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参考資料

参考資料5-3 連邦政府国内行動計画(NAP)
「2.新しい障害者報告:信頼できる障害者の生活状況についてのデータ状況」

 同情や不足によって形成されたものではない、現実的な信頼できる数値に基づいた障害者の像が、障害者を包容する思想を実現するための本質的条件である。障害者包容的な社会にとって不可欠なすべての人の、完全に個人の能力及び必要性による、無条件の受容は、この能力や必要性についての認識が存在し、「頭の中のバリア」が消されたときでなければ、存在し得ない。このことは、障害のない人にも障害者にも妥当する。

 国連障害者権利条約もこの思想を採用する。31条は、締約国に条約の実行についての政治コンセプトを実現し、実施することを可能にするような(……)統計的記述、研究データの収集を義務付ける。

 この国連障害者権利条約の行為の指示は、連邦政府の視点から、データ状態の改善及び障害者報告の新しい形式についての統一的な総合的戦略を要求する。

 1894年から連邦政府は、官庁、州及び関係機関の情報提供並びに団体の意見をもとにして、立法期の前に、「障害者の状態に関する報告書」を作成してきた。

 今後、報告書は障害者の生活実現を表すような指標のシステムを根拠にする。報告書は幅広い現実を反映しなければならない。各テーマの領域の内部で、例えば、移住の経験のような断面に光を当てる。

 この指標は、国家行動計画に挙げられたすべての行動領域において形成される。この方法で今後の障害者報告は、障害者政策の数及び措置の発展について信頼できる根拠となる。障害者のための政策は、経験的基盤の上になされる。

個別的には、以下のものが重要である。

  • データの明確な改善
  • 固定的に定義された指標による比較可能性の保障
  • 障害者政策の措置の評価 及び
  • 報告書の独立した作成
  • 最初の指標に依拠する連邦政府障害者報告は、2012年の下半期に公表される

 国連障害者権利条約の主要な関心事は、障害者の不利益をなくし、不利益の存在に反対することである。このことにとって、多様な障害者の生活状況を詳細に理解できるための指標の発展は不可欠である。

 指標は、社会的、経済的、保健的あるいはその他の体系による記述についての通常の方法が用いられる。指標は、多様な行動領域及び生活領域について、関連する枠組みも考慮して特徴付ける。しかし、指標の発展にはまず、条約の全テーマ領域についてデータベースが整備されることが必要である。

 重度障害者、国勢調査、失業者の統計、及び障害者の雇用状況についての労働に関する連邦代理人の統計は、既に現在利用できる公的な統計に属する。国勢調査は、ドイツの世帯の1%の無差別抽出により調査される。定期的に4年間隔で、「健康についての質問」の分野から障害についての2つの複合的質問が集められる。この質問の回答は、自由意思によるものである。無別抽出国勢調査により、教育、収入及び健康、並びに職業生活の割合の各分野が調査される。この統計には、認定障害者(すなわち、障害の程度(GdB)20~100度)から無差別に抽出された代表者も含まれる。これはこの母集団の傾向を推定することを可能にする。公的に認定された障害の事例案数に基づく収集は、(強度の医学的な欠損に規定された)重度の障害者の統計と同様に、暗数を明らかにすることに関する制約の影響を受ける。したがって、国勢調査を追加的な質問で補充することにより、「妨害」を試問することが試みられる。更に今後は、国勢調査における障害に関する質問は毎年確認する必要がある。

 現在利用できる公的統計と並んで、指標を根拠とした報告義務のための公的統計の領域から、今後さらなるデータ源が開発される必要がある。

 障害者報告のためのさらなる重要なデータ源は、毎年ドイツ経済研究機関(DIW)により行われるドイツ社会・経済パネル調査(SOEP)である。社会経済パネルは、収入の経過、主観的な健康、社会参加、社会の安全及び住居ないし建築の状況に関する質問である。これまで、障害の存在に関するオープンな質問は分析されなかった。連邦労働社会省は、DIWに追加の分析を行うこと、及び今後、この質問を規格化して評価することを委託した。その他の社会経済パネルによるデータとの組み合わせにより、今後、障害者の生活の実現はより良く表現することができるであろう。

 より強化された障害者政策の措置も障害者報告義務の一部である。我々は多様な障害者政策の措置及びリハビリテーションないし参加の保障がどのような作用を有するのか、ほとんど知らない。

 障害者報告義務との関係で、プログラム及びイニシアチブの有効性は、社会的に敏感な有効性及びイニシアチブも含めて、評価され公表されなければならない。

 障害者報告の作成は、学者及び障害者の知識及び経験を有する人々による会議において行われるであろう。

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