「震災と障害者」<3>障害者への災害時支援と個人情報保護
社会の情報化の進展により、個人情報の保護は一層重要な課題となり個人情報保護法の制定にもつながっています。
行政が保有する、各個々人の身体・知的・精神といった障害は、いうまでもなく高度な個人情報であり、本人の同意なしに通常、行政が開示することはありません。
しかし、今回の東日本大震災においては、障害者支援団体が、基礎的地方公共団体である市町村に住民である障害者の情報を開示請求した例が多数ありました。
請求された市町村のほとんどは、個人情報保護の原則からこの開示請求に対応することが困難でした。
このような中、福島県沿岸部の多くの市町村は、今回の東日本大震災において、地震・津波の被害のみならず、東京電力福島第一発電所の事故による避難まで対応しなくてはならなくなりました。
そのような中で南相馬市は、障害者支援団体から、障害者の支援のため個人情報開示請求に対して、「緊急やむを得ないため開示できないか」という観点から開示を検討した結果、市の個人情報保護条例の特例を適用し、「障害者の生命、身体及び財産」を守るため開示することが適当との判断により開示しました。
南相馬市では、入所、通所、ホームヘルプ等の障害福祉サービス利用者については、それぞれの事業所で安否確認を行い、避難を行ったが、ホームヘルプ等利用者等個人利用者や在宅障害者については、当初安否確認できない状況でした。
このようなサービスを利用していない障害者のうち、身体・知的障害者については、南相馬市が情報開示を行い、NPO 法人さぽーとセンターぴあ、JDF 被災地障がい者支援センターふくしまの支援協力により590人の安否確認を行いました。
精神障害者については、精神通院医療受給者を対象に市や県の保健師が精神科治療の継続がなされているかどうかという事項で、安否確認を行いました。
(このコラムでは、南相馬市健康福祉部のご協力をいただきました。)