図1.8-1 エストニアにおける関係主体の全体像

 エストニアでは、社会事業省が中央連絡先と調整のための仕組みを兼任している。社会事業省はアクセシビリティ審議会と協力会議を通じて関係政府機関との調整を行っており、いずれの組織も政府機関及び複数の当事者団体からなるエストニア障害者会議からの代表者が参加している。
 アクセシビリティ審議会は、多分野にわたるアクセシビリティに関する調整・提案を担う。協力会議は障害者の権利に関する活動を調整し、戦略的目的や優先事項を設定する。
 独立した仕組みとしては、ジェンダー及び平等待遇委員と公正長官がある。これらの組織は政府に対して監視活動を行うと同時に、助言及び法改正の提案を行う。ジェンダー及び平等待遇委員は、平等法と差別禁止法の遵守の監視を行う機関であり、苦情申立人への助言や情報収集、意見の提示を行うほか、報告書の発行や啓発活動も行っている。
 公正長官は障害者権利条約の実施を促進・監督する役割を負っている。障害者への助言及び援助、意見の提示、法改正の提案、平等待遇促進措置の実施、報告書の発行を行っている。
 公正長官の招集によって、障害者諮問会議が立ち上げられている。この会議は年2回の定例会議を開催し、特別な課題に対処するためのワーキンググループを形成している。この会議には、市民社会や非政府組織からも代表者が参加している。
 市民社会・非政府組織は、エストニア政府と様々なプロジェクトやワーキンググループで協力している。主な団体としては、前述のエストニア障害者会議及びその参加団体、エストニア人権センター、エストニア人権機構、エストニア患者養護団体を挙げることができる。

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