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全米被害者支援機構(NOVA)の活動

II NOVAの概要

1 NOVAの目的
 NOVA (National Organization for Victim Assistance)(全米犯罪被害者支援機構)は、犯罪被害者支援を行う民間団体であり、その設立は1975年である。従ってNOVAは、アメリカ合衆国で、最も長く犯罪被害者支援活動を行っている団体であると言えよう。
 NOVAの目的は、犯罪および大惨事などの被害者の権利を確かなものとすると同時に、被害者に対する支援活動を行うことである。NOVAには、全米において被害者支援を行っている公的機関および民間機関、刑事司法機関、精神保健関係の専門家、研究者、被害者や遺族などが会員となっている。


2 NOVAの活動
 NOVAの活動は、次の4種に大きく分類される。すなわち、被害者の権利の代弁および擁護活動、被害者に対する直接的支援活動、専門家に対する支援活動、および会員に対するサービス活動である。以下、そのそれぞれについて、危機応答活動との関係に注意しながら、簡単に紹介することとする。

 (1) 被害者の権利の代弁および擁護活動
 NOVAは被害者の権利を代弁し、またその権利を擁護するために、さまざまな立法活動に関わっている。それらの代表的なものとしては、犯罪被害者補償制度の拡充のための提言、「反テロリスト法」の制定作業への協力、被害者衝撃陳述(Victim Impact Statement)に関する各州の立法作業へのアドバイス、連邦憲法における犯罪被害者の権利条項の追加のための活動、「全米被害者権利週間」の制定のための活動、などが挙げられる。

 (2)被害者に対する直接的支援活動
 NOVAの活動開始時においては、NOVAの活動目的に直接的支援活動は含まれていなかった。しかしながら、活動開始当初からほかに頼るべきところのない犯罪被害者から直接的支援の要請に応えることがしばしばあったことから、その後直接的支援をその活動目的の一つに加えることとなった。現在、NOVAは次のような直接的支援活動を行っている。
 まず、NOVAは24時間ホットラインを開設している他、手紙やFAXなどによる相談にも応じており、年間の受理件数は6万件に上るといわれている。その多くは他機関に紹介されその対応に委ねられるが、直接対応することもある。なお、NOVAの本部はワシントンD.C.に置かれていることから、ワシントンD.C.における法執行機関などとコロンビア特別区被害者支援ネットワークを設立して、これらと連携して直接的支援活動を行っている。
 次に、NOVAは危機介入チームによる直接的支援活動を行っている。この活動が開始されたのは、1986年のオクラホマ州エドモンドの郵便局の爆破事件の直後である。この活動については、本報告書の他の部分で詳しく紹介する。なお、この危機介入チームの活動は、OVC(1)の資金援助を得て行われることもある。また、NOVAのこの活動は、FEMA(2)や全米交通安全委員会と連携して行われることもある。さらに、NOVAはレバノンにおいてアメリカ市民が人質となったとき、その家族に対する支援活動なども行ったことがあるなど、広範囲の直接的支援活動に従事している。

 (3)専門家に対する支援活動
 NOVAが行う専門家に対する支援活動は、次の2つに大別される。第1は被害者支援にかかわる専門家に対する一般的な教育・研修活動であり、第2は最新の問題に対応するための特別セミナーなどの開催である。
 前者、すなわち一般的な教育・研修活動であるが、これには全米各地で開催される、多種多様な専門家に対する研修会などが代表的なものである。また、さまざまな研修用の教材の開発をし、それらの刊行も行っている。また、「全米危機応答チーム訓練研究所」(National Crisis Response Team Training Institute)と呼ばれる、危機応答チームに関する研修会の開催がある。これには、40時間の基礎コース、24時間の上級コース、および50時間の訓練者のためのコースがある。これらについて、特に基礎コースについては、後に詳細に紹介する。
 後者の最新の問題に対応するための特別セミナーであるが、これには例えばMADD(Mothers Against Drunk Driving)(飲酒運転に反対する母親たち)と共同で開催した、自助グループに関する研究会や、連邦憲法における犯罪被害者の権利条項制定のための研究会などが、含まれる。

 (4)会員に対するサービス活動
 NOVAは個人会員および団体会員あわせて約4500の会員を擁している。これらの会員に対するサービス活動としては、会報の発行および全国大会の開催が挙げられる。特に全国大会は2000人以上が参加する非常に大規模なものであり、「北米被害者支援年次大会」と呼ばれている。

(1)OVC:Office for Victims of Crime(司法省犯罪被害者対策室)
(2)FEMA:Federal Emergency Management Agency(連邦危機管理庁)


3 NOVAの組織
 NOVAは1975年に、研究者や、強姦被害者援助センター、DVシェルター、検察官事務所、法執行機関および民間機関における被害者支援担当者などによって設立された。設立当初においては、運営はボランティアによってなされ、また運営資金は主として寄付によるものであったが、その後の組織の発展に伴い、組織および運営は大きく変化している。
 まず、NOVAの運営方針の決定は22人の理事によって構成される理事会(Board of Directors)によってなされる。理事は、会員総会によって選出され、その任期は3年である。そのほかに7人の指名理事が存在する。なお、これらの理事は無給である。それぞれの理事の背景はさまざまであり、刑事司法、精神保健、軍、教育、地方自治など、多様性に富んでいるものである。なお、理事会において理事長(President)が選出され、理事長が組織の代表者となる。現在の理事長は、Beth Rossmanある。
 理事会は、事務局長(Executive Director)を雇い、さらに事務局長はその他の職員を雇用する。現在の事務局長は、わが国でも広く知られている、Marlene Youngである。現在フルタイムの専任職員は6人であり、そのほか数名のパートタイムの職員がいる。そのほかに、数多くのボランティアがNOVAに関わっている。このうち、本稿の目的との関連で重要なのは、危機応答チームにおいて活動するボランティアであり、現在2,000人以上が登録されている。


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