第3章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり 第2節 1

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第2節 障害のある人の雇用・就労の促進施策

障害のある人が、希望や能力、適性を十分にいかし、障害の特性等に応じて活躍することは、収入の面だけではなく、障害のある人の社会参加において、重要な意味を持つ。障害者雇用はこの20年間で大きく進展しており、企業における人材の多様性の観点からも、障害のある人と共に働くことが当たり前の社会の実現に向けて、障害者雇用対策の一層の充実を図っていく必要がある。

1.障害のある人の雇用の場の拡大

(1)障害者雇用の現状

ア 2025年障害者雇用状況報告9

 対象障害者10を1人以上雇用する義務がある民間企業(常用雇用労働者数40.0人以上)及び国、地方公共団体は、毎年6月1日時点の障害者雇用の状況を報告することになっている。2025年の報告結果は次のとおりである。

① 民間企業の状況

民間企業では、2025年6月1日現在の雇用障害者数は約70.5万人(前年比約4%増)と22年連続で過去最高を更新した。障害者である労働者の実数は約60.1万人(前年比約5%増)と23年連続で増加した。身体障害者、知的障害者及び精神障害者のいずれも前年より増加した。精神障害者は前年比約11.8%増で、この10年間で約4倍となっている。

常時雇用する労働者に占める対象障害者である労働者の割合(以下本章では「実雇用率」という。)は、2.41%(前年2.41%)で、ほぼ横ばいとなっている。企業規模別に実雇用率をみると、規模が大きくなるほど高くなる傾向にあるが、小規模の事業所で低く、引き続き雇入れに向けた支援が必要である。

法定雇用率を達成した企業の割合は、2025年4月の除外率1110ポイント引下げの影響があり、46.0%と前年同率であった。雇用される障害者数は、全ての企業規模で前年より増加した。

図表3-8 民間企業における障害者の雇用状況
○実雇用率と雇用されている障害者の数の推移 (各年6月1日現在)
注1:雇用義務のある企業(2012年までは56人以上規模、2013年から2017年までは50人以上規模、
2018年から2020年までは45.5人以上規模、2021年から2023年までは43.5人以上規模、
2024年以降は40人以上規模)についての集計である。
注2:「障害者の数」とは、次に掲げる者の合計数である。
2005年まで
身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)、知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)、
重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者
2006年~
2010年
身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)、知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)、精神障害者、
重度身体障害者、重度知的障害者又は精神障害者である短時間労働者(精神障害者である短時間労働者は0.5カウント)
2011年~
2023年
身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)、知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)、精神障害者、
重度身体障害者、重度知的障害者である短時間労働者
重度以外身体障害者及び知的障害者並びに精神障害者である短時間労働者(0.5カウント)(※)
※ 2018年から2022年までは、精神障害者である短時間労働者であっても、次のいずれかに該当する者についてのみ、1人分とカウントしている。
① 報告年の3年前の年に属する6月2日以降に採用された者であること
② 報告年の3年前の年に属する6月2日より前に採用された者であって、同日以後に精神障害者保健福祉手帳を取得した者であること
2023年以降、精神障害者である短時間労働者については、1人分としてカウントしている。
2024年以降
身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)、知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)、精神障害者、
重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者である短時間労働者、
重度以外身体障害者及び知的障害者である短時間労働者(0.5カウント)
重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者である特定短時間労働者(0.5カウント)
注3:法定雇用率は2012年までは1.8%、2013年から2017年までは2.0%、2018年から2020年までは2.2%、
2021年から2023年までは2.3%、2024年以降は2.5%となっている。
○企業規模別実雇用率 (各年6月1日現在)
※2012年までは56~100人未満、2017年までは50~100人未満
※2020年までは45.5~100人未満
※2023年までは43.5~100人未満
※2024年からは40.0~100人未満
○企業規模別達成企業割合 (各年6月1日現在)
※2012年までは56~100人未満、2017年までは50~100人未満
※2020年までは45.5~100人未満
※2023年までは43.5~100人未満
※2024年からは40.0~100人未満
資料:厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果」
図表3-9 民間企業における企業規模別障害者の雇用状況
(2025年6月1日現在)
注1:②欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」とは、常用労働者総数から除外率相当数(対象障害者が就業することが困難であると認められる職種が相当の割合を占める業種について定められた率を乗じて得た数)を除いた労働者数である。
注2: 法令上、③A欄の「重度身体障害者及び重度知的障害者」については、1人を2人に相当するものとしており、F欄の計を算出するに当たりダブルカウントを行い、D欄の「重度以外の身体障害者及び知的障害者である短時間労働者」及びE欄の「重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者」については、1人を0.5人に相当するものとしており、F欄の計を算出するに当たり0.5カウントとしている。
ただし、B欄の「重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である短時間労働者」については、1人を1カウントとしている。
注3:A、C欄は1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者であり、B、D欄は1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者、E欄は1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者である。
注4:G欄の「うち新規雇用分」は、2024年6月2日から2025年6月1日までの1年間に新規に雇い入れられた障害者数である。
注5:( )内は2024年6月1日現在の数値である。
資料:厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果」

② 国・地方公共団体の状況

国・地方公共団体の機関(法定雇用率2.8%)に常時勤務している職員に占める対象障害者の割合と勤務している障害者数は、国3.04%、10,595.5人、都道府県3.03%、11,375.0人、市町村2.69%、39,142.0人であった。都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.7%)は2.31%、18,550.5人であった。

図表3-10 国・地方公共団体における障害者の在籍状況
1 国、地方公共団体の機関(法定雇用率2.8%)(2025年6月1日現在)
①法定雇用障害者
数の算定の基礎
となる職員数
②障害者の数
③実雇用率
④法定雇用率達成機関
の数/機関数
⑤達成割合
国の機関 348,781.0人
(339,750.0人)
10,595.5人
(10,428.0人)
3.04%
(3.07%)
44 / 44
(43 / 44)
100.0%
(97.7%)
都道府県の機関 375,748.0人
(361,319.0人)
11,375.0人
(11,030.5人)
3.03%
(3.05%)
148 / 167
(150 / 168)
88.6%
(89.3%)
市町村の機関 1,456,454.5人
(1,363,140.5人)
39,142.0人
(37,433.5人)
2.69%
(2.75%)
1,716 / 2,470
(1,769 / 2,488)
69.5%
(71.1%)
2 都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.7%)(2025年6月1日現在)
①法定雇用障害者
数の算定の基礎
となる職員数
②障害者の数
③実雇用率
④法定雇用率達成機関
の数/機関数
⑤達成割合
都道府県等教育
委員会
803,974.0人
(728,083.5人)
18,550.5人
(17,719.0人)
2.31%
(2.43%)
40 / 94
(50 / 93)
42.6%
(53.8%)
注1:各表の①欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数」とは、職員総数から除外職員数及び除外率相当職員数(旧除外職員が職員総数に占める割合を元に設定した除外率を乗じて得た数)を除いた職員数である。
注2:各表の②欄の「障害者の数」とは、身体障害者、知的障害者及び精神障害者の計である。法令上、重度身体障害者及び重度知的障害者については、1人を2人に相当するものとしてダブルカウントを行い、重度以外の身体障害者及び知的障害者である短時間勤務職員並びに重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間勤務職員については、1人を0.5人に相当するものとして0.5カウントとしている。
ただし、重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である短時間勤務職員については、1人を1カウントしている。
注3:法定雇用率2.7%が適用される機関とは、都道府県の教育委員会及び一定の市町村の教育委員会である。
注4:( )内は、2024年6月1日現在の数値である。
資料:厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果」

イ ハローワークの職業紹介状況

2024年度のハローワークを通じた就職件数は、約11.6万件(前年度比約4.4%増)であった。身体障害者は約2.3万件(前年度比約0.9%減)、知的障害者は約2.2万件(前年度比約1.1%増)、精神障害者は約6.6万件(前年度比約8.1%増)、その他の障害のある人12は約0.5万件(前年度比約2.1%減)であり、精神障害者の就職件数が最も大きく伸びている。

また、新規求職申込件数は約26.8万件(前年度比約7.5%増)と、過去10年間で最多となった。身体障害者は約6.0万件(前年度比約1.8%増)、知的障害者は約4.0万件(前年度比約7.7%増)、精神障害者は約15.3万件(前年度比約11.1%増)、その他の障害のある人は約1.4万件(前年度比約4%減)であり、就職件数と同様に、精神障害者の件数が最も大きく伸びている。

図表3-11 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況
※注1:①欄の「新規求職申込件数」の2021年度以降の数値には、2021年9月より開始されたハローワークインターネットサービスにより新規求職申込を行った者(同月中に来所した者を除く)の件数(オンライン新規求職申込件数:2021年度2,864件、2022年度6,211件、2023年度6,623件、2024年度7,449件)は計上していない。また、2019年度から2021年度の数値については2024年3月に訂正された数値を計上したため、2024年3月より前に公表された「障害者白書」の数値と異なっている。
※注2:表中の「②有効求職者」の2021年度以降の数値には、オンライン新規求職申込後も来所せずに求職活動を行う者(オンライン登録者の有効求職者数:2021年度1,424人、2022年度1,429人、2023年度1,675人、2024年度1,733人)は計上していない。また、2019年度から2021年度の数値については2024年3月に訂正された数値を計上したため、2024年3月より前に公表された「障害者白書」の数値と異なっている。
※注3:表中の「③就職件数」には、ハローワークインターネットサービスのオンライン自主応募(ハローワークの職業紹介を経ずに直接応募できる機能を利用したこと)による就職件数は計上していない。
資料:厚生労働省「令和6年度障害者の職業紹介状況等」
図表3-12 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況(障害種別ごと)(2024年度)
※注1:表中の「新規求職申込件数」の2024年度数値には、2021年9月より開始されたハローワークインターネットサービスにより新規求職申込を行った者(同月中に来所した者を除く)の件数(オンライン新規求職申込件数)7,449件は計上していない。
※注2:表中の「就職件数」には、ハローワークインターネットサービスのオンライン自主応募(ハローワークの職業紹介を経ずに直接応募できる機能を利用したこと)による就職件数は計上していない。
資料:厚生労働省「令和6年度障害者の職業紹介状況等」

(2)障害のある人の雇用対策について

ア 障害のある人の雇用対策の基本的枠組み

厚生労働省では「障害者雇用促進法」や同法に基づく「障害者雇用対策基本方針」(令和5年厚生労働省告示第126号)等を踏まえ、障害のある人、一人一人がその能力を最大限発揮して働くことができるよう、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を講じている。

「障害者雇用促進法」については、障害者雇用が着実に進展する中で、雇用の質の向上の推進や、多様な就労ニーズに対する支援を図る必要があるため、2022年にその一部が改正された。改正法については、2025年10月1日に全面施行されている。障害者雇用率制度の在り方や障害者雇用の質の向上など、引き続き検討が必要な事項については、次期の障害者雇用率の設定や制度改正に向けて、厚生労働省において、2024年12月から「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催し、2026年2月に報告書を取りまとめ、公表した。

イ 障害者雇用率制度及び法定雇用率の達成に向けた指導

① 障害者雇用率制度

(ア)障害者雇用率制度

「障害者雇用促進法」では、民間企業等に対し、法定雇用率(障害者雇用率)以上の障害のある人の雇用を義務付けている。法定雇用率は、企業の社会連帯の理念に基づき、身体障害者、知的障害者又は精神障害者に一般労働者と同じ水準の雇用の場を、各事業者の平等な負担の下に確保することを目的として設定している。2024年4月には民間企業における法定雇用率を2.5%へ引上げ、2026年7月から2.7%への引上げが予定されている。国及び地方公共団体は、2024年4月から2.8%へ引上げ、2026年7月から3.0%への引上げが予定されている。

(イ)特例子会社制度等の特例措置

事業主が障害のある人の雇用に特別の配慮をした子会社(特例子会社)を設立し、一定の要件の下で、特例子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されている者とみなして、実雇用率を算定できる特例措置を設けている。2025年6月1日現在で631社を特例子会社として認定している。

特例子会社の親会社は、関係するほかの子会社も含め、企業グループ全体での実雇用率の算定を可能としている。特例子会社がない場合も、一定の要件を満たす認定を受ければ、企業グループ全体で実雇用率を通算できる「企業グループ算定特例」を設けている。

② 法定雇用率の達成に向けた指導の一層の促進

(ア)民間企業等に対する指導等

障害者雇用率制度の履行を確保するため、ハローワークにおいて、法定雇用率未達成の民間企業に対する指導を行っている。実雇用率の著しく低い民間企業に対しては、障害のある人の雇入れに関する2年間の計画の作成を命じ、当該計画に基づいて障害のある人の雇用を進めるよう継続的な指導を実施している。また、雇入れ計画を作成したものの、障害のある人の雇用が進んでいない企業に対しては、雇入れ計画の適正な実施に関する勧告を行い、計画終期で一定の改善がみられなかった企業に対し企業名公表を前提とした特別指導を行っている。一連の指導にもかかわらず改善がみられない企業については、企業名を公表している(2024年度は企業名の公表に至った企業はない。)。

(イ)国・地方公共団体に対する指導等

国及び地方公共団体の機関は、民間企業に率先して障害のある人の雇入れを行うべき立場にあり、全ての公的機関における毎年6月1日現在の雇用状況を発表している。未達成機関は、障害のある人の採用に関する計画を作成しなければならない。計画が適正に実施されていない場合は、厚生労働省が当該機関の任命権者に対し、計画が適正に実施されるよう勧告を行っている(2024年度は勧告に至った国及び都道府県の機関はない。)。

ウ 障害者雇用納付金制度

「障害者雇用促進法」は、障害者雇用率制度に加え、社会全体として障害のある人の雇用水準を引き上げるため、障害者雇用納付金制度を設けている。この制度では、障害者雇用率未達成の民間企業(常用雇用労働者数100人超)から納付金を徴収するとともに、一定水準を超えて障害のある人を雇用している民間企業に対して、障害者雇用調整金(常用雇用労働者数100人超)、報奨金(常用雇用労働者数100人以下)を支給している。

このほか、障害のある人を雇い入れるために施設、設備の整備や障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助、通勤を容易にするための措置等を行った事業主に対する助成金の支給を行っている。また、在宅就業障害者に仕事を発注する事業主に対する在宅就業障害者特例調整金等の支給を行っている。2024年度における障害者雇用納付金制度に基づく助成金の支給実績は、支給件数が約2,600件、支給額が約10億円であった。

エ 職業リハビリテーションの実施

「障害者雇用促進法」において、職業リハビリテーションとは、「障害者に対して職業指導、職業訓練、職業紹介その他この法律に定める措置を講じ、その職業生活における自立を図ること」としている。ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの機関を中心に、職業リハビリテーションを通じて、障害のある人が希望や能力、適性に応じた職場に就き、就労を継続できるようにするための支援を実施している。

オ 助成金等による企業支援や普及啓発活動

厚生労働省や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下本章では「JEED」という。)では、民間企業が無理なく、かつ積極的に障害のある人を雇用できるよう、障害のある人を雇用した場合などに助成金を支給している。

例えば、身体障害、知的障害、精神障害のある人を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主への助成(「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」)、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した事業主への助成(「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」)、障害のある人の雇入れや継続雇用のために必要な職場環境整備等の費用の一部助成(障害者雇用納付金制度に基づく助成金)等を支給している。

雇用義務の対象でも1人も雇用していない、いわゆる「障害者雇用ゼロ企業」等を対象に、ハローワーク等を中心に就労支援機関等と連携した「障害者雇用推進チーム」を設置し、民間企業ごとの状況やニーズ等に合わせて採用に向けた準備から職場定着まで一貫した「企業向けチーム支援」を行っている。2024年4月から、これらの支援に加えて、障害者雇用の経験やノウハウが不足する事業主に対して障害者の一連の雇用管理に関する相談援助の事業を行った事業者に対する助成制度を創設し、民間事業者による取組も推進している。

また、障害のある人の雇用管理に関する先進的な事例等の普及啓発のため、各種マニュアル等を発行し、民間企業等への配布等をしている。一般労働者を対象とした「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」を開催し、企業内に精神・発達障害のある人を温かく見守り、支援する応援者を養成し、精神・発達障害のある人に対する正しい理解の促進に取り組んでいる。2024年度は、31,408人の精神・発達障害者しごとサポーターを養成した。

障害者の雇用の実施状況が優良なものであること等の基準に適合する旨の認定を受けた中小事業主は、その商品等に厚生労働大臣の定める表示(認定マーク(愛称:もにす))を付すことができる認定制度(もにす認定制度)を設けている。中小事業主には、自社の商品や広告等への認定マークの使用によるダイバーシティ・働き方改革等の広報効果や、障害のない者も含む採用・人材確保の円滑化といった効果が期待できる。2025年12月末時点で582事業主をもにす認定事業主として認定している。

また、毎年9月の「障害者雇用支援月間」に障害のある人を積極的に多数雇用している事業所、職業人として模範的な業績をあげている勤労障害者等に対し、厚生労働大臣表彰を行っている。2025年度は7か所の障害者雇用優良事業所、9名の優秀勤労障害者の表彰を行った。

障害者雇用優良中小事業主認定マーク(愛称:もにす)
精神・発達障害者しごとサポーターシンボルマーク
資料:厚生労働省

カ 税制上の特例措置

障害のある人を雇用する民間企業に対し、税制上の特例措置を講じている。具体的には、障害者雇用納付金制度に基づく助成金(障害者作業施設設置等助成金等)の支給を受け、それを固定資産の取得又は改良に使った場合、その助成金分は、圧縮記帳により損金算入(法人税)、又は総収入金額に不算入(所得税)とする取扱い等を講じている。

キ 障害者差別禁止と合理的配慮の提供

雇用分野において障害があることを理由とした差別を禁止し、過重な負担とならない限り、合理的配慮の提供を事業主に義務付けている。事業主が講ずべき障害者の差別禁止及び合理的配慮の提供義務については、「障害者雇用促進法」に基づく「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第116号。以下本章では「障害者差別禁止指針」という。)及び「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成27年厚生労働省告示第117号。以下本章では「雇用における合理的配慮指針」という。)により、判断基準等が示されている。「障害者差別禁止指針」では、募集・採用、賃金、配置、昇進、降格、教育訓練などにおいて、差別に該当すると考えられる例を、「雇用における合理的配慮指針」では、合理的配慮に係る措置の例等を示している。厚生労働省では、これらのマニュアルを作成し、随時更新している。厚生労働省やJEEDでは、障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供義務に関するリーフレットや合理的配慮に係る事例集等を作成・配布し、周知・啓発を行っている。

全国の都道府県労働局・ハローワークでは事業主・障害のある人からの相談に応じ、必要な場合は事業主に助言・指導等を行っており、都道府県労働局長による紛争解決の援助や障害者雇用調停会議も行われている(2024年度実績:相談件数438件、助言件数13件、指導件数1件、勧告件数0件、紛争解決援助申立受理件数2件、調停申請受理件数11件)。

(3)公務部門における障害者雇用について

ア 障害のある人の活躍の場の拡大に関する措置

2018年の公務部門における障害者雇用の不適切計上事案が明らかになったことを踏まえ、雇用率の達成はもとより、雇用の質の向上を実現するため、障害者雇用推進者、障害者職業生活相談員の選任等が義務化されている。2020年4月からは、各機関において、障害者活躍推進計画を作成・公表し、その取組状況の点検結果を毎年公表することとされている。

厚生労働省においては、各機関における活躍推進計画の作成や取組の実施に必要な助言、援助等を通じて、障害のある人が活躍できる職場づくり等に対する各機関の取組を支援している。

イ 国における障害のある人の活躍の場の拡大を図るための支援策

① 支援体制の整備

国及び地方公共団体に選任義務がある障害者職業生活相談員は、障害のある人の職業生活に関する相談及び指導に必要な知識・スキルの付与を行う「障害者職業生活相談員資格認定講習」の受講等を選任要件としており、当該講習は厚生労働省において実施している。

② 障害者雇用に関する理解の促進

内閣人事局を中心として厚生労働省、人事院の協力の下、2019年3月に作成した「公務部門における障害者雇用マニュアル」については、「障害者雇用促進法」の改正内容を踏まえ、2024年1月に改訂した。また、内閣人事局では、「障害者雇用キーパーソン養成講習会」を実施し、障害に関する基礎知識や業務のコーディネート及び障害のある人のサポートを行う上で必要な知識等を各府省庁の職員に提供している。

厚生労働省は、国の機関における理解の促進のため、以下の取組を実施している。

・障害者雇用の際に必要となる設備改善・機器導入に関する情報について、国の機関の人事担当者等を対象に、JEEDに蓄積されたノウハウ・情報の提供を実施した。

・国の機関等の人事担当者等を対象に、障害のある人の働きやすい職場環境づくりや障害特性に応じた雇用管理を内容とする「障害者雇用セミナー」を開催した。

・「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」(併せて同講座のe-ラーニング版を提供)を実施した(2024年度実績333回(国の機関、地方公共団体等に対して実施した数))。

③ 職場実習の実施

厚生労働省において、各府省庁における障害のある人の採用に向けた着実な取組を推進するため、各府省庁の人事担当者等を対象に、各府省庁が行う特別支援学校等と連携した職場実習の実施に向けた支援を行っている。

④ 職場定着支援等の推進

厚生労働省では、ハローワーク等に窓口を設置して、各府省庁において働く障害のある人やその上司・同僚からの職場定着に関する相談に応じている。また、各府省庁等が自ら職場適応に係る支援を適切に行えるようにするため、職員の中から選任した支援者に必要な支援スキル等を付与する支援者向けセミナーを実施している。

内閣人事局では、就労支援機関等と連携し、各府省庁からの依頼に応じて、障害者雇用に知見を有する専門家を一定期間、各府省庁の職場に派遣し、採用、定着、職業能力の開発・向上等に関する助言等を行う専門家派遣事業を実施している。


9 障害者雇用状況報告:重度身体障害者又は重度知的障害者については、その1人の雇用をもって、2人の身体障害者又は知的障害者を雇用しているものとしてカウントされる。
また、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者(1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者)については、1人分として、重度以外の身体障害者及び知的障害者である短時間労働者並びに重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者(1週間の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者)については、0.5人分としてカウントされる。
ただし、精神障害者である短時間労働者については、当分の間、1人分としてカウントされる。

10 「障害者雇用促進法」第37条第2項の対象障害者をいう。具体的には同法第2条第2号の身体障害者、第4号の知的障害者及び第6号の精神障害者のうち「精神保健福祉法」第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者をいう。

11 除外率制度とは、機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除(障害者の雇用義務を軽減)する制度。

12 「その他の障害のある人」とは、身体障害者・知的障害者・精神障害者以外の障害者をいい、具体的には、障害者手帳を所持しない発達障害者、難病患者、高次脳機能障害者などである。

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