第1章 高齢化の状況

(2)世代を通じた仕事と生活の調和(高齢者の“ワーク”の充実)

(現状)
  日本は、想定されていたよりも早い平成17年に人口減少局面に入った。また、少子高齢化に伴い、労働力人口は減少し、今後もさらに減少すると予想されている。(前掲図1−2−50参照)
  平成18年4月から施行された改正高年齢者雇用安定法に基づき、段階的な65歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずることが事業主に義務付けられ、高齢者の雇用機会の確保が図られた。しかし、60歳代後半で就業を希望しているにもかかわらず働けていない者が、男性で21.0%、女性で18.3%を占めており、働く意欲がありながら就労できていない者がいまだに多く存在している。(前掲図1−2−40参照)
  現在、憲章でも取り上げられているとおり、仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねないなど仕事と生活の間で問題を抱える人が多く見られる。今後、労働力の確保がより一層難しくなると考えられる状況では、育児世代や働き盛り世代等が働き過ぎで仕事以外の時間を持つことが困難である状況はより厳しいものとなると考えられる。働く意欲がある高齢者が働くことができず、若い世代が働き過ぎで仕事以外の時間を持つことが困難である状況を改善するためには、「世代を通じた仕事と生活の調和」の実現が必要である。

(課題)
  「世代を通じた仕事と生活の調和」の実現のためには、働きたいと考える高齢者の意欲や能力の活用が必要である。しかしながら、高齢者は「支えられる人」という固定観念がいまだに残っており、高齢者のマンパワーの活用の隘路になっている。現実をみると、後期高齢者(75歳以上)では支援や介護を必要としている割合がそれぞれ4.9%、24.7%であるのに対し、前期高齢者(65歳〜74歳)ではそれぞれ0.9%、3.9%であり、高齢者を一律に「支えられる人」ととらえることは現実にそぐわない。このように、高齢者の実態は「支えられる人」というイメージから乖離してきているにもかかわらず、依然として高齢者=支えられる人という固定観念が変わっていない。そのことが高齢者のマンパワーの活用の隘路になっている。今後、高齢者の意欲をいかし、さらに社会の各方面での活躍の場を広げていくためには、固定観念にとらわれることなく、実態に即して、国民の意識を改革していくことが喫緊の課題である。

(取組の方向性)
  高齢者を一律にとらえることなく、それぞれの意欲や体力、能力に応じた多様な働き方の選択肢を提供していくことが高齢者の意欲・能力の活用につながると考えられる。高齢者を「支えられる存在ではない」ととらえなおすだけではなく、むしろ積極的に「意欲と能力のある高齢者は高齢社会を支える貴重なマンパワー」と位置づけることが必要である。
  また、高齢者が働きやすい環境づくりも必要である。高齢者が働く理由としては、経済的な理由のほかに、生きがいややりがいのために就労したいと考えているものも多い。さらに、高齢者は健康状態や就労に対する意欲も様々である。
  高齢者は一律に仕事に必要な能力や体力を持たないという先入観を転換していくことが必要であり、高齢者を一律にとらえるのではなく、体力や意欲、本人の希望など多様化するニーズにあわせ、就業形態、就業日数・時間などについて柔軟な働き方のメニューを検討し、用意していく必要がある。高齢者の就労の可能性を広げる短時間正社員、在宅就労、テレワークのような働き方や有償ボランティア等の経済的な側面だけではなく、生きがいを重視した働き方を希望する高齢者も多いことなどに着目して、多様な就労形態を普及させていくことが求められる。
  また、ハローワーク等を活用した高齢者の再就職等の促進やシルバー人材センターの活用促進を推進することに加えて、企業や労働者の多様な働き方の普及や自己啓発、能力開発などを積極的に支援していくことが求められる。

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