第2編 全般的推進状況(平成24年度を中心とした障害者施策の取組)
第1章 施策推進の経緯と現況
第2節 基本法改正(平成23年)等近年の動き
2.平成23年の基本法改正とその概要
平成23年3月、本部が開催され、障害者基本法の一部を改正する法律案が決定され、同法案は、同年4月閣議決定、国会に提出された。
この改正法案は、国会審議の過程で、防災・防犯、消費者としての障害者の保護を加えるなど一部修正され、同年6月衆議院、同年7月参議院においてともに全会一致で可決・成立し、附帯決議も付され同年8月に施行された。(ただし、「障害者政策委員会」に関する部分は、この公布から1年以内に施行となった(平成24年5月21日に施行。))
この改正法の概要は次の表(図表2-3 「障害者基本法の一部を改正する法律(概要)」)のとおりであるが、目的、定義、基本原則等については、次のとおりとなっている。
(1) 目的(法第1条関係)
障害者権利条約の趣旨に沿った障害者施策の推進を図るため、同条約に定められる障害者のとらえ方や我が国が目指すべき社会の姿を新たに明記するとともに、施策の目的を明確化する観点から改正を行った。
障害者を、必要な支援を受けながら、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体としてとらえ、障害者があらゆる分野において分け隔てられることなく、他者と共生することができる社会の実現を法の目的として新たに規定した。
(2) 定義(法第2条関係)
障害者権利条約は、「障害者には・・・障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるものを含む」(条約1条)ものとし、また、合理的配慮を定義する(条約2条)など、生活を営む上で妨げとなる社会的障壁を取り除くことにより、障害者が障害のない者と等しく機会の均等が確保されることを理念としている。
このような障害者権利条約の理念に沿った今次の制度改革の趣旨を踏まえ、所要の改正を行った。
(3) 基本原則(法第3条~第5条関係)
(1)に規定する社会、すなわち障害の有無によって分け隔てられることなく共生する社会を実現するために規準とすべきものとして基本原則を定めている(3~5条)。なお、改正前の3条には基本的理念の規定を設けていたところであるが、その内容は全て改正後の基本原則に引き継がれている。
(4) 検討及び附帯決議
ア 国は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとした。
イ 国は、障害者が地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を営むことができるようにするため、障害に応じた施策の実施状況を踏まえ、地域における保健、医療及び福祉の相互の有機的連携の確保その他の障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとした。
ウ 改正法の成立に際しては、衆議院と参議院において、いくつかの点について適切な処置を講ずるべきである、としてそれぞれ附帯決議が付されている。
(内閣府障害者施策ホームページの「障害者基本法の改正について(平成23年8月)」も参照。)