図1.12-1 デンマークにおける関係主体の全体像

デンマーク政府機関内の中央連絡先は社会省である。2014年に、社会省の内部に差別禁止特別部署が設置された。政府内調整の仕組みとして、全省庁をまたぐ「障害に関する省庁間委員会」がある。この委員会は政府機関内の全ての部門の代表によって構成されており、社会庁が委員長を出す。
デンマーク国内には98の基礎自治体(コムーネ)が設置されており、これらが障害者の介護・サービスの大半を実施している。各コムーネの内部には障害者評議会が設置されており、市民社会組織もこれに参加している。
 デンマーク障害者評議会、デンマーク人権機構、議会オンブズマンの3つの組織が独立した仕組みである。デンマーク障害者評議会は利用者代表と政府機関代表が半数ずつで構成される。利用者代表は市民社会が、政府機関代表は障害に関する省庁間委員会が代表を出す。この組織は政府機関を監視し、時には助言を提供する。デンマーク人権機構は国家人権機関として障害者権利条約の実施を監視し、政府に対して助言や勧告を行う。市民社会もこの活動に参加する。議会オンブズマンは障害を含むすべての分野での公的機関の決定や取扱いに関する申立てを調査し、勧告などを行う。
 市民社会は条約実施の監視、社会啓発、報告書作成などを行っている。障害者団体の連合体(デンマーク障害者団体連合会)が、パラレルレポート作成や障害者評議会委員の指名を行う。個人や団体が政府に対して不服申立てを行った場合は、議会オンブズマンと国家社会福祉サービス不服審査委員会が政府に対する調査を行う。

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