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平成22年度障害のある児童生徒の就学形態に関する国際比較調査報告書 翻訳資料集

第3編

第1A編及び第2編の遵守に関する紛争の解決

第3編(第75条~第92W条)は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第75条 本篇の目的

本篇の目的は、以下の機能を果たす手続を確立することにある。

(a)差別について疑問を持つ一般市民への情報提供を促進する。

(b)第1A編又は第2編の遵守に関する紛争は、かかる紛争を両当事者自身が迅速に解決できる方がより成功裏に解決される可能性が高いことを認識する。

(c)第1A編又は第2編の遵守に関する紛争が迅速に解決されるべき場合には、問題解決のための専門的補助、情報、及び支援が、当該紛争の両当事者に利用可能にされる必要があることを認識する。

(d)本篇に基づく紛争解決の手続は柔軟であるべきことを認識する。

(e)最下級レベルでの司法介入は、厳格な手続要件によって縛られていない専門的な意思決定機関であるべきであることを認識する。

(f)法律上の高度な技術が必要となる問題はさらに上級の裁判所によって裁定される場合がありうることを認識する。

第(g)項は、1994年人権改正法(第2部)(1994 No151)第3条により、1994年12月15日から、「人権委員会の」を「申立部の」に差し換えるよう改正された。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第76条 本篇に基づく委員会の機能

(1)本篇の下での委員会の主な機能は、以下のとおりである。

(a)差別について疑問を持つ一般市民に情報を提供する。

(b)第1A編又は第2編の遵守に関する紛争の、関係する両当事者による、できる限り効率的な、形式張らない、かつ費用効果の高い方法による解決を促進する。

(2)委員会は、第(1)項第(b)号に基づくその機能を果たすため、以下の機能を有する。

(a)第1A編又は第2編又はその双方に対する違反があったとする申立てを受理し、評価する。

(b)第(c)号及び第(d)号の目的のため、かかる種類の申立て(第90条第(1)項第(b)号に従って事務局長から、又は第92D条に従って人権審議審判所から差し戻される申立てを含む)に関連する情報を収集する。

(c)情報、問題解決のための専門的補助、調停、及びその他の支援を含む、申立ての解決の促進を意図したサービスを提供する。

(d)第80条第(2)項又は第(3)項が適用される場合を除き、申立人又は不服当事者が手続を進めることを望む場合には、本篇に従って申立てに関連する措置又は追加措置を講じる。

(e)申立てに関連して収集した情報を関係両当事者に提供する。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第77条 紛争解決サービス

(1)委員会は、第76条に従ってその機能を遂行する目的のため、紛争解決に関するサービスを提供しなければならない。

(2)本条に基づいて提供されるサービスには、以下を含めることができる。

(a)差別及び差別に関連する法的義務に関する一般情報の提供

(b)第1A編又は第2編の遵守に関する紛争を抱える人々がどんなサービスを利用できるか紹介した情報の提供

(c)(i)両当事者の立場を侵害することなく、両当事者が申立てについて討議し、その解決を目指せるようにすることを意図した、かつ、

(ii)要望に応じて、又は両当事者の合意によって、又は第84条第(4)項が適用される場合は委員会によって召集される、

何らかの紛争解決協議のための会場及びその際の調停人の提供

(d)第1A編又は第2編の遵守に関する紛争を人々が迅速かつ効果的に解決するために役立つその他の(多様な状況に対処できる種類の)サービス

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

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第78条 サービスの提供方法

第77条に基づいて提供されるサービスは、以下を含むいかなる方法で提供されてもよい。

(a)電話、ファックス、インターネット、若しくは電子メール(情報のある場所を説明する手段、実際に情報を提供する手段、その他の仕方で問題の解決を目指す手段のいずれとして利用するかを問わない)。又は、

(b)パンフレット、小冊子、ブックレット、若しくは規約の発行。又は、

(c)以下を行う専門家による提供

(i)要望に対応する。又は、自分のサービスがいつ、いかなる場面で、どのように本篇の目的に最も役立つかを当該専門家が自分から説明する。又は、

(ii)問題になっている事項又は論争を解決する可能性が一番高い方法で、かつそのような時及び場面でサービスを提供する。又は、

(iii)本項に記されているすべての方法でサービスを提供する。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第79条 受理された申立の処理手続

(1)本条は、第1A編又は第2編又はその双方に対する違反があったとの申立てを第76条第(2)項第(a)号に従って委員会が受理した場合に適用される。

(2)申立て又はその一部が制定法又は制定法により認められ若しくは要求されている行為又は不作為に関係している場合は、当該の申立て又はその関連する一部は、当該制定法が第1A編に違反していることへの申立てとしてのみ扱われなければならない。

(3)本条の他のいかなる規定にもかかわらず、申立て又はその一部が、何らかの法的手続の遂行に影響を与えるある裁判所の判決若しくはその他の命令又はある裁判所の行為若しくは不作為に関係している場合は、委員会は当該の申立て又はその関連する一部に関して、追加的な法的措置を取ってはならない。

(4)申立て又はその一部が1990年ニュージーランド権利章典第3編に記された人又は機関の行為又は不作為に関係し、かつ、第(2)項及び第(3)項のいずれも適用されない場合は、当該の申立て又はこれにかかわる部分については、

(a)申立ての対象となった当該の行為又は不作為が以下に該当するニュージーランド権利章典又は申立てられた不作為に関係しない限り、第1A編に対する違反があったことへの申立てとしてのみ扱われなければならない。

(i)第22条、第23条、第61条~第63条、及び第66条のいずれかに従って違法となる行動。又は、

(ii)第65条及び第67条~第74条のいずれかに従って違法となる行動。ただしこれらの条項が第(i)段に記された条項のいずれかに従って違法となる行為に関係する範囲内に限る。

(b)申立ての対象となった当該の行為又は不作為が、第22条、第23条、第61条~第63条、及び第66条のいずれかに従って違法となる行動に関係している場合は、第2編の関連する1つ又は複数の条項に対する違反があったことへの申立てとしてのみ扱われなければならない。

(5)申立て又はその関連する一部が第2編に対する違反に関係し、かつ、第(2)項~第(4)項のいずれも当該の申立て又はその関連する一部に適用されない場合は、当該の申立て又はその関連する一部は、第2編の関連する1つ又は複数の条項に対する違反があったことへの申立てとしてのみ扱われなければならない。

(6)本条の規定は、委員会が情報収集及び紛争解決に際して適切とみなしたいかなる人物の関与も妨げない。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第79A条 法的手続の選択

(1)第2編に基づく申立てが引き起こされる状況において、被雇用者が2000年雇用関係法に従って個人的申立てを訴える資格を有している場合は、当該被雇用者は以下の措置のいずれか一方 ― 両方ではない ― を講じることができる。

(a)当該被雇用者は当該状況に関連して、本法に基づいて申立てをすることができる。

(b)当該申立てが他の仕方では解決されない場合は、当該被雇用者は2000年雇用関係法に従って、当該申立ての解決のため雇用関係局に申請を行うことができる。

(2)疑義を回避するために、第(1)項に記されている申立てはセクシャルハラスメント又は人種的ハラスメントに関する申立てを含むが、それらに限定されない。

(3)第(1)項第(a)号の目的のため、被雇用者は、当該申立てに関する手続が申立人又は委員会によって開始される時に申立てる。

(4)被雇用者が第(1)項第(a)号に従って申立てを行う場合、当該被雇用者は2000年雇用関係法の下で生じうる申立ての内容に関連するいかなる権利も行使してはならず、又は行使し続けてはならない。

(5)被雇用者が第(1)項第(b)号に基づく申立ての解決のために雇用関係局に申請を行う場合、当該被雇用者は本法の下で生じうる申立ての内容に関連するいかなる権利も行使してはならず、又は行使し続けてはならない。

第79A条は、2004年人権改正法(2004 No88)第4条により、2004年12月1日から挿入された。

第80条 申立に関連する措置又は追加措置

(1)委員会は、申立人又は(申立人ではない場合は)不服当事者が申立てに関する手続を進める意思を委員会に通知する場合にのみ、本篇に従って申立てに関連する措置又は追加措置を講じることができる。

(2)当該申立てが、委員会により申立てが受理されるより12か月以上前に申立人又は(申立人ではない場合は)不服当事者が知っていた事項に関係している場合は、委員会は本篇に従って当該申立てに関連する措置又は追加措置を講じることを拒否できる。

(3)委員会の見解として以下のように判断される場合でも、委員会は本篇に従って当該申立てに関連する措置又は追加措置を講じることを拒否できる。

(a)申立ての主題が些細である。又は、

(b)申立てが軽薄である、若しくは嫌がらせである、若しくは誠実な行動ではない。又は、

(c)その事例のすべての状況にかんがみて、当該申立てに関連してそれ以上行動を起こす必要がない。又は、

(d)すべての状況において、申立人又は(申立人ではない場合は)不服当事者にとって合理的である国会への請願権又は行政監察官への申立ての権利のほかに、適切な救済手段及び上訴権がある。

(4)委員会がある申立てに関連して措置又は追加措置を講じない決定を下した場合、委員会は、申立人又は(申立人ではない場合は)不服当事者、及び当該申立ての対象となった人に以下を通知しなければならない。

(a)当該決定

(b)当該決定の理由

(c)第92B条に従って人権審議審判所に訴訟を起こす本人の権利

比較:1997 No49 s35。1981 No127 s3

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

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第81条 訴訟当事者に委員会から通知する手続

(1)委員会は申立てに関する情報を収集する前に、第(2)項及び第(4)項に従わなければならない。

(2)委員会は第82条に従って情報を収集する意図を以下の人々に通知しなければならず、かつ、第(3)項に記された事項に関する一般情報を当該の人々に提供しなければならない。

(a)申立人(該当する場合)

(b)不服当事者(申立人ではない場合)

(c)申立ての対象になる人

(d)その申立てで1990年ニュージーランド権利章典第3条に記された人又は機関による第1A編に対する違反か、又は第2編に対する違反が申し立てられている場合は、法務長官

(e)委員会が関係があるとみなすその他の人又は機関

(3)第(2)項に記された事項は、以下に相当する。

(a)本法に基づく権利及び義務

(b)本法に従って申立てに適用される手続

(c)申立ての当事者が問題解決を確実にするために役立ち得るその他のサービス

(4)委員会はまた、申立ての対象となった人にも、また第(2)項第(d)号が適用される場合は法務長官に対しても、以下を通知しなければならない。

(a)当該申立ての詳細な内容(該当する場合)

(b)当該人及び第(2)項第(d)号が適用される場合は法務長官が、当該申立てへの対応として、合理的な期間内に委員会に情報を提出する権利

(5)本条の下でのある人への通知の要件は、当該人に通知するためにあらゆる合理的努力が払われた場合には充足されたものとする。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第82条 委員会による情報の収集及び開示

(1)第76条第(2)項第(c)号又は第(d)号の目的のため、委員会が第76条第(2)項第(b)号に従って申立てに関する情報を収集する際には、

(a)作業は非公式に遂行されなければならない。

(b)委員会は適切とみなしたすべての人から情報を聴聞し、又は入手することができる。

(c)第81条第(4)項第(b)号に定められた場合を除き、何人も委員会に対して発言する権利を持たない。

(2)委員会は、申立てに関連して収集したすべての関連情報(ある場合)を、当該情報を収集した後直ちに、関係するすべての当事者に提供するためにあらゆる合理的努力を払わなければならない。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第83条 和解

(1)委員会が申立て(第90条第(1)項第(b)号に従って事務局長から、若しくは第92D条に従って人権審議審判所から差し戻される申立てを含む)の内容から、又は当該申立てに関連して収集した情報(第81条第(4)項第(b)号に従って取られた何らかの対応を含む)から和解に達する可能性があると判断した場合はいつでも、本条が適用される。

(2)委員会は、両当事者が和解を確実にするための支援に最善を尽くさなければならない。

(3)本条において、和解とは、

(a)補償金の支払い又は謝罪の申し出を含む、問題に決着を付ける行動に関する関係する両当事者の合意を意味する。

(b)申立ての対象となった人による、当該申立ての主題となった行動を繰り返さないことへの、又は同種の行動をこれ以上起こさないことへの満足のいく保証を含む。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第84条 事務局長への又は事務局長若しくは人権審議審判所からの申立の付託

(1)申立人、不服当事者、又は和解の強制執行を求める当事者は、人権審議審判所での法的手続でこれらの人の代理人を立てるか否かを事務局長が第90条第(1)項第(a)号又は第(c)号に従って決定できるよう、申立てを事務局長に委託することができる。

(2)委員会は、申立ての委員会へのすべての差し戻しについて、当該差し戻しが第90条第(1)項第(b)号に基づく事務局長からのものであるか、又は第92D条に基づく人権審議審判所からのものであるかを問わず、関係するすべての当事者に直ちに通知しなければならない。

(3)本条の下でのある人への通知の要件は、当該人に通知するためにあらゆる合理的努力が払われた場合には充足されたものとする。

(4)申立てが第90条第(1)項第(b)号に従って事務局長から、又は第92D条に従って人権審議審判所から差し戻された場合、委員会は、他の権限を制限することなく、申立ての解決促進を意図した紛争解決協議又はその他の形態の調停に参加するよう両当事者に要求することができる。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第85条 紛争解決協議で開示される情報の秘密保持

(1)両当事者又は関係する当事者の同意がある場合を除き、第(2)項に記された人々は、以下に関する秘密を保持しなければならない。

(a)紛争解決協議の目的のために行われ又は作成された陳述、承認、又は文書

(b)紛争解決協議の目的のために、またその過程において、口頭で開示された情報

(2)第(1)項は、以下に相当するすべての人に適用される。

(a)紛争解決協議の調停人

(b)紛争解決協議の出席者

(c)委員会に雇用され、又は従事している人

(d)紛争解決協議の調停人又は出席者を補助する人

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第86条 紛争解決協議に関する証拠

(1)紛争解決協議の調停人は、本法の下であると他の法律の下であるとを問わず、以下に関する証拠をいかなる手続の中でも提供してはならない。

(a)当該協議に関するもの。又は、

(b)当該協議の目的のために当該協議の過程で知るに至った当該協議に関するもの。

(2)第85条第(1)項に従って秘密保持が要求される陳述、承認、文書又は情報に関する証拠は、いかなる裁判所内にも、又は司法の人間として行動しているいかなる人の面前にも、持ち込まれてはならない。

第87条 開示させない一定の情報

両当事者又は関係する当事者の同意がある場合を除き、紛争解決協議で当該協議の目的のために調停人に対して開示又は作成されるいかなる陳述、承認、文書、又は情報も、1982年情報公開法又は1987年地方政府情報公開会議法に従い、第85条第(1)項が適用される人によって利用可能にされてはならない。

比較:1977 No49 s38(7)。1983 No56 s12(4)

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第88条 第80条第(1)項又は第85条~第87条の効力に対する制限

第80条第(1)項又は第85条~第87条の規定は、

(a)紛争解決協議の目的のために又は当該協議の過程で提示されたという理由だけでは、いかなる証拠(他の仕方での開示又は承認が可能であり、かつ調停手続からは独立に存在していた証拠)の開示も妨げることはなく、又はその承認可能性に影響することもない。

(b)両当事者及び両当事者間で争われている具体的な問題が特定されない限り、委員会が研究又は教育上の目的のために情報を収集することを妨げない。

(c)本法を実行する目的のために開示する必要のある問題を、委員会に雇用され又は従事している人が、委員会に雇用され又は従事している他の人に開示することを妨げない。

(d)人を傷付ける危険性又は財産に対する損害を予防若しくは最小化するために開示する必要があると信じる合理的理由を有する場合は、いかなる人による情報開示も妨げない。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第89条 両当事者が合意した和解条件の強制執行

申立てに対する両当事者間の和解は、以下の人が第92B条第(4)項に従って人権審議審判所に提起した手続により、これを強制執行することができる。

(a)申立人(該当する場合)若しくは不服当事者(申立人ではない場合)、又は

(b)当該申立ての対象となった人

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第90条 本篇に基づく人権訴訟手続事務局長の職務

(1)申立てに関連する本篇に基づく事務局長の職務には、以下が含まれる。

(a)人権審議審判所での法的手続又は以前の事件で到達した和解(紛争解決協議で成立した和解を含む)の強制執行を求める関連手続への代理人の提供を事務局長に要請した当事者のために、代理人を提供するか否か、及びどの程度まで提供するかを第91条第(1)項及び92条に従って決定し、それに応じて当該当事者に代理人を提供する。

(b)第91条第(2)項に従って、申立てを委員会に差し戻すか否かを決定する。

(c)人権審議審判所での法的手続又は当該申立ての対象となった人に対する関連手続への代理人の提供を事務局長に要請した申立人、不服当事者(申立人でない場合)若しくは当事者の集団、又は法務長官のために、代理人を提供するか否か、及びどの程度まで提供するかを第91条第(3)項及び第92条に従って決定し、それに応じて当該の申立人、不服当事者又は人々の集団に代理人を提供する。

(2)第92B条、第92E条若しくは第97条に従って提起される手続、又は委員会が第92H条に基づく出廷及び発言の権限を有する手続での委員会からの代理人提供の要請に関連する本篇に基づく事務局長の職務には、人権審議審判所での法的手続又は関連手続で委員会のために代理人を提供するか否か、及びどの程度まで提供するかを第91条第(3)項及び第92条に従って決定することが含まれる。

(3)本条並びに第92条及び第92C条において、人権審議審判所での法的手続に関連する手続とは、以下のいずれかの種類の手続を意味する。

(a)人権審議審判所の決定を不服としての高等法院への上訴

(b)(i)第122条に基づく事例での陳述、又は

(ii)第122A条に基づく手続若しくは当該手続で争われた問題の棄却

によって派生する高等法院での手続

(c)第(a)号又は第(b)号に記された手続で高等法院が下した決定を不服としての控訴院への上訴。

(d)(i)第(a)号若しくは第(b)号に記された手続で高等法院が下した決定、又は

(ii)第(c)号に記された手続で控訴院が下した決定

を不服としての最高裁判所への上訴

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第(3)項は、2003年最高裁判所法(2003 No53)第48条第(1)項により、2004年1月1日から差し換えられた。暫定条項及び留保条項については、同法第50~55条を参照。

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第91条 第90条に基づく事務局長決定の要件

(1)事務局長は、ある当事者が以前の事件で到達した和解の条件を遵守することを怠ったと判断した場合は、第90条第(1)項第(a)号に基づく決定を下すことができる。

(2)事務局長は、以下の場合には、第90条第(1)項第(b)号に基づく決定を下すことができる。

(a)ある申立てが両当事者と委員会によって(たとえば調停を通じて)解決される可能性がまだあると判断した場合。又は、

(b)ある申立てに関連して事務局長が利用できる情報からは、当事者が以前の事件で到達した和解の条件を遵守することを怠ったか否かが不明な場合。

(3)事務局長は、和解に達しておらず、かつ、委員会によるいかなる措置又は追加措置によっても和解を促す見込みがないと判断した場合は、第90条第(1)項第(c)号又は第(2)項に基づく決定を下すことができる。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第92条 人権審議審判所での法的手続又は関連手続に代理人を提供するか否か決定する際に事務局長が考慮すべき事項

(1)申立人、不服当事者、人々の集団、申立ての和解当事者、又は委員会のために、代理人を提供するか否か、及びどの程度まで提供するかを第90条第(1)項第(a)号若しくは第(c)号又は第90条第(2)項に従って決定する際には、事務局長は

(a)第(2)項に記された事項を考慮しなければならない。

(b)事務局長が関連があるとみなす他のいかなる事項も考慮することができる。

(2)第(1)項第(a)号に記された事項とは、以下のことを指す。

(a)その申立てが重大な法律上の問題を引き起こすか。

(b)その申立てを解決することが大勢の人々に影響するか(たとえば、その訴訟が規模の大きい集団によって提起され、又はそのような集団に影響することによって)。

(c)その申立ての主題となっている問題に関連する被害のレベル

(d)問題となっている法的手続が上首尾に進む見込みがあるか。

(e)その種の法的手続を通じて利用できる救済策が個別の事例に適合しているか。

(f)事務局長が第(1)項に記されたいずれかの人に代理人を提供した場合に、何らかの利益の衝突が起きる可能性はないか。

(g)代理人の提供が効果的な資源利用になっているか。

(h)代理人の提供が公共の利益にかなっているか否か。

第75条~第92条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第92A条 代理人に関する決定について事務局長が行うべき通知及び報告

(1)事務局長は、第90条第(1)項第(a)号又は第(c)号に基づく決定を下した後、申立人、不服当事者、人々の集団、又は以前の事件で到達した和解の強制執行を求める当事者に対し、直ちに以下の事項を通知しなければならない。

(a)当該決定の条件

(b)事務局長が申立人、不服当事者、人々の集団、又は以前の事件で到達した和解の強制執行を求める当事者のために代理人を提供しない決定を下した場合は、当該決定の理由

(2)事務局長は、第90条第(2)項に基づく決定を下した後、委員会に対して直ちに以下の事項を通知しなければならない。

(a)当該決定の条件

(b)当該決定の理由

(3)委員会が第92H条に基づく発言権を有する法的手続で、事務局長が委員会に代理人を提供する決定を下した後、事務局長によるかかる法定代理人の提供に又は提供の継続に、申立人及び委員会の双方にとっての利益の衝突が存在する又は発生するおそれがあると結論した場合は、事務局長は、

(a)委員会への代理人の提供を停止し、かつ、

(b)かかる事務局長の決定について委員会に直ちに通知しなければならない。

(4)事務局長は大臣に対し、少なくとも1年に1回、第90条第(1)項第(a)号及び第(c)号に基づく事務局長の決定について、関係する特定可能な個人への言及を避けながら報告しなければならず、また大臣は、実行できる限り速やかに、当該報告の写しを下院に提出しなければならない。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

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法的手続

第92B条 申立から発展する民事訴訟手続

(1)第76条第(2)項第(a)号に記された申立てが行なわれた場合、申立人、不服当事者(申立人でない場合)、又は委員会は、以下の相手に対して人権審議審判所に民事訴訟を起こすことができる。

(a)第1A編に対する違反(第1A編に対する制定法上の違反、又は制定法により若しくは他の仕方で法により承認若しくは要求された行為若しくは不作為としての第1A編に対する違反を除く)の場合は、当該違反に対して責任があると申し立てられる人又は人々

(b)第1A編に対する制定法上の違反、又は制定法により若しくはその他の仕方で法により承認若しくは要求された行為若しくは不作為としての第1A編に対する違反の場合は、法務長官、又は、当該違反に対して責任があると申し立てられる、1990年ニュージーランド権利章典第3条第(b)項に記された人又は機関

(c)第2編に対する違反の場合は、当該違反に対して責任があると申し立てられる人又は人々

(2)第76条第(2)項第(a)号に基づく申立てが差別的習慣に関係しており、当該習慣が第1A編又は第2編に対する違反に当たると同時にある種の人々に影響を与えていると申し立てられる場合は、第(1)項に基づく法的手続は、影響を受けるクラスの人々に代わって委員会がこれを提起できる。

(3)第76条第(2)項第(a)号に記された申立ての対象となった人は、申立人若しくは不服当事者若しくはあるクラスの人々が、又はこれらの人々に代わる人が、第(1)項に従って当該申立てに関連する法的手続を起こしていない場合には、当該申立てに関連する民事訴訟を人権審議審判所に起こすことができる。

(4)第76条第(2)項第(a)号に基づく申立ての両当事者が当該申立てに関して和解に達した(調停を通じてか他の仕方によってかは問わない)ものの、両当事者のうちの一方が当該和解の条件の遵守を怠った場合は、他方の当事者は当該和解を強制執行するため、人権審議審判所に訴訟を起こすことができる。

(5)委員会又は紛争解決協議の調停人又は事務局長が、関連する申立てに関連して何らかの措置を講じているという理由だけで、第(1)項、第(3)項及び第(4)項により付与される権利が制限され、又は影響を受けることはない。

(6)第(2)項にもかかわらず、委員会は、以下の場合に限り、第(1)項に従って訴訟を起こすことができる。

(a)申立人又は不服当事者(申立人ではない場合)が訴訟を起こしておらず、かつ、

(b)委員会が訴訟を起こす前に当該申立人又は不服当事者の同意を得ており、かつ、

(c)訴訟を起こすことが第5条第(2)項第(a)号に記された委員会の機能遂行を推進すると判断した場合。

(7)第(1)項~第(6)項にもかかわらず、第79条第(3)項が適用される申立て又はその関連部分に関して、本条に基づく訴訟を起こすことはできない。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92BA条 申請書の提出

人権審議審判所での法的手続は、指定された用紙での申請書の提出によって開始される。

第92BA条は、2004年人権改正法(2004 No88)第5条により、2004年12月1日から挿入された。

第92C条 申立から発展する民事訴訟手続での代理人

(1)人権審議審判所での法的手続又は関連手続の当事者は、以下の人によって出廷及び発言することができる。

(a)本人、又は本人の提供する法廷弁護士若しくは事務弁護士。又は、

(b)事務局長が第90条第(1)項第(a)号若しくは第(c)号又は第90条第(2)項に従って当該手続で当該当事者のために代理人を提供することを決定した場合は、当該決定の範囲内で、法廷弁護士又は事務弁護士

(2)人権審議審判所は、いかなる人によるその目的のための申請に際しても、当該審判所での手続において、第92N条第(1)項~第(3)項に記された種類の原告の、又は当該手続を提起し、それに参加し、若しくはそれを擁護することができる当該手続の他の何らかの当事者の代理に関する指示を、代理人を通じてのみ与えることができる。

(3)人権訴訟手続事務局は、代理人にかかる以下に相当するすべての費用を負担しなければならない。

(a)申立人、不服当事者、当事者の集団、又は申立ての和解当事者のために事務局長により提供され、かつ、

(b)第90条第(1)項第(a)号又は第(c)号に基づく事務局長の決定に従って提供される費用。

(4)人権訴訟手続事務局は、事務局長によってある人のために代理人が立てられた手続において、その人に対して要した費用はいかなるものであっても負担しなければならない。

(5)事務局長が法的手続で代理人を提供した人に有利に働いた費用のすべての裁定額は、人権訴訟手続事務局に支払われなければならない。

(6)本法の規定は、ある法的手続又は意図された法的手続に関して、ある当事者が法律扶助を(受けられる場合に)受ける権利を制限するものではなく、又は当該権利に影響を与えることもない(第90条第(1)項第(a)号又は第(c)号に基づき、当該手続において当該当事者のための代理人が事務局長の決定に従って提供される可能性があるか、提供される予定であるか、現在提供されているところか、すでに提供されたかという差異には関わりない)。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

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第92D条 和解による解決を目指す、人権審議審判所による申立による委員会への差し戻し、又は休廷

(1)第92B条に基づく手続が提起された場合、人権審議審判所は、

(a)まず初めに、(構成員又は職員のいずれによってであれ)その申立てを解決するための試みが(調停又はその他の仕方のいずれを通じてであれ)なされたか検討しなければならない。また、

(b)申立ての解決に向けた両当事者及び委員会による試み又は追加的試みが以下に該当することを人権審議審判所が確信しない場合には、当該手続と関連する第76条第(2)項第(a)号に従って、当該申立てを委員会に差し戻さなければならない。

(i)当該申立ての解決に建設的に寄与しない。又は

(ii)その状況下では公共の利益にそぐわない。又は、

(iii)法的手続の緊急的又は暫定的な性格を損なう。

(2)人権審議審判所がある申立てについて知りえたことから、当該申立てが両当事者及び委員会によって(たとえば調停を通じて)解決できる可能性がまだあると判断した場合は、人権審議審判所は法的手続の審理前、審理中、又は審理後のいつでも、第76条第(2)項第(a)号に従って、当該申立てを委員会に差し戻すことができる。

(3)人権審議審判所がある申立てについて知りえたことから、当該申立てが両当事者によって解決できる可能性がまだあると判断した場合は、人権審議審判所は第(2)項により付与される権限を行使する代わりに、第76条第(2)項第(a)号に従って、当該申立てに関連する法的手続を指定した期間に限り休廷することができる。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92E条 委員会による審問から派生する民事訴訟手続

(1)委員会が第5条第(2)項第(h)号に従って行った審問により第(a)号~第(c)号のいずれかに記されている違反が発覚した、又は発覚した可能性があると判断した場合、委員会は、以下の相手に対して人権審議審判所に民事訴訟を起こすことができる。

(a)第1A編に対する違反(第1A編に対する制定法上の違反、又は制定法により若しくはその他の仕方で法により承認若しくは要求された行為若しくは不作為としての第1A編に対する違反を除く)の場合は、当該違反に対して責任があると申し立てられる人又は人々

(b)第1A編に対する制定法上の違反、又は制定法により若しくはその他の仕方で法により承認若しくは要求された行為若しくは不作為としての第1A編に対する違反の場合は、法務長官、又は、当該違反に対して責任があると申し立てられる、1990年ニュージーランド権利章典第3条第(b)項に記された人又は機関

(c)第2編に対する違反の場合は、当該違反に対して責任があると申し立てられる人又は人々

(2)委員会は、第(1)項の権利の行使が第5条第(2)項第(a)号に記された委員会の機能遂行を推進すると判断した場合に限り、当該権利を行使することができる。

(3)本条は、第6条又は第92H条又は第97条を制限しない。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92F条 制限及び例外を正当化するための証拠

(1)本篇に基づくいかなる法的手続でも、1990年ニュージーランド権利章典第19条により支持されている差別からの自由を求める権利に対して、ある行為又は不作為が1990年ニュージーランド権利章典第5条に基づく正当化しうる制限に相当することを証明するのは、被告の責務である。

(2)本篇に基づくいかなる法的手続でも、問題となる行為が、第2編の何らかの規定の下で、第2編の何らかの規定に基づいて違法とされている行為から除外されることを証明するのは、被告の責務である。

比較:1977 No49 s39

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92G条 法務長官が民事訴訟手続に出廷する権利

(1)法務長官は、本人が、又は法廷弁護士若しくは事務弁護士を通じて、以下の法的手続に出廷し、発言することができる。

(a)1990年ニュージーランド権利章典第3条に記された人若しくは機関による第1A編に対する違反、又は第2編に対する違反を申し立てる人権審議審判所での法的手続。

(b)人権審議審判所で扱われている若しくは扱われてきた第(a)号に記された種類の法的手続に関連して、以下のいずれかの裁判所での法的手続

(i)地方裁判所

(ii)高等裁判所

(iii)控訴院

(iv)最高裁判所

(2)第(1)項により付与される出廷及び発言の権利は、法務長官が人権審議審判所での法的手続の当事者であるか否か又はあったか否かにかかわらず、これを行使することができる。

(3)法務長官が第(1)項に従って同項に記された種類の何らかの法的手続に出廷した場合、当該手続が上訴によるものでない限り、法務長官は証拠を提示する権利及び証人に反対尋問を行う権利を有する。

比較:1977 No49 s38A。1983 No56 s13。1993 No35 s3(5)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第(1)項第(b)号第(iv)段は、2003年最高裁判所法(2003 No53)第48条第(1)項により、2004年1月1日から挿入された。暫定条項及び留保条項については同法第50条~第55条を参照。

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第92H条 委員会が民事訴訟に出廷する権利

(1)委員会は、直接に、又は法廷弁護士若しくは事務弁護士を通じて、以下の法的手続に出廷し、発言することができる。

(a)人権審議審判所での法的手続。

(b)人権審議審判所で扱われている若しくは扱われてきた法的手続に関連して、以下のいずれかの裁判所での法的手続。

(i)地方裁判所

(ii)高等裁判所

(iii)控訴院

(iv)最高裁判所

(2)第(1)項により付与される出廷及び発言の権利は、以下の場合に、これを行使することができる。

(a)委員会が人権審議審判所での法的手続の当事者であるか又はあったかにかかわらず、

(b)当該権利が第5条第(2)項第(a)号に記された委員会機能の遂行を促進すると委員会が判断した場合。

(3)委員会が第(1)項に従って同項に記された種類の何らかの法的手続に出廷した場合、当該手続が上訴によるものでない限り、委員会は証拠を提示する権利及び証人に反対尋問を行う権利を有する。

(4)本条は、第92B条又は第92E条又は第97条による制限を受けない。

比較:1977 No49 s38A。1983 No56 s13。1993 No35 s3(5)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第(1)項第(b)号第(iv)段は、2003年最高裁判所法(2003 No53)第48条第(1)項により、2004年1月1日から挿入された。暫定条項及び留保条項については同法第50条~第55条を参照。

救済

第92I条 救済

(1)本条は、第92J条及び第92K条(この二つの条は、ある制定法が第1A編に違反していると判断したときに人権審議審判所が付与しうる救済だけに関係している)を条件とする。

(2)第92B条第(1)項若しくは第(4)項又は第92E条に従って提起される人権審議審判所での手続において、原告は、第(3)項に記された救済のうち当該原告が適切とみなすいずれの救済を求めることもできる。

(3)第(2)項に記された手続の中で、人権審議審判所が様々な作為及び不作為の蓋然性に基づいて、被告が第1A編又は第2編又はある申立ての和解条件に対する違反を犯したと確信した場合は、人権審議審判所は以下の救済のうち1つ又は複数を付与することができる。

(a)被告が第1A編又は第2編又は申立ての和解条件に違反したことの宣言。

(b)被告が当該違反を継続若しくは反復することを、又は当該違反を構成するのと同一の種類の行動若しくはその命令の中で指定した同様な種類の行動に従うことを、又は当該行動に他の人が従うことを引き起こし若しくは許すことを制限する命令。

(c)第92M条~第92O条に基づく損害賠償。

(d)申立人又は場合によっては不服当事者が当該違反の結果として被った何らかの損失又は損害の賠償を視野に入れながら、被告がその命令の中で指定された行動を履行するよう求めた命令。

(e)第1A編又は第2編の何らかの規定に違反する形で締結され又は履行された契約が違法な契約であることの宣言。

(f)被告が本法の規定を遵守するのを補助し又は可能にするため、被告が指定された何らかの訓練若しくは何らかの他のプログラムを実施し、又は指定された何らかの方針若しくはプログラムを履行するよう求めた命令。

(g)被告と申立人又は場合によっては不服当事者が両当事者である何らかの契約に関する、1970年違法契約法に基づく救済。

(h)人権審議審判所が適切とみなす他の何らかの救済。

(4)申立ての対象となった当事者の側において違反が故意ではなかった又は過失がなかったことは、第(2)項又は第(5)項に記された法的手続に対する防御とはならない。ただし、第92P条を条件として、人権審議審判所は、いかなる救済策を(講じる場合)付与するかを決定するに当たって、両当事者の行動を考慮に入れなければならない。

(5)申立ての対象となった人により第92B条第(3)項に従って提起された人権審議審判所での法的手続において、当該人は、第1A編又は第2編に対する違反を犯していないとする確認判決を求めることができる。

比較:1977 No49 s38(5), (6), (8)。1983 No56 s12(3)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92J条 第1A編に違反する制定法に関する救済

(1)人権審議審判所での法的手続において、ある制定法が第1A編に違反していると人権審議審判所が認定した場合、人権審議審判所が付与しうる唯一の救済は第(2)項に記された確認判決である。

(2)第(1)項が適用される場合に人権審議審判所が付与しうる確認判決は、当該認定の対象となった制定法が、1990年ニュージーランド権利章典第19条で支持されている差別からの自由を求める権利と矛盾するという宣言である。

(3)人権審議審判所は、第(2)項に基づく宣言を付与する決定が人権審議審判所のすべての又は過半数の構成員から支持を得られない限り、当該宣言を付与することができない。

(4)本条の規定は、1990年ニュージーランド権利章典に影響を与えない。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

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第92K条 確認判決の効力

(1)第92J条に基づく確認判決は、

(a)当該確認判決の付与にかかわる制定法の効力、適用、又は執行に影響を与えない。

(b)申立ての主題となった行為、不作為、方針、又は活動を継続することを妨げない。

(2)第92J条に基づく確認判決が出され、かつ、当該確認判決が上訴によっても覆されず、又は上訴を申し立てるための期限が切れた場合は、当該制定法の管理に対して当面の責任を負う大臣は、下院に以下を提出しなければならない。

(a)下院に当該確認判決への注意を払うようにするための報告書

(b)当該確認判決への政府の対応に関する助言を含む報告書

(3)第(2)項に記された大臣は、当該確認判決の付与を不服とするすべての上訴が棄却された日から、又は上訴が申立てられなかった場合は、上訴を申し立てるための期限が切れた日から120日以内に、第(2)項により大臣に課された義務を履行しなければならない。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92L条 費用

(1)第92B条又は第92E条又は第97条に基づく何らかの法的手続において、人権審議審判所は、他の何らかの救済を付与するか否かにかかわらず、人権審議審判所が適当とみなす費用について裁定を下すことができる。

(2)本条に従って費用に関する裁定を下すか否かを決定する際に人権審議審判所が考慮しうる事項を制限することなく、人権審議審判所は、当該手続のいずれかの当事者が以下に相当するか否か、またどの程度相当するかを考慮に入れることができる。

(a)委員会による情報収集のプロセスに誠実に参加した。

(b)当該情報収集のプロセスを促進又は妨害した。

(c)当該手続の主題となった問題の解決を促進するように行動した。

比較:1977 No49 s38(7)。1983 No56 s12(4)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92M条 損害賠償

(1)第92B条第(1)項若しくは第(4)項又は第92E条に基づく何らかの法的手続において、人権審議審判所は、第1A編若しくは第2編に対する違反に関して、又は以下のうち1つ若しくは複数に関する申立ての和解条件に関して、被告に対する損害賠償を認めることができる。

(a)違反の原因である取引又は活動の結果として被った金銭的損失。及び、申立人又は場合によっては不服当事者が当該の取引又は活動の目的のために相当に被った出費

(b)金銭的性質のものであるか否かを問わず、違反がなかったら申立人又は場合によっては不服当事者が被っていなかったと合理的に予想しうる、何らかの利益の喪失

(c)申立人又は場合によっては不服当事者が受けた屈辱、尊厳の喪失、及び感情の毀損

(2)本条は、本法第92J条、第92N条及び第92O条並びに2005年受刑者被害者請求権法第2編第1章を条件として適用される。

比較:1977 No49 s40(1)。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第(2)項は、2005年受刑者被害者請求権法(2005 No74)第65条により、2005年6月4日から、「92O条」の後に「並びに2005年受刑者被害者請求権法第2編第1章」を挿入するよう改正された。

第92N条 特定のケースにおける損害賠償支払いに関する指示

(1)原告が未婚又はシビルユニオン関係にある未成年者であった場合は、人権審議審判所はその裁量において、第92M条に従って裁定した損害賠償額を、公共信託又は原告の資産管理者の役目を負っている人若しくは公共信託に支払うよう被告に指示することができる。

(2)原告が1992年精神衛生(義務的評価及び治療)法第2条第(1)項の意義の範囲内での精神に障害のある人であって、その財産が1988年個人財産権保護法に従って管理されていないものの、自分の財産に関連して自分の問題を自ら管理する精神的能力に欠けていると人権審議審判所が判断した場合は、人権審議審判所はその裁量において、第92M条に従って裁定された損害賠償額を公共信託に支払うよう被告に指示することができる。

(3)原告が1988年個人財産権保護法に従ってその財産が管理されている人であった場合は、人権審議審判所は、財産命令の条件が損害賠償として受け取られる金銭の管理をカバーしているか否かを確かめなければならず、また、

(a)損害賠償が財産命令の条件に含まれている場合は、人権審議審判所は、第92M条に従って裁定した損害賠償額を、資産管理者の役目を負っている人又は公共信託に支払うよう被告に指示しなければならない。

(b)損害賠償が財産命令の条件に含まれていない場合は、人権審議審判所は、その裁量において、第92M条に従って裁定した損害賠償額を公共信託に支払うよう被告に指示することができる。

(4)第(1)項~第(3)項のいずれかに従って損害賠償金が公共信託に支払われる際には、

(a)未婚又はシビルユニオン関係にある未成年者の場合は、1969年未成年者契約法第12条が適用される。

(b)本条第(2)項又は第(3)項第(b)号に記された人の場合は、1988年個人財産権保護法第108D条、第108F条、及び第108G条が、何らかの必要な修正と併せて適用される。

(c)本条第(3)項第(a)号に記された人の場合は、1988年個人財産権保護法第108E条が、何らかの必要な修正と併せて適用される。

比較:1977 No49 s40。1983 No56 s14(2)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第(1)項は、2001年公共信託法(2001 No100)第170条第(1)項により、2002年3月1日から、「公共受託者」を「公共信託」に差し換えるよう修正された。2002年公共信託法開始命令(SR 2002/11)第(2)項を参照。

第(1)項は、2005年親族(基準)法(2005 No3)第7条により、2005年4月26日から、「未婚の未成年者」を「未婚又はシビルユニオン関係にある未成年者」に差し換えるよう改正された。

第(2)項は、2001年公共信託法(2001 No100)第170条第(1)項により、2002年3月1日から、「公共受託者」を「公共信託」に差し換えるよう改正された。2002年公共信託法開始命令(SR 2002/11)第(2)項を参照。

第(3)項第(b)号は、2001年公共信託法(2001 No100)第170条第(1)項により、2002年3月1日から、「公共受託者」を「公共信託」に差し換えるよう改正された。2002年公共信託法開始命令(SR 2002/11)第(2)項を参照。

第(4)項は、2001年公共信託法(2001 No100)第170条第(1)項により、2002年3月1日から、「公共受託者」を「公共信託」に差し換えるよう改正された。2002年公共信託法開始命令(SR 2002/11)第(2)項を参照。

第(4)項第(a)号は、2005年親族(基準)法(2005 No3)第7条により、2005年4月26日から、「未婚の未成年者」を「未婚又はシビルユニオン関係にある未成年者」に差し換えるよう改正された。

2001年公共信託法(2001 No100)第170条第(1)項により、2002年3月1日から、第(4)項第(b)号が差し換えられ、第(4)項第(c)号が挿入された。2002年公共信託法開始命令(SR 2002/11)第(2)項を参照。

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第92O条 第1A 編又は第2 編又は和解条件の違反に関する人権審議審判所による救済の延期又は修正

(1)本篇に基づく何らかの法的手続において、人権審議審判所がある行為又は不作為を第1A編又は第2編又は申立ての和解条件に対する違反と認定した場合は、当該手続のいずれかの当事者の申請に基づいて、第(2)項に記された措置のうち1つ又は複数を講じることができる。

(2)当該の措置は以下のとおりである。

(a)損害賠償を認め若しくはその他の救済を提供する代わりに、又はそれらに加えて、

(i)被告が違反を是正しなければならない期間を指定する。

(ii)付与すべき救済又は追加救済(該当する場合)をさらに検討できるよう、指定した日まで法的手続を一時休止する。

(b)遡及的効力を有するいかなる救済も付与しない。

(c)法的手続が提起された日、又は人権審議審判所が当該認定を行った日、又は人権審議審判所が指定したその他の日より前に起きた行為又は不作為に関して、救済を付与しない。

(d)付与されるいずれかの救済が、将来的にのみ、又は人権審議審判所が指定した日の後にのみ効力を持つよう定める。

(e)何らかの救済の遡及的効力が人権審議審判所の定めた仕方で限定されるよう定める。

 第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92P条 第92O条に定められた権限を行使する際に考慮すべき事項

(1)第92O条に記された措置のうち1つ又は複数を講じるべきか決定する際に、人権審議審判所は以下の事項を考慮しなければならない。

(a)その法的手続において被告が誠実に行動してきたか否か。

(b)第92O条に記された措置のうち1つ又は複数が講じられる又は講じられない場合に、その法的手続に代理人を出していない何らかの人又は機関の利益が悪影響を受けないか。

(c)その法的手続が、これまでに人権審議審判所が考えたことのない重大な問題に関係しないか。

(d)原告の求める何らかの救済を付与した場合の社会的及び財政的影響。

(e)第1A編又は第2編又はある申立ての和解条件に対する違反の結果としてだれかが被る損失又は被害の重大さ。

(f)全般的な公共の利益。

(g)人権審議審判所が関連性があるとみなすその他の何らかの問題。

(2)人権審議審判所がある行為若しくは不作為を第1A編に対する違反と認定し、又は、1990年ニュージーランド権利章典第3条に記された人若しくは機関の行為若しくは不作為を第2編に対する違反と認定した場合は、第92O条に記された措置のうち1つ又は複数を講じるか否か決定する際に、人権審議審判所は第(1)項に記された事項に加え、以下を考慮しなければならない。

(a)公正な行政の要件。及び、

(b)公金の支出に対する競合する要求の間でバランスを取る政府の義務。

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

人権審議審判所が認定できる救済に関する金銭的制限

第92Q条 人権審議審判所が付与できる救済に関する金銭的制限

(1)第92B条又は第92E条に基づく法的手続は、何らかの救済を求めることに関連して主張されている損害賠償の金額又は財産の価値にかかわらず、これを人権審議審判所に提起することができる。

(2)ただし、第92R条~第92V条に規定がある場合を除き、かかる種類の法的手続で損害賠償を認定し、又は救済を付与することが、1947年地方裁判所法第29条~第34条に記載された金銭的制限を理由に、ある地方裁判所の管轄権を超える場合は、人権審議審判所はいかなる損害賠償の認定又はいかなる救済の付与も行ってはならない。

(3)第(2)項の目的のため、第92B条に基づく民事訴訟手続が複数の申立人又は場合によっては複数の不服当事者を代表する形で提起されている場合は、第(2)項に基づく何らかの金銭的制限を適用する目的のため、当該手続は、あたかも当該手続で代表されている各々の申立人又は場合によっては各々の不服当事者が被告に対する別々の訴訟手続の原告であるかのように扱われなければならない。

比較:1977 No49 s41。1983 No56 s15。1993 No5 s3(6)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

人権審議審判所からの付託事例に関する高等法院による救済の認定

第92R条 人権審議審判所が救済の認定を高等法院に付託すべきこと

人権審議審判所が様々な可能性のバランスに基づいて、その法的手続における被告が第1A編又は第2編又はある申立ての和解条件に対する違反を犯したことを確信し、同時に以下のことも確信した場合は、人権審議審判所は、第92B条又は第92E条に基づくいかなる法的手続においても、救済の付与を高等法院に付託しなければならない。

(a)第92I条に基づく適切な救済の認定は、第92Q条によって課された制限の範囲を超えること、又は、

(b)当該手続における救済の認定は、高等法院の方がより適切に処理できること。

比較:1977 No49 s42(1)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92S条 高等法院への付託に関する追加規定

(1)第92R条に基づく付託は、その法的手続が開始される場所から最寄りの高等法院登録所に、以下の条件を充たす当該手続に関する報告書を送付することによって実行される。

(a)第1A編又は第2編又は申立ての和解条件に対する違反に関する人権審議審判所の認定結果を記載する。

(b)当該高等法院への付託を行う際に人権審議審判所が考慮した事項に関する記述を含む、又は添付する。

(2)当該報告書の写しは、当該手続のすべての当事者に直ちに提供又は送付されなければならない。

(3)本法に規定がある場合を除き、第92R条に基づく付託のための手続は、上訴に関する裁判所規則で指定された手続と同一であり、当該規則がすべての必要な修正と併せて適用される。

比較:1977 No49 s42(4)-(6), (8)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

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第92T条 高等法院は人権審議審判所からの付託事例に関して救済を決定する

(1)本条は、第92B条又は第92E条に基づく何らかの法的手続における救済の認定が、第92R条に従って高等法院に付託される場合に適用される。

(2)高等法院は、第92S条第(1)項に基づくいかなる報告書についても、これを敷衍して説明するよう人権審議審判所に命じることができる。

(3)第92S条第(1)項に基づく報告書の写しを第92S条第(2)項に従って提供又は送付されるすべての人は、被告が第1A編又は第2編又はある申立ての和解条件に対する違反を犯したとの人権審議審判所の認定に基づいて付与されるべき救済(該当する場合)に関して、高等法院で発言し、証拠を提出する権利を有する。

(4)ただし、第(3)項に記された何人も、第92R条に基づく付託に関して、第(3)項に記された人権審議審判所の認定に異議を申し立てることはできない。

(5)高等法院は、被告が第1A編又は第2編に対する違反を犯したとの人権審議審判所の認定に基づいて、第92I条に記された救済又は第92J条に記された救済のうち1つ又は複数を認定すべきか否かを決定しなければならない。

比較:1977 No49 s42(2), (5), (6)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92U条 救済に関する高等法院の決定は、人権審議審判所の決定に加えられ、人権審議審判所の決定の一部としての効力を付与される

(1)第92T条第(5)項に基づく高等法院のすべての決定は、

(a)その法的手続に関する人権審議審判所の決定に加えるために、人権審議審判所に送達されなければならない。

(b)第92Q条により課される制限にかかわらず、当該決定としての効力を有する。

(2)第(1)項の規定は、

(a)第123~125条を制限しない。

(b)第(1)項第(a)号に従って高等法院の決定が加えられる人権審議審判所の決定に関して、第123条に従って上訴を行うことを妨げない。

比較:1977 No49 s42(3), (9)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

人権審議審判所の管轄権の範囲内で請求を申し立てるための放棄及び合意

第92V条 人権審議審判所が損害賠償の裁定を下せるようにするための放棄

(1)本条は、損害賠償の裁定額が(第92Q条第(2)項により適用される)1947年地方裁判所法第29条第(1)項によって当面定められている制限の範囲内にある場合に、人権審議審判所が第92B条又は第92E条に基づく何らかの法的手続で第92M条に従って損害賠償額を裁定する管轄権を有する際に適用される。

(2)人権審議審判所は、原告が超過分の金額を放棄した場合に、当該制限の範囲内で裁定を下すことができる。

(3)かかる法的手続における第92M条に基づく損害賠償額の裁定は、当該手続の提起とそれに続く裁定の対象とされるすべての人に対し、前記の仕方で放棄される金額に関する債務を解除するように作用する。

(4)本条は第92Q条~第92U条に優越する。

比較:1977 No49 s43

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第92W条 両当事者間の合意による管轄権の拡大

(1)第92B条又は第92E条に基づく何らかの法的手続において、人権審議審判所が第92I条に記された救済のいずれか1つ又は複数を付与することを妨げるものが第92Q条しかなく、かつ、当該手続の両当事者が、両当事者又は両当事者の事務弁護士若しくは代表の署名した覚書をもって、人権審議審判所が第92Q条にもかかわらず当該救済のいずれか1つ又は複数を付与する管轄権を有することに合意した場合には、人権審議審判所はそれに応じて当該救済のいずれか1つ又は複数を付与する管轄権を有する。

(2)本条は第92Q条~第92U条に優越する。

比較:1977 No49 s44(1)

第92A条~第92W条は、2001年人権改正法(2001 No96)第9条により、2002年1月1日から挿入された。

第4編

人権審議審判所

表題の「人権審議審判所」は、2001年人権改正法(2001 No96)第10条により、2002年1月1日から、「請求再審判所」に取って代わった。

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第93条 人権審議審判所

1977年人権委員会法第45条によって2002年1月1日(2001年人権改正法の開始日)の直前に設置され、苦情審判所の名称で知られていた審判所は、存続するものとし、2002年1月1日以後は人権審議審判所と呼ばれる。

比較:1977 No49 s45。1993 No35 s3(1)

第93条の表題は、2001年人権改正法(2001 No96)第11条第(a)項により、2002年1月1日から、「申立て」を「人権」に差し換えるよう改正された。

第93条は、2001年人権改正法(2001 No96)第11条第(b)項により、2002年1月1日から、「第45条によって」の後に「2002年1月1日(2001年人権改正法の開始日)の直前に」を挿入するよう改正された。

第93条は、2001年人権改正法(2001 No96)第11条第(c)項により、2002年1月1日から、「2002年1月1日以後は人権審議審判所と呼ばれる」を付加するよう改正された。

人権審議審判所の機能及び権限

第94条 人権審議審判所の機能

人権審議審判所の機能は以下のとおりとする。

(a)第92B条、第92E条、第95条及び第97条に従って提起された法的手続について検討し、裁定を下す。

(b)本法若しくはその他の制定法により又は本法若しくはその他の制定法に従って付与され又は課される、その他の機能、権限、及び職務を行使し、かつ遂行する。

比較:1977 No49 s46。1993 No35 s4(2)

第94条第(a)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第12条により、2002年1月1日から、「本法第83条、第95条及び第97条」を「第92B条、第92E条、第95条及び第97条」に差し換えるよう改正された。

第95条 仮命令を出す権限

(1)人権審議審判所が本法に従って最終決定を下す管轄権を有するいかなる事項に関しても、人権審議審判所の議長は、法的手続の最終決定を待つ間の両当事者の立場を維持するために命令を出すことが司法の利益にとって必要であると確信する場合は、仮命令を出す権限を有する。

(2)仮命令のための申請は、以下がこれを行うことができる。

(a)第92B条第(1)項、第92B条第(2)項、第92B条第(3)項、又は第92B条第(4)項に基づく法的手続の場合は、当該手続を提起した人又は機関

(b)第92E条に基づく法的手続の場合は、委員会

(3)申請書の写しは、当該申請書に関する決定が下される前に、発言権を有する被告に送達されなければならない。

比較:1977 No49 s46A。1993 No35 s4(1)

第(2)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第13条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第96条 仮命令に関する再審理

仮命令が出された場合、被告は、当該命令が被告の同意を得て出されたのでない限り、人権審議審判所の許可を得た上で、当該命令を不服として上訴する代わりに、当該命令を変更し又は無効にするため、高等法院に上訴することができる。

比較:1977 No49 s46B。1993 No35 s4(1)

第97条 純然たる職業上の条件又は純然たる正当化のための例外に関する権限

(1)人権審議審判所は第(2)項に記された権限を行使することができるが、ただし、

(a)人権審議審判所が本法に従って最終決定を下す管轄権を有する事項に関する限りにおいてであり、かつ、

(b)委員会、又は第76条第(2)項第(a)号に基づく申立ての対象となった人若しくは人々、又は第5条第(2)項第(h)号に基づく調査の対象となった人が申請を行った場合に限られる。

(2)当該権限とは、他の場合なら第2編に従って違法とされる行為、不作為、習慣、要求、又は条件が、以下の事項の一方又は双方を構成するという理由から違法ではないことを宣言する権限である。

(a)第22条~第41条に関しては純然たる職業上の条件

(b)第42条~第60条に関しては純然たる正当化

第97条は、2001年人権改正法(2001 No96)第14条により、2002年1月1日から差し換えられた。

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人権審議審判所の構成

第98条 人権審議審判所の構成員

人権審議審判所は以下によって構成される。

(a)議長

(b)大臣が本法第101条に従って組織されるパネルによる聴聞会毎の目的のために、議長によって任命されるその他2人

比較:1977 No49 s47。1993 No35 s5(1)

第99条 人権審議審判所の議長

(1)人権審議審判所のすべての議長は、大臣の推薦に基づいて総督によって任命される。

(2)総督は、大臣の推薦に基づいて必要とみなした場合は、人権審議審判所の議長職に2人を任命できる。

(3)人権審議審判所の議長が2人の場合、各議長は主として、人権審議審判所の管轄権のうち本人の任命状の中で随時指定される部門を行使するものとするが、ただし、各議長が人権審議審判所の管轄権の他の部門を行使することを妨げる規定はない。

(4)人権審議審判所の第2議長が任命される場合は、人権審議審判所の管轄権のうち主として現議長が行使すべき部門を指定した新たな任命状を現議長宛てに出すことができる。

(5)本法本篇において、「議長」又は「人権審議審判所の議長」への言及は、人権審議審判所に2人の議長がいる場合は、両議長への言及として解釈されるものとする。

比較:1977 No49 s47A。1993 No35 s5(1)

第99A条 議長の任命に関する基準及び要件

(1)ある人物を人権審議審判所の議長に任命するよう推薦する場合は、大臣は第101条第(2)項に記された事項だけでなく、当該人物の以下の点についても考慮しなければならない。

(a)紛争解決に関する経験

(b)議長としての、及びその他の指導的役割に関する経験

(c)人権審議審判所の議長の職務を遂行する能力

(2)人権審議審判所の議長に任命されるすべての人は、5年以上の実務経験のある高等法院の法廷弁護士又は事務弁護士でなければならない。

第99A条は、2001年人権改正法(2001 No96)第15条により、2002年1月1日から挿入された。

第100条 任命及び在任期間

(1)

(2)本法第103条に別途規定されている場合を除き、人権審議審判所の議長に任命されるすべての人は、総督が大臣の勧告に基づいて議長任命状の中で指定した5年以下の期間、在任するものとする。

(3)議長に任命されるすべての人は、当人が就いている他の何らかの公職と兼任することができ、また随時再任されることができる。

(4)議長に指定されていた期間が終了した際には、本法第103条に従って早い時期に職を明け渡した又は職を解かれた場合を除き、終了した期間に対する任命を受けていたことを理由に、以下の時点まで引き続き議長職に在任するものとする。

(a)当該議長が再任されるまで。又は、

(b)当該議長の後継者が任命されるまで。又は、

(c)当該議長が再任されるべきではなく、当該議長の後継者が任命されるべきではないことが大臣からの書面で当該議長に通知されるまで。

比較:1977 No49 s47B。1993 No35 s5(1)

第(1)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第16条により、2002年1月1日から廃止された。

第101条 パネル

(1)大臣は、本法第98条に従って任命できる20人を超えない人々からなるパネルを維持しなければならない。

(2)パネルに加える人の適性について検討する際には、大臣は、パネルに含まれる人々が以下の事項に関する知識又は経験を備えている必要があることを考慮しなければならない。

(a)人権審議審判所で扱われる可能性が高い諸問題の多様な側面

(b)人権に関連するニュージーランド国法、他国の法律、又は国際法

(c)行政、又は行政に関連する法律

(d)現在の経済、雇用又は社会の問題

(e)文化的問題、並びにニュージーランド社会における重要性のある多様なコミュニティーと人口集団のニーズ及び目標(人生経験も含む)

(2A)パネルの中で少なくとも3人は、5年以上の実務経験のある高等法院の法廷弁護士又は事務弁護士でなければならない。

(3)以下のいずれかの場合は、該当する人物の名前がパネルから除外される。

(a)その人物が死亡するか、又は2006年破産法に従って破産の宣告を受けた。

(b)職務遂行に影響を与える障害、職務怠慢、又は違法行為が相当に納得のいくように証明されたことを理由に、大臣がパネルからその人物の名前を除外するよう指示した。

(c)大臣がその人物の名前を加えることを最後に承認した日から5年の期間が経過した。

(d)その人物が大臣宛ての書面で自分の名前を除外するよう要請した。

(4)本条第(3)項第(c)号又は第(3)項第(d)号が適用される場合、当該人物が人権審議審判所に任命された理由とかかわる聴聞会が終了するまで、当該人物の名前はパネルから除外されない。

比較:1977 No49 s47C。1993 No35 s5(1)。

2001年人権改正法(2001 No96)第17条により、2002年1月1日から、第(2)項が差し換えられ、第(2A)項が改正された。第101条第(3)項第(a)号は、2006年破産法(2006 No55)の第445条により、2007年12月3日に改正された。

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第102条 副議長

(1)人権審議審判所の議長が疾患、不在若しくは他の十分な理由により執務できない場合、又は議長が、個別の問題を裁くのは適切でない若しくは望ましくないと自ら考える場合、総督は大臣の推薦に基づき、適切な人物を副議長として任命し、任命時に述べられた期間又は目的において議長を代行させることができる。

(2)何人も、議長として任じられるのに適格でなければ、副議長に任命されない。

(3)本条に基づいて任命された副議長はすべて、議長の代理を務める間は、人権審議審判所で議長とみなされる。

(4)副議長の任命、副議長として取った行動、及び副議長が活動している間の人権審議審判所の活動は、いかなる法的手続においても、任命の機会が生じていなかったこと又は停止されていたことを理由に疑問として提起されてはならない。

比較:1977 No49 s 48; 1993 No 35 s 5(1)

第103条 議長及び副議長の辞任

(1)人権審議審判所の議長及び副議長はいつでも、大臣に書面でその旨届け出ることにより、職を辞すことができる。

(2)人権審議審判所の議長及び副議長は、死亡した又は2006年破産法に基づいて破産を宣告された場合、辞職したものとみなされる。

(3)人権審議審判所の議長及び副議長はいつでも、職務遂行に影響する障害、職務怠慢又は不正行為が総督に納得される形で証明されたことを理由に、総督によって解任されうる。

比較:1977 No49 s 49; 1993 No 35 s 5(1)

第103条第(2)項:2006年破産法(2006 No 55)第445条により、2007年12月3日に改正された。

人権審議審判所の手続

第104条 人権審議審判所の開廷

(1)人権審議審判所の法廷は、審判所又は審判長が随時指定する時と場所で開かれる。

(2)法廷は、人権審判所若しくは議長により、又は審判所事務官により、随時及び場所に応じて休廷しうる。

(3)人権審議審判所の法廷は、構成員全員が出席しなければ開かれないが、構成員の過半数の判断が人権審議審判所の判決となる。

(4)議長は、人権審議審判所のすべての法廷を司る。

(5)本法及び本法に基づいて定められた規則の規定に従い、人権審議審判所は適切と考える仕方で手続を規制でき、本法の目的のために形式を定め又は承認することができる。

比較:1977 No49 s 50; 1993 No 35 s 5(2)

第105条 実質的な争点

(1)人権審議審判所は、専門的細部を考慮せず、そのケースの実質的争点に即して役割を担わなければならない。

(2)人権審議審判所は、以下に従って権限を行使し、機能を発揮する。

(a)自然的正義の原則

(b)公正かつ合理的な態様

(c)公平かつ十分な良心

第105条は、2001年人権改正法(2001 No96)第18条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第106条 人権審議審判所での手続における証拠

(1)人権審議審判所は以下を行うことができる。

(a)当事者又は他の人に証拠及び情報を求める。

(b)当事者又は他の人に、手続に出席して証拠を提出するように請求又は要求する。

(c)証人を十分取り調べる。

(d)裁判所であれば証拠能力が問われるとしても、自らの見解において、人権審議審判所に出されている事案の効果的な処理に役立つであろう陳述、文書、情報又は物品を証拠として受理する。

(2)人権審議審判所は誓約付きの証拠を受理することができ、その目的において、審判所構成員又は職員は誓約を執り行うことができる。

(3)人権審議審判所は、証人として出廷した人が上申書を提出することにより、また審判所が適切と考える場合は、真実性を宣言することにより、証拠を提出することを許可できる。

(4)本条第(1)項~第(3)項に従い、2006年証拠法は、人権審議審判所が同法の意味における裁判所であるかのように、人権審議審判所に適用される。

比較:1977 No49 s 52

第(1)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第19条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第(4)項は、2006年証拠法(2001 No96)第216条により、2007年8月1日から、「1908年証拠法」を「2006年証拠法」に差し換えるよう改正された。2006年証拠法2007年開始令(SR 2007/190)第(2)項第(2)号を参照。

第107条 特別な事情を除く、開廷期間中での一般公開

(1)本条第(2)項及び第(3)項に定められた場合を除き、人権審議審判所の審理はすべて公開される。

(2)人権審議審判所は、いかなる事案であっても判決に関し、又は人権審議審判所の手続の途中で生じた問題に関しては、慎重に非公開で審議することができる。

(3)そうするのが望ましいと確信する場合、人権審議審判所は自らの動議又は手続当事者の申請により、以下を行うことができる。

(a)人権審議審判所で行われる審理の全部又は一部を非公開とするように命じる。

(b)人権審議審判所で行われる法的手続(公開と非公開のいずれで審理されるのであれ)での証拠に関する何らかの報告若しくは説明又はその他の手続について、その全部又は一部の公開を禁止する命令を発する。

(c)人権審議審判所の審理で作成された書籍又は文書の全部又は一部につき、公開を禁止する命令を発する。

(4)人権審議審判所が本条第(3)項第(b)号又は第(3)項第(c)号によって下した命令に反する行動を取る者はすべて、罪を犯しており、陪審によらない有罪判決により3000ニュージーランドドル以下の罰金を科せられる。

比較:1977 No49 s 54

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第108条 陳述を行う資格のある人

(1)人権審議審判所の手続の当事者である人、及び、手続における利害が一般市民より大きいと人権審議審判所がみなす人はすべて、出廷することができ、手続で判断を下す際に考慮すべきあらゆる事項に、証拠を求めることができる。

(2)人権審議審判所の手続当事者でない人が出廷を希望する場合、その人は出廷前に人権審議審判所及び出廷する当事者全員に通知しなければならない。

(3)人権審議審判所に出廷する権利を持つ人又は出廷が認められた人は、本人が出廷するか、又は法廷弁護士若しくは代理人が出廷することができる。

第(2)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第20条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第108A条 人権審議審判所の手続の通知

法務長官が手続当事者でない場合、1990年ニュージーランド権利章典第3条に挙げられた人又は機関により、第1A編の違反又は第2編の違反が行われた疑いがあるとして人権審議審判所に法的手続が提起されたことを、人権審議審判所は法務長官に速やかに通知しなければならない。

第108A条及び第108B条は、2001年人権改正法(2001 No96)第21条により、2002年1月1日から挿入された。

第108B条 救済に関連する提案

(1)人権審議審判所は第3編に基づく救済を与える前に、手続当事者に対し、また検討中の救済が第92J条に基づく宣言の場合は法務長官に対し、以下に関して提案する機会を与えなければならない。

(a)救済を与えることの影響。及び、

(b)救済の妥当性。

(2)第(1)項は、第3編又は第108条の規定を制限しない。

第108A条及び第108B条は、2001年人権改正法(2001 No96)第21条により、2002年1月1日から挿入された。

第109条 証人召喚状

(1)人権審議審判所は、必要と考える場合、自らの動議又は手続当事者の申請により、いかなる人に対しても、当該手続の審理で証拠を提出するために審判所への出廷を求める証人召喚状を発することができる。

(2)証人召喚状は、以下を記すこととする。

(a)その人が出廷する場所

(b)その人が出廷する日時

(c)その人が人権審議審判所への持参及び提出を求められる書面、文書、記録又は物品

(d)手当及び旅費に関して一定額を受け取る又は支払われる権利

(e)出廷しない場合の罰

(3)証人召喚状を発する権限は、人権審議審判所若しくは議長、又は人権審議審判所若しくは議長の指示若しくは権限に即して行動すると称する審判所職員が行使しうる。

第(1)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第22条により、「審判所はできる(The Tribunal may)」の後に「必要と考える場合」を挿入して、2002年1月1日から改正された。

第110条 召喚状の送達

(1)証人召喚状は以下のように送達できる。

(a)召喚される人物自身に手渡す。又は、

(b)召喚される人物の普段の居所へ、当人宛ての書留で郵送する。

(2)召喚状は以下の通りとする。

(a)本条第(1)項第(a)号で送達する場合、証人の出廷が求められる少なくとも24時間前までに送達する。

(b)本条第(1)項第(b)号で送達する場合、証人の出廷が求められる少なくとも10日前までに送達する。

(3)召喚状が書留郵便で投函される場合、本条第(2)項第(b)号の趣旨において、郵便物は通常の郵送過程で配達される時期に送達したとみなされる。

第111条 証人への手当

(1)召喚状に従い、証拠を提出するため人権審議審判所に出廷する証人はすべて、1957年略式手続法に定められた規則により当面策定された尺度に基づいて、証人手数料、手当及び旅費を受領する権利を有し、これらは当該規則に従って適用されるものとする。

(2)人権審議審判所が本法第109条第(1)項に基づいて召喚状を発する場合はその都度、人権審議審判所又は同条第(3)項に基づき人権審議審判所の権限を行使する者は、召喚状の送達に際して、又は証人が出廷を要請されている日以前の他の妥当な時期に、証人に支払われる額を定める。

(3)本条第(2)項で定められる額は、人権審議審判所又は本人の見解において、証人が召喚状に指定された時と場所に出廷した場合に所定の尺度に従って受領する権利のある手当及び旅費の見積額とする。

(4)手続当事者が証人召喚状の発行を請求する場合、証人に支払われるべき手数料、手当及び旅費は、当該当事者の負担とする。

(5)人権審議審判所が自らの動議により召喚状を出す場合、人権審議審判所は手数料、手当及び旅費の額を以下のとおり指示することができる。

(a)手続費用の一部とする。又は、

(b)この目的のために国会が歳出した資金から支払う。

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第112条 特権及び免責

人権審議審判所に出廷する証人及び法廷弁護士は、地方裁判所の手続における証人及び法廷弁護士と同じ特権及び免責を得るものとする。

第113条 欠席又は協力の拒否

(1)何人も、証言するため人権審議審判所に出廷するように、又は、何らかの書面、文書、記録若しくは物品を審判所に提出するように召喚された後、十分な理由なく以下のいずれかに該当する場合は、罪を犯したことになる。

(a)人権審議審判所の開廷中又は審理への往復の途上で、人権審議審判所又はその構成員又は審判所特別顧問又は審判所職員に暴行し、若しくは脅迫し、若しくは故意に侮辱した。又は、

(b)人権審議審判所の手続を故意に妨害し、若しくは人権審議審判所の開廷中に他の形で不作法な振る舞いをした。又は、

(c)人権審議審判所の法的手続の中で、審判所構成員の命令又は指示に、故意かつ適法な理由なく従わなかった。

(2)本条第(1)項に基づく罪を犯した者はすべて、陪審によらない有罪判決により1500ニュージーランドドルを超えない罰金に処せられる。

(3)人権審議審判所に召喚されない者は、本条第(1)項に基づく罰金を科せられない。ただし、本法第111条に従い、旅費が支給された者は、この限りではない。

第114条 侮辱を理由に引き渡す権限

(1)何人であれ以下の行動を取る場合は、審判所職員は、警察官又は他の人の助力を伴って又は伴わずに、審判所構成員が与えた命令に従い、閉廷後1時間以内の間にわたってその者を拘束及び勾留できる。また、議長は適切と考える場合、自ら書き記した令状に基づき、10日を超えない期間にわたってその者を刑務所に留置する、又は1500ニュージーランドドルを超えない罰金を科すことができる。

(a)人権審議審判所の開廷中又は審理への往復の途上で、人権審議審判所又はその構成員又は審判所特別顧問又は審判所職員に暴行し、若しくは脅迫し、若しくは故意に侮辱した。又は、

(b)人権審議審判所の手続を故意に妨害し、若しくは人権審議審判所の開廷中に他の形で不作法な振る舞いをした。又は、

(c)人権審議審判所の法的手続の中で、審判所構成員の命令又は指示に、故意にかつ適法な理由なく従わなかった。

(2)本条第(1)項に基づく令状は、どの地方裁判所にも提出でき、当該裁判所の命令として執行されるものとする。

第115条 人権審議審判所における煩瑣な及びその他の法的手続の省略

審判所はいかなる時も、本法第92B条又は第92E条に基づいて起こされた手続が、些末、取るに足らない、若しくは訴権乱用、又は誠実に提起されていないと確信する場合、これを退けることができる。

比較:1977 No49 s55

第115条は、2001年人権改正法(2001 No96)第23条により、2002年1月1日から、「第83条」を「第92B条又は第92E条」に差し換えるよう改正された。

第116条 提示されるべき理由

(1)本条は人権審議審判所の下記の判決に適用される。

(a)第92I条に述べられた1つ以上の救済又は第92J条に述べられた救済又は第95条に基づく命令が与えられる判決

(b)第97条に基づく宣言を下す判決

(c)第92B条又は第92E条又は第95条又は第97条に基づいて提起された手続を退ける判決

(2)本条が適用される判決はすべて、書面によらなければならず、以下を含む人権審議審判所の判決理由を提示しなければならない。

(a)関連する事実認定

(b)関連する法律問題の説明及び認定

(c)事案を処理するために判断が必要と人権審議審判所が考えた問題に関する結論

(3)人権審議審判所は、当事者、法務長官及び人権委員会に人権審議審判所の各判決を通知しなければならない。

第116条は、2001年人権改正法(2001 No96)第24条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第117条 人権審議審判所の標章

人権審議審判所は標章を持つこととし、あらゆる裁判所にあらゆる目的のため、司法上通知される。

比較:1977 No49 s57

第118条 個人的責任のない人権審議審判所の構成員

人権審議審判所の構成員は、人権審議審判所又はその構成員が人権審議審判所の機能、義務、権限又は職権に従い、又は従う意図をもって、誠実に行った又は行わなかった行為に対して個人的に責任を負うことはない。

比較:1977 No49 s58

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第119条 人権審議審判所の構成員の報酬

(1)人権審議審判所の構成員は以下の権利を有する。

(a)構成員としての役務につき、手数料規定に従い、一定の率又は大臣が定めた率により、第(b)号に含まれない報酬を受け取る。及び、

(b)手数料規定に従い、構成員として職務を果たす際に負担した実際的かつ妥当な旅費及び他の費用の補填を受ける。

(2)第(1)項の趣旨において、手数料規定とは、政府が利害を持つ法定及び他の機関の区分及び報酬のために、政府が随時定めた枠組みを意味する。

第119条は、2004年政府認可法人法(2004 No115)第200条により、2005年1月25日から差し換えられた。

第120条 人権審議審判所に関連する業務

(1)裁判局は、人権審議審判所が職務を遂行する上で必要となる秘書、書記及び事務業務を整えるものとする。

(2)裁判局が本条に従って提供する業務の費用は、議会がこの目的のため歳出する公金によって賄う。

比較:1977 No49 s60

第(1)項及び第(2)項は、1995年法務省(改組)法(1995 No39)第10条第(3)項により、1995年10月1日から、「法務省」を「裁判局」に差し換えるよう改正された。

第121条 執行

(1)人権審議審判所が出す以下の命令は、地方裁判所に公認の写しを登録した上で、その裁判所の命令であるかのように、あらゆる側面で執行される。

(a)第92L条の費用の裁定に関する命令

(b)第92M条の損害賠償の裁定に関する命令

(c)第95条に基づく仮命令

(2)人権審議審判所が第92I条に基づいて出した他の命令、又は人権審議審判所が第95条に基づいて出した仮命令に違反した又は従わない者はすべて、罪を犯したことになり、陪審によらない有罪判決によって、5000ニュージーランドドルを超えない罰金に処せられる。

比較:1977 No49 s61

第(1)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第25条第(1)項により、2002年1月1日から差し換えられた。

第(2)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第25条第(2)項により、2002年1月1日から、「本法第86条」を「第92I条、又は審判所が第95条に基づいて出した仮命令」に差し換えるよう改正された。

第122条 高等法院に対する事件の説明

(1)人権審議審判所は、審判の前若しくは途中、又は判決を下す前のいかなる時も、手続当事者の申請又は自らの動議により、人権審議審判所の手続で浮上した法律問題に関する高等法院の見解を求めて、事件を説明することができる。

(1A)人権審議審判所の手続で規制の妥当性に疑問が生じた場合、審判所は、規制が妥当でないとの主張を裏付けるだけの論拠のある事実がないと考える場合を除き、以下のいずれかを行わなければならない。

(a)関連する法律問題について、高等法院の見解を求めて、事件を説明する。

(b)高等法院の許可が得られる場合、第122A条第(1)項に基づき、審判所での手続又は問題となっている関連事項を高等法院での判断のために移管するよう命じる。

(2)人権審議審判所は、本条に基づいて事件を説明する意図を持っていることを手続当事者に通知することとし、事件を申し立てる高等法院の登録所を指定する。

(3)人権審議審判所が自らの動議によって事件を説明する意図を持っている場合を除き、質問は手続当事者たちが作成した特別事件の形式を取ることとし、当事者が合意しない場合は、人権審議審判所が確定する。

(4)人権審議審判所が自らの動議によって事件を説明する場合、事実及び高等法院が判断すべき法的疑義を説明する事件書を自ら作成し、署名するものとする。

(5)高等法院は、本条に基づき提出された疑義を審理して判断を下し、意見を添えて審判所に事件を回付する。

比較:1977 No49 s62

第(1A)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第26条により、2002年1月1日から挿入された。

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第122A条 手続又は争点の高等法院への移管

(1)人権審議審判所は高等法院の許可を得て、本法に基づく審判所の手続又は争われる事項について、高等法院の判断を求めて移転する命令を出すことができる。

(2)人権審議審判所は高等法院の許可を得て、審判の前又は途中で、手続当事者の申請又は自らの動議に基づいて本条の命令を発することができるが、以下のいずれかの場合に限られる。

(a)偶然そうなる場合を除き、手続又は事項に法律上の重要問題が生じる可能性がある。

(b)人権審議審判所の法的手続の中で、規制の妥当性に疑問が投げかけられる(規制の策定に権限を与えたとされる法律の規定が、不当な差別を認める若しくは要する規制の策定に権限を与えていない状況で、不当な差別を認める若しくは要することを理由に、又は別の形で)。

(c)手続又は事案の本質又は緊急性により、高等法院に直ちに移転するのが公益に適うことを意味する。

(d)高等法院が既に、同じ当事者間及び同じ問題が関係する他の手続又は他の事項を抱えたことがあり、本件の手続又は事項で提起されたものと同一であり又は類似し又は関連している。

(e)人権審議審判所が、あらゆる状況を踏まえ、高等法院が手続又は事項を判断すべきとの見解を取っている。

(3)第(2)項にかかわらず、人権審議審判所の手続で規制の妥当性に疑問が提示され、本条に基づく命令を発するための高等法院の許可が得られた場合、人権審議審判所は本条に基づく命令を発しなければならない。

(4)人権審議審判所が手続又はその中で争われる事項を高等法院に移管しない場合(高等法院が許可を出さないため、又は他の場合)、移転を申請した当事者は、手続又は事項を高等法院に移転する高等法院命令を求めて、高等法院に特別許可を求めることができる。高等法院はこの種の命令を発するかどうかを決める際に、第(2)項第(a)号~第(d)号に記された基準を適用しなければならない。

(5)本条に基づく高等法院への移転の命令は、人権審議審判所又は高等法院が場合に応じて適切と考える条件を伴う形で発してもよい。

(6)本条の規定は、第122条を制限しない。

第122A条及び第122B条は、2001年人権改正法(2001 No96)第27条により、2002年1月1日から挿入された。

第122B条 高等法院に移管される手続又は争点

(1)人権審議審判所が第122A条に基づく措置を取り、手続又はその中で争われる事項の高等法院への移転を命じる際に、第122A条第(2)項第(b)号に該当する場合を除き、高等法院は、当該手続又は事項がむしろ審判所で判決されるべきと考える場合には、人権審議審判所が本件を判決するように命じることができる。

(2)審判所が第122A条に基づき、手続又はその中で争われる事項の高等法院への移転を命じ、高等法院が第(1)項に基づく命令を発しない場合には、

(a)高等法院は手続又は事項について判断を下さなければならず、人権審議審判所が手続若しくは事項において又はそれに関連して行使し得た権限を行使できる。

(b)手続の当事者は第124条に基づき、手続の中で生じた法律問題に関する高等法院の判断を不服として、控訴院に上訴できる。

第122A条及び第122B条は、2001年人権改正法(2001 No96)第27条により、2002年1月1日から挿入された。

第123条 高等法院への上訴

(1)議長が本法第95条に従って下した仮命令に対し、当事者が不満な場合、当該当事者は当該命令の全部又は一部について、高等法院に上訴することができる。

(2)第92B条又は第92E条に基づく手続の当事者は、人権審議審判所の下記の判決の全部又は一部について、高等法院に上訴することができる。

(a)手続を棄却する。

(b)第92I条に記された救済を1つ以上与える。

(c)第92J条に記された救済を与える。

(d)第92J条に記された救済を与えない。

(e)当該手続における人権審議審判所の最終決定を構成する。

(2A)第(2)項第(d)号の目的のため、人権審議審判所は法的手続において、以下の場合を除き、第92J条に記された救済の付与を拒否しない。

(a)手続の当事者が特定の制定法に関連する救済を明示的に審判所に申し立て、かつ、

(b)人権審議審判所が当該制定法に関連する救済を与えない。

(3)当事者が本法第97条に基づく宣言を下すとの人権審議審判所の決定に不満な場合、当該当事者は当該決定の全部又は一部につき、高等法院に上訴できる。

(4)本条に基づくすべての上訴は、人権審議審判所が上訴にかかわる決定を書面で提示した日から30日以内に、上訴状を提出することによって行われる。

(5)高等法院は、本条に基づく上訴を判断する際に、本法第105条及び第106条によって人権審議審判所に与えられた権限を有し、これらの条項は適宜修正して適用されるものとする。

(6)裁判所は上訴を判断する際、以下を行うことができる。

(a)上訴の対象となった命令若しくは判決、又はその命令若しくは判決の一部を確認、修正又は破棄する。

(b)上訴が関わった手続において、人権審議審判所が行使し得たであろう権限を行使する。

(7)本条第(6)項にかかわらず、裁判所はいつでも、上訴について判断する代わりに、裁判所規則に従い、上訴がかかわる事項の全部又は一部を人権審議審判所がさらに検討するように、人権審議審判所に差し戻すことができる。

(8)本法の規定を条件として、かかる上訴に関する手続は、裁判所規則に従うものとする。

(9)上訴の届出は、人権審議審判所又は高等法院がそのように命じない限り、上訴がかかわる決定に関して、手続の停止として作用するわけではない。

比較:1977 No49 s63

第(2)項は、2001年人権改正法(2001 No96)第28条により、2002年1月1日から差し換えられた。

第(2)項は、2003年最高裁判所法(2003 No53)第47条により、2004年1月1日から差し換えられた。暫定条項及び留保条項については、同法第50条から第55条を参照。

第(2A)項は、2003年最高裁判所法(2003 No53)第47条により、2004年1月1日から差し換えられた。暫定条項及び留保条項については、同法第50条から第55条を参照されたい。

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第124条 控訴院への法律問題に関する上訴

(1)本法に従って高等法院での手続に進む当事者は、高等法院の許可を得て、手続中に浮上した法律問題に関する高等法院の判断に関して控訴院に上訴できる。この場合、高等法院が控訴院への上訴の許可を出さなくても、控訴院は上訴の特別許可を与えることができる。

(2)本条に基づく控訴院への上訴を望む当事者は、高等法院の判断が出てから21日以内又は高等法院が認める追加期間内に、高等法院の裁判所規則の定める仕方で上訴の許可申請を届け出ることとし、高等法院は、上訴にかかわる法律問題が一般若しくは公共の重要性を伴う又はその他の理由により、控訴院に判断してもらうために提出されるべきとの見解に立つ場合には、それに応じて許可を与えることができる。

(3)高等法院が本条に基づく控訴院への上訴を当事者に許可するのを拒否した場合、当該当事者は、高等法院の拒否から21日以内又は控訴院が認める追加期間内に、控訴院規則が定める仕方で、控訴院への上訴の特別許可を同院に申請でき、控訴院は上訴にかかわる法律問題が一般若しくは公共の重要性を伴う又はその他の理由により、控訴院に判断を求めるために提出されるべきとの見解に立つ場合には、それに応じて許可を与えることができる。

(4)本条に基づく控訴院への上訴では、控訴院は法的手続について判決を下す高等法院と同一の権限を有する。

(5)本条に基づく上訴に対する控訴院の判決は、高等法院で下されたかのように、高等法院で同一の判決を登録しなければならず、同一の執行並びに他の結果及び手続が伴わなければならない。

(6)控訴院に対する上訴許可の申請に関する同院の決定は、最終的なものとする。

比較:1977 No49 s64

第(5)項は、2003年最高裁判所法(2003 No53)第47条により、2004年1月1日から差し換えられた。暫定条項及び留保条項については、同法第50条から第55条を参照されたい。

第125条 上訴の費用

高等法院は、本法第123条に基づく上訴の費用の全部又は一部に関して、公正と思われる命令を下す権限を有するが、費用に関する命令はすべて、同裁判所が別段の命令を発しない限り、上訴の結果の後に発しなければならない。

比較:1977 No49 s65

第126条 本法の目的のための高等法院の追加構成員

(1)高等法院が管轄権及び以下の権限を執行する目的において、大臣が本法第101条に従って維持するパネルによる審議及び上訴のため、高等法院裁判官が任命した同院の追加構成員2人を置くこととする。

(a)第92T条に基づく権限

(b)本法第123条第(2)項及び第123条第(3)項に基づく、事実に関する疑問が含まれる上訴に関して、第123条に基づく権限

(2)追加構成員はその職務の執行を開始する前に、高等法院裁判官の面前で、誠実かつ公正に職務を果たす旨を宣誓しなければならない。

(3)高等法院の法廷を構成するには、高等法院裁判官1人と少なくとも1人の追加構成員の出席を要する。

(4)高等法院の法廷に出席した構成員の過半数(裁判官を含む、又は2人以上の裁判官が審理する場合、裁判官の過半数を含む)の判断を、同裁判所の判決とする。出席した構成員の見解が同数に割れた場合は、裁判官又は裁判官の過半数の判断を同裁判所の判決とする。

(5)裁判所に出された問題が、本条第(4)項に即して決することができない場合、控訴院の実務及び手順に即して判断してもらうため、問題は控訴院に付託されることとし、この目的のために、控訴院は本法に基づく裁判所の一切の権限を持つこととする。本項の手続における控訴院の判決は最終的なものであり、本法に基づく裁判所の判決であるかのように効力を有し、登録される。

(6)追加構成員は、以下の権利を有する。

(a)構成員としての役務に対し、手数料規定に従い、一定の率又は大臣が定めた率により、第(b)号に含まれない報酬を受け取る。及び、

(b)手数料規定に従い、構成員として職務を果たす際に負担した実際的かつ妥当な旅費及び他の費用の補填を受ける。

(7)第(6)項において、手数料規定とは、政府が利害を持つ法定機関及びその他の機関の区分及び報酬のため、政府が随時定めた枠組みを意味する。

比較:1977 No49 s66; 1991 No60 s 3 (4)

第(1)項第(a)号は、2001年人権改正法(2001 No96)第29条第(a)項により、2002年1月1日から、「本法第90条」を「第92T条」に差し換えるよう改正された。

第(1)項第(b)号は、2001年人権改正法(2001 No96)第29条第(b)項により、2002年1月1日から、「本法第123条から第125条」を「第123条」に差し換えるよう改正された。

第(6)項は、2004年政府認可法人法(2004 No115)第200条により、2005年1月25日から差し換えられた。

第(7)項は、2004年政府認可法人法(2004 No115)第200条により、2005年1月25日から挿入された。


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