総合科学技術会議の概要
メンバー構成
総合科学技術会議(本会議)
専門調査会
答申・決定・意見具申等一覧
パブリックコメント
大臣・有識者会合へのボタン
有識者議員の活動報告へのボタン
その他
科学技術政策ページの項目
科学技術基本計画
科学技術関係予算について
組織案内
パンフレット
5分でわかる最新の科学技術
科学技術政策トップページへ

第25回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2003年2月26日(水)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 福田 康夫 内閣官房長官
 同
細田 博之 科学技術政策担当大臣
 同
片山 虎之助 総務大臣(代理 加藤 紀文 総務副大臣)
 同
遠山 敦子 文部科学大臣
 同
平沼 赳夫 経済産業大臣(代理 高市 早苗 経済産業副大臣)
 同
吉川 弘之 日本学術会議会長
 同
阿部 博之  
 同
井村 裕夫  
 同
大山 昌伸  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
吉野 浩行  
  (臨時)    
   議員 坂口 力  厚生労働大臣(代理 木村 義雄 厚生労働副大臣)
 同
大島 理森 農林水産大臣(代理 北村 直人 農林水産副大臣)
 同
鈴木 俊一 環境大臣
 同
石破 茂 防衛庁長官(代理 赤城 徳彦 防衛庁副長官)



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)「平成16年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」の作成に向けて
(2)日本学術会議の在り方について
(3)ITER計画の現状について
(4)スペースシャトル「コロンビア号」の事故について
(5)政府研究開発データベースの開発について
(6)その他

3.閉会



(配付資料)

資料1 「平成16年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」の作成に向けて(PDF)
資料2−1 日本学術会議の在り方について【概要】(PDF)
資料2−2 日本学術会議の在り方について(案)(PDF)
資料3 ITER計画の現状について(PDF)
資料4 スペースシャトル「コロンビア号」の事故について(PDF)
資料5 政府研究開発データベースの開発について(PDF)
資料6 第24回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)「平成16年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」の作成に向けて

 平成16年度の資源配分の方針の作成に向けて、議論のたたき台となる「基本方針」及び「主要な問題意識」について、井村議員から資料1(PDF)に基づき説明。
 今後、引き続き、随時総合科学技術会議において議論し、6月を目途に「平成16年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」を作成するための検討に取り組んでいくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(遠山議員)
 限りある資源をいかに有効に投資するかという角度から、資源配分の方針について議論をすることは大変有効である。また、その中に、基礎研究の推進などの重要な要素が盛り込まれているということも大変ありがたいと思っている。
 平成16年度の資源配分の方針に関しては、文部科学省においても、盛り込むべき事項を検討しているところである。今後適宜申入れをするので大所高所から議論をしていただきたい。
 なお、資料1の「(1)国の発展基盤の強化」の主要な問題意識に取り上げられている大学改革あるいは教育改革については、現に文部科学省で全力を挙げて取り組んでいる課題である。特に国立大学法人の制度化については、今国会の文部科学省にとっての最大の課題であり、法律の成立に全力を尽くす所存である。また、理科離れ対応についても今、本格的な施策を実施中である。総合科学技術会議には、文部科学省のこのような取り組みを十分に支援していただきたい。

(鈴木議員)
 資料1の「2.(3)安心・安全で豊かな社会の構築」において、環境と経済や環境産業の育成が取り上げられているが、環境省としても環境問題を経済の制約要因としてとらえるのではなく、新たな成長要因として環境の保全と経済の活性化を一体化させていくことが重要と考えており、この環境と経済に関する視点はとても大切であると思う。
 私は昨年末より、環境と経済活動に関する懇談会を開催し、経済界を中心とする有識者との意見交換を行っているが、環境と経済の統合という大きなテーマについての考え方を整理し、取り組みの具体化を進めていきたいと考えている。
 また、環境問題を解決して安心・安全な社会を築いていくためには、地球温暖化による気候変動やその影響の将来予測、ダイオキシンを始めとする有害物質の分解処理に関する研究など、環境保全対策の基盤となる研究も必要である。安心・安全な社会を築く上で不可欠な研究開発の必要性については、既に15年度の資源配分の方針に盛り込まれているが、引き続き政府として重視する姿勢を堅持していくことが重要であると考えている。

(高市議員代理)
 「1.基本方針」に、「前年度の資源配分の方針からの継続性を考慮しつつ」とあるが、引き続き戦略的な重点化を図るということを基本的な考え方として是非明確に表現していただきたい。
 15年度の資源配分の方針では、バイオやIT等4分野の重点化を図っているが、16年度には金型やロボット等の製造技術分野、競争的資金配分の重点化等を加えていただきたい。競争的資金の配分については、例えば、現在は50歳以上の研究者に多く配分されているものを若手の研究者に重点化する等、資源の効率的な配分のためにも、縦割りを廃して戦略的な重点化を是非お願いしたい。
 また、ノーベル賞を受賞した田中耕一さんの高分子の質量分析手法は田中さんが発明したが、機器としての実用化、事業化に成功したのはドイツ、アメリカの会社である。現在、経済産業省でも一生懸命対策を講じつつあるが、研究開発の成果を効率よく実用化に結び付けるための総合的な政策を合わせて講じていくことが大事である。
 経済活性化のための研究開発プロジェクトについては、非常に期待の大きいところだと思うので、大学改革、産学連携も含めて、昨年に引き続き一層の推進を図るようお願いしたい。  

(北村議員代理)
 平成16年度の問題意識の中で、「安全・安心で豊かな社会の構築」が大きな柱の一つに位置づけられたのは大変重要な点と考えている。
 農林水産省としては、こうした社会を実現していく上で、「いのち・循環・共生」という視点が重要であり、国民生活の基礎である食の安全・安心の確保と、健康で豊かな食生活をもたらす食品の機能性に関する研究開発、あるいは地球温暖化防止や循環型社会の構築に資する「バイオマス・ニッポン総合戦略」の実現を目指した技術開発の推進と実用化が必要であると考えている。
 また、基礎研究の推進と併せ、経済活性化に向けた科学技術の推進が重要な柱である。
 農林水産省としては、昨年イネゲノムの重要部門の解読を終了したところであるが、今後は「バイオテクノロジー戦略大綱」に沿って、こうした成果を最大限に利用して、例えば、花粉症に効果のあるイネを開発するなど、ゲノム研究成果の実用化・産業化を推進していくことが必要であると考えているので、その点も十分にご配慮いただきたい。

(井村議員)
 只今、各大臣からお話があったが、基本的には私たちと共通の問題意識を持っておられると考えている。今後、各省と連絡を取りながら、できるだけ指摘された点が実現できるようにしていきたい。  

(細田議員)
 平成16年度は、9月に「科学技術と人類の未来に関するフォーラム」を京都で開催する予定である。それに向けていろいろな盛り上げしていくので、ご協力をよろしくお願いしたい。



(2)日本学術会議の在り方について

 日本学術会議の在り方に関する専門調査会において取りまとめた最終案について、井村議員から資料2−1(PDF)に基づき説明。
 「日本学術会議の在り方について(案)」(PDF)については、原案通り決定し、内閣総理大臣及び関係大臣に対して意見具申した。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(加藤議員代理)
 日本学術会議の在り方に関する専門調査会では1年9か月の長期にわたり熱心に議論していただき、日本学術会議の改革について道筋を示していただいたことに感謝している。
 日本学術会議が科学者の代表機関として、より一層その役割及び機能を発揮し、学術の発展に貢献することが重要であると考えている。総務省としても、この提言に沿った改革に取り組んでいきたいと考えているので、よろしくお願いしたい。  


 意見具申後、細田議員、吉川議員から次の発言があった。


(細田議員)
 日本学術会議は学術の世界の最高権威であり、学術の世界が自ら改革を実践することは非常に大事なので、吉川議員にはよろしくお願い申し上げたい。

(吉川議員)
 日本学術会議に関してさまざまな観点から議論いただき、我が国における科学者コミュニティ、更に日本学術会議の在り方の将来の方向性を示す結論を示していただいたことについて深く感謝する。
 この結論を踏まえ、改革を目指しつつ、科学者コミュニティの代表機関としての日本学術会議は科学の進展に寄与するべく、文系、理系の領域を超えて俯瞰的な立場に立って協力しながら、科学に関係するさまざまな事柄について中立的な提言を行うなど、これから社会に貢献していくべく努力する所存なので、よろしくお願いしたい。



(3)ITER計画の現状について

 ITER計画の現状について、遠山文部科学大臣から資料3(PDF)に基づき説明。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(細田議員)
 何千年という非常に長期の将来にわたるエネルギー問題について考えると、やはりITERに絞られてくるという感じが近年非常に強まっている。アメリカや中国も参加するという集約が行われるということは、核融合エネルギーの優位性が認められているということである。
 遠山大臣におかれては、引き続きITER計画の実現、我が国への誘致に向けてご尽力をお願いするとともに、総合科学技術会議としても頑張ることが必要だと思う。



(4)スペースシャトル「コロンビア」の事故について

 2月1日の「コロンビア号」事故の調査状況等について、遠山文部科学大臣から、資料4(PDF)に基づき説明。
 引き続き、総合科学技術会議としても、フォローアップしていくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(大山議員)
 総合科学技術会議の対応として3点を挙げたい。
 1つ目は、宇宙ステーションの影響を見極め、的確に対応してゆくこと。2つ目は、宇宙ステーション以外の宇宙開発利用も極めて重要であり、準天頂衛星や環境観測衛星の推進など、昨年6月の総合科学技術会議で定めた方針に沿って各関係省庁において推進していただきたいということ。3つ目は、3月28日に予定されているH−UAロケットの打上げ成功への期待表明。この3点である。

(小泉議長)
 宇宙ステーションは、今後どのくらいもつのか。

(井村議員)
 利用するのは、一応10年の計画になっていると聞いている。

(小泉議長)
 人も交替で常に滞在するのか。

(遠山議員)
 何人乗船させるのかが問題。現在3人が残っているが、その3人をどうするのかということも大変難しい段階にある。従来の計画では完成した段階では7人を予定しているが、現状のままでは困難であろうということもあり、今後それらも含めて協議をしていくという状況である。

(井村議員)
 相当な予算が掛かるので、今後どのような実験をするのかも大変重要な問題になると思う。

(細田議員)
 日本の実験棟「きぼう」における研究の案は既に決まっている。
 既に3,200億円を投入して建設しており、3月に米国に運ぶ予定であったが、多少遅れることはやむを得ないと思う。



(5)政府研究開発データベースの開発について

 政府研究開発データベースの開発について、会議室のスクリーンを用いて、阿部議員から資料5(PDF)に基づき説明。
 本議題に関する質疑応答は以下のとおり。

(細田議員)
 競争的研究資金は、もともとは包括的に予算が設定され、その年度の申請に基づいて振り分けられるという性格がある。実際にどこに、どう配分され、またどのように運用されているかについては、このような地道な作業を積み上げてはじめて分析が可能な状態になった。今後、これを活用して制度の改善等に役立てていく必要がある。

(遠山議員)
 この政府研究開発のデータベースは、国全体として個々の研究課題の大変大事な諸情報を網羅的に収集しており、大変有意義だと思う。
 このデータの大半を持つ文部科学省としては、これまでもデータの集積に協力しており、競争的研究資金制度についてはほとんどのデータの登録を完了したところであるが、残りのデータについても取りまとめ作業ができ次第、早急に登録を完了するなど、今後とも協力していきたい。

(高市議員代理)
 5ページの研究開発に参画する研究者年齢区分別比率で、採択件数は40代前半がピークということであったが、これが分野別にわかれば、より明確になると思う。つまり、お金のかかる分野において、どれくらいの年齢の人がどのくらいの資金を取っているのかが分からないか。例えば、若い人が主に取っているのは、人文科学の分野で、その他は余り金額的に延びていないように思うが、そうしたことも確認できる。

(阿部議員)
 数字はあるので、後でご覧頂いていろいろ御意見を頂戴したい。

(細田議員)
 実態としては、主任の大教授がいるところにたくさんの研究者が集まって、一括して予算要求する傾向がある。その場合、主たる研究者は50代の大変著名な学者であることが多く、平均年齢が高くなる。もちろん、教授の下で研究を分担している研究者には若い人がたくさんいる。他方で、ノーベル賞を取るような研究は30代のときにしたものが多いので、30代の人にどんどん配分しようという議論がある。
 また、競争的研究資金の倍増を目指すということを基本計画で決定している。倍にすると若い研究者もより潤沢に使えるということだが、財政状況が非常に厳しいうえに、各省内での予算折衝の問題や体制の問題もあり、この倍増計画に向けた対応がまだ十分ではない。競争的研究資金は文部科学省や厚生労働省、経済産業省の予算が大宗を占めており、どうすれば効率的に予算を増やし、かつ有効に使えるかについてはさらなる検討を要する。こうした検討のためのデータベースだと考えている。

(井村議員)
 現在、総合科学技術会議では競争的資金制度改革プロジェクトを設けて議論をしている。米国に比べると、日本の競争的研究資金は約10分の1である。米国はGDPが日本の約2倍、また一部に給料が入っているので、それを差し引いても、なお日本の3、4倍ぐらいの資金が投入されている。それを考えると、日本の競争的研究資金をもう少し増やしていくことが非常に重要。
 ただし、現在の財政状況は極めて厳しいので、その中でできるだけ有効に研究費が使えるようにするためにこの様なデータベースを作り、無駄がないかをチェックできるようにした。日本では、有名な研究者に資金を出せば安全であるということで、一部の研究者に資金が集まる傾向が確かにある。有望な若手を見つけるのは大変難しいことであり、そこに配分されにくいというのは高市議員代理が指摘したとおりである。従って、各省ともデータベースを利用し、このような問題点の改革を進めることが重要である。

(薬師寺議員)
 理科系の研究は教室等の単位で申請をすることが多く、研究室の代表である50代の先生が中心になって申請することとなる。人文・社会科学は個人単位の研究が中心で、もう少し若い研究者たちが申請する場合が多い。
 しかし、最近はプロジェクト研究やグループ研究を奨励しているので、人文・社会科学でも若手のグループ研究を進めたいと考えており、理科系よりも若い人が資金を取れるようなプログラムも走り始める予定である。

(高市議員代理)
 研究評価詳細画面にある追跡評価には、例えば、この研究が何年かたって実用化されたといったような情報も入るのか。

(阿部議員)
 現在は現状についてのデータであり、評価結果については全て入力してあるが、研究完了数年後の状況についてはまだ入力されていない。そのようなものをどう入力するのかも一つの課題だと思う。

(高市議員代理)
 経済産業省で大学発ベンチャーを3年で1,000社立ち上げる計画を進めているので、研究が数年後にどうなったのかの情報も徐々に付け加えられていくと、ありがたいと思う。

(細田議員)
 事前評価と同時に中間評価、事後評価の全てが重要であり、今体制を組みつつある。



2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 研究開発データベースは、省庁にまたがって情報を一本化した画期的なデータベースだと思う。総合科学技術会議として、更に活用できるように改革をし、戦略的な施策の構築を進めていただきたい。
 日本学術会議の在り方については、これから新しい時代に合うように、より大胆な改革を進めて、総合科学技術会議との連携についても大いに進めていただきたい。
 宇宙利用開発については、コロンビアの事故は本当に残念であるが、この事故を乗り越えて研究に取り組まなければならない点もたくさんあると思う。我が国も宇宙開発利用を積極的に進めていきたいので、今後ともよろしくお願いしたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
ウェブサイト・アクセシビリティについて 個人情報保護方針について
東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館 TEL:03-5253-2111(代表)
(C) Bureau of Science,Technology and Innovation Policy,Cabinet Office, Government Of Japan. All Rights Reserved.