障害者差別解消支援地域協議会の設置等の推進に向けた検討会(第3回)議事録

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○野澤座長 定刻になりましたので、これより第3回「障害者差別解消支援地域協議会の設置等の推進に向けた検討会」を開催したいと思います。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙中のところ、お集まりいただき誠にありがとうございます。
 本日は、過去2回に引き続いて地方公共団体の方にお越しいただき、地域協議会に関する様々な取組等についてお伺いしたいと思います。その後、検討会におけるこれまでの議論や、地方公共団体からのヒアリングで得られた成果等を踏まえ、事務局において「障害者差別解消支援地域協議会設置・運営等に関するガイドライン(案)」を作成していますので、その説明を事務局より聴取した上で自由討議いただければと思います。
 本日の会議は12時ちょうどまでを予定しております。
 まず、構成員の出欠及び配付資料について、事務局より御報告をお願いします。

○杉田企画官 今日もよろしくお願いいたします。
 今日は、構成員の方々全員に出席という話をいただいております。渋沢先生は少し遅れるようであります。
 今日の配付資料といたしまして、資料1は、大阪府からの説明資料であります。資料2-1は、地域協議会設置・設置運営等に関するガイドラインの案でございます。資料2-2でありますが、ガイドライン(案)の見え消し版を配付させていただいております。不足がありましたら、事務局までよろしくお願いいたします。

○野澤座長 それでは、本日の議題に入ります。まずは、議題1として大阪府からヒアリングを行います。
 それでは、大阪府障がい福祉企画課の奥村課長から御説明をお願いいたします。

○大阪府 おはようございます。大阪府障がい福祉企画課長の奥村と申します。  今日は、この検討会の貴重なお時間の中で、府における差別解消の取組につきまして御説明の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
 資料1に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 大阪府なのですけれども、昨年4月の法の施行にあわせまして、大阪府では「障がい者差別解消条例」というものを施行しております。府の方針といたしまして、1つは「啓発活動」、もう一つは「相談等の体制」の整備ということで、これを車の両輪として差別解消に取り組んできたところでございます。
 1つ目の「啓発活動」でございますけれども、大阪府の差別解消ガイドラインでは、例えば、どういったことが差別に当たるのか、あるいは合理的配慮としてどういった措置が望ましいかなどにつきまして、府民の関心と理解を深めることを目的に策定したものでございまして、商品・サービス分野等、6分野におきまして具体的な事例等を掲載したということでございます。
 他の啓発事業といたしましては、企業などを対象といたしました出前講座の実施ですとか、あるいは実践マニュアルといたしまして、今日、別途お配りしております「i-Welcome」というものがありますが、こういった接客のヒント集とか、あるいは「障がい理解ハンドブック」も御用意させていただいておりますけれども、そういったものを作成・配布いたしております。
 2つ目の柱であります「相談等の体制」でございますけれども、こちらは、条例におきまして公的な解決の仕組みを規定いたしまして、相談、紛争の防止・解決の体制等を規定しています。具体的には広域支援相談員、大阪府障がい者差別解消協議会を位置づけております。
 広域支援相談員につきましては、主に市町村の相談機関におきます相談事案、特に事業者における差別に関する相談につきまして、その解決を支援するために配置したものでございます。
 もう一つ、差別解消協議会につきましては、これは府の附属機関といたしまして、障害者差別解消の推進に関する事項を審議するために設置したということで、こちらは法律上の支援地域協議会の機能も有するという位置づけにしております。あわせまして、この協議会の下には、障害種別等を踏まえて事案に応じて組織いたします合議体というものを設置しているところでございます。
 参考までに、府の協議会と障害者差別解消支援地域協議会との比較の表を2ページ目につけさせていただいております。
 大阪府障がい者差別解消協議会の構成員につきましては、障害者団体、事業者、学識経験者等で構成してございます。今日御出席の河﨑構成員にも大阪府の精神科病院協会の会長ということで御参画をいただいているということでございます。
 担任事務といたしましては、法律上の規定の事務のほか、条例において4つの事務を規定しております。
 1つ目は、知事が諮問いたします差別解消の推進に関する事項に関する意見の申し述べ。
 2つ目は、条例上の紛争の事案があった場合のあっせん、勧告、公表の手続があるのですけれども、ここで、例えば、正当な理由なくあっせん案に従わない場合等への勧告の求め。
 3つ目は、正当な理由なく勧告に従わない場合は公表しますが、そういう場合の意見の申し述べ。
 4つ目は、合議体を設置いたしまして、紛争事案や相談事案に対応するという形にしてございます。
 運営方法といたしましては、この差別解消協議会、「親会」と我々は称しておりますけれども、それに加えまして、会長が委員等の中から5人で構成いたします合議体という形で、2階建てという形で定めております。
 この合議体には2種類ございます。
 1つ目は、あっせんの実施型の合議体ということで、これは広域支援相談員の対応、解決が難しい場合に、紛争の解決をするためにあっせんを行うための合議体ということであります。
 2つ目が助言・検証実施型の合議体ということで、こちらは相談状況の総合的な分析・評価を行いまして、広域支援相談員への助言を行うという合議体でございます。今年度におきましては、あっせん事案というものはございませんで、助言・検証型の合議体での議論を重ねてきたということでございます。
 次の3ページ目でございます。こちらは府の条例に基づく相談と解決の流れを御説明しているものでございます。
 まず、上の図が基本となります。相談者であります障害者あるいは事業者は、まずは身近な地域であります市町村の相談窓口に相談をするということを基本といたしております。市町村の相談窓口は、必要があれば広域支援相談員に支援要請を行い、広域支援相談員は助言等を行うというスキームでございます。また、相談者は、広域支援相談員に直接相談をするということも想定をしているということでございます。
 下のほうですけれども、こちらはあっせん等による解決ということで、今申し上げましたような広域支援相談員が対応しても解決が図られない場合で、特に不当な差別的取扱いに係る事案におきましては、あっせんによる解決というものも用意しているということでございます。
 障害者等は知事に対しあっせんを求めることができ、この場合、知事は解消協議会のもとに設置された合議体にあっせんを行わせるということになります。また、合議体があっせんをした場合であっても、事業者が正当な理由なくあっせんを受諾しないなどの場合、知事に対し協議会が勧告を求めることができ、知事は勧告をすることができるということでございます。勧告に従わない場合等におきましては、協議会の意見を聞いた上で知事がその旨の公表を行うというスキームが用意されてございます。
 これらは事実上の制裁としての効果を持つという形で、こういう規定を整備しているということでございます。
 4ページ目以降が今年度の「広域支援相談員の相談等対応状況」でございます。
 相談対応件数といたしましては、これは平成29年2月まででございますけれども、103件、対応回数は延べ402回ということになっております。このうち市町村を通じた相談が2割、一方、障害当事者等からの直接の相談が全体の8割を占めているということでございます。
 直接相談者の内訳といたしまして、当事者の方が53%と約半数以上、家族が18%、支援者が6%となっておりまして、当事者と家族、支援者で4分の3以上を占めるという状況でございました。
 5ページは「相談内容の類型」でございまして、「不当な差別的取扱い」としたものが20件、「合理的配慮」の不提供に関するものが4件という形になっております。この2つの類型の他に、例えば「不適切な行為」「不快・不満」「相談・意見・要望」という整理をしてございます。例えば「不適切な行為」といいますのは、法で定められております類型の「不当な差別的取扱い」あるいは「合理的配慮の不提供」というところには該当しにくいけれども、差別的あるいは不適切な言動等の行為があったといったものをここに整理しています。
 また「不快・不満」といいますのは、差別的あるいは不適切な行為があったということまでは確認できないけれども、障害者が差別と捉え不快・不満があったものを整理しているということでございます。
 これは差別解消法の類型に該当しない内容であっても、しっかりと丁寧に対応して、分析の対象にしていこうということで、こういった整理をさせていただいているということでございます。
 もう一つは、「不当な差別的取扱い」と整理しておりますものが20件あったのですけれども、そのうち「合理的配慮の不提供」がその要因となっていると考えられるものが約半数の10件存在するということがございました。
 これは実際の事例をいろいろ見てまいりますと、合理的配慮の不提供によって、結果として本来受けることが可能なサービスが受けられなくなったり、あるいは制限されたりする場合が相当な割合で存在するのではないかということであります。
 府の地域協議会の中での議論では、こういった内容についても「不当な差別的取扱い」として捉えるべきだろうという意見を踏まえまして、このような類型の整理をさせていただいているということでございます。
 6ページの「分野別の相談状況」でございましては、商品・サービス分野が全体の約4分の1を占めているということでございます。
 7ページは「障がい種別の相談件数」でございます。こちらは肢体不自由のある方からの相談が一番多くなっているということでございます。その内容といたしまして、特に電動車椅子の利用者の方に関するケースが非常に多かったということでございました。
 8ページ目は、平成28年度に行ってまいりました「障がい者差別解消の取組みと相談事例等の検証」でございます。
 左側に書いておりますとおり、広域支援相談員が対応していくのですけれども、今年度におきましては、差別解消協議会のもとに設置いたしました合議体におきまして定期的にこれを報告し、広域支援相談員の相談状況等を総合的に分析・検証を行っていただきました。それをもとに広域支援相談員の対応力の向上を初めといたしまして、府の施策に反映していこうというスタイルをとったということでございます。
 9ページ目は、この合議体で検証いたしました広域支援相談員が対応した相談事例についてでございます。6分野ごとに、実際にあった相談事例等について、その相談対応等について御報告をし、評価等をいただいてきたということでございます。
 例えば商品・サービス分野でいきますと、感覚過敏のある方のプールの利用ということで、スイミングキャップを義務づけることにより、結果としてプールに入れなくなってしまうという事例等があったということでございます。
 10ページは、今年度、そういった形で分析・評価をいただいた内容のポイントをまとめたものでございます。
 「相談事例の範囲」についてなのですけれども、法律上の類型であります不当な差別的取扱いあるいは合理的配慮の不提供に直接該当しにくい差別的・不適切な言動などの事例につきましても、相談や分析等の取組対象にしていきましょうということ。
 例えば、差別的な言動といいますのは、当然、世の中の理解としては差別とみなされるべきものであることですとか、実際の不当な差別的取扱いの温床にもなり得るものであるということで、こういったことも含めて丁寧に対応していこうというのが1点でございます。
 「相談対応の姿勢」といたしまして、まず、円満な解決に向けまして初期対応が重要であるということ。広域支援相談員の条例上の守備範囲といいますのは、事業者における差別事象というものが対象になるのですけれども、そういったもの以外の相談であっても特に丁寧に初期対応を行って、権限のある機関にしっかりとつないでいくということでございます。
 3つ目の「相談の分類と整理」でございます。先ほど申し上げましたように、合理的配慮の不提供が要因となってサービス提供の拒否等が行われたものにつきましては、不当な差別的取扱いということで運用していこうということでございます。
 あっせんにつきましては、まだ具体的な事例がないのでシミュレーションの範囲なのですけれども、不当な差別的取扱いと断定できないものについても、あっせんを活用して解決することもできるのではないかということですとか、あるいはあっせんというものは、当然、社会の様々な影響を勘案する必要がありますが、障害者本人の意向を十分に留意しつつ、法の趣旨であります共生社会の実現に資するということを基本的なスタンスとして考えていかなければいけないのではないかということ。
 これらを踏まえた府の役割として位置づけられることといたしまして、分析等の成果を踏まえて、先に作成しております府の差別解消ガイドラインの改訂を初めとした啓発活動を展開していくということ。
 合理的配慮の実践、あるいは好事例を広く示すなど、事業者の自主的な取組を支援していこうということ。
 それから、広域自治体である府として考えた内容については、府内の市町村と情報を共有して、同じ考え方で対応ができるようにしていこうということ。
 さらには、今後とも事例の蓄積と、課題あるいは対応等の整理を行って、広域支援相談員の対応力の強化を図っていこうということでございます。
 こういったものがこの年度末の検証という形で取りまとめられましたので、来年度以降、大阪府としてガイドラインの改訂ですとか、あるいは事業者の自主的な取組を支援するための研修プログラム等の作成に取り組んでいきたいという形で考えてございます。
 雑ぱくですけれども、府の取組について御説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○野澤座長 どうもありがとうございます。
 以上の御説明について質問等がありましたら、挙手にてお願いしたいと思います。
 尾上アドバイザー。

○尾上アドバイザー 内閣府の障害者施策アドバイザーをしております尾上と申します。
 貴重な報告をありがとうございます。とても興味深く聞かせてもらったので、何点か質問をしたいことがあります。
 1つは体制に関してのことなのですが、協議会、合議体のそれぞれの開催状況といいますか、どれぐらいの頻度で開催されているかということと、広域支援相談員が何人ぐらいおられるのか、その数がわかればお聞かせ願えればと思います。
 次が3ページなのですが、3ページを拝見しますと、市町村の相談窓口からと、広域支援相談員に直接という両方の相談のルートがあるということなのですが、相談が上がってきたルートの比率みたいなものは、市町村の窓口を通じてというのと、直接広域支援相談員のところに来た数がどれぐらいかというのがわかれば教えていただければと思います。
 これが最後ですが、9ページ目の広域支援相談員が対応した相談事例ということで、いずれも非常に大切な対応をされているなと思っているのですが、その対応をされた後、例えば遊戯施設など、相手方の事業者があるわけですね。その事業者側のほうの対応といいますか、いわゆる改善とか、問題を解決したのか、どういうリアクションになっているかということがわかれば教えていただければと思います。

○大阪府 まず、開催状況についてなのですけれども、平成29年度におきましては、親会は2回、その下に設置しております合議体は8回開催をいたしました。基本的には類型ごとの評価・分析という形で進めさせていただいたということであります。
 それから、広域支援相談員の数ですけれども、定数上は4名という形になってございます。
 3ページ目の市町村と直接相談を受けた比率なのですが、それが4ページ目にあるのですけれども、一応の想定としては、できるだけ身近な地域でということで市町村が基本ですという形にはしておるのですが、現実的な対応として見てまいりますと、広域支援相談員が直接受けた相談が8割ということでございます。
 9ページの相談事例の中で、実際に解決されたのかどうかということでございます。この点につきましては、解決されたものもございますし、引き続き継続していくというものもございます。
 余り具体的には申し上げにくいですが、例えば、ある公共交通の事業者の中で、いわゆる不当な差別的取扱いではないのだけれども、差別的な言動があったといったお話があったときに、広域支援相談員のほうから直接に事業所のほうに話をさせていただいて、結果として事業所の中で研修等を実施していただいたりという形で改善が図られているようなケースもあるということでございます。

○尾上アドバイザー 後もう一つだけお願いします。広域支援相談員が4名おられるということなのですが、その方の経歴というか、どういう専門性をお持ちの方なのかということがもしわかれば、教えていただければありがたいです。

○大阪府 今、実際に広域支援相談員に入っていただいている方は、大阪府の障害に関する相談機関等で対応していただいていたOBの方が中心になっております。それ以外にも、府のOBではないですけれども、例えば、社会福祉士、精神保健福祉士の資格を持っておられる方にも入っていただいているということです。

○尾上アドバイザー ありがとうございました。

○野澤座長 他にはいかがでしょうか。
 渋沢構成員。

○渋沢構成員 渋沢です。千葉県で相談の仕事をしています。  この活動は初年度ですよね。結構数が上がっているなという印象を受けて、今年度、尾上アドバイザーと一緒に大阪のフォーラムに参加させていただいたのですが、大阪人の気質なのかなということを思ったりもしました。すみません。これは余計なことです。
 伺いたいのは、4ページで当事者の方からの御相談がとても多いということは、この府の取組が広報されているということもあるのでしょうけれども、1つは、市町村単位で余り窓口が機能されていないのではないかなという邪推もあったりして、そういう意味で、市町村が差別解消の仕組みをつくるための府としてのバックアップというか、助言というか、そんなことをされているようなことがあればお聞かせいただきたいのですが。

○大阪府 市町村の対応の話なのですけれども、これは府の差別解消協議会の中でもいろいろ御意見等をいただいているところでございます。例えば、大阪府として広域支援相談員で対応したもの、解消協の合議体の中でいただいた意見等を踏まえて、それを改善していこうということなのですけれども、そういった結果については、当然、府内の市町村にもフィードバックしていくべきだろうということが指摘されておりますので、そういうことをこれから進めていかなければいけないということが1点。
 もう一つは、広域支援相談員は、基本的には市町村から御相談があった場合、それに対して助言するということが条例上の位置づけの一つになっているのですけれども、必ずしもそれだけではなくて、広域支援相談員のほうから直接アウトリーチをかけていくといいますか、市町村の対応状況等について、どうなっていますかということを直接出向いて行ってそこで話をしていきながら、少しこういう形で改善したほうがいいのではないですかというような取組を、新たに去年の12月ぐらいから、受けるだけではなくて、市町村にアウトプットしていこうという形の取組を、今、徐々に始めているということでございます。

○渋沢構成員 ありがとうございました。

○野澤座長 他にいかがでしょうか。
 佐々木構成員。

○佐々木構成員 佐々木です。知的障害者の当事者活動をやっています。
 スライド番号7の相談件数のところで「知的障がい、10件」という項目があります。その相談内容がわかれば教えてほしいです。
 もう一つは、その相談内容10件の中は、知的障害者の当事者が自ら言っているのか、家族とかなのか、もしそういう内訳みたいなものがあれば知りたいです。

○大阪府 まず、知的障害の方の10件につきましては、記憶の範囲になりますけれども、御家族の方からの相談が多かったと思っています。具体的な内容として、先ほど少し事例で挙げさせていただきましたけれども、スイミングキャップをつけなさいということを一律に義務づけして、個別の配慮を行わなかったというものが事例としてあります。

○佐々木構成員 ありがとうございました。

○野澤座長 柘植構成員、挙げられていましたか。

○柘植構成員 今の佐々木構成員の発言と、その前の尾上アドバイザーの発言とも関係するのですけれども、資料とか統計のつくり方というか、とり方という視点です。
 5ページの類型なのですが、緑の「不適切な行為」というのがあって、不適切な行為があったものは「不適切な行為」に加えていたのですけれども、差別的な行為はあったのだけれども、「不当な差別的取扱い」ほどではなかったということですか。レベルの問題ということなのでしょうか。

○大阪府 先ほど申し上げましたように、例えば、不適切な言動とか、ある事業者の個人の従業員が差別的な発言をしたというようなこと、例えば、サービスは提供しているのだけれども、そういった発言をされたという内容等については「不適切な行為」の中に入れさせていただいたということです。

○柘植構成員 なるほど。その下の紫の「不快・不満」というのは、確認はできなかったけれども、本人がそう言っているということなのですね。

○大阪府 そうでございます。

○柘植構成員 実は青と赤のところが肝だと思うのですが、それには直接は当たらなかったかもしれないのだけれどもという予備的なというか、予備群というのか、緑と紫がとても重要なのですね。こういうとり方というのはなるほどなと思いました。はっきりしたものだけをカウントしていくのではなくて、このものも拾っていくという統計のとり方というのはとても大事だなと思いました。
 その解決ということなのですが、尾上アドバイザーがおっしゃったのですけれども、9ページのところなのですが、これは障害種別だとか、どういう訴えがあったのか、どういう困難があるのか、どういう対応をしたら満足したとか、満足できなくてこうなったというものは、エクセルか何かの分類はされているのかもしれませんけれども、そういうものをつくっていくといいのかなと思います。
 いいのかなというのは、恐らく施行されて1年経って、2年とか5年とか経っていって、自治体による差だとか、市町村による差だとか、あるいは好事例はこんなものがあったとか、大変な事案が出てしまったのだけれども、このように対応したらとてもよかったとかというようなものを日本中で共有していくためにも、余り整い過ぎると、がちがちになってしまってわかりづらいと思うのですが、ある程度整ったフレームのもとに、全国的な統計のとり方というか、資料のつくりというのがあってもいいのかなと思いました。
 以上です。

○野澤座長 プロセスなどもわかるとすごく参考になりますよね。

○柘植構成員 そうなのですよね。結果だけではなくて、そのプロセスなども非常に大事かもしれませんね。

○大阪府 ありがとうございます。
 今、この相談事例につきましては、具体的な項目だけしか挙げさせていただきませんでしたけれども、今回まとめました相談事例の検証という中には、今挙げました相談事例ごとに、広域支援相談員がどういう助言等を行ったのか、そして、そういった内容について、結果としてどうだったのかというのをまとめさせていただいているものがございまして、そういうものをこれから順にさせていただきたいなと考えているところです。

○野澤座長 渋沢構成員たちの相談支援の中核センターなども、報告を毎年するのですけれども、うまくいった事例のプロセスもあるし、うまくいかなかった事例のプロセスもあって、すごく参考になるのですよね。

○柘植構成員 そのレベルまで持っていくと、支援者というか、窓口や最前線の方に非常に有効なデータになっていくのかなと思います。

○尾上アドバイザー 先ほど柘植構成員が言われた点に関連してのお願いなのですが、もしそういう形でまとまったら、もちろん個人情報とかには配慮していただいた上で、こういうことに対してこのようにやれば、こう解決した、あるいはこうやったけれども、うまくいかなかったとか、なぜこういう差別的取扱いが生じたのか、ここを取り除いたら解決しましたみたいなことが見えてくると、すごくいいデータになってくるし、あるいはうまくいかない場合も、逆に次はどうすればいいのかという経験になって、蓄積としてすごくいいことになるのではないかなと思いますので、個人情報にはもちろん配慮をした上で、ぜひ事例に対してのプロセスやフローチャートみたいなものがわかるようなものをデータとしてまとめていただければ、ありがたいなと思います。

○野澤座長 これは大阪府だけではなくて、他のところでも、そういう取組をやっているところは、何か挙げていただくとすごく参考になるのではないかなと思うのです。内閣府自体がやるのか、調査研究の内容なのかはあれですけれども、またこの後の課題として検討していただければと思います。
 金構成員、どうぞ。

○金構成員 明石市で障害者施策を担当しています金(きむ)といいます。よろしくお願いします。
 貴重なお話をありがとうございました。
 2点ほどお伺いしたいのですが、1つは、4ページのところの先ほどの件数の話になるのですが、市町村に相談に行って、市町村では余り対応してもらえなかった。納得のできるようなアドバイスもほとんどなかったということで、その上で府のほうに相談があったという類いの相談というのはあったのでしょうかという点についてお聞きできればと思います。
 そういうものあれば、中身はともかく、それがどんな事柄の相談だったのかというのがわかれば、教えていただきたいのですが。
 それと、8ページのところなのですが、今、もう既にお話に出ていることとも重なりますが、広域支援相談員のところに「調整」というのがあるかと思うのですが、調整の中に「自主解決型」「助言型」「指導型」となっています。  明石市でも助言ぐらいのことは普段からそれなりにやっているつもりなのですが、「指導型」というのはなかなかやはり難しいなというのが率直なところです。相談者というのは、相手方との関係で近所づき合いとか、職場での話とか何かがあって、ともかく相手方にはこの話を伝えてほしくないという事案が非常に多いものですから、相談者の意向も尊重しなければいけないということで、いま一歩、踏み込んだ相談対応がまだ十分にできていない現状があるものですから、それとの関係で「指導型」というのがどんなイメージでこの分類の中に入っているのかなというのをお聞きできればありがたいなと思います。

○大阪府 まず、今おっしゃっていただきました広域支援相談員の「調整」という話なのですけれども、これは今まで相談を受けて対応していく中で、こういった分類ができるのではないかということを、年間を通して相談をした中で、あえてこういう整理をさせていただいて、今後はこういった項目ごとに件数の把握ができないかということで試行的につくらせていただいたということでございます。
 「自主解決型」といいますのは、相談者と関係の事業者の相互の考え方につきまして、広域支援相談員がこういうことですよということを伝達することによって、自主的な解決を目指すというのを「自主解決型」としています。
 「助言型」としておりますのは、今申し上げましたように、広域支援相談員が間に入って双方の話を伝達するのですけれども、それに加えて差別解消法の趣旨とか、あるいはその対応等の助言を行うというものを「助言型」としています。
 「指導型」としておりますのは、双方に伝達することに加えまして、差別解消法上の趣旨の説明をする。さらに、先ほど申し上げました差別解消協議会の合議体の中で見解が一定程度示される。その示された見解を明示して、こういった公的な機関の見解としてはこうなのですよということを伝達するということができないかということで、あえてこういう形での分類をさせていただいているということであります。ですので、まだ具体的に「指導型」というのはないということになります。
 それから、最初におっしゃっていただきました、広域支援相談員が直接受けた内容のうち、いったん市町村に相談をいただいているかどうかということについては、具体的にはどうだったろうか。

○大阪府随行者 個別には確認できているものもあります。市町村のほうに相談をされた後で府のほうに相談をかけられたと、そんな話を私どものほうにされたというものもありますが、件数としてどれぐらいの件数ですということはちょっと申し上げられないのですが。

○大阪府 まだそういう形の統計というのはとっておらないので、申しわけないです。

○河﨑構成員 同じ大阪ですので、余り発言しないほうがいいかなとは思ったのでありますけれども、私自身も大阪府の差別解消協議会の構成メンバーに入っています。
 やはりここまで大阪府がこういう協議会を立ち上げ、この1年間にこれだけの実績を上げてきたということについては、それに先立って障害者差別解消の条例を制定したということがあったのが大きかったかなと思っているのです。  かなりけんけんごうごうの議論があって、先ほど渋沢構成員がおっしゃったように、大阪人かたぎというのか、私は自分ではそうは思っていないのですが、他の県の人から見ると大阪人かたぎだなとよく言われますが、やはりそういう顔が見える関係で本音の話をするというのがすごく大事なのだろうと思うのです。
 そこはそれぞれの立場で思うところがあって、それをちゃんとお互いにそういう平場でぶつけ合いながら何かをつくり上げていく。一番事務局が苦労をするのはよくわかっているのだけれども、その御苦労がこういう形で実を結んでいくというのは、同じ大阪の構成員として非常にうれしく思っています。
 その上で、先ほど来いろいろ質問がありましたけれども、広域支援相談員への相談の経路というところで、やはり市町村の割合がまだ少ないと。これは実際、今、大阪府下の各市町村で支援協議会を立ち上げているのは何割ぐらいでしたか。

○大阪府 ちょうど半分ぐらいかと思われます。

○河﨑構成員 まだそんな程度なのですよね。なので、予定も含めると、多分これから平成29年度、30年度にかなりの数の市町がつくるという予定であったと思うので、それが増えてくれば市町村からの相談というのもかなり出てくるかなと思います。
 そういう意味で、1点、今後の分析で必要だと思うのは、市町村を通じて広域支援相談員に相談があったというのは、その市町村に協議会が設定されているのか、いないのか。そういうものが設定されているから、そういう相談が上がってきやすいのか。そこはどうなのかというのは、今後、分析をしておいたほうがいいのかなと思うのですが、今、ある程度ニュアンスが何かおわかりであれば、教えていただきたいと思います。

○大阪府 ありがとうございます。
 今、まさにそういう分析をこれからしないといけないのかなと思っているところであります。市町村説明会等でこういった協議会の立ち上げについて働きかけ等を行ったり、先ほど申し上げましたような広域支援相談員が直接出向いて行っての話し合いの中で、つくっていくことについて働きかけを行っていかなければいけないと思いますし、その結果、相談件数にどのように反映されていくのかということにつきましては、今おっしゃったとおり、これからしっかり分析していかないといけないなと思います。ありがとうございます。

○又村構成員 又村と申します。神奈川県の平塚市で差別解消法の施行の担当と、内閣府のアドバイザーもさせていただいております。
 すごくやわらかい質問とすごくマニアックな質問が1つずつあります。
 最初のやわらかい質問は、初年度でこれだけ相談が出ているということに、大変驚いていまして、実は平塚のエリアでは相談と呼べる相談がまだ本当に数件というレベルなのです。
 ということは、逆に言うと、かなり周知というか、条例や法を広めるための工夫をなさったか、もしくは先ほど河﨑構成員がおっしゃったように、けんけんごうごうの議論の中で、議論した以上はしっかり私たちも伝えるよ、みたいなことで、障害当事者団体が周知・啓発にかなり協力していただいたのではないかという推測をしたのですが、そのあたりの啓発あるいは周知に関する取組をわかる範囲で教えていただければという質問でございます。
 とてもマニアックなほうの質問は、条例をお持ちの都道府県はいずれも同じ悩みにぶつかるのではないかと思うのですが、条例に基づく知事の権限行使である助言、指導、あっせん、場合によっては事業者の氏名の公表等、本来、法に基づいて主務大臣が行う事業所への報告徴収などが、地方分権の関係で都道府県知事に権限が委譲されているケースの、大臣になりかわって府知事が行う権限行使とのすみ分けというのですかね。やるとすれば、両方とも大阪府の差別解消協議会でやるのだと思うのですけれども、そのあたりがある程度交通整理ができているようであれば、他の条例を持っている都道府県にとてもお役に立つかなと思うのです。
 これからの検討であれば、今後の検討課題ですということで全然構わないのですが、その2つをお聞きできればと思います。

○大阪府随行者 権限行使の話をさせていただいてもよろしいですか。
 法事務委譲の権限行使の話とこの条例の権限行使は、全く別物として我々事務局としては取り扱っています。でないと、事務委譲の権限といいますと、おっしゃるように、それこそ都道府県の知事に降りているものもありますけれども、例えば、市町村長のほうに降りているものもございますし、また、私どももおつき合いさせていただいています近畿運輸局とか、そういった国の地方機関のほうでやっておられることもございますので、我々はそこの範囲は条例の範囲とは別個と考えております。

○大阪府 初めの啓発の部分ですが、府のほうで幾つか啓発のものをつくったり、府の努力もあるのですけれども、おっしゃっていただいたとおり、やはり当事者団体の方のPRというのが非常に大きいのかなと思っております。それぞれの団体の中でシンポジウム等をされて、そこで我々が御説明させていただくような機会等もございますし、そういう意味では当事者団体の力というのは非常に大きいのかなと考えます。

○又村構成員 ありがとうございました。

○野澤座長 私も1つ。広域支援相談員なのですけれども、身分は県の非常勤職員ですか。

○大阪府 非常勤職員です。

○野澤座長 勤務は普通の9時~5時の週4日ですか。

○大阪府 そうですね。週4日という形になっておりまして、時間は概ね9時~5時です。

○野澤座長 普段はどこにいるのですか。

○大阪府 普段は、私どものすぐ横に相談員の場所がございまして、そこにいつでも来ていただけるような形になっております。

○野澤座長 電話で受けたり、出かけて行ったりということですか。

○大阪府 電話で受けたり、出かけたり、そこでお話を受けたりということでございます。

○野澤座長 大阪市と堺市は除く大阪府全体ですか。

○大阪府 そこは必ずしも大阪市は除くとか、そういう形はとってございませんで、基本的には御相談を受けた内容につきましては、対応していくと。当然、市町村と連携をしながらやっていくというようなことはありますけれども、そこで政令市と一般市で分けるという考え方は今はとっておりません。

○野澤座長 大阪府の人口は880万人ぐらいいますよね。

○大阪府 そうですね。

○野澤座長 4人だと結構大変かなと思うのですよね。ちょっとそこだけ心配なのです。
 堀江構成員、お願いします。

○堀江構成員 就業生活支援センターの担当をしている堀江といいます。よろしくお願いします。
 私たち東京都もいよいよ都条例をつくるということで動き出しまして、非常に具体的な取組で、わかりやすくて参考になるところがたくさんありました。
 特に御本人からの相談で、虐待防止法のときにも、件数は上がるのですけれども、知的・発達の方の場合、感じ方だとか、本人の問題として処理されているところが結構多くて、言い出せないというか、言っても解決がつかないというところで、丁寧な感じ方の拾い上げの項目だとかを出していただいたことはとても参考になるなと感じました。
 ごく最近、労働局管内の就業生活支援センターの会議がありまして、私たちの管内のところでは差別解消の申立てがまだ19件ぐらいだったのです。でも、実は19件のうち半分が虐待防止に抵触するのではないかということで、このギャップみたいなもの、御本人は差別ではないかと言われたのだけれども、半分ぐらいが虐待に当たるというところで調整に入られたそうなのですが、労働局まで上がってきているというところで、こんなに少ない件数ではなくてもっと件数はあるのかなというのは現場で感じているところです。
 今のところ、御家族からということだったのですが、本人がこれは差別であるとか、虐待であるとかということの認識がなかなか難しいとか、そこにまだまだたくさんの大変さがあるのではないかなと思っていますので、どんな本人向けの啓発をされたのか、御本人からの発信がなかなか難しい方とか、認識が難しい方についての啓発だとか、そのあたりはどんな取組をされたのかというのをもう少し具体的にお聞かせいただければと思うのですが。

○大阪府 御本人向けにできるだけわかりやすくということだと思うのですが、大阪府の場合で申し上げますと、府の育成会のほうで、例えば、こういった法律のわかりやすい版というのをつくっていただいたりしていまして、それと府のホームページにリンクを張らせていただいて、知っていただくとか、十分ではないかもしれませんけれども、今の府の取組としてはそんな形でやっております。

○堀江構成員 そこに課題があるということは認識されているのですね。

○大阪府 そうですね。

○堀江構成員 ありがとうございました。

○野澤座長 よろしいでしょうか。
 かなりわかりやすくて、中身もとてもすばらしいものだったので、議論がたくさんできました。どうもありがとうございました。
 それでは、議題2として、障害者差別解消支援地域協議会設置・運営等に関するガイドライン(案)について御議論いただきます。

○杉田企画官 資料2-2のガイドライン(案)をもとに説明をさせていただきます。  地域協議会に関しましては、現在、手引きと設置運営指針が存在していることは御案内のとおりだと思います。ただ、内容的に重複している部分が相当あるということと、かねてから自治体の担当者から、手引き、設置運営指針が併存していることについて、わかりづらいとか、手引きのほうが理解しやすいといった意見を聞いているところであります。
 そういったこともありまして、今般、手引きをベースとしつつ、手引きと設置運営指針を一本化して新たにガイドラインとすることとしたいと考えているところであります。
 名称自体は「ガイドライン」に変えておりますけれども、法に基づく地域協議会の円滑な設置、効果的な運用を推進するための自治体の担当者向けのマニュアル、そういった位置づけは変えておりませんので、引き続き活用してもらいたいと考えております。
 このガイドライン(案)の作成に当たりましては、これまで検討会で皆さんからいただいた御意見、それから、自治体からも幾つかヒアリングをさせていただきましたが、そういったものを最大限反映させたものとさせていただいております。
 今日は資料2-1と2-2の両方お配りしておりますが、内容的には両方同じものでありますので、資料2-2をもとにして手引きからの変更点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 目次がありまして、1ページ目の本文「はじめに」というところから始まります。赤字の部分が記述の追加部分となっております。
 1ページ目では、手引き、設置運営指針を土台としつつ、検討会での議論を反映してガイドラインを作成したといった趣旨を書かせていただいております。
 今、調整中ですので、資料としてはお配りしておりませんが、検討会でヒアリングを行った自治体、内閣府のほうで別途調査した自治体の取組につきまして、これは一応、今、13の自治体を想定しているのですけれども、巻末に事例集を添付することを考えております。そういったことについても、ここに言及させていただいております。
 2ページ目でありますが、地域協議会の必要性を強く訴えるために、地域協議会を設置しなかった場合に招くおそれのある事態、デメリットについて、赤点線の四角の中で新たに記載することといたしました。
 3ページ目の「(3)職員の事務負担の軽減」のところでありますが、具体例といたしまして、これは北九州市からいただいたお話ですが、民間部門と協働した取組をここに記載しております。
 4ページ目でありますが、地域協議会のメリットといたしまして、新たに(5)といたしまして「互いに『顔』の見える関係の構築」の項目を設けることとしております。
 5ページ目でありますが、冒頭の地域協議会で具体的に何をやるのかという点につきまして、法の趣旨の範囲内で地域の実情に応じてそれぞれが判断するという大前提をまず明記させていただいたところです。
 想定される所掌事務としてなのですが、ここに丸数字が打ってありますけれども、①~⑧までの8項目といたしまして、⑦と⑧の2つを新たに追加することといたしました。
 7ページ目に⑦が書いてありますけれども、自治体に行ったアンケート結果からいたしますと、個別の相談事案への対応を行っているという自治体がそれなりにあったというところであります。そういったことも踏まえまして、⑦を新たに記載することとしたというところであります。工夫している例、例えば、相談を取り下げた後も継続して調査を実施するとか、相談者への対応状況を情報提供するとか、そういったことについても記載をしているところであります。
 これに関連いたしまして、5ページ目の項目①でありますが、①も⑦もいずれも個別事案について言及しているものであります。項目①については、個別事案を一般化して共有することとするもの、項目⑦については、個別事案そのものに対応するものを整理しております。
 8ページ目の「⑧その他」ですが、これは山口県から紹介があった「あいサポート運動」の関連する取組を行うことで、相乗効果が期待できるといったことを紹介しております。
 その他の修正点といたしまして、7ページ目に戻りますけれども、項目⑥におきまして研修の具体例を追記するとともに、地域協議会の各メンバーを通じて幅広い事業分野の周知効果が期待されるといった趣旨のことを記載することといたしております。
 8ページ目でありますが、「協議の対象となる事案」について、これまで設置運営指針だけに記載されていた協議の対象とする事案の考え方について、(2)として項目を新設することといたしました。
 10ページ目でありますが、ちょっと細かいのですけれども、最初のパラグラフの文末のところで、これまでは設置運営指針だけに記載をしていた、必ずしも条例を根拠とする必要はないというような趣旨を追加させていただいております。
 それから、既存の会議体を活用する場合に、お互いに異なる会議であることが明確になるよう留意する必要があること、地域協議会の設置に消極的な市町村には都道府県からの働きかけが有効であるといった趣旨のことを書かせていただいております。
 11ページ目の「(2)親会議と子会議」のところですが、見出しのところがこれまでは「会議の運営」となっておりました。会議の運営全般の話を書いていたところから、親会議と子会議との関係性にここを限定いたしまして、子会議を設けるメリット、それから、赤の点線枠内のところで親会議と子会議の役割分担の例、それから、子会議を設けない場合の代替手段などを加筆することとし、会議運営のあり方については、後ろのほうに出てくるのですけれども、独立した項目として別途設けることとしたところであります。
 12ページ目の「(3)メンバー」の「①メンバー構成」については、12ページから13ページにかけてなのですけれども、赤の点線枠内で留意事項を新たに記載することといたしました。
 具体的には法曹関係者、医療関係者、法務局、労働局、警察、先進的な取組を行う事業者、民間団体、自治体内の主要な関係部署等をメンバーに加えることが有効であること、それから、バランス確保の観点から、経営者団体と労働者団体など立場が異なる団体をともにメンバーに加えることが有効であることなどを記載しております。
 それから、地域協議会のメンバーに入った障害者団体には、地域における啓発活動の講師を務めてもらうなど、様々な取組に協力いただくことも考えられる旨を盛り込んでいるところであります。
 14ページに移りますが、「②オブザーバー」の項目を新たに設けまして、仮にメンバーへの就任を断られた場合、オブザーバーの立場で参加してもらうことも有効であるといった記述を新たに追加しております。
 15ページ目でありますが、「③性別、年齢及び障害種別」の項目を新たに設けることとして、幅広い障害種別の方の参加を得ることが重要であること。障害当事者と保護者、後見人等の見解は必ずしも一致しないこと。メンバーが多過ぎると実質的な議論が難しくなるおそれがあることについて加筆をしております。
 15ページから16ページにかけて「(4)事務局」の「①事務局の運営主体」といたしまして、これは北九州市から話があったのですが、障害者団体連絡協議会等の民間団体と協働した事務局の運営、複数自治体で地域協議会を立ち上げる場合の事務局機能の円滑な引継ぎといったところについて加筆をしております。
 16ページ目の「②事務局の役割」といたしまして、これまで設置運営指針にしか記載がなかった記述、事務局にもコーディネート機能を持つことが望まれるといったところを明記することといたしております。
 16ページから17ページにかけてでありますが、「③事務局に求められる配慮」の項目も新設することといたしました。メンバーの障害特性を踏まえた情報保障、それから、障害者差別解消法に基づく環境の整備に関する予算要求上の工夫として、障害福祉担当部署で一括要求するのではなくて、それぞれの部署で要求するといったことを新たに盛り込むこととしております。
 17ページ以降では、項目の柱書きのところですが、(5)を「都道府県と市町村の違い(広域での設置)」から「設置主体」に改めた上で①~④の小項目をそれぞれ設けることといたしております。
 また、これまで設置運営指針にだけ記載されていた設置主体別の役割分担の基本的な考え方を冒頭部分で明記することといたしております。
 17ページの「①都道府県で設置する場合」の項目につきましては、これまで設置運営指針にだけ記載されていた期待される業務を18ページの赤色の点線枠内の赤字部分で追記することにいたしております。
 18ページ目の「②市町村単位で設置する場合」のところなのですが、複数市町村が連携して設置をする場合と比べまして、単独設置にはいろいろなメリットがあるというようなところ、それから、比較的規模の大きい自治体では自治体単位で設置することが効果的である旨を記載しております。
 19ページ目の「③複数市町村が連携して設置する場合」の項目では、効果的な取組といたしまして、根拠規定を機動的に整備できるよう、例えば、地域協議会の会長決定を根拠として位置づけること。
 それから、20ページ目の市町村間で温度差が見られる場合には、積極的な市町村が消極的な市町村を巻き込んでいくというようなこと。その際、本気度を示すために管理職員による調整を試みたり、都道府県が仲介を行うことといった記述を新たに記載しております。
 「④役割分担」のところなのですが、ここもこれまで設置運営指針にしか記載されていなかった具体的な役割分担の例を追記することといたしております。
 22ページ目の見出しのところなのですが、もともとは「守秘義務」であったところ、設置後の運営について幅広く取り上げる内容に改めまして、小項目として(1)~(4)とすることといたしております。
 (1)といたしまして「議題等の検討」と書いておりますが、開催初期の段階では基礎的な事項をメンバーにしっかり理解してもらうことが重要であること、「一つのストーリーを紡ぐ」ように地域協議会の各開催時に求められることを具体的にイメージして議題を検討する必要があること、名刺交換など各メンバーが交流する時間を自然に設けるようにすることが効果的であることに言及した上で、僭越ながら、赤の点線枠内で初回開催から3回目ぐらいまでの開催の議題の流れの例を紹介することにいたしております。
 23ページから24ページにかけての「(2)守秘義務の確保」のところでありますが、ここもこれまで設置運営指針にしか記載されていなかった細目、事業者情報の扱い、協議会に直接参加していない上司の扱いといったことについて追記するとともに、個人情報保護と事例のわかりやすさのバランスの重要性、人口の少ない地域では一般に固有名詞が特定されやすくなるなどの事情を加筆することといたしました。
 25ページ目「(3)公開・非公開の判断」の項目なのですけれども、公開・非公開の判断自体は、地域協議会の機能、協議事項、地域の実情等を踏まえて判断する必要があること、公開する場合は守秘義務に抵触しないよう留意する必要があること、公開しない場合は、例えば、議事概要を公表したり、記者へのブリーフィング等を行うことが望ましいこと、通常は公開するが、個人情報に係る議論を行う場合は傍聴者に一時退室を求めるなどの運営も考えられることなどについて、新たに記載することといたしております。
 25ページ以下の「(4)事例の収集」の項目なのですけれども、適切な事例収集が地域協議会の実効性ある議論に向けた鍵であり、潜在化した事案を掘り起こしていくことが重要である旨を冒頭部分で明記した上で、「①間口の広い相談体制の構築」「②アンケートの工夫」の小項目をそれぞれ設けることといたしております。
 「①間口の広い相談体制の構築」の項目なのですけれども、厳密には差別事案に該当しない相談、日々の小さな不快・不満等に関する相談についても、入り口段階で一律に排除をするのではなくて、まずは相談窓口で傾聴することが望ましいこと。
 これは大阪府からも話がありましたけれども、「不適切な行為」「不快・不満」の類型を設けて幅広い間口で相談に対応している例もあること。
 相談窓口で相談していたとのうわさが拡散することを懸念する方もいらっしゃいますので、郵送や電子メールでも相談を受け付けるなどの配慮も求められること。
 相談フローを明確化して、どの相談窓口でも十分な対応ができる体制を構築していくことが望まれることについて記載することといたしております。
 26~27ページ目の「②アンケートの工夫」という項目なのですけれども、事業者の合理的配慮や建設的対話を広げるためには同業種、類似業種の好事例を水平展開することが有効であり、その手段としてアンケートで事例収集を行うことが考えられること。
 障害者本人に差別を受けたという自覚がない場合もありますので、障害者向けのアンケートの設問としては、例えば、障害のために困ったこと、障害のために悲しい思いをしたことといった項目を挙げることが有効と考えられること。
 事業者は自分の会社についてネガティブな印象を与えたくないとする傾向がありますので、事業者向けのアンケートの設問といたしましては「あなたの会社で差別事例はありましたか」ではなく「悩ましいと感じていること」「寄せられたことのある要望」など、自然体で回答しやすい設問にすることが大切であること。
 事業者に指摘を行う場合に、まずは事業者のすぐれた取組を評価した上で、さりげなく、かつ、建設的なトーンで接するなど、入り口のところでの工夫が効果的であることなどについて記載をすることといたしております。  以上が手引きからの主な変更点であります。今日のこれからの御議論も踏まえまして、さらに内容の充実を図っていきたいと思っております。
 それから、今日の配付資料には添付しておりませんけれども、巻末部分に自治体向けのアンケート結果、それから、先ほど申し上げました13の自治体の事例集を添付する予定になっております。現在、その内容について確認中でありますので、でき上がりましたら、また構成員の方々にメール等で御報告をさせていただきたいと思っております。
 最後に、加藤大臣に問題意識をお伝えしたいと思っているのですが、小規模自治体については、地域協議会の設置が進んでいないというところではあるのですけれども、そういった小規模自治体全てについて、外形上すべからく設置せよというよりも、まずは原点に立ち返りまして、市町村単位で差別解消のための取組をどのように進めていくのかというところを明らかにして、その上で、実事として地域協議会の必要性を感じてもらえれば、言い換えますと、自治体のほうでその意識が高まっていけば、設置して活用してもらうということではなかろうかというところであります。
 今後は量よりも質を重視すべき段階になるという議論をこの場でもいただいておりますが、遅れている市町村の取組を後押ししていくためにも、内閣府といたしまして、例えば、都道府県と組んで、自ら自治体に足を運んでいくというようなことも視野に入れつつ、今後、内閣府としても汗をかいていきたいなと考えているところであります。
 説明は以上です。

○野澤座長 どうもありがとうございました。
 では、残った時間は自由討議に移りたいと思います。本ガイドライン(案)について御質問、御意見等がありましたら、挙手にてお願いします。
 渋沢構成員。

○渋沢構成員 渋沢です。
 杉田企画官が最後に小規模自治体に向けてのお話をされましたが、私もこの会議で一貫して、うちの活動しているところが小さい市町村なものですから、そういう立場で関心を持って参加させていただきました。
 私が活動しているところは、9万人ぐらいの市と周りに6つの町・村がある都市と農村が半々ぐらいの地域で、この協議会の立ち上げが地元でも動き始めているところなのですけれども、私と、千葉県では先ほど大阪府から御紹介いただいたような条例に基づいた指導員が地域ごとにいるものですから、行政の方と一緒にやっていこうみたいな働きかけをしている中で、やはり特に町・村の障害福祉を担当している人は、いろいろな会議がある中で単独でこういうものをつくるのは、モチベーションということ以外にも、実務的にそんな日程はとれないよみたいな意見というのも軽視してはいけないなということとか、そもそも住民とか当事者の方たちの中には権利意識とか差別意識を余り持っていらっしゃらない方も多いので、そこは啓発していくことと同時に、担当者自身が気がついていくということも必要だと思うのです。
 ちょっと長くなって申しわけないですが、何度か話をしていく中で、そういうことも考えなければいけないなみたいな、例えば、市の担当の方が休日の日にデパートに行ったら、電動車椅子の方が向こうから来られて、開けるボタンを押して待っていたら「俺はそんな配慮は要らないよ」と怒られたりして、かくも個別的なのだなということをこの方は気づいた。そのようなことを積み上げていくのがとても大事だなと思っています。
 そういう観点で、このガイドラインについて3つぐらい意見があるのですが、1つは、2ページ目のなぜ必要なのかということで4つあるのですけれども、私、そもそも協議会が必要なのは、みんなで差別というのは何なのかということを考えたりとか、この人が考えている差別観とか、人生観ということになるかもしれないですが、そういうものを積み上げていくためにそういう場所が必要なのだと思っているのです。
 なので、この4つの他に、こういう場所がないと、気がつかなくて埋もれてしまうこと、表面化していかないこと、そのためにこういう場所が必要なのだということをぜひ入れていただけるといいなという意見です。
 2つ目は、10ページ目のところで、ここはちょっと微妙だと思うのですが、赤字の最初のところで「ただし、この場合、障害者差別に係る議題と、それ以外の議題について議論する時間帯を分けるなど、互いに異なる会議であることが明確になるよう留意することが適当です」と書かれているのは、小さい自治体にとっては設置に対して結構厳しい文面だなと思っていて、法的な位置づけ云々ということがあるのでしょうが、ここを削除できないかなということは御検討いただければと思います。
 3つ目は、18ページから19ページで「②市町村単位で設置する場合」というところがありました。赤字のところで、比較的大規模な自治体については単独で設置するメリットがあるというお話がありましたが、その大規模な自治体とその下の政令市の間あたりに、一方で、小規模な市町村については機能を限定するとか、14ページに書いてある想定される構成機関にとらわれなくていいとか、そのような記述をしていただけると、少し設置がしやすくなるのではないかなと思いました。意見です。

○野澤座長 事務局から何かありますか。今の御意見についてはどうですか。

○杉田企画官 2ページ目のところで1つ追加と、そういった差別に関して気がつかなくて埋もれていくようなことがないように、こういった場が必要だというのは、ちょっと表現を工夫して入れる方向で考えさせていただきたいと思います。
 それから、10ページ目のところ、時間帯を分けることについて、小さい自治体にとっては厳しいので削除できないかというところですが、ここにつきましては、いろいろな御意見があろうかと思いますので、この場でいろいろ御議論をいただければと思います。
 それから、19ページ目のところ、小規模自治体につきましては、機能を限定するとか、構成機関にとらわれないとか、ここはそういう前提で全体の文章を書いているところでもありますので、表現を工夫して何かしらか入れる方向で考えたいと思います。

○野澤座長 ありがとうございます。
 他にはいかがでしょうか。
 関哉構成員。

○関哉構成員 関哉と申します。
 意見なのですが、12ページから14ページの「①メンバー構成」なのですが、当事者とか当事者団体の位置づけがちょっと明確ではないというか、優先されていないような気がするので、法律上はいろいろな解釈があろうかと思いますけれども、実際上は当事者の参画というのが非常に重要なことだと思いますので、記載上それをもう少し格上げしていただきたいというか、想定される構成機関等には入っておりますけれども、もう少し重要視していただきたいなというのが1つです。
 2つ目としては、22ページ以下の「5 設置後はどのように運営すればいいですか?」というのが、開催1回目、2回目、3回目と入れていただいて、非常にわかりやすくなっていると思います。
 気になるのは、この辺はもう自分で考えてくれという話なのでしょうが、他のところに書いてあるかもしれませんが、大体どのぐらいの頻度で開けばいいのか。実例としてどのぐらいのところが多いというのを書くのか、書かないのかという問題はあるのですが、実際に始めるに当たっては、書いてあげたほうが丁寧かなというのと、これはどちらでもいいのですけれども、3回目以降はどんなことをしていけばいいのか。余り過保護になってもいけないのですけれども、どんなことが大きく想定されるのかというのがあってもいいかなと思いました。
 25ページ、26ページの「(4)事例の収集」というところで、収集の前提としての相談事案の絶対数が少ないと書いてありますが、相談事案の底上げを図るための啓発という機能を協議会のほうにどう持たせていくのか。
 それは本来は自治体の責務なのでしょうけれども、実際のところは啓発に関しての取組をやっている協議会等が多いと思うので、実際にどんな取組をしているのか。協議会として地域フォーラムを継続していったりとか、そういう面もあろうかと思いますが、そんな具体例を書くかどうかというところはあるのですが、一応、そういった啓発についての位置づけをどこかに入れておいたほうがいいかなというところで、25ページの「事例の収集」のあたりに入れてはどうかなと思いました。
 以上です。

○野澤座長 もし今の御意見に関連することがあったら。なければ、事務局のほうから。

○杉田企画官 いずれもいただいた意見を踏まえまして、何かしら盛り込む形で表現を考えたいと思います。

○野澤座長 では、尾上アドバイザー、お願いします。

○尾上アドバイザー 何点かあります。
 過去2回は日程が合わなくて、今日、最後の会だけに出て意見を述べる失礼をおわびいたします。
 去年の10月段階で、内閣府でやった協議会の設置状況の調査結果があったと思うのですね。その中で、私が特にこれから重点だなと思ったのは、その他市町村で設置未定のところが43%ぐらいあった。つまり、やらないと決めているわけではなくて、未定のところにやる気になってもらえるかどうかというのが多分メインのターゲットになるのだと思うのです。都道府県、政令指定都市はたしかこの4月ぐらいで100%なので、一般市町村の43%のところにどう届けるかというところかなと思います。
 地域協議会は「できる」規定なので、書きぶりはそれなりの制限はあるとは思うのですけれども、この文章の「はじめに」に入れるのか、あるいは、これを自治体にお送りするときの表書きのところで、43%ぐらいのところが今後検討されることなので、ぜひこれを活用していただきたいみたいな形で、特に誰に見てほしいかということにアクセントをつけて、未定のところに特に参考にしてほしいのだということをつけ加えていただければと思うのが1つです。
 それと、先ほど関哉構成員がおっしゃったことと関係するのですが、13、14ページのところですが、13ページの「なお、地域協議会のメンバーである障害者団体等には」となっているところはすごく大切だと思うのです。
 内容的には、付け足しというよりは、どちらかというと、前提的な認識として、地域協議会のメンバーの中に障害者団体をマストで含んだ上で、「なお」みたいな形の文章構成になっています。これは「なお」というよりは、その上のメンバー構成のところで障害者団体、障害当事者の重要性みたいなことがわかるようにされたらどうかなと思います。
 もう一つは、これはアイデアですが、14ページのところで「関係機関団体等」という中のトップに「当事者」と出てはいるのですけれども、もしあれだったら、カテゴリー分けのところで「行政」「当事者」「関係機関団体等」と、当事者というのをもう一つ上の項目にレベルを上げられたら、わかりやすいのではないかなというのが意見です。
 最後、細かなところなのですけれども、26ページの下から4行目の「障害者本人には差別を受けたという自覚がない場合があります」。だから、困ったことや悲しい思いをしたことはありますかといった聞き方が必要ということです。ここは大事な指摘なのですが、自覚がない場合があるというのは事実なのですけれども、障害者本人には差別を受けたと自覚するのが難しい状況に置かれてきた。自覚がないのが問題だというよりは、それが自覚できない状況に置かれてきたということが問題だと思うので、「自覚するのが難しい場合があります」としていただければと思います。
 以上です。

○野澤座長 それはそういう方向でよろしいですか。

○杉田企画官 はい。

○野澤座長 ありがとうございます。
 他はいかがでしょうか。
 金構成員、どうぞ。

○金構成員 1つ言わせてもらいたいなということがありまして、溶け込みの19ページのところです。この中では、都道府県、市町村の地域協議会のそれぞれの役割分担というところで、要約的に書かれていると思うのです。
 これは明石市でやっていての実感なのですが、明石市では条例をつくって、その条例を市内にどうやって定着させていくかなということで追われているところです。
 ただ、実際の相談事案といいますか、いろいろな潜在的な事案も含めて、当然、市内で起きる事案については、条例で対応するというのが基本的な考え方ではあるのですけれども、事案によっては条例で対応することができない場合があります。例えば、明石市民が市外に出かけて行ったときに、そういう差別事案が起きたときにどうするかということについては、条例は対象にできないのです。条例上、対象になる市民は、明石市内に居住している市民というように、主に居住要件で定めていますので、明石市の条例では、例えば、通勤・通学など通年長期にわたって市外から明石市に来る場合は対象にしているのですが、それ以外の買物とかレジャーとか、そういった場合には条例の対象にはなっていないということがあります。
 何が言いたいかというと、要するに、市民が市外に出かけたときに障害を理由とする差別事案に直面した場合、では、どこが引き取るのかというのが、今、非常に曖昧になっているというのが実情かなと思っています。差別事案が起きたところの自治体がちゃんと引き取って、市外から来た人に対しても、相談者が来たら対応すればいいのではないかとはなっていない状況があるなと思っているのです。
 そのように考えると、明石市の場合でしたら、県内の市町村と県の連携・協力の具体的な中身、差別解消に向けた連携のあり方というのが、今後、具体的に取組として考えられていく必要があるということをもう一歩踏み込んで書けないかなと思うのです。
 この役割分担の整理の仕方のところで、余り踏み込んで書くのは難しいというのは当然あるかと思いますが、できれば、例えば、都道府県と当該の市町村との定期的な情報交換や連携の協議の場をつくることが期待されるとか、望ましいとか、そんなほわっとした言い方でもいいのですが、そういう必要性を感じていただけるような記述があればいいかなという感じがいたしました。

○関哉構成員 関連して金構成員に質問なのですけれども、明石市民が明石市以外の自治体にレジャーに行ったときに、レジャー先で差別を受けた場合は、条例があったとして、どこの条例も適用されないのですか。

○金構成員 少なくとも明石市の場合でしたら、明石市の条例でいうと、明石市民が市外に出かけて行ってそういうトラブル・事案があったときに、それを条例で対象にできるかというと、今のところ、それはできない解釈をしています。

○関哉構成員 なるほど。かといって、出かけた先の自治体の条例があったとしても、レジャーで来られた方が差別を受けた場合に、そこでも救済されない可能性が高いということですよね。

○金構成員 そうですね。そもそも市外の自治体だと条例をつくっていない自治体がほとんどですから、普通は差別解消法という法律で対応するということになると思うのです。

○河﨑構成員 法律の対象にはなるのですか。

○金構成員 それはなるのです。条例があればいいのですけれども、ない自治体のほうがまだまだ多いわけですから、そういった意味で、条例というよりも、例えば、法律の中で都道府県と市、または市とそれ以外の市との連携がどのような形で考えられるかという問題として、特に条例がない自治体の場合にどうなるのかなという課題があると思います。
 そういった意味では、条例の趣旨としては、明石市に居住している市民が差別事案とかトラブルに出会ったときに、当然、何とかしたいなというのが条例の考え方としてはあるのですけれども、一旦市外に出て行った場合の話となると手が出せないものですから、そこのところを、兵庫県なら兵庫県と連携をしながら、そういった事案について、当該の事案が起きた自治体との関係で一緒に考えて対応していくというようなことがこれから必要になってくるだろうと思うのです。
 そのための連携の必要性というのが非常に具体的に生じているというのが現状だと思うので、そういった問題認識を共有して、自治体レベルで都道府県、市町村が持つ必要があるのではないかなという趣旨で、発言をさせていただきました。

○河﨑構成員 例えば、明石市の条例の中に、明石市の住民が他市へ行って、そこで差別的扱いがあった場合に、それは明石市の条例で対応しますとかいうようなことは法的には設定できないのですか。つまり、条例によってその辺までカバーできるような条例というものは可能なのかどうか。

○金構成員 そこは居住要件を基本にしていますので、検討していなかったです。むしろ他の自治体、例えば、千葉県なら千葉県の条例で、県民が県外でそういう差別事案に出会ったときに、県の条例が対象にできるのかどうなのかというのをお聞きしてみたいというのもあったりします。

○野澤座長 あれはまさに問題になっていましたね。北海道で何か。あれはどうだったのかな。

○又村構成員 簡単に言うと、任意の調整はできますけれども、条例はあくまで地方公共団体の施政権が及ぶ範囲に限定されるので。

○野澤座長 たしか申し入れか何かをやったとか、その程度だったと思いますね。

○河﨑構成員 そうすると、例えば、条例がなくたって協議会がある市町村は結構多いだろうと思いますけれども、それも対象にはできないということですか。

○又村構成員 今、金構成員がおっしゃったのは、市町村もしくは都道府県が持っている条例において、その条例の効果がどこまで及ぶかという議論なので、障害者差別解消法という法に基づく効果については、当然、全国に及びます。

○河﨑構成員 大丈夫なのですね。

○又村構成員 はい。

○河﨑構成員 例えば、ケース的に支援地域協議会で扱うことができますよということは可能なのですか。

○又村構成員 それは可能だと思います。

○河﨑構成員 それは可能なのですか。例えば、明石市の方が他市で何か差別的な扱いを受けられた。今のお話だと、それを明石市の支援地域協議会が扱うということもできないのでしょう。

○金構成員 そうですね。法律との関係ではできますけれども、ただ、条例のもとで地域協議会も定めていますので、なかなか想定はしづらいなというのが現状かなという感じもします。  今は条例を踏まえた形で地域協議会を運営していますので、条例に基づく特定相談の対象にはやはりならないのですよね。ですから、どうしても地域協議会で相談事例として取り上げていくケースになかなかなりにくいというか、ならないというのが実情かなと思います。

○野澤座長 観光地なんて、結構そういう事例が想定されるのではないですか。そういうときはどうなるのですかね。またその土地の協議会がやるのですかね。

○坂本参事官 基本はそうだとしつつ、だけれども、結局、法律というのは全国に及ぶわけで、だから、他の自治体に行ったときに、おっしゃるように、市町村レベルの連携、県と市町村の連携、県同士の連携みたいなことに多分なってくるので、そういったところで担保する。つまり、法律がきちんと運用されるということが担保されなければいけないという意味で、そういった自治体間のいろいろなレベルでの連携というのが必要だねというようなことは、もしかしたら、うまく表現を工夫して何らか入れたほうがいいのかもしれないなというのはありますよね。

○野澤座長 東京なんて絶えず人があちこちから来るから。

○堀江構成員 都民ではない方もね。

○南雲構成員 でも、近くの自分のところの差別されたと思った時、その場所ではなく自分の身近な自治体などに相談すると思うのです。でも、すごく離れた話でも身近な人に頼りたくなります。そのような時に身近な人や場所がどう対応するかというのはここにあったほうがいいと思います。離れた場所で起こったことを身近で相談した時「ここで話されても困ります」と対応されたら「どの話をどこで相談すればいいのか?」と混乱してしまう可能性があります。相談者が混乱してしまう前に対策を練る必要はあると思います。

○野澤座長 どう書くかというのは難しいですね。連携しながら、この精神を活かしてどうのこうのと。

○西川構成員 私は三重県ですが、サミットがあったり、今、伊勢志摩というのは割と観光地になっているのですけれども、別に条例があろうがなかろうが、昔からイメージが悪くなることは絶対しないというのが我々職員の基本理念なので、何かあったら必ず三重県に話が来ますし、それで、しかるべき対応をする。
 例えば、耳が聞こえない方が嫌な思いをされたら、聴覚障害者支援センターに行かれるケースもあれば、聴覚障害者支援団体のほうから、ちょっと対応してくださいというようなことをやったりとか、必ず何らかの対応はしますけれどもね。なので、相手方のお住まいの市区町村の方と連携を図るというのは余りしていないのですけれども、自分のところでできる対処というのは必ずやっています。

○又村構成員 基本的には「事業所が所在する地方公共団体が受け止める」ということだと思うのです。そこにつながるアンテナの役割としては、西川構成員がおっしゃったように、三重にお見えになった神奈川の人から、実はこんなことがあったと三重の人に言うパターンもあるし、神奈川に戻ってから神奈川の平塚に話をした結果、これは三重の話だから、とりあえず受け取って三重にお伝えしますよというやり方もあっていいという話だと思うのです。

○野澤座長 放っておいてイメージダウンになるのは地元にとって一番マイナスですものね。
 先ほど関哉構成員がおっしゃった、3回目以降のことがあったほうがいいのではないかと。これを誰が読むのかなと想定したときに、これからつくろうという人はすごく役立つと思いますけれども、もうつくっている人は、むしろ3回目以降にどうしたらいいのかなというところも結構関心事なのかもしれないなと思ったりして、何をすればいいのですかね。

○又村構成員 それも含めて。又村でございます。
 先ほど関哉構成員、尾上アドバイザーがおっしゃっていた障害当事者の方の参画の部分は、どこまで入れられるかはわからないのですけれども、地域協議会の運営における情報保障であるとか、障害特性の配慮というのは、拝見したところほとんど何も記述がないので、ここはできれば入れていただければなと思います。
 例えば、手話通訳、要約筆記の配置であるとか、あるいは知的障害のある委員に対して事前に会議の内容をお伝えするとか、後から打合せをするとか、いろいろな障害特性における情報保障の話があったら、もっと具体的に役に立つかなと思いました。
 2つ目は、今、野澤座長もおっしゃった3回目以降の話は、別添の事例集に何回目にどういう会議をやったというのがあると思うのです。先ほど関哉構成員がおっしゃっていたのは、「3回目はこの議論をして、4回目はこの議論をして…」となってしまうと、すごくマニュアルどおりになってしまうので、例示すべきという意味でおっしゃったのだと思うので、例えば、3回目以降の議題としてこういったものがというのを例示はできるのではないかなと思いました。
 先ほど金構成員がおっしゃった話は実は平塚でもすごく悩んでいて、可能であれば、標準的な関係性でいいので、市町村協議会と都道府県協議会との関係性をフローに図示していただけると、すごくいいなと思います。
 これはいろいろなところからいろいろな意見が出てしまうかもしれませんけれども、具体的に言うと、市町村でどうにもならないのはエリアをまたいでしまう事例なのです。同一県内だけれども、他の市町村で起こった事例、これはもう県に上げるしかないケースが多いです。
 あとは、権限行使をしていかざるを得ない事例、特に条例を持っていない一般市町村は、差別解消法における権限がほとんど委譲されていません。都道府県知事までは結構権限が降りているのですが、そうすると、いろいろやったけれども、残念ながら、平塚市では事業者の方にこれ以上アプローチするのは難しいので、神奈川県知事の、条例を持っていれば条例に基づく、なければ法に基づく権限行使を検討してもらいたいから、県にお願いしますというようなことが起こり得るだろうと想定しています。逆に、県の方は、県の障害福祉課に話が来たけれども、これは地域の話だから1回平塚市へお戻ししますよというような事例もあるのではないかと思って、かなり双方向性があると思うのですが、それが図示されているといいなというのがありました。
 最後は、本当にこれはどうでもいい話といえばどうでもいい話なのですけれども、たしか18条の5項に組織されたら公表しろという規定があったと思うのです。フレームもたしかつくってあると思うのですが、それに関する記述が何もないのです。一応、これはマニュアルだと思うので、協議会をつくったときの公表の仕組みあるいは根拠などを、どこかに書いてあったら見落として申しわけないですが。

○杉田企画官 11ページにあります。

○又村構成員 11ページですか。すみません。これはありましたね。では、これはオーケーでございます。できれば、参考資料にフレームをつけてあげるといいかなと。

○杉田企画官 フレームもあります。

○又村構成員 フレームもありましたか。

○野澤座長 29ページですね。

○又村構成員 29ページで今回追記されましたね。失礼しました。以上でございます。

○野澤座長 どうぞ。

○渋沢構成員 今の市をまたいでとか、そういうところで思ったのですが、この法律や差別に関する条例の案件に対応するためには、このフレームだけで対応するわけではなくて、例えば、うちのところにも、東京へ行って何かやられたとか、静岡でというような話があったりすると、このフレームだと、静岡の何とかに相談してみたいな感じに投げ出されてしまう感がありますけれども、当然、地元の私たちみたいな相談の人とか、計画相談の人とか、場合によっては役所の人とか、地元の人もつき合うわけだから、これは協議会の設置マニュアルだから、どうやって書くのかは難しいのですが、抽象的で申しわけないのですけれども、このフレームだけで差別の問題が解決するわけではなくて、他のいろいろな仕組みとか機関を使いながら、一緒にそういうことをやっていくのだというような記述がどこかに入り込んでいたらいいかなという気がします。

○野澤座長 そうですね。言わずもがなかもしれないけれども、本当にこれだけを見て、このとおりにやろうというところもあるかもしれないですよね。どのようにお伝えしたらいいのか。この中で書くのか、それとも、それ以外のところでやっていくのかですよね。

○坂本参事官 有効な手段ではあるけれども、万能ではないよというのは、そういう部分なのですよね。恐らく、他にいろいろな手段があるのだから、それと連携しながら相乗効果でやっていきましょうねということだと思うのですけれどもね。

○又村構成員 ただ、抽象的過ぎると「他の手段というのは何ですか」ということになるので、ちょっと難しい。例示ぐらいはないと、それは何なのかという話になるかなと思います。

○坂本参事官 入れるのだったら、そもそもというか、最初のどういうものかというところのあたりに何か入れるのでしょうね。

○渋沢構成員 そうですね。いろいろな障害福祉に関する相談体制とかができている中で、こういう武器もできたみたいな書き方がいいかもしれませんね。

○事務局 ちょっと工夫してみたいと思います。

○野澤座長 ニュアンスが出せればいいのかなと思うのですけれどもね。

○坂本参事官 そこはそうですよね。

○事務局 もともと手引きにも、地域協議会に派生して相談窓口との関係性ですとか、そういった大きなフレームの中で、地域協議会はどういう位置づけにあって、どういう役割分担をしていくのか。こういった記載はございまして、今回のガイドラインもそれを含めて、さらに土壌として相談窓口でどのように掘り起こしていくとか、そういった話もいろいろ盛り込んでいますので、入れ方はまた検討させていただきますけれども、そうした趣旨がもう少ししっかり出るような形で書かせていただきたいと思います。

○野澤座長 他にはいかがでしょうか。

○南雲構成員 意見です。すごく細かい部分なのですけれども、4ページの「(5)互いに『顔』の見える関係の構築」の最初にある文章についてです。「地域協議会の場で各メンバーが一堂に会することで」という部分に「対話」という言葉を入れていただきたいのです。
 対話の重要性を改めて強調していただきたい。というのは、施行後1年たって合理的配慮のことは広がってきた気がするのですけれども、「対話すること」があまり浸透していません。この文章でいうと「各メンバーが一堂に会し、対話することで」のような表現に変えていただけるといいのかなと思います。読み始めてすぐに目に入るページです。しっかり対話をしなければいけないことが周知されると感じています。
 以上です。

○野澤座長 こういうことを言うと笑われるかもしれないのですけれども、「お互いに『顔』の見える」というと、見えない人はどうするのだという意見も最近よく言われるのです。

○又村構成員 そうですね。視覚障害の人はどうするのだと。

○野澤座長 テーマがテーマだけにね。

○柘植構成員 「片手落ち」だとか、そういう象徴的な言い方は前はいろいろあったのですよね。今はもう言わない方向に来てしまっているので、もしかしたら、ちょっと工夫したほうがいいかもしれませんね。

○南雲構成員 「顔がわかる」という表現の方がよいかもしれません。「顔がわかる」というのは変か。でも、「見える」という表現の印象はあまりよくないですね。「不当な差別的取扱いは禁止なのにどうしてこのような表現を使うのですか?」と聞かれてしまうかもしれません。

○野澤座長 どこかの企業がそうやってコマーシャルか何かをやったら、すかさず「私たちは見えません」「差別解消法が施行されたのに何だ」と言われたと。差別解消法のマニュアルでこういうものがあると、かそういうところに突っ込まれるかなと。

○南雲構成員 確かに。

○杉田企画官 例えば「心が通じ合う」だったりだとか、表現は考えさせてください。

○野澤座長 「お互いのことがよくわかる」とか「お互いの気持ちがよくわかる」とか。

○坂本参事官 「本音で話し合える」とか。

○金構成員 1点いいですか。ちょっともやもやとしているところがあるのですけれども、どういうことかというと、相談員の権限に関わる問題です。今の差別解消法でいうところの相談体制の整備にかかわる法律での定め方というのは、一般的に各地方自治体で相談体制の整備をしっかりやってくださいということを奨励しているような定め方になっていると思うのです。
 条例とかがあれば、差別解消法に上乗せをして、条例に基づいて相談員の権限というのも一定の定め方ができると思うのですけれども、条例がない自治体で法に基づいて相談対応をしていくときの相談員の権限というのは、どこまで間に立って調整ができるのか、この点をどう理解したらいいのかなということです。私が聞くのもちょっと変な話ではあるのですが、その点についてはどうなのでしょうか。
 言ってみれば、基幹相談支援センターの相談員とか、各自治体にはいろいろあるかと思うのですが、そういった相談員の方たちは、障害のある人の様々な社会参加に関わる場面での相手方との調整ということまで権限としては持っていないと思うのです。
 では、差別解消法に基づく相談対応をしようとするときの相談員が、どこまで調整権限というのがあるのかというのをどこかでクリアにしておけたらいいなというのがあるのです。権限がないというのだったら、3年後の法律の見直しの課題にならざるを得ないのかなという気持ちも若干あったりするものですから、この点の考え方についてお伺いできればと思います。

○坂本参事官 自治体がそういう相談員を置くときというのは、もちろん条例がないというところはあると思うのですが、何の根拠もなしに相談員を置くということもあるのですか。動かすためには、要綱なのか何なのかわかりませんが、何か必要なのではないかなという気もするのですが。
 要するに、予算をつけなければいけないわけなので、何らかの根拠がないといけなくて、相談員というのは何をする人というようなことというのは、どこかに何か書いたものがないと自治体としても動かせないのではないかなという気はするのです。条例というとちょっと大げさになってしまうというのだったら、もう少し軽い根拠でやっているというところなのではないかなと思うのですが。

○金構成員 又村構成員のところはそんな感じでやっているのでしたか。

○又村構成員 今、金構成員がおっしゃったのは、条例や要綱等で相談員を設置することになっている市町村は坂本参事官がおっしゃったとおりだと思うのです。ただ、そうではなくて、法律上は相談体制の整備をするものとするとなっているので、その規定に基づいて、例えば、兼務でケースワーカーが障害者差別に関する相談も受けることぐらいになっている市町村などは、特段そういう要綱レベルのものもないわけです。
 そうすると、差別解消法の条文だけが根拠になるので、相談体制の整備以上のことは書いていないですから、権限はないです。少なくとも平塚の場合には、ないという認識です。ないので、あくまで障害者総合支援法第77条における一般相談とかと同じ扱いで、あの相談も何の権限もないですけれども、ちょっと困ったときに相手方との中に入って、例えば障害福祉サービス事業所と調整をして、うまく利用できるように調整していますよね。あれと同じで任意のお願い、任意の調整をする。

○野澤座長 相談における権限と機能については、渋沢構成員が一家言あるので、ちょっと聞いてみたいですね。

○渋沢構成員 御存じの方は御存じかと思いますが、今、いろいろ事業委託を受けているのですが、もともとは千葉県の中核地域生活支援センターという、障害者の支援事業、地域コーディネート事業がなくなったときに千葉県が単独で始めた事業で、私のところは始まったときから権限が何もないです。
 何かを決定する権限はなかったりとか、ここを通じて生活保護の窓口とか、そういうこともないので、私たちは相談者の方たちに何をしに来たのだ、何の権限があって来たのだみたいなことを言われたりするわけです。
 一方で、私は去年ぐらいから生活困窮者自立支援法の相談事業も始めたりしているのですが、あれは多少武器があるのです。家賃扶助のこととか、社協の貸付けの窓口になったりとか、そういう武器があると、ちょっと過剰に言うと、結構私たちもその武器に頼って、この武器にどうやって寄せていけるかなとか、相談者の方たちもこれを使うために来たりとか、ある意味、役割が明確になりやすいのだけれども、前の話に戻って、中核センターは何も武器がないので、そうすると、割にピュアなソーシャルワークがやりやすいということは、今、改めて考えていて、きっと障害者差別のことなども、白か黒かということを分けることだけがこの法律の目的とか狙いではないのだとすると、そういう立場で御本人の方やこちらの事業所の方とかとかかわるような姿勢というのが必要なのではないかなと思っています。そういうことを言ってまいりました。

○又村構成員 そういう認識でいます。なので、どちらがいい悪いとかではない、もちろん窓口に来る方は障害のある人や御家族や支援者の方なので、まずそこからスタートということですが、相手方もあるということも含めてお話は必ず受け止めますけれども、何かこれで給付しますとかという法律ではない前提で相談をお受けしなければいけないねということを職員には伝えています。

○金構成員 その点については、明石市でも議論がありました。先ほど坂本参事官が言われた、条例がないところであれば、要綱というような形で相談員についてのものを定めるというのはあり得るのではないかという話しとの関連で、明石市では特定相談と相談員の実質的な権限につながるようなことを割と条例で定めているものですから、それに基づいて後は相談マニュアル的なもので対応しようという感じでやっています。
 そういった意味では、条例があっても、相談員について簡単にしか条例で定めていない場合は、別途に要綱などをつくって、相談員についてのしかるべき内容をちゃんと決めておこうというやり方も多分あるのだろうと思うのです。
 条例がない場合はどうなのかが重要な論点になると思うのですが、少なくとも国の法律に基づいて要綱というような形でつくっておかないと、調整権限の話になると、今のままではなかなか難しい。権限との関係で、相談員の役割というのがなかなか果たせないのではないかなと思います。
 そこのところはこのガイドラインと直接関連しづらいところもありますけれども、今後の検討課題としてはやはり見ておく必要があるのかなという感じはしているところです。

○野澤座長 実際、この検証の中でいろいろな各協議会の事例も見えてくるのかなという気もするのです。なので、今後の検討課題ということでよろしいですかね。

○坂本参事官 先ほど渋沢構成員も言っていましたけれども、相談員の方が、根拠がないがために、何をしに来たのだみたいな感じになってくると、確かにすごくやりにくいだろうなというのがあるので、そのようなことが実はそう少なくないのだという感じになってくれば、そういったものも何らか示していく必要性も出てくるかもしれないなというのはありますね。

○柘植構成員 厚労省の放課後等デイサービスのガイドラインに2年前にかかわって、今は児童発達支援のガイドラインにかかわっているのですけれども、10年前とか一昔前の幾つかかかわったガイドラインと違って、最近のガイドラインのつくりというのは、振り返る視点だとか、評価の観点が入っている場合が多いのです。
 予算獲得だとか政策評価に使うという目的はあるのでしょうが、この場合はそこまでは要らないとは思いますけれども、先ほど大阪府のところで私がコメントしたことなのですが、25ページと26ページの「(4)事例の収集」というところで、例えば、冒頭のところで事例の収集に苦労している場合があるとか、事案を掘り起こしてとあります。それはそうで、その後、①がこういう話で、②が非常に詳しいアンケートの工夫なのです。だから、ここまで書くのだとすると、進捗状況を把握するためのうまいぐあいの資料のつくりだとか、統計を工夫するということを盛り込んだほうがいいかなと思います。
 先ほどからしつこく言っていますけれども、そう言っている根拠はここに書いてあります。30ページの赤文字の上の「(2)期待される役割」というところの下から5行目ぐらいの「事例などの共有・分析を通じて」云々というところだと思うのです。ですから、大阪府のところで具体的にお話ししましたけれども、少しそのようなことを「(4)事例の収集」の冒頭かどこかに書いたほうがいいかなと思いました。
 以上です。

○野澤座長 そうですね。それはあったほうがいいですね。
 他にはいかがでしょうか。よろしいですか。

○事務局 先ほど渋沢構成員からお話がありました10ページの時間帯を分けないという点は。

○又村構成員 それは私がしつこく言っているので。時間帯を分ける問題の話は、渋沢構成員がおっしゃったのと思いは同じで、事実上一緒にやるということだと思っています。
 本当にどうでもいい話なのですけれども、総合支援法に基づく自立支援協議会と差別解消法に基づく地域協議会が余りにも渾然一体となっていると、市町村的にいうと、自立支援協議会の運営には交付税措置されているので、一応、国からお金が出ているという扱いになっているのです。総合支援法に基づく自立支援協議会を開くためのお金ですよという出方をしているので、そのお金の中で他の法律の違う取組をしているというのは、厳密に言うと、後から監査などが入ったときに、何で違う法律のお金を使って違うことをやっているのですかと言われてしまう可能性があるわけです。そのとき、「マニュアルに書いてあるとおりにごちゃまぜでやれと言ったからやったのに、後から監査を受けて怒られた」となってしまうと嫌だなと思って書いただけの話なのです。
 事実上、一体的にやっているのは重々承知しているので、これは私は個人的には削除してしまっていいと思っているのですが、削除するとしたら「実質的に機能を果たすことが重要です」みたいな表記を入れて、とってしまうという感じかなと思います。

○渋沢構成員 「実質的に機能を果たすことが重要です」というフレーズはとてもいいと思います。

○野澤座長 時間を分けると、そんなに負担かなと思うのですが。

○渋沢構成員 ただ、後で監査を受けたらどうするのだという御指摘の前には、もう話すべきではないような気もするのですけれども、やはり地域の中ではいろいろなことがごった煮でやられているという実情はありますから、必ずしもこの30分は地域協議会だよとかいう切り分けをすることが有効だとはとても思えなくて、ついでに一緒にいろいろな機能をここでやってしまおうよみたいなことなら、今ある仕組みの中にこの機能を入れ込んでいくことができる可能性は結構高いと思うのです。だから、機能を入れていくことがすごく大事だと思います。

○尾上アドバイザー では、関連で、会議の時間帯の分け方というよりは、先ほど言われた機能というところに関連して発言させていただきます。
 機能と、もう一つ、メンバー構成が違うのだと思います。機能にも関連するのですけれども、自立支援協議会の権利擁護部会であったりというのは、基本はやはり障害者福祉サービスの事業者が主だと思うのです。でも、差別解消法の相談というのは、例えば、交通事業関係であったり、あるいは不動産関係であったり、あるいは教育関係であったり、やはりその機能に応じたメンバー構成みたいなことが必要です。つまり、同じようなメンバーだから自立支援協議会で話しておけばいいとなってしまうと、それはそれでまずいかなという感じはするのです。だから時間を厳格に分けなければいけないというよりは、機能に対応したメンバー構成みたいなことをちゃんと入れておく必要があるかなという意見なのです。

○野澤座長 私もむしろそちらのほうが大事かなと思っていて、どちらかというと、今は自立支援協議会のメンバーのままやっているところがかなりあって、これはもう少し工夫したほうがいいのではないかという感じもするのですよね。

○渋沢構成員 もう少しだけ言うと、私、今の時点で一番大事なのは気づきなのではないかと思うのです。誰が気づくかというと、やはり受けとめるというか、相談の窓口になる側の行政の人とか相談事業所の人とかが、こんなことも障害者の方は困っているのだとか、そういう人たちが気づいていくことが、今、入り口としては一番大事なのではないかなと思っていて、まずそこをやるためには、形はごった煮でもいいのではないか。気づいていった中で、ここで言われているような理想形に近づいていくということになるのではないか。最初から理想形を求めていくと、ステップが高過ぎて届かないところも結構あるのではないかなと思います。

○野澤座長 それもそうですね。

○坂本参事官 だから、そこは実質的な機能みたいな感じにしておいて、監査との関係は、そういうことにしておいたよみたいな感じにしてもいいのかなとか、その辺は少し要領よくやることもあるのかなと思います。

○野澤座長 一番の狙いは、まずはつくってもらおうということですからね。
 他にどうでしょうか。いいですか。
 結構いろいろ御意見が出て、とりあえず事務局に今の意見を反映したもの、あるいはもう一度練ってもらって、もし私に一任していただければ、事務局と相談しながら、できるだけ皆さんの御意見を反映したものにして、また後日、皆さんのほうに事務局から配付していただくということでお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)

○野澤座長 ありがとうございました。
 今後、事務局で決裁等の必要な手続が終わった時点で、最終版について御報告したいと思います。
 以上で本日の議題は全て終了しました。短い間ではありましたけれども、精力的に御議論をいただき、誠にありがとうございました。
 検討会の成果である新しいガイドラインによって、地域協議会の設置や効果的な活用が進み、それぞれの地域における差別解消に向けた取組がさらに広がることを期待しております。
 では、これをもちまして本日の検討会は閉会します。どうもありがとうございました。