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平成18年度 総合科学技術会議(本会議)
第56回総合科学技術会議議事要旨
(開催要領)
1.開催日時:2006年6月14日(火)18:03〜19:00
2.場所:総理官邸4階大会議室
3.出席議員
議長
小泉 純一郎
内閣総理大臣
議員
安倍 晋三
内閣官房長官
同
松田 岩夫
科学技術政策担当大臣
同
竹中 平蔵
総務大臣(代理 菅 義偉 総務副大臣)
同
谷垣 禎一
財務大臣
同
小坂 憲次
文部科学大臣
同
二階 俊博
経済産業大臣(代理 西野 あきら 経済産業副大臣)
同
阿部 博之
同
薬師寺 泰蔵
同
岸本 忠三
同
柘植 綾夫
同
黒田 玲子
同
庄山 悦彦
同
原山 優子
同
黒川 清
(臨時)
同
中川 昭一
農林水産大臣(代理 三浦 一水 農林水産副大臣)
同
小池 百合子
沖縄及び北方対策担当大臣
(議事次第)
1.開会
2.議事
(1)
イノベーション創出総合戦略について
(2)
平成19年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針について
(3)
安全に資する科学技術推進戦略について
(4)
最近の科学技術の動向
(5)
その他
3.閉会
(配付資料)
資料1
イノベーション創出総合戦略(案)(PDF)
資料2−1
平成19年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針について −科学技術による成長戦略−(PDF)
資料2−2
平成19年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針 −科学技術による成長戦略−(案)(PDF)
資料3−1
安全に資する科学技術推進戦略(PDF:274KB)
資料3−2
「安全に資する科学技術推進戦略」概要(PDF)
資料3−3
安全に資する科学技術推進戦略(PDF:353KB)
資料4
最近の科学技術の動向 −光通信にイノベーションをもたらす最先端のものづくり技術−(PDF:481KB)
資料5−1
第4回産学官連携功労者表彰 受賞者のご紹介
(1)(PDF:491KB)
、
(2)(PDF:421KB)
資料5−2
平成18年度科学技術振興調整費による「重要政策課題への機動的対応の推進」課題の指定について(PDF)
資料6
第55回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)
* 議事概要中の資料はPDFファイルです。
(会議概要)
1.議事概要
(1)イノベーション創出総合戦略について
資料1(PDF)
の「イノベーション創出総合戦略(案)」については原案どおり決定し、総合科学技術会議から内閣総理大臣及び関係大臣に対し意見具申することとした。
(2)平成19年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針について
資料2−1(PDF)
に基づき、岸本議員から説明。意見交換が行われ、
資料2−2
(PDF)の「平成19年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針(案)」については、原案どおり決定し、総合科学技術会議から内閣総理大臣及び関係大臣に対し意見具申することとした。
本議題に関しての議員の意見は以下のとおり。
【黒田議員】
科学技術が将来の日本を支えるということはまさにそのとおりである。
ところが、現状は最先端の科学技術の研究に使う装置とか試薬に外国のものが多い。これはどういうことかというと、予算のかなりが海外に流れていくということになる。評価のためにもインパクトファクターの高い雑誌に多数の論文を掲載するということになると、やはり一番よい海外の装置や試薬を使うという例が多くなってしまう。これは大変残念なことだと思う。
統計によると、病気の診断関係だけでも年に5,000億円の入超である。これは私たち大学の先生たちが一番頼りにしている科研費の2.5倍であって、これから高齢化社会になればもっとこれは増えていくであろうということであるから、この図式を変えないといくら科学技術に予算を出しても海外が潤うということになる。
それをどうして止めるかというと、やはりイノベーションは基礎研究しか生まれない。それから、基本特許も基礎研究でしか生まれないということである。
ただ、時間はかかる。10年から15年かかるので、そここそよく理解をして明日への投資へとつないでいかないといけないということだと思う。第1期、第2期でかなりポテンシャルはできているので、この第3期で切ってしまうというようなことではなく、これをしっかりと10年、15年先のイノベーションあるいは日本発の分野、日本発の装置であったり、ツールであったり、産業であったり、そういうものに起こしていくというふうにしていかないと、せっかくの投資も意味がなくなるということであるので、長い目でもってイノベーションを起こしていくということをよく御理解いただきたいと思う。
【柘植議員】
今年の資源配分方針の副題に「科学技術による成長戦略」と書いてあるように、現在策定中の経済成長戦略大綱の実行と表裏一体の極めて重要な方針だと思う。
言うまでもなく、我が国の国際競争力を科学技術イノベーションによって強化して世界をリードする新産業群を創出する。これに結び付く資源投入を一層拡充すべきである。要は、このイノベーションプロセスのネットワーク強化と連続性を保ちながらも、上流側の今、黒田議員が発言した研究への投資のマネジメントと、下流側の開発投資のマネジメントを明確に分けた資源投入、一種のポートフォリオ経営を導入することだと思う。
産業人の私の経験からすると、研究と開発の2つを明確に分けずにマネジメントをすると投資は失敗する。イノベーション創出総合戦略の分類によると、前者の研究開発はイノベーションの源の潤沢化とイノベーションの種が実に育つかどうかという研究段階の投資であって、研究の失敗を許しながら人材育成も含めてしっかりと続けねばならない投資である。
一方、後者の開発投資は今までの10年間、約40兆円投入している。この研究投資の成果に基づいて、明確なイノベーションと新産業群の創出に結び付く道筋を明確にした投資である。同時に、成果を競争原理の産業に渡すまでのいわゆる死の谷を渡る国家投資でもあるわけである。投資金額が大きいわけで、成果達成時期も含めて目標必達のマネジメントと責任体制が必要となる。極めて厳しい財政事情の下で、明日への投資である科学技術関係予算の拡充枠は、この研究と開発、それぞれにメリハリを付けて分配投資すべきである。
特に開発投資は、策定中の経済成長戦略大綱がねらっている新産業群の創生や資源エネルギー政策等に関する技術開発などの10から20の新経済成長戦略プロジェクト群に絞り込んで、これに拡充枠の相当部分を投入することが肝要だと思う。
このような観点から科学技術関係予算の拡充を図り、これを活用して従来の各省庁の枠を超えた新経済成長戦略プロジェクト投資枠をつくる。これによって、各責任府省が積極的に科学技術関連事業拡充に参加できるようにするということが肝要だと思う。
【薬師寺議員】
少子高齢化が顕在化した以降の国と社会を担う次の世代に対して2つの責任があると思う。1つ目は、財政的負担も含めて社会的負担を残さないということ。2つ目は、その社会的負担を残さないためにも科学技術が大きな責任を持つということ。
そのためにも、私どもは19年度の予算のプログラムを評価する際に、今よりも一層厳しい選択と集中を促し、見る覚悟である。とりわけ国民への説明責任のないプロジェクトは大幅に見直す。これは方針の中にも書いてある。それから、他省と連携せずに自省の利益だけを考える重複プロジェクトは大幅に排除する。同時に、次なる世代のために今日の労働生産性を維持し、国の勢いを担保するためには科学技術改革を進めていかなければいけない。このままではやはりだめで、改革イノベーションを進めていかなければいけない。恐らく抵抗勢力が強いと思うが、我々はそれに向かって不退転の覚悟でやる必要があると思う。
第1に、既存の研究体制と競合するような新しい研究体制というものを我々はつくっていく。イノベーション創出総合戦略の中の最初のページに、世界から見た拠点を我々はつくるんだと。それには抵抗勢力はあるが、それを頑張っていく。それから、第2に、イノベーションを引っ張る制度改革を我々は進めていく。したがって、各省は19年度の予算を組むに当たって、今までと違って戦略的に構想していただき、骨太の科学技術プログラムを是非提案していただきたいと思う。
【小池臨時議員】
先ほど、平成19年度の予算の資源配分の方針ということで御説明いただいた。その重点課題として、国際競争を勝ち抜く人材立国の実現、科学技術の戦略的国際化の推進ということが挙げられているわけであるが、御承知のように沖縄科学技術大学院大学構想を進めているわけであり、是非ともそこが全く今、白地であるということのプラス面を生かしていただき、是非ともそこにおける集積をしたい。
また、沖縄は昨今、米軍再編のことで注目を集めているが、やはりこれからもっと知的メッセージを国内のみならず世界にも発信できるような、そういう島に変えていくことが必要ではないかと思っている。
総理からも、沖縄に最高の頭脳が行けるような環境をつくれということで、既にキャンパスの方の設計なども進めているところである。仏壇の方はだんだん整いつつあるわけであるので、そこに本当に世界の最高の頭脳という仏様を入れる作業を是非ともよろしくお願いを申し上げたい。
【菅総務副大臣】
今回の資源配分方針は、先ほど御説明があったように選択と集中に徹底をする。そして、戦略重点科学技術に重点を置くということであったが、総務省として2つお話をさせていただきたいと思う。
1つは情報通信であるが、既に市場規模126兆円、全産業の中で最大であり、雇用者数も360万人となっており、更にこれから我が国の経済成長の発展を牽引できるものと思っている。その中で我が国がリードする光通信とモバイル技術、この戦略重点科学技術の研究開発に私ども全力で取り組んでいきたいと思っている。
もう一つ、消防庁も所管をいたしており、大規模災害等、例えば、テロの現場などで毒ガスだとか、あるいは放射能漏れだとか、そういうときに化学物質の検出とか映像を伝送できるようなロボットを今、開発をしており、18年度から消防隊に配備を予定しているが、こうしたこともこれからの安全・安心を考えたときに極めて大事であると思っており、私どもも全力で頑張っていきたいと思っているので、よろしくお願い申し上げたい。
【西野経済産業副大臣】
お話があったとおり、予算の資源配分については、内閣の方で経済成長戦略大綱を取りまとめており、その中のイノベーションの促進、それから人材育成の強化についてしっかり取り組んでいく必要があると思っている。経済産業省としても、そういう意味で世界最高のイノベーションセンターというものができるために、いわば新産業群の創出をしっかりやっていかなければならないと思っている。
具体的には今、総務省からも少しあったが、医療、あるいはロボットなどの先端的な技術領域におきまして、関係の府省や大学、産業界とも提携をしながら強化をしてまいりたいと考えている。
【三浦農林水産副大臣】
資源配分方針については、端的に予算にメリハリを付けていくことが同様に重要だと感じている。農林水産の分野では、19年から5年間にわたって新農政2006を実施していく。その中で、高血圧症に非常に効果があるということで商品開発を行い、市場規模も120億程になってきたという好事例を持つ発芽玄米ギャバという製品もあるが、新食品、新素材の創出による新産業分野の開拓の数値目標を、現状の約200億から700億程度に5年間で上げていこうといったようなことも目標で持っている。
また、バイオマス燃料の実用化、あるいは国内農業の体質強化のために食糧供給コストを少なくとも2割、これから5年間で削減をしていくというふうな重点目標を掲げ、選択と集中を図ってまいりたいと考えている。
【阿部議員】
今いろいろ御意見があったことと関連があるが、小泉総理の御発言にあったように、厳しい財政事情の中で科学技術予算を重点的に伸ばしていくという方向であるが、先進国はもちろんだが、中国も含めて科学技術政策の私のような仕事をしている連中と会って意見交換をすればするほど、総理は世界の動向を的確に見通されたというふうに感じ、それはまさに総合科学技術会議の責任が大きいということにもなるのだろうと思う。
そのときに、やはりこの科学技術予算を効率的に使っていく場合に、日本の科学技術を取りまく諸制度、慣行に随分世界標準からずれているものが散見されるのではないかというふうに思う。相当よくなったと思うが、まだまだの部分もあると思うので、その改革を合わせて進めていくということが喫緊の課題だろうと思う。
もちろん科学技術予算についてもメリハリを付けていかなければいけないわけであるが、まずそのために、各省が省レベルに加えて局、課レベルにおいても従来とは抜本的に異なった予算要求への知恵を出していただくことが不可欠であり、御指導のほどを切にお願い申し上げたいと思う。
総合科学技術会議としてもメリハリの徹底、薬師寺議員が言われたことを更にやっていかなければいけないわけであるが、それとともに国全体としての財政の健全化と明日への投資である科学技術予算の強化の2つのいわば方程式を解く。その解を求める必要があるわけであり、19年度予算はまさにそのための試金石だと考えているので、御指導をよろしくお願い申し上げる。
【黒川議員】
今日は小池大臣が来られて沖縄大学院の話をされたが、私も関わっているので一言申し上げたい。
前回も申し上げたが、これは将来への投資であると言ったし、薬師寺議員からもあった新しいシステムでイノベーションをつくるということでは、この沖縄の大学院構想ほど適切なものはないと思っている。まだできていないので皆さん信じていないかもしれないが、いよいよキャンパスのプランが上がり目で見えるようになってくるが、この間も申し上げたように結構世界でも注目されており、本当にやるぞと言っている。
そこで、沖縄というところでは明らかに今までの大学のシステムでは出る杭であり、出る杭をいじめるのか、伸ばすのかということが国の意思として今テストされていると思う。特に米軍のいろいろな話があって、沖縄でこういうセンターをつくるということは世界的にも日本的にも非常に意味のあることで、これについてはいろいろな抵抗勢力があるのは十分承知しているが、これからできてくるものを今まであるものと一緒の評価をしてつぶすのか。そんなことをしてはとてもいけないわけで、これが国の意思としてアジアへの、それから世界への窓としての、世界のメッセージとして明らかに伝わるようにしていきたいと思っている。すぐには結果は出ないと思うが、イチローでさえも名伯楽がいて育て上げ、5年してアメリカに行き、世界のイチローになる。そこは温かい目でどうやって応援するかということが国の意思として今、問われているのではないだろうかと思うので、是非そのような視点で、これも温かくしばらく見ていくと、全く新しい入れ物で全く新しいシステムが出てくるだろうということを確信しているので、是非その辺の御理解をいただいて、これは国、国家の意思であり、世界への窓である。これは出島だということを是非意識していただきたいと思っている。
【原山議員】
科学技術への投資というのは非常に重要であると、皆さんの認識するところである。しかしながら、投資に対していかに効果的に使うか、効率よく使うかが大きな課題となる。その辺も我々は手当てしながら進んでいかなくてはいけないと思っている。
まさに今回提示した予算の資源配分の方針というのはある意味では処方せんに当たるものであり、処方せんを出した後にはその後のモニタリングというものが必要になってくる。医療においては、対処することに対しての測定機器とか測定方法が既に存在するわけだが、イノベーションに関してはこういうツールがなかなかないわけである。本格的に、より効果的な資源配分を可能にするためにも、早急にこういうツールというものを開発しなければいけないと認識している。
このような課題というのは日本だけが背負っているものではなく、アメリカ、ヨーロッパ、OECDのメンバー国においても同じような議論がなされている。一つの考え方として協調しながら、共同作業でもってこのような測定方法というものをインキュベートすることも重要だと思っている。
このような基盤というものを日本発で発信することも非常に重要だと思うので、御協力のほどをよろしくお願いしたい。
【庄山議員】
先日、新聞紙上で報道されたが、電気ならびに精密の国内大手11社の研究開発費は昨年よりも5.4%増の3兆5,000億円になるとのことだ。これは過去最高で、11社だけで18年度の科学技術関係経費にもかなり近い研究開発費ということになる。産業界としても、第3期25兆円という政府の力強い政府科学技術予算の伸びに同期して、研究開発に積極的に投資をしていこうということであり、国を挙げて国際競争力のある日本にしようという官民一体となった科学創造立国の姿勢がこういう形で現れているのではないかと思っている。
しかし、この数字は常に諸外国との比較ということになるわけであり、2000年から2004年の政府科学技術予算の伸びを見ると、日本が2.4%に対して、アメリカや中国、韓国は皆10%を超えていて、各国が国力の源泉として科学技術予算というものに力を入れているということを示している。
激しく変動する経営環境の中で、私ども企業も研究開発費を一定以上に維持してやっていくの、は将来に向けた存続と発展のための投資という考え方でやっている。研究開発投資をしないで利益を上げるというようなことができれば、これは理想なのであるが、日本の社会経済の一端を担うメーカーとしても、経営が苦しいときでも研究開発投資に手を抜くということはないようにしているわけである。
第3期は第2期に比べても更に厳しい財政事情にあることは十分承知しているが、総合科学技術会議としても徹底した無駄の排除をしつつ、明日の我が国のために集中すべきところは思い切って集中したメリハリのある施策を推進していくべきだと思っている。
それから、イノベーション創出総合戦略に盛り込まれた基礎研究の重要さに加えて、やはり戦略重点科学技術についても是非思い切った重点投資をして開発の加速をすることが重要だと思っており、これらのことが明日の日本をつくるものと確信している。
また、研究開発のテーマの選定に当たっては、産業界としても利用サイドとしての出口からのアプローチを積極的に進めてまいりたいと思っている。
特に各省庁の今後の科学技術予算の在り方であるが、やはり科学技術というのは利用者側からもいろいろなことを要望しないと進歩しないものであり、利用者側の省庁からの科学技術の恩恵を受ける施策についての要望が大切だと思っている。イノベーションを生み出す科学技術に投資することこそが選択と集中の第一歩ではないかと思っている次第であり、是非各省庁ともに科学技術への予算のシフトということをお願いしたいと思っている。
【岸本議員】
科学、芸術、スポーツで突出した成果が生み出されていく場合、必須の要件というものは競争的な環境である。そこで最も重要なこと、それは厳正で透明性のある審査と評価である。これが少しでも恣意的になると、競争的環境は根底から崩れる。そこに参加する人々をディスカレッジする。
科学研究費の資源配分において、もし万一、学会のボスや、官僚や、政治家による恣意的な意向が入ることが少しでもあったとしたら、いわゆる随意契約的なことが研究費の配分にもしあったとしたら、すべてはだめになる。それならば競争的ではなくて、全員に均等に少しずつ配分する方がずっとましだと言える。
それをなくすためにはどうするか。利害関係のない人を審査評価に加えることである。国際的な審査システムである。私のところには、アメリカの財団やヨーロッパの機関等から研究費申請の審査、研究者の昇進等の判断等に関する問合せがたくさんくる。日本も科学予算に関する書類の少なくとも要約は英文にして、外国の研究者に参加してもらうことである。通信手段の進歩は世界を一つにしている。
研究費の配分問題や使用の不正の是正は、このような方法を着実に遂行する以外に方法はないと思う。不正や重複があるから競争的な研究資金の拡充をためらうとしたら、それは角をためて牛を殺すということになるのだと思う。
【谷垣議員】
資源配分方針の取りまとめに向けて御尽力いただいた皆様に、心から敬意を表したいと思う。今回の資源配分方針は、大変重要な点が織り込まれていると思っている。
1番目は、優先順位付けについて去年以上にメリハリのついたランク付けを実施するとされている。2番目に、研究開発データベースなど早急に整備して研究費配分の無駄を徹底排除するということである。3番目は独立行政法人、国立大学法人等の科学技術関係活動の把握あるいは所見取りまとめを強化するという点である。4番目に、第2期計画の投資成果を国民に向けてわかりやすく取りまとめて、成果が不十分なものは大幅に見直していくということも言っていただいている。5番目に、競争的な研究環境の醸成に向けて、世界的な知見を有する者の審査員への登用であるとか、英語による審査を促進するといったようなことも盛り込んでいただいており、いずれも大変重要なポイントだと思う。
今、政府与党では歳出歳入一体改革、特に歳出削減方策について大変厳しい議論が行われており、予算全体についても厳しい見直しが求められているわけであるが、科学技術についても、あれもこれもということではなく、やはり選択と集中の一層の徹底といったことをやっていただき、真に必要な経費を精選していただく。これまで以上に厳しく見直すということが求められていると思っている。
私が財務大臣になったときに総理からいただいた指示の一つに、予算の質的向上ということがあったが、科学技術予算についても選択と集中等々、一層徹底していただき、科学技術予算の効率化というか、質の向上を図らなければならないわけであるが、総合科学技術会議がそのための知恵袋として大きな役割を果たしていただけるものと思っており、心からその点を期待するものである。どうぞよろしくお願いする。
【小坂議員】
方針に関する意見の表明に先立ち、本日の読売新聞にあった件であるが、早稲田大学の理工学部教授が国の研究費の一部を不正に受給している嫌疑が持たれている。文部科学省としては、大学に対して結果の報告を正確かつ迅速に行うように依頼しており、今後早稲田大学からの報告の内容を踏まえ、しかるべき対応をしてまいりたい。
資源配分の方針であるが、第3期基本計画の内容が適切に反映されており、心から感謝申し上げる次第である。今後これをしっかり実施することがまずもって必要なことと考えている。
世界トップレベルの研究拠点については、「イノベーション創出総合戦略」に示されているイメージを踏まえつつ、研究拠点形成に向けた取り組みの具体化を図ってまいりたいと考えている。その際、大学の教育研究については、教員・研究者の自由な発想に基づいて自主的・自立的に活動を行えるという特性に配慮することが必要であると考えている。
国家基幹技術を始めとする戦略重点科学技術については、資源配分方針に基づき投資の重点化を図るとともに、社会的・経済的価値の実現や、イノベーション創出の中核的な領域としての役割を果たすべく、文部科学省としても責任を持って推進してまいりたいと考えている。
国際科学オリンピックであるが、総理からも取り組みの強化につき御指示があったところであり、今後内閣府と連携をし、参加者の裾野の拡大や我が国の代表生徒の活躍に資する取り組みの強化を図ってまいりたいと考えている。
具体的には、化学、物理、生物学、数学、情報と5分野あるが、それぞれに対して国内予選の参加者の拡大と、合宿型・通信教育型の代表選手の強化訓練等を合わせて強化する方針で臨んでまいりたい。今回、参加者も各部門ぎりぎり全許容人数いっぱいの23名を送り出すというような形で、理数に対する強化の一つのきっかけにしたいと考えているところである。
また、産学官の連携につきましては、お手元と言いたいところだが、随行の方にお持ちいただくようにいたしたが、e-seeds.jp(イー・シーズ・ジェーピー)というホームページ、それからこのような事例集、「成功・失敗事例に学ぶ産学官連携の新たな展開へ向けて」をまとめており、このような冊子にして全国に配布したいと考えている。出会いの場としてのe-seedsを開設するとともに、産学官の連携の成功・失敗事例集については、先般京都で開催されました産学官連携推進会議で企業、大学等の関係者を始め広く配布をし、大変に好評であったものである。
【松田議員】
小坂議員から科学オリンピックについての御発言があったが、これについては総理の御指示もあって、いわば知のオリンピックとも言うべき国民的な行事にすべく内閣府、文科省がよく連携して一体となって取り組んでいきたいと考えている。
(3)安全に資する科学技術推進戦略について
安全に資する科学技術推進プロジェクトチームにおいてとりまとめた安全に資する科学技術推進戦略について、
資料3−1(PDF)
に基づき、薬師寺議員から説明。 松田大臣より、関係大臣が本戦略に則した取組を推進するよう要望した。
(4)最近の科学技術の動向
光通信にイノベーションをもたらす最先端のものづくり技術について、
資料4(PDF)
に基づき柘植議員から説明。
(5)その他
第4回産学官連携功労者表彰について松田議員から説明。
平成18年度科学技術振興調整費のプログラム、「重要政策課題への機動的対応の推進」の指定課題について、
資料5−2(PDF)
に基づき、松田議員から説明。
科学技術システム改革専門調査会の廃止について松田議員から説明。
2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言
他の予算は減らしても科学技術は明日への投資だということで、増やさなければならないということで増やしてきた。今後ともこのイノベーションの問題のみならず、メリハリを付けて、産官学の連携、各府省の連携をとって科学技術立国に相応しい予算をつくりたいと思うので、協力をよろしくお願いする。
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