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第54回総合科学技術会議議事要旨



(開催要領)

1.開催日時:2006年4月25日(火)17:15〜18:12

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 
 議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員 安倍 晋三 内閣官房長官
 同
松田 岩夫 科学技術政策担当大臣
 同
竹中 平蔵 総務大臣(代理 菅 義偉 総務副大臣)
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
小坂 憲次 文部科学大臣
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺 泰蔵  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
庄山 悦彦  
 同
原山 優子  
  (臨時)    
 同
小池 百合子 環境大臣/沖縄及び北方対策担当大臣
 同
猪口 邦子 少子化・男女共同参画担当大臣


(議事次第)

1.開会

2.議事
(1)平成19年度の科学技術に関する資源配分方針の策定に向けて
(2)理数教育の抜本的充実に向けて
(3)最近の科学技術の動向
(4)その他

3.閉会

(配付資料)
資料1−1   平成19年度の科学技術に関する資源配分方針の策定に向けて(PDF)
資料1−2   平成19年度の科学技術に関する資源配分方針の策定に向けて(PDF)
資料2−1   理数教育の抜本的充実(PDF:338KB)
資料2−2   理数教育の抜本的充実に向けて(PDF)
資料3   最近の科学技術の動向 −地球を見守る観測衛星「だいち」−(PDF:465KB)
参考資料   地球観測衛星写真 とびだすだいち
資料4   理解増進に向けた取り組みについて(PDF:227KB)
資料5   第53回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)平成19年度の科学技術に関する資源配分方針の策定に向けて

 4月から第3期基本計画の実行段階に入っており、18年度にも着々と新しい取り組みに着手しているが、19年度はこれをさらに飛躍させる年であり、有識者議員が平成19年度資源配分方針の策定に向けた検討を現在進めている。
 本日は、有識者議員がとりまとめた資源配分方針の骨子素案について、資料1−1(PDF)に基づき阿部議員から説明。
 本日の議論を踏まえ、イノベーション創出のためのさらなる研究、そして世界最高水準の研究拠点をどのように考えたらいいのかについて、次回の本会議で議論し、6月に決定する資源配分方針の中に入れられるように、具体的な検討を進めていく予定。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。



【柘植議員】
 閣議で決まった第3期期間中の総投資額25兆円を何としてでも発明・発見という研究成果を社会的価値・経済的価値の具現化というイノベーションに結び付けていかなければならない。まさにプラン10%で実行90%の覚悟が肝要であり、既に18年度からイノベーション創出に向けた幾つかの新施策を開始する。特に次の2点を大切にして、19年度に向けて今年から一層の充実を図りたい。
 1点目は、第3期計画の新基軸であるイノベーション創出を目指した研究拠点の整備である。これを何としてでも成功させるべく、具体的実行内容の点検を行い、19年度に向けて一層の強化・充実を図りたい。第1期、第2期、約十年の知の蓄積を活用すれば、5年かけて社会還元できるイノベーションもあります。それから、これからじっくり10年かけて育成しなければならないテーマもある。やはりメリハリを付けて進めることである。
 このためには、テーマごとに社会に還元させる出口責任を持っている関係府省も今から入ってもらって、イノベーションへの道筋を固めて実りあるものにしたいと考えている。
 2点目は、イノベーションの創出に至るまでの切れ目のない施策と投資の強化である。このことを私はイノベーション創出パイプラインのネットワーク化と言っているが、この観点に立って、各府省がそれぞれ独立した施策と投資資金の配分を行っている現状の主流から、目的研究のねらうイノベーションごとに一気通貫に基礎から応用まで責任を持つ仕組みを考えたいと思っている。
 このイノベーションの施策の実行には経済財政諮問会議、財務省の財政的支援を得て、各実行府省が協力して進めていかねばならない。先ほど話があったように、イノベーションを実現して初めて、総理が言われる科学技術が「明日への投資」になるのである。


【黒田議員】
 イノベーションが軸だと思う。大変重要で、今、芽が出てきているものもあるが、実は今まだ誕生しているかどうかわからない、10年先、20年先に、ひょっとしたら日本発の大きな産業や学問になるかもしれない、そういうものがあると思う。
 言いたいことは、結局イノベーションというのは、基礎研究からしか生まれない。そして基礎研究というのは時間がかかる。それから継続性と多様性が重要だということ。私は研究者なので、研究者として一体どこに行って研究したいかというと、やはり優れたリーダーのいるところである。そこで優れた人と協働し切磋琢磨をしながら自分が育っていく、そして人を育てていくということではないかと思う。
 では、基礎研究からどうやってイノベーションにつなげていくか、そこが重要で、基礎研究だから応用には全然関係ないということはないので、基礎から応用に展開できる目利きが必要だと思う。やはり自分で研究をした経験のある人、その狭い穴に閉じこもらないで、企業のことも産業のことも国際的なことも特許のこともわかる人を是非育てていかないと、せっかくの投資が実らないと思う。そのリンクということを是非お願いしたい。そして、基礎研究に3年や5年で実が実ることを求めると、萎縮して本当に大きな花は咲かないと思うので、よろしく御理解をいただきたい。


【庄山議員】
 私からも基礎研究の重要性の応援演説をしたい。
 パソコン等に入っているハードディスクはその昔で言うと、ものすごく大きなものだったが、だんだん技術開発よって小型のものになってきた。今のものは大体2時間ものの番組だと、中に50本ぐらい入るようになっている。
 (ハードディスク装置を手に取って)これは今から27年前に、東北大学の岩崎先生が素晴らしい基礎研究をやられて、私どもも必死になってやった結果、ようやく今度発売される。
 将来にわたっては、この中に2時間ものの映画が500本ぐらい入るようなものができるようになる。今は、まだ100本ぐらいの技術だが、これを生んだ親は、やはり大学における基礎研究の成果だと思っている。
 確かに27年は長いか、短いかと言われると、いろいろ意見はあるだろうが、基礎研究をものにするには、このように長くかかるものもあるんだということである。大学の基礎研究は重要だと思っており、引き続き産学連携ということでやって行くが、やはり若干手前みそだが、しつこくやるメーカーも中にはいないと、こういうものはものにならないという事例である。
 それから、第3期においては、戦略重点科学技術の中に、ナノテクノロジー・材料分野の”プロトタイプを作成するファウンダリー拠点”だとか、あるいは情報通信分野の”IT人材育成”などの拠点づくりの話が、すでに出ているが、是非これは進めていくことが重要だと思っている。
 もう一つ、大学と産業界との間も、もう少し密にやっていかなければいけないと思っている。ここにおられる原山先生も中に入っていただいているが、大学の先生方と経団連のメンバーとの間で、例えば博士課程の方に、産業界としてはどういうことを要望しているんだというかなりベーシックな議論を、これで3月と4月で都合2回やっている。産業界からはこういう人を望んでいるんだと、あるいは大学もそういうふうにしようという形で具体的に話をしているところだ。
 一方、技術認識を持ったマネージャーをたくさん増やさないといけないというのが、今、産業界の切実な問題だ。そういうことについても、どんどん提案をしてやっていきたいと思うので、関係省庁の皆様との御協力をお願いしたい。


【原山議員】
 イノベーションは科学技術の一人相撲ではなく、産業界、企業の方たちが主体であるという認識の下にスタートする話である。
 これまで先端融合という話も出てきているが、個々の分野においては日本の研究者の方は非常にハイレベルなことをしているが、束ねる力がなかなかない。融合とは、まさにそれがキーであって、束ねるための仕組み、あるいは糊、媒体となるものが必要だというところをまず踏まえなければいけない。
 1つは束ねること、もう一つは人を回すシステムというのが日本はなかなかない。産業界、大学、官庁、その中で人が回ることによって、産学連携の一番の強みを活用できる人が増えていくこと、このことが大事だと思う。
 その束ね方であるが、アメリカはそういうのが得意なのは事実であって、一つのアプローチ、例えば社会的な問題にどういうふうにチャレンジするかという糊を用いて、その中でいろんな人が集まって解決策をつくっている。その中の一つの要素は技術である。しかし技術のみならず、その中で社会システムを変えなければいけなくなるだろうし、また価値観のシステムも、生活様式も変わってくる。人文社会の人たちもイノベーションの中にかなりコミットしながらイノベーションというものを促すというのが一つである。
 もう一つ、産学連携については、その融合的なところに、やはりいろんな分野の方、産学が連携することが一つのキーとなる。今まで日本の取組というのは、制度的に産学連携をしやすくする制度をつくってきた。それがTLOの法律であり、それからもう7〜8年が経っている。
 その制度の中で具体的にどういう問題が出てきたか、もう既に机の上に上がっている。その中でその関連の方たちは、次のフェーズは何かということを、今、模索している最中である。その模索の中で、やはり庄山さんがおっしゃったように、大学と産業界が本当に腹を割って、では何をすべきかとつめるときがきた。その1つが人材の話であって、人材育成を共同でやりましょうという形である。
 次のフェーズ、もちろん共同研究も1つの柱ですが、この中のやり方、仕組みに関してもイノベーティブに新たな仕掛けをつくっていかなければいけないというのが私の持論である。


【薬師寺議員】
 私は、MITの学生時代から一貫してイノベーションと国家の興亡ということを研究してきた。その点に基づき、3点述べたい。
 第1点は、どこの国もイノベーションという言葉は、民間の技術活動と国の公的な科学技術活動を結び付ける強い意思を示す言葉だということ。これは例外はない。御承知のように、我が国はGDPの3.5%をR&Dに使っている。これは世界第1位の数字である。そのうち8割を民間が出して、2割を国が出している。したがって、イノベーションという言葉は、この8割と2割を一緒に考えるんだという強い国の意思の言葉だと考える。これが第1点。
 第2点は、民間と国を結び付けるには、国も民間的な制度改革のイノベーションを行わなければいけない点。例えば、国が支援する大学のイノベーション力を上げろと言うわけだが、多くの制度改革が必要である。努力に関係なく給料が一定だということは国際的にあり得ない。民間でもあり得ない。一生懸命研究をやっている人も、やらない人も給料が一緒だというのは、やはり超社会主義的な遺産だと思う。国際標準からもこういう点を直さなければいけない。  第3点は、イノベーション、イノベーションと叫んでいたって何にもならないということだ。では一体イノベーションとは何だと、こういうふうに考えるべきである。無から有を生むのがイノベーションだというような二流の考えはやめた方がいいと思う。
 イノベーションというのは、私は高度な模倣から出発して、全く異なった考えを接ぎ木して初めて出てくると考えたい。
 例えば庄山さんが見せてくれたハードディスクも結局、いろんなところでつくっているが、それを縦に記録するというのは、これは全く競争的模倣から出てくる。これを私はエミュレーションと言っているが、イノベーションは、高度な模倣から始める。例えば中国はまだ高度な模倣の段階だが、ひょっとすると、全く新しいものを接ぎ木するということになれば、日本も恐れなければならない。日本は、まだまだエミュレーションという力が強いと思う。


【阿部議員】
 19年度予算についてお願いを申し上げさせていただきたい。
 これまで、SABC等によりまして、総合科学技術会議は選択と集中で随分頑張ってきた。
 そうすると、なるべく科学技術ではないところで予算要求をしたいと。科学技術に行くと、SABCでぎりぎりやられるということを聞いたことがある。これは聞いただけだが、これからは総理も言うように、科学技術はとにかく重点的に伸ばしていくところで、ほかの予算とは違うので、各大臣にお願いしたいのは、是非科学技術の中で予算要求をたくさんして、いいものにしていただきたいということである。


【小坂議員】
 まず、「国際競争を勝ち抜く人材立国の実現」、あるいは「『戦略重点科学技術』への優先的な資源配分」ということで、第3期の基本計画の内容が適切に反映された。まずもって感謝を申し上げたい。
 昨年の本会議でも議論があった、研究資金の「不合理な重複」や「過度の集中」というものを防いで、そして限られた資源を有効活用するために、文部科学省としても平成19年度までに府省庁の共通の研究開発管理システムというものを構築しておきたい。
 ある意味で、各省庁が重複して出すのは、それはいい研究という評価もあるが、過度の集中によって無駄が生じているという批判もある。それをしっかりシステムとして管理したい。
 また、国際的に魅力ある大学院の構築等を通じた優れた人材の養成は非常に重要であり、これについては既に申し上げているが、研究者の生活環境も含めた魅力的な環境構築ということが必要だと認識している。
 更に、研究開発を担う教職員の人件費や大学施設の充実などの基礎的、基盤的な経費の確実な措置をしつつ、教職員の人件費については、薬師寺議員の言ったような意味合いもここに加味していきたいと考えており、また科学研究費補助金等の競争的資金を拡充することによって、基礎研究を推進して、イノベーションの種を創出し、その成果を国民や社会に優先的に還元できるというシステムづくりに腐心したいと思っている。
 また、同時に産学連携については、イノベーション創出に向けた産学連携というのは、基礎的な研究を、どこでだれが行い、また、需要家である企業の方が、今、どのような商品開発を手がけているか、また将来の商品計画にどのようなものがあるか、これはかなり前の段階からコミュニケーションを図っていないと、実を結ばないので、そういった初期段階からのコミュニケーションが図れるようなマッチングのシステムというものが必要である。
 それについては、黒田議員の言ったような、すばらしい仲人さんがそこには必要だと思うわけだが、そのスクリーニングを経た上でマッチングが新しいITの中でできるようなイノベーション出会い系というものが必要である。そこに適切なコーディネーターが必要だと考えている。


【小池臨時議員】
 2つの点でお願いをしたい。
 科学技術の面のイノベーションの話を聞かせていただいた。私は政策でもイノベーションは可能だと思っていて、その典型がクール・ビズだと考えている。これによって社会変革をもたらすということで、イノバティブな取組をさせていただいたかと思うが、勿論究極の目的は地球温暖化の防止ということである。
 ほかにも循環型社会の構築という大きなテーマがあるが、いずれにしても第3期の科学技術基本計画で、引き続き環境は重点推進4分野の1つとしていただいているので、大変心強く感じている。
 それから、この中で選択と集中ということもあるが、この観点を重視しながら、環境と経済の好循環、そして持続可能な社会の構築を実現して、科学技術基本計画の推進にも貢献していきたいと考えているので、この分野での資源配分について是非とも御配慮をお願いしたい。
 もう一点は、沖縄担当大臣としてだが、阿部議員が、期せずして、世界最高水準の本格的研究拠点づくりということを言っていただいた。
 既に御承知のように、沖縄科学技術大学院大学構想というのが進んでおり、去年の9月にはそのための独立行政法人整備機構、いわゆる整備機構が設立して、ノーベル賞受賞者のシドニー・ブレナー先生に理事長になっていただいたところである。
 また、12月には関係閣僚申し合わせで、7年程度以内を目途に大学院の実現を期するということの考え方も踏まえていただいて、この構想が推進されているところである。あともう少し最近の御報告をすると、今年4月からキャンパスの実際の建築関係のものが進みつつあり、4月から事務局とか研修宿泊のためのキャンパスの場所においてその建物ができ、リノベーションをしたが、それをベースにして今年度は本格的な施設整備のための環境アセスを行って、そして造成工事に入っていくということである。
 ただ、問題は中身で、そこにどうやって海外から優秀な研究者を連れてくるのか、そのリクルートの問題、それから周辺環境整備など、やはり研究者の方々もそれぞれライフスタイルを守っていかないと、継続的な研究につながっていかないということもあるので、ここは余りシャビーな形にしないで、この際しっかりと世界最高水準という拠点を沖縄の方に持ってきてくださるということは沖縄にとっても大変重要な意味がありますので、是非ともその点御留意をいただきたい。


【谷垣議員】
 今後の科学技術予算、やはり第2期のときに比べて、財政事情が格段に厳しくなっているということは申し上げざるを得ないわけで、その意味で予算要求の中身を精査していく必要があると考えている。
 今日の御提言をうかがっておりますと、これは結局科学技術システム改革を着実に進めて選択と集中を徹底し、そういうことで政府研究開発投資の効果を最大限発揮させていこうというお考えだろうと思うが、それは私どもも基本的に方向性は共有しているつもりでございます。
 そこで、今後議論を深めていただき、先ほど文科大臣からもお話があったところだが、研究費配分の不合理な重複などを避けるためのデータベースの構築であるとか、あるいは競争的研究資金の配分に際して、的確な目利きができるような審査体制を強化させるといったようなことに取組をいただきたいと思っている。
 それから、研究開発投資について、国民経済や国民生活にどういう成果をもたらしたのかを定量的にも説明していただいて、その評価を費用対効果というような面も含めて厳格にやっていただいて、いわゆるSABC等にも反映させるような取組もお願いしたい。
 いずれにせよ、投資効果を最大限発揮させる取組が、この会議のリーダーシップの下で更に充実されていくことを心から期待している。


【菅総務副大臣】
 3期の基本計画の本格実施に当たって、戦略重点科学技術に優先的に資源配分をすることは、非常にうれしいことだと思う。
 このことは国民への説明責任というのを徹底しなければいけないと思っており、私ども総務省としては情報通信技術に関して周知・啓発に取り組んでおり、具体的には毎年5月15日から6月15日までの1か月間、情報通信月間として、全国においてセミナーや展示会などを行っている。
 ちなみに17年度の行事数というのは356回で、参加人数は約139万人である。今後もこうした機会を通じながら科学技術に対する国民の理解の増進に努めていきたい。


【猪口臨時議員】
 女性研究者の活躍促進について、唱え続けると実に道は開けるという感じがしている。阿部先生が説明くださった資料の最初と2番目のページにも文言が入っている。18年度の予算では、文科省を中心に女性の研究者に注目した研究と育児の両立支援のための環境整備等、非常に御配慮ある予算拡充が実現した。是非19年度においても、同じようにお願いしたい。
イノベーションの議論については、先ほど接ぎ木と薬師寺先生はおっしゃったが、たしかに多様性が確保でき、異なる考えと出会うときに何かクリエイティブなものが生まれるのではないかと思うので、その第一歩としても女性研究者の活躍促進をよろしくお願いしたい。



(2)理数教育の抜本的充実に向けて

 科学技術創造立国の基盤は人であり、優れた人材の育成なくして我が国の成長はあり得ない。米国などでも、科学技術政策の観点から、理数教育の強化が図られている。
 そこで本日は、我が国の理数教育の抜本的充実に向けた改革の方向性について、資料2−1(PDF)に基づき阿部議員から説明。
 各大臣に対して、本日の理数教育の充実策の具体化に向け、対応して頂くようお願いした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【黒田議員】
 百聞は一見にしかずということで、高校の教科書を持ってきた。
 国際科学オリンピックに出るには、これ(アメリカやイギリスの厚い教科書)をやってないと出られない。また、内容が全然違う。面白い。もう楽しくって、どんどん読んでいけて、ネットのリンク先が書いてありますから、自分でどんどん勉強していくことができる。CD−ROMが付いている。重くて持てないくらいだが、是非手に取って見ていただきたい。
 とても面白くて、自分でどんどん読んでいける。こういうものを勉強しないと、オリンピックは受けることができないぐらい、もうまるでレベルが違う。これが、日本の理科教育の現状である。
 アメリカは、この前の”Rising above the gathering storm"の中で、2010年までに大体4割の高校生がこの試験を受けて、そして20%の合格を目指すと目標設定した。今は大体その3分の1である。それを2010年までに合格者をトップの20%にすると言っている。日本の飛び級というのは、ごく一部の人だけである。やはり日本のフィギュアスケートが強くなったのも、野茂でも、城島でも、イチローでも出てくるのも、やはり優秀な層がある程度あったからである。だから、ほんの一部の人ではなくて、理科の好きな人、理科の得意な子が、ある程度インターナショナルレベルをやらない限り、日本の理科教育はだめではないか、ということを、非常に強く、危機として感じている。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 みんなオリンピックに勝つような訓練をやっているんだから、日本の理数教科が好きな青少年にオリンピックに勝てるような訓練をするクラス編成を考えればいいじゃないですか。訓練していけば興味が出てきますよ。


【黒田議員】
 問題は練習の前。そこまで全然教えてはいけないとなっている。それは何とか総理大臣にしていただかないと大変なことになると思っている。百聞は一見に如かずですので、重さと中身の美しさを是非各大臣も見て欲しい。


【薬師寺議員】
 文科系の学生もきちんと理数をやる。そうしないと、科学技術に対して理解が出来ない。


【黒田議員】
 理系をやらないでいて、今、組換えDNAがどうのこうのと言ってもわからないのは当然。習ってないのである。
 中国の教科書はちょっと貧弱に見えるかもしれないが、内容は非常に深い。例えば、ドリー必須の生物に入っている。みんなが学ぶものに入っている。ドリーのクローニングまで入っている。これが中国。そして、中国人の知人が日本に12年住んでいて、お子さんを日本で教育を受けさせた。中国に帰省すると、うちの子たちは2年前にそんなこと習ったと言われる。日本の教育は2年遅れていると言われる。これは小学校、中学校の話。


【小坂議員】
 教科書の薄いことに対しては真摯に受け止めたい。ただ、ドリーについての記述等々は、日本の高校の教科書でも入っている。そういうものもあるが、ただ、厚さは歴然としているので、もう少しインターネットのサイトのリンクとか、いろんな工夫も必要だと思うし、それから読んでいて興味の湧く教科書をつくるというのは必要なことだと思う。
 そもそも学習指導要領の点からもう食い違っているので、その辺についてやはりこういう現物を中央教育審議会の委員の皆様も御存じだと思うが、改めてそういったことも含めて検討をお願いしてみようかと思っている。


【菅総務副大臣】
 たまたま総務大臣と日本を代表する家電メーカーの社長との懇談会を先週の金曜日にやったが、そのときに、庄山議員のところの古川新社長を始め、日立、東芝、三菱、松下、シャープ、三洋、それぞれのトップの人が全く同じことを言っていた。このままでいったら、日本の理数教育をしっかりしないと国がおかしくなるから何とかしてほしい。そういうことを、それぞれのトップの人が強く私どもの大臣に言っていたので、披露させていただく。


【松田議員】
 思いを一致させていただくことができたと思う。総理の御指示もあり、理数教育の抜本的充実に向けて、各大臣ひとつ頑張っていただくようお願いしたい。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
 みんなオリンピック頑張るぞ。



(3)最近の科学技術の動向

 地球観測衛星の「だいち」について、資料3(PDF)に基づき薬師寺議員から説明。



(4)その他

 科学技術に対する理解増進に向けた取り組みについて、資料4(PDF)に基づき松田議員から報告。



2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 いつも皆さん方に教えられます。科学の重要性と、これからの明るい将来のために何が必要か。今日いろいろ皆さんから伺った意見を、実際の予算とか行政で生かすように、是非とも政府を挙げて努力していきたいと思いますので、各大臣、よろしくお願いいたします。
 先ほど小池大臣からお話がありました沖縄の世界最高水準の大学院、日本人半分、外国人半分を集めて、世界最先端、最高水準の大学院を沖縄につくるために、政府を挙げて、せっかくつくることを決めているのですから、先生方も沖縄に最高の頭脳が行けるような環境をつくってください。そうすると、沖縄も沖縄出身者を特別配慮しなくていいと言っているんだから、沖縄に世界最高水準の日本人の学生と外国人の学生がいる。そこに価値があるんだと、沖縄もそれを認めているんだから、かなり大量の資金を投じて大学院を今つくっているんだから、総合科学技術会議でよく配慮していただきたいと思います。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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