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第43回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2005年2月23日(水)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員
棚橋 泰文 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
中山 成彬 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
吉野 浩行  
 同
黒川 清  
  (臨時)    
 同
島村 宜伸 農林水産大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)第3期科学技術基本計画の検討に向けて
(2)平成17年度の科学技術関係予算の重点化の状況について
(3)地球観測サミットの結果について
(4)科学技術振興調整費について
(5)最近の科学技術の動向


3.閉会



(配付資料)

資料1   第3期科学技術基本政策の検討状況について(PDF:479KB)
資料2−1   平成17年度の科学技術関係予算の重点化の状況について(PDF)
資料2−2   平成17年度予算案における重点分野等に係る主な施策の位置付け(PDF:387KB)
資料3   地球観測サミットについて−小泉総理の提唱に始まる国際取組−(PDF:312KB)
資料4−1   平成17年度の科学技術振興調整費の配分方針(PDF)
資料4−2   平成16年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定について(PDF)
資料4−3   スマトラ沖地震の原因に迫る〜科学技術振興調整費緊急研究の概要〜(観測と今後の対応)
(1)(PDF:420KB)(2)(PDF:491KB)(3)(PDF:486KB)(4)(PDF)
資料5   最近の科学技術動向 花粉症対策研究の総合的推進について
−花粉症対策研究検討会の成果を踏まえて−(PDF)
資料6   第42回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)第3期科学技術基本計画の検討に向けて

第3期科学技術基本政策の検討状況について、資料1(PDF:479KB)に基づき、阿部議員から説明。
本日の御議論も踏まえ、引き続き、基本政策専門調査会において検討を一層深めていくこととした。
また、科学技術関係人材専門調査会は廃止することとした。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【薬師寺議員】
 第2期の科学技術基本計画は、第一線の科学者の人たちがこの分野が必要だと決めた。
この評価を国民はどう思っているか。
内閣府のアンケート調査によると、国民から見ると過去、例えば物が豊かになったことは肯定している。
科学技術の効果がある。
それから、健康が向上したことにも貢献している。
 ところが、最近の国民は、科学技術が身近ではないという意見がものすごく強い。
それから、ちょっと近寄り難いという意見もある。
ただ、希望としては非常に明確になっていて、身辺の安全だとか、総合的な安全に関して、科学技術はもっと貢献して欲しいという考え方が強い。
それから、心の豊かさに科学技術が貢献をしてほしいと求めている。
非常に面白いのは、科学技術の政策決定に国民を参加欲しいということが70%もある。
 つまり、科学技術は身近にないという国民が多くなってきて、過去に科学技術は非常に国民に貢献したが、だんだん離れていると思っている。
しかし、科学技術に対してある種の希望が国民にはある。
そうなると、第3期に関しては国民に対してどういうメッセージを与え、社会に対して、我々は科学技術をどういうふうに還元していくかが重要になる。
科学技術を担う人間は科学技術の専門家で、その専門家だけで我々は議論をしていたが、やはり国民に還元をする、社会に還元をする科学技術を、第3期では我々は非常に明確に主張しなければいけない。



【岸本議員】
 2点申し上げたい。
 21世紀、100年間に日本人の人口は半分になると言われている。
こういう状態の中で、もし創造的科学技術が次々と生み出されないならば、いかに経済財政諮問会議が頑張っても、日本の国力は衰退することを国民に十分わかってもらうことが必要である。
そのためには、国民に理解され、あるいは国民の役に立つ科学技術でなければならない。
 しかし、多くの国民は科学技術というと何か遠く離れた特別な人がしているものと感じている。
しかし、簡単に言うと、例えば100年前に我々の寿命は40歳代で皆、死んでいたが、今は80歳代まで生きている。
これは医学、医療の進歩ももちろんだが、科学技術の集積が100%役立っていることだと思う。
そういう意味で、国民の役に立つ、還元できる、そして理解される科学技術をやっていくことがまず基本である。
 もう一つの点は、科学技術をやっていく上で芸術、絵、音楽とかスポーツを見ても、あるいは囲碁や将棋を見ても突出した人、突出した作品はすべて非常に厳しい競争の中から生まれている。
したがって、科学技術の世界にも競争という面を入れることが非常に重要である。
その中心的役割を果たす大学や独法化された研究機関に競争的環境を入れると、突出した研究が出てくることになるだろう。
 どのようにすればいいかというと、ファンディングのシステムを変えること。
資源配分の方式を変えれば一気に変わっていくと思う。
そういう面を第3期では考え、踏み込んでいかなければならない。



【柘植議員】
 2期計画の反省点で、1つはシーズ指向の技術から、技術分野から入ったということがある。
これは正しいことは正しくて、技術の重点化というものは図れたが、総理がおっしゃっている国づくりの具体的な重点化に貢献する技術の道が不鮮明なままで進行したと思う。
このために、アンケートにあったように国民や産業界から見て、その成果がどのように国の姿、国力に結び付いてくるのかが見えにくいまま推移している。
 一方、アカデミア側も国力に結び付ける技術のロードマップが不鮮明なままで基礎研究をしているケースが多い。
各論では初期の成果は出ていると思うが、国創りとしての成果まで結び付ける目的指向型基礎研究については、重点化へのインセンティブが欠けていた面がある。
 同時に、財政事情が極めて厳しい中で、科学技術振興は国のコストではなく投資である。
総理が言われる国づくりのための投資なんだということ、あるいは財政赤字の復元のための先行投資なんだということを、我々は科学技術のコミットメントをするべきだということが、反省点の要点である。
 反省点の中で第3期の基本計画では、やはり基本理念は第2期が正しいと思います。
これを堅持しながらも、その下に国民が目指す21世紀の国づくりイニシアティブというか、明確で具体的な目標を設定し、その実現に向けた科学と技術の振興投資の一層の実のある重点化を図ることが必要である。
国民が目指すべき国づくり、総理が言われた21世紀の国づくりイニシアティブ、これはさまざまな各界の意見が出ているので、具体的にするべきである。
 例えば持続的世界、ほとんどアジアだと思うが、持続的なアジアの構築に貢献するエネルギーと環境の技術立国とか、価値創造型ものづくり立国の実現とか、4つくらいのイニシアティブにまとまると思う。
このイニシアティブの実現の手段として、第2期で推進した成果を中核にし、重点分野、技術を更に充実して国力につなげていく。
 同時に、一番大事なのは、総理もおっしゃっていますようにものづくり人材と技術の強化であり、総理の口から国づくりイニシアティブを国民にわかりやすく訴えていただく。
特に、ものづくり内閣総理大臣賞を総理がおやりになるのは誠に意義がある総理のメッセージだと思う。
こういうメッセージで国づくりイニシアティブを総理の口から国民に訴えていただきたい。
そのために我々はコンテンツをつくらなければならない。



【黒田議員】
 これから必要な生態系とか環境に配慮した持続的な発展を考えると、科学技術によるブレイクスルーがなされなければいけないことはだれも否定できない。
また、これを利用してアジアなどへの貢献ができると考えている。
これをどのようにやっていくか、2つポイントを申し上げたい。
 1つは、第2期基本計画に基礎研究と重点4分野のほかにもう一つあって、それは急速に発展し得る新興融合領域が現われた場合には機動性を持って的確に対応することで、一生懸命言って第2期基本計画に書いていただいたが、忘れられてしまっている。
しかし、環境のための科学技術のためには、4分野の融合は是非やっていかなくてはいけないことなので、第3期にはこれを進めていきたい。
 もう一つのポイントは、学術の純粋基礎研究の質と多様性の確保である。
今、例えばライフサイエンスを推し進めているが、これは何年も前の基礎研究から始まっており、フロンティアをやるためには本当に純粋基礎研究を忘れてはいけない。
もう一つの理由は、継続は力なりということで、純粋基礎研究をやめると人材も育たなくなる。
例えばSARSとか鳥インフルエンザが起きたとしても、日本には人材もいない、設備もないということになってしまうと困る。
 第3の点としては、基盤特許の重要性である。
日本発の学問、技術には、機器や装置開発が非常に大切である。
91年には、日本は特許の開発のシェアは世界一だったが、日本も増えたが各国はより増えたので、10年たった今シェアは半減している。
アメリカは増やしている。それどころか、総数ではなくて基盤特許で見るとさらに寂しくなる。科学技術創造立国ということで科学技術予算を付け、いい研究をするために装置を買って試薬を買うと、これは外国製であって海外が潤っている。
日本の税金が海外を潤すために使われるのは悔しいので、何とかして日本発の学問、装置あるいはツールを発展させなければならない。
そういう意味で、基礎研究の質と多様性を確保していくべきだと考える。



【松本議員】
 第2期基本計画では大学発の基本的、基礎的な研究成果がなかなか産業に結び付かず、大学発ベンチャーなど大学に眠りがちな研究成果を産業に近付ける努力がなされ、成果を上げていると思うが、別の意味で産業になりにくい視点があると思う。
大学の人間は何かを測るための装置やセンサーをつくることは一生懸命やるが、ソフトやシステム化の部分は、日本は得意ではない。
これも産業に結び付くルートを早めない理由になっていると思う。
日本人の価値観が、過去は目に見えるものに非常に重きが置かれてきた一種の教育の問題もあると思うので、システム化とか、社会にどのようなインパクトを与えられるシステムになるのか。
そういうことを考えられる一種の人材育成も今後考えることは非常に重要だと思う。
 2点目は、現在いろいろ統計を集めて第3期計画をつくるに当たって勉強をしているが、いろいろな統計が産業界と大学などの学術機関とのデータがかなり一緒になってつくられている。
日本の特殊性は、産業界の技術開発資金がトータルの7、8割を占めるので、産業界の力と寄与が大きい特殊な国である。
外国のいろいろなデータと比べる場合、産業界のみのデータは多いので、日本の学術界、大学とか国研等のデータはよく注意して、第3期で考えなければいけない。
 つまり、産業界が十分に担ってくれる分野もあるし、そうでなくて国が応援しなければいけない分野もある。
統計を見るときはよく考えて、国の投資はどこにいくべきかを再度確認しないといけないと思っている。



【吉野議員】
 今いろいろなところで第2期の計画の評価のための調査、分析が行われており、大方、重点4分野は妥当だと評価を得られている。
重点化は第3期も必要であって、どういう形でやるかはこれからのテーマだが、一方ではしわ寄せとなっている分野は相当不満というか、ここにも大事なところがあるという議論がされている。
 そこで、私が課題だと思うのは、国としての基幹技術の分野である。
例えば宇宙、原子力、海洋という分野をどうするか。
今までは減っている。
この分野は、国としての存在感だとか、あるいはブランドイメージみたいなものにも影響するので、科学技術だけではなく国を運営するリーダーがどう考えるかで決まる思う。
 私どもは数百人の技術者と数百億のお金を毎年投入してレースをやっている。
二輪と四輪をやっていて、いつも議論になる。
研究開発予算のほぼ1割を占めるくらいだが、技術が直接ビジネスに結びつくかというとそうでもない。
ただ、人を鍛練するとか、最先端の技術を追いかけることでは効果がある。
それは、国の基幹技術の話と非常に似ていると思っていて、各部門の意見を聞いただけでは決められない。
トップが決断するしかない項目だと思う。
 したがって、基幹技術の分野は、科学技術プラス政治のリーダーで決めていく話だと思うので、是非とも御議論をよくしていただければ大変ありがたい。



【黒川議員】
 これからの問題としては何が起こるかわかっており、1つは地球規模では人口がどんどん増える。
そこで環境の問題、それから南北問題ですね。
今年のG8でも環境問題と南北のアフリカですが、そこでアジア一番の先進国になったこの100年、どういう国になっていくか。
しかも、アジアは世界人口の60%がいて必ず成長してくるので、日本の科学技術の投資がどのような国をつくっていくのか、20年30年のスパンが大事だと思う。
 そのためには、人間という世間の人ではなく個人の力を機動的に集結できる価値観の人たちをつくるとなると、科学の教育も大事だが、社会とのコミュニケーションも非常に大事である。
そういう意味では、いろいろ科学者コミュニティが教育の現場に行くことで、現在、各地域で自分たちがするべきかを言っており、一方ではアライアンスが大事なので、今週はイギリスのロイヤルソサエティとナノテクの会合を始めましたし、来週はつくばでアメリカのナショナルアカデミーと科学技術と国家の安全というセンサーのシンポジウムをやる。
そのように総合科学技術会議、各省庁とも並行して、科学コミュニティがいろいろなミーティングをしながら提言を出していくことにしている。
 更にカナダとは、若い女性の科学者を1週間ずつ交換プログラムをはじめるが、来たときに必ず専門分野をしゃべるだけではなく、ホストの国の中学校、高等学校に行って子どもたちに科学者の生き生きとした話をするプログラムを立ち上げており、グラスルーツ的な将来の子どもたちに科学の楽しさを教えるプログラムと、科学者コミュニティ同士の交流を現在、国と一緒に独立してやっている。
 グラスルーツの科学者コミュニティの努力を是非自分たちでやれることをどんどんやる動きが学術会議、あるいはこことしては非常に大事だと思う。



【阿部議員】
 人材については教育も含めて御議論があるが、比較的薄いことについて言うと、それは高齢化であり、トップの研究者、技術者から、ノウハウを持っている技能者に至るまで高齢化が進むが、まだ日本は画一的な定年制度があるので、せっかくのノウハウなり技能、最先端の科学技術の能力があって意欲のある人には、何か仕事をしていただく機会がつくれるようにもう少し積極的にできないだろうか。
 もう一つは外国人である。
子どもの数が減ってくるので外国人を政策的に入れようと考えている先進国は幾つかあるが、日本はそこまで踏み切るかどうか、私は躊躇するところもあるが、少なくともアジアの極めて優れた研究者、技術者はもっと積極的に日本で仕事ができるよう、大学も含めて環境づくりをしていくべきではないか。



【島村臨時議員】
 私は、農林水産分野において科学技術政策を推進することがますます重要になってきていると認識している。
第3期科学技術基本計画の検討に当たっては基礎的研究も重要だが、食の安全・安心の確保、農業の国際競争力の強化、バイオマスといった国民生活の向上や産業の発展に直接役立つ技術の開発についても、より重視していくことを強調したい。



【麻生議員】
 吉野議員が言ったように、重点化は必要だと思う。
日本は、特に役所の世界ではヒラメの目みたいになっているから、大体一律何割カットという話になる。
そのため、重点化はトップの決断として、これが重要だと決めないといけない。
私は3期に当たっても重点化が必要だと思う。
 それから、国民の目から見た科学は重要だと思っている。
今、u-Japan をやらせてもらっているが、少なくとも国民にとって間違いなく避け難いのは高齢化である。
高齢化社会において安心して生活できる。
要介護者が自宅を出て飛行機に乗れる。
このようなことに科学技術がどのように貢献できるか。
 例えば、トロンや電子タグを使ってダイコンがしゃべったり、道路がしゃべったり、今いろいろとやりつつあるが、国民の目から見て便利になったという話になって、やはり安心して暮らせると思う。
かつ、要介護者が介護を必要としなくなるのは、その分だけ国としてはトータルで支出が減る。
安全と安心というのは国民の関心の高いところだと思うので、ここら辺に金をかけるのは大事だと思う。
 それで、過日も阿部先生にお願いして、消防技術として水と空気を混ぜたもののお陰で無駄になる水の使用量が10分の1に減るとか、総使用量が4分の1に減るとか、家屋も水浸しになったのが噴霧で消えるので家屋も後で使えるということが実質できるようになり、一挙に効果が出てきている。
目に見えるのは結構大きいと思い、国民の目から見てという視点はすごく大事だと思う。



【谷垣議員】
 1期、2期の基本計画を通じて、GDP比で先進国に負けない投資をしていこうという目標でやってきて、いいところへきたということになると、これからやるべきは、1つは重点化、戦略化ということだと思う。
 4分野は概ね正しかったという評価もあり、私もそう思うが、私のところには割を食った分野の方々がお見えになり、何とか予算を付けろとおっしゃるが、SABCで高い評価を受けていないものには予算も付けにくいことがあり、最後はリーダーが決めるということだが、ではH−2Aをどこまで持っていくのかとか、それから原子力でも高速増殖炉をこれからどうするのか、相当議論を積み重ねていただく必要がある。
 それから、評価をきちんとして競争的環境をつくっていく。
これも今までやっていただいたことだが、引き続きやっていく必要がある。
その上で、このごろはいろいろな手法でアウトカム目標を立てることがよく言われるが、そういうことを取り入れて、どういうものを目指すのか、わかりやすく計画を立てていただく必要があると、財政当局としては思っている。



【中山議員】
 先生方からのお話を聞いて、全くそのとおりだということが多かったが、私はこの第3期基本計画は非常に大事だと思う。
まさに国際的な大競争が激化する中で、我が国は人口が減っていくことの中で、我が国の競争力、経済力をいかにして維持し、また発展させていくか、大事な時期だと思っており、3点申し上げたい。
 1つは人材の養成確保である。
経済だけでなく人材とか技術など、まさに世界的な大競争の時代であるが、我が国の人口は2007年を境に急激に減っていく。
それ以上に日本の研究者、技術者が減っていくことが問題である。
ピーク時の2000年に比べ、2050年には約100万減少する。
270万から170万になるということであり、多様な研究人材の質的、量的な確保に向けて戦略的な取り組みが必要である。
 先般、理化学研究所を視察したが、若手の研究者がまさに活き活きと仕事をしていた。
優れた研究環境の中で次代を担う研究者が続々と育成され、優れた成果を上げている姿を見て大変頼もしく思った。
 しかし、日本が将来にわたり繁栄していくためには、将来の日本を支える今の子どもたちを育てて伸ばすことが肝要だが、最近の国際的な学力調査の結果等を見ると、日本の子どもたちの学力が低下傾向にある。
それ以上に心配なのは、学ぶ意欲といったものが非常に乏しい。
何のために勉強をするのかという動機付けが乏しいが、さらに勉強時間も一番短くなっている。
かつては日本の子どもたちの学力は世界トップレベルであったので、資源のない国ですから人材こそが資源であるという原点に立ち返り、もう一度世界トップレベルの学力に戻すことを目指さなければならない。
 そのためにも、理数好きの子どもの裾野の拡大、チャレンジ精神を持った子ども、興味、関心の高い子どもがいるので、その子どもたちの個性とか能力を伸ばす取り組みも重要である。
日本科学未来館に行ったときに親子で見学している子どもを見たが、生き生きと目が輝いているのを見て、体験をさせなければいけないと思った。
 2つ目は基礎研究の推進ということであり、まさに今、日本はキャッチアップの段階から、自らの努力によって道を切り拓くフロントランナーの時代に入っているが、競争力を持続させるためには、我が国オリジナルの基礎研究の成果を経済的価値や公共的価値に結び付けていくことが必要である。また、社会に還元する姿勢が必要である。  先般、東京大学を訪問して工学と医学の連携、産学連携による遠隔医療システムの開発現場等を視察した。
大学の研究者がマーケット規模をみながら最先端の研究を行っているところを見て感動したが、こういった我が国の科学技術の基礎を支える大学や独立行政法人の使命は大変大きいと思う。
 3点目は、国家戦略としての基幹技術である。
スーパーコンピュータやゲノム創薬等の先端技術をめぐる国家間の競争はまさに激化の一途であり、国として長期的視点に立った技術戦略を、広い意味の国家戦略、国家安全保障ととらえて構築していく必要がある。
そういう意味で今、世界最高水準のスーパーコンピュータ、地球シミュレータに代表される我が国の世界トップレベルの装置が世界から注目されており、世界中から一流の頭脳が集まって大きな成果を挙げている。
 また、我が国は長期にわたり石油に依存し、お世話になってきた日本であるので、もんじゅなど新たなエネルギー開発による世界貢献によって、吉野先生が言われましたけれども、日本の誇りというか、日本のプライドも育っていくと考える。
最近、地球シミュレータとか、たんぱく質の解析施設、これは理化学研究所のゲノム科学総合研究センターにあるが、あるいは人工衛星の開発現場、ITERの候補地等を視察したが、国として世界の最高水準の基幹技術を更に発展しつつ、活用を図っていくことが必須である。



【細田議員】
 競争的資金も増えたということで喜ばしいが、独立行政法人がうんと増えてくる中で、アメリカなどに対して日本の最大のハンディキャップと言われているのが評価の問題。
評価のシステム、仕組み、強弱をつけて重点化することは、総合科学技術会議では極めて濃密な議論をされ、いろいろ実現されているが、それぞれの組織なり、全体にまたがっての評価は弱いままで放置されているという危惧もある。
 大分改善されたのかもしれないし、アメリカのように激しく評価しない方が競争力があるという説もあるかもしれないし、最近の様子もちょっとわからないが、ベーシックな問題である気がする。



【中川議員】
 経済産業省では、新産業創造戦略の中で、燃料電池、情報家電、ロボット、コンテンツ、環境、健康分野を新産業群と報告しているが、基盤特許をしっかり持つと同時に、それを製品化することや、身近なものとして感じることができるようにしていくことが経済産業省の一つの大きなポイントとなる取組みだと思う。
 例えば燃料電池であれば、現在、車に積むのに1億から2億かかるものを、2020年にはガソリン車と同程度にすることや、太陽光発電であれば、現在50円/kwhのところを2030年には7円/kwhにする等、実用化していくことにポイントを置いている。
 そういう中で、やはり人づくりがポイントで、文部科学大臣からも発言があったように、子どものころからの人材養成や、良い技術の伝承といったことが大事だと思っている。
一方、研究室においては、助手のバックアップ体制が不十分だという話も聞いたことがある。
また、経済産業省の関係では、原子力関係の研究者の層が薄いとよく聞く。
選択と集中ということも大事であるが、広い意味で基礎的な技術や産業を、広く産業化していくための人材投資も必要だと思う。
 そういう意味で、ものづくり大賞を8月に総理に表彰していただくが、子どもに焦点を絞って、子どもに夢、興味を持っていただくように、鋭意努力をしている。
 日本はものづくりあるいは基礎技術、いずれも各分野で世界のトップを走っていかなければならないと思うので、先生方の御指導をよろしくお願いしたい。



【島村臨時議員】
 文部大臣経験者として大変耳が痛い話が多いが、最近ようやくゆとり教育という間違った方向が改められ、これから日本は正しいいい出発をすると思う。
 例えば小学生の下級の学年の人たちでも、囲碁とか将棋に天才的な能力を持った人にぶつかる。
その子どもが立派な大人の碁盤の石を動かしながら指導するのを見ると、天才的な才能は子どものうちから植え付けることが大事だと思うが、音楽、スポーツ全体でもそうである。
 例えば丸山選手が大活躍だが、彼は小学校のときに父親に徹底的にしごかれて、小学生でシングルプレイヤーになった。
事実、人間では考えられないような技を持っている。
国際分野で勝てるのはわかるわけである。
それから、イチローの父親の話を聞いたことがあるが、子どものときから天才教育をやっている。
偶然に彼らは育っていない。
松井もそうだ。
子どものときからの英才教育は絶対必要だと思う。
 科学技術分野だが、物理、化学、数学とかを嫌いな子どもは非常に多い。
今のように安直に漫画に頼ったり、映像文化に頼っていたらいいものは育つはずがないので、ここにちょうどお並びのような先生方に小学生で、各地域で選抜された人間が話を聞くことができる。
それに触発されて何かに興味を持つという環境を整える必要があると思う。



【小泉議長(内閣総理大臣)】
 消火作業ですか。



【麻生議員】
 消火作業である。
早い話が消防隊員が使用する噴射機から霧状の水が出てくる。
普通のホースだと、正面に立っていたら間違いなく我々でも5メートルは飛ばされるくらいの圧力ですから、普通の家の1寸角とか2寸角くらいの柱だったら倒れてしまうが、その噴射機からは霧状のものが出るから火が広がらない。
 半焼の家でも後は使えないくらい水でぐしゃぐしゃになっていたが、それでやると無駄になる水は従来の量の10分の1しか出ないから、畳もしばらくすると乾く。



【小泉議長(内閣総理大臣)】
 それは今、使っているのですか。


【麻生議員】
 今、消火作業に第1号で始まった。



【小泉議長(内閣総理大臣)】
 トップでぱっと決めるとすごい競争になる。
例えば自動車などはダカールなどでなぜあんなに費用をかけるのか。
しかし、世界一になるために全部集まって後々すごい技術蓄積がなされる。
人材も集まるのだと思うが、今、日本の国策としては環境保護と経済発展を両立させる。
温暖化も今から14%削減しなければならない。
このためには科学技術は欠かせない。
こういう点で、総合科学技術会議でも世界の環境保護と経済発展を両立させる。
その科学技術の最先端は、私は国民からも合意が得られると思う。
 いい例は自動車である。
皆、低公害車は高いから買わないと言っていたのが、3年間で私が言っていたことが実現したでしょう。
ホンダさんなどが努力している日本の燃料電池、低公害車は世界でも有名です。
これは国策として大事です。
環境保護と経済発展を両立させるのは科学技術です。
バイオマスなど全部関係ある。
この辺を一つの大方針としてどういう技術をするか。
これは、私は月にロケットが行くよりも国民的にわかりやすいと思う。
よく研究してください。
目標はもう立っているのだから。





(2)平成17年度の科学技術関係予算の重点化の状況について

  平成17年度の科学技術関係予算の重点化の状況について、資料2−1(PDF)に基づき、薬師寺議員から説明。





(3)地球観測サミットの結果について

  2月16日、ブリュッセルで開催された「第3回地球観測サミット」について、資料3(PDF:312KB)に基づき、中山文部科学大臣から報告。





(4)科学技術振興調整費について

「平成17年度の配分方針」については、資料4−1(PDF)のとおり決定したことを、棚橋議員から報告。
「スマトラ沖地震・津波に関する緊急調査研究」については、資料4−2(PDF)のとおり緊急研究開発等の指定を行ったことを、棚橋議員から報告。
また、海洋調査船「なつしま」による調査の概要について、資料4−3((1)(PDF:420KB)(2)(PDF:491KB)(3)(PDF:486KB)(4)(PDF)) に基づき、阿部議員から報告。






(5)最近の科学技術の動向

  岸本議員を中心として行っている花粉症対策研究検討会の成果を踏まえた花粉症対策研究の総合的推進について、資料5(PDF)に基づき、岸本議員から説明。





5.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 今日の議論でも科学技術の重要性が改めてわかったし、小学生、中学生にはわからないのではという議論もあるが、余り恩恵を受け過ぎてわからない面があるのではないか。
携帯電話にしても、テレビにしても、デジカメにしても、薬だって、科学技術の恩恵を受けていないものはない。
だから、身近ではないどころか、身近過ぎて重要性がわからないのではないか。
 今日の議論を踏まえて、改めて科学技術の重要性を再認識したので、より一層今後、環境保護と経済発展、更に我々の健康のために生かしていただきたい。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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