障害者差別解消支援地域協議会の設置等の推進に向けた検討会(第2回)議事録

(PDF形式:92KB)PDFを別ウィンドウで開きます

○野澤座長 これより、第2回「障害者差別解消支援地域協議会の設置等の推進に向けた検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日は前回に引き続いて、地方公共団体の方にお越しいただいております。地域協議会に関するさまざまな取組等についてお伺いしたいと思っております。地域協議会の現場における工夫や課題等は、他の地方公共団体にとっても大いに参考になるもので、この検討会での御議論を経て、事例集を含めた「手引き」の改訂につなげていきたいと思いますので、本日もよろしくお願いいたします。
 本日の会議は12時までを予定しております。まず、構成員の出欠及び配付資料について事務局から御説明願います。

○杉田企画官 本日は堀江構成員、又村構成員のお二人が御欠席となっております。また、関哉構成員と山口県の金子主査が遅れて到着される予定となっております。
 配付資料の確認ですが、資料1として地域協議会の設置状況等についての資料でございます。それから資料2~5は、今日ヒアリングさせていただく自治体の提出資料となっております。資料2が八王子市、資料3が明石市、資料4が総社市、資料5が山口県の提出資料となっております。
 別途、明石市からは条例のパンフレットも配付させていただいております。
 それから、席上配付資料として、横長の資料も別途置かせていただいておりますので、御確認をお願いいたします。
 以上です。

○野澤座長 次に、本日の議題に先立って、前回の検討会で説明のあった地方公共団体における地域協議会の設置状況等について、事務局から補足説明があります。

○杉田企画官 資料1、地域協議会の設置状況等についての資料を御覧いただきたいと思います。
 前回の会議におきまして、渋沢構成員から市町村の規模によって協議会設置のモチベーションが違っている、規模による集計ができないかというような問題提起をいただいたところでありました。そういった意味で、前回資料を若干、バージョンアップさせていただいたものが資料1であります。前回資料では、市町村の集計について政令市の他に中核市とその他市町村の3つに分けて集計しておりましたが、その他市町村をさらに一般市と町村とに分けて集計してみたのが、この1ページ目でございます。1ページ目の下のほうのグラフを見ていただきますと、ここに5つの帯がありますが、下のほうほど自治体の規模が小さくなるということであります。
 それから、ア~エの部分が設置済みまたは設置予定としているところ。青から黄色の部分であります。下のほうほどその部分が少なくなり、オとカの設置しない、及び未定のところ、この赤と紫の部分でありますが、こちらが多くなる傾向にあります。一般市と町村との比較におきましても、その傾向は顕著になっているということが言えるかと思います。
 それから2ページ目。組織形態についてですが、これも下のグラフのほうを見ていただきますと、右側に一般市と町村を書いてあります。いずれも黄色の部分のウ、支援協議会を兼ねるとする部分がいずれも同程度の、6割を超える程度となっております。一般市と町村との間でその傾向に差はないというところが分析できるかと思っております。
 それから別途配付しております、席上配付資料と右肩に書いてある資料を御覧いただきたいと思います。これはとある自治体の市町村職員向けの研修会の参加者が日ごろ工夫していること、それから障害者の対応に関連して困っていることをまとめたものであります。相談対応や、常日ごろから障害者に接する機会を有する市町村職員の率直な思いと苦悩について、概要をざっと紹介いたします。
 まず、工夫をしている点。資料の真ん中のところですけれども、1つ目は障害者とのコミュニケーションをとる上でのさまざまな配慮を行っている。例えば筆談ボードや点字、ルビ振り、電話以外のメール等の連絡手段の確保、手話通訳、要約筆記者の配置等であります。
 それから2つ目が、職員の資質向上策としまして、職員向けの研修会や勉強会、あるいは複数ありましたのが朝礼の際に手話を毎日1つ覚えようというような取組をやっている自治体もあったということであります。
 それから3つ目が、職員の心構えであります。相手の話をよく聞く。ゆっくり、丁寧に、わかりやすく、同じ目線で、といった対応を挙げているところがありました。それから4つ目ですが、一般向けの啓発の取組をやっているというところも挙げられておりました。
 次に、困っていること。これは資料の右側のほうですが、差別や合理的配慮の線引きが難しいという意見が多くありました。予算との兼ね合いでどこまでが合理的配慮でどこからが過剰なサービスとなるのかといった点。それから、不合理な訴えにどこまで対応すべきかという意見。時には同じ話の繰り返しや脅迫めいた言動にどう対応したらよいか。あるいは、単に笑われたというような相談に対しては傾聴することしかできないのではないかといった悩み。それから、制度そのものにバリアがあるのではないかという問いかけもありました。例えば国民健康保険の制度は一般に理解しがたい内容でありますので、他の福祉サービスと違って障害当事者からいろいろな相談や提案の持ちかけといったことが余りない。これは制度自体にバリアがあるのではないかという意見もあったところであります。
 説明は以上です。お時間のあるときに一度お目通しいただきたいと思います。

○野澤座長 以上の説明について、御質問等がありましたら挙手をもってお願いします。

○渋沢構成員 前回申し上げたことについて、早速対応いただいてありがとうございました。
 御説明いただいたように、規模が小さいところほどなかなか設置が進んでいない。先につくった手引きはなかなかボリューミーで、小さいところの市町村で対応できるかどうかということを改訂していく必要があるのだなということがよくわかりました。ありがとうございました。

○野澤座長 では河﨑構成員、お願いします。

○河﨑構成員 今の御説明の部分とは少し違うのですが、前回見落としたのかもしれませんが、今日のこの資料1の4ページ目の地域協議会の構成員の属性のところです。これを見ますと、当事者の方が今回、設置済みの34都道府県では100%入っておられるということですよね。6ページの、地域協議会の構成員に占める障害者の割合というところを見ますと、その34の都道府県のうち、6都道府県が0%ということになっているのです。これは当事者という位置づけと、障害者という位置づけが違うのかというのですが。

○杉田企画官 これは定義の問題でして、4ページのほうの当事者というのは障害者の家族会も含めた当事者ということを指しております。6ページのほうはまさに構成員御本人が当事者であって、家族会や当事者団体等は含んでおりません。

○河﨑構成員 ということは、4ページの当事者というのは、当事者団体を代表して入っておられる方なので、障害者、当事者ではいらっしゃらない方もいるということでよろしいのですね。

○杉田企画官 はい。

○河﨑構成員 わかりました。

○野澤座長 他には、いかがですか。
 佐々木構成員、何かありますか。よろしいですか。

○佐々木構成員 はい。

○野澤座長 先ほどの席上配付資料ですが、これはどういうあれでまとめたのか、ちょっと私、聞き落としのかもしれませんけれども、各市町村から上がってきた意見をまとめたということですか。

○杉田企画官 これは、実は内閣府の障害者施策担当のほうに、各県から研修会の講師の依頼などが来ることがあるのですが、障害者差別解消法に関する研修会が来週ありまして、そこの研修会に参加される市町村の職員の方々が事前に出してこられたものということです。

○柘植構成員 これはある程度と言っていいのか、意図的に、ここ1年、2年ぐらい集めていくような作業になるのですか。それとも、そうではなくて、たまたまなのか。

○杉田企画官 たまたまです。

○柘植構成員 これからどのように手を打っていくか、これはとても重要なことです。サービスを提供する側の思いとか悩みはとても大事なのだろうなと思いましたので。でも、今回はたままたというか。
 もしも機会があれば、やってくださいではなく、誘う程度でいいので、他のところも何かこういうものが出てきて、何か整理できると、実態の客観的な事実をつかんだ上での施策だということで、大事かなと思います。

○杉田企画官 はい、大事な御指摘だと思います。ありがとうございます。

○野澤座長 私も思ったのですが、この工夫していることというのは、結構、他の市町村を見ても非常に参考になるのではないかと思いますし、困っていることも割と共通しているのかなと思って。

○柘植構成員 はい、そうなのです。

○野澤座長 わざわざ挙げなくても、どこへ行っても割とこういうことを聞くわけです。ですから、こういう困っていることに対して、どんな答えというか解決方法があるのかというようなことを、少し、我々の側や、あるいは事務局のほうでも練って、そういう疑問に対して答えられるようにしておくといいなと思ったりするのですが、どうでしょうか。

○金構成員 明石市役所の金(きむ)です。この席上配付資料の場合、今のお話だと、自治体の職員研修で内閣府のほうからアドバイザーとして行くような。

○杉田企画官 講師です。

○金構成員 講師ですか。アドバイザーとはまた違うのですか。

○杉田企画官 はい、また別です。

○金構成員 そうですか。私も実は今月30日に野田市へのアドバイザー派遣に行くようなことがあるものですから、もしも可能であれば、そういうアドバイザー派遣で行く場合に、事前にこういう、当該の自治体からの資料をこういう意見が上がって、それを知っておくとアドバイザーとしても話がしやすいかなということがあるかなと思ったものですから、もしも可能であれば、そういうことをお願いできればありがたいと思います。

○杉田企画官 はい、ちょっと工夫したいと思います。ありがとうございます。

○野澤座長 非常にいい資料だなと思って、思わず見入ってしまいました。せっかくなので、ぜひ、活かす方法を考えていただければと思います。
 では、よろしいでしょうか。
 それでは、これから本題のヒアリング、本日の議題に入りたいと思います。
 本日は、東京都八王子市、兵庫県明石市、岡山県総社市、山口県の4つの地方公共団体から、地域協議会に関する取組についてヒアリングを行います。
 では、最初に八王子市の取組について、八王子市障害者福祉課の永松主査から御説明をお願いします。

○八王子市 八王子市障害者福祉課の永松と申します。よろしくお願いします。
 15分ぐらいの時間で御説明をということなので、説明させていただきます。至らない点もあるかと思いますが、御容赦いただければと思います。
 八王子市の場合は差別禁止条例というものを先に施行しておりましたので、多分、一般の市町村の方たちとは、そもそも最初のスタートの考え方がちょっと違ったりしますので、そこの条例制定の経過のあたりから少しお話をさせていただければと思っています。
 資料2を御覧ください。本市は平成27年に中核市になってから、平成28年3月の人口は約56万人ということで、その中の手帳所持者の方は2万4,000人ぐらい、約4%強の方が手帳をお持ちになっていらっしゃいます。
 1番のところに、その条例の制定の経過を書かせていただいています。障害者基本法の改正や権利条約といったものがある中で、平成24年4月に差別禁止条例をつくりました。正式名称は、「障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例」というものになります。平成19年に千葉県が条例をつくってから、全国で6例目ということで、一般の市町村では一番最初につくらせていただいた条例にはなるのですが、その条例がつくられた経過というのは、八王子の場合は市民の方々が条例をつくっていきましょうということで、勉強会などをされて、それをもって八王子市議会のほうに条例制定の請願を出されて、それが全会一致で採択されたのを受けて、では、八王子でも条例をつくりましょうという流れで動いてきました。他の市町村では市長の公約の中でうたってそれを実現するというところもあるのですが、八王子の場合は市民の運動の中からできてきた条例になります。
 平成22年12月議会で請願が全会一致で採択された後、八王子は平成23年、翌年の3月に自立支援協議会を設置し、その中に部会として条例検討部会という部会をつくって、そこの中で検討していくということになっています。ここのところが非常に大きなキーでして、自立支援協議会というものが、この権利擁護の推進について非常に大きく関わっているのが今の八王子市のスタイルであります。この条例検討部会の中で検討されたものを、いろいろなところ、関係所管と調整しまして、平成24年4月から条例を施行したという形になります。
 その後、平成28年4月に差別解消法が施行されるに当たって、今までの条例のつくりを見直ししたというのが2つ目の転換期ということになります。
 1の②のところですが、制定当初の条例の規定は基本理念、市の責務、市民等の責務ということで、よく、他の市町村、自治体でつくられている条例と同じようなところ。それから差別の禁止を明記したこと。それから、合理的な配慮については、市と市民、事業者について、全て、その当時は努力義務という形で規定していました。しかし、差別解消法の中では行政機関は義務になっていますので、そこのところはまず、見直さなければいけないというポイントが一つありました。
 もう一つは、差別事案の相談体制を整備して解消につなげる仕組みを設けました。これも、他のところと同じようにあるのですが、まず、相談は障害者福祉課のほうでお受けします。障害者福祉課だけでなく、市が委託している相談支援事業所、この5つのところにもお願いして相談を受けてもらう。そこの5つの相談支援事業所は差別だけでなく虐待の相談も受けるというようなスキームになっています。したがって、八王子市の中には6つの相談を受ける窓口があるという形になっています。
 その中で、市民の方がなかなかうまく差別事案が解消しないというような事案については市長へ申立てをすることができるという規定になっていまして、その申立てが市長にあった場合は、それが差別であるかどうか、そして助言やあっせんをするべきかどうかということを検討する、諮問・答申をする機関として調整委員会というものを設けています。これが2つ目のポイントなのですが、当時の調整委員会は7名の委員で構成しておりまして、弁護士、人権擁護委員、学識経験者、それから医療現場での差別が結構あるのではないかということで、医療関係機関の団体。それから、教育の場面でも結構差別事案はあるのではないかということで、教育関係機関。これは特別支援学校の校長先生に出ていただいています。それから、障害者支援の事業者、障害者団体を代表する障害者ということで、7名のメンバーで構成していました。
 平成28年に差別解消法ができるに当たって、八王子市は今までの条例を見直すということになるのですが、一つの改正の理由としては、法との整合性を図るということ。それからもう一つが、条例を施行してきた中で問題になってきたこと、いろいろ対応がしづらいと思ったことなどを整理しようというところが2つ目の問題であります。
 改正点としましては、一つは合理的な配慮の義務化ということで、先ほど申したとおり、当時、市、行政機関は合理的な配慮は努力義務だったのですが、法律に合わせて義務化したというのが一つです。それにあわせて、法律上は、指定管理者は事業者に当たるので、努力義務に当たってしまうということで、そこが一つの問題ではないかと八王子では捉えています。
 同じ市の施設を直営でやっているのと市の指定管理者がやっているのとで、合理的な配慮が義務なのか努力義務なのかというのは、これはちょっと違うのではないかというところで、指定管理者については義務化としました。それから、市の外郭団体。観光協会など、そういうところですが、6つの外郭団体がありますので、それについても市と同様の事業をしているということで義務化したところであります。
 一つ、議論の点に挙がったのは、委託事業者はどうするのかというところで、国の基本方針のほうにも、委託事業者にも合理的な配慮を求めるようにということが書かれているのですが、それを条例化するかどうかというところを非常に議論しまして、委託事業の内容によっては障害のある方と接する内容のものではないものについても一律に条例で義務化するのは好ましくないのではないかということで、条例では義務化していないのですが、障害のある方と接する可能性があるような委託事業の内容のものについては仕様書の中で協力をお願いしていくというような形で今、徹底しているところであります。
 それから2点目のところ、女性や児童への配慮というのは国の基本方針に書かれているものを明記したものになります。
 それから3つ目が、障害理解教育に関することということで、自立支援協議会をはじめ、我々が条例を制定して運用してきた中で、一つ課題となっていたのは、やはり障害理解というものが差別をなくすための一番の根幹であって、それを推進していくのが一番重要であると。そのためには、やはり子供のときからそういった教育をするべきであるというところで、その姿勢を打ち出した条例改正をしています。
 具体的には今年度、小学生向けのガイドブックをつくる。皆さんにはお配りできなかったのですけれども、今も一般向けのガイドブックを使って周知をしていまして、これの子供向けのガイドブックをつくって授業の中で活用するような方法を考えています。そのガイドブックをつくるだけではなく、学校の中の授業で取り組むための学習指導案なども一緒に先生とつくっていたり、あとは学校の授業で障害のある方と接する機会というものが非常に重要であるということで、まだこれからですが、授業に協力してくれるような事業者さん、例えば学校に行って触れ合ったり、逆に事業所に来てもらって生活を見てもらったりというようなことに協力してもらえる事業者のリストをつくって、ぜひ、学校に活用してもらおうというような動きを今しているところです。
 4番目の、保育の確保に関することについては、今までの条例の中では療育と教育については差別の解消に向けた取組が明記してあったのですが、保育というところが抜けていましたので、保育についても差別解消の取組をしていくというところを明記したところです。
 3ページ目を御覧ください。5番の、差別解消のための体制強化。ここのところが今回の議題の支援協議会のところになってきます。先ほどお話ししましたとおり、八王子市には調整委員会というものがありまして、もともと申立てがあったものについての対応を協議するような機関があったのですが、こうした機関を持っている他の自治体も含めてですけれども、申立事例が1件もない状況です。事前の相談で終わってしまったりということがありますので、そこまで紛糾するような事案がなかったというのもあるのですが、そのようなことで、活動はしているけれども休眠状態というような状況がまず一つあったということです。
 八王子市は、この法律の中で協議会がつくれますよとなったときに、それをつくるかどうかという議論をする以前に、もう、つくるのが前提で動いておりましたので、先ほどの資料にもあったように、自立支援協議会と一緒にくっつけるのか、新しい協議会をつくるのか、それともこの調整委員会を活かすのかという、この3つのパターンがありました。
 まず、最初に、新しい協議会をつくるのは、既にいろいろな協議会があったりして、他の委員にも、兼務、兼務でいろいろ出ていただくのもかなり大変だというところで、ちょっとその線はないだろうと。あとは自立支援協議会と調整委員会、どちらと一緒にやっていくかということが論点になっています。最終的な議論の整理としては、障害者の権利擁護に関する取組、要は、普及啓発活動など、そういったものについては自立支援協議会が今までもやっていたので、自立支援協議会とやっていこうと。一方、何か難しい困難ケースの解決といったことに寄与するようなものについては調整委員会に権限を付与しようということで、八王子としてはこの調整委員会の中に支援協議会の権能をつけ加えるということになります。
 八王子市において、今まで差別相談事例等の中で問題になっていたのが、例えばですけれども不動産関係の事例で、よくある、精神障害の方については貸しませんよとか、視覚障害の方には貸しませんというような事例がよくあります。そういった事例があったときに、当事者の方たちがどのように動くかというと、まず、住むところをお探しになっているので、他の不動産業者から借りるというのが、まず、ほとんどになるのです。そうすると、その当事者の方からすると、借りられたから、もういいですと。嫌な気持ちはしたけれども、他のところで借りられたからいいですというようなことで、差別の相談自体は取り下げますと。また、今後、トラブルなどいろいろなことに巻き込まれたくないので、引き続き調査とかそういったことはやめてくださいとおっしゃるケースが割とあります。
 そういうことになってしまうと、もともと差別的な取扱いをした事業者というのは、ずっと続けていってしまって、抜本的な解決策にはならない。八王子としても本人が取り下げた、もうこれ以上はいいですとおっしゃった事例について深く突っ込むこともなかなかできない。これが一つ、大きな問題点かなと思っていました。
 そこの問題点を解決するために、この所掌事項の拡大というところの3番目ですが、相談者が何らかの理由で相談を取り下げた場合、その事案への対応協議及び事実調査に関することというものを、この調整委員会の中に組み込みました。したがって、障害当事者の方が相談はいいですよといって取り下げたとしても、この事例は何とか解決しなければいけないと。その方法として、個別にそこのところにアタックしに行くのか、もしくは、例えばその上の不動産関連団体など、そういったところにお話しして、そこから下に広げていくのか。そういった手法なども含めて協議をする。もしくは事実調査というものも大事なことになってくるので、事実調査の権限も与えたというのが非常に大きなところになります。この事実調査の権限を与えたかったので、一つは市の附属機関である調整委員会、条例で制定している調整委員会の中に設置しなければならなかったというのも一つの大きな理由です。
 八王子の場合、自立支援協議会を要綱で設置しているので、協議はできるのですが、特定のところに踏み行った調査というのは、権限としてはやはり与えられない部分があります。ですから、市の附属機関に調査権限を与えることによって、自治法の中で調査というものは認められていますので、その調査もやらせるために、この調整委員会の中に組み込んだというのが契機でした。
 それから委員構成も、今までの7名から20名以内。現在は16名ですが、増やしました。ここに書いてあるように、民生委員、商工会議所、不動産関係団体。それから、相談を受けてくれる市の委託相談支援事業者の、5つのうちの3か所。それから社会福祉協議会、市の保健所、教育委員会。こういったところをメンバーに加えました。
 先ほど手引きのお話もありましたが、よく、そういうところで出てくる法曹関係の法務局や労基署にもお声がけはさせていただいたところ、労基署のほうは、趣旨には賛同するが人的余裕がないので委員は出せないというお話がありました。それから、法務局のほうは、先ほど申した調査権限を付与したところについて、法務局自体も自分たちで調査をするので、その権限があるところに委員を出すのはなかなか難しいというお話が本局のほうからあったので、辞退させていただきますということで、この2つは入っていないということになります。
 この委員の構成の幅を広げたことで、不動産関係の団体などとつながりが持てたというところで、実際に今年、この不動産関係団体の宅建取引業協会の八王子支部からメンバーに入っていただいたのですが、そこの機関誌の中で差別解消の記事を書かせていただいて、広げていくというようなことも達成できた一つの成果になります。
 実際、平成24年からこの調整委員会は続けているのですが、今年度の4月からこの新しい権限を付与して実際に開催したのが今まで2回あります。2回ですけれども、なかなかやはり障害者差別ということについて、よくわからない、ピンとこないというところがあるので、今のところは委員の方との間で共通認識を持つということ、情報共有というところに力を入れています。
 今まで八王子の平成24年からの蓄積として、後ろのほうに資料をつけさせていただいたのですが、差別事案なども紹介して、このときは、実はこういうことがあって、こういう対応をしたのですというようなお話をさせていただきながら、このときは本当はこうしたほうが良かったのではないかというような情報共有を今しているところです。
 4ページ目のところは、この条例に基づいた、いろいろな、八王子市が取り組んできたものになります。例えば職員研修。先ほども資料にいろいろありましたが、職員研修も年2回以上やっていて、今まで12回、重ねてきています。市の職員だけでなく、その中には指定管理者も含めて研修を行っています。また、教員向けの研修も行ったり、それから、周知の活動のイベントをして、第1回目には野澤座長に講師としてお越しいただいているところです。それから、ガイドブックをつくって配布したり、八王子近辺の大型商業施設や金融機関、不動産事業者といったところにも周知を兼ねた活動をしています。
 もう一つの問題点というのが事業者の末端という言い方は悪いのですが、各店舗に周知するにはどうしたらいいのか。関係団体に周知するのは非常にやりやすいのですが、そこから下におろしていくのをどうしたらいいだろうかというところで、なかなかそこの事業者への周知というものが八王子でも進んではいません。
 その中の取組として、まずは八王子の駅前の、例えば障害のある方がよく利用するような大きな店舗とか銀行等の金融機関、そういったところに周知に行きましょうと。ただ、周知に行くのも、差別をやってはいけませんよ、こうですよというように話しに行くと、必ず事業者というのはちょっと拒否反応を起こすので、切り口としては、皆さんがやっている障害のある方に対する配慮の事例を今、集めているのですけれども、そういうものを紹介したいので取材に行ってもいいですか、というような形で、障害当事者も一緒に行く。そこで行われている実際の好事例を集めながら、ここのところはもうちょっとこうしたほうがいいのではないでしょうかとか、他のところはこういうことをやっていますよということを紹介しながら、実は条例というものがあって、実は法律があってということで、合理的な配慮などの周知をしていくという活動を、今までしてきています。
 差別相談の受付件数もそんなには多くないのですが、平成24年から始まって年10件程度、10件以内のところで落ちついているという状況になります。
 簡単ではありますが、八王子市の状況を御説明させていただきました。

○野澤座長 ありがとうございます。
 質問と御意見を交換したいと思うのですが、いかがでしょうか。

○渋沢構成員 千葉県の茂原市のほうで福祉の相談の仕事をしています。全般としてはとてもすばらしいなと思い、参考になるところ、勉強させていただいたところもたくさんありました。
 不動産屋さんの、取り下げたこともさらに取り上げることとか、事業者の周知に配慮事例を、良いことを教えてくださいというようなこととか、そんなことはとても良いなと思いました。また、協議会をつくるときに、八王子市ぐらい大きい自治体でも、やはり兼務が大変で新しく設置することが大変なのだなということも参考になりました。
 お伺いしたいことは、何か重箱の隅をつつくようで申しわけないのですが、2ページの合理的配慮の義務化のところで、市の外郭団体などへの義務化の検討の中で、委託業者について障害を持った方と関わりが余りないところという言い方をされたと思うのですが、具体的にはどういうところですか。

○八王子市 例えば印刷製本とか。委託事業でもいろいろあって、障害のある方と接するという事例を挙げるので、いろいろ皆で考えたのですが、なかなかピンとこなくて、例えば公園の剪定作業というのは車椅子の方が道路を通るときに、剪定した枝が散らばっていると車椅子がなかなか通れない。そういったときにまとめましょうというのは仕様書の中に書けるので、それは対象事業となるのですが、印刷の委託とか、障害のある方が関わらない委託事業というと、ちょっと今、思いつかないのですが、たくさん委託事業がある中で、感覚として、挙げた例の中では8割ぐらいはそうかなという感じになっていたのです。ちょっと今、ぱっと思いつかないのですけれども。
 例えば、業者さんが障害のある方を雇用するとなると、差別化条例ではなくて雇用のほうだったりするわけです。窓口の委託とかということになると、当然、窓口にもいらっしゃるので、そこのところは障害のある方に配慮した、ということを仕様書の中に入れていくのですが、さまざまな委託事業の中では、関わりがないものもあるのかなと。すみません、ちょっと事例が。

○渋沢構成員 どちらかというと、外との関わりがないというイメージでしょうか。

○八王子市 そうですね、そういうものが多いですね。何か物をつくるとか、そういったイメージです。

○渋沢構成員 ありがとうございました。

○野澤座長 他に、いかがでしょうか。

○柘植構成員 今の渋沢構成員の話の最初のところで発言があったように、とてもすばらしい取組をされているのだなというのがわかりました。
 努力義務から義務にしたとか、外郭団体は市と同様のレベルでとかというところですけれども、実は3年前になるのでしょうか、政府の基本方針を障害者政策委員会で議論し始めたときに、私も発言したのですが、多くの方が発言をして、議事録を見れば載っていると思うのですが、何かというと、民間団体は努力義務なのだ、公的機関は義務なのだ、そういうつくりになって、その部分の議論なのですが、例えば就学前の子供。幼稚園か保育所かこども園。公立と私立が混ざっているのです。公立へ行ったら義務だけれども、そうでなかったら努力義務というのは変ではないかという議論があったのです。ですから、低いほうへ行くのではなくて、努力義務だけれども義務に近いようなという組立てが実際としては動いていくように、各自治体で頑張ってもらえるといいですねという議論があったのです。八王子市では、その辺はどうなのですか。やはり、かなり差はついてしまっているのですか。あるいは、差がつかないような仕掛け等をされているのでしょうか。

○八王子市 特段の仕掛けはしていないのですが、例えば今の保育園の話だとすると、子育ての関係の所管のほうでも、やはりちょっと議題にはなりました。保育園にもいろいろありますよねと。もっと言うと、幼稚園や学校などもいろいろあって、学校も公立の学校と民間の学校があって、そこのところをどうするのかという話はあったのですが、法律のつくり上は、やはり行政と民間というように分かれているというところからすると、基本的な考え方としては、そこでやはり切って、我々の権限が及ぶ公立の機関のところはしっかり義務化していこうと。しかし、その中でいろいろとつながりはあるだろうから、民間のところにも働きかけるようにしましょうねというような形。明文化されてはいないのですが、そういう働きかけというところは、ともにやっていきましょうねという感じになっています。

○柘植構成員 わかりました。先ほどの不動産の話で、貸してもらえなかったので、こっちへ行って、もういいやとなる。いや、そうではないだろうとおっしゃったので、公立ではないほうへの何か特別な仕掛けとか、工夫をされているのかなと思ってお聞きしました。ありがとうございました。

○野澤座長 他に、いかがでしょうか。

○佐々木構成員 今のお話をお聞きして、八王子市としていろいろやっている中で、最近、クリーニング店での虐待事例、給料をほとんど払っていなかったりということがありました。その虐待の事例であったり、雇用促進法等の範囲なのかもしれませんけれども、やはり八王子の方が来てくださったので、そういうことが起こったことをきっかけに、どのように考えておられるのでしょうか。

○八王子市 労基署は労基署で、労働関係のところをきっちり調査する。八王子市は障害のある方を支援する。という風に考えています。

○野澤座長 いいですか。

○佐々木構成員 いいです。

○野澤座長 今聞いて思ったのですが、調整委員会に、労基署と法務局から断られたということでした。我々がつくった、この地域協議会のあり方のマニュアルというか、あれによると、法務局と労働局が両輪だということで、多分、そういう反応をされたというのは、全国でも割とそういうことが多いのかなという懸念を一瞬持ちました。ただ、今、聞いてみると、入らないけれども、むしろ分かれているからこそ、こういうところでうまく役割分担というか連携ができるのかなという気もして、このあたりが全国的にどんな状況になっているのかを知りたいと思うのです。その上で、改めてこの地域協議会の役割というか構成員のあり方も含めて、もう一度我々のほうで見直してもいいのかもしれないなと、そんなことを思ったのですが、参事官、どうでしょうか。

○坂本参事官 手引きというのは目安と言えば目安だというところはあるので、実際に動かしてみてから、かえって中にいるよりも外にいてうまく連携をとっているほうが動きやすいという事例もあるかもしれないので、そこは工夫のしようだと思いますね。ただ、基本的にはどういうメンバーがいたほうがいいかなというところの共通認識のようなものはあったほうがいいと思うので、そういった意味で目安としての手引きというのは、これからも存在意義があるのだろうなという感じはします。

○野澤座長 これから全国のいろいろなあり方の調査や研究がされていくので、今の点も非常に重要なことですね。それが佐々木構成員の質問をきっかけにわかってきたので、何か考えていきたいと思いました。ありがとうございます。
 他に、よろしいですか。時間が若干押しているかなという気もしますので、次に進みたいと思います。
 大変貴重な発表をありがとうございました。
 では、次に、明石市の取組について。これは金構成員のほうからお願いします。

○金構成員 明石市の福祉総務課障害者施策担当をしております、金です。
 時間の関係もありますので、かいつまんだお話になるかとは思いますが、よろしくお願いします。
 まず、最初に、今日お配りしている白いパンフレットがあります。このパンフレットは、趣旨としては障害理解に関する啓発をできるだけわかりやすくしていこうということと、あとは、明石市では障害者配慮条例と言っているのですが、その配慮条例の概要的な説明をわかりやすくしていこうということでつくっています。特に障害理解に関する説明のところでは、各障害ごとにどんな不便があるか。その不便があった場合には、どんな配慮があれば助かるかというような趣旨で障害ごとに説明をさせていただいています。
 中学生から高校生ぐらいでも理解できるようにつくったというのが趣旨です。2万部つくっておりまして、それだけあれば結構な量ですから、私が講師で呼ばれたり、内閣府関係のフォーラムやこういう場でも、行くところにはこの冊子を持っていって参考にしていただこうということで考えております。
 それでは、本題のほうを資料3で説明させていただきたいと思います。まず、明石市では、ここでは障害者配慮条例ができるまでと、条例ができてから、その条例が施行してからの地域協議会の取組などを中心に報告をしたいと思います。
 まず、1ページ目の障害者配慮条例ができるまでということですが、簡単に明石市の状況を申し上げておきますと、ここにありますように、明石市全体の人口としては平成28年で大体29万3,200人、今は29万4,000人に近くなっております。市長がよくアピールするのは、関西圏で人口が少しずつでも増えているのは明石市だけだということです。それに伴う子供向けの施策などもいろいろ打ち出してやっているところもありまして、若年の共働き夫婦が結構、明石市に転居してきているケースが増えている状況です。
 明石市の手帳所持者で見ていきますと、身体、知的、精神ということで、合わせると1万6,580人ぐらいです。全体の人口から見ていきますと、約5.6%が手帳所持者に該当するということであります。
 平成30年度をめどに中核市への移行に向けて準備を進めているところです。2番目のところ、条例の検討会につきましては平成27年5月から11月まで4回の検討会を行ったのですが、条例の検討会を行うのに先立って、2番目にありますような差別事例の収集の取組なども行いました。ここにありますように、収集事例の件数は202件となっています。2ページですけれども、条例検討会の構成メンバーということで、このときは結構人数が多くて、公募市民も含めて26名の検討会で行いました。この検討会で、特に事務局から、先ほども議論になりました合理的配慮の扱いを、条例の案の中でどうしていくのかというところの話で、事務局の案としては、やはり事業者や市民に向けても合理的配慮の義務づけに近いような定め方をしていくことを提案させてもらったのですが、その時点では、結構、いろいろ疑問や反発もありまして、いきなり事業者や市民に対して合理的配慮の義務づけというのは、それはちょっと無理があり過ぎるのではないかというような意見も出されました。
 それについては、一つはこの資料の、条例のポンチ絵のところを見てもらいたいのですが、白抜きの文字で「何人も、障害を理由とする差別をしてはならない」という規定を置かせていただきました。この「何人も」という規定をそれを最大限に解釈上も活かしていきましょうということで、簡単に言いますと、事業者であっても市民であっても、障害のある人との関係で、できる配慮はちゃんとやってくださいと。できる配慮なのに、それをしなかった場合は差別になることもありますよというような趣旨で、検討会では説明をさせていただきました。
 もう一つは、そのように「何人も」という規定を置くことによって、相談や助言をしていく場合に、相手方が、努力義務だったら、どうしてもいい加減な対応になってしまう、いろいろ事情を相談員が聞いても、なし崩し的で曖昧な対応になってしまうようなところも心配としてはあるということで、こういう規定を置くことによって、相手方も相談員が聞きに来たときには、きちんと対応しなければいけませんよということが説明しやすくなるという趣旨もあります。条例では、障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会というものを、市長の附属機関として定めております。この地域づくり協議会では相談・助言で解決できない場合のあっせんをできるようにすることと、障害を理由とする差別を解消するための必要な協議を行っていくということであります。
 地域協議会の運営に関しては、参考2の資料、10ページから11ページのところに規則をつけておりますので参照していただけたらと思います。
 次からが大きなIIの地域協議会の構成員についてです。これは資料の12ページから13ページを見ていただきたいと思います。まずは12ページ。先ほどお話に出ましたが、法務局と労働局の関係で言いますと、明石市でも、この協議会の委員になっていただきたいということをお願いしました。ハローワーク(公共職業安定所)のほうは正式な構成員に入ってもらっているわけですが、やはり法務局は、非常に慎重な対応をされまして、本省のほうとも何度も直にやり取りをされて、返事をもらうまでに結構時間がかかりました。
 趣旨としては、先ほどの八王子市の場合とほぼ同じことなのですが、協議会の中で、例えば相談事例について協議をするとか、また、あっせんの申し立ても協議会で受けることになっていますので、そういったあっせんの申し立てなども含めて、その協議の場に法務局の担当者が構成員として入るということは、やはりできないという返事でした。では、オブザーバーという形で入っていただけませんかというお願いをしまして、最終的には相談事例について協議をするときには、その場合には欠席し、それ以外の協議についてはオブザーバーとして参加させてもらうという返事をいただいております。
 それから、13ページの表を見ていただきたいのですが、これは明石市の関係部署の役職者です。差別解消はあらゆる分野にまたがりますので、庁内の関係部署も一緒に課長級が同席してもらって、まず、情報の共有や、議論の内容を理解してもらって、相談事案の関係で何かあったときには一緒に協力してもらえるようにという趣旨で入っていただいております。
 次に、4ページを御覧ください。主な協議事項について、現状と課題ということで紹介をさせていただいています。まず、障害理解の研修・啓発等。2つ目は、相談事例の対応について。3つ目が、合理的配慮の提供の推進についてということで、3つの主な協議事項を設定しています。
 障害理解の研修・啓発では、職員対応要領に関する研修を4回に分けて行いました。参加者は192人です。ただ単に対応要領についての説明というのでは、なかなかピンとこないということもありましたので、実際にロールプレイを織り込みながら障害のある方が窓口に来たときに、良い例と悪い例というものをスタッフがやって評判が良かったということもありました。
 また、市民や事業者への周知・啓発の取組ということで、特に市民タウンミーティングの開催を市内4か所で行いました。各自治会の回覧板にも案内チラシなどを配布していただきましたので、これからの取組につなげていきたいと思っております。特に市民タウンミーティングで出てきた意見で、これからの施策につなげていければと思っているのが、難病の方がおられて、当事者の方が言うには、自分たちにとっては外見から見るとどこに障害があるかわかりづらいということで、電車に乗ったり街の中で体の状態が悪くなって手助けを求めたいときに、いちいち、自分の状態を言わなければいけない。それ自体が大変負担になってしまうというようなことでした。
 やはり見た目にはわかりにくい障害の方は難病の方以外にも当然たくさんおられますので、ヘルプカードというものをつくってはどうかということで検討しているところです。ヘルプカードというのは、首からカードをぶら下げて、見た目にすぐわかるようなマークをつけて、その裏側に、自分はこういう状態で、こういう場合に困ることがありますと。今困っているので、こういうことについて、ちょっと手助けをしてくださいということを、カードに、手書きでもそれを出会った人に見せて、配慮の仕方も理解してもらうというような取組ができればいいのではないかということで、この4月から実施できるように、今、検討しているところです。
 あとは事業者団体への周知がぜひ必要ですので、このパンフレットを使い、条例ができたことを説明しながら理解をしていただいているところであります。
 時間の関係もありますので、次はかいつまんだ話になりますが、相談事例の対応についてです。明石市では現状のところにありますように、既存の私がいる福祉総務課障害者施策担当、障害福祉課、発達支援センター、基幹相談支援センターに相談窓口になってもらっております。4月から12月末までの相談件数は大体22件になるのですが、障害のある人からの相談は6件ぐらいで、比較的、行政職員または事業者からの相談もあるかなと思っています。22件というのは少ないほうかなとは思いますけれども、先ほどの八王子市さんの話とも重なるのですが、今のところ相手方との調整を希望するような相談はありません。
 やはり相手方との身近な関係、職場での上司との関係、近所の保育園の園長さんとの関係であったり、いろいろな人間関係がすごく影響するというようなことがありまして、相手方に話すことは今はやめておいてほしいということで、そのまま時間がたっていくというケースがあります。こういう形で相談者自身が相手方との調整を希望しないという以上、やはりこちらが動くわけにもいかないというような現状があります。ただ、それだけでいいのだろうかということもありますので、やはりもう少し踏み込んだ、条例の中での相談対応の考え方を説明をしながら理解をしてもらうことも、もう少し必要があるのではないかと思っているところです。
 次に合理的配慮の提供支援について紹介をさせていただいております。

○野澤座長 少し時間が押していますので手短にお願いします。

○金構成員 はい。一応これを見ていただければ大体おわかりかと思いますが、合理的配慮の提供を支援する助成制度については、当初予算で350万円つきまして、こういう制度で事業者の方々に利用してもらっております。
 これまでの利用状況は、125件の申請があって、内訳は書いているとおりであります。こういう助成金制度を利用する店舗が増えているわけですが、障害のある人がそういったお店を利用するということが必要になりますので、利用してもらえることが増えていくように周知などの働きかけをどうするかということを今後検討していくことが課題かなと思っております。
 最後に条例の施行状況の検討と見直しについてですが、明石市の条例ではかなり駆け足でつくっておりますので、分野別の差別の解消というのはまだ条例の中で定めておりません。これから新年度、4月以降は年間で4回の協議会を予定しておりますけれども、分野ごとの公的機関や事業者の方々に来ていただいて、差別の解消についての意見を聞く取組などを考えているところです。
 駆け足になり、また、時間を超過してすみませんでした。以上です。

○野澤座長 どうもありがとうございます。
 こちらこそ、本当に短い時間ですみませんでした。
 せっかく来ていただいたので有意義な質疑にしたいと思います。構成員の皆さんから御質問、御意見等、お願いいたします。

○南雲構成員 この明石市が作成されたパンフレット、精神障害の紹介の部分、7ページですけれども、他のページでは知的障害や肢体不自由などは、一番下にある「知っていますか?」という説明とつながりがあるのですが、この精神障害のところだけ、唐突に発達障害の説明が出てきているので、不自然な印象があります。できれば分けてほしかったかなと。説明自体が精神障害とくっついていないので、可能であれば、別のページに発達障害を追加してほしいと思います。

○野澤座長 発達障害用のページを増やしたほうがいいという御意見ですか。

○南雲構成員 そうですね、他のページでは読み進めていくうちに、例えば「知的障害を知っていますか」というようにつながりがあるのに、ここだけ新しいものが出てきているので、よくわからなくなってしまう印象があります。

○金構成員 御指摘のところは、私たちも非常に悩みました。発達障害の内容が理解しづらいということもあり、いろいろ検討をしました。ともかく法律になっている障害で、担当部署もあることから、できる形で盛り込んでいこうということで、最終的に調整をしながらこういう形になってしまったということで不十分な扱い方になっていることは確かだと思います。

○南雲構成員 当事者からの不満があがってくることを懸念しています。一緒にされてしまうと、違った認識が広がってしまう可能性もあるからです。一応つながりはあるのでしょうけれども。当事者がこれを使って自分の障害説明をすると仮定した場合、やはり違うものとしてもう1ページ、単独であってもらったほうが、このパンフレットがさらに、当事者自身も使えるのかなと思うので、一応提案という形でお願いします。

○金構成員 次のものを印刷するときに対応できるようにしたいと思います。

○南雲構成員 改めて考えていただけるとありがたいです。以上です。

○野澤座長 南雲構成員としては譲れないところでしょうからね。

○南雲構成員 そうです。素晴らしいパンフレットなだけにもったいない気がします。

○野澤座長 地域協議会の委員も、たしか発達障害の方は少ないですよね。いなかったですかね。ですから、この機会にぜひアピールをということで。

○南雲構成員 そうですね。

○野澤座長 このパンフレット自体は非常にすばらしいものだと思いますけれどもね。
 では、河﨑構成員、お願いします。

○河﨑構成員 今、明石市の御説明を聞いておりまして、この合理的配慮の提供支援に関する公的助成制度、非常にすばらしいなと思いました。
 これは、予算としては明石市単独で組んでおられるということですけれども、今、こういう取組をされているのは、全国的には明石市のみなのでしょうか。

○金構成員 現状ではそうだと思います。ただ、議会や行政、役所からの視察などは今、増えていまして、その中でこの助成制度について聞かれることが増えています。現状、実施してどうだったのかということについての問い合わせが少しずつ増えてきているかなという感じはあります。

○河﨑構成員 昨年の12月末現在で125件の申請があったということですが、この中には、例えば医療関係の事業所からの申請もあったりするのでしょうか。

○金構成員 今のところそれは聞いていません。大体やはり飲食店などのお店や商品サービスに関わる店舗が中心になっています。ただ、筆談ボードとかそういったものというのは、どんな事業所でもあったほうがいいというのは当然ですので、そういう意味では、この助成制度の普及をいろいろな分野の業種にまたがって、もっと積極的にしていかなければいけないなと。当然その中で、医療関係の事業者さんにも伝えていくということはしていきたいと思っております。

○河﨑構成員 ぜひ、よろしく、推進していただけたらと思います。

○野澤座長 他に、いかがでしょうか。

○渋沢構成員 5ページ、6ページのあたりで、調整を希望しない事案ばかりだというお話がありました。千葉県で条例ができたときは、結構、最初からぐっと件数が上がってきたのは、条例がなかなか。産みの苦しみがあったりということもあって、そういう事前の段階があったから、初年度から相談件数が上がっていったのかなというようなことを、お話を伺いながら思ったのですが、一方で、法律ができて、うちの周りの市町村でも、なかなか相談というのは上がってきていないのですね。
 御本人が希望しないとか、出された意見の中で差別に関する相談という看板を掲げると難しい印象を持たれてしまうとか、そういうことはよくわかるので、今後その辺のところはどんなふうに取り組んでいかれるお考えですか。

○金構成員 その辺も含めて、今、模索しているような状況はあるかなと思います。先ほど紹介しましたように相談窓口は4つの機関でやっていて、月1回のペースで関係者と一緒にミーティングをやっています。22件ある相談事案をもう一回検証してみて、本人からの希望はないけれども、本当はもっとこういう説明をして、相手方との話し合いなり、事情ぐらいは相手方にも聞いていけるような、そういう取組というのは、やはりもう少し踏み込んでやっていく。そういう説明も本人に丁寧にするということをやりながら、相談者本人に了解を得られることもあるのではないかと。それでもやはり動いてほしくないということもあるでしょうけれども、やはり可能な説明は、もう少し踏み込んでやる必要があるのではないかということで、今、話をしているところです。

○渋沢構成員 ありがとうございます。

○野澤座長 では、どうもありがとうございました。
 次は、岡山県総社市福祉課の新谷課長から御説明をお願いします。

○総社市 岡山県総社市福祉課の新谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元の資料に沿って説明させていただきます。
 まず、私ども総社市は中国地方の岡山県にありまして、政令指定都市の岡山市、中核市の倉敷市に隣接する、人口約6万8,000の市でございます。ありがたいことに、人口は微増ということで、後ほどお話が出ますさまざまな施策のおかげで、そういう結果になっているのかなとも考えております。私ども総社市での障害者の数は手帳保持者の数をそこに記載していますように、約3,000というところでございます。
 資料の2枚目を御覧ください。今回、この検討会にお呼びいただいたのですが、ここに記載されているように、実は差別解消法の協議会の設置に当たって、特段、準備会の設置や条例制定といったことはしていません。ですから、今、お話を聞いていた他の自治体の皆様の取組を見ると、ちょっと肩身が狭いという思いもあるのですが、今後の御参考までに、私ども小さな自治体としての取組ということでお聞き取りいただければと思います。
 先ほど言ったように、特に施策は行っていないのですが、結果的に協議会というものは今、記載してあるように、自立支援協議会に機能を付加している状態です。そこに至った経緯として、当時進めていた福祉施策等で、いろいろな関係が築けていたことが大きな要因だったのかなと今では思っています。
 その当時から進めていた施策が3枚目のスライドになるのですが、現在、全国屈指の福祉先駆都市を目指すということで、3期目になるのですが、私どもの片岡市長がこれに取り組んでおります。そこに一覧として、さまざまな施策に取り組んでいるという事案を載せております。変わった名称、ユニークな名称のものがあろうかと思います。先ほどの、人口が増えているというのは、この中ほどにある「子育て王国そうじゃ」という名称のもと、子育て支援に精いっぱい取り組んでいる結果かもしれません。今回の差別解消法の関係では、一番上の赤い枠で囲んでありますが、障害者の千人雇用を目指すという事業が大きな要因であったかと考えております。
 ここからは少し、これまでに関係性を築いた協議会や組織の話をかいつまんでお話しさせていただきます。現在、差別解消法の協議会の機能を付加しているのは自立支援協議会でございます。平成18年4月にこの組織を設置いたしました。構成団体は約60と書いてありますが、実際には67ぐらいの当事者、学識経験者等、さまざまな方を含めた団体でございます。
 協議会の構成図でございます。そこにあるように、さまざまな専門部会を設けて、障害者のために、いろいろな施策を行ったり、研究したりという状況でございます。中ほどにあります、平成27年6月に設置した差別解消法に向けたプロジェクトチーム会議。これは後ほどお話ししますが、市の職員向けの対応要領をつくるときに御相談をかけたときのものでございます。
 1ページめくっていただいて6つ目のスライドの資料でございます。障害者の基幹相談支援センターというものを平成25年4月に設置しております。この相談センターは現在では数多くの相談事例を受けております。平成27年の実績で申し上げると、障害者の支援に関する相談は約3,200。その他のもの、さまざまな日常生活のものも含めていくと年間6,500件ぐらいの相談件数を受けているというものでございます。
 その下のスライド、7枚目です。障がい者千人雇用センター。障害者を1,000人雇用するという施策ですが、これが今回の協議会、差別解消法の趣旨である共生社会というものに大きく影響しているのかなと考えております。もともと平成23年の4月からこの事業を始めました。この事業を始めるきっかけになったのは、平成20年のリーマンショックのときです。リーマンショックのときに数多くの方が職を失っていくという中で、片岡市長が、そういうときだからこそ障害のある方のような弱い立場の方をまず救うことが必要なのではないかということで、当時、障害者の皆様は職についているのかという調査をまずされました。
 当時、就労期の方が約1,200人、総社市にいらっしゃいました。職についている方は約180名。残りの1,000人の方は一体どのように暮らしているのか。そのことがきっかけで、この障がい者千人雇用を5か年計画で進めていこうというところで、この事業をスタートさせました。現在の数字でいくと、図の中ほどにありますように、959名の方が雇用というか、職についたということです。このセンターといいますか、この事業の中心的な役割を担っているのが、そこにありますように千人雇用センターとハローワーク、そして市。この3つの関係性の中でこの事業を進めております。
 障害者の雇用というキーワードのつながりの中で、今回の差別解消法に当たる趣旨的なものを、お互いに共通理解しながら進めていけたのかなと考えています。例えばどのようにすれば働きやすい職場になるのか。事業所からの要望、当事者からの要望、企業の皆様の要望、そういったものをうまく調整しながら、この事業のおかげで進めていけたのかなと考えております。
 この3つの組織、関係性の中で、毎月1度は定例会を開いておりまして、実は本日、10時からこの定例会を総社市では開いているのですが、速報値で言いますと、雇用数が964まで伸びたという情報が今、入っております。
 この取組で、雇用数だけが伸びたというところがよく取り上げられがちなのですが、それ以外の部分を御紹介します。8枚目のスライドを御覧いただきたいのですが、左の写真は障害者の皆様が市役所の中庭で、実際に手づくりされた商品を売っているところです。お昼休みにお菓子や弁当を売る、いわば市民と触れ合う時間をつくっているというところです。当初は障害者の皆様を見せ物にしているというような批判もあったのですが、時間が経つごとに、皆さん、御理解してくださって、今では本当に、いつこの販売店が設けられるのかといったような、楽しみにされている声がある状態でもあります。
 右側の写真は、普通ならこのような広報誌の表紙を障害者の方が飾るようなことはないのですが、実際に千人雇用事業というものを始めた効果といいますか、広報誌の表紙を障害者の方が飾るというところまで、市民の皆様の理解が進んでいるというのが実態でございます。
 ここにまだ記載はしていないのですが、例えばごみ減量化の中で紙資源のリサイクルの受付窓口を障害者の方が担当してくださっているという実態もあり、本当に市民の皆様の生活の中へ障害者の方が一緒に溶け込んでいるというのが現在の私どもの市の実態であると思います。
 それから、先ほどヘルプカードの話が少し出ていました。平成24年ごろに、たしか東京都の方がつくられたヘルプカードがあったと思うのですが、私どものところも、そこは早い段階で、ヘルプカードそのものは取り入れることができなかったのですが、当時、消防署がつくっていた救急救命カードの中に、障害のある方の支援として、どういうものが必要かというページをさらにつけ加えて、福祉課の窓口で障害者の皆様にお配りするということを早い段階から始めていたということも、ここでお知らせしておきます。
 9枚目のページは、これは障害者を含めた方の虐待に対応するような権利擁護センターです。こういうものも平成25年4月に設けております。
 1枚おめくりいただいて、10枚目のスライドは、これは障害者の方も含めた生活困窮の方への支援ということです。単に生活保護になるだけでなく、その手前で自立へ向けた工夫もしていこう。しっかりと市民となって暮らしていただきたいという思いから、こういうセンターも設けております。
 11枚目のスライドは、これは先ほどお話ししました職員向けの対応要領をつくるときの内容のものでございます。
 12枚目のところに協議会の設置目的を記載しております。これは要領を策定した当時のものです。職員だけでつくると、どうしても職員寄りの内容になってしまうので、専門家の皆様の意見を聞きながらということで、これは協議会の中でつくってまいりました。
 結果的にそういった福祉施策や職員対応要領などをつくるといった経緯の中で、総社市として新たに協議会というものをつくることは、なかなか、専門的な委員の皆様を選ぶのにも時間がかかるだろうというところで、自立支援協議会のほうへ機能を付加してもいいかということを、こちらから提案したところ、特に問題なく了承いただけたところです。
 そこに至った経緯を今になって考えると、当時進めていた事業をもとにお互い顔が見え、いろいろな意見が言い合える関係ができていたというところが大きいのかなと考えています。あとは、福祉施策を5年、6年進めていく中で、市民の皆様を含め、障害者のことを知るということも、この間、できてきたということも大きかったのかなと考えております。結果的に障害者の雇用というものをキーワードに、お互い同じベクトルというか方向性を向いていたということも大きかったと考えております。
 14枚目のスライドは、協議会の体制図です。
 最後のスライドです。今後の課題といたしましては、まだ取組自体は本当に1年が過ぎていないところですので、まだまだ啓発が進んでいないというところが実態でございます。職員向けの研修も、やってはいるのですが、まだまだ向上できていないところがあります。そういったところへの工夫として、2点ほど御紹介させていただきますと、1つは手話奉仕員の講座、あるいは要約筆記奉仕員の養成講座といったものを職員研修の一環として、平成28年度からは人事当局の了解を得て参加できるようにお願いをいたしました。
 あとは平成29年度の予算へ向けて、大きな会議、あるいは不特定多数の方が集まる講演会等へ、手話通訳士の方や要約筆記の方々の予算取りの部分を各担当課でお願いしたいということを、財政当局にかけ合いました。その際、担当課からは、福祉課が予算をまとめて取って、どういう会議に配置が必要なのかというところは福祉課で考えてほしいという意見もあったのですが、それでは全く意味がないということなので、あえて財政当局には各担当課で考えるべきだということで意見をして、そのような予算要求の形になっております。
 また、今後の課題としてもう一点挙げると、今、当事者団体を含めて各種団体等の間で非常にいい関係が市内の中でできております。お互いに役員の変更や人事異動で人が替わるかもしれませんが、そういった部分の関係性を深めることで、より話がしやすい状況ができるのかなと考えております。
 それからもう一つ、課題点として挙げていいのかどうかわかりませんが、実際、相談事例というものは、実はそれほど多くありません。本当にもう、1件、2件の程度です。これは本当に啓発が進んでいないということなのか、もしくは、今、私たちが進めている施策の中で未然に防げているのか。そこは今、計り兼ねる部分ではあるのですが、実際の相談件数は今、非常に少ないというところが私たち総社市の実態でございます。
 御参考になればと思い、以上、御説明させていただきました。

○野澤座長 どうもありがとうございました。
 では、構成員の皆さんから御質問、御意見、いかがでしょうか。

○渋沢構成員 とても感動してお話を伺っていました。すばらしいなと思いました。
 まずは、最後の手話通訳のところで思ったのですが、福祉課のほうから提案されたことを、財務を説き伏せてやるという、その福祉課の方の力の強さというのは、市長自らがそういう方針でやっていらっしゃることが大きいのかなと、これは感想です。
 質問としては、いろいろな仕組みがあって、5ページ目あたりがいいのか、協議会の中でもいろいろな組織があります。私が活動しているところは9万人ぐらいの規模の自治体ですが、先ほどの八王子市のお話とも合わせると、7万人ぐらいの規模の自治体でこの組織をつくるというのは非常に大変だろうなと。大変だろうというのは、参加している人も、あっちの委員会もこっちの委員会もかけ持ちで、何かそういう、率直に言うと文句というか、すごく忙しいなとか、そういう感じはないのでしょうか。

○総社市 幸い、文句というところまではないですね。

○渋沢構成員 文句というのはちょっと語弊があるかもしれませんね。

○総社市 私の場合、全ての組織というか、いろいろなところに参加していますので、課で席に座って仕事をしている日のほうが少ないようなケースもあるのですが、逆にそれぞれのセンターの中に、参加されている行政以外のところの方や学識経験者の方々、同じよな顔ぶれの方が結構いらっしゃるのです。ですから、参加すればするほど関係性が深まっていきますので、本当に課題点が発生したときには、いろいろ相談しやすいという、逆の効果も今、感じております。

○渋沢構成員 委員会等は、大体、行政の方が主導されているのですか。

○総社市 いえ、主導は学識経験者の方や、例えば司法書士さんなど、別な方です。私たちは委員として参加しているというのが実態です。

○渋沢構成員 わかりました。ありがとうございます。

○野澤座長 他に、いかがですか。

○河﨑構成員 障がい者千人雇用センターのことで少し教えていただきたいと思います。平成24年の4月に設置されたということで、ちょうど今年の3月で5年ということになるのでしょうか。この間にほぼ1,000人の方たちの雇用を生み出してきたということのようですが、これは非常にすばらしいなと思って聞いておりました。ただ、現実的には、やはり雇用されるほう、いわゆる、実際に障害のある方を雇用される立場の方たち、あるいは事業所、そういうところとの連携がうまくいかないと、なかなか障害者の方の雇用というのは進まないだろうなという思いが実感としてあって、そこは何か、いろいろ市当局としては御苦労なされているところが結構あるのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

○総社市 おっしゃるとおり、企業の皆様の中で、始めた当初は抵抗があったと思います。ただ、どちらかというと市長のトップダウンで始まったような事業ですので、至るところで市長が障害者を1,000人雇用するのだということを発言したおかげで、企業の皆様もだんだんこちら側を向いてくださった。そこへ向けて、ここの障がい者千人雇用センターの職員、私たちも含めて企業の皆様に御理解を求めていったというところが効果として大きかったかと思っています。

○河﨑構成員 その企業の方たちというのは、これはさまざまな職種であるわけですよね。

○総社市 そうです。50人以上の法定雇用率の企業もいらっしゃれば、本当に1人、2人の従業員をお持ちの中小企業という方まで、可能性があればそこへ全て御理解をいただいて、1人でもということでお話をしに行っています。

○河﨑構成員 何かマッチングのようなこともされているようですが。

○総社市 そうですね。就職される前のマッチングももちろんいたしますし、就職した後も困ったことはないかなど、アフターフォローまで全てこれでやっています。実際には障害者の就業生活支援センターですか、それを市独自でやっているというような部分かと思います。

○河﨑構成員 結構定着率はよろしいのですか。

○総社市 そこは少し課題があります。やはり障害の状態というか程度にもよるのですが、短期の方もいらっしゃいますし、本当に長期間ずっと働いている方もいらっしゃいますし、一言で言うと、少々まだそこは難があるかなと感じております。

○河﨑構成員 ありがとうございます。

○野澤座長 他に、いかがでしょうか。
 先ほどの明石市もそうですが、やはり首長さんの存在というのは大きいですよね。総社市の市長さんも非常に強いリーダーシップで、カリスマ性のある市長さんで。やはり、そういうところ、障害者に合理的配慮がある自治体というのは人口が増えるのですかね。そう言えるとすごくいいなと思っているのですけれども、因果関係が。

○金構成員 やはり子育て施策の取組は、非常に大きな影響があるかなと思いますね。

○野澤座長 子育てはわかりやすいですね。障害者に優しいから人口が増えるというのは、なかなか因果関係はないですかね。

○金構成員 ちょっとそこは、具体的には言うことは難しいように思います。やはり税収を増やしていかなければいけないということも実際上の課題としてありますから、子育て支援をすることによって夫婦共働き世帯が増えていく、そのことによって税収も少しずつでも伸びていける。そして、その成果を高齢者や障害者の施策にもまた入れていこうというような、良い循環をつくっていこうという考え方でやっているところかなと思います。

○野澤座長 八王子市は増えていますか。

○八王子市 若干減ってきたかなと。ここ5年ぐらいは56万人ぐらいで平衡的な感じですね。すみません、細かいところはわかりませんが。

○野澤座長 三重県は増えているのですか。

○西川構成員 三重県は、人口は減ってきていますね。

○野澤座長 わかりました。
 では、どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますけれども、山口県障害者支援課の金子主査から御説明をお願いします。

○山口県 山口県障害者支援課の金子と申します。今日は、このような機会を与えていただき、大変ありがとうございます。
 それでは、資料に沿って説明させていただきます。
 3市の御説明にあったような県の概況というのはないのですが、簡単に説明させていただきますと、山口県は人口が平成28年3月末で139万5,000、140万人を割っているというような人口。それに対して、障害者が身体、療育、精神を合わせて9万1,000人。障害者の率で言えば6.5%という状況となっております。以下は資料に沿って説明させていただきます。
 なお、私からは障害施策全般についてではなく、今日の会議の名目である地域協議会の取組についてのみ絞って説明をいたします。
 まず、最初に組織形態ですけれども、山口県では地域協議会の名称として、「山口県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり推進会議」として設置しております。資料に「以下『推進会議』という」とありますように、私たちのほうでも推進会議と呼び合っております。
 これを設置したのが平成27年7月。約1年半前ということになります。
 それから、この組織については、障害者の自立と社会参加に関連する分野を所管する行政機関や障害者・事業者・福祉分野の関連団体、あるいは学識経験者などを構成団体としております。団体構成については後ほど6ページ、7ページあたりに資料がついております。
 この推進会議が所掌する事項は2つありまして、1つは差別解消法第18条に基づき、まず、この地域協議会が行うこととされている事務などに関すること。それからもう1点、特色があるのが、「あいサポート運動」という事業、この推進に関することを行っております。
 「あいサポート運動」について、ごく簡単に説明させていただきますと、これは平成21年に鳥取県が提唱して始めた運動でして、「誰もが、多様な障害の特性、障害者が困っていること、必要な配慮などを理解して、ちょっとした手助けや配慮を実践する」県民運動のことを言っております。現在、全国8県ということで中国地方5県と長野県、奈良県、和歌山県で取り組んでおります。
 2番目として、この推進会議を設置することになった経緯です。まず、今申し上げたように2つの機能を持っております。これがどのようにして設置されたかと申しますと、山口県では平成27年度に2つの事業施策に取り組むことが決まっておりました。一つが、まず、この障害者差別解消法施行に向けた取組として、当然、この法に規定された地域協議会を立ち上げなければいけないということ。もう一つは、今申し上げた「あいサポート運動」というものを、この数年前ぐらいから鳥取県に呼びかけられて行おうという考えがありまして、それが平成27年度にはっきり決めようということで、やることが決まりました。たまたまではあるのですが、この「あいサポート運動」というのも、そもそもが平成28年度、翌年度からの障害者差別解消法施行を踏まえて県民に障害や障害者への理解、あるいは社会的障壁除去に向けた配慮の促進を図るための取組ということで、これが急がれなければならないということから、この運動を実施することになりました。この運動を県民運動として定着させるための推進母体として、当初は「あいサポート運動推進連携会議」という名称で、やはり協議会を設置する予定でした。
 この2つが平成27年度に向けて取り組む予定でしたので、平成26年度の秋ごろ、この2つがちょうどタイミングが良かったということで、予算編成の段階で、では、2つ別々に立ち上げるよりも両者を兼ねて1つとしてはどうかということで、これらの2つを所掌事項とする1つの協議体として立ち上げたということです。これが地域協議会の、地域の実情に応じた立ち上げ、あるいは設置方法を、内閣府の手引きにもありますように、特に設置方法が決められているとか限定されているというものではない、いわゆる自由度を活かしたものとなった次第で、タイミングが良かったということもあります。
 それから2番目に、両方を一緒にするということについても予算編成の段階で、もちろん相乗効果への期待があったということでして、その「あいサポート運動推進連携会議」というものは本来、地域協議会とは別個の組織なのですが、地域協議会の場で「あいサポート運動」についても周知や関係委員に対しての要請を行うなど、両者を有効にリンクさせれば双方の事業実施それぞれの相乗効果が得られるだろうということで設置することになりました。
 また、他の自治体も多いとは思いますけれども、当初は差別解消の地域協議会のほうは県では施策協のほうに機能を付加する方法を検討しました。しかし、施策協のほうでは事業者団体の方が委員にいらっしゃらなかった。一方で、「あいサポート運動」のほうでは、ぜひとも事業者を巻き込まなければいけないということで、最初から必ず構成メンバーに加えるということでしたので、そういう意味でも差別解消の地域協議会に「あいサポート運動」と両方を活かしたものとして新たに立ち上げることが有効だったということがあります。
 ただ、一方で、設置時の問題点としては、これは現在の課題とも重なるのですけれども、事務局で選定した団体に委員をお願いした際に、特に断られたということはないのですけれども、ただ、一番の課題であります事業者団体の立場からは、必ずしも全ての事業者に周知させることができるかどうかという不安があるというような声は確かにありました。ただ、拒否ということではありません。
 続いて、その両方を兼ねて立ち上げた協議会の実際のメリットです。実際に狙いとした相乗効果が得られているということです。そもそも「あいサポート運動」の理念というものが障害の有無に関わらず誰もが暮らしやすい共生社会の実現を目指すということで、障害者基本法、もっとさかのぼれば障害者権利条約、あるいは障害者差別解消法の理念と共通するものですので、これらで規定された国民の責務であるとか地方公共団体の取組主旨にも「あいサポート運動」が合致するものであったということです。
 また、特にこれが県のほうでは大変助かっているのですけれども、差別解消法のほうでは一般私人の規制までは法による対象とされていないのですけれども、「あいサポート運動」のほうは県民を対象としているということで、県民運動として個人一人一人に広げていくということ、この点で大変メリットが大きく、「あいサポート運動」が障害者差別解消法の主旨を補完する役割を果たしているのではないかと考えております。
 3ページ目に表を挙げておりますように、差別解消法と「あいサポート運動」、ともに理念、目標は共生社会の実現ということで同じでして、フレーズも似たようなものであること、対象が、「あいサポート運動」のほうが特に県民を対象としているということをよく理解していただけるよう、この図表にしております。
 それからもう一点、連携によるメリットについては、今、先ほど申し上げましたように、両組織はもともと本来は別々に立ち上げる予定だったのですが、今も質問がなされましたように別組織とするとどうしても委員をそれぞれ別々に探さなければいけない、あるいは同じ方に委員になってもらうことになると負担があるだろうということで、例え2つを別々に立ち上げたとしても多数の構成員が割と共通するようになったであろうことが想定されますので、そういった面でも人選や会議開催、業務の効率化といった点でメリットがあるだろうと。行政の側から見れば業務が効率化できている、委員の側から見れば負担が軽減されている、といったことが図れたと考えております。
 続きまして4番の項目として、実際の会議の開催状況です。これまで3回開催させていただいた会議でどんなことを協議したかということを簡単に説明させていただきます。
 まず、平成27年度第1回、立ち上げてから最初の協議会を7月に開催しております。このときは本推進会議を設置した主旨を説明するとともに、情報交換ということで行っております。議題が①、②、③という項目になっておりまして、最初に主旨説明。あるいは、今からどういうことを協議するかということを説明しました。
 そして2番目に、来年度、平成28年度から差別解消法が施行されますので、県ではこういうことに取り組んでいきますということを説明して、それについて意見をぜひお願いしたいということで、職員対応要領の策定を準備しているということ、あるいは相談体制についてどうしましょうかということ、あるいはこれからの協議会をどういう形で進めていくかということを、この第1回の会議で諮りました。次の4ページにあります、啓発活動についてもお諮りしております。
 また、たまたま平成27年度については、山口県は大変ありがたいことに内閣府のほうからお話をいただいて、国との共催で行われた11月の全国フォーラム、あるいは、もともと県でやる予定であった2月のフォーラムといった場を通して周知を行ったということであります。
 それから2回目が、ちょうど1年前になりますが、ここではもう間近に迫った差別解消法施行を前に職員対応要領案(案)をつくっておりまして、そのたたき台について、各委員から意見をいろいろお伺いしました。ここでも議題として、差別解消法に関わる県の取組状況についてということで、法の概要がどういうものであるかといったこと。また、本県の対応状況としては職員対応要領をこういう案で作成しましたのでどうですかということで、この案については、各委員に諮る前に障害者団体全てに意見を尋ねた上で、それらの意見も反映させた上で提示しておりました。
 あるいは相談体制として市町及び県の役割ですね。山口県にはもう、村はないのですが、一次的な相談窓口として市町が担当する。そして、二次的な受付窓口として県が担当するということを、これは6月ごろに市町の担当者を集めて会議を開催しまして、それらの意見を9月に取りまとめまして、最終的にここで、山口県はこういう相談体制で行っていきますということを説明申し上げました。
 それから啓発活動、フォーラムの結果がどうだったか。2月にフォーラムを開催しましたというような報告も行っております。
 それから、常に「あいサポート運動」については、その取組状況について御報告しております。今回は説明を省きますけれども、常に説明は行っております。
 それから3回目は、差別解消法の施行された今年度ですけれども、9月に1回目を開催しております。今のところ2回目の開催は、今年度はなさそうでありまして、恐らく平成28年度は1回のみで終わりそうな感じです。
 ここでは法に規定されたように、県内で差別事案があれば協議会で協議するということですので、この差別解消法の取組に関する事案・事例及び取組について協議あるいは報告を行ったということです。議題1として、障害者差別解消に関する事案・事例。議題2として「あいサポート運動」。このア、イ、あるいは②に掲げている項目がこのまま議題になっております。
 ここで参考1として8ページに掲げておりますが、これが今年度の9月に行った推進会議の資料につけたものです。協議会で協議するような共有すべき事案、差別事案はなかったという報告を行いました。ただし、県が対応した相談事例は以下のとおり、この9月に開催する前の8月末時点では10件ありました。その10件というのはこういったものですという資料をおつけして説明しております。地域協議会の場で協議して、解決に向けた取組を行うような事案はなかったということです。
 それから、合理的配慮の提供の事例ですけれども、障害者差別が起こらない地域づくりに向けて、協議会で共有する事例として、県としては県民からの事例募集という事業を行いました。この時点、9月の時点ではまだ少なかったのですが、それらの報告、あるいは県における事例というのは県の調査、県職員に対する形ですが、その事例ということで、この協議会を開催する前に庁内の各課に全て調査をすることで、各課職員で合理的配慮の事例、取組を行っているようなことがありますかというようなことを調査しました。これのもともとの意図が職員対応要領あるいは合理的配慮、大きく言えば障害者差別解消法ということについて、もちろん障害者関係団体以外の県職員の意識はまだまだですから、そういう意識を喚起するいい機会になればという思いも込めて、庁内各課に合理的配慮の事例はありますかということを呼びかけて、これを集めております。
 それから、各市町における事例です。市町の取組状況というのは、第1回の検討会議を開催された際に三重県が資料をつけられていたのですが、それと全く同じような形で山口県も職員対応要領がどのように策定されていますか、その時期はということ。あるいは地域協議会で啓発活動としてどのようなことを行っていますか、合理的配慮としてはどういうことがありますかと。差別に関する事案については最後に触れたいのですが、どこまで集めていいものかというのが、差別事案は個人情報にも関わることなので、ちょっと集め切れなかった部分がありますので、差し支えがなければという形で市町のほうからはお尋ねいたしました。そういう市町の状況を一覧にして資料に添付しております。今回は、市町のほうにはこの検討会があることまでは周知していませんでしたので、こちらの資料にはつけておりません。大変申しわけありません。
 それからもう一つ、イのほうです。今のは主に行政機関でしたが、関係機関、推進会議のメンバーである各委員のほうでどのような取組をなされているか。これについても県あるいは市町あるいは関係機関の取組として、今申し上げたのは合理的配慮の事例あるいは差別に関する事案ですが、その他の、今申し上げたように県で普及啓発活動を行っているとか、市町でどのようなことを行っているというようなことを、それぞれ報告し合いました。あるいは委員からの紹介事例もいただいております。
 それから、「あいサポート運動」について現状ということで少しだけ報告いたします。「あいサポート」ということで、これは県民を対象とした研修会、ミニ講座のような形で障害者への理解あるいは配慮について覚えようという運動をしているのですけれども、そのサポーターがこの9月、8月末時点で県内では7,850人、あるいは「あいサポート企業」ということで、企業として取り組む事業者が54団体に上ったということを、この時点で報告させていただきました。
 それから最後に、この地域協議会の成果と課題として考えていることです。まず、(1)成果としては、これまで申し上げましたとおり、「あいサポート運動」と連携させることによって、職員対応要領の作成や相談体制の整備、啓発活動などについて委員からの有用な意見を反映することができました。これも参考資料の9ページになりますが、県内の市町の取組状況。これは今日の会議のためだけにつくった簡単な資料です。
 それから2番目の成果として、この地域協議会の設置を含めた法に基づく県の対応が、県としては割と早くできたのではないかと。差別解消条例に基づくような取組ではないのですが、法に基づく取組としては比較的早かったのではないかと思います。それにより、市町へも有効な影響を及ぼしたのではないかと思っております。職員対応要領について10月時点で100%全ての市町で対応要領が制定されているということ、それから相談窓口については当然、4月1日、差別解消法施行の時点で全て設置されました。あるいは地域協議会についても74%で設置されている。あるいは平成28年度内に設置予定が下の2町。上の3市が来年度、平成29年度以降には設置予定ということで、いずれ近いうちには地域協議会が全て設置予定であります。
 これも先ほど申し上げましたが平成27年の6月に市町の担当者を集めて県のほうで、県ではこういうことをやっていきます、県では地域協議会を設置しますし、職員対応要領も必ず法施行前にはやりますからということで、市町にも説明を行いました。ただ、市町に働きかけたとか、設置しなさい、対応要領を策定しなさいというような指導は行っていません。法にそこまでの権限があるのかという考え方もありますので、そこまではしていないのですが、このような情報交換は常に意識的に行っておりますので、それによって結果的に市町のほうでも自主的に取り組んでいただいたものと考えております。
 それともう一つ、成果としては、こうした啓発活動や県の取組、各種の連絡文書、今度こういう事業を行います、あるいは相談体制整備をこういうようにしました、相談先の電話番号、ファクス番号、メールアドレスといったものがありますよというようなことを、関係機関を通して周知していただくことも、単純に県の広報誌あるいはホームページでも広報はするのですが、こうした事業者を通したほうが、より有効に連絡できている点もあろうと考えております。
 一方で課題ですけれども、これはどこの自治体も割と似通っているのではないかと考えておりますが、行政や福祉団体、当事者団体については、法への理解や取組支援を得やすいのですが、事業者団体についてはまだそれが不足している。これは協議会、推進会議の場でもまだまだ市民あるいは事業者への啓発が足りないというか、意識喚起が必要だという意見が出されました。
 それからもう一点としては、他市でもありましたが、まだ差別事案、相談事例といったものの収集実績が乏しく、蓄積状況が低調なため、今後の開催に当たっては不足感があると表現しておりますが、先ほど申し上げましたように、今年度は1回のままで終わりそうだということもあるのですけれども、事例がそれほど多くはないということです。また、地域協議会の手引きにも規定されておりますけれども、県としてはより市民の方に近い市町と立場とは違って、より広域的な協議会としての役割ということで、市町村の困難事例を集積するとかバックアップをするといったことについては、そこまでの事例がないということで、まだまだ頻繁に開催するところまでは至っていない状況です。
 早足になりましたけれども、山口県からの説明は以上でございます。

○野澤座長 ありがとうございました。
 では、残り短い時間ですが、構成員の皆さんから御質問、御意見があればお願いします。

○佐々木構成員 ありがとうございました。
 下関市の話なので、これは今回の協議会の趣旨からすると管轄は別なのですが、中核市である下関市の大藤園で虐待がありました。県の動きを教えてください。

○介助者 あわせて、事前に打ち合わせたことをお伝えいたします。これも虐待の範囲の話であったり、また、下関市の話であったりするので、直接こことは違うのですが、こういう虐待事件があったときの背景には、こういう差別的な見方をしているということがあるということと、あとはよくテレビに出た、利用者をたたくビデオの映像がありましたけれども、内部告発で事件が明るみになったわけですが、きっとこの利用者の方たちは、そういう差別的な扱いを受けていることに気がつかなかったのではないかと。そういう、気づかない、意識されない差別がこの背景にあって、そういう相談をしようと思わなかったり、どこに行ったらいいかわからなかったりというような、そういう相談のしにくさのようなことも背景にあったのではないか。そういう面から見ると、今回の協議会の話にも関係があるかなということで、県の動きを知りたいということですけれども、そういう相談のしやすさというか、気づかない差別などについて、どう考えておられますかということです。

○山口県 山口県では事件にもなりましたように、下関市の施設で虐待があり、テレビのニュースなどでもよく取り上げられました。今後はそういうことを防ぐ意味でも、県民運動としての「あいサポート運動」により一層積極的に取り組むということの決意表明を、いろいろな場でしております。
 それから、県民あるいは市民の皆さんからも、そういうことが起きてはならないということで、「あいサポート」の研修会をもっともっと受けたいと。この協議会の場でもあったのですが、サポート運動では比較的いろいろな障害を広く知りましょうということがありまして、その知った人がさらにもっと、どうすればいいのだろうかということでレベルアップをし、私たちももっともっと知りたいというような声が県民の方々から上がっていますので、それに対しても今後はレベルアップ研修をしましょうというようなことにも取り組んでおりますし、そういった啓発、理解推進は積極的に進めていきたいと考えております。虐待の未然防止、そしてもちろん障害者理解について積極的に取り組んでいる状況です。

○佐々木構成員 ありがとうございます。

○野澤座長 関哉構成員、どうぞ。

○関哉構成員 個人情報の話が出たので、取り組まれている自治体があったらお伺いしたいのですが、相談事例を地域協議会で共有して、そこで議論するということは大変有意義なことだと思います。会議の場で個人情報を匿名化するというのはやりやすい方法だと思うのですが、そうではなく、収集の段階で事案自体をかなり具体的に使えるように、事前に地域協議会で使いますよとアナウンスするなど、何か工夫されていることはありますか。
 どなたでも結構です。個人情報の取扱いについて工夫されている自治体があればお聞かせください。

○野澤座長 では、金構成員、お願いします。

○金構成員 明石市の場合、第3回目の地域協議会で相談事例への対応について、主なテーマにして協議を行いました。そのとき、22件集まった事例のうちのいくつかについて、本当は事例の内容を紹介して意見を聞けたら良かったのですが、そこまでできませんでした。というのは、今の個人情報のことについて、どのように扱うのかという判断が難しいということが正直言ってありました。一応、協議会を始めるに当たって、秘密保持の規定が差別解消法にはあること、協議会の事務に関わった者について秘密保持の義務がありますので、その説明を、まずは最初に委員の皆さんにさせていただきました。それを踏まえた上で、22ある事例の中でも絞って、これぐらいだったら丸めて紹介すればオーケーだろうというものを2つぐらい紹介して、対応の仕方としてはこうでしたという形で報告させていただいたという状況です。

○八王子市 八王子市は、お配りした資料の5ページ目以降に差別事例が載っています。これをもとに事例の紹介などをしています。今後、恐らくいろいろな相談があって、特定の事案について議論しなければいけないときは、多分、個人情報は出して議論をして、その場限りの秘密の保持ということでやろうかと思っています。
 個人情報だけでなく、例えばお店であったらそこの店名であるとか、そういったものも必要に応じて、それを言わないとイメージできないという場合もありますので、それは必要に応じてオープンにするというようなやり方で説明しているところです。

○関哉構成員 それは収集の段階で、協議会で共有することについて、個人情報との関係で何か問題があるとかないとか、そういう議論はされたのですか。

○八王子市 それはしていません。最初からそういうものだという形で進めていますので。

○野澤座長 その質問をされている心は何でしょうか。

○関哉構成員 その心は、やはり協議会である程度の具体的な事案について協議をしないと、地域での関係機関の連携といっても、なかなかイメージがつかないということがある。ただ、限られたコミュニティーだと、どの事案かという話をしたら、ああ、あれですねということで、関係者がみんなわかってしまうというような問題もあって、その辺のルールというものが、ある程度、こういう会議で提案できれば、あるいはそういう経験事例というか、取組のいい事例を紹介できれば、より具体的な事案についての共有が進んでいくのかなと思いまして、お話ししました。

○西川構成員 三重県は今度また30日に、協議会が来週あるのですが、そこでもう少し具体的に、できるだけ個人情報とはわからない程度にして具体的な事例という形で挙げます。協議会というものは、そういう事例の集積等を法にうたってありますので、こちらに相談をいただいたという段階で、一定、そういうところで事例として挙げられることについては御理解いただかなければもう、仕方がないかなと。協議会自体も公開の場ですので、協議会の委員だけに個人情報ですというような話をしても、結果的にはわかってしまうことだと思っているので、それはある程度。もちろん名前までは出しませんけれども、ある程度、事例を細やかにしないと、委員がおっしゃるように、わからないと思うのです。ですから、うちとしては法律があるからということで、ある程度事例として協議会で情報共有します。

○野澤座長 公開というのはちょっとあれですかね。

○柘植構成員 そういう視点では考えていなかったのですが、公開でする場合もクローズでする場合も、まちまちなのでしょうね。それによって大きく影響を受けますよね。

○野澤座長 そうですね。私も今、おや、と思ったのですが、皆さん、どうですか。公開されていますか、非公開でやっているのですか。

○金構成員 明石市の場合は基本的に公開しています。傍聴人の募集もホームページで行いますので。ただ、今の話は、そう言えば傍聴人との関係で、秘密保持をそこまで、傍聴人に対して求めることができるのかどうなのかというのは、それは明石市だけで判断できる話なのかどうなのかというのは、ちょっと感想としては思いましたね。

○山口県 山口県も、会議自体は公開しておりまして、傍聴人はいらっしゃいます。それから、市町のほうでそういう意見があったのですが、市町のほうでも実際に差別事案を話し合う場において、個人情報がかなり出てきたということで、その差別事案の協議の部分については公表しないほうがよいのではないかということで、傍聴人の方には席を外してもらうようなことも考えなければいけないというような市町の意見もありました。そういうことも含めて、推進会議では市町との間で全て情報共有は行っております。

○野澤座長 八王子市や総社市はどうですか。

○総社市 相談件数が少ないので、具体にはなかなか申し上げにくいのですが、いずれにしても小さい町なので、いくら隠しても、どんなにオブラートに包んでも、オープンと同じようになってしまうわけです。ですから、最初から、皆さんおっしゃるように、相談に来た時点でそこはもう公開が前提ということで受け付けざるを得ないだろうと。ただ、先ほどから話題になっているように、協議会になると、やはりそこは一定程度のカバーはしないといけないのかなというのは考えますね。ただ、そうなったときに、相談事例が果たして増えるのか減るのかというところは少し課題ではあるのかなという気がします。

○野澤座長 八王子市はいかがですか。

○八王子市 八王子は原則、公開していません。資料としては名前を伏せていますが、話の中では当然出てきますし、どこのお店であったというときにも、例えば駅前のあそこですとか、そういう話は必ず出てきますので、原則非公開でやっています。

○野澤座長 この辺、全国でどのようにやっているのか、ちょっと知りたいですね。そして、どういうやり方がいいのかというのを、ある程度、何となくそういう基準のようなものが出せるといいのかなと。確かに、関哉構成員の御指摘は非常に重要で、ぼかしてやると何かかみ合わなかったりして、実のある議論にならないことがありますが、本当にきちんとしたものを出すと、結構、危うい面もあるのかもしれないという感じがしますね。

○関哉構成員 先ほどのお話にもありましたように、協議会の設置要綱やそういうところで、委員の合議で会議を非公開とすることができるということにしておく方法もあるでしょうし、あるいは具体的事案の共有については別途非公開の部会のようなものを設けて、そこで協議するという方法もあるのかなと思いますね。

○野澤座長 なるほど。事務量とか、いろいろありますので、一概にこうしろとは言いにくいのかもしれませんけれども、検討事項として、全国でどのような状況なのかを見てみたいですね。
 時間がもう来てしまっているのですが、よろしいですか。
 では、以上で本日の議題を終了したいと思います。
 最後に事務局より、事務的な連絡事項があればお願いします。

○杉田企画官 次回が最終回になりまして、3月中の開催を予定しております。まだ日時等は決まっておりませんが、調整の上、改めて連絡させていただきます。これまでやりましたヒアリングの結果、それから構成員からいただいた御意見を踏まえまして、指針及び手引き等の改訂の事務局原案をつくりたいと思っておりますので、それについて次回、御議論いただきたいと思います。

○野澤座長 それでは、本日の検討会を閉会します。どうもありがとうございました。