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全米被害者支援機構(NOVA)の活動

I 調査の目的および方法

 交通事故の発生形態は多様である。また、その発生形態により被害者(以下、被害者本人および遺族・家族を含むものとする)の受ける被害の種類や程度、さらにはそれへの対応も異なってくる。
 交通事故の被害者が直面するさまざまな問題やそれへの対応については、この「交通事故被害者支援事業」において研究してきたところであるが、そこでの研究の対象は、主として、被害者本人の数が多くても数人である、比較的「小規模」な形態の交通事故であった。しかし、交通事故のなかには、十人以上あるいは数十人の被害者が関わるものがある。例えば、集団登校途中の児童の列に自動車が突っ込み、多数の死傷者が発生した場面を想定してみよう。そこには、負傷した児童およびその家族、死亡した児童の家族、一緒に通学していた目撃者である児童およびその家族、それらの児童が所属する小学校の他の児童やその家族および教職員、さらには事故が発生した地域の住民、などさまざまな人々が関わりを持つことになる。このような場合には、通常の「小規模」な事故の対応方法では、適切に対応しきれないことが生じる。従って、多くに人々を対象とする対応や被害者支援が行なわれなくてはならないこととなる。そのような対応方法の一つが「危機応答チーム」による活動である。
 「危機応答」とはどのような活動であるか、またそれを行う「危機応答チーム」とはどのような集団であるか、については後に詳しく紹介するが、NOVAの定義に従うと、「危機応答チーム」とは、次のような集団を指す。

「地域社会全体にわたって心的外傷を生じさせるような出来事の直後において、援助の要請に24時間以内に対応しうる、訓練を受けたボランティアの集団。」

 このような「危機応答チーム」の活動は、わが国においても、震災や小学校における児童死傷事件などにおいて既に実施されているが、交通事故の被害者に対しては、まだ一般的になっていないように思われる。そこで今回の「パイロット事業」においては、「危機応答チーム」の活動の交通事故被害者への適用の可能性を検討するために、まずアメリカ合衆国のNOVAによる「危機応答チーム」の活動について研究することとした。NOVAは後述するように、主として犯罪の被害者に対する支援に関するさまざまな活動を行なっているが、「危機応答チーム」については、犯罪事件だけでなく事故や災害などにも派遣しているので、わが国における交通事故への「危機応答チーム」の活動を検討する場合、参考となる部分が多い。
 以下においては、目次の項目に従い、NOVA自体の紹介を行なうと共に、その「危機応答チーム」とのかかわりを持つ活動を紹介することとする。
 執筆に際しては言うまでもなくさまざまな資料を参照したが、本報告書の性格上、その出典等については詳しく言及していなが、ご了解をお願いする次第である。なお、「VI NOVAの『基礎危機応答訓練』の実際」については、主として平成16年3月22日より26日までの5日間に亘り、アメリカ合衆国オレゴン州ウィルソンビルで開催された「NOVA全国危機応答チーム基礎訓練講座」に参加した際に得た資料等に基づき、記述したものである。


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