目次]  [戻る]  [次へ

第1編 障害者の状況等(基礎的調査等より)

第2章 「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」

近年、高い関心を集めているといえる「発達障害」について、全国(震災を考慮し岩手、宮城、福島の3県を除く。)の公立の小中学校各600校において、通常の学級に在籍する知的障害はないものの発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査が行われ、平成24年12月、文部科学省において公表された。結果の概要は、次のとおり。

なお、調査結果の全体は、文部科学省ホームページの特別支援教育サイト別ウィンドウで開きますの中で公表されている。

1 調査の方法

平成24年2月から3月にかけて、全国(岩手、宮城、福島の3県を除く。)の公立小・中学校の通常の学級に在籍する児童生徒を母集団として、5万3,882人(小学校:3万5,892人、中学校:1万7,990人)の標本児童生徒に対して調査を実施した。

調査内容は、児童生徒の困難の状況、児童生徒の受けている支援の状況とした。

なお、児童生徒の困難の状況については、担任教員が記入し、特別支援教育コーディネーター又は教頭(副校長)による確認を経て提出した回答に基づくもので、発達障害の専門家チームによる判断や医師による診断によるものではないため、本調査の結果は、発達障害のある児童生徒の割合を示すものではなく、発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合を示すことに留意する必要がある。

2 調査結果

(1) 児童生徒の困難の状況

質問項目に対して担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は図表11のとおり。

本調査ではこのほか、学習面、各行動面での児童生徒全体の分布状況、学校種、学年別集計等をとりまとめている。

■ 図表11 質問項目に対して担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合
  推定値(95%信頼区間)
学習面又は行動面で著しい困難を示す 6.5%(6.2%~6.8%)
学習面で著しい困難を示す(A) 4.5%(4.2%~4.7%)
行動面で著しい困難を示す 3.6%(3.4%~3.9%)
 B:「不注意」又は「多動性‐衝動性」の問題を著しく示す 3.1%(2.9%~3.3%)
 C:「対人関係やこだわり等」の問題を著しく示す 1.1%(1.0%~1.3%)
学習面と行動面ともに著しい困難を示す 1.6%(1.5%~1.7%)
AかつB 1.5%(1.3%~1.6%)
BかつC 0.7%(0.6%~0.8%)
CかつA 0.5%(0.5%~0.6%)
AかつBかつC 0.4%(0.3%~0.5%)
注1: 95%信頼区間:95%の確率で悉皆調査の場合の集計結果が含まれる範囲。
2: A、B、C別の児童生徒全体の分布状況は、図表12~14のとおり。なお、黒色で示した部分が上記表に該当した児童生徒の状況
図表12 学習面における児童生徒の分布状況(A)
図表13 行動面(「不注意」又は「多動性-衝動性」)における児童生徒の分布状況(B)
図表14 行動面(「対人関係やこだわり等」)における児童生徒の分布状況(C)

(2) 児童生徒の受けている支援の状況

質問項目に対して担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の受けている支援の状況の概観については、図表15のとおり。

なお、「いずれかの支援がなされている」とは、通級による指導や個別の教育支援計画の作成等の支援のうち、いずれか一つでも実施している場合を示す。

本調査では、このほか、学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒のうち、校内委員会において、現在、特別な教育的支援が必要と判断された児童生徒の受けている支援の状況等をとりまとめている。

■ 図表15 質問項目に対して担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の受けている支援の状況の概観
  推定値(95%信頼区間)
現在、いずれかの支援がなされている 55.1%(52.8%~57.4%)
過去、いずれかの支援がなされていた 3.1%(2.5%~3.9%)
いずれの支援もなされていない 38.6%(36.4%~40.9%)
不明 3.1%(2.1%~4.7%)
目次]  [戻る]  [次へ