第6章 国際的な取組 1

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我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に関する施策

1.障害者に関する国際的な取組

(1)障害者権利条約

2026年に採択から20周年を迎えた「障害者の権利に関する条約」(以下「本条約」という。)は、障害者の人権や基本的自由を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進するため、障害者の権利の実現のための措置等を規定し、市民的・政治的権利、教育・保健・労働・雇用の権利、社会保障、余暇活動へのアクセス等の、様々な分野における取組を締約国に対して求めており、2026年1月現在の締約国数は193となっている。

我が国は2007年に本条約に署名した。その後、「障害者基本法」の改正(2011年8月)等の各種法制度整備を行い、2014年に本条約が我が国について発効した。我が国は、第1回政府報告を2016年に障害者権利委員会に提出し、2022年8月、同委員会は我が国に対する対面審査を行い、同年9月に総括所見を公表した。

なお、締約国から選ばれた18人の専門家から構成される障害者権利委員会においては、日本人委員として2人目となる田門浩委員が活動を行っている(任期:2025年1月~2028年12月)。

(2)「ビジネスと人権」に関する行動計画の改定

「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)が2025年度末に期限を迎える中、行動計画の第4章6の規定に基づき、日本政府は2024年に行動計画の改定作業に着手した。改定に当たっては、市民社会や企業、労働組合等の各界の代表の方々との対話や関係府省庁における検討・調整を踏まえ、骨子案と原案が作成された。その後、パブリックコメントを経て、2025年12月に行動計画の改定版が承認された。

行動計画の改定版は、「ビジネスと人権」に関して、八つの優先分野に関する今後の政府の取組の方針や各種施策が記載されているほか、企業に対し、企業活動における人権への負の影響の特定・評価・予防・軽減・対処等の一連の行為から成る人権デュー・ディリジェンスの導入を促進することへの期待が表明されている。

八つの優先分野の一つに「障害者」があり、課題認識及びこれまでの日本政府の取組、今後の取組の方向性並びに施策の例を記載している。障害者の就労の機会を十分に確保し、経済社会の中で尊重されることや障害者の権利・利益を保護することに資する具体的な制度を通じて、障害者の人権を保護し、よりインクルーシブな社会を実現することが期待されている。

(3)ESCAPアジア太平洋障害者の十年

アジア太平洋地域における障害者施策の向上を目的として、1992年に我が国と中国の主唱により、「アジア太平洋障害者の十年」が国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)総会において決議され、その後、「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク」及び「アジア太平洋障害者の「権利を実現する」インチョン戦略」の採択等を通じて取組を推進してきた。

2022年10月には、インドネシアのジャカルタで「第3次アジア太平洋障害者の十年最終レビュー・ハイレベル政府間会合」が開催され、「アジア太平洋障害者の十年」を更に10年延長することを決議する「ジャカルタ宣言」が採択された。また、2024年2月には、同宣言の効果的な実施を促進するため、実施運営ガイドラインが発行された。2025年6月には、「ESCAP第4次アジア太平洋障害者の十年(2023-2032年)」作業部会第1回会合が開催された。

(4)青年国際交流事業による交流(国際社会青年育成事業)

内閣府では、国際社会や地域社会の担い手として、様々な社会課題の解決に向けて国際的視野を持って貢献できる人材を育成するため、毎年度テーマを設定し、当該分野において特徴的な取組を行う国との間で、原則として18歳から30歳までのテーマに関心がある又は関連する実務に従事している青年を対象に、派遣・招へい事業を実施している。2025年度は障害者分野をテーマとしてイタリアと、バリアフリー・ユニバーサルデザイン分野をテーマとしてフランスと交流を行い、関連施設の視察とディスカッションを実施した。日本の青年たちは、イタリアでは、精神障害のある選手が活躍するサッカークラブや、知的障害のある従業員が働く飲食店などを視察し、障害のある人とない人が共に暮らすことが自然なイタリア社会の在り方を学んだ。フランスでは、2024年パリパラリンピックを契機に整備されたバリアフリー競技施設や、パラスポーツ用器具の研究開発を行う施設などを視察し、行政・技術者・障害当事者が一体となって包摂的な環境整備を進める仕組みを学んだ。その後、日本において、日本の青年と交流国の青年が共に、障害者雇用に積極的な民間企業(障害者分野)や都営地下鉄及びバス、国立競技場のバリアフリースペース(バリアフリー・ユニバーサルデザイン分野)などを視察するとともに、それぞれの国における視察で得た知見等を踏まえてディスカッションを実施し、お互いの国の取組の比較検討を行った。

なお、本事業における障害者分野でのイタリアとの交流は、2024年10月の「G7包摂と障害に関する担当大臣会合」への出席に際し、三原じゅん子内閣府特命担当大臣から議長国イタリアのアレッサンドラ・ロカテッリ障害者担当大臣に提案を行い、賛同を得たことを契機に実施した。ロカテッリ大臣は、本事業の実施に併せて訪日し、三原大臣と障害者施策について意見交換を行うとともに、障害者施策関連施設の視察を行った。

(5)持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)

2025年、日本はSDGsに関する自発的国家レビュー(VNR)を実施した。VNR報告書の作成に当たっては、障害のある人も含めた多様なステークホルダーの参画を確保するため、パブリックコメントを実施するとともに、ステークホルダー会議を開催し、幅広い声を反映させることに努めた。

報告書では、「誰一人取り残さない」包摂社会の実現の項において、障害者基本計画に沿った政策やバリアフリー施策を含む包摂的な共生・共助社会づくりの政策について記載した。また、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」との観点から、車いす利用者の視点で物理的・情報的バリアフリーの重要性を訴え、第7回ジャパンSDGsアワードで内閣総理大臣賞を受賞した特定非営利活動法人ウィーログのアプリの活用事例を紹介した。さらに、重度の障害があり、車いす利用者でもあるウィーログ代表の織田友理子氏を日本代表団の一員として派遣し、「誰一人取り残さない」社会の実現に向けた当事者の声を国際社会に発信した。

スピーチを行う織田友理子氏
日本政府のVNR動画
資料:外務省
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