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第4章
2010年平等法(イギリス)

2010年第15章

国王の任命する大臣その他が、その職務を実行するための戦略的決定を行うに際し、社会経済的不平等の削減が望ましいことに配慮することを求め、平等に関する法律の改正および調和を図るとともに特定の個人的特性に関連する差別およびハラスメントの大部分につき条項を改訂し、特定の雇用主に対して男女の被雇用者の賃金格差を公表することを義務付け、特定の状況下での報復的取扱を禁止し、差別および他の禁止行為を除去する必要性について特定の職務を実行することを要求し、公共調達職務の行使に関して義務を課すことを可能にし、機会均等を促進し、家族関係に関する権利と責任に関する法律を修正する規定を定めるとともに、これらに関連する目的を遂行するための法律[2010年4月8日]

上院および下院の同意を得て、女王陛下が、今議会会期において、その権限により、下記のごとく制定した。


第1編

社会経済的不平等

1 社会経済的不平等に関する公的部門の義務

(1)本条が適用される機関は、自己の職務を実施する戦略的決定を行う際に、社会経済的不利益に起因する不平等を軽減するために役立つよう配慮しなければならない。

(2)第(1)項により機関が負う義務の遂行方法の決定にあたり、当該機関は国王の任命する大臣が制定した指針を考慮しなければならない。

(3)本条が適用される機関は下記の通りである。

(a)国王の任命する大臣

(b)政府機関、ただし、情報局保安部、情報局秘密情報部、政府通信本部を除く

(c)イングランドの州議会または地方議会

(d)大ロンドン行政庁

(e)ロンドン特別区議会

(f)地方自治体としてのロンドン市議会

(g)シリー諸島議会

(h)2006年国民保健サービス法第13条により設立され、または同条により存続する戦略的保健当局

(i)同法第18条により設立され、または同条により存続する初期医療トラスト

(j)1998年地域開発公社法により設立された地域開発公社

(k)イングランドに設立された警察機関

(4)本条は下記の機関にも適用される。

(a)担当地方行政機関の提携機関

(b)第(3)項に該当しない機関

ただし、持続可能な地域戦略の策定または修正への参加に関連する場合に限られる。

(5)第(4)項において、

「提携機関」とは、2007年地方自治・保健サービスへの住民関与法第104条が規定する意味を有する。

「担当地方行政機関」とは、同法第103条が規定する意味を有する。

「持続可能な地域戦略」とは、2000年地方政府法第4条により策定された戦略をいう。

(6)第(1)項の不平等には1999年移住および庇護法第115条第(9)項が規定する意味において入国管理の対象者となった結果としてある者が経験した不平等は含まない。

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2 第1条を改正する権限

(1)国王の任命する大臣は、規則により、第1条を下記のように修正することができる。

(a)第1条第(1)項が規定する義務を負う機関のリストに他の公的機関を追加すること

(b)前記の義務を負う機関のリストから機関を削除すること

(c)特定の機関について、その特定の職務に関してのみ、義務を負わせること

(d)義務がすでに特定の職務に限定されている機関について、制限の廃止または変更を行うこと

(2)第(1)項の「公的機関」とは、公的な性質を有する機関をいう。

(3)第(1)項に従って制定された規定は、委譲されているスコットランドまたはウェールズの職務に関連して機関に義務を課してはならない。

(4)スコットランドの諸大臣またはウェールズの諸大臣は、規則により、第1条を下記のように修正することができる。

(a)第1条第(1)項が規定する義務を負う機関のリストに他の関連機関を追加する。

(b)前記の義務を負う機関のリストから関連機関を削除する。

(c)特定の関連機関について、その特定の職務に関してのみ、義務を負わせる。

(d)義務がすでに特定の職務に限定されている関連機関について、制限の廃止または変更を行う。

(5)第(4)項によりスコットランドの諸大臣に付与された権限の目的に照らして、「関連機関」とは下記の職務を負う機関をいう。

(a)スコットランドに関してのみ実施可能な職務

(b)全部または主要部分が委譲されているスコットランドの職務

(c)第1条第(3)項に特定される機関が当面有するものと同一または類似の職務

(6)第(4)項によりウェールズの諸大臣に付与された権限の目的に照らして、「関連機関」とは下記の職務を負う機関をいう。

(a)ウェールズに関してのみ実施可能な職務

(b)全部または主要部分が委譲されているウェールズの職務

(c)第1条第(3)項に特定されるまたは第(4)項の機関が当面有するものと同一または類似の職務

(7)スコットランドの諸大臣またはウェールズの諸大臣は、本条に基づく規則の制定に先立ち、国王の任命する大臣と協議しなければならない。

(8)本条に基づく規則は、第(1)項または(場合により)第(4)項に基づいて規定を制定した結果、必要あるいは適切になったと単数または複数の大臣が判断する修正を、第1条に加えることができる。

(9)第(8)項に基づきスコットランドの諸大臣またはウェールズの諸大臣が制定する規定は、第1条を、特に、下記のように修正することができる。

(a)指針を公布する権限を諸大臣に付与する

(b)関連当局に対し、第(a)号に基づいて付与された権限により公布された指針を考慮することを義務付ける

(c)第(b)号による義務付けの結果として、第1条第(2)項を不適用とする

(10)諸大臣は、第(9)項第(a)号に基づいて付与された権限による指針の公布に先立ち、下記を行わなければならない。

(a)第1条に基づいて国王の任命する大臣が公布した指針を考慮すること

(b)国王の任命する大臣と協議すること

(11)本条の目的に照らして、

(a)委譲されたスコットランドの職務とは、スコットランドで実施可能またはスコットランドに関する職務であって(1998年スコットランド法が定める)保留事項に該当しない職務をいう。

(b)委譲されたウェールズの職務とは、ウェールズの諸大臣、ウェールズ首相、ウェールズ議会総裁が実施可能な職務またはウェールズ国民議会の立法権の範囲内の職務をいう。

3 執行

第1条が規定する義務を履行しない場合は、私法に基づく訴訟原因とはならない。

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第2編

平等:重要な概念

第1章

保護特性

4 保護特性

下記の特徴を保護特性とする。

年齢

障害

性適合

婚姻および同性婚

妊娠および出産・育児

人種

宗教または信条

性別

性的指

5 年齢

(1)年齢という保護特性に関し、

(a)特定の保護特性を持つ者とは、特定の年齢層に属する者をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、同一の年齢層に属する者たちをいう。

(2)年齢層とは特定の年齢または年齢範囲に基づく、年齢によって定義された者たちの集団をいう。

6 障害

(1)下記に該当する者(P)を、障害を持つ者とする。

(a)Pに身体的または精神的な機能障害があり、かつ

(b)その機能障害がPの通常の日常活動を遂行する能力に実質的かつ長期の悪影響を及ぼす場合

(2)障害者とは障害を持つ者をいう。

(3)障害という保護特性に関して、

(a)特定の保護特性を持つ者とは、特定の障害を持つ者をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、同一の障害を持つ者たちをいう。

(4)本法(第12編と第190条を除く)における障害を持つ者への適用については、過去に障害を持っていたことのある者にも適用される。従って(上の編と上記の条を除き)、

(a)(その表現を問わず)障害を持つ者には、過去に障害を持っていたことのある者を含む。

(b)(その表現を問わず)障害を持たない者とは、過去に障害を持ったことのない者を含む。

(5)国王の任命する大臣は、第(1)項の目的に照らして、生じる疑義を判定する際に考慮すべき事項についての指針を公布することができる。

(6)付表1(障害:補足規定)は効力を有する。 

7 性適合

(1)性適合という保護特性を持つ者とは、性の生理学的その他の特質を変更し自己の性を再適合する目的で、ある処置(または処置の一部)の実行を計画し、実行中であり、または実行した者をいう。

(2)性転換者とは、性適合という保護特性を持つ者をいう。

(3)性適合という保護特性に関して、

(a)特定の保護特性を持つ者とは、性転換者をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、性転換者たちをいう。

8 婚姻および同性婚

(1)婚姻および同性婚という保護特性を持つ者とは、婚姻者または同性婚者をいう。

(2)婚姻および同性婚という保護特性に関して

(a)特定の保護特性を持つ者とは、婚姻者または同性婚者をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、婚姻者たちまたは同性婚者たちをいう。

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9 人種

(1)人種には下記を含む

(a)皮膚の色

(b)国籍

(c)民族または出自

(2)人種という保護特性に関して、

(a)特定の保護特性を持つ者とは、特定の人種集団に属する者をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、同一の人種集団に属する者たちをいう。

(3)人種集団とは、人種に基づき定義される者たちの集団をいう。ある者の人種集団とは、当該者が属する人種集団をいう。

(4)1つの人種集団が複数の特徴的な人種集団で構成されているという事実は、特定の人種集団であることの妨げとはならない。

(5)国王の任命する大臣は、命令により下記を行うことができる。

(a)カーストを人種の一種として規定するよう、本条を修正すること

(b)本法の規定をカーストに適用するまたは適用しないようにする、あるいは特定の状況下でカーストに適用するまたは適用しないようにする本法の規定に対する例外を設けるよう、本法を修正すること

(6)第207条第(4)項第(b)号における権限には、第(5)項に適用する場合には、本法を修正する権限が含まれる。

10 宗教または信条

(1)宗教とはすべての宗教をいい、宗教には宗教の欠如を含む。

(2)信条とはすべての宗教上または哲学上の信条をいい、信条には信条の欠如を含む。

(3)宗教または信条という保護特性に関して、

(a)特定の保護特性を持つ者とは、特定の宗教または信条を持つ者をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、同一の宗教または信条を持つ者たちをいう。

11 性別

性別という保護特性に関して、

(a)特定の保護特性を持つ者とは、男性または女性をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、同一の性別の者たちをいう。

12 性的指向

(1)性的指向とは、ある者の下記の者たちに対する性的指向をいう。

(a)同性である者たち

(b)異性である者たち

(c)いずれかの性別の者たち

(2)性的指向という保護特性に関して、

(a)特定の保護特性を持つ者とは、特定の性的指向を持つ者をいう。

(b)保護特性を共有する者たちとは、同一の性的指向を持つ者たちをいう。


第2章

禁止行為

差別

13 直接差別

(1)ある者(A)が、保護特性を理由としてもう一人の者(B)を他の者たちよりも不利益に取り扱うまたは取り扱うであろう場合、AはBを差別することになる。

(2)保護特性が年齢である場合、AによるBの取扱が適法な目的達成のために均衡のとれた方法であることをAが証明できるときには、AはBを差別することにはならない。

(3)保護特性が障害であり、Bが障害者でない場合において、AがBを取扱うよりも障害者たちを有利に取り扱うまたは取り扱うであろうと思われることのみでは、AはBを差別することにはならない。

(4)保護特性が婚姻および同性婚である場合、当該取扱の理由がBが婚姻者または同性婚者であることのみであるときには、本条は第5編(労働)の違反に適用される。

(5)保護特性が人種である場合、不利益な取扱にはBを他の者たちから隔離することが含まれる。.

(6)保護特性が性別である場合、

(a)女性の不利益な取扱には、女性が授乳中であることを理由とする当該女性の不利益な取扱を含む。

(b)Bが男性である場合、妊娠または出産に関して女性に与えられる特別な取扱は考慮しない。

(7)第(6)項第(a)号は、第5編(労働) には適用されない。

(8)本条は第17条第(6)項および第18条第(7)項に従う。

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14 結合差別:二重特性

(1)ある者(A)が、2つの保護特性の結び合わせを理由として、もう一人の者(B)を、当該保護特性のいずれをも共有しない者を取扱うまたは取り扱うであろうよりも不利益に取扱う場合、AはBを差別することになる。

(2)当該保護特性とは下記をいう。

(a)年齢

(b)障害

(c)性適合

(d)人種

(e)宗教または信条

(f)性別

(g)性的指向

(3)第(1)項による本法違反の立証のために、結合関係にある当該特性のそれぞれを理由として(別個に取り上げて)、AによるBの取扱が直接差別であることをBが証明する必要はない。

(4)ただし、本法の他の規定あるいは他の法令に基づき、AによるBの取扱が結合関係にある特性のいずれかまたは両方を理由とする直接差別に当たらないことをAが証明した場合には、Bは第(1)項による本法違反を立証することができない。

(5)直接差別の訴えが障害を理由になされた場合で、それが第116条(特別教育の必要性)に該当するであろう状況においては、第(1)項は、障害を含む特性の結合には適用されない。

(6)国王の任命する大臣は、命令により本条を下記のように修正できる。

(a)第(1)項による本法違反の立証をBが行うことができる、またはできない状況についてさらなる規定を定める。

(b)第(1)項が適用されないその他の状況を特定する。x

(7)直接差別とは、第13条による本法違反をいう。

15 障害に起因する差別

(1)下記に該当する場合、ある者(A)は障害者(B)を差別することになる。

(a)Bの障害に起因する何らかの事柄を理由として、AがBに不利益な取扱をする場合であって、かつ、

(b)かかる取扱が適法な目的達成のための均衡のとれた方法であることをAが証明できない場合

(2)第(1)項は、Bが障害を持つことをAが知らなかったこと、また知っていることが合理的に予測できなかったことをAが証明する場合には適用されない。

16 性適合による差別:欠勤の場合

(1)本条は、性適合という保護特性への第5編(労働)の目的に照らして効力を有する。

(2)性転換者(B)の性適合を理由とする欠勤について、下記に該当する場合にある者(A)がBを取り扱うであろうよりも不利益な取扱をBにするときには、AはBを差別することになる。

(a)疾病または負傷を理由とするBの欠勤、または

(b)Bの欠勤理由が他にあり、これについてBが不利益に取扱われることが合理的ではない場合。

(3)ある者の欠勤理由が性適合にある場合とは、第7条第(1)項にいう処置(または処置の一部)の実行を計画し、実行中であり、または実行したことを理由とする場合をいう。

17 妊娠および出産・育児による差別:労働以外の場合

(1)本条は妊娠および出産・育児という保護特性の下記の適用において効力を有する。

(a)第3編(サービスと公務)

(b)第4編(不動産)

(c)第6編(教育)

(d)第7編(団体)

(2)ある者(A)が妊娠を理由として女性に不利な取扱をする場合、Aは当該女性を差別することになる。

(3)ある者(A)が、女性の出産日から26週の間に、出産を理由として当該女性に不な取扱をする場合、Aは当該女性を差別することになる。

(4)第(3)項において出産を理由として女性に不利な取扱をするとは、特に、授乳を理由として不利な取扱をすることを含む。

(5)本条の目的に照らして、女性が出産する日とは下記の日をいう。

(a)生きている子どもを産む日、または

(b)死んでいる子どもを産む日(妊娠後24週以上が経過している場合)

(6)第13条は、性差別に関する限り、女性への行為が下記にあたる場合は、当該行為には適用されない。

(a)第(2)項に記載する理由による行為、または

(b)第(3)項に記載する期間内に、記載された理由により行った行為

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18 妊娠および出産・育児による差別:労働の場合

(1)本条は、妊娠および出産・育児という保護特性への第5編(労働)の適用において効力を有する。

(2)ある者(A)が女性の妊娠に関して保護期間中に下記を理由に当該女性に不利な取扱を行う場合、Aは当該女性を差別することになる。

(a)妊娠、または

(b)妊娠の結果として被った疾患

(3)ある者(A)が、女性が法定出産・育児休暇中であることを理由として当該女性に不利益な取扱をする場合、Aは当該女性を差別することになる。

(4)ある者(A)が、女性が通常または追加の出産・育児休暇を取る権利を行使している、または行使しようとすること、あるいは過去に行使した、または行使しようとしたことを理由として当該女性に不利な取扱をする場合、Aは当該女性を差別することになる。

(5)第(2)項の目的に照らして、女性の取扱が保護期間中に行われた決定の実施のもとにある場合、かかる取扱は(取扱の実施がその保護期間後であるとしても)保護期間中に行われたものとみなす。

(6)女性の妊娠に関する保護期間は、妊娠の開始とともに開始し、下記に終了する。

(a)女性が通常および追加の出産・育児休暇を取る権利を有している場合は、追加の出産・育児休暇期間の終了時または(これより早い場合は)妊娠後の職場復帰時

(b)女性が前記の権利を有していない場合は、妊娠終了から起算して2週間の終了時

(7) 第13条は、性差別に関する限り、女性の取扱が下記にあたる場合は、当該行為には適用されない。

(a)女性が保護期間中の行為であり、第(2)項第(a)号または第(b)号に記載する理由とする場合、または

(b)第(3)項または第(4)項に記載する理由とする場合

19 間接差別

(1)ある者(A)がもう一人の者(B)の保護特性に関連して差別的な規定、基準または慣行をBに適用する場合、AはBを差別することになる。

(2)第(1)項の目的に照らして、下記の場合に、規定、基準または慣行は、Bの当該保護特性に関連して差別的となる。

(a)その規定、基準または慣行を、Aが、Bの特性を共有しない者たちに適用するまたは適用するであろう場合で、

(b)それが、Bの特性を共有しない者たちと比較した時に、Bのその特性を共有する者たちに、特定の不利益を与えまたは与えるであろう場合で

(c)それが、Bに当該の不利益を与えるまたは与えるであろう場合、かつ

(d)Aがそれを適法な目的達成のための均衡のとれた方法であることを証明できない場合

(3)当該保護特性とは下記をいう。

障害

性適合

婚姻および同性婚

人種

宗教または信条

性別

性的指向

障害者たちのための調整

20 調整を行う義務

(1)本法がある者に合理的調整を行うことを義務付ける場合、本条、第21条、第22条および該当する付表が適用される。かかる目的に照らして、義務が課される者をAという。

(2)義務は下記の3つの要件で構成される。

(3)第1の要件として、Aの規定、基準または慣行が、障害を持たない者と比較して障害者に関連事項について実質的不利を与えるものである場合には、かかる不利を避けるために取るべき合理性に従って、その手段を講じなければならない。

(4)第2の要件として、物理的特徴が、障害を持たない者と比較して当該事項に関して障害者に実質的不利を与えるものである場合には、かかる不利を避けるために取るべき合理性に従って、その手段を講じなければならない。

(5)第3の要件として、障害を持たない者と比較して、補助的支援がなければ当該事項に関して障害者に実質的不利を与えるであろう場合には、かかる補助的支援を提供すべき合理的性に従って、その手段を講じなければならない。

(6)第1または第3の要件が情報の提供にかかわる場合、Aがその手段の合理性に従いその状況下で関係する情報を利用可能な形式で情報が提供されることを確保するために講じる手段を含む。

(7)合理的調整を行う義務を有するある者(A)は、(これと反する規定の明示がある場合を除き)Aが義務を遵守することが義務付けられる対象となる障害者に対し、Aの義務に従ういかなる費用であっても支払いを要求する権利を持たない。

(8)第21条、第22条または適用される付表が第1、第2または第3の要件に照らす場合は本条に従って解釈されるものとする。

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(9)第2の要件に関して、本条または適用される付表おける実質的不利を避けるとは下記を含む。

(a)問題となっている物理的特徴の除去、

(b)その改変、または

(c)それを避けるための合理的な方法の提供

(10)本条、第21条、第22条または適用される付表(付表4の第2項から第4項を除く)にいう物理的特徴とは下記をいう。

(a)建物の設計または構造から生じる特徴

(b)建物への出入りまたは建物へのアクセスに関する特徴

(c)不動産の備品、付属品、家具、調度品、材料、機器、その他家財

(d)その他の物理的要素または品質

(11)本条、第21条、第22条または適用される付表にいう補助的支援には補助的サービスを含む。

(12)本条または適用される付表において家財は、スコットランドに関しては動産と読み替える。

(13)下表の第1縦欄に明記された本法の編に関して適用される付表とは第2縦欄に明記された付表をいう。

本法の編 適用される付表
第3編(サービスと公務) 付表 2
第4編(不動産) 付表 4
第5編(労働) 付表 8
第6編(教育) 付表 13
第7編(団体) 付表 15
上記の各編 付表 21

21 義務違反

(1)第1、第2または第3の要件を遵守しないことは、合理的調整を行う義務を遵守しないことにあたる。

(2)Aが障害者に関してその義務を遵守しない場合、Aはかかる障害者を差別することになる。

(3)第1、第2または第3の要件の遵守を義務付ける適用される付表の規定は、第(2)項に基づいてAに本法違反があったか否かの立証する目的のみに適用される。従って、遵守違反について、本法の他の規定その他により訴訟を提起することはできない。

22 規則

(1)規則は下記を定めることができる。

(a)Aが適用される付表に定められた規定の目的に照らし、ある手段を講じることが合理的か否かを判断するにおいて考慮すべき事項

(b)第1、第2または第3の要件が適用されない者たちについての説明

(2)規則では下記に関する規定を定めることができる。

(a)所定の説明にある者が所定の説明にある手段を講じることが合理的である状況、または合理的でない状況

(b)何が規定、基準、慣行に該当し、何が該当しないか

(c)物理的特徴として取り扱うべきこと、または取り扱うべきでないこと

(d)物理的特徴の変更として取り扱うべきこと、または取り扱うべきでないこと

(e)補助的支援として取り扱うべきこと、または取り扱うべきでないこと

(3)本条に基づく規定は、適用される付表を修正することができる。

差別:補足

23 状況に照らした比較

(1)第13条、第14条または第19条の目的に照らした事案において比較を行う場合、それぞれの事案に関する状況の間に本質的な差異があってはならない。

(2)事案に関する状況には、下記の場合にはある者の能力が含まれる。

(a)第13条の目的に照らした比較の場合に、保護特性が障害であるとき

(b)第14条の目的に照らした比較の場合に、結合関係にある保護特性の1つが障害であるとき

(3)保護特性が性的指向である場合、ある者(Bに該当する者であると否とを問わない)が同性婚者であり、もう一人の者が婚姻者であることは、それぞれの事案に関する状況の間の本質的な差異にはあたらない。

24 申立てられた差別者の特性との無関連性

(1)第13条第(1)項に基づく本法違反の立証する目的に照らして、Aが保護特性を持つか否かは問題にならない。

(2)第14条第(1)項に基づく本法違反の立証する目的に照らして、下記は問題にならない。

(a)Aが結合関係にある保護特性の1つを持つか否か

(b)Aが両方の保護特性を持つか否か

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25 差別の特定の系統への言及

(1)年齢による差別とは下記をいう。

(a)年齢を理由とする第13条における差別

(b)関連保護特性の年齢に関わり第19条における差別

(2)障害差別とは下記をいう。

(a)障害を理由とする第13条における差別

(b)第15条における差別

(c)関連保護特性の障害に関わり第19条における差別

(d)第21条における差別

(3)性適合による差別とは下記をいう。

(a)性適合を理由とする第13条における差別

(b)第16条における差別

(c)関連保護特性の性適合に関わり第19条における差別

(4)婚姻および同性婚による差別とは下記をいう。

(a)婚姻および同性婚を理由とする第13条における差別

(b)関連保護特性の婚姻および同性婚に関わり第19条における差別

(5)妊娠および出産・育児による差別とは第17条または第18条における差別をいう。

(6)人種による差別とは下記をいう。

(a)人種を理由とする第13条における差別

(b)関連保護特性の人種に関わり第19条における差別

(7)宗教または信条に関連する差別とは下記をいう。

(a)宗教または信条を理由とする第13条における差別

(b)関連保護特性の宗教または信条に関わり第19条における差別

(8)性差別とは下記をいう。

(a)性別を理由とする第13条における差別

(b)関連保護特性の性別に関わり第19条における差別

(9)性的指向による差別とは下記をいう。

(a)性的指向を理由とする第13条における差別

(b)関連保護特性の性的指向に関わり第19条における差別

その他の禁止行為

26 ハラスメント

(1)ある者(A)がもう一人の者(B)に対して下記の行為を行う場合にはハラスメントとなる。

(a)Aが関係する保護特性に関して望まれない行為を行い、また

(b)その行為が下記の目的または効果を有する場合

(i)Bの尊厳を侵害する、または

(ii)Bにとって脅迫的、敵対的、侮蔑的、屈辱的、または攻撃的な環境を創出する

(2)AがBに対して下記を行う場合もハラスメントとなる。

(a)Aが性的性質を持つ望まれない行為を行う場合、かつ

(b)かかる行為が第(1)項第(b)号にいう目的または効果を有する場合

(3)AがBに対して下記を行う場合もハラスメントとなる。

(a)性的性質または性適合あるいは性別に関連する望ましくない行為をAまたはもう一人の者が行う場合

(b)かかる行為が第(1)項第(b)号にいう目的または効果を有する場合、かつ

(c)Bがその行為を拒否、あるいはこれに服従したことを理由に、Bがかかる行為を拒否、またはそれに服従しなかった場合にAがBを取り扱うであろうよりも不利益に、AがBを取り扱う場合

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(4)行為が第(1)項第(b)号にいう該当する効果を有するか否かの判断にあたっては下記の各々を考慮しなければならない。

(a)Bの認識

(b)当該事案の他の状況

(c)当該行為がその効果を有することが合理的か否か

(5)関連保護特性とは下記をいう。

年齢

障害

性適合

人種

宗教または信条

性別

性的指向

27 報復的取扱

(1)ある者(A)が下記を理由としてもう一人の者(B)を不利益に扱う場合、AはBに報復的取扱しているものとする。

(a)Bが保護行為を行うこと、または

(b)Bが保護行為を行ったこと、あるいは行いうる可能性があるとAが確信したこと

(2)保護行為とは下記の各々をいう。

(a)本法に基づいて訴訟を開始すること

(b)本法に基づく訴訟に関連して証拠または情報を提供すること

(c)本法の目的に照らしてまたは本法に関連してその他の行為を行うこと

(d)Aまたはもう一人の者が本法違反の(明示であると否とを問わず)申立を行うこと

(3)虚偽の証拠または情報を提供し、あるいは虚偽の申立を行う場合に、かかる証拠、情報の提供、または行われた申立が故意に基づくものである場合には保護行為にあたらない。

(4)本条は不利益な取扱の対象が個人である場合にのみ適用される。

(5)本法違反には、平等条項またはルールの違反を含む。


第3編

サービスと公務

総則

28 本編の適用

(1)本編は下記の保護特性には適用されない。

(a)18歳に達していない者たちに関する限り、年齢

(b)婚姻および同性婚

(2)本編は下記の差別、ハラスメントまたは報復的取扱には適用されない。

(a)第4編(不動産)、第5編 (労働) または第6編(教育)で禁止されているもの、または

(b)明示の例外規定がない場合には禁止されるであろうもの

(3)本編は下記には適用されない。

(a)平等条項またはルールの違反

(b)第69条または付表7第2編がない場合には平等条項またはルールの違反となるであろう行為

(c)差別以外の規則の違反

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サービスの提供等

29 サービスの提供等

(1)公共または公共の一部へのサービス提供に関わる者(「サービス提供者」)(有償無償を問わない)は、サービスを必要とする者に対し、かかる者にサービスを提供しないことで差別を行ってはならない。

(2)サービス提供者(A)はサービスの提供にあたり、もう一人の者(B)に下記の形で差別を行ってはならない。

(a)AがBにサービスを提供する条件

(b)Bへのサービスの提供を終了させる

(c)Bに他の不利益を与える

(3)サービス提供者は、サービスの提供にあたり、下記の者へのハラスメントを行ってはならない。

(a)サービスを必要とする者、または

(b)サービス提供者がサービスを提供する相手である者

(4)サービス提供者は、サービスを必要とする者に対し、サービスを提供しないとことで報復的取扱を行ってはならない。

(5)サービス提供者(A)は、サービスの提供にあたり、もう一人の者(B)に下記の形で報復的取扱を行ってはならない。

(a)AがBにサービスを提供する条件

(b)Bへのサービスの提供を終了させる

(c)Bに他の不利益を与える

(6)公共または公共の一部へのサービスの提供ではない公務の実施にあたっては、ある者は差別、ハラスメント、または報復的取扱を行ってはならない。

(7)合理的調整を行う義務は下記の者に適用される。

(a)サービス提供者(第55条第(7)項参照)

(b)公共または公共の一部へのサービスの提供ではない公務を行う者

(8)ハラスメントに関して、第(3)項および第(6)項において第26条の目的に照らし、下記はいずれも関連保護特性にあたらない。

(a)宗教または信条

(b)性的指向

(9)人種、宗教または信条に関する限り、入国手続(1971年入国法に定義)に本条を適用するにあたっては、行為が英国内外のいずれで行われたかは問わない。

(10)第(9)項はイングランド、ウェールズまたはスコットランドの外での行為への本法の他の規定の適用に影響を与えるものではない。

補足

30 船舶とホバークラフト

(1)本編は(第(2)項に従い)、下記に関連する状況においてのみ適用される。

(a)船舶またはホバークラフトによる人員輸送

(b)船舶またはホバークラフトで提供されるサービス

(2)第29条第(6)項は第(1)項第(a)号および第(b)号の事項に関連して適用される。ただし、障害差別に関連する限り、定められた状況においてのみ第29条第(6)項が適用される。

(3)当該船舶またはホバークラフトが英国内外のいずれに存在するかを問わない。

(4)「船舶」は1995年商船法における意味と同じ意味を有する。

(5)「ホバークラフト」は1968年ホバークラフト法における意味と同じ意味を有する。

(6)本条は、イングランド、ウェールズまたはスコットランドの外での行為への本法の他の規定の適用に影響を与えるものではない。

31 解釈と例外

(1)本条は本編の目的に照らして適用される。

(2)サービスの提供には、物品または設備の提供を含む。

(3)サービスの提供には公務の実施におけるサービスの提供を含む。

(4)公務とは1998年人権法における公的性質を有する職務をいう。

(5)雇用主が、当該雇用主の被雇用者たちのみにサービスを提供するためにもう一人の者を手配する場合、

(a)雇用主はサービス提供者とはみなされないが、

(b)被雇用者たちは公共の一部とみなされる

(6)サービスを必要とする者には、サービスの受領または使用を求める者を含む。

(7)ある者にサービスを提供しないサービス提供者とは下記をいう。

(a)公共(または当該者が含まれるその一部)にその者が通常提供する品質のサービスを当該者に提供しないサービス提供者、または

(b)公共(または当該者が含まれるその一部)にその者が通常提供する態様または条件に従ったサービスを当該者に提供しないサービス提供者

(8)国会のいずれかの議院によるサービス提供に関して、サービス提供者とは当該議院の事務総長をいう。当該サービスが、一般人が立ち入りを認められているウェストミンスター宮殿への立ち入りまたは使用に関連する場合は、両院の事務総長が共同でサービス提供者となる。

(9)付表2(合理的調整)は効力を有する。

(10)付表3(例外)は効力を有する。

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第4編

不動産

総則

32 本編の適用

(1)本編は下記の保護特性には適用されない。

(a)年齢

(b)婚姻および同性婚

(2)本編は下記の差別、ハラスメントまたは報復的取扱には適用されない。

(a)第5編(労働)または第6編(教育)で禁止されているもの、または

(b)明示の例外規定がない場合には禁止されるであろうもの

(3)本編は下記の宿泊の提供には適用されない。

(a)一般に他所に居住する個々人の短期宿泊を目的とする場合

(b)公務の実施、公共またはその一部へのサービス提供のみを目的とする場合

(4)公務の実施およびサービスの提供は第3編に従って解釈する。

(5)本編は下記には適用されない。

(a)平等条項またはルールの違反

(b)第69条または付表7第2編がない場合には平等条項またはルールの違反となるであろう行為

(c)差別以外の規則の違反

処分と管理

33 処分等

(1)不動産の処分権を有する者(A)は、下記の形でもう一人の者(B)を差別してはならない。

(a)AがBに不動産の処分を提供する条件

(b)不動産をBに処分しない

(c)不動産を求める者たちに関して行った事項についてAがBに対してとる取扱

(2)特定の者が当該処分の当事者でなければ区分所有部分に関する権利を処分できない場合、かかる者は処分の当事者とならないことによりある者を差別してはならない。

(3)不動産の処分権を有する者は、その占有または処分に関する行為に関連して下記の者にハラスメントを行ってはならない。

(a)当該不動産の占有者

(b)当該不動産を求める者

(4)不動産の処分権を有する者(A)は、下記の形でもう一人の者(B)に報復的取扱を行ってはならない。

(a)AがBに不動産の処分を提供する条件

(b)不動産をBに処分しない

(c)当該不動産を求める者たちに関して行った事項についてAがBに対してとる取扱

(5)特定の者が当該処分の当事者でなければ区分所有部分に関する権利を処分できない場合、かかる者は処分の当事者とならないことによりある者に報復的取扱をしてはならない。

(6)第(3)項における第26条の目的に照らして、下記はいずれも関連保護特性にあたらない。

(a)宗教または信条

(b)性的指向

34 処分の許可

(1)不動産の処分のためにある者の許可を必要とする場合、かかる者はもう一人の者へ不動産の処分を許可しないことによって当該者を差別してはならない。

(2)不動産の処分のためにある者の許可を必要とする場合、かかる者は、不動産の処分許可の申請に関して、下記の者にハラスメントを行ってはならない。

(a)不動産の処分の許可を申請する者、または

(b)許可されれば処分が行われるであろう相手方

(3)不動産の処分のためにある者の許可を必要とする場合、かかる者はもう一人の者へ不動産の処分を許可しないことによって当該者に報復的取扱を行ってはならない。

(4)第(2)項における第26条の目的に照らして、下記はいずれも関連保護特性にあたらない。

(a)宗教または信条

(b)性的指向

(5)本条は、司法権の行使においてなされた事項には適用されない。

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35 管理

(1)不動産を管理する者(A)は不動産を占有する者(B)に下記の形で差別を行ってはならない。

(a)Aがその恩恵または設備の利用をBに許可する方法、または許可しない

(b)Bを退去させる(またはBを確実に退去させるための手段を講じる)

(c)Bに他の不利益を与える

(2)不動産を管理する者は、その管理に関して、下記の者にハラスメントを行ってはならない。

(a)当該不動産を占有する者

(b)当該不動産を求める者

(3)不動産を管理する者(A)は不動産を占有する者(B)に下記の形で報復的取扱を行ってはならない。

(a)Aがその恩恵または設備の利用をBに許可する方法、または許可しない

(b)Bを退去させる(またはBを確実に退去させるための手段を講じる)

(c)Bに他の不利益を与える

(4)第(2)項における第26条の目的に照らして、下記はいずれも当該保護特性にあたらない。

(a)宗教または信条

(b)性的指向

合理的調整

36 賃貸ならびに区分所有不動産と共有部分

(1)合理的調整を行う義務は下記に適用される。

(a)賃貸中の不動産の管理者

(b)賃貸用不動産の管理者

(c)区分所有組合

(d)共有部分に関する責任者

(2)賃貸中の不動産の管理者とは下記をいう

(a)不動産を貸し出している者、または

(b)上記不動産を管理する者

(3)賃貸用不動産の管理者とは下記をいう。

(a)賃貸用不動産を所有する者

(b)上記不動産を管理する者

(4)第(1)項第(c)号の区分所有組合とは、区分所有部分を管理する者としての資格を持つ組合をいう。

(5)共有部分に関する責任者とは下記をいう。

(a)共有部分が関連する不動産が賃貸中である場合(かつ共有地の一部ではない場合、またはスコットランドに存在する不動産ではない場合)、当該不動産を貸し出している者

(b)共有部分が関連する不動産が共有地の一部である場合は、区分所有組合

(6)共有部分とは下記をいう。

(a)賃貸中の不動産に関しては(共有地の一部ではない場合、またはスコットランドに存在する不動産ではない場合)、当該不動産を含む建物または建物の一部の構造物、外面、およびかかる建物または建物の一部の中のあるいはそれらに関連して使用される共有設備

(b)共有地に関しては、区分所有契約書に従い、当面は区分所有の対象とならないすべての区分所有部分をいう。

(7)賃貸には転貸を含む。第(1)項第(a)号および第(b)号において、賃貸中の不動産には占有権の対象となる不動産を含む。

(8)本条は所定の説明にある不動産には適用されない。

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37 スコットランドにおける共有部分の調整

(1)スコットランドの諸大臣は、規則により、スコットランド所在の不動産に関して、障害者は共有部分に適切な調整を行う権利を有することを定めることができる。

(2)第(1)項の障害者とは下記の障害者をいう。

(a)不動産の賃借人、

(b)不動産の所有者、または

(c)その他、不動産の占有権者であって、
当該者の唯一の住居または主たる住居として当該不動産を使用する者、または使用しようとする者

(3)スコットランドの諸大臣は、第(1)項に規定する規則の制定に先立ち、国王の任命する大臣と協議しなければならない。

(4)第(1)項の規則では、特に、下記を行うことができる。

(a)適切な調整として取り扱うべき事項、取り扱うべきでない事項を定めること

(b)障害者が調整を行えるようになる前に共有部分の所有者の同意を必要とする状況を定めること

(c)調整への同意を合理的理由なく保留してはならない旨定めること

(d)調整に同意することが合理的か否かを決定するにあたり、考慮すべき事項、無視すべき事項を定めること

(e)調整への同意が保留されているとみなす状況を定めること

(f)調整への同意に条件を課すことについて規定を定めること

(g)執行官裁判所が障害者に調整実行の権限を与える命令を制定することができる状況について規定を定めること

(h)調整によって生じる(直接または間接の)費用の責任について規定を定めること

(i)共有部分を調整前の状態にに原状復帰することについて規定を定めること

(j)共有部分の所有者たちおよび他の者たちへの通知について規定を定めること

(k)障害者と共有部分の所有者との間の協定について規定を定めること

(l)障害者の権利または共有部分の所有者の義務について、スコットランド土地登記簿への登記または登録区登記簿への記載に関する事項について規定を定めること

(m)上記の登記または記載の効力について規定を定めること

(n)賃借人または所有者以外で不動産の占有権を有する者あるいは有しない者として取り扱う者について規定を定めること

(5)本条において、

「共有部分」とは、不動産に関連して、当該不動産を含む建物または建物の一部の構造物、外面、およびかかる建物または建物の一部の中のあるいはそれらに関連して使用される共有設備をいうが、かかる構造物、外面および共有設備が不動産の所有者に単独所有されているものは含まない。

「適切な調整」とは、障害者に関して、共有部分の使用において、障害を持たない者たちに比較して障害者が実質的不利を受けることを回避すると思われる改変または追加をいう。

補足

38 解釈と例外

(1)本条はこの編において適用される。

(2)不動産とは不動産の全部または一部をいう。

(3)賃借権の目的物である不動産の場合、不動産の処分とは下記をいう。

(a)不動産の譲渡

(b)不動産の転貸、または

(c)所有権の放棄

(4)不動産の処分には占有権の付与も含む。

(5)区分所有権の処分には区分所有部分に対する権益の創設を含む。

(6)賃借権とは(本法制定の前後を問わず)、下記により創設された賃借権をいう。

(a)賃貸または転貸

(b)賃貸または転貸の契約

(c)賃借契約

(d)法律の執行によるもの

賃借人とは上記に従って解釈される。

(7)共有地、区分所有組合、区分所有契約書、区分所有部分、区分所有権者とは、2002年区分所有および賃貸改革法に従って解釈される。

(8)付表4(合理的調整)は効力を有する。

(9)付表5(例外)は効力を有する。


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