障害者政策委員会(第9回)議事録 2

○ 石川委員長 それでは、再開したいと思います。

もし、オンになっているマイクがあったら、消していただけますか。

それでは、遠藤委員、お願いします。

○ 遠藤委員 経団連、遠藤と申します。

先ほど竹下委員からお話しされたことに関連して追加的に発言をさせていただければと思います。

ただ今、竹下委員がお話しされたとおり、厚生労働省では、障害者雇用促進法の改正に伴う、指針づくりのための研究会が進められています。先ほど竹下委員がお話しされたように、法律改正の前提となる考え方の整理を意見書という形で審議会の中で取りまとめたわけでございます。簡単に申し上げますと、直接差別という形で不当な差別的行為というものを整理していく。間接差別については、事例の集積をまず行おうということで整理をしたわけです。そういった中で、どの部分を直接差別の中身に入れていくのかというところで、先ほど竹下委員がおっしゃったような議論が行われたということでございます。

意見書もあり、法律改正もあり、その後ということでガイドラインの策定議論が9月から行われています。そこまで議論を重ねて進めているにもかかわらず、例えば先日行われた研究会では、直接差別とのかかわりの中で、やはり間接差別議論を持ち出すというようなことがございまして、当該行為者の意図あるいは意思といったものを問うのか、問わないのかといったような議論をまたそこで行ったというようなことがございます。

私は、審議会も、研究会もずっと携わっている者なのでございますが、この議論を始めると、やはりお立場が違う方々がいるので、それはお互いの主張を言い合うというようなことに終始してしまうことが現に厚生労働省の中で行われております。これは御参考という形でお伝えはいたしますが、この部分に入っていくということになれば議論が何時間あっても足りないことが想定され得るということの事例です。

それから、もう一点、大事なことなのですが、お話しされているのは、厚生労働省に設けられた研究会での議論でありまして、研究会の取りまとめの後には審議会が予定されており、審議会で合意された内容が大臣告示という形で公表された時点で初めて効力を持つということですから、意見書の内容が直ちに効力を持つ、あるいはその方向性で物事が決まったのだということではないのだという手続的な側面もあるということは申し添えさせていただきたいと思います。

以上であります。

○ 石川委員長 遠藤委員、ありがとうございました。基本的には東室長の説明と方向性として同じであるという理解でよろしいですね。

それでは、石野委員、お願いします。

○ 石野委員 全日本ろうあ連盟、石野です。

聴覚障害者といってもさまざまな障害状況があります。生まれつき聞こえない、または3~4歳で聞こえなくなる、あるいは言葉の獲得後、聞こえなくなった。中途失聴の方など、さまざま状況があり、いろいろなコミュニケーション方法があります。手話を身につけている方、あるいは筆談、あるいは発語をする方、また補聴器をつけてコミュニケーションをする方、人工内耳の方、さまざまなコミュニケーション手段を自由に選択できるという考え方があります。

ただ、コミュニケーションの環境を整えるかどうか、例えば先ほどマイクがトラブルのためストップされましたね。そのために時間がかかりましたが、これは、こういった環境を整えていても想定外が起こりうることだと思います。今までの議論の中は想定内の範囲の議論になっていると思います。

○ 石川委員長 石野委員、申しわけありません。途中でとめるのは本意ではないのですが、今、おっしゃっているのは、やはり合理的配慮と環境整備にかかわる話だと思いますので、そのところでもう一度御発言いただくということはできませんでしょうか。

○ 石野委員 済みません、私が言いたいことは、想定外のことが発生した際、どのように捉えたらいいのかということを言いたかったのです。東日本大震災の例もあります。突発的な事態においては、行政の不備も生じます。それは差別にあたるかどうかという点の議論が必要ではないかということを申し上げたかったわけです。

以上です。

○ 石川委員長 委員長です。

合理的配慮の不提供も差別として今回の差別解消法では規定されております。今、不当な差別的取り扱いについて、設問1-1を議論しているので、決して合理的配慮をないがしろにするとかという話を今ここでしているわけではありませんので、その辺、御理解いただければと思います。

では、次に新谷委員、お願いします。

○ 新谷委員 ちょっと関連する部分もあるのですけれども、1-2との関連が大きいのですけれども。

○ 石川委員長 では、1-2でお願いします。新谷さん、いいですか。

○ 新谷委員 1-1でお話ししたいのですけれども、先ほどのお話があった中で、結果としての差別を問題にするという室長のお話だったと理解しましたが、そうではないのですか。直接差別の要件の1つとして、差別する者の意図を問題にするということであれば、そういう意味ではなくて、結果として差別が起こったということをどうこう言うのではないわけですね。

○ 東室長 東です。

私の話の中では「結果における差別」という言葉は使っておりません。「結果の不利益」を不当な差別的取り扱いの1つの要件とする御意見があったと説明したと思います。しかし、結果の不利益は条文上別の言葉(権利、利益を侵害してはならない)であらわしてありますので、そこで議論する話であって、不当な差別的取り扱いの中で議論すべき話ではないでしょうという説明をしております。

○ 新谷委員 わかりました。それでは、竹下委員からおっしゃっていた差別の動機云々は直接差別のときには条件にするというか要件にするということはないわけですね。意図は問わないということですね。わかりました。

○ 石川委員長 それでは、大谷委員、お願いします。

○ 大谷委員 大谷です。

今までの差別類型のことに関しては、差別禁止部会のほうでもさんざん議論しましたので、とにかくもうこの議論は再燃しないということにさせていただいて、ただし、私は、いわゆる差別の行為類型、これは人種差別撤廃条約以降、区別、排除、制限というのは差別の行為類型としても国際的に認知されていますので、今度こそ、本来でしたら差別解消法のところに区別、排除、制限、その他の不当な差別的取り扱いというある種の行為類型を例示していただきたいと強く思っていたのですけれども、それが入れられなかった。ならば、今回、基本方針のほうには行為類型として区別、排除、制限という明確な言葉を盛り込んだ基本方針をつくっていただきたいというのが。それは何回も言っているところなのですけれども、ただ、私はごめんなさい、訂正なのですけれども、6ページ、人種差別撤廃条約を1996年採択になっていますけれども、1965年採択ですので、これだけは訂正していただきたいと思います。

それともう一つ加えて、この設問の仕方が、第1号に関する設問がない。これが私の一番不思議に思ったところですけれども、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向に関するヒアリング事項がないのですけれども、これはその他のほうに入っているのか、それとももう少し一番大きな枠組みですので、ここをまず一番最初に議論しておけば、そんなに混乱がなかったのではないかなと思うにもかかわらず、これを議論の対象にしなかったのはどうしてなのかしらと思っています。

私は、基本的な方向に関しては、ぜひとも権利条約を指針とするということを明記していただきたいと思っています。

以上です。

○ 石川委員長 最後の点については、東室長から答えていただきたいと思います。

○ 東室長 今回の議論の一番ポイントとなるべき部分は質問の最初のほうに設定させていただいておりますけれども、全体にかかわる部分については、上記以外の事項ということで、5で包括的に聞いておりますので、そこで議論していただければと思っているところです。

○ 石川委員長 それでは、その他、意見として承っておきたいと思います。

では、関口委員、お願いします。

○ 関口委員 ありがとうございます。全国「精神病」者集団の関口明彦です。

精神保健福祉法が改正されました。これについては、障害者政策委員会は全くタッチできなかったわけですけれども、その中に、これは11月11日の厚生労働省主管課長会議の資料ですけれども、この法律の目的は、精神障害者の地域生活への移行を促進するためと書いてあって、4つほど書いてあるのですけれども、その中に、精神障害者の医療に関する指針(大臣告示)を策定することと書いてあります。

この大臣告示ですけれども、他の指針との関係ということが書いてありまして、つまり、これは多分障害者差別解消法でつくられる指針とも関係が出てくるのだと思いますけれども、ちゃんと考慮に入れてみたいなことが書いてあるのです。正確な文言で言いますと、他の指針等との関係の整理ということで、この指針に基づく具体的な施策を定めるに当たっては、医療計画、障害福祉計画、介護保険事業(支援計画等)、各分野の方浸透に配慮して定めることとするとなっているわけで、これが中間報告でありますので、もうすぐ社保審が開かれて最終報告が出ると思うのですけれども、この指針に基づく具体的な施策の中に、どうも病床転換型居宅施設というか、そういうのが入ってきそうな雰囲気がこの間の検討会などの議論を見ていると非常にしまして、これはそもそもここにみずから書いてあるわけです。精神障害者の地域生活を推進するためという法律(精神保健福祉法)の目的とは反すると思うし、これは明らかに指針の後に出てくる施策の内容のことですので、これはここでの議論に挙げていただきたいと思います。

全体として、適切な医療を確保するという言い方をするのですけれども、どうも精神障害者というのは精神病者となった瞬間に障害者としての権利はなくなるようなことを思っている医者が結構おりまして、これはメンタルインペアメンツというところを非常に還元主義的に、脳みその病気と考えてしまうところから来る誤りだと思うのですけれども、メンタルインペアメンツというのは、簡単に言えば。

○ 石川委員長 済みません、イエローカード。

土本委員、メンタル。

○ 関口委員 メンタルインペアメンツというのは、日本語に訳してしまうと、インペアメンツというのは障害になってしまうのですけれども、詳しく訳すと機能障害と訳します。メンタルというのは精神的機能障害ということです。機能障害がある人が社会との間にバリアというか障壁があるときに初めてディスアビリティを持つと権利条約ではなっているわけですけれども、メンタルインペアメンツ、つまり精神的機能障害の定義が条約の中にはないものですから、非常に不分明なままになっているのです。

言いたいことは、メンタルインペアメンツと言ったときに、薬で治らない精神病の症状もあるわけで、それはつまり一種の精神の観念の世界なのです。ただ、観念の世界というのは実在すると理解しないと、我々がこうやって議論すること自体が、つまり、実在の上に基づいていないということになってしまうので、そういう意味で理解の仕方をちょっと変えていただきたいということ。

そうした中でもって、精神障害者は、医療が必要なときであろうとなかろうと、つまり、障害者権利条約によって保護されている。すなわち、法のもとの平等、権利条約で12条ですけれども、法的能力は行為能力も権利能力もあるのだということを前提にして、少なくとも精神保健福祉法の指針の施行については、他の指針等と調整すると書いてあるわけですから、そこのところは議論に入れていただきたいと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

今、関口委員の御意見に関連で、上野委員、何かございますか。

○ 上野委員 精神科医師の上野です。

今の関口委員の御意見に関連しまして、今、指針の策定のための委員会等が行われていて、その中で病床転換型の居住系施設というのが議論になっていて、それがそのまま実現しそうな勢いになっています。これは私たちの委員会のモニタリングの問題かとも思うのですけれども、日本が残念ながら誤った精神障害に関する政策をとってきて、精神障害の人たちの人権を極めて強烈に何十年にわたって制限してきました。その結果が日本の異常な精神科病床数の多さであるとか、さらに閉鎖的な処遇が多いとか人権侵害がずっと行われているというような現状があるのだと思います。

私が最近の動きを見ると、結局見かけ上の病床を削減することによって、今までの精神障害のある人に対する人権侵害の問題を覆い隠してしまって、その人権侵害の状態をずっと永続化させてしまうような結果をもたらすのではないかと思います。差別解消法の基本方針の問題として、さらに精神障害者に対して私たちが今まで日本の国として行ってきた差別的な取り扱いに関する政策委員会のモニタリングの機能として、この問題はぜひ真摯に考えて、そして検討していただきたいと思います。

私たちがずっと精神障害の方に対して行ってきた強烈な人権侵害、それを直視して、それを改善するような検討を本当に今、真摯に行うべきなのだと思うのです。見かけ上の病床削減を行うために単なる病棟の看板の書き換えにすぎないような施策を出すのではなくて、本当に真に精神障害の方たちの地域移行とさらに権利擁護を私たちがぜひ考えていくべきと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

関口委員、それから上野委員からは、精神障害者が不当な差別的な取り扱いを受けているという御指摘がありました。

川崎委員も多分同じ御意見ですね。それでよろしいですか。時間的なこともあるので簡単に、ではどうぞ。

川崎委員 家族会の川崎です。

精神科医療に関しては、本当に今私たち、先ほど上野先生や関口先生から発言がありましたように、非常に差別的な取り扱いを受けておりますので、ぜひともここで取り上げていただき、議論していただきたいという思いを伝えたいと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

整理したいのですけれども、基本方針に書くべきこと、書くことができることは何なのかという話と、この政策委員会としてモニタリングや、あるいは必要な場合に勧告を行う、その対象となるような施策について、では議論をいつするのかという話と2つあると思います。

後者に関して言いますと、今、基本方針に関して、ただそれだけに集中して黙々と作業すればよいのか、あるいは刻々と障害者施策の動きをやはり大きな動きについては報告していただき、あるいは委員からもこの施策については報告をしてほしいというような御提案をあらかじめいただいて、次回以降、基本方針の作業をやるかたわら、やはり施策の動向についての報告あるいは意見交換などをしていく必要があるのではないかと思っておりましたので、最後のところで、この点については時間を残して、皆さんの御協力をいただいて、でも、5時には絶対に終わりますので、そのように時間の調整をお願いしたいと思います。2点目はそういうようにさせてくださいというのが提案です。

1点目の基本方針について、今、3人からあった話は、不当な差別的取り扱いの非常に顕著な事例であるという御指摘で、それを基本方針の中に、基本方針そのものの中に書けるのか。あるいはどのようにしてかけばよいのか。例えば法的能力というお話がありました。法的能力は権利条約の12条で規定されていて、いわゆる権利能力だけではなくて行為能力まで含めて支援つきの自己決定ということでいくべきなのだと、こういう考え方だと思うのですが、そのようなことを特定の障害者に関して尊重しないことは不当な差別的取り扱いだと。例えばですが、基本方針の中でそういったことまで書けるのかどうか、そのあたりについて、東室長の御意見をお聞きしたいと思います。

○ 東室長 余りに課題が多過ぎて即答できませんけれども、少なくとも、現行法として生きている法律、運用されている制度そのままをこの基本方針で否定するといったことは、基本方針の性格として無理ではなかろうかと考えているわけです。だからといって、現行法の諸施策が全く問題ないとかということでは当然ないわけです。やはり権利条約の実施という観点から議論すべき現行制度があるならば、政策委員会が監視機能を果たすためには、基本計画を通してであれ、なんであれ、議論が実質上ここでされていくことになると思うのです。ただ、そういったもろもろの課題を全てこの基本方針の中に入れ込んで解決するといったことは難しいと、この差別解消法に基づく基本方針という枠組みの中では、それを正面から取り上げるということは困難が伴うということは御理解していただきたいと思います。

誰が見てもそうだという典型的な事例があって、それを示すことによって、基本方針の中身がよくわかりやすいというような意味での事例に限定するということはあるのでしょうけれども、なかなか制度自体の問題について、それを正面から書くということは繰り返しになりますけれども、困難だと思います。

○ 石川委員長 皆さん、御意見があるのは大変よくわかっておりますが、では、大谷委員。

○ 大谷委員 短く言いますから。

○ 石川委員長 では、短くお願いします。

○ 大谷委員 大谷です。

やはり措置に関する基本的な事項という形で基本方針に各個別の法律の問題点を入れ込むのは、基本方針の性格上無理かと思うのです。ただし、私たちは基本的な方向性の意見出しも求められている、それが第1号なのです。差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向性をどうするのかと。これだったら、現状の現行法がどういう扱いになっていてどうなのかということも含めて大枠を提示することができるはずだということで、私は基本的な方向性、方向のところでもう少し大枠で議論できて、そこだったら精神障害者の現在置かれているもろもろの法的な差別も盛り込めるはずだと。ただし、第2号、3号の基本的な措置に関する基本的な事項というところだと若干無理があるのではないかと思っています。

以上です。

○ 石川委員長 大谷委員からとても現実的な提案をいただき、ありがとうございます。

そういうようにできるだけ工夫するということで皆さん、よろしいですか。

関口委員。よろしくない。では、どうぞ。

○ 関口委員 私が読み上げたように、厚生労働省の主管課長会議の中で大臣告示たるこの指針、つまり精神保健福祉法に基づく指針は、各分野の方針等に配慮して定めることとする、施策を定めるに当たって、とちゃんと書いてあるのです。だから、基本方針は厚生労働省の精神保健福祉法の中での基本方針を大臣告示で定めるのでしょうけれども、具体的な施策を定めるに当たっては、各分野の方針等に配慮して定めることとすると書いてあるので、であるとするならば、当然、障害者差別解消法の方針とか指針とかというものも配慮されるはずですので、配慮されたときにそういった施策が行われないような書き方をしていただきたいという、それだけなのです。

○ 石川委員長 ですので、大谷委員が提案されたような方向性について書くと。それは間接的に、あるいは反射的に、個々の政策に対して影響、あるいは効力が及ぶであろうというような書き方をして、直接に名指しをして個々の政策についてこれがどうだ、いかんとか、あれが悪いとかということは書けないけれども、基本的な考え方や方向性については書けるであろうということで御理解いただくことでよろしいでしょうか。

○ 関口委員 障害者差別解消法の障害者の定義はそのまま、つまり基本法の定義を持ってきているわけですね。精神障害者は入っているわけですね。だから、精神障害の地域で生きる権利といったときに、それは病院の上にある2~3階が居住施設ですというのは地域生活と言いませんということを明確に書いてほしいだけです。

○ 石川委員長 では、佐藤委員、どうぞ。

○ 佐藤委員 大谷委員が言われたことと石川委員がまとめられたことで私はいいと思うのです。つまり、不当な差別的扱いとは何なのかということについてのある程度の共通理解が基本方針の中に盛り込まれる必要がある。その場合に、症状の点から入院の継続の必要性がなくなった人がいつまでも病院の中でも生活を余儀なくされるというような事態があるわけで、あるいは病床ではなくてそれを転換して、敷地内に同じようなところで生活をするというような案も今出ているということだけれども、入院継続の必要がなくなった人がそこに居続けるということを余儀なくされるというのは、正当な理由とはとても言えないというようなことがわかるような基本方針の書きぶりがあればいいのではないかと私も思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

あと後藤委員、どうぞ。

○ 後藤委員 後藤でございます。

政府内の調整の場が内閣府であり、権利条約を受けて対応するのは政策委員会だと最初にご説明がありました。今の議論を曖昧にしておくと結局報いが来る、結果において権利条約を担保したかが問われます。精神の問題は個別の案件のように見えて、権利条約の精神から最も大きくこの国が反している点かもしれません。ほかを幾ら一生懸命頑張っても、これ一発で赤になるかもしれない、権利条約への対応ぶりの全体観をこの政策委員会でマネージするという視点も必要ではないかと思います。ですから、ちょっと踏み込んで書きに行くということも必要ではないかと思います。

○ 石川委員長 皆さんの意見はほぼ一致しているので、あとは基本方針の書き方について、皆さんの御意見を踏まえて、その方向性で検討させていただきたいと思います。

設問1-2に移らせていただいてよろしいでしょうか。

では、東室長、お願いします。

○ 東室長 設問1-2は「不当な差別的取扱いの基本の考え方として、正当な理由がある場合は、差別とはならないとされているが、どのような場合に正当な理由があると考えるのか」ということであります。

これにつきましても幾つかのグループに分けることができます。

まず、多かったのは、多くは容易に正当な理由を認めるべきではないといった点をベースに、具体的には以下の2つの要件が必要だといった内容になっております。

1つ目の要件は、制限する場合の目的の正当性が必要だということ、加えて2つ目の要件として、業務の本質を維持できない場合とか、他に取り得る手段がない場合であるとか、要はやむを得ない場合と認められることといった場合に初めて正当な理由があるのだというような御意見がありました。

これに対して、本人の、もしくは第三者の生命や財産、その安全の確保の必要性が高い場合、あるいは強い場合には、正当な理由があるといった御意見もありました。ただ、安全性の確保といった場合に、どの程度の危険性がある場合であれば正当な理由になるのか、これは大きな問題であるわけです。委員の中には、事件とか危険を回避することを口実にして制限が乱用されるような事態もあり得ると、そういうことについては歯止めが必要だといった御意見があるわけです。

ですから、生命、身体、そういったものがそういった面で例外となる場合があるにしても、具体的にどういう場合を想定するのか、御議論が必要であると思っています。それと、この点をメインに言われている方の御意見の問題点としては、生命とか身体の安全確保以外にも正当な理由がある場合はあるのかないのかといった点の考慮が必要になるかなと思っています。

さらに、今言った2つの意見を折衷する案というのもありました。一般的に、最初に言った案に加えて、生命、身体の場合も加えるといった折衷案みたいなものですけれども、そういった3つの御意見が多くの意見の中身でした。

これに加えまして、ある意味、裸の利益衡量といいますか、相手方の保護すべき利益と障害者側の利益、どちらが上回るのかといった観点から正当性があるかどうかを判断すべきだという御意見もありましたけれども、何を持って上回るのか、下回るのか、非常に抽象的であってわかりません。ですので、そこは少し難点があるかなといったところです。

さらに、差別的取り扱いの正当な理由があるか否かに関して、合理的配慮が尽くされたかどうかといった御意見もありました。この御意見は、簡単に言えば、ほかに手段があったのか、なかったのかという問題に帰着するのではなかろうかなと思っています。ここで合理的配慮という言葉を独自に出すと、不当な取り扱いの問題と合理的配慮の問題の区別がつきにくくなってしまうおそれがあるわけです。要は区別、排除、制限をするというときに、ほかの手段を用いれば当該目的を達することができるのであれば、当該の区別、排除、制限といった取り扱いに正当な理由がないということになります。逆に言えば、いろいろ工夫しても、その正当な目的を達することができないと、要するに、取り得る手段がほかにないのだといったような場合には、正当な理由があるということになります。ですので、この場面で議論されている合理的配慮の問題は、取り得る手段の有無の問題と考えればたりるものと思われます。

さらに、また、個別の事例を挙げられている御意見がありますけれども、先ほど言ったような一般論的な問題があります。加えて、例外について具体的な事例を書くということになると、例外は極めて個別性が強いわけですね。やむを得ない事由があるのかどうかというのは、具体的な事情によって全然違うわけです。

だから、これは例外ですよという例示をあげると、それがひとり歩きすることになり、具体的な場合においては、かなり問題が生じるわけですね。ですから、誰が見ても、どういう場合であってもこれは例外だと明らかなものがあればいいのでしょうけれども、そうでない限り、安易に例外の具体的な事例というものは設けるべきではないだろうと思われます。

以上が正当な理由の問題点についての御意見でした。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

委員からの御意見に対する東室長の御意見では、正当化事由、正当化する理由は、具体的なことは書かないほうがよいということですか。

○ 東室長 そんなことを言っているわけではなくて、正当化理由の一般的な判断要件ということについて3つぐらいの考え方があると申したのです。3つというのは、要するに1つ目は、目的が正当であること、それと、制限する際の手段としてほかに取り入れるものがないといったような2つの要件をベースにする意見と、2つ目は、それに対して、そういう一般的な要件ではなくて、本人もしくは相手方の身体、生命の危険性という、そこの要素だけを取り上げて、そういう危険性が高い場合には例外にするといった御意見。3つ目は、1番目と2番目と合わせた形で正当化の要件を考えるという意見があるということを申しました。最後に言ったのは、具体例として例外を書くには慎重であるべきだということなのです。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

という整理をしていただきましたが、御発言を求めます。御意見のある方、挙手をお願いします。

新谷委員、お願いします。

○ 新谷委員 先ほど遠藤委員から、労政審議会の議論の紹介がありましたけれども、雇用労働の場面、特に採用の場面では、職務との関連性を理由に、私たちから見れば差別的取り扱いは非常に多い、現実に体験しているわけですけれども、そういうことが多いと思うのです。だから、確かに具体的な職務関連性を挙げた例を挙げてしまうとひとり歩きするという危険性がありますけれども、職務にとって本質的な要件を理由にした異別取り扱いは認めるという議論は、労政審議会のほうで恐らく主流になっているのではないかと思うのですけれども、その辺の取り組み方をどうするか。

私たちは例えば時々質問を受けて説明するのは、パイロットの採用試験の場合に、視覚障害者はだめよというのは、これは異別取り扱いであっても差別にならないのだと。それは職務の本質的な要素になっているのだという説明はするのですけれども、ただ、職務関連性の議論をどんどんやっていきますと、かなり広い範囲まで職務関連性をもってこれは異別取り扱いではないのだという議論に発展する可能性がありますので、私は労政審議会の研究会の議論とここの議論と絡み合わせる必要がある、一番そこの部分が気になっているのです。労政審議会のほうはかなり職務関連性を広く認める議論があるのではないかと思って心配しているのですけれども、その辺の具体的な書き方をどうするか、御検討いただきたいと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

東室長、これについて。

○ 東室長 職務関連性の議論についてはどういう議論がなされているのか余り詳しく存じませんけれども、差別の分野で職務関連性が出てくるのは雇用の分野に限った話だと思います。この職務関連性をもう少し一般化した議論の中で説明するとすれば、先ほど言った第1の意見の中における目的の正当性や他に選択できる手段がないといった要件に位置づけることができるかなと思っています。職務を遂行するというのは、目的において正当と言えますが、そのためにほかの手段がない場合には、その制限に職務関連性があるということになるわけです。

視覚障害者の方が例えば飛行機パイロットになるというのは、将来的には、自動車にしても飛行機にしても、機械的なサポート、IC的な技術でサポートできるようになれば違った世界が広がるかもしれませんけれども、現時点においては、制限するしか取り得る手段がないわけです。という形で、職務関連性の問題も一般的に敷衍化すると第1の意見の中でも議論できると思います。

逆に言えば、職務関連性という言葉が出ればもう全て異別取り扱いとして正当化されるかというと、この第1の要件に合うかどうかという形で吟味していけば、この乱用的な事例も防げるのではなかろうかと思っておるわけですが、いかがでしょうか。

○ 石川委員長 御意見。関口委員、どうぞ。

○ 関口委員 合理的配慮を行わないことが差別だということから派生しているのだと思うのですけれども、権利条約では、実質的な平等を担保するための異別取り扱いは差別とはみなさないとなっております。

実質的な平等を担保するための異別取り扱いというのは、私の意見に書いたとおり、結果的にそのほうが利益はあるというような場合だと思うのですけれども、問題は、誰が利益があると判断するかなのです。つまり、障害者を持っている本人が結果的にそのほうが利益があるなと判断ができればいいのですけれども、それを第三者が、例えば医者とか従事者とかが、いや、あなたのためなのだからと。つまり、昔は厚生労働省は一切強制入院に対して、全部あなたのためなのだからといって、不利益処分性を認めていなかったわけです。ところが、この間の議論の中で適正手続ということが出てくることによって、不利益処分性があるのだという前提に気がついたわけですね。だから、そこのところをはっきりさせておくことが必要だと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

別件ですか。では、藤井委員長代理、どうぞ。

○ 藤井委員長代理 正当な差別的取り扱いに関係してですけれども、東さんがおっしゃったように、身体、生命の安全、これをもって、これまでたくさん排除あるいは区別があったわけですね。だから、これは絶対にこの言葉は入れてはいけないと思うのです。

一般の社会でも車の事故は年間に4,500人、人が死ぬけれども、だったら車をやめるかといったら、車をやめないわけですね。それは確率論でやはり車は事故が少ないし、そうしますと、金科玉条のように身体の安全あるいは生命を守るということについては、特段正当な差別的取り扱いには加えるべきではない。よほど立証したり確率論を含めてちゃんとこれが出れば別ですけれども、私はこの言葉というのは正当な差別的取り扱いから省くべきだと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

むしろこの言葉は入れるべきだという御意見はございますか。

遠藤委員、どうぞ。

○ 遠藤委員 これはまさに藤井委員がどういうお立場で御発言をされているのかということであり、もう5年になりますが、藤井委員の御発言をずっと聞いている者からするとその背景もわかっております。そういった中で、どうしてもそういうふうに考えたときに、例えば当該障害者に対してどうかという議論と、何かサービスを提供するに際し、サービスを受領する者がほかにもいて、ではその方がサービスを受領するということの権利があり、利益であり、そういうものをどうやって守っていこうかといった議論があるときに、ただ今、藤井委員が含めるべきではないといったことが場合によっては生じ得るおそれもあるのではないだろうかということを考えます。そこの部分はもうだめだよという議論をするのか、それともそういうものを使うのであれば、限定的だよという形で範囲を狭めていくといったようなこともあり得ますので、最後の絵の仕上がりぐあいのところで御判断いただくといった選択肢もあるのではないかなと思って発言をさせていただきました。

以上であります。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

この話は、また継続にさせていただきたいと思うのですが、よろしいですか。そう単純な話では決してないと思いますので。

北野先生、言いたいですか。では、北野委員、どうぞ。

○ 北野委員 新谷委員のほうから例の厚生労働省の雇用に関する合理的配慮の研究会のところの中で、職務に関連性のある業務は異別取り扱いということにはならないという議論をなされているという話があったのですけれども、実はそういう議論はしておりませんでして、はっきり職務の本質的な業務と職務の付随的な業務というものを明確に分けて、それぞれについてどう扱うかということについて今慎重な議論をしておりますので、ここはかなり深い議論を展開しておるところでございます。

以上です。

○ 石川委員長 どうもありがとうございました。

これで一応不十分かもしれませんが、パート1が終わりました。

パート2、パート3、パート4とあるのでございます。では、1-3まで頑張っていきたいと思います。

○ 東室長 担当室の東です。

1-3の設問は「合理的配慮の基本的な考え方として、どのよう場合に、どのような配慮が求められると考えられるか」という点であります。

合理的配慮の基本的な考え方につきましては、少し内容を小分けにして御意見を御紹介したいと思います。

まず、合理的配慮が何を確保するために必要なのかといった点についての御意見としては、障害を持たない人が享受している権利とか自由を同等に享受するためであるとか、または障害を持たない人が享受している役務とか機会を平等に確保するためといった目的が挙げられております。

次に、合理的配慮が確保されるべき分野については、ある意見は日常生活、社会生活のあらゆる分野とする御意見。ほかには、社会参加が制約される場合といった限定された御意見などがありました。ただ、権利条約上は、あらゆる場面、あらゆる分野が想定されておりますし、差別解消法も分野を限定するといったものではなかろうと考えております。

さらに、合理的配慮の必要性を基礎づける要件としては、例えば現に物理的、制度的、文化、情報、意識上の障壁の除去が必要である場合という意見であるとか、除去すべき社会的障壁がある場合であるとか、除去できない社会的障壁がある場合、そういうような御意見が挙がっております。

加えて、そういうことを前提にして、そこで求められる手段とか方法につきましては、結構さまざまな御意見があります。

例えば通常の基準や手順に対するや個別的調整や変更を行い、参加を可能にする方法といった御意見。あるいは社会的障壁を克服または代替できる手段。

あるいは①時間や順番、ルールを変える、②設備や施設などの形を変える、③補助器具やサービスを提供するなどの手段といった御意見。

あるいは現状の変更調整といった方法という御意見。

障壁の除去または緩和のために一般的に有効であると考えられる手段。

実質的な平等をつくり出すための条件、実質的な機会を保障するための条件といった御意見。

最後に、障害特性に応じた改善、工夫といった御意見が挙がっております。それぞれ、言い振りというか表現振りは違いますけれども、別に対立するような御意見ではなくて、表現をまとめていけばまとまるのかなといったところであります。

以上が合理的配慮、それ自体の中身の議論でした。

加えまして、差別解消法上は、障害者の性別、年齢、障害の状態に応じてとなっておりまして、この点に関する御意見としては、年齢、障害の状態、TPOに応じたものであるべきとか、間違った合理的配慮は要らないというような御意見もありました。これは例示された状況に合っていない合理的配慮のことを指すのだと思います。こういう状況に応じたものであるということが別個の要件としてあるということですね。

また、解消法上は、障害者からの意思の表明ということが1つの要件となっております。これにつきましては、特に知的障害、発達障害のある人への意思決定支援とか家族とか代理人からの意思の表明で足りると考えるべきだという御意見等々があります。

加えまして、条文上は障害者本人からの意思の申し出があるけれども、これは削除すべきであるといった御意見もあります。ただ、これは立法上、そうなっておりますので、立法的な課題ということで承らせていただきます。

加えまして、これに関連してですけれども、障害者が希望しないものは強制できないが、本人及び他の市民の安全の確保のために必要不可欠な場合にはその限りではないといった御意見もあります。

確かに、本人が求めた合理的配慮と具体的に提示された合理的配慮が違うといった場合に、それをどう調整するかという問題はあるのですが、そもそも本人が要らない、希望しないといった場合においては、意思の表明などはないわけですから、合理的理配慮を提供するかどうかという話にはならないのです。その場合に、それを無理に強制するということは、他とは異なる条件の提示という形になりますので、直接差別の問題が出てくるわけです。ですから、一定の条件付きではあるでしょうが、強制するというような話はどうなのかと思っているところです。

次に、御意見としては、過重な負担であるかどうかの判断は誰がどのようにするのかとか、調整はどうするのかといった御意見があります。これらは、合理的配慮をどう実現していくかというプロセス上の問題です。ですので、基本方針に合理的配慮の実現に至るプロセスの問題を書くべきなのかどうなのか。ここで、今、言いましたような個別の問題もありますけれども、そのプロセスをどうされるのか、御議論願いたいと思っているところです。

あと、大きな点は、事前的改善措置との関係についての御意見がございました。これについては、例えば事前的改善措置を超えた部分が合理的配慮だという御意見。もしくは、事前的改善措置が十分に行われていても、障害者にとって困難が生じる場合には合理的配慮が必要となるといった御意見。両者は相まって効果を発揮するものといった御意見。もしくは、両者は多くの場合、重なり合うといった御意見。それとか、合理的配慮で対応するよりも事前的改善措置で対応するほうが効率的かつ合理的なものは事前的改善措置で行うべきといったような御意見がありました。

これらは、どこがどう違うのかとかよくわからないところもありますけれども、基本的には事前的改善措置と合理的配慮は全然違うもの、別個のものと想定し、そこからスタートして考えるか、そうではなくて、本質的には同質のものというベースから出発して考えるのか、そこら辺からの違いだろうなという感じがいたしております。

理屈的にはそういう話なのですが、しかし、現行法上は、事前的改善措置ということについての法制は一部に限られているわけです。例えば情報アクセスなどについての事前的改善措置についての法制は、十分ではないわけです。こういった現状において、しかも事前的改善措置は、権利性はないのです。合理的配慮はある意味権利性はあります。差別を受けない権利という形で。でも、事前的改善措置は、それがなされていなくても別に権利侵害ということにはなりません。そういった違いがあるわけです。

そういう違いを前提にして考えると、個別の問題について、この問題は合理的配慮、この問題は事前的改善措置というように切り分けて固定化するのが妥当なのかどうなのかといった問題点がありますので、それを踏まえて御議論願えればと思っているところです。

あとは、個別具体的な分野、もしくは個別事例を挙げられている御意見がありますけれども、それについてはこれまで話したとおりです。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

今の委員からの意見の整理に対しまして、また御発言を求めたいと思います。挙手をお願いします。

では、土本委員、お願いします。

○ 土本委員 先ほど言ったように、合理的配慮は、知的は漢字に振り仮名を振っているものがあるのですけれども、自分も集会とか大会に参加しているときに要約筆記が出てくるのですけれども、まだまだ漢字を出してきている部分があるし、もう二つで、もう一つは漢字で、もう一つは平仮名で自分たちの知的障害の人たちがわかりやすいものが2つあれば、外国の人も見ればわかるという。それが重たい負担になるのか、軽い負担になるのか、それはわからないのです。もしやれるのであれば、そういう2つの要約筆記を出していただければ見やすいという形です。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。合理的配慮というのは、個別に求めているものなので、多様な合理的配慮要求というのが出てきて、それをどういうふうにして対応するかという話かと思います。

関口委員、どうぞ。

○ 関口委員 これは直接訴えを受けた話ですけれども、行政機関とか車椅子等のアクセスをしなくてはいけないようになっていると思うのですけれども、例えば自治体が持っている公園等に車椅子が入れないという実態があって、訴えるとお金がないという。これはまずいと私は思っていまして、少なくとも自治体が持っているものに関しては、ちゃんと車椅子でも入れるようにする。これは初期費用がちょっとかかるかもしれませんけれども、そこまではきちっとこちらのほうで明示していく必要があるのではないでしょうか。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

御意見ということで受けてよろしいですね。ほかに御意見ございますか。

では、後藤委員、お願いします。

○ 後藤委員 後藤でございます。

先ほど来出ていますように、合理的配慮と事前的改善措置はあわせて結果をつくるものと思います。縦割りで、合理的配慮は合理的配慮で精一杯したのでと終わりになって、結果的に事前的改善措置とのあいだに切れ目が出たのではまずい。基本方針の構成や書き方は、両者をあわせて切れ目をつくらないということを担保していただければと思います。

○ 石川委員長 後藤委員、ありがとうございました。

東室長、これについては特に異論はないという理解でよろしいですね。

石野委員、どうぞ。

○ 石野委員 石野です。

東室長のお考えに同感です。基本方針を作成する場合には、行政としても合理的配慮の例示は非常に関心があると思います。例えば情報アクセシビリティの問題が出ましたけれども、今、政策委員会では、この情報保障についてはきちんとルールがつくられています。手話通訳あるいは要約筆記の準備があり、また前もって委員に対して資料は送られる。そういう環境で議論をするというような例示ができます。行政の諮問委員会についても差別解消法に基づいて協議会を設けると思いますが、情報保障のルールを例示として出すべきではないかと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

御意見ということで受けておきたいと思いますけれども、同時にどうでしょうか。基本方針の中で合理的配慮というと、具体的にどのようにイメージしたらいいのか、イメージを喚起する機能というか、そういったものも期待されているとすると、何らかの例示、とりわけ行政機関に対して対応要領にかかわるような例示というのは、基本方針の中で出すというのは有効なのではないかと私も個人的には思いますので、また検討させていただきたいと思います。

まだ手を挙げてらっしゃる方はいらっしゃらない。

では、ここで、この機会を捉えて休憩とさせていただきたいと思います。

10分でいいですか。では、3時25分再開でお願いします。

(休憩)

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