構成機関の相談窓口という、行政とかありますけれども、今、堀江委員からありましたけれども、基本的にはそれぞれの窓口のところが機能を果たしてくれるのが一番いいとは思うのです。先ほどの例の虐待なら虐待と市町村が認識してくれているところに行くのが一番いいという。基本的には差別解消委員会が全部やるわけではなくて、それぞれのところが機能を果たしている。
ただ、一番大きい問題は、先ほど御指摘があったように、認識することがばらばら、ジャッジすることがばらばら。この部分で隙間をつくっていく。もちろん、悪意の差別は別ですけれども、ボタンの掛け違いですとか、連携不足であれば、その辺の認識の違いがある。その辺の違いを全体で高めていくというのが本来の差別解消支援協議会の役割。そうすれば一個一個の機関の取り組み。これは差別と認識して取り組むべきだとか、これはうちがやるべきものだというのがわかってくるという、そういうところに高めていくと考えていくと、やはり市町村、都道府県で役割は若干違ってくるのがあると思うのです。恐らく都道府県の場合には、組織を通じて蓄積していくということがあると思うのです。市町村の場合には、かかわっている援助者の人たちのネットワークみたいな、そこで高めていくという役割になってくると思います。
そういった意味では、市町村の場合は現実問題としては援助者のネットワークという面に着目すれば、理想は別につくればいいと思うのですけれども、現実は自立支援協議会といった形で援助のネットワークをかぶせていくというのが現実かなと思います。都道府県の場合には、組織をまとめるようなところ。これは現実問題ですけれども、理想を言えば障害もあらゆる障害分野から、関係団体も全部といいますと、100人、200人みたいな膨大な組織になってしまって現実回らなくなってしまいますから、それではある程度核になる、コアになるところをつくって、そこがまたさらに次のネットワークをつくっていくみたいな。実際、行政などはそうですね。窓口は障害担当が多くて、それはほかのセクションにもつくっていくというような、二重三重のネットワークをつくっていくようなことを想定しながらやるのが実際いいのではないか。
以上です。
○ 野澤会長 どうでしょうか。どうぞ。
○ 平野委員 先ほどの堀江委員からも御指摘があったのですが、障害当事者の方に参加してもらうことは大賛成ですし、障害のある方の意見をきちっと反映すべきだと思うのですけれども、ただ、先ほど言いましたように組織として蓄積する場合ということを考えた場合に、生の声も大事だと思うのですけれども、あらゆる人が参加するというのは難しい、障害の種別全部が参加するのは難しいわけですから、そういった意味では障害を持った人のネットワーク、あるいは障害を持った人たちが声を出せるようなサポートを別途つくって行かないと、公募で1人来たからいいですというわけではないと思うのです。
逆にこういったものを障害者全体に返していけるようなものも別途考えていかないと、当事者を入れるという場合、入れればということになってはいけないなと思っています。それも注意すべきだと思います。
○ 野澤会長 ありがとうございます。どうでしょうか。
この資料1の関係機関が対応できない事態に遭遇した場合の事務局の機能、ここはすごく重要だなと思っていて、これを示す、きょうの資料のお話の中でも、相談の窓口とかというのはたくさんあるのだなと。ただ、これをどうやって機能させていくのか。平野先生がおっしゃったように、差別の認識力みたいなことをどうやって上げて、実質的な解決や蓄積を高めていくかの基本なのですけれども、ただ、なかなか関係機関が対応できない隙間がありますね。それと相談したけれども、これでは不満だという人たちの声をどうするのかみたいなことを。そこをここの協議会がある程度応えていくようなものにするということは何かこの協議会の信頼だとか、求心力を高めることにとても大事かなと思ったりするのです。それをやるためにこれが必要なことだと思うので、ここを工夫してみたいなと思ったりします。
そして、これは春以降の作業にひょっとしたらなるのかもしれませんけれども、最低限度どういう構成メンバーになるというのは何となく出てくるのですが、またそれとは別にそれぞれ地域によってかなり状況が違う。しかも、我々は今でもわかっていない部分は結構ありますね。先ほどの医療の問題でも、どこが一体そういう情報というか、差別されたみたいなことを思っているのか。それはそれぞれここで全国を調査するわけにはいかないので、それぞれの地域で自分たちのニーズというものを拾い上げて調べるような道筋みたいなものをモデルとして示していけたらいいかなと思ったりしました。
ほかは何か御意見ありますか。あと2分ありますがよろしいですか。
あと1つ確認ですけれども、田門委員の中にあって、条例制定なしに相談窓口を設置することができると解釈すべきだ。これは法の解釈の問題なのですが、これは事務局、どうですか。
○ 事務局 一義的にはこういったものについては地方自治体の判断に委ねられると理解しておりまして、条例なしでというのは1つにはこの協議会自体が条例の制定なしでつくることができる。これはもう附帯決議等でも確認されていることであるというのが1点。
相談窓口という部分については、各この法律でいうところの基本の相談体制の整備をそれぞれするという形になれば、特に既存の方たちも活用して充実させるという部分については、別に何らそういった条例の制定の必要とか、そういったものはそもそも必要がないという認識でおりますので、こちらについては問題ないと思っております。
○ 野澤会長 最低限度つくっていくものと、そして、プラス上乗せ、横出しを結構できるのだよとしたほうが機能するよということを前向きに受けとめてもらえるような書きぶりを事務局にお願いできたらと思った次第です。ほかはよろしいですか。
では、事務局にお返ししたいと思います。
○ 事務局 ありがとうございました。
それでは、本日の議論、御意見等を踏まえまして、次回、暫定指針案のほうを提示させていただきたいと思っております。それまでに意見書でありますとか、あとこちらからの暫定指針に関するきょうの資料1の論点も含めてやりとりも想定されるところでありますが、いずれにいたしましても、次回には提示させていただいて、あと今後のスケジュールのほうにつきましても明らかにさせていただければと思っております。
それでは、次回は3月19日、水曜日の午後を予定しておりますので、また時間及び場所等の詳細につきましては追ってこちらから御連絡差し上げますので、どうかよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○ 野澤会長 では、本日の第2回の検討会はこれにて終わりにしたいと思います。また御意見があったら、どんどん積極的に事務局のほうに流していただければと思います。どうも御苦労さまでした。