6-2 スペインの包括的な最初の報告の検討プロセスの概観

(1) 検討プロセスの概要

 スペインは、障害者権利条約の締約国の中でも早い時期に包括的な最初の報告の検討プロセスが進んだ国である。国連障害者権利委員会の最終見解は2011年9月23日に採択されたが、これは全締約国の中でチュニジアに次いで2番目に採択された最終見解であった。

スペイン政府からの包括的な最初の報告は、2010年7月1日に国連障害者権利委員会に提出された。その後、2011年4月11日~15日に開催された国連障害者権利委員会第5会期で事前質問事項の検討が行われ、2011年6月20日に国連障害者権利委員会から事前質問事項が発表された。スペイン政府は2011年7月8日51に事前質問事項への政府回答を国連障害者権利委員会に提出した。その後、2011年9月19日~23日に開催された国連障害者権利委員会第6会期での建設的対話を含む審査を経て、第6会期最終日の9月23日52に国連障害者権利委員会の最終見解が採択された。

(2) 国連障害者権利委員会へのレポート提出状況

(1)に示した検討プロセスにおけるスペイン政府と国連障害者権利委員会との文書のやりとり、並びにスペインの関係機関・団体から国連障害者権利委員会へのレポート提出状況を図表6-2に示す。

スペインに関して国連障害者権利委員会ウェブサイトに掲載されているレポート・文書類は、スペイン政府から国連障害者権利委員会に提出されたものと委員会側から発表されたもののみで、市民社会から提出されたレポート類は掲載されていない。そこで、インターネットで関連するレポート類を検索したところ、独立した仕組みであるスペイン障害者代表委員会(CERMI)のレポートが見つかった53。スペイン障害者代表委員会は、スペイン政府の包括的な最初の報告が提出された直後から国連障害者権利委員会が事前質問事項をまとめるまでの約1年間に、3つのレポートを作成している。

スペイン障害者代表委員会以外のNGO、障害者団体によるパラレルレポートは、国連障害者権利委員会のウェブサイトには掲載されていない。また、インターネットの探索によっても見つけることができなかった。そこで本調査では、国連障害者権利委員会ウェブサイトに掲載されているレポート・文書類とスペイン障害者代表委員会のレポートを分析対象とした。ただし、図表6-2以外にも市民社会からのパラレルレポートが国連障害者権利委員会に提出された可能性がある点に注意する必要がある。

図表6-2 スペインから国連障害者権利委員会へのレポート提出状況54図表6-2のテキスト版

スペインから国連障害者権利委員会へのレポート提出状況を示す図

出典:国連障害者権利委員会ウェブサイト及び各資料より作成


51 事前質問事項へのスペイン政府回答(文献20)、p1
52 スペインの包括的な最初の報告に関する最終見解(文献21)、p1
53 スペイン障害者代表委員会ウェブサイト、http://www.cermi.es/en-US/Biblioteca/Pages/Inicio.aspx
54 スペイン障害者代表委員会(CERMI)の各レポートの日付は、各文書に記載された発行日であり、国連障害者権利委員会への提出日とは異なると考えられる。

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