第1章 高齢化の状況(第3節 2(4))

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第3節 前例のない高齢社会に向けた対策・取組の方向性

2 前例のない高齢社会を活力あり安心できるものにしていくための対策と取組の方向性

(4)高齢期をできる限り元気で活力あるものとするための準備

本格的な高齢社会を活力あるものとしていくためには、できるだけ多くの高齢者が地域で元気に長生きして生活してもらうことが必要である。その大前提が元気で健康であることである。近年、健康づくりの重要性は国民に広く認識されるようになったものの、現実にはなかなか実践に結び付いておらず、政府が目標に掲げた健康指標の多くが未達成の状況となっている。高齢期を元気で健康に生活するためには、もとより若い時期からの健康づくりと高齢期に入ってからの継続的な健康づくり、介護予防が重要である。健康で自立した高齢期を送るためにはまず「自己責任」での取組が基本であり、国民一人一人の自覚が求められる。近年、多くの自治体で健康づくりや介護予防への取組を支援する施策が始められており、こうした動きを奨励し、国民の中にそうした取組が定着していくことが求められている。

【事例集:(地域で工夫をこらして健康づくり、介護予防に取り組む事例)を参照】

また、高齢期を活力あるものとしていくためには、若い時期から準備しておくことが有効であるものが少なくない。上記の職業能力開発、社会参加活動の経験、健康づくりなど、個々の取組もそれぞれに有効であるが、なにより若い時期から自分の高齢期の生活のイメージをもって、その生活を活力を持って過ごすためには今何をすべきかを早い時期から考え、準備しておくことで、高齢期をより充実したものとすることが可能となる。

例えば人生80年時代を前提とすると、65歳を過ぎてもまだ15年という時間がある。その15年を活力あるものとするための助走期間を用意するのである。最初の人生の助走期間を学生時代とすると、概ね10~15年程度の助走期間を経てから自分の人生をスタートさせている。第2の人生のスタートにも同程度の準備をかけるとすれば50代になったら自分の「高齢期についての人生プラン」を考えてみるのも有益ではないだろうか。それは20歳以降の人生の折り返し地点でもある。

こうしたプランづくりに取り組むためには、働き盛りの時期においても「高齢期に備えるためのワークライフバランス」を実現し、各種の準備に取り組むことが必要である。自分の人生全体で、若い時期から高齢期まで全体を見渡しての「ワークライフバランス」を考えることも重要なのではないか。

【事例集:(中高年齢者が第2の人生の準備に取り組むのを支援している事例)を参照】

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