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平成15年度 交通事故被害者支援事業報告書

第3章 パートナーシップ事業

第1節 自助グループ立上げの支援

I 総論

(1) 自助グループを開く意義
 交通事故被害者(遺族を含む。以下同じ。)は、被害後、その衝撃が大きく被害に遭った実感も持てず、周囲からの励ましに応えられる状態でなくなる。そんな自分を責め、励ましの言葉がかえって苦痛になり、同じような体験者でなければ自分の悲しみや苦しみはわかってもらえないと思いこみ、本心が話せない。激しいトラウマを負い極限状態に追い込まれている被害者には回避症状が見られ、人としての自尊心や将来への希望も失いがちになる。過覚醒やフラッシュバックの症状にも苦しめられる。こうした症状は、衝撃を受ければ当然のことであるが、「自分はおかしくなってしまった」と苦しむことも多い。そのため、安心して話せ、その一言で理解し合える仲間の存在は、被害者が被害から回復するのに大きな力となるため意義が大きい。

(2) 自助グループの目的
 悲嘆を取り除くのではなく、乗り越えるのを支え合う。新しい被害者と時間が経った被害者が、考えや気持ちを素直に語って交流し合うことにより、希望がもてる場になる。回復の過程は似ていても、回復にかかる時間や方法は被害者により様々であることを実感する。被害者自身が抱えている問題に対処する。破壊された人や社会への信頼感を取り戻し、健全な自己愛を再構築する。

(3) 自助グループの効果

  1. 自助グループの実践から
     仲間の存在そのものが孤立感を軽減する。安心して感情を吐露できる場・社会への信頼感を取り戻す場・新たな被害者が、時間が経った被害者に会い回復している様子を見て、希望がもてるような場になる。自分の体験談が他の被害者に役立つことを実感し、それが自尊心を取り戻すことになり、回復に役立つ。二次被害は、被害者にとって共通のことと知り、安心して立ち向かう力を付けることができる。怒りや悲しみから抜け出せない自分は弱いのではなく、被害者として当たり前のことだとわかり、気持ちにゆとりがもてる。他の被害者の回復への道、生きることへの工夫を知り、今後の参考になる。仲間の話の中から、自分なりの回復のきっかけをつかむことができる情報を得ることができる。仲間の中で、対人関係能力が育ち、再び社会関係、周囲の人間関係の再構築をし、それへの信頼感を取り戻すための場となる。

  2. 遺族へのアンケート調査結果から
     参加当時は、「不安や不眠」「家事や仕事の能力が落ちた」「人と会うのがわずらわしい」「気持ちがうつ的」「遺族となった実感がもてない」「故人のことが頭から離れない」「自分が弱い存在であるように感じる」「加害者に激しい怒りを感じる」などを訴える遺族が多数だった。それから一年後、社会機能障害・抑うつ状態は改善し、対人関係では、「家事や仕事への意欲や興味」がおこり、「喜びや楽しみを感じ、笑う」ことができるようになり、「近所の人や友人との疎遠な感じ」「社会からの疎外感」が薄れるなど、一般的な精神健康状態が回復していた。

  3. まとめ
     自助グループに参加することによって、グループの中で感情表現ができ、安心して関わりをもてるため、気持ちや社会生活が改善する。社会参加への意欲、将来への希望などがもたらされる。安心できる人間関係を取り戻し、感情の回復や意欲の改善をもたらす効果がある。


II 立ち上げ

(1)立ち上げ支援の進め方
 事前準備(依頼文書作成と送付、会場の確保、受講相談員・参加遺族への連絡、資料の作成など) →開催時(会場準備と環境整備、雰囲気作り、信頼関係の構築、名札・資料等の準備) →終了時(参加者へのお礼と次回開催日の告知、研修参加者への連絡、お茶の準備等)。留意点として、参加者が十分に話せるようにする、スタッフは複数で入り、参加者の状況を常に把握する、参加者の希望を聞き、支援センターとしてできることを実施する。

(2) 立ち上げ支援の実施

NPO法人石川被害者サポートセンター

  1. 事前研修会の実施
     平成15年10月9日(木)19時から、石川被害者相談室で、被害者支援都民センター(以下、都民センター)3名、石川被害者相談室(以下、石川)3名、石川県立看護大学2名が参加して行われた。
     研修会では、本報告書の自助グループを開く意義、目的、効果、立ち上げ支援の進め方をレジュメとして配布し、都民センター大久保事務局長が講義を行った。その後、自助グループの実際の様子をビデオにて学び、質疑応答の時間を設けた。
    ・新たな参加者について
     石川からは、既存の自助グループに新たな遺族が加わる際の留意点について質問が出された。それに対し都民センター職員から、グループに長く関わっている遺族も、初めて参加したときは不安をかかえながら参加していたことを、スタッフ自身も認識しながら関わることが重要と返答した。
    ・ファシリテーターの重要性について
     ファシリテーターの重要性についてとりあげられた。都民センター職員からは、参加者が安心して話せる雰囲気作りを心がけることと、遺族を救済しようと考えてはいけないこと等を説明した。特にファシリテーターの役割を遺族が担う場合には、少なくとも被害から3年以上の経過が必要と考えられており、ファシリテーター自身が回復していない状況でグループの進行に関わると、ファシリテーターにとっても参加者にとってもマイナスになることを知っておく必要がある、と説明も補足した。
    ・参加者の適性について
     自助グループに参加する遺族については、事前に電話相談や面接相談をし、グループへの参加が適しているかを判断することが重要であると説明した。参加希望者の中には、グループが有効ではないと考えられる人や、逆にグループにとり不適切であると予想される人もいる。どちらの場合も、この判断を誤ることでグループの効果が損なわれることもあるため、慎重に行わなければならないことが再度話し合われた。

  2. 第一回自助グループ
     平成15年10月30日(木)14時から16時、石川被害者相談室で、自助グループメンバー5名、都民センター3名、石川3名、精神科医師1名が参加して行われた。
     第一回自助グループの進行は、まず支援センター職員が相互に自己紹介し、それに引き続きファシリテーターから、準備されているレジュメを読み上げる形で、自助グループの目的、その原則について説明が行われた。その後、参加遺族全員が自己紹介及び被害概要等の話をした後下記のようなことが語られた。
    ・裁判及び加害者について
     遺族の多くから裁判や加害者について語られた。犯した罪の大きさに比べ、罰則が軽すぎる。加害者への厳罰を求めたいという声も多くあった。裁判ができてよかったという意見があった一方、裁判の中で不当な扱いを受け傷つけられたり納得のいかない思いに駆られたりという気持ちが語られた。
    ・身近な人との関わり及び亡くなった家族について
     特に、予期できなかったこととしては、夫婦関係が変化したことや親戚が無理解であったことなど、近親者から傷つけられたことがあげられた。遺族は亡くなった家族に対して変わることのない気持ちを持ち続け、その死を決して無駄にしたくないという思いの中で暮らしていく現実が語られた。

  3. 第一回自助グループ後フォローアップ
     平成15年10月30日(木)19時から20時30分、石川被害者相談室で、都民センター3名、石川3名が参加して行われた。
     第一回自助グループ終了後、両センター職員6名により第一回自助グループ実施に対するフォローアップが行われた。石川の職員からは、実施前に多くの不安があったものの実際に開始してみると、自助グループを始めることの意義が参加者の反応からも実感できたので自助グループを開始してよかった、という感想が述べられた。実際に実施するまではわからないことが多かったが、実施したことで自助グループが必要なことやグループ開催時に必要とされることや配慮すべき点等が理解することができた、との意見も出された。
    ・事前準備について
     事前準備はかなり慎重かつ念入りに行われた旨が話された。また、そういった事前準備が無駄ではなく、大変有効であったことも認識された。ファシリテーターを行った職員から、最低限自分の言葉によって遺族が傷つくようなことのないようにかなりの注意をしたとの発言もあった。
    ・ファシリテーター介入の必要性について
     それぞれの夫婦関係の違いにより、遺族の間で感情のぶつかりあいが生じた際に、ファシリテーターとしてどのような対応が適しているのか、必要に応じて介入したほうがよいのか、等の疑問がだされた。その疑問に対し、都民センター職員からは、自助グループは自分の気持ちを素直に出す場であり、遺族同志の間で感情のぶつかり合いになる可能性は低いことを伝えた。感情の衝突が起きた場合には、元来、各遺族のバックグラウンドが違うのであるから、考え方も違って当然であることを意識付ける働きかけを強化するとよい、との助言をした。
     グループ実施中に、遺族から「自分よりも大変な人がいる。」という発言があった。このことは、被害を比較してはいけないという原則に触れることであり、遺族が自由に思いを話すことを妨害しかねないことも考えられた。ファシリテーターが介入を要するレベルかどうか、慎重に判断をするよう注意しなければならないという点が再確認された。

  4. 第二回自助グループ
     平成15年12月11日(木)14時から16時30分、NPO石川被害者サポートセンター(注:石川被害者相談室より改称)事務所で、自助グループメンバー5名、都民センター3名、石川3名、精神科医師1名、県警被害者対策室1名が参加して行われた。
     前回同様に職員側の自己紹介やグループの原則が説明され、グループが開始される。グループで発言することに躊躇する雰囲気が、初回に比べやや軽減された様子が伺われた。
    ・周囲からの二次被害について
     今回は職場や近所づきあいについて語られた。職場では、人間不信となり勤務が難しくなったことや、業務内容上、被害にあった子どもと同じような子どもたちに対応しなければならず辛い、といった内容があがった。近所からは被害者への配慮がなく、傷つけられることが多かった。時に他の子が死ねばよいと考えることさえあった。近所や友人から傷つく言葉がけを受けるだけでなく、身内から受けることもあり、その際に苛立ちや悲しみは更に強化されることとなった等の二次被害について語られた。このような強烈な感情は、外で出す場面も機会もなく、グループにきて初めて吐き出すことができたとも話された。また、近所づきあいの軋轢は、都心よりも地方の方がより強いことも話題にあがった。
    ・亡くなった家族について
     前回以上に深く心情が語られた。事件にあった日には、亡くなった家族の記憶がよみがえり、その前後で気持ちが揺れ動き苦しみ、似た背格好の人物を見ては故人を思い出し辛いといった発言もあった。一瞬でもいいからもう一度会いたいという切実な思いも打ち明けられたが、そのような感情が遺族間の共通点であることが認識された。遺された家族はそれぞれ亡くなった人への思いは同じように深くても、グリーフワークへの取り組みは個々に違っていることが理解された。亡くなった人の部屋、遺品の扱いについても、それぞれ違う思いを抱いていることが語られた。
    ・自助グループについて
     実施二度目となったことから、遺族からはグループに参加しての感想も述べられた。「同じような体験をした人と出会い、気持ちを分かち合うことができた。」「様々な人の悲しみを知ることで他者を勇気づけたい気持ちが沸き起こった。」等の感想が語られた。

  5. 第二回自助グループ後フォローアップ
     平成15年12月11日(木)16時40分から17時40分、NPO石川被害者サポートセンター事務所で、都民センター3名、石川3名が参加して行われた。
     終了後、両センター職員により第二回自助グループ実施に対するフォローアップが行われた。今回のフォローアップでは、前回と異なり石川のスタッフから質問が出される形ではなく、二回の自助グループ実施を通し感じたこと等について、都民センター職員との意見交換の場となった。
    ・遺族に適した環境について
     参加したスタッフ全体の意見として、遺族がより自然に話せるようになってきていることが上げられた。これは、グループの回数を重ねるにつれ他の遺族に対し安心感がつのってきていることや、数名の中で話す環境に慣れてきていることによるものと考えられた。まだ二度目であるにも関わらず、被害感情については日常では口にだせないような深い内容や感情を吐きだすことができていることも理解された。
    ・他者や社会への信頼回復について
     理不尽な被害に遭ったことにより、社会の中で孤立感が増す傾向にある被害者にとって、他者や社会への信頼回復は重要な課題の一つであるが、今回設立された自助グループも信頼回復の場として有意義であることが相談員により認識された。相談員が関わり支援していくことは容易なことではないが、フォローアップの時間を設け職員が意見交換する場が確保されたことは、支援者が今後の自助グループをよりよく進めるために重要ということも再認識された。

  6. 今後の課題
    ・ファシリテーター育成
     現在、全国的に被害者支援組織には犯罪被害者の自助グループを熟知したファシリテーターが不足している。自助グループを立ち上げたものの、今後グループをよりよく進めていく為には、ファシリテーターの育成を目的とした研修が行われることが望ましい。
    ・自助グループ関係者の交流の場
     効果的なグループ運営を行うためには、多くの自助グループは支援員同士が交流し様々な意見交換を行う場を持つことが望まれる。
    ・継続研修の場
     自助グループの継続研修が、全国的に行われることが望まれた。少なくとも年に二度程、より多くの団体が集まりやすい場所で定期的な研修を受けられる環境ができることが望ましい。

(社)いばらき被害者支援センター

  1. 事前研修会の実施
     平成15年10月21日(火)18時から20時まで、常磐大学O棟007号室で、(社)被害者支援都民センター(以下、都民センター)職員4名、(社)いばらき被害者支援センター(以下、いばらき)支援活動員15名が参加して行われた。
     事前研修会では、自助グループを開く意義、目的、効果、立ち上げ支援の進め方の項目に記された内容について、都民センター大久保事務局長から講義があり、その後、ビデオで都民センターの自助グループ実際の様子を学び、質疑応答の時間が設けられた。

    ・自助グループ開催時間や会場について:自助グループへの参加遺族から意見を聞きながら無理がない運営が必要である。会終了後も参加遺族が、その会場において緊張を和らげることができる30分位の時間の余裕が適切である。
    ・参加遺族への連絡方法について:都民センターの連絡方法を例に上げながら、年間行事計画を年度初めに通知するとともに、開催時にもその都度通知する。参加遺族からは「気が重く参加できないことが度々あったが、連絡をもらえると一人ではないことを実感でき、何年たっても参加していいのだという安心感がもてた」という声が多くあり、密な連絡が大切である。
    ・自助グループへの参加をどのように募っているのか:電話相談やカウンセリングを行う中で、自助グループへの参加が適当と判断したとき伝えている。また自助グループへの参加が有効な被害者と逆に不適切な被害者がいることも念頭に置きながら判断することが大切である。
    ・その日自助グループで話し合うテーマを、どのように決めたらいいのか:当日の自己紹介等の中で多かった内容などを参考にしながら、参加遺族から自然に話題が出てくるのを待つ姿勢が大切である。
    ・ファシリテーターの役割について:ファシリテーターは、参加遺族が安心して話ができる場を提供できること、平等に話せるようにすること、話題が自助グループの目的から逸れた時は、軌道修正する等、自助グループの促進者として心がけること。

  2. 第一回自助グループ
     平成15年11月27日(木)10時40分から12時30分まで、水戸市福祉ボランティア会館 第三ボランティア室で、自助グループメンバー3名、いばらき4名(含 精神科医師)、都民センター3名が参加して行われた。
     参加者は、いばらきで電話相談や直接支援を受けているご遺族であった。
     ファシリテーターから、開催に先立ち、参加遺族に手渡されていた自助グループ参加時の注意事項が書かれたパンフレットを読み上げ始まった。その後ファシリテーターの促しによって参加遺族から発言があり、それを機に今まで言葉にできなかった思いを次々と語り、会が進行していった。参加遺族は、事故からあまり時間が経過していない人が多かったため、刑事裁判についての話題が多く出た。また、それぞれ今まで誰にも言えなかった辛い気持ち、例えば事故に対する自責の念に駆られていること等の話しも出た。司法・行政機関等への不満として、事故当日の説明が不十分だったことや、記録の閲覧には時間がかかり過ぎること等語られ、参加遺族の多くが同調していた。
     初めての自助グループの開催であったが、会の終了後は、参加遺族同士で情報交換する姿があり、目的の一つである"仲間同士の交流"が活発になされていた。

  3. 第一回フォローアップ
     同日、場所を(社)いばらき被害者支援センターに移し、いばらき職員及び専門医師、都民センター職員によりフォローアップが行われた。いばらきからは、自助グループ開催までの準備期間には、職員で何度も話し合いを重ねたこと、また事前研修で学んだ「進め方の実際」や「開催中に留意すること」には特に気を遣って開催に臨んだとの話があった。
     参加者が安心をして気持ちを出して話して、開催してよかった、また、自助グループの必要性を肌で感じたという感想が出た。実際に開催するまでは何ができるだろうか、果たしてメンバーは嫌な思いをせずに帰ってもらえるか等多くの不安があったが、実施した結果、自助グループの必要性がいばらき職員の間でも明確になったとの意見がでた。
     支援者側の役割のみならず、心穏やかに時間を過ごせるよう、机の配置、方法、開催場所の決定、会場の照明や室温・お花等、快適な環境を整えるため慎重に準備を行った。特に場所は、(社)いばらき被害者支援センター所在地が、常磐大学内「犯罪被害者学研究所」と同棟にあり、その名称が遺族にとって抵抗感があるのではないかと考えられたため、参加遺族が集いやすい場所であるJR駅舎に併設の建物内で行った。
     更に、支援者の心のバランスの取り方や支援者が泣くということが、参加遺族にどのように影響するのか等の質問が出た。都民センター職員から、「人間として心が動くということは、大切だし当然のこと。泣く・泣かないということより、安心して話せる場を提供することが大切で、そのことを忘れてはいけない。」と助言した。また、専門医師からは「ファシリテーターの役割について」というアドバイスがあった。参加遺族は押し込めていた感情を吐露したいという思いが支援者側に伝わってきて、今後も自助グループを効果的に継続できる手応えを感じて終了した。

  4. 第二回自助グループ
     平成16年1月23日(木)10時40分から12時30分まで、水戸市福祉ボランティア会館 第二ボランティア室で、自助グループメンバー4名 、いばらき4名(含 精神科医師)、都民センター職員3名、内閣府職員1名が参加して行われた。
     第一回同様、職員及び参加遺族の自己紹介が行われ、会が進んだ。前回に続き刑事裁判についての話が中心になった。参加遺族は事故からあまり時間が経過していないこともあって、事故当時の警察の扱いや裁判で被害者が上告できないことや加害者への怒りよりも、狂った社会や刑事司法に対する怒りの方が非常に強く語られた。内閣府職員が参加しているということもあり、運転免許を与える公的機関は、責任を持って免許の交付をして欲しい(年齢の上限を設けるとか、事故を起こした人への更新時期について等)、事故車両は加害者の責任の下で裁判が終わるまで保管する義務を科す、どのような状況でも横断歩道では歩行者が守られるように、たとえ初犯であっても厳しい罰則を設けて欲しい等、法整備について政府で積極的に取り組んでほしいという要望が出された。

  5. 第二回フォローアップ
     同日、14時30分から16時30分まで、前回同様、(社)いばらき被害者支援センターに移動して第二回自助グループ開催のフォローアップが行われた。
    ・自助グループを開催するたびにルールを説明するが、毎回必要なものか:毎回説明するのは、自助グループに参加する時の基本的な約束を参加遺族全員が理解することで、安心で安全な場であることを確認するために大切なことである。
    ・毎回自己紹介をすることの意義について:自己紹介は、ウォーミングアップであり、自助グループの扉と自身の心の扉を開けることになる。
     参加者遺族から口々に言われた「時間が短かった」ということについては、参加者遺族は話せる場所を探していたという現れでもあり、安心して話せる場として自助グループの必要性を改めて感じたと意見が出された。前回に比べて参加者遺族から次々に話が出されたが、裁判や刑事司法に対する疑問点や社会に対する怒りが中心に進んだことは、果たして今後の自助グループのあり方としてどうだろうかと疑問点があげられた。都民センター職員から、自助グループは気持ちを分かちあう会であるという認識で、いつでも変わらない姿勢でいくことが大切と助言された。
     いばらきでは、今後検討を重ね、自助グループが地域に根付くように努力をすると職員お互いの意思を確認して新たな一歩を踏み出すことになった。

  6. 今後の課題
    ・経済的な問題(民間の被害者支援センターは、ほとんどボランティアが中心に活動を行っているため、継続していくための資金調達)
    ・各支援センターの理念を掲げることによる自助グループへの影響
    ・各支援センター自助グループ同士の交流について
    ・開催場所の選定について(地域によって、交通の不便さがある)
    以上のように、厳しい課題が残されているが、自助グループの必要性を重視し、今後は地域別の課題と向き合っていかなければならない。


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