障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会(第5回)議事録
○野澤会長 定刻になりましたので、これより第5回「障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、御多忙中のところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日の会議は16時半までを予定しております。
では、構成員の出欠について事務局からお願いします。
○事務局 本日は、河﨑構成員、柘植構成員、平野構成員、堀江構成員の4名が欠席と伺っております。
○野澤会長 前回、佐々木構成員が欠席されたので、今回初めてですね。なので、佐々木構成員から一言自己紹介をお願いしたいと思います。
○佐々木構成員 こんにちは。よろしくお願いします。
○野澤会長 よろしくお願いします。
では、内閣府の異動の御報告をお願いします。
○事務局 内閣府の障害児者施策担当参事官につきましては、8月31日付で加藤誠実が厚生労働省へ異動となりました。後任の参事官として、厚生労働省から坂本大輔が着任しておりますので、新任の参事官から一言御挨拶申し上げます。
○坂本参事官 ただいま御紹介いただきました担当参事官の坂本でございます。この場をお借りいたしまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。着席して失礼させていただきます。
この検討会でございますけれども、平成25年6月26日に法律が通った後、3回ほど開催をいたしまして、暫定指針をつくり、その後モデル事業を行って、今年の2月24日に基本方針が策定され、その後、第4回、前回の検討会を開いたということになっております。
ここで一つおわびをしなければならないわけでございますが、第5回につきましては、本当は本年の6月あるいは9月といった時期に開催するということになっておりましたが、作業の遅れ等種々ございまして、今日、10月9日の開催になったことにつきましては、まずこの場を借りましておわびを申し上げたいと思います。
今、この差別解消法の施行に向け、国のほうでは職員向けの対応要領や事業者向けの対応指針をつくって最後の詰めを行っている段階になっておるわけでございますが、こういう差別の解消の推進ということにつきましては、国も必要な取組をしておるわけでございますけれども、皆様が地域にお住まいになられている中で、地域における取組も求められておるわけでございます。法律ができて、その施行に向けて、今準備をしているという状況でございまして、少しずつ地域の中で差別解消といったことにつきまして機運を高めていくということが非常に重要になってくるのではないかと思っております。
そのための一つのツールとして、今日の在り方検討会という中で、地域協議会をどのようにしていくのかということを、まず議論していただいているわけでございます。
また後でも出てくるわけでございますが、もう皆さん御存じのように、法律上、地域協議会というのはつくることができるという規定になっておりますが、地方分権の時代ということで、なかなか義務づけができないということで、そういった規定になっております。逆に言いますと、できるという規定になっている中でどうやって地域協議会をつくっていただくように促していくのか、その辺の創意工夫が私どもに求められている。そのための知恵の出し方が求められているのではないかと思っております。
そういったことで、本日も資料に基づきましてこちらから御説明をさせていただいて、それで御議論をしていただくということになりますけれども、忌憚のないところをよろしくお願いしたいと思っております。
私からの御挨拶は以上でございます。
○野澤会長 よろしくお願いします。
それでは、資料について事務局より御説明願います。
○事務局 本日の資料といたしまして、資料1「平成27年度障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の進捗状況」3枚にわたるものでございます。
資料2-1としまして、「障害者差別解消支援地域協議会の設置の手引き(案)」でございます。
資料2-2ですが、こちらは資料2-1の別添資料という位置づけでございます。事例集でございます。
資料3「地域協議会設置の手引き(案)作成の経緯及び今後の予定について」という1枚紙になっております。
参考資料といたしまして、参考資料1「障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針の概要」、横長の資料です。
参考資料2ですが、「障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針」、こちらが本文になっております。
以上が本日の資料でございます。
○野澤会長 それでは、本日の議事に入ります。
まず、障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施状況について、事務局より御説明願います。
○事務局 私からは資料1、平成27年度モデル事業の進捗状況という資料に基づきまして御説明をさせていただきます。1ページから順番に説明をいたしたいと思います。27年度ということで記載をしておりますが、26年度の実施状況及び27年度の進捗状況について説明をいたしたいと思います。
平成26年度のモデル事業でございますけれども、本検討会で御議論をしていただきまして、平成26年3月、暫定指針の策定をしていただきました。その策定指針をもとに、主に障害者差別の解消を旨とします条例を有する自治体におきまして、モデル事業を実施したところでございます。
その結果でございますけれども、地域協議会の設置・運営ということに関しまして、協議会の立ち上げに当たりまして、既存の協議体の中でどの協議体の枠組みを選定するのかであるとか、障害者差別に関する相談をいかにして地域協議会に結びつけるかなどの課題が見えてきたところでございます。
平成27年度におきましては、そうした課題について解決の方策を探る目的としまして、昨年度モデル事業を実施した4つの自治体において、その事業の継続をお願いしております。また、新たに障害者差別の解消を旨とします条例を制定していない自治体においても、地域協議会を組織して障害者差別の解消を図る取組がなされるということから、新たにモデル事業を実施する自治体を選定しまして、4つの自治体でございますけれども、選定をして実施することにいたしております。
具体的には①から始まりますけれども、モデル事業実施主体の取組状況について説明をいたします。
27年度のモデル事業の実施自治体は、御覧のとおりの8つの自治体でございます。昨年度から継続してお願いをしております岩手県、千葉県、さいたま市、浦安市に加えまして、今年度は鹿児島県、新潟市、明石市、神奈川県湘南西部圏域において行うことにしております。
このうち新潟市と明石市、神奈川県湘南西部圏域におきましては、障害者差別を禁止する旨の条例は制定されていないところでございます。
次に、会議の開催状況等につきまして御説明をいたします。
まず、①の岩手県でございます。岩手県につきましては、昨年度実施をしたところ、窓口が十分に活用されていないであるとか、虐待やその不利益で受付窓口が異なるといったこと、また、権利擁護に係る相談窓口の整理を行うことを検討しまして、一元化、特に市町村に1次相談の窓口をお願いするという方向で、取組を進めることになったところでございます。
27年度でございますけれども、第1回会議を7月に開催しております。その中で、相談窓口の一元化の取組とあわせまして、岩手県内における市町村の中から先行地域を選定し、モデル事業を実施して、当該地域におけます相談体制の整備を図って、地域協議会の設立を含めて障害者差別解消の取組の広がりを図ることとしております。
次ページの千葉県でございます。平成26年度におきましては、法律の施行に向けまして地域協議会と県の障害者条例に基づきます機関との関係の整理であるとか、また、紛争解決・相談体制における県と市町村との関係の整理、また、障害者差別に関しての教育機関等を含めた県民に対する有効な啓発、また、広報の方法を検討するなどの課題が示されたわけでありまして、取組の方向性を確認したところでございます。
千葉県におきましては、今年度は地域協議会の運営方法など、あり方の検討であるとか、市町村支援のあり方等について議論を行うこととしております。
また、ワーキンググループを設置して、法律と条令の関係の整理を初め、数多くの相談事例を分析しながら、市町村との連携であるとか相談体制について細部の検討を行うこととしております。
次に、③の鹿児島県でございます。鹿児島県につきましては、今年度からの取組でございまして、12月に会議を開催する予定としております。県の協議会と市町村協議会との関係であるとか、紛争解決手段でありますあっせんということについて、今後議論を行う予定でございます。
続きまして、3ページに参りまして、さいたま市でございます。さいたま市につきましては、昨年度は国の地方支分部局でございます労働局であるとか法務局といった参加及び協力をしていただいて、その協力のもとに差別事案の収集を行っております。その結果、障害者差別の原因でありますけれども、市民とか企業等の障害に対する理解や対応経験の不足であるとか、差別を受けた障害者が相談機関に結びつきにいといった課題が確認されております。
また、差別を受けた障害者に対する支援につきましては、単一の機関で支援を行うということではなくて、様々な知見を有する地域の各機関によるネットワークを構築して対応を図っていくことが必要であるといった課題が、明らかになっております。
そうした課題を踏まえまして、今年度の取組としましては、新たな国の機関の参画を得るということをしながら、事案の解決に資する情報の共有方法といった各機関の連携を深める方策について検討をするということであります。
また、障害者差別が相談機関に結びつきにくいということにつきまして、障害者及びその家族等々からヒアリングを実施して、実態の把握を行う予定ということでございます。
次に、新潟市でございます。新潟市におきましては、関係者が一体となって障害への理解促進などに取り組むことを目的として、ネットワークを構築し、啓発活動などについて協議提案を行うとしております。
地域協議会としましては、10月から11月の間に第1回を行う予定としておるところでございます。
次に4ページでございますが、千葉県浦安市でございます。昨年度につきましては、障害者虐待スキームを活用いたしまして、差別解消相談窓口とする方向で検討をするということであるとか、市として県に対して解決すべき課題を提示することなど、また、千葉県と合同でワーキングチームを立ち上げた上で、連携について協議を進めていくことを確認するとしておりました。その結果、今後の取り組むべき課題を明らかにするなどの成果があったということでございます。
今年度につきましては、6月に第1回会議を開催したところでございまして、合理的配慮事例の収集及び共有を初めとしまして、障害者差別に関する相談の受付後のフローチャートといった実務部門について検討を進めていくこととしております。
次に、⑦明石市でございます。明石市におきましては、現在、障害者差別解消に資する条例の検討を進めているということでございます。
本年度につきましては、地域協議会をどのようにその条例の中に組み込んでいくかということについて検討を進めているということでございます。また、事業者へのヒアリングであるとか、タウンミーティングの実施であるとか、市民フォーラム、そういった開催を通じまして、条例への反映であるとか障害者差別解消に向けた機運の醸成を図ることとしております。
次の5ページでございますが、神奈川県湘南西部圏域でございます。神奈川県湘南西部圏域につきましては、今回唯一の複数の自治体を含む広域での取組でございます。第1回の会議を7月に開催しておりまして、現在ワーキングチームを立ち上げて、圏域市町において障害者差別の状況把握であるとか、障害者差別に関する相談対応体制構築に関することなどを協議しております。
法施行に向けて検討課題の洗い出しと、また、その課題を圏域の市町村において共有することを目指すということであります。この種の取組につきましては、単独で地域協議会を設置することが困難な自治体の参考となるのではないかという期待から、今後の取組に注目をしたいと考えております。
以上、簡単でありますけれども、モデル事業の実施状況について説明をいたしました。
今後、ただいま申し上げました課題等につきまして、各地域がどういった感じで取り組んでいくのかということで、モデル事業の実施状況の推移を注視していきたいと思っております。
6ページに参りまして、あと2点ほどございます。6ページの一番上、アドバイザー派遣事業でございます。これは地域協議会の設置を希望いたしております自治体に対しまして、この在り方検討会の構成員の皆様などの有識者をアドバイザーということで派遣しまして、地域協議会の設置に向けました課題の整理などを行うということで、実際に伺って支援をするということで実施をしております。
この事業につきましては、今年度から実施しているわけでありまして、簡単ではありますけれども、報告をいたしたいと思います。
ここに書いてありますけれども、これまで東京都世田谷区、佐賀県、香川県、三重県、徳島県、大阪市の6自治体につきましてアドバイザーを派遣したところでございます。派遣予定とありますけれども、今後、合計で14カ所にアドバイザー派遣ということで予定をしております。
また、本検討会の中でありますけれども、名簿の中には既に御協力をいただいている方もおられまして、大変感謝をしております。この詳細につきましては、次回の検討会で報告をする予定としております。
最後でありますけれども、中間報告会及び最終報告会でございます。昨年度末の3月に最終報告会を実施しております。また、その前に中間報告会を実施しておりますけれども、今年度も御覧のとおり、中間報告会を4カ所で開催する予定としております。この中間報告会につきましても、本検討会のメンバーの方々に御協力をお願いする予定としております。
最終報告会でございますが、3月3日に内閣府にて開催する予定で、都道府県、指定都市の職員を対象としまして、モデル事業の実施結果報告を行う予定としております。
法律の施行直前ということでありますが、貴重な機会と考えておりますので、モデル事業実施自治体の取組であるとか、今後の課題・議題についてまとめまして、手引きということで自治体に活用したいと考えております。
以上で資料1につきましての報告を終わります。
○野澤会長 ありがとうございました。モデル事業とアドバイザー派遣事業と中間報告及び最終報告について御説明いただきました。
それでは、各構成員から御質問や意見等がありましたらお願いしたいと思います。挙手にてお願いします。
金構成員、今、明石市がどのような状況か、補足があれば言っていただけますか。
○金構成員 明石市で福祉総務課の障害者施策を担当しております金です。よろしくお願いします。
今、御報告をいただいたように、明石市では差別解消条例を検討する検討会を今年の5月から立ち上げまして、現在2回まで検討会を行っております。実は来週、第3回目の検討会を予定しているところです。
前回の第2回目には、検討事項で、差別解消支援地域協議会を明石市の条例においてどのように位置づけたらいいのかという簡単な問題提起をするようなペーパーを出しまして、一定の検討をしてもらいました。そのときには、アドバイザーとしてさいたま市職員にも来ていただいて、地域協議会の活動のあり方について要約的に説明をしていただいたということがございました。
そのときに、条例に基づいて地域協議会を考えるときに、もう一つ論点になるのが、条例の中では附属機関となるのですが、相談に関する調整委員会、要するに、相談段階から当事者間で折り合いがつかなくて解決できない場合には、あっせんの申し立てができるというのが、大体の自治体の条例でも盛り込まれていると思いますが、そういった調整委員会について、地域協議会とは切り離して別枠でつくることにするのか、別枠でつくるほうが、要するにあっせんの申し立てを受ける委員会ですので、中立性というものが確保しやすいという意味もあるのではないかということで、地域協議会と別建てでつくることを検討するか、または地域協議会の中で位置づけて、例えば部会のようなイメージで、地域協議会の中であっせんの申し立てに対する対応なども行うのかなどについて、こういう2つの考え方があるのではないでしょうかという趣旨のペーパーをお出しして、今後また引き続き検討をすることになっております。来週の第3回目の検討会では、これも急ピッチの非常にテンポの早い話ではあるのですが、まず条例の素案の最初の案を出す予定にしておりますので、そこのところは一定の整理をした上で条例の最初の案をお出しする必要があるのではなかろうかということで、この間、事務局でも検討をさせてもらいまして、一応、条例の素案の案としては、地域協議会の中にあっせん部会のようなイメージで、地域協議会があっせんも受け持ってやっていくという案として、まず出してみようということで考えているところです。
これは鹿児島県条例も似たような条例の規定がありましたので、実際にどのように運用しているのかをお聞きしたところ、非常に参考になりました。鹿児島県条例では、条例に基づく協議会があって、あっせんの申し立てがあった場合は、そのあっせんの申し立てに応じるかどうかを諮るというところから協議会で審議して、あっせんの申し立てに応じる場合には部会を設置して、部会の委員のメンバーも協議会の委員の中から選んで担当してもらうという考え方をされて、申し立てはまだされたことはないらしいのですが、それだったら明石市でも同じような形がやりやすいかなと考えているところです。
一つの条例で調整委員会とまた別に地域協議会という形で2つの会議体をつくるというのは、効率的な行政運営という点からなかなか難しいということがあります。そういう点も考慮して、今、申し上げたような整理の仕方をして素案にお出ししたいと思っているところです。
以上です。
○野澤会長 私からお尋ねしていいですか。調整委員会というのは、どのようなイメージをされているのですか。何人ぐらいで、どういうメンバーとか、どのような議論をされているのでしょう。あとはどのようなことをやるとか。
○金構成員 ざくっと言うと、千葉県条例も含めてほかの自治体の条例でも、あっせんの申し立てのところでは大体同じようなことが盛り込まれているかなと思いますが、まず手続上はあっせんの申し立てを受けて、調整委員会であっせんの案を出して、相手方があっせんの案に応じない、従わないということがあったときに、その場合には調整委員会から市長に報告し、市長の判断で勧告を行うことができる。勧告を行っても改善されなければ、市長の判断で公表ということも考えられるなど、あっせんに関する手続が定められています。
ただ、明石市としては、素案の内容では障害を理由とする不利益な差別的取り扱いと、合理的配慮の不提供に関する事案の両方を対象にしていこうということで考えているところであります。
○野澤会長 これは市の職員というよりも、有識者とか当事者団体とか、そういう方々で構成するというイメージですか。
○金構成員 そうですね。そこは今後詰めなければいけないのですが、鹿児島県で聞いた話によると、協議会の中であっせん部会という形でやられているのですが、固定的な形で委員を決めるということではなくて、あっせんの申し立てがあった時点で、そのあっせんの事案の内容に応じて協議会の委員の方々が、かかわりのある委員の方々を優先にして、あっせん部会の委員になってもらう。だから、事案ごとに委員を決めていくという考え方に立っておられるようです。明石市では、地域協議会に置くあっせん部会は5人くらいのイメージで考えております。
○野澤会長 事務局に確認なのですけれども、法律上は、地域協議会は、相談になったときに、地域協議会としてあっせんしたりというのはやらないことになっているのですね。
○事務局 条文上は明示的にやる、やらないということは書いておりません。様々な関係機関でネットワークを構築して情報を共有し、事案の解決の後押しをするということを目的として、条文が規定され、国会での審議が行われています。
○野澤会長 地域協議会がどのような役割を持つかというのは、それぞれの判断でやってもいいということですか。
わかりました。ほかにいかがでしょうか。
私から事務局に質問をさせてもらってもいいですか。アドバイザー派遣事業なのですけれども、私も世田谷区に行かせていただいたのですが、アドバイザーというのはどのようなことをやってきたのか。地元の自治体側の要望とそれはマッチしているのかとか、今後のいろいろなことを考えて、課題だとか、自治体側の満足度だとか、こちら側のキャパもあるわけですけれども、そのあたりはどうでしょうか。
○事務局 アドバイザー派遣事業につきましては、4月ぐらいに各都道府県、指定都市に対しまして、御要望があればということで依頼をしております。その結果、この20の自治体から来ていただきたいということで御返事があったので計画を進めたということです。
伺うに際しましては、事前にアンケートということで聴取をしまして、そのアンケートの中身というのは、現在の状況であるとか、どういったことについてアドバイスをしてほしいのか、そういったことについて事前に把握をして、その上で実際に伺ってアドバイスをするという段取りで進めているところでございます。
○野澤会長 大方満足していただけているのでしょうか。
○事務局 いろいろとヒアリングというか、実施結果についてお聞きをしておりますけれども、押しなべて国の考え方であるとか、差別解消について、ほかの自治体の動向であるとか計画、そういったものが把握できたということで、今後法施行に向けてどういった方向づけを持っていきたいか、そういった意味で参考にすることができたと聞いております。
○野澤会長 私、世田谷に行ったら、あそこは区長が非常に熱心なのですね。区長を初め市の関係者にずらっと囲まれて、かなり細かないろいろな質問を受けて、その後に区の職員だとか区内のいろいろな関係者を大講堂に集めて、そこで講演までさせられて。
話を聞いていたら、相当な切実感みたいなものは覚えましたね。やはり現場に近いところはどうやっていけばいいのだろうみたいなことでした。だから、こちらはすごく手ごたえがあったのです。だから、向こうがどのぐらい満足していただけているのか、ちょっと不安だったものですから。
もともと行政の内部のことに詳しい方がいて、本当に本音で、基礎自治体はいろいろな事務がいっぱいあって結構大変ですね。その中でどうやって立ち上げていくのかというあたりの作戦会議みたいなことを考えたときに、行政職のプロパーの方が行ってアドバイスするというのは、相当効果があるのではないかなという気はしたのです。私が行くと足りなかったかなと思って。
○事務局 世田谷の例でいきますと、野澤会長に来ていただいて、いわゆる法律の成立の時点からその後の状況につきまして御説明をいただきまして、それにつきましては大変勉強になったということで聞いております。
また、アドバイザー派遣につきましては、本検討会の構成員の方々それぞれ専門的な知識を持っていらっしゃいますので、そういった知識を御教示いただいたということ。また、自治体の関係者ということで、さいたま市職員、また、平塚市職員に来ていただきまして、先進自治体というところから、いわゆる先進事例ということでお聞きをしたわけでありまして、そういった面では非常に参考になったと聞いております。
○野澤会長 ありがとうございます。
どうでしょうか。新潟市ではないのですけれども、南雲構成員と渋沢構成員と私が新潟県でフォーラムをやりましたね。あれは民間が立ち上げたフォーラムなのですけれども、そこに行ってこの差別解消法の話をさせていただいたのですけれども、南雲構成員、その辺の話をしていただけますか。
○南雲構成員 うおぬまフォーラムというのは、9月5日に新潟県の十日町市で行われまして、差別解消法、特に合理的配慮がどのようなものかというのが、まだその地域の特に福祉関係者になりますけれども、なかなか実感が持てずにいる中で、今回おもしろかったなと思うのが、当事者の方が3名ほど登壇されて、身体障害の方、精神障害の方、発達障害の私自身、あとは福祉、教育、就労の支援者の皆さんですね。
特に就労や教育の支援者の皆さんにご登壇いただいたというのは、非常に意味のあることだったのかなと思いますし、何より当事者が登壇したという意義は大きかったと感じています。フォーラム後の感想を聞いて感じたことは、これまで支援者としては「当事者の声を聞きたいのになかなか聞けなかった」、ご本人としては「差別解消法が始まったとしても、声をどう上げていいのかがわからなかった。」というものがあり、その声自体がなければ本人に寄り添ったものができないというところでは、今後、当事者が表に出てくる必要性を感じたフォーラムでした。
以上です。
○野澤会長 そういう民間の動きが自治体と連動していくといいですね。
○南雲構成員 そうですね。
○野澤会長 そのように思ったのです。民間のレベルでは、結構あちこちでそういうものをやっているのですよ。肝心の地域協議会をつくる自治体とうまく連動していないので、もったいないなという感じは時々するのですね。
もう一つは、静岡県からもアドバイザー派遣の要請が来ていますね。今度、静岡県の三島、静岡、浜松の3カ所で差別解消の話をしてくれと言われたので、私はてっきりアドバイザー派遣の関係のことかなと思って受けたのですけれども、ユニバーサルデザイン何とかという全く違う部署、むしろ経済部局が独自にやっているのですね。だから、同じ自治体なのにうまく連動していないのではないかと感じたのですけれども、何かその辺の情報はありますか。
○事務局 静岡県につきましては、おっしゃるようにアドバイザー派遣について要望があったというのが、まず一つあります。それとは別に、県のほうで野澤会長においでいただきまして、県内3カ所で差別解消法につきましてお話をしていただきたいとの依頼があったと聞いております。
○野澤会長 初めてのことなので自治体側も試行錯誤で、こちらも試行錯誤でしているのですけれども、その辺の連絡体制が自治体側とこちら側でうまくできると、同じ限られた資源なのでもっと有効にいくかなと思いました。今後の課題ということです。
ほかはいかがでしょうか。何かお気づきの点、質問等はありますか。
では、金構成員、お願いします。
○金構成員 これは教えていただきたいなというところが率直な気持ちなのですが、地域協議会の構成員を考えるに当たって、先ほど言いましたように、明石市の条例の案ではまず地域協議会をちゃんと位置づけようということは決まっているのですが、その構成員を考えるときに、明石市は市民参画条例というのをつくっていまして、その市民参画条例では、検討会とか委員会の委員数が20人となっています。ですから、差別解消条例に基づく地域協議会をつくるに当たって市民参画条例との関連を考えると、どうしても20人の枠で委員の数を考えなければいけないかなというのがありまして、そもそもの地域協議会というのは、各分野様々な関係機関などが対象に挙がっていると思うのですね。ですから、そういった意味で、地域協議会で差別事例を検討する際に、地域協議会の構成員でないと、なかなか協議に正式な形で参加することができないというのが通常の理解だと思うのですが、そうなりますと、例えば教育なら教育で、学校現場で相談事例があったときに、それを地域協議会で協議しようといったときに、どうしても限られた人しか構成員としていない状態が考えられるのですね。
そういった意味で、できるだけ構成員として正式になっていない方々も一緒に、例えばイメージとしてはオブザーバーのような形で地域協議会の議論に一緒に入ってもらうということが、柔軟な運営のところで別にやって構わないのかどうなのかというのを、念のためにお聞きしたいなというのがあります。
○野澤会長 それはそうですね。相談によってはもっとそれに詳しい方々に特別に入ってもらったほうがいいなということは、当然考えられますものね。
これはどうなのですか。特に支障がないような気もするのですけれども、国会での議論とか運用上、何かありますか。
○事務局 条文上、特に分野などは例示的に挙げられていますが、広く関係分野の方々がネットワークをつくるという趣旨が規定されているものですので、あとは構成された後の運用上の守秘義務として、最低限守っていただくところを担保していただいた上で運営していただき、メンバー等については地域の実情に応じて考えていただければよいのではないかと考えております。
○野澤会長 これはやってみないと、どういうものが必要なのかがわからないところがあって、それは先行する明石市あたりにいろいろとやってもらって、それを各自治体が参考にして広げていくみたいなイメージかなという気はしています。
そろそろ次に移らせてもらっていいでしょうか。
続いて、差別解消支援地域協議会の設置の手引き(案)について、事務局より御説明願います。
○事務局 それでは、今日これから特に御議論いただきたいのが資料2-1にあります手引きでございますけれども、まず手引きとなってきました経緯のようなものについて、私から御説明いたしたいと思います。
前回の第4回の検討会は3月にやったものでございますが、その場でも今後の予定ということでお示ししているところがあります。その中で言いますと、皆様のお手元だと参考資料2になると思いますけれども、いわゆる今の設置運営暫定指針でございますが、これを改定していくということを念頭に作業を進めることになっておったわけでございますけれども、前回の議論で、この暫定指針をつくった後に26年度にモデル事業をやっていただいたことになるわけですが、そのモデル事業の中で設置運営の暫定指針の使い勝手がどうなのかということについて、どのような評価なのかを知りたいといったことで、例えば平野構成員からそういう御発言がありましたけれども、その際に事務局からの説明を見ますと、要は暫定指針ということを中心に検討しながらモデル事業を進めてほしいというのがあったのだけれども、片やモデル事業を進める側の自治体としてみると、既に既存の枠組みもある。だから、そことちょっとずれているがために、どうやってうまく暫定指針を使ったらいいのかというのが正直非常に難しくて悩まれたという事情があると聞いておりました。
それで、お手元の資料3でございますけれども、そういったことがありまして野澤会長からも、実は行政のほうが非常に厳密に考えるところがあって、どうも一字一句そのとおりにやらなければいけないようなところもあると見受けられることもありまして、事務局としても指針ということになると、それをかなりシリアスに受けとめてしまっている向きがあるので、もう少しやわらかいものとして提示する選択肢もあるのではないかといった議論があったところであります。
あと、竹田構成員からも、既存の何らかの組織、自立支援協議会でもいいですし、虐待防止法上の連携体制とか、こういったものもあると思いますけれども、そういったものを活用して運営をしていこうというときに、そういうところの方法論みたいなものをわかりやすく、モデルとして示すと非常に活用がしやすいのではないかといった御意見など、あと、平野構成員からも、設置運営暫定指針ということになると、どちらかというとどうしても組織論に行ってしまうことになるのだけれども、そうではなくて、何をつくるかというところの組織論のほうではなく、どちらかというと何をするところなのかという機能、役割のところを非常にわかりやすく強調することが重要なのではないかという御指摘もあったところでございます。
こういった経緯も踏まえまして、今回お示ししている資料2-1の手引きということでございまして、タイトルも設置運営暫定指針というちょっとお堅いタイトルではなく、もう少しやわらかめの手引きという形にさせていただいております。役所の文書ですと、である調で言うことが多いわけですけれども、そこもですます調にするといったことも含めまして、少しとっつきやすいものにしていきたいなというものがございました。
要は、先駆的にやられているところとなってきますと、だんだん経験値が上がってきてということになってきますので、そういった方用はそういった方用でつくるということもあり得ると思うのですけれども、まずは地域協議会というものをつくってみようと思っていただくことが非常に必要になってきます。例えて言いますと、囲碁の有段者のためのものではなくて、これから囲碁をやってみようと思いたくなるような形のものがまずあったほうがいいのではないかという考え方がございました。
ということでございますので、内容的には暫定指針などのところももちろん参考にしながら、モデル事業でどのような課題が抽出されてきたのかということも参考にしながらということではございますが、資料2-1の手引きの中では、基本的に地域協議会をつくるに当たって最低限押さえておいていただきたいところを強調しておるということになっておりまして、その最低限押さえておいてほしいものにプラスして、後ろのほうに、実際にやっていただいている岩手県、さいたま市、浦安市、千葉県、そういった事例、神奈川県の湘南西部圏域といった事例を載せた上で、皆さん試行錯誤をしながらではあるけれども、少しずつ前に進んでいる、こういう事例もあるのだよということをあわせて示すということで、まずはこういう手引きという形でお示ししていくことにしてはどうかということで、今回、このような資料2-1のようなものになってお示しさせていただいているということでございます。
詳細につきましては、またこの後、説明をしますけれども、とりあえずなぜ暫定指針ということではなくて、今回手引きという形でお示ししているかというと、今、申し上げたような経緯があったということをここで御報告させていただきます。
○野澤会長 ありがとうございました。行政からするとかなり意欲的な取組ということですね。
詳しい御説明をしていただく前に、田門構成員が15時半にお帰りになられるということなので、せっかくなので田門構成員から御意見をいただければと思います。
○田門構成員 都合で3時半までいられるだけですので、先に意見を述べさせていただきます。手引きについて1点は、紛争解決の後押しについては、閣議決定されて、その基本方針にもきちんと載せられております。ですので、この手引きの紛争解決のアドバイザーの役割というところを詳しく書いたほうがいいと思います。合理的配慮、過重の負担の解釈として、現場の機関だけではわからないところがあると思いますので、地域協議会でその辺を議論してアドバイスをする方法がいいのではないかと思います。
手引きについてもう一点です。資料2-2、ページで言うと7ページでございます。さいたま市の事例ですね。7ページの下から6行目に当たる部分です。各分野の専門家と載っておりますが、合理的配慮、過重的負担の法解釈については、やはり法律の専門家としての意見があったほうがいいのではないかと思います。資料2-1の7ページには構成メンバーが載っていると思います。あくまでも例示の意味だと思いますが、先ほど言いました法律の専門家の知識、アドバイスが必要かと思います。このため、できる限り弁護士がメンバーに入っているほうがいいかと思います。その理由は、弁護士というのは法の解釈をよく知っておりますし、合理的配慮とか過重負担について、例えば閣議決定されている基本方針とか、または基本指針とか、いろいろな規定が載っております。それについても、どうやって解釈するのかというところを弁護士はなれていると思うのですね。組織構成メンバーとして入れたほうがいいのではないかと思います。
以上が私の意見です。
○野澤会長 ありがとうございます。7ページの地域協議会の参画が想定されているメンバーの中には、弁護士はいの一番で入っているのですが、これでいいということですか。もっと違う書き方をしたほうがいいということですか。
○田門構成員 例示の意味で書いてあるのではないかと思うのです。そういう表だと思うのですが、できれば弁護士を多くの協議会のメンバーに入れることをお勧めしたいと思います。
○野澤会長 ありがとうございます。
では、せっかくつくっていただいた手引きの中身、全部読み上げていると結構大変なのですけれども、ポイントで詳しく御説明いただけたらと思いますので、お願いします。
○事務局 10分ぐらいで概要を御説明します。
表紙をめくっていただきまして「目次」があります。まず「はじめに」というページを設けました。その後に1から6までのタイトルで区切っております。最後の6は参考資料。別添として、モデル事業を開催した地方公共団体における事例集を付しております。
最初に、「はじめに」のところです。先ほども御説明いたしましたが、まずこの手引きを地方公共団体の担当者の方々に手に取っていただいて、参考にしていただき、より多くの地方公共団体において組織されることを期待しますということを前面に出しております。冒頭では差別解消法の条文を引いて、このようなネットワークが組織できるということを書き、担当者の方々に実際に設置していただくためのマニュアルとして作成した旨を書いております。
1ページです。見出しについてもよりわかりやすいフレーズを付しております。1として「障害者差別支援地域協議会はなぜ必要なのですか?」としております。概要的なものを書いておりますが、まず来年4月に差別解消法が施行されること、その法律で、行政機関等と事業者には不当な差別的取り扱いの禁止、合理的配慮の提供が求められること、なお事業者については、合理的配慮は努力義務ですということを書いております。そして、国及び地方公共団体においては、差別解消に資する体制の充実を図ることとされています。
次のパラグラフですが、何と申しましても障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者にとって身近な地域において主体的な取組がなされることが重要であること。そして、地域においては、障害者の活動は広範、多岐にわたっていますので、障害者が相談窓口に相談をされる際には、どの機関がその権限を有しているかの判断は難しいということ。そして、相談を受ける行政機関においても、その機関だけでは対応できない可能性があるということを書いております。
そして、その下のところになりますが、地域協議会を組織することのメリットとして、ここで4つの柱を掲げております。
(1)として、「相談への迅速かつ適切な対応」です。障害者からの相談がいわゆる「たらいまわし」になることを防ぎ、関係機関等で共有・蓄積した相談事例等を踏まえて迅速に権限ある機関につなぐなどの対応が可能となります。
2つ目、「権利擁護に関する意識のPR」。権利擁護に関する意識が高く、障害者差別の解消に向けて積極的に取り組んでいる地方公共団体であることがPRできます。
次のページ、3つ目です。「訴訟に至る前段階での解決の促進」と掲げました。障害者差別に関する相談を受け止め、権限を有する適切な機関につなぐことで、訴訟に至る前段階での解決の促進が図られるようになります。
最後、4つ目ですが、「職員の事務負担の軽減」。相談事例の共有・蓄積により、新たな相談にスムーズに対応できるようになり、地方公共団体の職員の皆様の事務負担の軽減につながります。
次のページに参ります。項目2、「地域協議会は何をするのですか?」。どういったことを扱うのか、というものです。
ここでのポイントは、地域協議会が地域における様々な機関によって構成されるという特色を踏まえ、3つ挙げてございます。
複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案や、関係機関等が対応した事案の共有。相談体制の整備、様々な取組の共有・分析。そして、それらの取組の周知・発信、障害特性の理解のための研修・啓発などが考えられるとしております。
下のほうでは、それぞれの内容として5つの項目をさらにブレークダウンして掲げております。
(1)としまして、「複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有」。例としては、商店街全体として障害者への対応に課題を有するような事案ですとか、保健や福祉といった関係機関による支援が必要な事案などについて、複数の機関で対応を行っていくということを掲げています。
2つ目、「関係機関等が対応した相談事例の共有」ということで、関係機関等が対応した相談事例に関する情報、紛争の解決や合理的配慮の提供の事例、そういうものを共有することによって、地域における共通認識を持つことにつながると掲げています。
3つ目、「障害者差別に関する相談体制の整備」ということで、相談窓口の洗い出しや、窓口によって聞き取る内容の不整合が生じないようにするための共通シートの作成といった取組、そういうものについての協議が考えられます。
4つ目、「障害者差別の解消に資する取組の共有・分析」。発生した事案への対応だけではなく、未然に防ぐ、そういったことが起こらない地域づくりをする取組です。実践例などを作成していくことを例として掲げております。
最後ですが、そういった取組の周知・発信、障害特性の理解のための研修・啓発なども、ここで例として掲げております。
次の5ページに参ります。項目3としまして、「地域協議会はどうやって立ち上げるのですか?」ということで、方法論について記述しています。実際にどのように立ち上げたらいいのかというときの基本の情報として記載をしております。
(1)として、「組織形態」です。まず冒頭に、地域協議会の形態に特別な決まりはなく、組織する単位も都道府県・市町村によって異なり、市町村の場合でも規模によって異なりうる、実際に地域の実情に応じて様々な立ち上げ方が考えられることを書いております。
それ以降はモデル事業、体制整備事業から得られました事例、知見を散りばめておりまして、既に障害者差別の解消に関する条例等を有しているところ、地域によってはその組織に地域協議会の機能を付加するといった観点、あるいは、実際にモデル会議において、既存の障害者虐待防止法に基づくネットワークや、障害者総合支援法に基づく協議会の枠組みを活用している事例等もございますので、そういった例もここで御紹介をしております。
2番目は、「会議の運営」です。ここでは実際にどのように動かすかということですが、まずは、地域の関係機関が一堂に集まって、顔の見える関係を築くことが重要ではないかと書いております。
実際の動かし方ですが、代表者会議(親会議)と、その下に実務者会議(ワーキングチーム)を置くという考え方もあるのではないかと例示をしております。代表者会議では、協議会全体に関する事項を協議して、企画の決定や進行管理など、そういうものを扱うことが考えられます。
次の6ページに参りまして、そのもとに置く実務者会議では、実務的な意見交換、積み上げを行う作業が考えられまして、地域における障害者差別の実態把握や情報収集、取組の共有・分析、周知・発信、研修・啓発などの取組が考えられます。
3つ目、「メンバー構成」ですが、先ほども御質問がありましたけれども、メンバー構成につきましては、その地域、区域の広さ等々によってそれぞれ異なると考えております。差別解消法においては、条文上、分野が例示的に規定されてはおりますけれども、その上で次のページになるのですが、参画が想定されるメンバーとして、こちらも例示としての一覧を掲載しているところです。繰り返しになるのですが、これらのメンバー全てに参画いただかなければいけないということではありませんで、それぞれの地域の実情に応じて構成を考えていただければよろしいかと考えております。
(4)としまして、「事務局の役割」とあります。障害者差別解消法では、地域協議会を構成する地方公共団体が庶務を処理するという規定が置かれております。一般的には都道府県・市町村の障害福祉担当部署が事務局を担うことが想定されますけれども、括弧書きにもありますが、そこに限定されるものではなく、地域で御判断いただくのですが、福祉の総括部署ですとか人権担当部署も事務局の担い手として考えられます。
事務局の役割も下のほうに書いておりますが、協議会の事務の総括といったものを掲げております。
次の5ページに参ります。
(5)として「都道府県と市町村の違い(広域での設置)」と書いております。地方公共団体におきましても、都道府県、市町村、政令市、複数の市町村による連携といった様々な地域の状況があると思います。市町村単位で設置する協議会では住民に身近であるという特性を生かして、相談事案を解決するための後押しや、個々の課題について協議をすることが期待される一方で、国の機関による権限行使ですとか、少し広域にわたるような課題を扱うものについては、都道府県や、広域のレベルへの協力要請も考えられるのではないかと書いております。
次のパラグラフの「一方」以下ですが、ここでは都道府県単位での地域協議会の特性を書いております。ここでは広域にわたってまいりますので、市町村単位での対応が困難な事案に対するバックアップ、国の出先機関との連絡調整、広域的な活動にわたる事業者団体、職能団体との関係性、そういったものへの取組が考えられるとしております。
「なお」以下ですが、政令市についても言及しています。都道府県と市町村の両方の側面を有しているということを記述しております。
最後ですが、「これらの中間的な位置づけ」ということで、複数市町村が連携して取り組む例を今年度のモデル事業として神奈川県湘南西部圏域で実施いただいていますが、そういった例もございまして、単一市町村で行うよりも少ない負担で地域協議会を立ち上げて回すことが可能になってくるということを記述しております。
次の9ページに参ります。4として「各相談窓口と地域協議会との関係はどうなるのですか?」という見出しです。この法律では、新しい相談窓口等を設置することはせず、既存の窓口を活用・充実させることとされております。このため、障害福祉担当部署を始めとして、ほかの関連する機関が相談窓口となる可能性があることから、そこだけの機関で解決をしなければいけないということではなく、適切な機関につないでいくことが重要であるということを書いております。
そういったことからも協議会を設置しまして、適切な機関にそれぞれつないでいき、また、本人は障害者差別と認識していないけれども、客観的に困難を抱えているような事案ですとか、そういったものについても対応が可能になってくるのではないかということを記載しております。
10ページに参ります。5になりますが、ここで「守秘義務」を掲げております。これは地方公共団体の状況等によるものではなく、共通した留意点ということで書いてございます。個人情報を扱う場合の留意点として、守秘義務の確保をどのように担保するかということについて、法律の第19条で秘密保持という規定がございますので、そこについてはしっかりと取組をいただきたいということを書いております。
基本的には、その協議会で現在メンバーになっている、あるいは、かつて参加していた方々ということで、①②③それぞれについて書いてございます。
また、それぞれの地方公共団体の個人情報保護条例等に基づいて、個人情報の扱いについても本人の同意を得ていくことが必要である旨を書いております。
次のページは、「6 参考資料」としまして、関係する差別解消法の条文、そして、本年2月に閣議決定しました基本方針における関係箇所を、一覧として記載しております。
最後に、関連する資料等のホームページ掲載先もこちらに掲載しているところでございます。
以上が手引き(案)の御説明です。
○野澤会長 ありがとうございました。
それでは、各構成員から御質問・御意見があったら挙手にてお願いします。
渋沢構成員、お願いします。
○渋沢構成員 端的に伺いたいことは、この会議に参加した場合の費用はどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○野澤会長 地域協議会ですね。
○渋沢構成員 そうです。地域協議会もしくはこのモデル事業をやっていらっしゃるところは、協議会に参加したときの費用の負担というのは、あるところとないところがあるのではないかという気もするのですが、おわかりになる範囲で教えていただけないでしょうか。
○事務局 モデル事業につきましては、内閣府の委託事業ということで、それぞれ委託事業者からモデル事業に参加された方々に、いわゆる経費ということでお支払いをしております。
○野澤会長 私、浦安市のモデル事業にかかわっているのですけれども、浦安市はもともと虐待防止協議会にかぶせているのですね。虐待防止協議会は、もともと参加している民間の委員に対しては、多少ですけれども、交通費ぐらいのものは出ますね。ただ、それは虐待防止協議会のほうで出しているというイメージかもしれませんね。あくまでもモデル事業なので、それについてはないのですね。実際にこれが地域協議会としてスタートしたときにはどうするのですか。それぞれ自治体の普通の協議会だとか検討会に集まってくる人に、交通費ぐらいとか、あるいは公的なところはなしとか、それぞれなのでしょうか。特にそれは法律とか何かで決まっているわけではないですね。
○事務局 特にそういうところについて決まりがあるわけではないと思いますけれども、そういうことで言いますと、一つあるのは地域協議会というものが、地域の実情に応じてということになります。そこはその地域ごとにいろいろな合議体みたいなものがあると思いますけれども、そういう合議体に参加するときにそういう費用面をどうするのかということは、それぞれ条例なり規則なり、そういったもので決めているのではないかと思いますが、この地域協議会自体をどういうものに基づいて、例えば条例をつくるのかとか、国の法律で何かそういうところについて縛りがあるわけでは全くございませんから、そういう費用面といったことも含めて、その地域の実情でお決めいただければいいのではないかと思っております。
○野澤会長 渋沢構成員、何か御意見というか、こうすべきだというものはありますか。
○渋沢構成員 やはり費用をどうするかというのは、具体的につくっていくときにとても大きなハードルになっていくのではないかと思います。構成員を例示されていますけれども、医師会の医師は、ほかのところはどうか知らないですけれども、うちの地域だと、医師会を通じて委員の派遣をする場合は基本的に費用負担を求められるので、その辺は現実問題として大きなハードルだなと思いました。
自立支援法の協議会は、大抵のところがきっと費用負担なしでやっているのだと思うのですが、そうするとそこにかぶせるような形でやるのが一案なのか、もしくは障害者計画の委員会みたいなものだと費用負担しているから、そこに乗せたら費用負担できるのかなとか、具体的にはそのようなことをイメージしたのです。なので、費用がかかるかかからないかというのは大きな問題だと思ったので、自治体の実情によってでもよいという書き方でもいいから、書いておいたほうがいいのではないかと思いました。
○野澤会長 ここでどのように書けるかというのは、また微妙な問題があると思いますけれども、私もそれぞれの自治体で、例えばそういう検討会とか協議会をやるときにどのように費用負担をやっているのか、ちょっと知りたいところですね。何か自治体からそういう相談とか質問とかがあったときに、例えばということでいろいろ答えられるように、もし余裕があれば、幾つかそのようなサンプルを集めていただけるといいなと、今、思いました。
ほかにはいかがでしょうか。
佐々木構成員、お願いします。
○佐々木構成員 この前、下関で虐待事件のあった大藤園に行きました。いまだに虐待事件がいっぱいあります。やはり当事者の声を入れながら、よく考えてやっていってもらいたいと思います。以上です。
○野澤会長 ありがとうございます。この地域協議会は、虐待というか、差別のほうなのですけれども、実際、虐待・差別というのは混然一体となっているケースが多くて、やはりそこに当事者の目線といいますか、そういうもののチェックが入るといいと私も思うのですね。
手引きの7ページですけれども、この差別解消地域支援協議会も、想定されるメンバーの中に障害当事者、障害当事者団体、家族会というのがあって、やはりここのあたりがうまく、ほかの機関と協議会を運営していく中で役割を果たしていけると、何か大きないい面があるかなと思うのですね。
下関の事件でも、何度も何度も通報がありながらなかなか調査に入れなかったということがあって、そういう情報があったときに、この協議会のほうで当事者がいると、そのようにはならない可能性もこれから出てきますものね。全体的に見ても、小さなときに取り組んだほうが圧倒的にいいわけですよ。大きくなってしまうとダメージが大きくなってくるわけで、できるだけそのようなことも考えて織り込んでいける協議会になるといいなと考えながら、その前に、やはりこの協議会をつくってもらわなければいけないわけで、それをどのようにしていくかということも考えたいと思います。貴重な意見をありがとうございます。
私、竹田構成員に御意見を伺いたいなと思っていて、資料3の竹田構成員の「こういうふうにできるのだというようなことをマニュアルというか、モデルの示し方をしていただけると非常に自治体は活用がしやすいのではないかと思います」という発言もあって、事務局がこういうものが必要だなと思ったのだと思います。
我々から見ると、行政がつくった文章にしてはすごくこなれているなという感想を率直に私は持ったのですけれども、行政の立場で竹田構成員はどうですか。
○竹田構成員 熊本県で条例の担当をしている竹田です。
今回手引きを見させていただいて、大変わかりやすくなったというのが最初の感想です。県はもちろん、市町村についても地域協議会の設置と、ほかには対応要領というものがありますけれども、そういうものは基本的に28年4月1日に間に合うように設置していきましょうということでお話をしていますので、市町村に対してもできるだけ早くこれを示したいと思いました。
関連して質問なのですけれども、今回手引きになったという経緯は御説明いただいたのですが、そうしますと、もともとあった指針の見直しはもうないのかということと、手引きの中に事例集が載りますけれども、3月に最終報告会があるということで、事例に当たってはこの3月の最終報告で確定だと思うのですが、どういう関係になるのかがよくわからなかったものですから。
○野澤会長 では、事務局のほうで、前の指針はどうなるのかとか、指針との関係について整理していただけますか。
○事務局 暫定指針そのものを見ますと、たしか、施行時にまたということが書いてあったと思うのですね。
参考資料2ですけれども、3ページですね。「はじめに」というところを見ると、「1 地域協議会を組織する趣旨」のすぐ上になお書きが書いてあって、この暫定指針上は、確かに実施計画を踏まえてこういうものを改めて示すことになるとなっておりますので、これについても何らかのメンテナンスが必要になろうかと思います。
あと、今年度、モデル事業とかをやっておるというのもあるのですけれども、いずれにしても、まず何かを示すことが必要だということがありましたので、それでわかりやすい形にしておるというのがあります。
それで、モデル事業の事例についても随時更新していくというか、追加されていくようなイメージでもありますし、1回つくったからこれでかっちりということではなくて、まず第1次手引きみたいな感じになるのかなと。ですので、だんだん事例が集まってくると、内容的にも少し膨らませていくこともできると思いますし、そういった意味では進化していくというか、そういった性質を持った手引きとお考えいただければいいのかなと思っております。
○野澤会長 竹田構成員、よろしいですか。
○竹田構成員 はい。
○野澤会長 ほかにはいかがでしょうか。
中身について、私、質問というか、皆さんに感想を聞きたいなと思っているのですけれども、1のところで「なぜ必要なのですか?」とありますね。何といってもここがポイントかなと思って、とにかく自治体に地域協議会をつくってもらわなければいけないわけで、ぜひつくってほしいと。これをつくるとこのようにいい面がありますよというので、ここがつかみの部分で、ここが目的だと思うのですけれども、非常に率直につくったほうがいいメリットが1から4まで書かれていて、(2)権利擁護に関する意識のPR、権利擁護に関する意識が高い自治体なのだということがPRできますと、これは非常に率直に本音で書かれているのですけれども、自治体のPRのためにつくるのかみたいな受けとめ方をされるかな、そういう心配はないかなと思って、建前かもしれないけれども、それがひいては住民の権利擁護の意識の向上にもつながりますとか、それがあったほうが落ち着いてというか、誤解されないような気もするなと思ったのですが、それはないほうが率直でいいですか。
あくまでも自治体職員向けの手引きですね。だから、一般の人が見ないという想定で、自治体職員に、このようないいことがありますよという打ち込みで言うと、本当に本音のところだけ載せればいいなと思うのですけれども、どうでしょう。そのように思ったのは私だけですか。ほかの構成員の感想を聞きたいところです。
竹田構成員。
○竹田構成員 竹田です。
私も読ませていただいて、最初はちょっと、ずばり書いてあるといいますか少し違和感を覚えたところもあったのですけれども、あくまでも設置をしていただくという各団体に向けての意見だろうな、書き方だろうなと思って読みました。
ただ、確かにおっしゃったように、逆に順番を変えて、PRは最後でもいいのかなと。事務負担軽減というのがもっと前でもいいのかなとか、そういうことは少し感じました。
○野澤会長 もう一つ言うと、事務負担ですね。これを率直に読むと私もそう思ったのですけれども、本当に大変な思いをしている自治体の職員は、またつくらなければいけないのと思っている人たちのほうが多いかもしれないですね。そうすると、事務負担の軽減ではないだろうと、やはり負担になってしまうのではないの、何を言っているのだと受けとめられやしないか、それも若干心配かもしれないなと思ったりしたのですが、どうですか。そういう心配はないですか。
○竹田構成員 熊本県では平成24年から条例を制定して運用をしていますけれども、やはり最初はどれぐらいどのような相談が来るかもわかりませんし、実際に相談が来たときにどう対応をしていっていいのか、特に行政機関で言えばどれぐらい稟議をしながら進めていこうかとか、進め方についてもいろいろ手探り状態でやっていく部分がでてくると思いますけれども、やはりこういった地域協議会というものですとか事例の蓄積があれば、その後の対応は間違いなくスムーズになっていくだろうと感じます。
○野澤会長 そういう竹田構成員からの参考意見つきだと、ふっと落ちてくるかもしれないですね。これは我々が見るのと、行政職でずっとやってきた人が見るのとでは、随分印象が違うのかなという感じもして、むしろ行政職でずっとやってきた人が見るとどのように感じるのかなというのは、ちょっと気になったりするのですね。
金構成員は民間から来て、行政職になってまだ間もないのですけれども、どうですか。
○金構成員 明石市の金です。
確かに私は、竹田構成員に比べれば新米の行政職員です。私も(4)の事務負担の軽減につながるというのは、今のところはぴんときていないですね。長くやっていると、確かに竹田構成員がおっしゃったように、事例の蓄積ができれば判断もしやすくなりますから、効率よく対応ができるというのは確かにあるのだろうと思いますけれども、明石市の取組の中では、今度条例をつくりますけれども、あくまでも第1次条例として考えています。
各則を盛り込むような余裕もなかなかなくて、できる条例をつくって、来年の4月から施行をして、3年ぐらいの運用の中で見直すところを見直して、完成型の条例ができるようにしようということでやっているもので、次から次にまたいろいろなことをやらなければいけないだろうなという気持ちがあるものですから、この地域協議会をつくって一定の時間が過ぎれば、ちょっと事務負担が軽くなるという感じは、今のところは正直ないのですね。
それと、気になるのが(3)のところとの関係なのですが、「権限を有する適切な機関につなぐことで、訴訟に至る前段階での解決の促進が図られるようになります」というところがあるのですが、ここが非常に肝だと思うのですね。やはり地域協議会というのは、障害のある人もない人も相互理解をしながら、お互いが尊重し合って生活ができる地域づくりをしていくということですので、例えば地域協議会で相談事例に関しての差別解消のための協議を行って、一定の意見なり、場合によっては提言をまとめて、関係機関または関係団体または当該の事業者とかにもそういった意見を伝えて、改善をするために参考にしてもらうような取組を行うことで、そこがある程度効果を上げていかないと本来の目的になかなか近づいていかないのかなということがあります。そこまで考えて取り組んでいこうとすると、単に一定の事例の蓄積があれば事務の軽減につながって負担感も軽くなることになるか疑問もあります。
どこまでのことに踏み込んでやっていくかということにもよるのだろうと思いますけれども、そこは差別解消法が目指しているものと関係で、どこまでの活動の範囲をちゃんと考えて位置づけてやっていくのかということとのかかわりの中で、整理ができるのかなという感じが何となくしているところですね。
○野澤会長 例えば(3)のところで言うと、これがないと最後は訴えるしかないよということになってしまう。そうでない、もっとちゃんと話し合って、お互いを理解して、本当の本質的な解決をしていくためには、この平場で理解し合うことが大事だよということを言いたいのですね。
○金構成員 そうです。
○野澤会長 例えばどのような書きぶりだといいですか。
○金構成員 (3)ですか。
私なりのイメージからすると、「訴訟に至る前段階」の前の書きぶりのところで、「権限を有する適切な機関につなぐこと」は当然必要なことなのですが、その後に、相談事例の関係者、主に当事者の人たちが本当に改善していこうという気持ちになってもらえるような関係機関からの意見をどのように伝えていくか、どのように意見交換をしていくか、そういうことに踏み出して考えていこうとすれば、例えば適切な機関につなぐことで、関係機関または関係当事者間でより差別解消に向けた認識の共有が図れて、改善が図れていきますという趣旨の文章が入ったほうがいいかなと。整理がすっきりいきませんけれども、イメージとしてはそのような感じがしますね。
○野澤会長 何となくイメージはわかりました。そうなのですね。(3)は本当にそのとおりで、これはこれで必要だと思うのですけれども、権限を有する機関につなげばそこが何とかしてくれるみたいなイメージを持たれてしまうと、ちょっと違うなと思って、そうではなくて、住民同士の理解をもっとして、関係機関よりも前のところで理解し合えれば、予防につながっているわけですね。あるいは成熟した社会においては、むしろそういう住民自治を分厚くしていく、進化させていくみたいなことにもつながっていって、それがひいては行政の事務負担の軽減につながっていく。それが一番肝かもしれないですね。だから、そこは何かもう一つ、5項目めぐらいにあるといいのかなという感じがしたのですけれども、そのほうが、理念が格調高くないですか。ただ単に行政がちょっと楽になりますみたいな、そうでないところにちゃんと押さえているのだみたいなものが出てくるなと、今、思ったのですが、どうでしょうか。
○事務局 確かにそういうことを通じて、まず認識の共有がされていくということはすごく大事だと思います。「つなぐことで」から「訴訟に至る」の間のところですね。(3)で言うのであれば、少し論理の飛躍みたいなものがあるのかなと。その間は、何で訴訟に至るところが防止になるのかといえば、そこは差別の解消に向けた認識の共有というのがだんだんされていくからだろうと思いますので、そういうあたりは、今、いただいた御意見とかも踏まえながら、(3)に書き加えるのか、あるいはそういう認識の共有といいますか、地域をよくしていくためでも非常に重要な視点だということで、括弧幾つになるかわかりませんけれども、5つ目の柱として立てるかとか、そういったことを含めて考えたいと思います。
○野澤会長 それと(4)で、私、思ったのですけれども、これはどうですか。確かに事務負担が増えるのではないかという心配のほうが多いのは事実ですね。なので、この協議会をつくることによって事務負担がふえるという心配も聞かれますがとか、そういう声もありますがと前で指摘しておいて、蓄積をされていくと、むしろ長い目で見たときにはスムーズな解決になって負担が減っていきますとか、実際に先行している自治体の中にはそういう結果が出ていますとかね。それをやると事務負担が増えるという心配があるのはわかっているよということをあえて指摘したほうが、誤解なく伝えられるかな、無用な反発を受けなくて済むかな、ちょっとそのようなことを思ったのです。
○事務局 確かにそこはおっしゃるとおりでございまして、こちらもメリットとして書いてはいるけれども、そういう御心配があるのは当然でございますので、本当に忙しい中、またかよということが確かにあるのは、こちらとしてもそこについてきちんと理解しているよということは盛り込みました上で、長い目で見ればということで、短期的にはなかなかならないかもしれないけれども、少し時間はかかるかもしれないけれども、そういう事例が蓄積されたり、先ほども出ましたけれども、認識がだんだん共有されていくことによって、そういった意味で言うと事務の軽減にもつながってくるでしょうという流れの書き方にすることを念頭に考えたいと思います。
○野澤会長 ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
渋沢構成員、お願いします。
○渋沢構成員 渋沢です。
7ページに事務局の役割が書いてあって、地方公共団体が庶務を処理すると書かれていますが、これを委託することはありなのですか。質問です。
○野澤会長 委託というのは、具体的にどういうものでしたか。
○渋沢構成員 民間の社会福祉法人とか、例えば基幹センターをやっているところに、あわせて事務局機能を委託することはありなのか。
○事務局 条文上は、第18条で協議会の庶務は協議会を構成する地方公共団体において処理すると書かれており、地方公共団体においてやってくださいという趣旨だと思います。ここについては「処理する」までになっておりまして、実際のやり方というところについて何らかの枠といいますか、そこまでは縛っているものではないと考えております。やはり地域の実情に応じて、実際に組織をして回すときのやり方というのがあるのではないかと思います。最終的な責任といいますか、そういったところはしっかり担保していただいた上で、状況に応じての運営の仕方というのは検討されてよろしいのかと思います。
○野澤会長 自治体によっては、障害福祉課といっても担当者は結構変わっていくし、社会福祉協議会だとか、基幹型相談支援センターだとか、ずっと同じ人がいるところがずっと回していったほうが安心かなと考える自治体は結構あるかもしれないですね。
虐待防止センターの相談を受けるところも、自前で持っているところと、いろいろなところに委託しているところがありますね。ただ、それでも最終的には自治体が責任を持たなければいけない。何かあったときには自治体にも相談を受けられるようにしておいてくださいねみたいになっているので、その辺が参考になるかもしれないなと、今、ちょっと思いました。
うまく回してくれればいいやという気がするのです。その気になってつくっていただければ、それがいいのかなと思うのですが、どうでしょうか。この手引きでその辺まで触れますか。それとも、相談があったときにそういうお答えをするぐらいにとどめておいたほうがいいのでしょうか。これはどうでしょうか。
○事務局 今の段階でそこまで書き込めるかどうかというのは、少し検討しないといけないと思いますけれども、まずこの手引きを見て、そんなに敷居が高いという感じでもないなと。だから、ちょっとつくることを検討してみようかという自治体が出てきたときに、どんどん検討をしていくとそういった問題も出てくるかもしれないとなったときに、そういったことも書いていただいたほうが、手引きとしての使い勝手がよくなるのではないかということにもなってくるかもしれません。
先ほど申し上げたように、これは1回つくってそれで終わりというわけではなく、また第2版、第3版としていく、そういう性質のものにしておいたほうがいいだろうなと思っておりますので、今、いただいた意見もありますので、そういった御指摘も踏まえまして、今、盛り込んだほうがいいのかということについても検討はしますけれども、結果的にそういうところまで今は盛り込まなくてもいいかなということになったとしても、今後そういったことでどんどん進化させていきたいと思っておりますので、そういうことで御理解いただければと思います。
○野澤会長 ありがとうございます。
ほか、どうでしょうか。
南雲構成員、お願いします。
○南雲構成員 前に戻るのですけれども、手引きの1ページですね。1の(1)から(4)があります。これは全体的に言えると思うのですけれども、協議会自体が、事例の中でも岩手県なり、さいたま市もありますけれども、報告された事例自体がそもそも上がってきていないということで、これが上がってこなければ協議もないのではないかというところがあって、(1)にありますけれども、「共有・蓄積した相談事例等を踏まえて」なり、(4)の「相談事例の共有・蓄積」という言葉があるので、共有の前にいかに蓄積していくかというのが非常に重要で、1の中には、上から6行目ですか、「障害者にとって身近な地域において、主体的な取組がなされることが重要です」とありますけれども、これは行政側だけではなく、むしろ障害者が主体的に動けるというメリットがあるのだよということを、当事者、障害者の人に意識してもらう必要があるので、協議会には積極的に当事者を入れていく必要があるとは思うのですけれども、その手引きも必要なのかなと思うのですね。配慮の手引きですね。最初に誰を選ぶかというのは、当然守秘義務もありますし、慎重に選ばなければいけないと思うのですけれども、ここに入れて、こういうことをメンバーにやってきましたということ自体が合理的配慮の事例になってくると思うので、あえて外側に啓発をしていくのではなくて、内側でこういうことをやってきましたよのほうが伝わりやすいのではないか。優しい行政づくりということで、それ自体が行政側の表へのPRになるのではないか。そういうことも踏まえて、今後検討していくべきなのではないかと思います。
以上です。
○野澤会長 質問というよりも御意見ですね。
○南雲構成員 はい。
○野澤会長 最初は手引きの手引きみたいな感じで、またさらにいろいろな意見が出てきたときにバージョンアップさせていけるといいなと思うのですね。
私は思ったのですけれども、ちゃんと読んでくれれば、私は相当な弾になるのではないかと思ったのです。やはりすごくわかりやすいし、率直に本音で書かれている。だから、その分、読んでいて迫力がありますね。本当につくってくれと迫ってくるようなものを私は感じるのですね。ただ、読んでくれればということなのです。読んでもらうためにどうしたらいいのかという手だてですね。例えばこれをつくって、県に投げて、それぞれの自治体に渡してくださいと言って、果たして読んでくれるかなとちょっと心配だったりするのですけれども、その辺の仕掛けというか、何か考えていらっしゃいませんか。
○事務局 とりあえず、今、国のほうでは職員向けの対応要領と事業者向けの対応指針をつくっていて、最後の詰めをしているということを申し上げましたが、それが10月中をめどに大体作業が固まってくるということになりますので、来月上旬に、具体的には9日でございますけれども、都道府県と政令指定都市の担当者の方をお呼びさせていただいて会議を開こうと思っております。
その中で、手引きについても入れた上で、内容的にこういうものをわかりやすくつくりましたよということを御説明させていただいた上で、管下の市町村にも情報提供をしていただきたいといったことは働きかけていきたいと思っております。
○野澤会長 ありがとうございます。
竹田構成員、どうですか。例えば熊本県内の市町村の担当者に、ぜひこれを読んでほしいのですね。その気になっていただきたいなと思うのですけれども、例えば県の立場でこれが回ってきたときに、どのようにこれを活用して周知させていきますか。
○竹田構成員 差別解消法に関する対応要領についても、この協議会についても、県が実施する市町村に対する説明会では、そのたびに途中途中の情報提供も含めて説明をしていますので、今日の手引きは恐らく内閣府のホームページに資料としてすぐアップされるのだと思いますけれども、情報提供としては、その段階ででも各市町村の担当者に流して、心づもりをしておいてくださいというように進めようと考えているところです。
当然、手引きが出れば、また県のほうからも、協議会の設置について積極的に取り組んでくださいということで、文書をつけて通知を出すという対応をしようと考えています。
○野澤会長 お願いします。
もう一つ、私、これは民間の人も読んでほしいなと思って、民間の人が読むと結構その気になって、それぞれの自治体に働きかけてくれるのではないかなという気がしたのですが、民間はどうすれば読めますか。あるいは読んでもらわないほうがいいですか。どうでしょう。
○事務局 もちろん内容的には自治体向けということになるのですけれども、書いてある内容の趣旨というか、理念というか、そういったことについては、もちろん地域で事業活動をしていらっしゃる方々にも伝わるようになったらいいなと思っております。
ただ、どのようにうまく働きかけていくのかなというのが、今、ここでうまい知恵が私の中にあるわけではないのですが、むしろそういうことであればこういうやり方があるのではないかというお知恵があるのでしたら、お聞きできればと思っております。
○野澤会長 厳密に言うと、民間向けだともうちょっと文言が違うほうがいいのかもしれませんね。このように自治体がPRできますよと書かれると、民間は何を言っているのだと、誰のための法律だと思ってしまうかもしないので、これは微妙なところですね。その辺はちょっと考えましょう。
ほかにはいかがでしょうか。時間が少し迫ってきているので、あと1つ、2つ、御意見はどうですか。
では、竹田構成員、お願いします。
○竹田構成員 条例を運用している県としてですけれども、相談件数の話が先ほどありました。熊本県も相談件数は年々増えてきていますけれども、実際に条例で想定している不利益取り扱いや合理的配慮の相談だけをピックアップすれば、年間30件前後というのが中心になっています。これを市町村ごとに見たときに、1市で毎年毎年それだけ相談事例があるかというと、そうではありません。ですから、市町村が単体で立ち上げたときに、組織はつくったけれども議論をすることがないということで形骸化してしまうのが一番怖いなと思います。
そういった点も含めて、広域的に設置というところが今回事例として挙げられていますけれども、内容的には少ない負担でできますということが書いてありますが、そういう面だけでなく、より効果的にといいますか、効率的にという点からも広域的設置があり得ると考えていただけたらと思いました。
○野澤会長 広域の湘南西部の取組がどのようになっていくのか、すごく期待と興味を感じますね。あれがうまく回っていくと、いろいろなところでハードルが低くなるかなと思ったりするのですね。
それと、今の竹田構成員のお話を聞いて、私、思ったのですけれども、相談が来なければやることがない開店休業状態だと、忙しい上にわざわざこれをつくって何もやることがないのかよと思われてしまうとあれなので、ここにもちょっと盛り込まれていますけれども、相談がないときでもいろいろな活動はすべきなのですね。したほうがいいわけですね。いろいろな事例を集めたり、合理的な配慮の事例を集めたり、普及をしたり、啓発をしたり、そのあたりも少し強調して書いていただいたほうがいいかなという気は若干したのです。
○事務局 そうですね。事例がない場合であっても、この地域協議会というのが、ある意味その地域における差別解消の推進という意味では一番の推進力を持った組織だと位置づけられると思いますので、そういった意味で言うと、例えば自分のところだけでなくて、近隣地域のそういう事例もありますでしょうから、そういうものを参考にして、ストックしていって情報発信をしていくとか、そういったところも非常に大事なのだよということは、うまく盛り込めるのであれば意識してみたいと思っております。
○野澤会長 ありがとうございます。
そろそろ時間がやってきました。よろしいでしょうか。
佐々木構成員、今回からの参加で、それまでの経緯がないところでなかなか議論に乗っかりにくかったかもしれませんけれども、ぜひまた何でも結構ですので、当事者の目線でいい意見を出していただければありがたいなと思いますし、わからないところは遠慮なく手を挙げて質問をしていただければと思います。よろしくお願いします。
これでいいですか。
金構成員、お願いします。
○金構成員 金です。
事務局が言われたことに関連するかなと思うのですけれども、要するに、先ほど野澤会長がおっしゃられたように、地域協議会が開店休業になってしまうと本当に困ったことになってしまいますので、3ページの「2 地域協議会は何をするのですか?」というところをもう少しわかりやすいように、例示みたいな形で、例えば2ポツ目の「障害者差別に関する相談体制の整備」は、これはこれで共通の認識にあるかと思うのですが、その次の「障害者差別の解消に資する取組の共有・分析」のあたりで、先ほどの合理的配慮に関するいい事例だとか。
明石市の場合は、かなり条例の特徴という形で押し出そうという話を今しているところなのですが、まず事業者に合理的配慮の義務づけということで、条例上は出そうかなと考えておるのですけれども、事業者にもいろいろな規模の事業者がいますから、特に中小零細で毎日やりくりで大変な事業者に、障害のある人の合理的配慮もしなければいけませんよ、条例はこうなっていますよと一方的に言うだけでは、かえって逆効果になるおそれもあるだろうと考えています。まず市の責務にきちんと書いて、積極的に合理的配慮を事業者がするときの支援を市の取組としてもやっていこうということで、具体的には公的な助成制度で、予算規模は当初は少ないと思うのですけれども、やれるところからやっていったらいいのではないかという話を進めているところなのですね。
そういった意味で公的な助成制度を仮につくったとして、それを運用していくためには、一定の点検だとか調査、例えばお店の出入りがどうかとか、いろいろと必要な点検活動もしていかなければいけないことが出てくると思うのですね。
既にいい事例を持たれている事業者もおられると思いますので、そういった意味でどのような活動が必要なのか。例えば合理的配慮に関する調査活動だとか、参考になる情報の発信とか、そのような具体的な事例があると、こういうこともやっていく必要があるのだなということで、少なくとも開店休業にはならないような理解の仕方が、ちゃんと伝わるようにしていく必要があるのではないかなという感じがしました。
以上です。
○野澤会長 今、各省庁が出しているガイドラインを見ても、いろいろな例示がいっぱいありますね。ここにも、例えば明石市ではこのようなことをやっていますというコラムみたいなものが出てくると、もっとわかりやすくて、まねもしやすいなと思うのですね。
今、思ったのですけれども、来年の4月スタートで結構時間がないですね。当然やっていくのですけれども、実際にスタートし始めてからのほうが、いいモデルというか、事例が出てくるはずなのですね。なので、4月にスタートしたら御苦労さまでしたというのではなくて、それ以降もこの地域協議会をどんどんつくってもらえるようなこちら側の体制というか、時間的なスケジュール感みたいなものを考えて、またこの手引きもどんどんいいものにバージョンアップしていくというイメージでいきたいなと思っているのですが、いかがでしょうか。
○事務局 まさにおっしゃるとおりだと思います。今は、まだ4月の施行に向けて施行準備としておりますけれども、いざ4月1日になって施行だとなったときに、その段階で100点かというとそのようなことは絶対にないわけでありまして、むしろそこがスタートラインと言ってもいいかもしれない。準備はそれなりにしてきたということになるかもしれませんけれども、だんだん関係の皆様の機運が高まってくるということが非常に大事なわけでして、そういった意味で、今、例えば合理的配慮一つをとっても、まだ比較的新しい概念だということはあると思いますが、それがだんだん人口に膾炙してくるというか、そういったようになっていけばいいなと思っておりまして、この地域協議会のこともそうでございますし、例えば合理的配慮についてどのような事例があるのかということについてのデータベースみたいなものも、内閣府のほうで、今、つくっておりまして、もうすぐ立ち上げをするということにもなっております。
最初のうちは、事例としては少ないというところもあって、いろいろ注文がついたり、そういうものをつくれということがあって、その期待に応えるほどのものにはなっていないかもしれませんけれども、小さいながらもそういうものを立ち上げてみようという取組もしようとしております。そういう小さいながらも一歩を踏み出すことが非常に大事なのではないかと思っておりまして、一歩踏み出したら今度は二歩目を踏み出していこうという感じで、一歩踏み出したらそこで終わりということは決してなく、していきたいと思っております。
ですので、この手引きにつきましても、だんだん事例が集まってくるに従ってバージョンアップしていったほうがいいだろうなということは必ず出てくると思いますので、そういった形で努めさせていただきたいと思います。
○野澤会長 ありがとうございます。
時間が来ましたので、今日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
それでは、次回以降の日程について御連絡をお願いします。
○事務局 次回につきましては、既に構成員の皆様に御案内しておりますが、今月、10月29日木曜日に開催したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○野澤会長 では、本日予定している議題は以上です。
これをもちまして、第5回の「障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会」を終了いたします。どうもありがとうございました。