第5章 住みよい環境の基盤づくり

目次]  [前へ]  [次へ

公共交通機関のバリアフリー化

●「バリアフリー法」に基づき、鉄道駅等の旅客施設の新設、大規模改良及び車両の新規導入に際し、構造や設備について、「公共交通移動等円滑化基準」への適合を義務付けている。2024年3月に公共交通機関の旅客施設や車両等、役務の提供等について、「移動等円滑化整備ガイドライン」を改正した。

●2024年3月、「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」の見直しを行い、障害者差別解消法に基づく国土交通省の対応指針の改正内容を盛り込んだ。

●鉄道駅等旅客施設や車両の整備に対する助成及び融資により、公共交通機関のバリアフリー化を進めている。

旅客施設におけるバリアフリー化率の状況

2023年度末
総施設数 段差の解消 視覚障害者誘導用
ブロック
案内設備 トイレの
総施設数
障害者用トイレ
旅客施設全体 94.0% 46.6% 77.3% 92.3%
鉄軌道駅 3,546 3,331 93.9% 1,607 45.3% 2,735 77.1% 3,303 3,052 92.4%
バスターミナル 43 40 93.0% 37 86.0% 34 79.1% 36 26 72.2%
旅客船ターミナル 17 16 94.1% 14 82.4% 11 64.7% 17 16 94.1%
航空旅客ターミナル 43 43 100.0% 42 97.7% 41 95.3% 43 43 100.0%
注1:バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)に基づく公共交通移動等円滑化基準への適合をもって算定。
注2:「総施設数」は、「鉄軌道駅」及び「バスターミナル」は平均利用者数が3,000人/日以上及び基本構想における重点整備地区内の生活関連施設に位置付けられた平均利用者数が2,000人/日以上3,000人/日未満の施設を計上。「旅客船ターミナル」及び「航空旅客ターミナル」は平均利用者数が2,000人/日以上の施設を計上。
注3:「トイレの総施設数」は、「鉄軌道駅」及び「バスターミナル」は平均利用者数が3,000人/日以上及び基本構想における重点整備地区内の生活関連施設に位置付けられた平均利用者数が2,000人/日以上3,000人/日未満の施設のうち便所を設置している施設を計上。「旅客船ターミナル」及び「航空旅客ターミナル」は平均利用者数が2,000人/日以上の施設のうち便所を設置している施設を計上。

車両等におけるバリアフリー化率の状況

2023年度末
車両等の総数
UDタクシーについては都道府県の総数)
移動等円滑化基準に適合している車両等の数
UDタクシーについては都道府県の数)
鉄軌道車両 51,868 31,047(59.9%)
バス ノンステップバス 44,336 31,269(70.5%)
リフト付きバス等 9,896 847(8.6%)
空港アクセスバス 170 70(41.2%)
貸切バス 1,229
福祉タクシー 52,553
UDタクシー 47 4(8.5%)
旅客船 657 380(57.8%)
航空機 607 607(100.0%)
注1:「移動等円滑化基準に適合している車両等」は、各車両等に関する公共交通移動等円滑化基準への適合をもって算定。
注2:「空港アクセスバス」は、1日当たりの平均的な利用者数が2,000人以上の航空旅客ターミナルのうち鉄軌道アクセスがない施設(指定空港(27空港))へのバス路線運行系統の総数における、バリアフリー化した車両を含む運行系統数の数および割合。
注3:「UDタクシー」は、各都道府県のタクシーの総車両数に対するUDタクシーの導入数が約25%以上である都道府県の数および割合。

歩行空間等のバリアフリー化

踏切道内誘導表示

●「移動等円滑化の促進に関する基本方針」に基づき、音響により信号表示の状況を知らせる音響信号機や、歩行者等と車両が通行する時間を分離して交通事故を防止する歩車分離式信号、横断歩道上における視覚障害のある人の安全性及び利便性を向上させるエスコートゾーン等の整備を推進している。

●2024年1月には、「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を改定し、踏切道手前部の視覚障害者誘導用ブロックと踏切道内誘導表示の設置方法や構造について規定。

防災対策の基本的な方針の見直し

●2024年11月「令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方について(報告書)」において、快適なトイレの設置の確保や温かく栄養バランスの取れた食事の提供等に課題があったとされたことから、災害や紛争の影響を受けた人々への人道支援の国際的な指標である「人道憲章と人道支援における最低基準」(スフィア基準)も踏まえつつ、同年12月に「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」、「避難所運営等避難生活のためのガイドライン(チェックリスト)」、「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を改定し、公表した。

令和6年能登半島地震における障害のある人への主な支援

●障害者等要配慮者の避難先となる福祉避難所を設置するとともに、一般の避難所においてもニーズの把握を行い、要配慮者スペースを設けるなどの必要な対応を行うよう被災自治体に対して通知。

●石川県からの派遣要請に基づき、DPATを派遣。避難所の巡回活動を通じた精神疾患患者の診察や薬剤調整等を実施。また、中長期における被災者の心のケアとして、石川県が「こころのケアセンター」を設置し、心のケアを必要とする方に対して、専門ダイヤルによる電話相談や訪問支援等の対応を行っている。

●介護職員等の派遣、避難者の受入等

・介護職員等が不足している場合には、国や県等の調整を受けて、別の事業所等より介護職員等の派遣。

・被災等により利用者の避難が必要である場合には、国や県等において調整を行い、受入先を確保。

・障害者支援施設等の復旧事業や事業再開に要する経費に関する国庫補助事業を実施。

●避難所における障害児者への配慮事項等、手話や点字・音訳による情報保障、ストーマ用品の無償提供等について、厚生労働省ホームページにおいて、随時情報提供。

障害者関連の被災状況(2025年3月11日現在)

●石川県内の障害者施設については30施設に断水、9施設に建物被害があった。同県内の障害児施設については36施設に断水、25施設に建物被害があった。障害者施設からの避難はあったが、いずれも人的被害はなかった。

障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律に基づく取組

●法に基づき、障害のある人による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する「協議の場」(※)を2024年5月に開催し、前年度の施策の実施状況について関係府省庁から報告し、意見交換した。

※視覚障害や聴覚障害などの障害当事者団体、機器開発等を行う事業者や関係団体、内閣府、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省が参集。

視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律に基づく取組

●法に基づき、関係者協議会を開催し、関係者からの意見聴取や協議等を行い、パブリックコメントを経て、2025年3月に基本計画(第2期)を策定した。

文字表示電話サービス「ヨメテル」の提供開始(TOPICS

●中途失聴者や高齢者を含む難聴者などが、スマートフォンを使って自身の声で通話相手であるきこえる人に話し、通話相手の声を文字で読むことができる文字表示電話サービス「ヨメテル」が2025年1月から開始された。

※「ヨメテル」は、現行の電話リレーサービスと同じく公共インフラとして24時間365日利用でき、緊急通報(110、118、119)が可能。発信者側はIP電話へ発信する際と同程度の通話料金が適用。

資料:総務省
目次]  [前へ]  [次へ