第2章
1992年障害差別禁止法(オーストラリア)
1992年法第135号(改正)
この編集版は、2011年法第46号までの改正を反映するものとして、2011年9月15日に作成された。上記の日において発効していない改正部分は、『注記』章に付記されている。組み入れられた改正の適用は、『注記』章に定める適用規定による。
キャンベラの司法長官事務所 法令草案出版局により作成
障害を理由とする差別に関する法律
第1編 総則
第1条 略称(注記1参照)
本法は、1992年障害差別禁止法と呼称される。
第2条 発効(注記1参照)
(1)第1条および第2条は、本法が国王により裁可された日に発効する。
(2)本条第3項の規定を条件として、本法のその他の規定は、公告により定められた日に発効する。
(3)前項の規定により本法の規定が国王により裁可された日から12ヶ月以内に発効しない場合、それらの規定は、上記期間終了後の最初の日に発効する。
第3条 目的
本法の目的は、以下のとおりとする。
(a)以下の領域において、障害を理由とする人に対する差別を可能な限り排除すること。
(i)労働、建物、教育、施設へのアクセス、クラブおよびスポーツ
(ii)商品、設備、サービスおよび土地の提供
(iii)現行法
(iv)連邦法および連邦プログラムの施行
(b)実務上可能な限り、障害のある人々が、コミュニティの他の人と同一に法の下の平等の権利を有することを保障すること。
(c)障害のある人々がコミュニティの他の人と同一の基本的な権利を有するという原則をコミュニティが認識し受容することを奨励すること。
第4条 解釈
(1)本法において、以下の用語は、これに反する意図が明らかでない限り、それぞれ以下の意味を有する。
●「建物」は、住居用または事業用の建物を含む。
●「行政職」とは、以下のものをいう。
(a)連邦の法律によって設置され、またはそれに基づいて任命された職務
(b)準州の法律によって設置され、またはそれに基づいて任命された職務
(c)連邦または準州の法律によらない場合、総督または大臣による任命
(d)連邦の公的機関である法人の役員としての任命
ただし、以下のものを含まない。
(e)1988年オーストラリア首都特別地域(自治政府)法の意義における議会議員、執行機関メンバーまたは大臣の職務
(f)1978年北部準州(自治政府)法の意義における立法府の議員、理事会メンバーまたは大臣の職務
(g)1979年ノーフォーク諸島特別地域(自治政府)法の意義における立法府の議員の職務
(h)オーストラリア公共サービス機関の職務または任命
●「介助動物」とは、第9条第2項に定める意味を有する。
●「関係者」とは、本人にとって以下の者をいう。
(a)配偶者
(b)実際に家庭を営む目的で同居している者
(c)親族
(d)介助者
(e)事業、スポーツまたは娯楽に関係を有する者
●「介助者」または「補助者」とは、第9条第1項に定める意味を有する。
●「クラブ」とは、社交、文芸、文化、政治、スポーツ、運動または他の合法的な目的のために共に集う団体(法人格を有するか否かを問わない)で、体の資金によって設備の全部または一部を提供し維持するものをいう。
●「委員会」とは、オーストラリア人権委員会をいう。
●「委託代行者」とは、全部であるか一部であるかを問わず、手数料による報酬を得て、他の人の代理人として、当該他の人のために働く者をいう。
●「コミッショナー」とは、第113条に基づき任命される障害差別コミッショナーをいう。
●「管理委員会」とは、クラブまたは登録機関に関連して、状況に応じ、当該クラブまたは登録機関の業務を管理するグループまたは集団(名称の如何を問わない)をいう。
●「連邦事務所」とは、1988年プライバシー法の意味における事務所をいう。
●「連邦職員」とは、以下の者をいう。
(a)1999年公共サービス法に基づき任命または雇用された者
(b)行政職にある者
(c)連邦の公共機関に雇用された者
(d)連邦教育サービスの職務にある者もしくは任命された者、または1972年連邦教育サービス法に基づき臨時職員として雇用された者
(e)1979年オーストラリア情報組織法、1918年連邦選挙法または1910年海上防衛法に基づき雇用された者
(f)国防軍の隊員
(g)オーストラリア連邦警察の長官、副長官、被雇用者、または特別メンバー(すべて1979年オーストラリア連邦警察法の意義による)
●「連邦法」とは、以下のものをいう。
(a)法律、または法律に基づき策定された規則、ルール、付属法もしくは決定
(b)準州の条例、または準州の条例に基づき策定された規則、ルール、付属法もしくは決定
(c)上記第(a)号または第(b)号に定める法令に基づき策定された命令または裁定
●「連邦プログラム」とは、連邦政府によってまたは連邦政府に代わって実行されるプログラムをいう。
●「契約労働者」とは、その者の雇用主と他の人との契約に基づいて、当該他の人のために働く者をいう。
●「条約」とは、1958年6月25日に国際労働機関の総会で採択された1958年差別待遇(雇用および職業)条約をいい、その英語版は、1986年オーストラリア人権委員会法の付表1に添付される。
●「市民的および政治的権利に関する規約」とは、市民的および政治的権利に関する国際規約をいい、その英語版は、1986年オーストラリア人権委員会法の付表2に添付される。
●「部門」とは、1999年公共サービス法の意義における事務所をいう。
●「障害者条約」とは、ニューヨークで2007年3月30日に署名し、オーストラリアにおいて効力を有する「障害者の権利に関する条約」をいう。
(注)条約の本文は、オーストラリア条約集2008年第12巻に掲載されている([2008]ATS12)。2008年現在、オーストラリア条約集の条約本文は、Austl.IIウェブサイト(www.austlii.edu.au)のオーストラリア条約蔵書で見ることができる。
●ある人に関して、「障害」とは、以下のものをいう。
(a)本人の身体的または精神的な機能の全部または一部の喪失
(b)身体の一部の全部または一部の喪失
(c)疾病を発症する有機体が身体にあること
(d)疾病を発症させ得る有機体が身体にあること
(e)身体の一部の機能不全、奇形または変形
(f)不調または機能不全がない人とは異なる認識を本人に生じさせる不調または機能不全
(g)思考過程、事実認識、感情もしくは判断に影響を与えるか、または混乱した行動を生じさせる不調、疾患もしくは疾病
また、以下のものは「障害」に含まれる。
(h)現存するもの
(i)過去に存在したが、もはや存在しないもの
(j)将来発生する可能性のあるもの(その障害の遺伝的素因によるものを含む)
(k)障害の有無によらず、あると思われること
なお、念のため、この定義の対象となる「障害」には、障害の前ぶれまたは兆候となる行動を含む。
●「介助用具」とは、第9条第3項に定めるものをいう。
●「障害基準」とは、第31条第1項に定めるものをいう。
●「差別」とは、第5条および第6条に定めるものをいう。
(注)第7条(関係者)および第8条(介助者、補助者、介助動物および介助用具)は、差別の概念を拡大する。
●「書面」とは、書類、登録証、その他の情報の記録をいう。ただし、編集され、記録され、保管されたものをいう。
●「教育機関」とは、教育施設の管理を行う団体または人をいう。
●「教育施設」とは、教育または訓練を提供する学校、短期大学、大学、その他の施設をいう。
●「教育提供者」とは、以下のものをいう。
(a)教育機関
(b)教育施設
(c)上記第(a)号または第(b)号に定める他の教育提供者により使用される教育課程または訓練コースを開発し、または認証する目的をもつ組織
●「雇用」とは、以下のものを含む。
(a)パートタイムまたは臨時的な雇用
(b)サービス契約に基づく労働
(c)連邦職員としての労働x
(d)州の職員または州の機関の職員としての労働
●「職業紹介所」とは、対価の支払の有無に拘らず、人が雇用もしくは労働を得るのを支援し、または雇用主が被雇用者もしくは労働者を得るのを支援する人もしくは団体をいい、連邦雇用サービス機関を含む。
●「法律の制定」とは、1986年オーストラリア人権委員会法におけると同一の意味を有する。
●「適用除外」とは、第55条に基づき認められる適用除外をいう。
●「連邦裁判所」とは、オーストラリア連邦裁判所をいう。
●「権能」とは、義務をも含む。
●「州の機関」とは、州の法律により、公共の目的のために設立された団体または機関をいい、地方公共団体を含む。
●「施設」とは、以下のものを含む。
(a)構造物、建物、航空機、自動車または船舶
(b)場所(囲まれているか否か、基礎に基づいているか否かを問わない)
(c)施設(上記第(a)号または第(b)号に定める種類の施設を含む)の一部
●「委員長」とは、委員会の長をいう。
●「依頼人」とは、以下の者をいう。,
(a)委託代行者との関係においては、委託代行者が人のために委託代行者として働く当該人をいう。
(b)契約労働者との関係においては、契約労働者の雇用主と人との契約に基づいて、契約労働者が当該人のために働く場合の当該人をいう。
●「執行官」とは、連邦事務所との関連においては、1988年プライバシー法第5編におけると同一の意味を有する。
●「法律案の作成」とは、1986年オーストラリア人権委員会法におけるものと同一の意味を有する。
●「連邦の公共機関」とは、以下のものをいう。
(a)本法の発効の以前であるか以後であるかを問わず、連邦法または準州法により公共の目的のために設立された団体で、自身のためにスタッフを雇用する法人
(b)本法の発効の以前であるか以後であるかを問わず、連邦法もしくは準州法により、または連邦法もしくは準州法に従って、公共の目的のために設立された法人ではない機関もしくは団体で、自身のためにスタッフを雇用する機関もしくは団体
(c)上記第(a)号または第(b)号に定める連邦、団体または機関が管理権限を有する法人
●「合理的調整(reasonable adjustment)」とは、人によってなされるべき調整であり、かかる調整はその人に不当な負担を強いるものではないものをいう。
●「登録機関」とは、2009年公正労働(登録機関)法に基づき登録された機関、または認定された団体をいう。
●「親族」とは、人に関して、血縁、婚姻、姻戚または養子縁組によって当該人と関係のある者をいう。
●「サービス」とは、以下のものを含む。
(a)銀行、保険、老齢年金、および助成金、ローン、信用供与または金融の提供に関連するサービス
(b)演芸、娯楽または飲食に関連するサービス
(c)移動または旅行に関連するサービス
(d)通信に関連するサービス
(e)専門職団体または取引団体のメンバーにより提供される種類のサービス
(f)政府、政府機関または地方公共団体により提供される種類のサービス
●「州」とは、第12条第11項および第12項における場合を除き、オーストラリア首都特別地域および北部準州を含む。
●「準州」とは、第12条第12項または本項における「行政職」の定義の第(c)号における場合を除き、オーストラリア首都特別地域および北部準州を含まない。
●「不当な負担(unjustifiable hardship)」とは、第11条に定めるものをいう。
●「ボランティア団体」とは、その活動が利益を生むことを目的としていない団体(法人格を有するか否かを問わない)で、以下のものを含まない。
(a)クラブ
(b)連邦、州または準州の法律に基づき設立された団体,
(c)そのメンバーに助成金、ローン、信用供与または金融を提供する団体
(2)本法において、行動の拒否または不作為は、行為したものとみなされ、行為というときは、行為の拒否または不作為をも含むものとする。
第5条 直接的な障害差別
(1)本法において、ある人(差別者)は、実質的に差異のない状況において、差別者が障害のない人を取扱うよりも、他の人(被害者)をその障害を理由として不利に取扱うか、または取扱おうとした場合には、障害を理由として被害者を差別したことになる。
(2)本法において、以下の場合には、ある人(差別者)は、障害を理由として他の人(被害者)を差別したことになる。
(a)差別者がその人のために合理的調整を行わないか、または行おうとしない場合であって、かつ
(b)合理的調整を行わない、またはもし行わないならば、被害者が、実質的に差異のない状況において、障害のない人が取扱われるよりも、障害を理由として不利に取扱われたか、または取扱われることとなり得た場合
(3)本条において、障害を理由として被害者が調整を必要とする場合は、(第5条に規定する)実質的に差異のない状況に当たる。
第6条 間接的な障害差別
(1)本法において、以下の場合には、ある人(差別者)は、他の人の障害を理由として当該の人(被害者)を差別したことになる。
(a)差別者が、被害者に対して、要件または条件に従うことを要求し、または要求を提案した場合であって、
(b)被害者が、障害を理由として、その要件または条件に従わないか、従うことができないか、または従うことができそうもない場合であって、かつ
(c)その要件または条件が、障害のある人々に、不利な影響を与えるか、あるいは与える可能性がある場合
(2)本法において、以下の場合には、ある人(差別者)は、他の人の障害を理由として当該の人(被害者)を差別したことになる。
(a)差別者が、被害者に対して、要件または条件に従うことを要求し、または要求を提案した場合であって
(b)障害を理由として、差別者が合理的調整をなした場合においてのみ、被害者がその要件または条件に従うことができるか、または従うことができそうであるにも拘らず、差別者がそのようにしないか、またはそのようにすることを提案しない場合であって、かつ
(c)合理的調整を行わないことが、障害のある人々に、不利な影響を与えるか、あるいは与える可能性がある場合
(3)第1項または第2項は、事案の状況を勘案して、その要件または条件が合理的である場合には、適用されない。
(4)第3項において、その要件または条件が合理的であることの立証責任は、事案の状況を勘案して、障害のある人に要件または条件に従うよう要求し、また要求しようとしたその人にある。
第7条 関係者に関する差別
(1)本法は、障害と関連をもつ人に関して、障害のある人に関するのと同様に適用される。
(例)雇用主が、被雇用者の関係者の障害を理由として、被雇用者を差別することは、第15条に基づき違法とされる。
(2)前項において(ただし、前項の規定を限定することなく)、本法は、障害と関係する人に関して、以下のとおり効力を有する。
(a)障害を理由として何らかの行為がなされる、またはなされる必要があると定められている場合には、それらは、その人が障害と関連をもつという事実を理由にして、何らかの行為がなされる、またはなされる必要があるものとみなす。
(b)その他障害に関して定めていることは、関係者の障害に関して定めているものとみなす。
(3)本条の規定は、第53条もしくは第54条(戦闘任務および平和維持活動)または第54条A(介助動物)第2項もしくは第3項には適用されない。
(注)第7条と第8条の組合せによって、本法は、介助者、補助者、介助動物または介助用具を必要とする障害と関係する人に関して、障害のある人に関するのと同様に適用される。
第8条 介助者、補助者、介助動物または介助用具に関する差別
(1)本法は、介助者、補助者、介助動物または介助用具の利用に関して、障害があることに関するのと同様に適用される。
(例)第5条(直接的差別)において、障害のある人がその介助者、補助者、介助動物または介助用具のために調整を必要とする場合は、(第5条で規定する)実質的に際のない状況に当たる(第5条第3項参照)。
(2)前項において(ただし、前項の規定を限定することなく)、本法は、介助者、補助者、介助動物または介助用具を利用する障害のある人に関して、以下のとおり効力を有する。
(a)障害を理由として何らかの行為がなされる、またはなされる必要があると定めている場合には、それらは、本人が介助者、補助者、介助動物または介助用具を利用するという事実を理由として、何らかの行為がなされる、またはなされる必要があると定めているものとみなす。
(b)その他障害に関して定めていることは、介助者、補助者、介助動物または介助用具に関して定めているものとみなす。z
(3)本条の規定は、第48条(感染症)または第54条A(介助動物に関する適用除外)には適用されない。.
(注)第7条と第8条の組合せによって、本法は、介助者、補助者、介助動物または介助用具を利用する障害と関連をもつ人に関して、障害のある人に関するのと同様に適用される。
第9条 介助者、補助者、介助動物または介助用具の定義
介助者または補助者、介助動物および介助用具とは、以下の意味を有する。
(1)本法において、介助者または補助者とは、障害のある人に関わり、障害を理由としてその人に対して援助またはサービスを提供する以下の者をいう。
(a)介助者
(b)補助者
(c)通訳者
(d)代読者
(2)本法において、介助動物とは、以下の犬または動物をいう。
(a)障害の影響を軽減するように障害のある人を援助するよう訓練された動物に対して認証を与えるために定めた州または準州の法律に基づいて認証されたもの
(b)本項おいて規則により定められた動物訓練機関により認証されたもの
(c)以下のように訓練されたもの
(i)障害の影響を軽減するよう障害のある人を援助し、かつ
(ii)衛生基準および公共の場所で動物として適切に行動する基準に合致すること
(注)介助動物に関する差別について、第2編の規定の適用を除外することについては、第54条Aを参照。
(3)本法において、介助用具とは、障害のある人に関して、以下の器具(緩和的または治療的器具を含む)をいう。
(a)人に使用されるものであって、かつ
(b)障害の影響を軽減するよう補助するもの
介助者、補助者、介助動物または介助用具を利用するとは、以下のことを意味する。
(4)以下の表が効力を有する。
介助者、補助者、介助動物または介助用具を利用するとは |
||
番号 |
本法において、障害のある人は以下を利用する。 |
障害のある人が以下である場合 |
1 |
介助者または補助者 |
(a) 現在介助者または補助者を同行させている |
(b) 以前に介助者または補助者を同行させていた |
||
(c) 将来介助者または補助者を同行させる可能性がある |
||
(d) 介助者または補助者を同行させる必要の有無にかかわらず、同行させる必要があると決められる |
||
2 |
介助動物または介助用具 |
(a) 現在介助動物を同行させている、または介助用具を保有している |
(b) 以前に介助動物を同行させていた、または介助用具を保有していた |
||
(c) 将来介助動物を同行さる、または介助用具を保有する可能性がある |
||
(d) 介助動物を同行さる、または介助用具を保持する必要の有無にかかわらず、同行または保有する必要があると決められる |
第10条 障害およびその他の理由によりなされる行為
本法において、以下の場合には、行為は、人の障害を理由としてなされたものとみなす。
(a)当該行為が2以上の理由に基づいてなされ、かつ
(b)その理由の一つが、障害にある場合(それが行為をなした理由の主要なものであるか、実質的なものであるかを問わない)
第11条 不当な負担(unjustifiable hardship)
(1)本法において、人(当人)に強いられる負担が、不当な負担であるかどうかを決定する際に、特定の事案に関する以下を含むすべての状況が考慮されなければならない。
(a)関係者にもたらされ得る利益の性質、または関係者が被り得る不利益の性質
(b)関係者の障害の影響
(c)当人の経済状況、および当人により支出なされなければならない費用の見積額
(d)当人に対する経済的その他の援助の入手可能性
(e)第64条に基づき委員会に対して提出された関連する行動計画
(例)第1項第(a)号の対象となる状況の一つに、コミュニティにもたらされ得る利益の性質またはコミュニティが被り得る不利益の性質がある。
(2)本法において、何らかの不当な負担が課せられることの立証責任は、不当な負担を主張する者にある。
第12条 法の適用
(1)本条において、以下の用語は、それぞれ以下の意味を有する。
●「オーストラリア」とは、本土外の準州を含む。
●「限定適用条項」とは、第2編第1章、第2章、第2章Aおよび第3章の規定をいう。ただし、第20条、第29条および第30条の規定を除く。
(2)本条の規定を条件として、本法はオーストラリア全土に適用される。
(3)本法は、準州内において行われた行為に関して、効力を有する。
(4)限定適用条項は、本条第3項以下の本条の条項に定められたとおりの効力を有し、他の効力をもたない。
(5)第15条、第16条および第17条の規定は、以下の者に対する差別に関して、効力を有する。
(a)雇用関係にある連邦職員
(b)連邦職員になろうとする者
(6)第19条の規定は、連邦法に基づき、認可または資格認定を付与し、更新し、延長し、取消し、撤回する権限の行使において、機関または団体差別することに関して、効力を有する。
(7)限定適用条項は、連邦または準州の法律によって付与された権限の行使において、以下の者が行う行為または以下の者に代わって行う行為に関して、効力を有する。
(a)連邦または準州行政府
(b)連邦法または準州法により公共の目的のために設立された団体または機関
(8)限定適用条項は、障害のある人に対する差別に関して、以下のとおり効力を有する。
(a)同条項が条約を実施する範囲において
(b)同条項が市民的および政治的権利に関する規約を実施する範囲において
(ba)同条項が障害者条約を実施する範囲において
(c)同条項が経済的・社会的および文化的権利に関する国際規約を実施する範囲において
(d)同条項がオーストラリア外の事項に関する範囲において
(e)同条項が国際的な懸念に関する範囲において
(9)限定適用条項は、外国会社もしくは連邦内で設立された貿易もしくは金融会社による差別、またはそれらの会社の役員もしくは従業員としての責務もしくは意図された責務の遂行において当該役員もしくは従業員によりなされた差別に関して、効力を有する。
(10)前項の規定の効力を制限することなく、限定適用条項は、連邦内で設立された貿易もしくは金融会社による差別、またはそれらの会社の役員もしくは従業員としての責務もしくは意図された責務の遂行において当該役員もしくは従業員によりなされた差別に関して、当該差別が貿易会社の貿易活動の遂行または金融会社の金融活動の遂行においてなされた範囲において、それぞれ効力を有する。
(11)限定適用条項は、以下の事業の遂行において、またはこれに関連してなされた差別に関して、効力を有する。
(a)銀行業、ただし、州の銀行業が当該州の範囲を超えない場合を除く。
(b)保険業、ただし、州の保険業が当該州の範囲を超えない場合を除く。
(12)限定適用条項は、以下の貿易または商業の遂行において、またはこれに関連してなされた差別に関して、効力を有する。
(a)オーストラリアとオーストラリア外の地域との間
(b)州間
(c)州と準州の間
(d)2準州間
(13)限定適用条項は、オーストラリアの外の人、物または事象に関わり、オーストラリア内の差別について効力を有する。
(14)第2編第3章の規定は、オーストラリアの外の人、物または事象に関しオーストラリア内で行われる行為に関して、効力を有する。
第12条A 刑法の適用
刑法第2章(第2.5編を除く)は、本法に違反するすべての犯罪に適用される。
(注)刑法第2章は、刑事責任の一般原則について定めている。
第13条 州および準州の法律の適用
(1)本条において法律について定めることは、第12条の規定を根拠として本法が効力を有するものとして本法について定めたものである。
(2)本条において州または準州の法律に定めることは、障害を理由とする差別を取扱う州または準州の法律について定めたものである。
(3)本法は、本法と並列的に適用され得る州または準州の法律の適用を排除しまたは制限するものではない。
(3A)前項の規定は、第2編第2章A(障害基準)に関して、適用されない。
(4)以下の場合には、人は、作為または不作為が本法の第2編の規定に基づいて違法であると主張して、1986年オーストラリア人権委員会法に基づく申立てまたは手続の開始を請求することができない。
(a)州または準州の差別に関する法律が、本法により取扱われるべき事象(障害基準により取扱われるべき事象を含む)を取扱っており、かつ
(b)人が、本条とは別に、本法の第2編の規定に基づいて違法であると主張して、1986年オーストラリア人権委員会法に基づき申立てを行う権利を付与されている作為または不作為に関して、州または準州の差別に関する法律に基づいて、当該作為または不作為について本人が申立てまたは手続の開始を行っている場合
(5)以下の場合には、人は、州もしくは準州の法律または本法のいずれかに基づいて、訴追され、処罰され得る。ただし、本条によって、同一の作為または不作為について2度以上罪に問われることはない。
(a)州または準州の法律が、本法により取扱われるべき事象(障害基準により取扱われるべき事象を含む)を取扱っており、かつ
(b)当該人の作為または不作為が、州または準州の法律に反する犯罪であると同時に、本法に反する犯罪をも構成している場合
第14条 本法が国王を拘束する範囲
(1)本法は、連邦、各州およびノーフォーク諸島の権利において、国王を拘束する。
(2)本法は、連邦、各州およびノーフォーク諸島の権利において、国王が違法行為について訴追されることはない。
第2編 障害差別の禁止
第1章 労働における差別
第15条 雇用における差別
(1)雇用主または雇用主に代わって行為しもしくは行為することを意図する人が、以下において、障害を理由として人を差別することは違法である。
(a)誰に対して雇用の募集をすべきかを決定する目的で行うための準備
(b)誰に対して雇用の募集をすべきかの決定
(c)雇用を募集する条件
(2)雇用主または雇用主に代わって行為しもしくは行為することを意図する人が、以下において、障害を理由として被雇用者を差別することは違法である。
(a)雇用主が被雇用者に対して提供する報酬などの雇用条件
(b)被雇用者が昇進、異動、訓練または雇用に伴うその他の便益の機会を得ることを否定するか、またはそれらの機会を制限すること
(c)被雇用者を解雇すること
(d)被雇用者にその他の不利益を与えること
(3)第1項第(a)号または第(b)号の場合において、人が、その人の居住する施設内で家事をする雇用に関し、障害を理由として他の人を区別(差別)することは、当該人にとって違法にはならない。
第16条 委託代行者に対する差別
(1)以下において、依頼人が、障害を理由として人を差別することは違法である。
(a)誰を委託代行者として雇うべきかを決定する目的で依頼人が行う準備
(b)誰を委託代行者として雇うべきかの決定
(c)委託代行者を雇う条件
(2)以下において、依頼人が、委託代行者の障害を理由として委託代行者を差別することは違法である。
(a)依頼人が委託代行者に対して提供する報酬などの委託代行者の条件
(b)委託代行者が昇進、異動、訓練または委託代行者としての地位に伴うその他の便益の機会を得ることを否定するか、またはそれらの機会を制限すること
(c)委託代行者契約を終了すること
(d)委託代行者にその他の不利益を与えること
第17条 契約労働者に対する差別
以下において、依頼人が、契約労働者の障害を理由としてその契約労働者を差別することは違法である。
(a)依頼人が契約労働者の労働を認める条件
(b)契約労働者が労働することを認めないか、または労働を継続することを認めないこと
(c)雇用主との契約がなされた労働に伴う便益を契約労働者が得ることを拒否するか、または便益を得ることを制限すること
(d)契約労働者にその他の不利益を与えること
第18条 パートナーシップ
(1)パートナーシップを構築しようとする3名以上の者が、以下において、他の人の障害を理由として当該他の人を差別することは違法である。
(a)誰を当該パートナーシップのパートナーとして招き入れるべきかの決定
(b)当該他の人を当該パートナーシップのパートナーとして招き入れる条件
(2)3名以上のパートナーからなるパートナーシップにおいて、1または複数名の当該パートナーが、以下において、他の人の障害を理由として当該他の人を差別することは違法である。
(a)誰を当該パートナーシップのパートナーとして招き入れるべきかの決定
(b)当該他の人を当該パートナーシップのパートナーとして招き入れる条件
(3)3名以上のパートナーからなるパートナーシップにおいて、1または複数名の当該パートナーが、以下において、他のパートナーの障害を理由として当該他のパートナーを差別することは違法である。
(a)当該パートナーシップのパートナーであることから生ずる便益を当該他のパートナーが得ることを拒否するか、または便益を得ることを制限すること
(b)当該他のパートナーを当該パートナーシップから除名すること
(c)当該パートナーにその他の不利益を与えること
第19条 資格認定団体
職業的な業務の遂行、取引の実行、もしくは職業への従事に必要であるか、またはこれらを支援する認可または資格認定を付与し、更新し、延長し、取消し、撤回する権限を付与された機関または団体が、以下において、障害を理由として人を差別することは違法である。
(a)認可または資格認定の付与、更新、延長を拒否するか、またはこれらの付与、更新、延長をしないこと
(b)認可または資格認定を付与するための条件、またはこれらを更新もしくは延長するための条件
(c)認可もしくは資格認定の取消もしくは撤回、またはこれらを保持する条件の変更
第20条 2009年公正労働(登録機関)法に基づく登録機関
(1)登録機関、登録機関の管理委員会、または登録機関の管理委員会のメンバーが、以下において、障害を理由として人を差別することは違法である。
(a)メンバーシップの申請の受領を拒否するか、またはこれを受領しないこと
(b)メンバーシップを認めるために機関が用意する条件
(2)登録機関、登録機関の管理委員会、または登録機関の管理委員会の構成員が、以下において、登録機関の構成員の障害を理由として、当該構成員を差別することは違法である。
(a)構成員が機関により提供される便益を得ることを否定するか、または便益を得ることを制限すること
(b)構成員からメンバーシップを剥奪すること、またはメンバーシップの条件を変更すること
(c)構成員にその他の不利益を与えること
第21条 職業紹介所
(1)職業紹介所が、以下において、障害を理由として人を差別することは違法である。
(a)サービスの提供の拒否
(b)サービスを提供するための条件
(c)サービスを提供する方法
(2)本編に基づき、職業紹介所は、雇用主に本法を遵守させる義務を負うものではない。
(3)前項の規定は、第122条(職業紹介所が雇用主に違法行為を行わせ、これを指示し、誘導し、援助し、または認めた場合に適用される)の適用を妨げるものではない。
第21条A 例外事項-固有の要件
固有の要件とは、以下のものをいう。
(1)以下の場合には、人(差別者)が、他の人(被害者)の障害を理由として当該被害者を区別(差別)することは、本章に基づき違法とされるものではない。
(a)特定の職業に関連する差別(特定の職業への昇進または異動を含む)
(b)関係する雇用主、依頼人またはパートナーシップが被害者のために合理的調整を行った場合であっても、障害を理由として、被害者が特定の職業に固有の要件を遂行することができないと考えられる場合
(2)前項第(b)号において、被害者が特定の職業に固有の要件を遂行することができないかどうかを決定するにおいて、以下の要素が考慮されなければならない。
(a)被害者が過去に受けた訓練、資格認定および特定の職業に関する経験
(b)被害者が既に差別者のもとで労働している場合には、差別者による労働における被害者の実績
(c)考慮することが合理的と考えられる他のあらゆる要素
(3)本条において、以下の場合には、被害者は他の人のために労働しているとされる。
(a)他の人が被害者を雇用している場合v
(b)他の人が被害者を委託代行者として雇っている場合
(c)被害者が他の人のために契約労働者として労働している場合
(d)他の人と被害者がパートナーシップのメンバーである場合
(e)以下のいずれもが当てはまる場合
(i)他の人が、職業的な業務の遂行、取引の実行、もしくは職業への従事に必要であるか、またはこれらを支援する認可または資格認定を付与し、更新し、延長し、取消し、撤回する権限を付与された機関または団体であって、かつ
(ii)被害者が、当該職業のメンバーであるか、または当該取引を実行し、もしくは当該職業に従事する者である場合
昇進・異動および訓練の機会、ならびに登録機関
(4)本条は、以下に関しては適用されない。
(a)第15条第2項第(b)号もしくは第(d)号、第16条第2項第(b)号もしくは第(d)号、第17条第1項第(c)号もしくは第(d)号、または第18条第3項第(c)号において定める差別。ただし、誰が昇進または異動されるべきかの決定における差別を除く。
(b)第20条(2009年公正労働(登録機関)法に基づく登録機関)に定める差別
第21条B 例外事項-不当な負担
差別を回避することが人(差別者)に不当な負担を課す場合には、差別者が、他の人の障害を理由として当該の人を区別(差別)することは、本章により違法とされるものではない。
第2章 他の領域における差別
第22条 教育
(1)教育機関が、以下において、障害を理由として人を差別することは違法である。
(a)児童、生徒および学生としての入学申請の受領を拒否するか、またはこれを受領しないこと
(b)児童、生徒および学生として入学するための条件
(2)教育機関が、以下において、児童、生徒および学生の障害を理由として当該児童、生徒および学生を差別することは違法である。
(a)児童、生徒および学生が教育機関により提供される便益を得ることを否定するか、または便益を得ることを制限すること
(b)児童、生徒および学生の退学
(c)児童、生徒および学生にその他の不利益を与えること
(2A)教育提供者が、以下において、障害を理由として人を差別することは違法である。
(a)参加を排除するか、またはその他の不利益を与えるような内容の教育課程または訓練コースを開発すること
(b)上記のような内容の教育課程または訓練コースを認定すること
(3)特定の障害のある児童、生徒および学生のみを対象として、または主としてかかる児童、生徒および学生を対象として設立された教育施設への入学に関して、当該特定の障害のない人を、当該特定の障害以外の障害を理由として区別(差別)することは、本条により違法とされるものではない。
第23条 施設へのアクセス
以下において、人が他の人の障害を理由として当該の人を差別することは違法である。
(a)公共機関または公共機関のある部門が入館または使用について権限を有するか、または許可を与える(有料であるか否かを問わない)施設に関して、これへのアクセスまたは使用を拒否すること
(b)当該施設へのアクセスまたは使用を認めるための条件
(c)当該施設へのアクセスのための手段の提供
(d)公共機関または公共機関のある部門が入館または使用について権限を有するか、または許可を与える(有料であるか否かを問わない)施設関して、当該施設内の設備の使用を拒否すること
(e)当該設備の使用を認めるための条件
(f)当該施設からの退出または当該設備の使用の停止を求めること
第24条 商品、サービスおよび設備
有料であるか否かを問わず、商品もしくはサービスを提供し、または設備を使用させる者が、以下において、他の人の障害を理由として当該の人差別することは違法である。
(a)当該商品もしくはサービスの提供または当該設備の使用を拒否すること
(b)当該商品もしくはサービスの提供または当該設備の使用の条件
(c)当該商品もしくはサービスの提供または当該設備の使用の方法
第25条 建物
(1)依頼人であるか代理人であるかを問わず、以下において、人が障害を理由として他の人を差別することは違法である。
(a)建物への申込を拒否すること
(b)建物提供の条件
(c)建物への申込を保留するか、または当該建物への申込みのリストにおける優先順位を下げること
(2)依頼人であるか代理人であるかを問わず、以下において、人が他の人の障害を理由として当該の人を差別することは違法である。
(a)当該の人により占有された建物に付随する便益を当該他の人が得ることを否定するか、または便益を得ることを制限すること
(b)当該の人により占有された建物から当該他の人を退去させること
(c)当該の人により占有された建物に関して、当該他の人にその他の不利益を与えること
(d)以下の場合に、当該の人により占有された建物に関し、当該他の人が合理的な変更を行うのを拒否すること
(i)当該の人が、建物の退去時に変更を行う以前の状態に建物を回復することを約束し、
(ii)あらゆる事情を考慮して、当該の人が約束を守る可能性が高いと考えられ、
(iii)あらゆる事情を考慮して、変更を行う以前の状態に建物を回復するために求められる行為が実務上合理的に実行可能であると考えられ、
(iv)変更が他の占有者の施設の変更に関わらないものであって、かつ
(v)変更が当該他の人の費用により行われる場合
(3)本条の規定は、以下に関しては、適用されない。
(a)以下の場合に、施設内の建物を提供すること
(i)建物を提供するか、もしくは提供しようとする者、またはその者の近親者が当該施設に居住し、以後も居住を継続しようとしており、かつ
(ii)当該施設内に設けられた建物が、前号にいう者またはその者の近親者を除き、3人以下の人数のための施設である場合
(b)建物の提供が、以下のようである場合
(i)建物が、慈善事業または他のボランティア団体により、特定の障害のある人に向け提供されており、かつ
(ii)差別を受けた者に当該特定の障害がない場合
第26条 土地
(1)依頼人であるか代理人であるかを問わず、以下において、人が他の人の障害を理由として当該の人を差別することは違法である。
(a)当該他の人に対し、土地の財産権または所有権を売却することを拒否するか、またはそれらの権利を売却しないこと
(b)土地の財産権または所有権の当該他の人に対する売却の条件
(2)本条の規定は、遺言または贈与により土地の財産権または所有権を処分することに関しては、適用されない。
第27条 クラブおよび法人格のある団体
(1)クラブもしくは法人格のある団体、クラブの管理委員会、またはクラブの管理委員会もしくは法人格のある団体のメンバーが、以下において、障害を理由として、クラブもしくは法人格のある団体のメンバー以外の人を差別することは違法である。
(a)メンバーシップの申請の受領を拒否するか、またはこれを受領しないこと
(b)クラブまたは団体のメンバーシップを認めるための条件
(2)クラブもしくは法人格のある団体、クラブの管理委員会、またはクラブの管理委員会もしくは法人格のある団体のメンバーが、以下において、クラブもしくは団体のメンバーの障害を理由として、当該メンバーを差別することは違法である。
(a)メンバーが得られるメンバーシップの条件
(b)特定のクラスまたはタイプのメンバーシップのメンバーによる申請の受領を拒否するか、またはこれを受領しないこと
(c)メンバーがクラブまたは団体によって提供される便益を得ることを否定するか、または便益を得ることを制限すること
(d)構成員からメンバーシップを剥奪すること、またはメンバーシップの条件を変更すること
(e)メンバーにその他の不利益を与えること
(4)クラブまたは法人格のある団体のメンバーシップが特定の障害のある人のみに制限されており(ただし、その旨が明記されていなければならない)、被害者に当該障害のない場合に、当該被害者の障害を理由として区別(差別)することは、第1項および前項の規定により違法とされない。
(訳注:(3)は削除されている。)
第28条 スポーツ
(1)人が、他の人の障害を理由として当該他の人をスポーツ活動から排除することにより、当該他の人を差別することは違法である。
(2)前項の場合において、スポーツ活動とは、あらゆるスポーツに関連する管理またはコーチの活動を含む。
(3)以下の場合における差別は、第1項により違法とされない。
(a)スポーツ活動に関連して合理的に必要とされる行動を行う能力が合理的に備わっていない場合
(b)スポーツ活動に参加する者または参加しようとする者が、当該スポーツ活動に関連する技術および能力、ならびにそれらの相互関連性に基づいて、合理的な方法によって選考される場合
(c)スポーツ活動が特定の障害のある人のためにのみ行われており、被害者に当該障害がない場合
第29条 連邦法および連邦プログラムの施行
連邦法に基づきもしくは連邦プログラムの目的のために、権能を発揮しもしくは権限を行使し、または連邦法の施行もしくは連邦プログラムの施行について責任を有する者が、当該権能の発揮、権限の行使または責任の履行において、他の人をその障害を理由として差別することは、違法である。
第29条A 不当な負担
差別を回避することが人(差別者)に不当な負担を課す場合には、差別者が、他の人の障害を理由として当該の人を差別することは、本章の規定(ただし、第30条を除く)により違法とされるものではない。
第30条 情報に対する請求
(1)本条の規定は、人(当人)が特定の行為を行う際に、他の人の障害を理由として当該の人を差別することが第1章または本章に基づき違法とされる場合に、当人に関して適用される。
(2)以下の場合には、当人が他の人に情報を請求すること(書式に記入するか、他の方法によるかを問わない)は、違法である。
(a)当人が前項に定める行為を行うことに関連して、または当該行為を行う目的のために、情報を請求し、かつ
(b)以下のいずれかまたは両方に当てはまる場合
(i)障害のない人が、実質的に差異のない状況において、情報を請求されるとは考えられない場合
(ii)情報が障害に関連する場合
(3)前項の規定は、以下の場合には、適用されない。,
(a)当人が情報を要求する目的が、障害を理由として他の人を違法に差別する目的ではない旨の証拠が提出された場合であって、かつ
(b)上記の証拠について反証があげられない場合
(例)雇用主は、雇用される可能性のある者に対して、その者の障害を理由として違法に差別する目的で遺伝情報を使用しようとする場合には、そのような情報を要求することができない。
ただし、雇用主は、当該雇用される可能性のある者が雇用に固有の要件を実行することができるかどうかを決定するため、または被雇用者のためにどのような合理的調整を行うべきかを決定するために、そのような情報を要求することができる。
(4)本条の規定は、第54条A第5項(動物が介助動物であることの証拠)を条件として、効力を有する。
第2章A 障害基準
第31条 障害基準
(1)大臣は、人が他の人の障害を理由として当該他の人を差別することが本編に基づき違法とされる領域に関して、「障害基準」として認められる基準を法律文書によって策定することができる。
(2)前項の規定の趣旨を損なうことなく、障害基準は、
(a)以下の事項を規定することができる。
(i)合理的調整
(ii)障害のある人に対するハラスメントまたは報復的取扱を防止するための戦略およびプログラム
(iii)不当な負担
(iv)適用除外を認める委員会の権限を含む、障害基準の適用除外
(b)その全部または一部が、州法または準州法の適用に影響を与えることを意図している、または意図していない旨を定めることができる。
(3)障害基準の策定前に、大臣は、障害差別に関する事項に責任を有する州または準州の大臣により、大臣に対してなされたコメントを考慮するものとする。
(4)本条に基づき策定された法律文書は、上下院いずれかにおいて不承認とされ得る期間が終わるまで、効力を有することができない。
第32条 障害基準に対する違反
障害基準に違反することは、違法である。
第33条 障害基準に対する第5章の一般的な不適用
第5章の規定(ただし、第55条第1項Aから第1項Dまでおよび同章におけるこれらの規定への言及を除く)は、障害基準に関して、適用されない。
第34条 障害基準に従って行為する者に対する本編の不適用
障害基準に従って行為する者に対しては、本編の規定(ただし、本章を除く)は、適用されない。
第3章 ハラスメントを伴う差別
第35条 雇用におけるハラスメント
(1)人が以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)その人が雇用する者であり、かつ
(b)障害のある人
(2)人が以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)その人と同じ雇用主に雇用されている者であり、かつ
(b)障害のある人
(3)人が以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)その人に雇用されることを求める者、またはその人と同じ雇用主に雇用されることを求める者であり、かつ
(b)障害のある人
(4)人が以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)その人の委託代行者、または契約労働者であり、かつ
(b)障害のある人
(5)人が以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)その人が委託代行者、または契約労働者である場合、その人と同じ依頼人の委託代行者、または契約労働者であり、かつ
(b)障害のある人
(6)人が以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)その人の委託代行者、もしくは契約労働者になろうとする者、またはその人と同じ依頼人の委託代行者、もしくは契約労働者になろうとする者、かつ
(b)障害のある人
第37条 教育におけるハラスメント
教育施設のスタッフメンバーである者が、以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)当該教育施設の生徒および学生であるか、または当該教育施設に学生として入学を求める者であり、かつ
(b)障害のある人
第39条 商品およびサービスの提供に関連するハラスメント
有料であるか否かを問わず、商品もしくはサービスを提供し、または設備を使用させる者が、以下の他の人に対して、障害に関連して、ハラスメントを行うことは違法である。
(a)商品もしくはサービスの取得、またはサービスの利用を望む者であり、かつ
(b)障害のある人
第4章 犯罪
第41条 明示的に規定されない限り犯罪にならない違法行為
本章により明示的に規定されない限り、本法のいかなる規定によっても、本編の規定により違法とされる行為を行うことが、犯罪となることはない。
第42条 報復的取扱
(1)他の人に報復的取扱を行うことは、犯罪となる。
刑罰:懲役6ヶ月
(2)前項において、人は、他の人が以下の行為を根拠として、または当該他の人が以下の行為をしたもしくはしようとしているとの認識を根拠として、当該他の人に不利益を与えるか、または不利益を与えると脅迫する場合には、当該他の人に対して報復的取扱を行ったものとみなされる。
(a)本法または1986年オーストラリア人権委員会法に基づき申立てを行うか、または申立てを行おうとすること
(b)本法または1986年オーストラリア人権委員会法に基づく手続を開始するか、または当該手続を開始しようとすること
(c)本法または1986年オーストラリア人権委員会法に基づき権限を行使し、または権能を発揮する者に対して、情報を提供するか、もしくは情報を提供しようとし、または書面を提出するか、もしくは書面を提出しようとすること
(d)本法または1986年オーストラリア人権委員会法に基づき開催される協議会に出席するか、または出席しようとすること
(e)本法または1986年オーストラリア人権委員会法に基づく手続において、証人として出頭するか、また出頭しようとすること
(f)本法または1986年オーストラリア人権委員会法に基づき、本人または他の人の権利を合理的に主張するか、または主張しようとすること
(g)本編の規定により違法とされる行為をなしたことの申立てを行ったこと
第43条 違法行為または犯罪をなすことを教唆する犯罪
以下の行為を行うことは、犯罪となる。
(a)第1章、第2章、第2章Aまたは第3章の規定に基づき違法となる行為を教唆すること
(b)経済的援助によるか否かを問わず、上記の行為を援助するか、または促進すること
刑罰:懲役6ヶ月
第44条 広告
(1)第1章、第2章、第2章Aまたは第3章の規定に基づき違法となる行為を行う意思を示唆するか、または示唆していると合理的に理解できる広告または通知を、公表もしくは掲示し、公表もしくは掲示させ、または公表もしくは掲示することを認めることは、犯罪となる。
刑罰:10罰金単位
(2)前項において、「広告」とは、公衆に対するものであるか否を問わず、また新聞紙によるか他の出版物によるかを問わず、テレビもしくはラジオ、通知・看板・ラベル・ポスターもしくは商品の展示、サンプル・チラシ・カタログ・価格表もしくは他の資料の配布、絵画・模型もしくは写真の展示、または他の方法によるあらゆる形態の広告もしくは通知を含むものとし、また前項における「公表もしくは掲示」は、上記の広告の定義に従って解釈されるものとする。
第5章 適用除外
第45条 特別措置
(1)合理的に意図された以下の行為は、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)本法の規定に関連する状況において、障害のある人に対し、他の人と同一の機会を与えようとすること
(b)以下に関連して、障害のある人または特定の障害のある人の特別の必要を満たすために、当該障害のある人または特定の障害のある人に対し、商品、設備、サービスまたは機会を提供しようとすること
(i)雇用、教育、建物、クラブまたはスポーツ
(ii)商品、サービス、設備または土地の提供
(iii)設備を利用可能にすること
(iv)連邦法および連邦プログラムの施行
(v)障害のある人または特定の障害のある人が独立して生活する能力
(c)以下に関連して、障害のある人または特定の障害のある人の特別の必要を満たすために、当該障害のある人または特定の障害のある人に対し、直接または間接を問わず、補助金、便益またはプログラムを与えようとすること
(i)雇用、教育、建物、クラブまたはスポーツ
(ii)商品、サービス、設備または土地の提供
(iii)設備を利用可能にすること
(iv)連邦法および連邦プログラムの施行
(v)障害のある人または特定の障害のある人が独立して生活する能力
(2)前項の規定は、以下に関しては、適用されない。
(a)前項に定める措置の実施において区別(差別)する必要がない場合に、当該措置の実施においてなされる区別(差別)
(b)障害のある人々に支払われる給与または賃金の額
(注)障害のある人々に支払われる給与または賃金の額に関する差別については、第47条第1項第(c)号および第(d)号を参照のこと。
第46条 老齢年金および保険
(1)他の人の障害を理由として、当該他の人に以下のものを提供することを拒否することにより、当該他の人を区別(差別)することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)年金
(b)生命保険
(c)傷害保険または他の類似の保険
(d)老齢年金または類似の準備基金への加入
(e)老齢年金または類似の準備スキームへの加入
ただし、以下の場合に限る。
(f)差別が以下の条件を満たす場合
(i)依拠することが合理的である保険数理データまたは統計データに基づいており、かつ
(ii)データおよび他の関連する要素を考慮することが合理的である場合、または
(g)保険数理データまたは統計データが存在せず、かつ合理的に取得することができない場合であって、他の関連する要素を考慮して、差別が合理的であるとき。
(2)他の人の障害を理由として、以下のものの期間や条件に関して、当該他の人を区別(差別)することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)年金
(b)生命保険
(c)傷害保険または他の類似の保険
(d)老齢年金または類似の準備基金への加入
(e)老齢年金または類似の準備スキームへの加入
ただし、以下の場合に限る。
(f)差別が以下の条件を満たす場合
(i)依拠することが合理的である保険数理データまたは統計データに基づいており、かつ
(ii)データおよび他の関連する要素を考慮することが合理的である場合、または
(g)保険数理データまたは統計データが存在せず、かつ合理的に取得することができない場合であって、他の関連する要素を考慮して、差別が合理的であるとき。
第47条 法律上の権限に基づきなされる行為
(1)以下を直接的に遵守することによりなされるいかなる行為も、本編の規定により違法とされるものではない。
(b)裁判所の命令
(c)以下の証書(労働証書)
(i)公正労働証書(2009年公正労働法における意味)、または
(ii)経過措置証書もしくは第2章B州証書(2009年公正労働(経過措置および関連する改正)法における意味)
ただし、労働証書が、以下の状況において、賃金額の支払に関連する特定の条項を定める限りにおいて
(iii)賃金が支払われていない場合において、本人に障害支援年金を受ける権利があるときであって、かつ
(iv)賃金が本人の能力により決定されているとき
(d)最低賃金の決定に権限を有する裁判所または審決機関の命令、裁定または決定であって、当該命令、裁定または決定が、以下の状況において、賃金額の支払に関連する特定の条項を定める限りにおいて
(i)賃金が支払われていない場合において、本人に障害支援年金を受ける権利があるときであって、かつ
(ii)各人の賃金が本人の能力により決定されているとき
(注)効力をもたない労働証書の条項を遵守しようとしている場合には、本項の目的のために、当該労働証書を遵守しているとはいえない。従って、労働証書を直接的に遵守する行為に対する本項の適用除外は、そのような状況には適用されない。
(訳注:(a)は削除されている。)
(2)定められた法律を直接的に遵守することによりなされるいかなる行為も、本編の規定により違法とされるものではない。
(4)第1項において、「障害支援年金」とは、1991年社会保障法と同一の意味を有するものとする。
(5)第2項において、「法律」とは、以下のものをいう。
(a)連邦の法律、または州もしくは準州の法律
(b)上記の法律に基づいて定められた規則その他の法律文書
(注)1988年民間航空法第98条第6項Bを参照のこと。同項においては、航空の安全のために必要な場合には、同法に基づき、本法と合致しない規定を定める規則を定めることを認めている。
第48条 感染症
以下の場合には、他の人の障害を理由として、当該の人を区別(差別)することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)その人の障害が感染症である場合
(b)公衆衛生の保護のために、差別が合理的に必要とされる場合
(注)感染症に罹患している介助動物に関する差別については、第54条A第4項を参照のこと。
第49条 慈善事業のための適用除外
(1)本編の規定は、
(a)慈善的便益の全部または一部を障害のある人または特定の障害のある人に提供するか、または提供できるようにする慈善的文書の規定に影響を与えるものではない。
(b)上記の規定を実施するための行為を違法とするものではない。
(2)本条において、以下の用語は、それぞれ以下の意味を有する。
●「オーストラリア」とは、在外準州を含む。
●「慈善的便益」とは、オーストラリアのいずれかの地域において効力を有する法律に従って慈善事業の目的のみのための便益をいう。
●「慈善的文書」とは、本法の発効以前であるか以後であるかを問わず、慈善的便益を提供するか、または提供できるようにするための証書、遺言またはその他の書面をいう。
第51条 年金および手当
(1)本編の規定は、以下の法律における年金、手当、または便益に関する差別的規定に影響を与えるものではない。
(a)1918年国防軍住宅法
(b)1957年パプアニューギニア(軍人恩給)法
(d)1991年社会保障法
(e)1988年退役軍人事項の法律の改正に関する法律
(f)1986年退役軍人資格法
(g)1986年退役軍人資格(経過措置および関連する改正)法
(h)2004年軍人社会復帰補償法
(i)2004年軍人社会復帰補償(経過措置および関連する改正)法
(j)1988年安全と社会復帰と補償に関する法律。ただし、同法が同法第11編に定める防衛関連請求に適用される限りにおいて。
(2)前項に定める規定を直接的に遵守することによりなされるいかなる行為も、本編も規定により違法とされるものではない。
第52条 移民
第1章、第2章および第2章Aの規定は
(a)以下における差別的規定に影響を与えるものではない。
(i)1958年移民法
(ii)同法に基づいて作成された立法文書
(b)同法または同立法文書によりなされることが認められまたは求められるいかなる行為も違法とするものではない。
第53条 戦闘任務および平和維持活動
(1)国防軍における以下に関連する雇用、従事または任命に関連して、他の人の障害を理由として当該他の人を差別することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)戦闘任務、戦闘に関連する任務または平和維持活動の実行に関与する地位
(b)戦闘任務、戦闘に関連する任務または平和維持活動に関連する一定の状況
(c)戦闘任務、戦闘に関連する任務または平和維持活動に従事するか、または従事する可能性のある軍隊を支援する従軍牧師または従軍医療スタッフの任務の実行に関与する地位
(2)本条において、以下の用語は、それぞれ以下の意味を有する。
●「戦闘任務」とは、本条において、戦闘任務であることが規則により宣言された任務をいう。
●「戦闘に関連する任務」とは、本条において、戦闘に関連する任務であることが規則により宣言された任務をいう。
●「従軍医療スタッフ」とは、以下の者をいう。
(a)負傷者もしくは病人の探索、収容、輸送もしくは治療、または疾病の予防のみに従事する者、または
(b)医療部隊または医療組織の管理のみに従事する者
●「平和維持活動」とは、1986年退役軍人資格法におけると同じ意味を有する。
第54条 AFPによる平和維持活動
(1)平和維持軍の一部としての平和維持の任務への選抜に関連して、他の人の障害を理由として当該他の人を差別することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(2)本条において、以下の用語は、それぞれ以下の意味を有する。
●「AFP」とは、オーストラリア連邦警察をいう。
●「平和維持軍」とは、オーストラリア外の地域における平和維持の目的のために召集され組織される軍隊をいう。
第54条A 介助動物
(1)本条は、介助動物を利用する障害のある人に関して適用される。
(注) 障害のある人が「介助動物を利用する」ことについては、第9条第2項および第4項を参照のこと。
(2)以下の者による介助動物の管理を要求することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)障害のある人、または
(b)障害のある人の代理となる他の人
(3)前項において、介助動物は、人による直接物理的な制御下に置かれていなかったとしても、管理されているとみなすことができる。
(4)以下の場合には、人(差別者)が障害を理由として障害のある人を区別(差別)することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)介助動物が感染症に罹患していると差別者が合理的に疑う場合であって、かつ
(b)公衆衛生または他の動物の健康を保護するために、差別が合理的に必要であるとき
(5)障害のある人に対して以下の証拠の提出を求めることは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)動物が介助動物であること、または
(b)動物が衛生基準および公共の場所で動物として適切に行動する基準に合致するよう訓練されていること
(6)以下の場合には、人(差別者)が、障害のある人による介助動物の利用を根拠として当該障害のある人を差別することは、本編の規定により違法とされるものではない。
(a)差別者が障害のある人に対して前項に定める証拠の提出を求めた場合であって、
(b)障害のある人が
(i)動物が介助動物であることの証拠を提出することができず、かつ
(ii)動物が衛生基準および公共の場所で動物として適切に行動する基準に合致するよう訓練されていることの証拠を提出することができないとき
(7)本編の規定は、介助動物によって財産に損害を生じさせた者の責任を免除するものではない。
第55条 委員会により認められる適用除外
(1)委員会は、以下の人の申請により、状況に応じ、当該申請に関係する人または複数の人に対し、文書を発給して、当該文書において定めるところにより、第1章または第2章の規定の適用除外を認めることができる。
(a)以下の人
(i)自ら申請する本人
(ii)本人または他の人に代わって申請する人
(iii)他の人に代わって申請する人
(b)以下の複数の人
(i)自ら申請する人々
(ii)当該複数の人々または他の複数の人々に代わって申請する人
(iii)他の複数の人々に代わって申請する人
(2)委員会は、前項に基づき第1章または第2章の規定の適用除外を認められた人の申請によりまたは適用除外を認められた人に関して、当該適用除外の認められた期間が終了する前になされた申請に対し、同章の規定の適用除外の延長を認めることができる。
(3)第1項に基づき認められた第1章または第2章の規定の適用除外またはその延長は
(a)文書において明記された特定の条件に従って認めることができる。
(b)文書において明記された特定の状況においてのみ、または特定の活動に関連してのみ適用されることを明示することができる。
(c)5年を超えない特定の期間について認めることができる。
第56条 行政控訴裁判所による見直し
第55条に基づき委員会によりなされた決定の審査は、行政控訴裁判所に対して申請することができる。
第57条 決定通知の掲載
(1)委員会は、第55条の決定後1ヶ月を超えない期間内に、以下の内容の決定をなした旨の通知を官報に掲載しなければならない。
(a)事実に関する重要な質問に対する調査結果の説明
(b)当該調査結果の根拠となった証拠への言及
(c)決定をなした理由の提示
(d)通知が関連する決定によって影響を受ける利害関係者またはその代理人は、1975年行政控訴裁判所法の規定に従って、当該決定の審査を行政控訴裁判所に対して申請できる旨の記述
(2)決定に関して前項の要件が満たされていないことは、決定の効力に影響するものではない。
第58条 適用除外の効力
第1章または第2章の規定の適用除外を認められた者、または当該適用除外を認められた者に雇用されるか、もしくはその指揮もしくは監督下にある者が、当該適用除外が認められた文書の規定に従って行為することは、本編の規定により違法とされるものではない。