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障害のあるアメリカ人法改正法の
雇用機会均等の規定を施行するための規則(抄)

米国国立公文書記録管理局

雇用機会均等委員会

29 CFR 第1630編

RIN 3046-AA85

機関: 雇用機会均等委員会(EEOC)

文書内容: 規則制定案の通知

概要: 雇用機会均等委員会(以下、本委員会またはEEOC)は、2008年障害のあるアメリカ人法(ADA)改正法施行のため、同委員会のADA規則およびこれに伴う解釈指針の改正を提案する。本委員会は、障害を理由とする雇用差別を禁止する改正ADA第1編の施行に責任を有している。2008年ADAの改正に関する法律に基づき、改正法本規則に含まれる特定の規定を改正法に適合させるため、EEOCは前記規則を改正する権限を明示的に付与されており、かかる改正を行うことが期待されている。

補足情報: 2008年ADAの改正に関する法律(以下、「改正法」)は2008年9月25日にジョージ・W・ブッシュ大統領の署名を得て法律となり、2009年1月1日に発効した。2008年改正に基づき、ADA(42 U.S.C. 12101以降)による障害の定義はADA改正法の条件が許容する最大限において拡大して解釈されるものとし、ある者が障害を有するか否かの判断において詳細な分析を要求してはならない。改正法は、数件の最高裁判所判決およびEEOCのADA規則の一部で支持されている意見を否認し、「障害」の定義に重大な変更を加えるものである。これらの変更には、ADAによる保護を求める者が、ADAが定義する障害を自己が有することを容易に証明できるという効果がある。2008年ADAの改正に関する法律に伴って提出された事務局の説明文書(以下、2008年上院事務局説明文書という)は以下の通りである:少数意見を記載した教育労働委員会報告書(法案H.R. 3195に添付して提出)、H.R. Rep. No. 110-730 part 1, 110th Cong., 2d Sess. (2008年6月23日)(以下、2008年下院教育労働委員会報告書という)、司法委員会報告書および補足見解(法案H.R. 3195に添付して提出)、H.R. Rep. No. 110-730 part 2, 110th Cong., 2d Sess. (2008年6月23日)(以下、2008年司法委員会報告書という)。

改正法は、「障害」とは1つまたは複数の主要な生活活動を実質的に制約する機能の障害、かかる機能の障害の記録、またはかかる機能の障害を有するとみなされていることをいう、というADAの基本的定義を踏襲している。しかし改正法は、かかる法律用語の解釈方法をいくつかの点で改正しており、そのため、既存の規則および29 CFR第1630編として発行された「第1630編附則 - 障害のあるアメリカ人法第I編の解釈指針」に含まれている解釈指針を改正する必要がある。

本規則案は、改正法の規定および連邦議会が表明した期待に基づき、下記を内容とする。

― 「障害」の定義を広く解釈すること。

― 「実質的な制約」には、トヨタ自動車対ウィリアムズ事件、534 U.S. 134 (2002)において最高裁判決が要求した「当該事項の一定水準の制約および程度」という条件が適用されるものであるという誤った解釈を防止しなければならないという連邦議会の明確な指示に従い、規則の定義の「実質的な制約」の部分につき、改正法に従い、基準に適合するための要件から「著しい」または「深刻に」という制約を削除し、主要な生活活動を行うにあたっての「条件、態様、期間」を削除する(2008 上院事務局の説明文書第6項)。

― すべてを網羅したものとして取り扱われるものではない2つのリストを通じて「主要な生活活動」の定義を拡張する。

― 最初のリストは、身の回りのことを行う、手作業を行う、見る、聞く、食べる、眠る、歩く、立つ、座る、手を伸ばす、持ち上げる、かがめる、話す、呼吸する、学ぶ、読む、集中する、考える、意思疎通を行う、他の人と交流する、働くなどの活動を含む。これらの一部についてはEEOCの規則および規則実施指針に規定済みであり、一部は連邦議会が改正法に追加したものである。

― 2番目のリストは、下記の主要な身体機能を含む。すなわち、免疫システムの機能、専門感覚器官、皮膚、正常な細胞の成長、消化機能、腸、膀胱、神経、脳、呼吸器、循環器、心血管、内分秘、血液、リンパ、筋骨格、生殖機能である。これらの多くは連邦議会が改正法により含めたものであり、一部は本委員会が説明のための例示として含めたものである。

― ある者に「障害」があるかの判断にあたっては、「通常の眼鏡またはコンタクトレンズ」以外の矯正措置は考慮しない。

― 散発的または寛解期にある機能の障害は、これらが出現したときに主要な生活活動の実質的な制約となる場合にのみ障害とする。

― 「みなし」の定義を変更して、当該の者につき主要な生活活動に実質的な制約が存在すると雇用主が認識したことの立証責任を不要とし、実際のまたは認識された機能の障害を理由としてADAが禁止する事項(雇用拒否、昇進拒否、解雇など)を受けた求職者または被雇用者は、当該機能の障害が一過性かつ軽微である場合を除き、障害の「みなし」定義に該当する。

― 本規則案においては、機能の障害に基づく行為には機能の障害の症状に基づく行為が含まれ、本委員会はこの点についてパブリックコメントを受け付ける。

― 「みなし」規定のみが適用される者は合理的配慮を受ける資格がない。

― ある者の未矯正の視力に基づく適格性規定、雇用試験、その他の選抜指標は、職務における当該職に関連するものであって事業上必要であることが立証された場合を除き、使用してはならない。

上記の変更を有効とするため、本規則案は29CFR第1630編の下記の規定および同編附則の下記の規定を改正する。

― 第1630.1条 (第 (3)項および第(4)項を追加)

― 第1630.2条第(g)号(3) (第1630.2条第(l)項への参照を追加)

― 第1630.2条 第(h)号(「精神遅滞」を「知的障害」に変更)

― 第1630.2条第(i)号(「主要な生活活動」の定義を変更し例を記述)

― 第1630.2条第(j)号(「実質的な制約」の定義を変更して例を記述)

― 第1630.2条第(k)号(障害の「記録」の例を記述)

― 第1630.2条第(l)号(障害を持つとの「みなし」の定義を改訂し例を記述)

― 第1630.2条第(m)号(用語の改正)

― 第1630.2条第(o)号(第(4)項を追加して、障害のある者との「みなし」が行われたのみである者には合理的配慮を行わないことを規定)

― 第1630.4条(条番号を変更し、「障害がないとの申立」に関する第(b)号を追加)

― 第1630.9条(第(c)項の用語を改正し、障害のある者との「みなし」が行われたのみである者は合理的配慮を受ける権利を有しないことを規定した第(e)号を追加)

― 第1630.10条(未矯正視力に関する資格条件と試験を追加)

― 第1630.16条第(a)号(用語の改正)

上記の規則改正については、最終規則が記載される連邦規則集の第1630編附則の解釈指針により説明されている。本委員会は、障害のある者が規則に基づく自己の権利を理解することおよび適用対象事業体による規則遵守の支援と奨励を行うために、改正前の第1630編ADA規則の公布と同時に解釈指針を独自に公布した。同附則は規則の主要規定について中心となる考え方を説明している。同附則の改正は対象事項に関する本委員会の解釈を引き続き示すものであり、本委員会は同指針に従って、ADAが規定する雇用差別禁止違反の事例を判断する。

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規則手続

大統領命令第12866号

本規則は大統領命令第12866号、58 FR 51753(1993年9月30日)、第1条第(b)項規則の諸原則に従って起草され審査されたものである。かかる規則は、ADA施行についての本委員会の法的義務に基づくものであることから大統領命令第12866号第3条第(f)号(4)が規定する「重大な規則上の措置」に該当し、審査を受けるため行政管理予算局に提出された。上記の改正は、本委員会の規則を2009年1月1日に発効された2008年ADAの改正に関する法律に適合させるために必要であり、同規則の一部の規定は明示的に廃止する。今回提案する規則第I編および附則の改正は、予測性を確保し、司法当局による解釈と連邦議会により改正されたADAの行政機関による施行との一貫性を図るものである。

規則の影響に関する予備的分析

以下に記載する既存調査の一次審査は、ADAに基づく合理的配慮の提供の費用と給付に関するものであり、ADA 改正法に応じたEEOC委員会の規則変更による経済上の影響は、「経済的に大きな影響を有する」とされる1億ドルを下回る可能性がきわめて高いことを示唆するものである。この予備的審査では、ADA改正法の施行規則で義務付けられている合理的配慮の費用を中心に、配慮にかかる予想費用、職場での配慮の普及度、ADA改正法による追加支援の要求が経済的に大きな影響を有するとされる1億ドル基準に達するまでの追加的な配慮の要求件数、合理的配慮の提供により雇用主が受けられる給付を考慮した。しかしながら、関連する費用および給付を調べた既存調査は限られているため、本委員会は、規則による影響をさらに分析する必要があるか判断するために、この問題に関するパブリックコメントを受け付けている。

想定に関する予備的検討

この審査は、ADAを改正することによりどれだけの人が恩恵を受けるか、予想される費用はどれだけかのデータを基礎としているものの、ADA改正法およびEEOCの規則案によって増加する費用の調査に関連した下記の独自要因に留意することが重要である。

― 改正法の施行以前、合理的配慮が受けられなかったとして提訴した多数の原告が敗訴した。その根拠は、ADAは当該個人が「障害のある者」の定義にあたらないと事業主が判断した場合に配慮を行う義務を定めていないとされたことにあった。改正法施行前の判決の多くは、連邦議会が改正法の説明で引用した判決を含め、雇用主による配慮の拒否がADA適用範囲と無関係である場合には当該者は障害のある者にはあたらないとしていた。むしろ、適用範囲はADA違反の主張に対する事後防御の手段として利用されるようになった。このことは、本改正および規則施行に関わる費用は新規に発生するものではなく、多くの場合、ADA関連ですでに発生していたものであることを示唆する。

― NPRM第1630.2条第(j)号(5)に記載されている癌、てんかん、糖尿病その他の機能の障害が以前の定義には絶対的条件として含まれていなかったが、それが改正法で含まれるようになったと捉えることは正しくない。新しい障害の定義に確実に適合することとなったNPRM第1630.2条第(j)号(5)に記載されている種類の機能の障害を持つ者の多くは、EEOCによる法律の以前の解釈でも適用対象であったのであり、自主的に遵守していた雇用主が存在した。

― 新しい「障害」の定義に該当する者の多くは制約の程度が重くなく、従って配慮にかかる費用も高額にならないと考えられる。さらに、「障害」の新しい「みなし」に該当する者は配慮を受ける権利を持たない。

― 定義の改正により新たに対象となった者であって配慮を要求しかつ配慮を必要とする者について、雇用主は、既存の雇用主の方針および手続(例えば、累積された年次休暇また病気欠勤期間、雇用主の無給休暇に関する方針、雇用主の短期・長期障害給付、CBAが保証するフレキシブル勤務オプション、自主的移転プログラム、「早期復職」プログラムなど)に基づいて、あるいは他の法令(FMLA、労働者災害補償法など)に基づいて要求に応じることがある。

― また、配慮を実際に要求した障害のある者のすべてがADAにより配慮を受ける権利を有しているわけではない。例えば、要求した配慮が不要である場合、過度な負担なく要求された合理的配慮を提供することができない場合や、配慮への「適格性」がなくまたは「配慮があっても安全への直接の脅威」が存在する場合などである。

― EEOCは、ADAに関するこれまでの出版物全部を改訂する予定であり、その一部として小規模事業所向けハンドブックの新規発行または改訂を行う。これには多数の施行指針、技術支援文書が含まれ、その一部は小規模事業所のみを対象とするものである(「小規模事業所のためのADA入門」、http://www.eeoc.gov/ada/ adahandbook.html)。

― 小規模事業所と大企業で予想される遵守費用の「差」は、小規模事業所に生じる費用の相殺を見落としている場合がある。例えば、EECは、有料訓練よりも、多くの無料説明資料および訓練資料を用意している。また、小規模事業所は、改正されまたは削除された障害の定義に関連付けられている詳細な合理的配慮に関する手続を定めているところが少ない。

― 雇用主が合理的配慮を提供することを奨励するための税優遇制度は十分に活用されておらず、還付受け取りに時間がかかり、かつ一部還付であることから、必ずしも大きな費用を要することにはならない。かかる優遇制度は、ADA改正法施行前に対象とされていた重度の障害がある者に関連するような配慮に主に適用されるからである。

合理的配慮

本委員会は、当初から、障害のある求職者または被雇用者に合理的配慮を行う費用に関するデータは多く存在しないこと、および収集したデータの大半は限定的な標本調査またはごく情報量が少ない調査によるものであることを認識している。

広義では、ADA法案が初めて連邦議会で可決された時においても、合理的配慮にかかる費用の大幅な増加はなかったと考えられる。例えば、ADA法案可決前の1986年に米国障害協会全米障害協会(N.O.D.)/ハリス世論調査が実施した雇用主に関する調査では、調査対象企業の51%が何らかの配慮を行なっていた (米国障害協会、参加と態度に関する調査(1986))。ADA施行後の1995年に同じくこれらの機関が実施した調査では、この値は81%であった(米国障害協会、参加と態度に関する調査(1995))。一方、この1995 年のN.O.D./ハリス世論調査で、大企業幹部の80%が障害のある者に対する配慮にかけた費用の増加分はごくわずかであるもしくは全くなかったと回答している。

最近の調査(ヘレン・シュワーツら、『職場での配慮: 証拠に基づく調査結果』、27頁 『労働』、345頁 (2006))では合理的配慮の費用と給付を検証した。著者らは配慮にかかる費用に関する過去の実証調査の概要を紹介している。1978年から1997年にかけてのある大手小売業での配慮1件あたりの平均直接費用は45ドルであったと指摘している(P. D. ブランク、『障害のあるアメリカ人法第I編-職場配慮の雇用規定の経済学』、46頁、 DePaul L. Rev. 877 (1997))。また、1996年の調査(D. L. ダウラーら、『職場での合理的配慮の結果』、5頁、 Tech & Disability 345 (1996))によれば、配慮の平均費用は200ドルであった。職業配慮ネットワーク(JAN)の1992年から1999年のデータでは、費用の中央値は250ドルであった(職業配慮ネットワーク、1999年7月30日までの利益/コスト表(1999))。

これらの調査の検証時に、費用情報の取得のために正確な費用測定が実施されたのか、全体傾向の指標として何が使用されたのかについての疑問が生じた。そのため、シュワーツらの調査を含めた最近の3件の費用調査をあらためて検証し、データ源にあたって実際に使用された中心傾向の指標を知ろうとした。そのため、一次情報源が必要となることもあった。

シュワーツらの調査は、JAN調査(数値は、シラキュース大学法科大学院(Syracuse Law School)のジェイムズ・シュメリング(James Lee Schmeling)からの個人的な情報交換から引用した(2009年7月13日))に依存していた。その結果のまとめを表1に示す。データ収集には質問票が使用された。回答者には表1の費用範囲から費用を選択することが求められた。その唯一の例外は最後のカテゴリーである「5000ドル超」であり、平均算出においては上限額が10,000ドルであるとして計算されている。

表1- シュワーツ、ヘンドリック、及びブランク
標本総数
705
   
費用範囲
中間数
回答数
合計
0 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
0
141
0
1~500・・・・・・・・・・・・・・・・・
250.5
359.55
90,067.28
501~1,000・・・・・・・・・・・・・・
750.5
77.55
58,201.28
1,001~1,500 ・・・・・・・・・・・・・
751.5
21.15
15,894.23

1,501~2,000 ・・・・・・・・・・・・・

1,750.5
21.15
37,023.08
2,001~5,000 ・・・・・・・・・・・・・
3,500.5
56.4
197,428.2
5,001~10,000 ・・・・・・・・・・・・
7,500.5
28.2
211,514.1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・

705
610,128.2
平均費用 ・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
865.43
中間費用 ・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
751.5
10,000ドルがこの範囲では最も高額な費用であると想定した。

職業配慮ネットワーク(JAN)のデータに基づく合理的配慮にかかる平均費用は865.43ドルとされている。しかしこの数字は代表的数字とは言えないであろう。JANを利用して配慮計画を立てた雇用主には特有のあるいは困難な配慮上の問題があったはずである。そうであれば、調査対象雇用主の数が多ければ平均費用がもっと高くなっていたと考えられる。

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他の調査(リサ・ニシイとスザンヌ・ブリュヤー、2009年米国精神協会大会での発表:障害のある被雇用者の差別保護:部署マネージャーの役割(2009年8月7日))は、米国フォーチュン誌が毎年発表する企業番付「フォーチュン500」に掲載されたある大手企業1社の社員約5,000人を対象とした。ニシイとブリュヤーは、障害のある者から要求があったすべての配慮の半分は費用がゼロであり、配慮(費用が分かっているもの)のうち75%が500ドル未満であったことを突き止めた。

この場合、平均費用は462ドルになる。

表2 ブリュヤー及びニシイ、2009年非公開
標本総数
5000
   
障害がある者の数 ・・・・・・・・・・・・・・・
145
   
費用範囲
中間数
回答数
合計
0 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
0
76.85
0
1~100 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
50
7.25
362.5
101~500 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
300.5
24.65
7,407.325
1,001~5,000 ・・・・・・・・・・・・・・・・
3,000.5
8.7
26,104.35
5,001~10,000 ・・・・・・・・・・・・・・・・
7,500.5
2.9
21,751.45
 
・・・・・
120.35
55,625.63
平均費用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・・・
462.1988
中間費用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・・・
199.5
10,000ドルがこの範囲では最も高額な費用であると想定した。

また別の最近の調査はJAN自体によるものである(職業配慮ネットワーク(Job Accommodation Network)、『職場での配慮:低費用で得る大きな影響』(JAN 2007データ分析)(2007))(JANの『職場での配慮:低費用で得る大きな影響(Workplace Accommodations: Low Cost, High Impact)』で得た調査結果は、2009年9月1日の段階で更新されている。本書の前文で述べられているデータは、2007年の調査結果からの引用である。本委員会は、最終規則が発行された際には最新の2009年のデータに基づく分析を更新すると思われる。)。JANが報告したその顧客の合理的配慮にかかった平均費用は1,434ドルである(ロン・エドワード博士(Ron Edwards)とベス・ロイ博士(Beth Loy)との情報交換に基づく(「職業配慮ネットワーク(Job Accommodation Network)」より)(初投稿2005年、更新2007年)。配慮に関する利益/コスト表(JANによる2007年データ分析より)。職業配慮ネットワーク:著者)。 上記のように、JANの顧客をサンプルとした調査は代表的な数値でない可能性がある。これは、先にも述べたが、JANの利用者ら、合理的配慮の方法の特定が困難であることを経験しているためと思われる。

上記の調査から分かるように、合理的配慮の推定平均費用には大きなばらつきがあり、JAN調査の1,434ドルの高額からシュワーツらの865.43ドル(JANデータを使用)、単一企業調査では462ドルとなっている。

シュワーツらおよびブリュヤーとニシイの調査はどちらも、雇用主の回答に基づき、配慮にかかる費用を給付が上回りまたは相当部分が相殺されたとしている。どちらの調査でも、回答者は指定範囲の中から回答するよう求められた。最高額の範囲には上限が設けられていなかった。この方法で収集されたデータについては、平均計算のために任意の上限を設定することが必要である。従って、平均値は、最高額に関して設定された任意の上限額に大きく左右される。

加えて新たな要因としては、障害がある者がすべての合理的配慮を要求するわけではなく、また障害がある者にすべての合理的配慮が提供されるわけではないということがある。ニシイとブリュヤーの報告書によれば、配慮を要求する者の割合は障害のある者と障害のない者がほぼ等しい。例えば、連邦または州の労働者災害補償法においては、負傷した労働者(その機能の障害はADAが定義する障害にあたらない場合がある)にまで安全に職場に復帰できるように多くの配慮がある。同様に、家族および医療休暇法に基づき、治療その他の障害に関連する目的で休暇を取ることができる者には、障害とみなされる機能の障害がない場合もある。

障害のある求職者および被雇用者

改正法は、「障害」とは1つまたは複数の主要な生活活動を実質的に制約する機能の障害、かかる機能の障害の記録、またはかかる機能の障害を有するとみなされていることをいう、というADAの基本的定義を踏襲している。しかし改正法は、かかる法律用語の解釈方法をいくつかの点で改正している。大幅な改正ではないが、一般に使用されているデータベースでは検索できないような正確性のレベルで定義を改正するものである。従って、影響を受ける労働者数は、規制による影響を判断する上で重要な要因であるにも関わらず、把握が困難である。

影響を受ける労働者数の推定は、使用する調査データ、障害測定に使用する各種定義、雇用の定義、調査対象層の年齢範囲などの主要要素に左右される。以下に、障害のあるアメリカ人に関する情報源として広く使用されている2つの米国の代表的調査、「現在人口調査の社会経済的年次補足」(CPS-ASEC)と「米国地域社会調査」(ACS)の概要と結果を記載する。

現在人口調査の社会経済的年次補足(CPS-ASEC)

CPS-ASECは、1981年以来一貫した障害項目定義を使用して障害のあるアメリカ人の調査を毎年実施している唯一の調査である。従って、就労年齢労働者の長期データという点で他の全国調査より優れている。CPS-ASEは労働制約がある者の障害に単一の指標を使用している。指標は次のように表現されている。「家庭内で労働に支障をきたす程度に健康に問題のある人又は障害のある人はいますか。また、どのような種類又は程度の労働ができますか。そのような人がいる場合、その人は誰ですか。他には誰かいませんか。」

米国地域社会調査

米国地域社会調査(ACS)は毎年実施される国勢調査であり、障害の状態に関する6つの質問が含まれている。最初の調査は2000年であったが、2000~2002年版補足調査の障害のある者の指標には問題があることが知られている。その理由は、外出および労働制約の2つの指標の解釈に影響する質問票の言い回しがあったからである(シャロン・M・スターン、アメリカ国政調査局、障害者を数える: 調査方法が2000年国勢調査および2000年補足国勢調査による推定にどのように影響したか(2003)(www.census.gov/acs/www/Downloads/ACS/finalstern.pdf)。シャロン・スターンとマシュー・ブロールト、米国国政調査局、米国地域社会調査による障害のある者データ:2003年の質問再構成の効果の簡単な検証(2005)、 www.census.gov/hhes/www/disability/ACS_disability.pdf、アンドリュー・J・ホーテンビルら、調査の複雑な質問と列挙手法の影響/米国地域社会調査の障害のある者に関する質問(国勢調査局、調査報告書第CES-WP-09-10号、2009)。入手先http://ssrn.com/abstract=1444534)。言い回しは修正され、2003~2007年調査のACS質問票では下記のようになった。

「この人には次の長期障害がありますか: a. 視覚消失、聴覚消失、または重篤な視覚あるいは聴覚機能の障害、 b. 歩行、階段昇り、腕伸ばし、持ち上げ、運搬などの基本的身体活動の1つまたは複数を実質的に制約する障害。

この人は身体的、精神的または情緒的な 障害が6ヶ月以上続いていることが理由で次の活動のいずれかに困難がありますか。 a. 学習、記憶、集中。 b. 着衣、入浴、家の中の移動。 

この人は身体的、精神的または情緒的な障害が6ヶ月以上続いていることが理由で次の活動のいずれかに困難がありますか。 a. (対象者が15歳以上の場合に回答) 単独での外出による買い物や通院。b.(対象者が15歳以上の場合に回答)会社での労働」

CPS-ASECとACSの推定の比較

障害のある者の統計作成方法に使用したこれら2つの全国調査には大きな違いがある。研究者らは、障害に関する項目数と障害の存在率の間に正の相関性が存在することに気づいた(CPS-ASEC、ACS、米国医療施設利用状況調査(National Health Interview Survey:NHIS)、所得および保険加入調査(Survey of Income and Program Participation:SIPP)より引用した統計がこの傾向をはっきり証明している。少なくとも1つの障害を持つ者で被雇用者の数はCPS-ASECでは最も少なく、NHIS とSIPPでは最も多い。双方とも障害者指標は20である。新たな別の方法によれば、一時的な健康上もしくは機能上の不具合を持つ者も含む結果となる可能性がある。)。特に、障害質問項目が多いほう(ASCでは6、CPS-ASECでは1)が、障害のある者の数が多く報告される。労働力人口を決定する雇用の定義も2つの調査で異なっている。

下記の表3は、コーネル大学のビョランド博士がCPS-ASECを使用して障害のある就労者の数を年別に示したものである。この表においてACSではなくCPS-ASECを使用した理由は対象期間が長いからである(ACSは2003年からだがCPS-ASECは1999年から)。また、障害のある(または作業制限がある)就労者は、職場での合理的配慮を要求する可能性が最も高いと考えられるため、対象集団とした。

表3‐現行の国勢調査方法による1999年から2007年までの障害のある者の人口
障害のある労働者数
障害のある就労者の数
1999 ・・・・・・・・
2000 ・・・・・・・・
2001 ・・・・・・・・
2002 ・・・・・・・・
2003 ・・・・・・・・
2004 ・・・・・・・・
2005 ・・・・・・・・
2006 ・・・・・・・・
2007 ・・・・・・・・
3,207,218
3,545,209
3,187,276
3,081,585
2,835,976
3,146,749
3,067,059
3,200,808
3,042,300
3,588,806
3,889,798
3,533,647
3,574,294
3,414,687
3,727,859
3,579,808
3,698,593
3,497,321

注:「障害」はCPSによる、「家庭内で労働に支障をきたす程度に健康に問題のある人又は障害のある人はいますか。また、どの程度の種類又は程度の労働ができますか。(そのような人がいる場合、)その人は誰ですか。他には誰かいませんか。」という労働制約変数を用いて定義した。対象者は、16歳以上のCPS回答者から成る。
 統計は、2009年度の7月から2月にかけてカーネル大学就労障害研究所(Employment and Disability Institute)で作成され、ビョランド博士 (Melissa J. Bjellan, Ph.D) が提供した。

表3の数字は、障害のある就労者に関する他の情報源による裏付けがある。ACSのデータによれば、2007年には21歳から64歳の8,229,000人がACSが定義する6つの障害のうち1つを有しており、そのうち就業障害がありかつ就労していた者は2,263,000人にすぎなかった(エリクソン・Wとリー・C、障害者リハビリテーション調査訓練センター - 人口と統計2007  障害状況報告書: 米国25 (2008))。この調査結果は、CPS-ASECによる2007年の21~64歳の2,594,000 人に就労制約があり、かつ就労していたという結果(メリッサ・J・ビョランドら。障害者リハビリテーション調査訓練センター、人口と統計、現在人口調査(CPS)からの障害者統計(2008))(表3の作成で使用された標本調査の対象者には、ウェブサイトDisabilityStatistics.orgから引用した結果の場合同様、CPS-ASEC において、21~64歳までの者だけでなく16歳以上の者すべてが含まれているため、若干人数が多いことに注意する必要がある。ADAでは就労している障害のある者すべてが対象となっており、従来の労働年数に含まれる者のみではない。)とほぼ同じである。

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これらの数字は2004年の米国障害協会N.O.D./ハリス世論調査でも裏付けられた。この調査では18歳から64歳の障害のある者のうち3分の1強(35%)が就労しているが、一方、障害のない者の就労率は4分の3超である(米国障害協会、参加と態度の調査プログラム(2004))。この報告書の数字は1986年国勢調査から変わっていない。

これに代わるACSの6項目の障害のある者の定義による質問では、2009年7月の障害のある就労者は6,217,000名とされている(http://www.bls.gov/cps/ cpsdisability.htm参照。2009年9月2日にダウンロード)。

以前の障害労働者の定義に戻してみても、合理的配慮を要求する労働者数は基本的に変わらないとみられる。

これにより影響を受ける労働者数の推定最大値は出るであろうが、ADA改正の影響を測定するには漠然としすぎている。改正により影響を受ける労働者は、従来からADAの対象になっていたとも言えるのである。改正により、特に規則案第1630.2条第(j)項(5)が規定する「障害」定義該当者、すなわち、自閉症、癌、脳性小児麻痺、糖尿病、てんかん、HIVまたはAIDS、多発性硬化症、筋ジストロフィーの患者および抑うつ、双極性障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調症などの患者による合理的配慮の要求は増加すると主張されている。しかし、正確な人数の予測は困難である。過去にはなかった法的保護を得られるようになったことを本人が認識する必要があるからである。

この種の影響の指標の1つは、機能の障害を理由とする労働者からの申立件数の増加であろう。2008年12月(改正前)および2009年1月から7月(改正後)にかけてのADA(他の法令との組み合わせを含む)に基づくEEOC への申立件数の統計が存在する。報告された各期間について申立件数の差を計算したところ、上記のそれぞれに根拠による差の平均は46件であった。同様に計算して、上記の改正条文に列挙された根拠による差の平均は43件であった。すなわち、規則案第1630.2条第(j)項(5)に関連する増加分は対象期間のすべての根拠による申立を下回っている。このことから、第1630.2条第(j)項(5)が規定する機能の障害を有する労働者の保護の強化または改正がよく知られていないことが示唆される。

2番目の方法は、機能の障害を有する労働者の数を推定し、その何パーセントが合理的配慮を要求するかを判断することである。このデータも容易には入手できないが、障害者管理センターが前記障害のほとんどについて発現率データを発表している。「障害があるとの自己報告を行った18歳以上の施設に入所していない障害のある米国人の主要原因。推定該当人口および性別による割合 - 米国 2005」を参照のこと。(http://www.cdc.gov/mmwr/preview/ mmwrhtml/mm5816a2.htm(表1)(最新の閲覧は2009年9月15日))。上記の障害のすべてがこのデータで取り上げられているわけではないが、癌(100万人、2.2%)、脳性小児麻痺(223,000人、0.5%)、糖尿病(200万人、4.5%)、てんかん(256,000人、0.6%)、AIDS またはAIDS関連疾患 (90,000人、0.2%)、「精神的または情緒的」機能の障害 (220万人、4.9%)というデータがある。合計580万人すなわち施設に入所していない成人で障害のある米国人の13%である。従って、これらの患者が労働制約のある障害のある者の約13%を占めていると仮定すると、ADA改正法に基づいて合理的配慮を要求すると推定される人数は45万人(350万人×0.13)となる。しかし、これはCPS-ASECのデータに基づき「労働制約」がある障害のある労働者のみを計算している。障害があると報告した820万人(上記のACSデータによる)の13%に前記障害があるとすると、約100万人が「障害」の定義に適合することとなる。

配慮の要求

上記のように、ADA改正法の「障害」の定義を満たす者の上限は100万人程度であると考えられる(ADA 改正法により、あとどれだけの障害のある被雇用者が、合理的配慮を要求するのか、その権利を有するのか、どの程度の要求を行うのかという問題を判断できるデータはない。しかしながら、ADA法第1630条第2項第(j)号(5)で規定されている種類の障害のある被雇用者が、本規則案に基づき配慮を要求する可能性が最も高いと思われる。これらの被雇用者が彼らの障害が「確実に」「障害」の定義にあてはまると強く確信していたと思われるからである。)。ただし、障害がある被雇用者の全員が合理的配慮を要求するわけではない。「調査対象者4,937名のうち、(著者らが列挙した)17種類の配慮のいずれかを必要とすると回答したのはごく一部(16%)であった(クレイグ・ズワーリングら、『障害のある者への職場の配慮:米国健康聞き取り調査 障害のある者に関する補足、1994~1995』、45頁、 J. Occupational & Envtl. Med. 517 (2003))。一方、ニシイとブリュヤーの報告によれば、調査対象の、障害がある被雇用者の82%が配慮を要求している(数値の不一致は、標本調査対象数が異なることと、ニシイとブリュヤーが20種類の様々な配慮を一覧化したことによる。さらに、ニシイとブリュヤーは、対象のうち82%の障害のない被雇用者が配慮を要求したとも報告している。企業全体において、全配慮要求のうち91%が障害のない被雇用者からの要求であり、9%が障害のある被雇用者からの要求であったと報告されている。20種類の配慮のうち、大部分の配慮が障害のある者に向けて作成されたものではない(どの配慮においても、こうした種類の配慮の大多数は、障害のない者に向けて作られたものである)。)。確かに、障害があるすべての労働者の合理的配慮にかかる費用は推定不可能であるが、この要素がどれほど費用を削減するのかは明確でない。

そこで、ズワーリングらに従って「適格な」障害のある労働者の16%が配慮を要求すると仮定すると、配慮要求件数は16万件に減少する。表4にこの予想される要求数に基づく費用を示す。

表4 16%の障害のある者が合理的配慮を要求した場合にかかると思われる費用
平均金額
合計金額
(百万ドル)
5年間でかかる費用
(百万ドル)
$462
865
1,434
$74
138
229
$15
28
46

この仮定では、すべての要求が初年に行われたとすると費用が1億ドル超となる。

労働者の82%の要求が上限であると仮定すると、配慮要求件数は82万件となる。表5は、この条件の場合の各種の合理的配慮にかかる推定費用である。

表5 82%の障害のある者が合理的配慮を要求した場合にかかると思われる費用
平均金額
合計金額
(百万ドル)
5年間でかかる費用
(百万ドル)
$462
865
1,434
$379
709
1,176
$76
142
235

この計算では上限は5年間で要求がなされたとしても、合理的配慮にかかる費用の最低推定額を適用した場合を除き、年間費用は1億ドルを超えると考えられる(表3に記載されている障害のある労働者数を下限として、合理的配慮の平均費用は、670万ドルから1億430万ドルの範囲内である。)。

これらの推定はすべての要求に対して配慮が行われることを前提としている。しかし、シュワーツらは、「被雇用者から(JAN に)申立があった配慮要求の約43%(379件)について配慮が実施され、または実施中である」(シュワーツら、347頁)と報告しており、上記の推定は少なくとも実際の2倍になると思われる。

管理費

さらに費用が上積となる可能性もある。ADA改正法により覆される前の最高裁判決に対応して被雇用者に対する社内方針や手続の変更をADA改正法に定義されている雇用主が行なった場合には、こうした雇用主は、障害の広い定義に対応して既存の方針および手続を改正し、改正規則の遵守のために担当者を訓練する必要がある。前述のように、小規模事業所については、改訂または削除が必要な障害の定義に関連する情報が含まれている合理的配慮に関する詳細手続をあまり定めていない可能性があるが、従業員500名を超える1万8,000社は改正に必要な正式手続の規則を規定している可能性が高い(http://www.sba.gov/advo/research/us_06ss.pdf)。さらに、どんな企業でも必要となるのは最終規則の検討と分析の費用である。また、規則改訂により配慮要求が増加すれば、要求の処理と決定の追加費用が生じる。ただしこれらの費用は、「障害」の定義が改正されたことにより、配慮要求の処理について一般的に要する時間が短縮され、これにより相殺される可能性がある。

管理費の概算推定額は、人事担当者の所要日数の料金として推定される681ドル(『職業ハンドブック(Occupational Outlook Handbook)』、2008-2009年版http://stats.bls.gov/OCO/OCOS021.HTM, (2009年9月2日ダウンロード))に当該担当者の訓練費用を加えた額となる。EEOCの試算ではかかる研修費用は約350ドルである。従って、管理費用はおよそ1,031ドルとなる。大企業ではこの数字を上回ると考えられるが、小規模事業所および方針を変更する必要がない企業はこれを下回るであろう。この費用の水準は、従業員150名以上の大企業(下記に引用するSBAデータでは約68,306社)には適当であると考えられる。この措置による一時費用は約7,000万ドルであると推定される。ただし、本委員会はかかる費用の実証調査データを見つけることができなかった。従っておおまかな概算にすぎない。

最後に、作業負荷の増大による本委員会の費用がある。議会予算局(CBO)がこの費用を推定している。

法案H.R.3195による作業負荷増大分は、ほとんどの年で10%を超えず、すなわち年間2,000件程度であると予測される。現在の作業負荷の処理のためにEEOCが必要とする職員数を基準として、H.R 3195の施行により必要となる追加職員は50~60名であると考えられる。CBOの推定によれば、これら新規職員の雇用費用は、必要額を配分するとして、2010会計年度までに500万ドルに達する(H.R. 3195、2008年ADA改正法、議会予算局、2008年6月23日、2)。

結論として、ADA改正法施行規則の制定による費用が年間1億ドルを超える可能性はきわめて低い。ただし、入手できたデータが確定的または理想的ではないため、これらの推定はずれがあり得る。また、現時点では予想されていない他の規則関連費用が生じる可能性もある。以上の理由から、本委員会は前記費用についてパブリック・コメントを求めている。

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柔軟規制法および連邦政府基金を伴わない命令に関する法律

本委員会はまた、柔軟規制法(公法 L. 96-354)により制定された5 U.S.C.605(b)に基づき、これらの規則が多くの小規模事業所に対し著しい経済的影響を与え、規制柔軟性の分析が必要となるかどうかについても、コメント期間中にパブリックコメントを受け付ける。この情報に基づいて、規則案が州、地方自治体、先住民族による自治体の負担に関して、2 U.S.C.1501以下の1995年連邦政府基金を伴わない命令の改革に関する法律による追加精査が必要か否かも決定する。

本委員会の予備審査では、この規則により多くの小規模事業所が著しい経済的影響を受けることはないと示唆されている。

ADA改正法の対象となる雇用の35% は小規模事業所(従業員500名未満)に分類される企業で行われると予想される(「2006年中小の企業、事業所、施設、雇用、年間給与」)(出典:連邦小企業庁(U.S. Small Business Administration)、施策広報局(Office of Advocacy)(米国勢調査局(the U.S. Census Bureau)、事業所統計(Statistics of U.S. Businesses)より提供された情報が元になっている。))。これに該当するのは1,277,383事業所(22.5%) 、844,842企業(14%)である。この規則はこれらの中小の事業体および企業すべてに適用されると考えられる。

規則案が定める報告、記録簿作成、その他の遵守要件の説明(かかる要件が適用され、長期および短期の遵守費用が発生する小規模事業所の推定を含む)

規則案には報告要件が含まれておらず、新しい記録簿作成も要求されていない。遵守費用は主として合理的考慮費用に由来するものであると考えられる。改正法および規則案は、限定的な数の判例に基づいて障害の定義を明確にしたものであり、改正法により合理的配慮の追加要求が発生するかどうかは不透明である。従って、遵守費用が新たに発生することはないということもあり得る。ただし、規則の影響に関する予備的分析は、(1)合理的配慮にかかる費用の平均額、(2)合理的配慮を要求する障害のある労働者の割合、という2つの基準による推定を行なっている。使用した合理的配慮平均費用は462ドル(ニシイとブリュヤー (2009))、 865ドル(シュワーツら(2006))、1,434ドル(職業配慮ネットワーク (2007))である。合理的配慮を要求すると予想される障害がある労働者の割合は、最高が82%、最低が16%(ズワーリングら(2003)、ニシイとブリュヤー (2009))の範囲である。下の表1に82%が合理的配慮を要求した場合の小規模事業所の費用を示す。

表1 82%の障害のある者が合理的配慮を要求した場合の小規模事業所への影響(ドル)

企業全体について
5年間でかかる費用

小規模事業所について
5年間でかかる費用
従業員数15-499人の企業数
企業1社につき
かかる費用
75,768,000.00
141,930,520.00
235,176,000.00
26,518,800.00
49,675,682.00
82,311,600.00
844,842
844,842
844,842
31.39
58.80
97.43

この計算では、82%の要求がある場合の小規模事業所の費用は2657万ドルから8230万ドルとなる。

表2は障害がある労働者のうち合理的配慮を要求する率が範囲下限の16%の場合である。

表2 16%の障害のある者が合理的配慮を要求した場合の小規模事業所への影響(ドル)
企業全体について
5年間でかかる費用
小規模事業所について
5年間でかかる費用
従業員数15-499人の企業数
企業1社につき
かかる費用
14,784,000.00
27,693,760.00
45,888,000.00
5,174,400.00
9,692,816.00
16,060,800.00
844,842
844,842
844,842
6.12
11.47
19.01

要求率を低くみると、 小規模事業所の費用は510万ドルから161万ドルとなる。

小規模事業所の特性から、特別な注意が必要である。従業員500名以上の事業所と比較して、小規模事業所の事業所数は多い。予想される合理的配慮を多数の事業所に適用すると、小規模事業所が配慮を要求される可能性はきわめて低いことになる。規則の影響に関する予備的分析は上限値を使用しており、障害のある労働者100万人が自分が新たに保護対象となったと仮定しており、規則案第1630.2条第(j)項(5)が規定する種類の機能の障害を有する労働者であって「障害」の定義に継続して該当する者のおよその推定割合を基礎としている。このうちの82%が合理的配慮を要求すると82万件になる。労働者の35%が小規模事業所に勤務していることから、小規模事業所に対する合理的配慮要求は287,000件になる。これらの要求が5年にわたって行われるとすると年間57,400件である。小規模事業所数(844,842社)を年間の小規模事業所への合理的配慮要求件数で割ると、要求を受けるのは100社につきわずか7社である。要求率13%の場合に同じ計算をすると、合理的配慮要求を受ける小規模事業所は100社に1社である。このように、より少数の小規模事業所へ費用が集中することに関する影響を最小限にする有効な方法は、改正法および新規則が「過度な負担」を「著しい負担または出費」の防御事由として認めていることを活用することである。

追加費用が生じる可能性がある。対象となる雇用主、ADA改正法により覆される前の最高裁判決に対応して被雇用者に対する社内方針や手続の変更を行った場合には、こうした雇用主は広義の障害に対応して既存の方針および手続を改訂し、改訂した規則の遵守のために担当者を訓練する必要がある。また、最終規則の検討と分析という一般的費用も生じる可能性がある。この種の管理費用は、利益が少ない小規模事業所には特に負担となると考えられる。


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