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参考資料

参考資料6-1 包括的な最初の報告(部分訳)

2011年1月3日
大韓民国

序文(p.6~8)

1.障害者権利条約の策定過程に積極的に参加していた大韓民国は、2009年1月10日、同条約が国内で発効し、これを実施するために立法を含む幾つかの措置をとってきた。大韓民国は障害者権利条約の締約国として、条約第35条第1項に基づいて、最初の報告を国連障害者権利委員会に提出する。今回提出する報告は、障害者権利委員会の報告作成ガイドライン(CRPD/C/2/3)を参照して作成された。

2.大韓民国は、この条約の効力発生前にすでに障害者の権利を促進するための法律と政府レベルの「障害者政策発展5か年計画」を中心に障害者政策を発展させてきており、これは、この条約の精神に合致されているものである。

3.大韓民国は1963年、「産業災害補償保険法」を使用して業務上の災害により障害を受けた労働者への支援制度を設けた。1977年には「特殊教育振興法」を制定し、障害者のための教育環境の基礎を構築した。国連が定めた「国際障害者年(InternationalYear of the Disabled People)」である1981年に、大韓民国は「心身障害者福祉法」( 1989年に「障害者福祉法」に全面改訂)を制定し、障害者のための福祉政策の基礎を整えた。1990年には「障害者雇用促進等に関する法律」(現「障害者雇用促進及び職業リハビリテーション法」)が制定され、義務雇用制を通じた障害者の働く権利の実現と所得保障のための本格的な国家政策が出発された。1997年に制定された「障害者・高齢者・妊婦等の便宜増進保障に関する法律」は、建築物、道路、設備等における障害者等のアクセシビリティ確保を目的としており、この法律の中の道路や交通機関、旅客施設に関する事項は、 2005年に制定された「交通弱者のための移動便宜増進法」に分離され、障害者の移動権保障のための前提条件となっている。また、 2005年には障害者の創業と企業活動を支援するための「障害者の企業活動促進法」が制定された。国連障害者権利条約が採択され、その翌年の2007年には「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」も制定されたが、この法律は、すべての生活領域での障害を理由にした差別を禁止し、障害を理由に差別を受けた人々の権益を効果的に救済することを目的としている。この法律は、障害者権利条約を国内的に実施することができる包括的で実質的な法的装置となった。加えて、同年2007年には「障害者等に対する特殊教育法」が、従来の「特殊教育振興法」に代わる法律として新たに制定され、障害者のための教育インフラストラクチャーを拡充する内容を含んでいる。2008年には「重度障害者生産品の優先購入特別法」が制定され、障害者が参加している企業の生産が奨励され、これにより、障害者の実質的な収入を高めることができるようになった。2010年、「障害者年金」は経済活動が困難な重度障害者の基礎収入を確保し、障害が原因で発生する追加費用を支援することにより、障害者の社会保障のための国家的な責務を強化することができるようになった。

4.政府は、1996年、政府レベルでの長期的かつ体系的な障害者政策を推進するため、「障害者政策発展5か年計画」の策定を決議した。これにより、政府は、第1次計画(1998~2002)と第2次計画(2003~2007)に続いて、現在の「第3次障害者政策発展5か年計画(2008~2012)」を策定した。政府は、第3次計画に基づいて「障害者福祉の先進化」のために障害者年金制度の導入、障害者登録判定システムの改善、身体障害者居宅サービスの拡大などのような政策を推進している。また、「障害者の経済活動の拡大」のために障害者雇用義務制度の強化、障害者就労支援と職業能力開発サービスの拡大などの政策を推進しており、「障害者の教育圏及び文化圏の増進」のためにライフサイクルごとの教育支援システムの構築、包容教育の強化、障害者のウェブサイトアクセシビリティの向上などの政策を施行している。ほかに、政府は「便宜増進国家総合5か年計画」(第1次2000~2004、第2次2005~2009、第3次2010~ 2014)と「交通弱者移動便宜増進5か年計画」(第1次2007~2011)を使用して、障害者のアクセシビリティ向上のための政策を推進している。「特殊教育発展5か年計画」(第1次2008~2012)においては、障害者の包容教育と特殊教育、個別教育を推進している。また、政府は、2007年5月に策定された「国家人権政策基本計画(National Action Plan for thePromotion and Protection of Human Rights)」で障害者の人権増進を重要な目標としている。

5.韓国の障害者政策は、過去30年間の持続的な発展を土台に、最近、大きな変化の過程に置かれている。2007年に導入された「障害者活動補助制度」は、これまでサポートシステムが不足していた重度障害者の自立生活の可能性を高めている。「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」の制定と「障害者権利条約」の批准は、韓国の障害者政策が補助的な福祉サービスの提供から、人権ベースの一般的な政策に転換される実質的な契機となった。2009年に導入された「障害児のリハビリテーションサービス」は、障害児の機能向上とリハビリテーションのための特化した支援制度として、障害児と家族支援のための本格的な政策の出発点となっている。2010年には障害者の所得保障のための障害者年金制度が施行され、2011年には長期療養(longterm care)制度である「障害者活動支援制度」の導入計画が立てられており、韓国は障害者のための社会保障の枠組みを整えることができるようになった。

6.しかし、韓国の障害者政策が発展してきただけに、障害者のニーズはより多様化し、その要求レベルが高まっている。大韓民国は、この条約の自由権的権利についての立法において大きな枠組みを整えたが、成年後見制のような幾つかの権利の保護については、最近になってようやく立法化を進めている。この条約の社会権的権利でも、大韓民国は関連する権利の大部分に対して立法的・政策的に対処したが、各権利のレベルを十分に実現するための制度的・財政的デバイスの用意は継続的な課題となっている。障害者年金や障害者活動補助サービスなどの支援制度は、その規模とサポートのレベルを継続的に拡大していかなければならないという課題を抱えている。知的・発達障害者とその家族のための政策の開発や障害者サービス・サポートシステムの改善も新たな課題となっている。これに対する代案を用意するために、韓国政府は、障害者団体の関係者や民間の専門家が参加する「発達障害者支援基本計画のために解決企画」と「障害者サービス支援体系の再編企画団」を運営し、それによって政策代案を用意するという計画を立てている。

7.政府は、障害者と障害者団体が、この国家報告を作成する過程で様々な形で参加するようにした。まず、政府は、この国家報告作成のための諮問委員会に障害者団体の関係者を含め(諮問委員8人のうち3人を障害者団体の関係者の中で選抜)、諮問会議を通じて報告作成の方向性と、報告の草案の内容に彼らの意見を反映するようにした( 2回) 。また、政府は、障害者団体の関係者が参加した中、公聴会を開催して( 1回)、報告の草案について障害者団体からの意見を書面で受け取り( 2回/付録表78を参照)、このうち幾つかの意見を国家報告に反映した。その他にも、政府は、障害者や障害者団体が含まれている障害者政策調整実務委員会と障害政策調整委員会を通じて国家報告の草案に対する意見をとりまとめており、国家人権委員会は、この報告草案を検討する過程で、5つの障害者団体の意見を収斂した。

8.大韓民国は選択議定書への加入において、国内の環境が整い次第、早急に推進する予定である。

第33条、国内における実施及び監視(p.47~48)

166.大韓民国で障害者政策と関連する業務を担当する政府部庁は11個所である。(付録表79参照)この中、政府は条約の実施事項を点検するため、政府直制に依拠、保健福祉部障害者政策局を中央連絡先として指定した。障害者政策局は、立法及び制度などを分析し、この条約の実施事項を点検し、これを持ってこの国家報告を作成した。現在、障害者政策局は障害者の権利と生活の室の向上させるため1998年政府全体で推進してきた「障害者政策発展5か年計画」を総括し、その推進状況を点検している。また、この条約を実施するに当たって、根幹になる「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」が公共部分及び民間部分で遵守されているかを周期的に監視(monitor)している。

167.政府は総合的な障害者政策樹立、関連政府部庁の意見調整、そしてその政策の実施を監視・評価するため「障害者福祉法」に依拠、国務総理所属の非常設会議体である障害者政策調整委員会を設置し運営している(第11条)。障害者政策調整委員会が審議・調整する事項は、1障害者福祉政策の基本方向に関する事項、2障害者福祉向上のため制度改善と予算支援に関する事項、3重要な特殊教育政策の調整に関する事項、4障害者雇用促進政策の重要な調整に関する事項、5障害者移動保障政策調整に関する事項、6障害者政策推進と関連する財源調達に関する事項、7障害者福祉に関する関連部庁の協調に関する事項などである。障害者政策調整委員会はこの報告の草案を審議した。

168.国家人権委員会は「国家人権委員会法」(2001.5制定)に依拠、「国際人権条約への加入及びその条約の実施に関する研究と勧告又は意見表明」をし(第19条)、国際人権条約に実施報告に対して意見を表明している(第21条)。これにより国家人権委員会は本報告の草案を事前検討し、意見を表明したことがある。また、国家人権委員会は国際人権基準にその根拠をおいてあるこれを実施した「国家人権委員会法」、「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」などに立脚し障害者など社会的少数者の人権に関する立法・制度・政策・慣行を調査し、その改善が必要である事項に関して勧告又は意見を表明している。また、国家人権委員会は陳情された人権侵害行為を調査・救済し、必要な場合人権侵害行為に対して直権調査や実態を把握するなどこの条約を包含した国際人権基準の国内実施を増進・監視する業務を遂行する。(付録表80参照)

169.国家人権委員会は「国家人権委員会法」に依拠し、国際条約の国内実施のため業務を包含したすべての所管業務をほかの国家機関から独立して遂行することによって(第3条)、‘国内人権機関の設立に関する原則’(いわゆるパリ原則「Paris Principles」)を遵守している。

170.政府は障害者関連立法及び政策などをモニタリングするため障害者と障害者団体を参加させている。保健福祉部と国家人権委員会は「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」の実施をモニタリングする時障害者及び障害者団体の積極的に参加させている。

(以下は、パラグラフ170の最後に取消線付での記載)
また、政府は、この国家報告を作成するに当たって障害者及び障害者団体を様々な形で参加させた。まず、政府はこの国家報告の作成のためのアドバイザーとして障害者団体の関係者たちを参加させ(アドバイザーの8人中3人が障害者団体の関係者で構成)、会議を通じて、報告作成の方向性及び報告の初案の内容に彼らの意見を反映させた(2010年5月31日、10月5日)。また、政府はアドバイザーとして参加していない障害者団体の関係者を国家報告(初案)公聴会の討論者として参加させ(2010年11月11日)、報告の初案についての障害者団体(8つ)の意見を国家報告に部分的に反映させた(付録表78参照)。

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