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第3編 障害者施策の実施状況 第1章 第6節 2

第1章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり

第6節 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした取組

2.概要

(1)基本的な考え方
  • 障害のある選手たちが圧倒的なパフォーマンスを見せる2020年東京パラリンピック競技大会は、共生社会の実現に向けて人々の心の在り方を変える絶好の機会である。
  • 「障害」は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」をすべての人が理解し、それを自らの意識に反映していくことが重要。
  • この機を逃さず、国民全体を巻き込んだ「心のバリアフリー」の取組を展開するとともに、世界に誇れるユニバーサルデザインの街づくりを実現すべく取り組む。(本行動計画に記載された内容は、本白書に記載される様々な障害者にかかわる施策に反映されていくものである。)
  • 障害者に関する施策の検討及び評価に当たっては、障害当事者が委員等に参画し、障害のある人の視点を施策に反映させることとする。
  • 2020年にこれら施策が確実に実現されるよう、障害当事者等を過半とする評価会議を毎年開催し、関係府省等の施策の実施状況を確認・評価し、その結果を踏まえて関係府省等が施策を改善することにより、実行性を担保していくこととする。
(2)具体的な取組
<1>「心のバリアフリー」

行動計画で取り組む「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことである。そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要であり、そのために重要なポイントとして、以下の3点を挙げた。

  • 障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。
  • 障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
  • 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。

「心のバリアフリー」を実現するための施策は、あらゆる年齢層において継続して取り組まれなければならない課題であるとともに、学校で、職場で、病院などの公共施設で、家庭で、買い物や食事の場で、スポーツ施設や文化施設など地域のあらゆる場において、また、日々の人々の移動においても、切れ目なく実現されなければならない。よって、以下の主な施策を含め、社会全般に渡って施策を展開することとした(図表3-1-4)。

  • 2020年度以降順次実施される次期学習指導要領に基づく指導や教科書等の充実
  • 平成29年度以降、接遇を行う業界(交通、観光、流通、外食等)における全国共通の接遇マニュアルの策定・普及
  • 障害に対する理解を持ち、困っている障害者等に自然に声をかけることができる国民文化の醸成に向けた仕組みの創設
第1回関係閣僚会議で行動計画を決定(総理、障害者団体も出席)
<2> ユニバーサルデザインの街づくり

我が国において、交通分野、建築・施設分野のバリアフリー化(情報にかかわる内容を含む)については、平成18年以降、バリアフリー法のもと、交通施設、建築物等の種類毎に目標を定め、個々の施設のバリアフリー化と地域における面的なバリアフリー化に全国的に取り組み、一定の水準まで整備が進んできた。東京大会は、こうした取組に加え、世界に誇ることのできるユニバーサルデザインの街づくりを目指して、更なる取組を行う好機である。

街づくりは極めて幅広い分野であり、かかわる施策も多岐にわたる。このため行動計画においては、大きく<1>東京大会に向けた重点的なバリアフリー化と<2>全国各地における高い水準のユニバーサルデザインの推進という2つの観点から、幅広い施策をとりまとめた(図表3-1-5)。

<1>東京大会に向けた重点的なバリアフリー化の取組としては、東京大会に向けてTokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインのもと、確実に実現すべき競技会場及びアクセス経路のバリアフリー化のほか、競技会場周辺エリアや公共交通におけるバリアフリー化等に関する取組をまとめた。

また、<2>全国各地における取組については、各地のバリアフリー水準の向上のため、バリアフリー基準等の改正のほか、関心の高まっている観光地や都市部等における複合施設(大規模駅や地下街等)における面的なバリアフリー推進、公共交通機関におけるバリアフリー化、ICTを活用した情報発信、トイレの利用環境改善等についての取組をまとめている。主な施策としては以下が挙げられる。

  • 平成29年度中に交通バリアフリー基準(省令)・ガイドラインを改正
  • 平成28年度中にホテル等の建築物に係る設計標準を改正

なお、平成28年12月で施行後10年が経過したバリアフリー法を含む関係施策について、平成29年度中に検討等を行う等により、そのスパイラルアップを図ることとしている。

■ 図表3-1-4 「心のバリアフリー」具体的な取組
■ 図表3-1-5 ユニバーサルデザインの街づくり 具体的な取組
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