第1章 改正障害者差別解消法の施行 第2節 1
第2節 改正障害者差別解消法の施行に向けた取組
1.「国等職員対応要領」の関係府省庁の改定概要及び「地方公共団体等職員対応要領」の策定状況
(1)「国等職員対応要領」の関係府省庁の改定概要
「障害者差別解消法」第9条に基づき、同法第6条に定める基本方針に即して、国の行政機関の長等※1は同法第7条に規定する不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供に関し、国の行政機関等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下本章では「国等職員対応要領」という。)を定めることとされている。
「改正障害者差別解消法」の施行に向けては、2023年3月に「改定基本方針」を閣議決定したところ、国の行政機関等は、「改定基本方針」に即して、「改正障害者差別解消法」の施行前に、「国等職員対応要領」の改定を行った。
改定に当たっては、同法第9条第2項及び第4項において、「国等職員対応要領」を改定するときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないとされていることから、国の行政機関等においては、障害者団体や事業者団体等からのヒアリングを行った後、パブリックコメントを経て、「国等職員対応要領」の改定を行った。
改定内容は、国の行政機関等ごとに様々であるが、多くの国の行政機関等においてみられる主な変更点としては、「改定基本方針」に即して、建設的対話を通じて相互理解を図ることの重要性や、事前的改善措置として環境の整備を図ることの有効性について追記したこと、「正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例」や「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」、「合理的配慮に当たり得る配慮の例」、「合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例」、「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」などの具体例について整理・充実したことなどがあげられる。
※1 「国の行政機関の長等」には、国の行政機関の長のほか、独立行政法人などが含まれる。
(2)「地方公共団体等職員対応要領」の策定状況
「障害者差別解消法」第10条において、地方公共団体の機関等※2は、「基本方針」に即して、同法第7条に規定する不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供に関し、地方公共団体の機関等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下本章では「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとされている。
2023年4月1日時点において、全ての都道府県及び指定都市が「地方公共団体等職員対応要領」を策定しているほか、中核市等(中核市、特別区及び県庁所在地の市(指定都市を除く。))においては99%、一般市(指定都市及び中核市等のいずれにも該当しない市)においては90%、町村においては66%が「地方公共団体等職員対応要領」を策定しており、一般市や町村における策定割合についても増加傾向にある。未策定の地方公共団体からは、人員不足や専門知識が不足しており、策定に至るノウハウがないなどの理由があげられていることから、内閣府としては、2024年1月に、改定後の「内閣府本府における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」を周知するとともに、都道府県に対して、「地方公共団体等職員対応要領」が未策定である市町村に対する情報提供等の協力依頼を行った。
※2 「地方公共団体の機関等」には、地方公共団体の機関のほか、地方独立行政法人(一部を除く)が含まれる。
選択肢 | 計 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
都道府県 | 指定都市 | 中核市等 | 一般市 | 町村 | ||||||||
数 | 割合 | 数 | 割合 | 数 | 割合 | 数 | 割合 | 数 | 割合 | 数 | 割合 | |
策定済み | 1,405 | 79% | 47 | 100% | 20 | 100% | 88 | 99% | 635 | 90% | 615 | 66% |
策定予定 | 82 | 5% | - | - | - | - | 1 | 1% | 23 | 3% | 58 | 6% |
策定しない | 15 | 1% | - | - | - | - | - | - | 4 | 1% | 11 | 1% |
未定(策定するかしないか決まっていない) | 286 | 16% | - | - | - | - | - | - | 44 | 6% | 242 | 26% |
計 | 1,788 | 100% | 47 | 100% | 20 | 100% | 89 | 100% | 706 | 100% | 926 | 100% |