市場開放問題苦情処理推進会議報告書のフォローアップについて(平成7年6月5日)
平成7年6月5日
OTO本部事務局
平成6年5月13日に取りまとめられた市場開放問題苦情処理推進会議報告書「基準・認証制度等に係る市場開放問題についての意見」を受けた政府としての対応の実施状況について、以下の通り報告する。
1.食品、衛生、医療関係等
1-(1) グレープジュース濃縮液の規格基準(JASマーク)の国際的整合化
○ 問題提起者:在日オーストラリア・ニュージーランド商業会議所、駐日オーストラリア大使館
○ 所管省庁:農林水産省
○ 報告書における検討結果
ぶどう果汁のJAS規格について、白系ぶどう果汁に対応するため、所要の改正を行う。
○ 対応状況
ぶどう果汁のJAS規格について、白系ぶどう果汁に対応するため、果実飲料の日本農林規格(JAS)を改正(平成6年10月告示、11月施行)し、従来のぶどうの搾汁の基準値のほかに、白系ぶどうの搾汁の基準値を設定した。
1-(2) 植物防疫制度の改善
○ 問題提起者:在日オーストラリア・ニュージーランド商業会議所、駐日フランス大使館、駐日オーストラリア大使館、駐日コロンビア大使館
○ 所管省庁:農林水産省
[総 論]
○ 報告書における検討結果
植物防疫措置については、我が国への病害虫の侵入を阻止するため必要な範囲で、根拠、検査等の手続等を明確にし、科学的根拠に基づいて行うとの方針の下、改善措置を講じるための条件を明確化して協議を進め、速やかに結論を得る。
○ 対応状況
各論を参照。
[各 論]
(1) 輸入時の検査等における害虫の取扱
○ 報告書における検討結果
検疫の対象としない害虫を可能な限り明確に示すことを将来的な課題として、今般の問題提起に係る以下の害虫等が国内で分布するものと同一の系統であるかを実証する方法の開発を推進するとともに、こうした手続につい
ての国際的合意の形成に向けての国際植物防疫条約(IPPC)事務局におけるペスト・リスク・アナリシス等の作業に積極的に参画する。
・ニュージーランド産のキウイから発見されるナミハダニ。
・同国産のアスパラガス等から発見される害虫及びオーストラリア産の切り花の害虫(輸出国検疫当局からの具体的な病害虫の提示を受けて対応。検疫に当たっての標本の抽出方法及び大きさについては、申立者の要望に基づき提供する。)
○ 対応状況
国際連合食糧農業機関(FAO)の植物検疫措置に関する専門家委員会(Commitee of experts on Phytosanitary Measures -CEPM)に、平成6年5月及び平成7年5月に委員を派遣した。この会合では、植物検疫に関する基準案の検討が行われた。また、病害虫の危険度の評価等の基準の検討を行っている基準作成ワーキンググループ会合には、平成6年8月及び平成7年3月に出席した。両会合とも、今後も積極的に参画していく予定である。
ニュージーランド産のキウイから発見されるナミハダニについては平成7年4月に供試体の提供を受け、薬剤抵抗性比較試験の準備を行っている。
ニュージーランド産のアスパラガス等から発見される害虫及びオーストラリア産の切り花の害虫については、相手国から具体的な病害虫の提示を受け次第、適切に対応していくこととしている。
(2) 輸入禁止植物の解禁
○ 報告書における検討結果
解禁のための条件及び手続等についての具体的な情報を十分に提供し、以下の対応を取る。
・フランス産のりんごについて、同国からの解禁要請を受けて両国の専門家間で行っている技術的検討を速やかに進める。
・オーストラリア産のりんごについて、同国が実施している追加試験の結果を受けて解禁手続を速やかに進める。同国産のマンゴウについて、同国との植物検疫専門家会合において検疫措置についての最終合意を得て、解禁手続を速やかに進める。
・コロンビア産ピタヤについて、同国専門家の受入研修等技術協力を積極的に行い、他の果実について、同国からの具体的要望を待って、それぞれ蒸熱処理による輸入解禁について専門家協議等の場で検討する。
○ 対応状況
フランス産のりんごについては、平成6年5月に専門家協議を開催し、フランス側で行うべき試験について合意し、現在フランス側で殺虫試験を実施している。その試験データが提出され次第、その技術的評価を行う予定である。
オーストラリア産のりんごについては、同国から平成6年10月に追加試験データが提出されたが、りんご生果実に寄生したコドリンガが完全に殺虫されることを証明する試験において試験規模が小さすぎ安全性の評価ができないので、平成7年4月に補足試験データの提出を受け、現在その技術的評価を行っている。同国産のマンゴウについては、オーストラリア側の検疫措置に問題がないと認められたため蒸熱処理を行うこと等一定の条件の下に、平成6年10月、輸入を解禁した。
コロンビア産ピタヤについては、平成6年5月にコロンビア専門家3名の受入研修を行っており、平成7年4月には、蒸熱処理によるチチュウカイミバエ殺虫のための技術協力受入体制等の調査のため、コロンビアに専門家を派遣したところである。今後この調査の結果を踏まえ、効果的な技術協力の方針を策定する予定である。その他の果実についてはコロンビアからの具体的要望を待って、輸入解禁について検討していくこととしている。
(3) フルーツ・フライ・エリア・フリーダムの指定
○ 報告書における検討結果
オーストラリアから問題提起のあったフルーツ・フライ・エリア・フリーダムの指定地域の拡大について、同国からの具体的データの提出を受け、米国等が認めた際の調査結果をも活用して、速やかに所要の確認を行う。
○ 対応状況
平成6年7月オーストラリア当局から提出のあった現地におけるミバエの発生状況、エリアフリーダムの対象として提案のあった果樹園の状況、ミバエが発見された場合の措置等の詳細なデータについて米国が認めた際の調査方法も参照し、総合的に検討しているところである。技術的評価が終了し、エリア・フリーダムを認めて差し支えないと判断された場合には、必要な検疫措置の合意、公聴会の開催、省令改正の手続を取ることになる。
(4) 低温処理
○ 報告書における検討結果
オーストラリア産のオレンジ及びレモンの低温処理の日本側植物防疫官による確認について、検査負担の軽減方策を十分に検討し、関係当局間で速やかに調整する。
○ 対応状況
オーストラリア産のオレンジ及びレモンについては、低温処理を行うことが輸入解禁の条件であるが、日本側植物防疫官による処理確認の結果、温度記録の不備等の事例が認められたことから、平成6年9月に開催された日豪植物検疫定期協議においてオーストラリア側に具体的事例を示し低温処理の適切な実施を要望している。今後オーストラリア側の低温処理実施の改善状況及び検疫上の安全性を勘案し、低温処理実施確認に関し検査負担の軽減に資するべく日豪植物防疫官の業務分担を検討していくこととしている。
(5) 輸出前検疫制度
○ 報告書における検討結果
コロンビア産切り花についての輸出前検疫制度の導入について、平成5年4月の同国からの要請を受け、同年9月に両国の植物検疫システムの概要を文書で交換したところであり、その可能性の検討を速やかに進める。
○ 対応状況
コロンビアとはその後平成6年3月、7月と文書の交換による検討を続けてきたが、平成7年3月には、日本側から年間を通じて安定した輸出量があるかどうか、検査施設の体制整備等について最終的な質問を行っており、これらの条件が整うことが確認できた場合には、両国間の合意事項について速やかに、通達を発し、同国において輸出前検疫を実施する。
なお、その実施に際しての条件の確認として、上記質問事項に対するコロンビアの回報結果に基づき、同国への植物検疫の専門家を派遣し、切り花の輸出前検査のための事前調査を行うこととしている。
(6) 我が国の制度についての理解の増進
○ 報告書における検討結果
我が国の制度についての英文資料等については、理解をより容易にする等の観点から内容の充実を図る。
○ 対応状況
平成7年3月に我が国の植物検疫制度の全体像についての英文資料(QUARANTINE OF IMPORT PLANTS AND PLANT PRODUCTS) を作成し、在外公館、在京大使館等に配付したところで、今後も配付していくこととしている。
1-(3) 酪農製品の検査手続きの簡素化及び外国検査データの受入れ
○ 問題提起者:駐日オーストラリア大使館
○ 所管省庁:農林水産省、厚生省
○ 報告書における検討結果
(1) (財)日本乳業技術協会が(特)畜産振興事業団の委託を受けて食品衛生法に基づいて実施している指定乳製品の輸入検査については、輸入食品等事前確認制度の施行のもとで、外国検査データを受け入れる。
(2) 同協会が「畜産物の価格安定等に関する法律」(畜安法)及び「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」(不足払い法)に基づいて実施している検査については、外国検査データの受入れの可能性に関し、できるだけ速やかに問題提起者と意見交換を行い、早期に結論を得る。
(3) 同協会における現行の検査基準・方法については、詳細な英文のガイドブックを作成する。また、外国検査データを受け入れることとした場合には、その検査基準・方法について分かりやすく申立者に示す。
(4) 先般施行された輸入食品等事前確認制度(輸出国登録制度)については、所要の条件を満たす工場、食品等を申請を受けて速やかに登録する。その際、オーストラリアの第一次産業エネルギー省検疫検査局の登録データを活用することを検討する。
○ 対応状況
(1) 輸入食品等事前確認制度は、平成6年3月に導入された制度であるが、平成7年2月に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)基準認証小委員会及びFAOの主催する食品の輸入手続に関するワークショップ(キャンベラ)においてその広報を行い、本制度の普及に努めたところである。輸出国政府を通じて書面により申請があれば、速やかに審査を行い、日本の衛生基準を満たしている場合には、当該工場、食品等を登録し、輸入時の検査を省略することとしている。
したがって、本制度の下で輸入される乳製品については、現在(財)乳業技術協会が行っている食品衛生面の検査は不要となる。
(2) 平成6年7月に在京オーストラリア側関係者と、また、平成7年2月にはオーストラリアにおいてオーストラリア酪農庁関係者と意見交換を行い、畜安法及び不足払い法に基づく溶解度等品質面の検査項目については通関上必要とされるものではなく、ユーザーからの要請を踏まえ、輸送中の事故による品質劣化等を調べるという意義も有する等の旨を説明した。今後は、商取引上の意見交換を継続していくことで合意している。
(3) (財)日本乳業技術協会における現行の検査基準・方法についての詳細な英文のガイドブックを作成し、平成6年7月にオーストラリアに手交し、説明した。
(4) (1)を参照。
なお、登録に際しての、検疫検査局の登録データの活用については、オーストラリア側からの申請に対する審査の中で検討する。
1-(4) PEF(乳脂肪と植物油の混合油)に係る分析方法の日-Nz間の整合化
○ 問題提起者:在日オーストラリア・ニュージーランド商業会議所
○ 所管省庁:大蔵省
○ 報告書における検討結果
相互理解の増進の観点から、日本、ニュージーランド両国担当者による意見交換を速やかに行う。
○ 対応状況
平成6年6月、大蔵省関税中央分析所において、ニュージーランド酪農公社東京事務所及び在日ニュージーランド大使館と大蔵省関税中央分析所との間の意見交換を行い、PEF(乳脂肪と植物油の混合油)について、両国の分析手法を互いに確認した。
ニュージーランド側からは、日本の分析手法に十分な理解が示された。
1-(5) 輸入食品検査の改善に係るオーストラリアの検査システムの採用、特に地方空港における日持ちのしない食料品についての検査サービスの拡大
○ 問題提起者:駐日オーストラリア大使館
○ 所管省庁:厚生省
○ 報告書における検討結果
輸入食品等事前確認制度について、輸出国政府が、当該国の施設・食品等の基準が食品衛生法の基準に合致している旨証明した場合には、当該国が証明した点を踏まえて登録を行う。
地方空港における輸入食品に係る検査業務については、具体的改善要望がある場合には適切に対処する。
○ 対応状況
輸入食品等事前確認制度については、平成6年3月に導入されて以降APEC基準認証小委員会(平成7年2月)及びFAOの主催する食品の輸入手続に関するワークショップ(平成7年2月)において広報を行い、制度の普及に努めているところである。今後とも、輸出者等に対する制度の説明を行うとともに、各国政府と協議を行い、更なる制度の普及を図ることとしている。
なお、平成7年3月には、本制度に基づき米国から申請された食品(ミネラルウォーター)の登録をした。
オーストラリアからも登録の申請があれば、速やかに審査を行い、日本の衛生基準を満たしている場合には、当該工場、食品等を登録し、輸入時の検査を省略することとしている。登録に際してオーストラリアの第一次産業エネルギー省検疫検査局の登録データを活用することについては、オーストラリア側の具体的提案を待って検討する。
地方空港の検査業務については、名古屋空港について、食品の輸入実態を踏まえ、平成7年4月、平日の業務を行う時間を3時間延長し、午後8時までとし、福岡空港についても本年6月から同様の体制を取ることとしている。その他の空港については、食品の輸入実態、人員の整備を踏まえて検討することとしている。
1-(6) 逆浸透膜型浄水器の日本水道協会による型式承認
○ 問題提起者:駐日米国大使館
○ 所管省庁:厚生省
○ 報告書における検討結果
(1) 今般問題提起のあった逆浸透膜型浄水器について、速やかに型式承認の可否を決定する。
(2) 給水装置の型式承認の申請に対しては適切かつ迅速に対応するとともに、技術革新の進展や新製品の市場参入への迅速な対応の観点から、型式承認制度の改善について速やかに検討を進める。
○ 対応状況
(1) 問題提起のあった逆浸透膜型浄水器については、(社)日本水道協会が型式承認を行った。(平成6年10月)
(2) 型式承認制度の改善については、給水装置に関する検討会を設けて検討を行い、(社)日本水道協会に対し、適切な措置を講じるよう指導を行った。この指導を受けて、同協会においては、型式承認申請手続及び審査方法について、型式承認申請の随時受付を行う、審査についての事務局の裁量範囲を拡大する等の簡素・合理化を行い、申請に対してより迅速に対応できるよう措置した。(平成6年9月)
なお、厚生省は(社)日本水道協会の講じた措置のフォローアップを行っていくこととしている。
1-(7) 化粧品及び香水の輸入に係る規制の緩和
○ 問題提起者:駐日フランス大使館
○ 所管省庁:厚生省
○ 報告書における検討結果
(1) フロッピーディスクを用いた申請・審査システムを平成7年度より導入する等により手続の迅速化について積極的に対応を進める。
(2) フォルムアルデヒドから製造される成分の使用の可否について、中央薬事審議会における検討を早急に進める。
○ 対応状況
(1) 医薬品、医薬部外品及び化粧品の承認・許可について、従来の書面による申請のほかフロッピーディスクを利用した申請を可能にするため、薬事法施行規則を平成7年2月改正した。
この新しい申請・審査システムについて、地方自治体に対しては、主管課長会議等の場で周知を図っているところであり、関係事業者に対しては通知のほか、FD申請説明会の実施により広報している。さらに、円滑な運用を図るため、自治体等への操作マニュアルの送付や操作法の研修を実施しているところである。
(2) フォルムアルデヒドから製造される成分の使用の可否については、中央薬事審議会において、当該成分の安全性等について審議を進めているところであり、現在、当該成分の安全性、有効性に関するデータ等に関する指示事項への回答の作成や安全性情報の収集を申請者が行っているところであり、これらが得られ次第審議の促進を図ることとしている。
2.工業関係等
2-(1) 衣料品の取扱ラベルに関する基準の緩和
○ 問題提起者:経済団体連合会
○ 所管省庁:通商産業省
○ 報告書における検討結果
国内消費者の利便を踏まえて国内規定の十分な定着を図るとともに、規格・基準の国際的整合化の観点からISO(国際標準化機構)規格にJIS規格を整合化させる方向で検討を進める。
また、衣料品の取扱ラベルのJIS規格において、禁止事項を赤色で表示する規定については、規格・基準の簡素化のため、JIS規格を改正し削除する。
○ 対応状況
衣料品の取扱ラベルに関するISO規格には、取扱ラベルを表示する際に必要となる「試験・評価方法」の規定がないため、試験・評価方法の規定を設けるべく、ISOのTC38(繊維に関する専門委員会)/SC11(繊維及び衣類の取扱表示に関する分科委員会)/WG3(試験方法及び基準に関するワーキンググループ)において、実質的審議が平成6年から始められたところであり、我が国としてもISOの審議に積極的に参加している。
今後も、ISOの審議に引き続き参加するとともに、その結果を踏まえ、ISO規格にJIS規格を整合化させる方向で検討を進める。
また、ISO規格へのJIS規格の整合化についての検討が終了した段階で、説明会の開催等新しい国内規定の十分な定着を図るための諸措置を講じつつ、JISを引用している繊維製品品質表示規程の見直しについて検討を進める。
なお、衣料品の取扱ラベルに関するJIS規格において、禁止事項を赤色で表示する規定については、生産者、使用者等から成る日本工業標準調査会の審議を踏まえ、平成7年3月に同規定を削除した。
2-(2) ラジアタ松に係るJAS規格の改善
○ 問題提起者:在日オーストラリア・ニュージーランド商業会議所
○ 所管省庁:農林水産省
○ 報告書における検討結果
(1) JAS143(針葉樹の構造用製材)について、平均年輪幅に関する基準に代えて髄心部又は髄に関する基準を設定する可能性について、速やかに技術的検討を進める。
(2) JAS702(機械による曲げ応力等級区分を行う2×4工法用製材)について、材縁部における節の量と強度との相関関係について共通の理解を得るよう速やかに意見交換を行う。
(3) JAS601(集成材)及びJAS2054(構造用大断面用集成材)の規格改正作業に当たっては、ラジアタ松をより上位の等級に区分する可能性、及び個々の製材についてその都度等級区分を行う基準の導入を併せて検討する。
○ 対応状況
(1) JAS143(針葉樹の構造用製材)については、平成6年5月在京ニュージーランド大使館と打合せを行って試験方法を提示し、試験データの提出を依頼しているところであり、必要な試験データの提出を受けた後、1年間を目途に規格の改正を行うこととしている。
(2) JAS702(機械による曲げ応力等級区分を行う2×4工法用製材)については 、平成6年5月在京ニュージーランド大使館と技術的な問題について意見交換を行ったところであり、今後とも引き続き意見交換を行うこととしている。
(3) JAS601(集成材)及びJAS2054(構造用大断面用集成材)については、両規格を統合した新たな構造用集成材規格の制定作業を進めているところである。この中で、ニュージーランドの意見を踏まえ、ラジアタ松を含めた樹種区分を見直すとともに、集成材を構成する個々の板であるひき板について曲がりにくさを示す曲げ応力を測定し、これに基づいて等級区分を行う制度を導入することとしている。このことにより、個々の製材毎に等級区分を行うことも可能になる。
以上の制度改正については、JAS専門委員会及びJAS調査会の開催等を行った上で、WTO通報等の必要な手続を経て、新たな構造用集成材のJAS規格を本年11月を目途に告示する予定である。
2-(3) ガス内燃式自動釘打器の銃刀法に基づく所持許可制度の撤廃
○ 問題提起者:駐日米国大使館
○ 所管省庁:警察庁
○ 報告書における検討結果
今般問題提起のあったガス内燃式自動釘打器の場合、現時点で銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)の規制の対象から除外することは不適当であるが、今後は、安全機能の開発を待って、凶器としての使用可能性の面から、引き続き規制の対象とする必要があるかどうか適宜見直していく。
また、所持許可手続の簡素化により使用者・販売事業者の利便を図るため、都道府県警察本部あての通達により、審査書類の統一、代理申請の容認、簡易な手続による代替器の使用の容認等の改善を実施する。
○ 対応状況
所持許可手続の簡素化により使用者・販売事業者の利便を図るため、平成6年6月の都道府県警察本部あての通達により、審査書類の統一、代理申請の容認、簡易な手続による代替器の使用の容認等、報告書に挙げられた全ての措置を実施した。
また、今般問題提起のあったガス内燃式自動釘打器については、今後、安全機能の開発を待って、凶器としての使用可能性の面から、引き続き銃刀法の規制の対象とする必要があるかどうか適宜見直していく。
2-(4) 高圧冷媒回収装置についての米国基準との整合化及び代替冷媒の使用承認
○ 問題提起者:駐日米国大使館
○ 所管省庁:通商産業省、建設省
○ 報告書における検討結果
高圧冷媒回収装置に関する日米の基準の重複する部分について、外国検査データの受入れの観点から意見交換を行う。
政府調達における代替冷媒の使用については、通達の改正により、オゾン破壊係数が0の冷媒(HFC134a)を使用した遠心冷凍機を平成6年度より建設省の営繕工事においては対象としており、HCFC123については、オゾン破壊係数が0ではないため、対象としないことについて問題提起者の理解を得る努力を継続する。
○ 対応状況
高圧冷媒回収装置に関しては、平成6年4月に、日本の基準及び検査方法等の資料を米国側(米国冷凍空調工業会(ARI))に示した。更に、平成6年10月にARIの担当者が来日した際には、具体的な検査方法等の補足説明を行っている。
今後は、米国側から、両国の検査項目が重複し検査を省略できると考えられる項目についての提案があり次第、米国の検査データの受入れの可否について検討する。
なお、ARIの担当者が来日した際には、政府調達における代替冷媒の使用についても説明し、理解を求めた。
2-(5) 電動車椅子の規格基準の国際的整合化
○ 問題提起者:駐日英国大使館
○ 所管省庁:通商産業省
○ 報告書における検討結果
販売上の問題が他にあるかについて問題提起者に照会し、問題があれば関係者間で協力の上、適切に対応する。
○ 対応状況
電動車椅子のJIS規格の基準においては、問題提起者が要望している「最大寸法」について「特に指定がある場合にはその限りでない」と定めているため、JIS規格に定める最大寸法以外の寸法の電動車椅子についてもJIS規格の対象から排除されているわけではない。したがって、JIS規格の寸法以外の他の基準を満たす場合は、当該車椅子がJIS規格に適合している旨を製造業者等が宣明しても問題はない。このことについては、既に問題提起者に説明しており、他に販売上の問題があれば適切に対応することとしている。なお、現在まで問題提起者から、販売上の問題についての指摘はなされていない。
3.運輸・交通関係
3-(1) 自動車及び自動車部品の規格基準の国際的整合化及び外国検査データの受入れ
○ 問題提起者:欧州ビジネス協会
○ 所管省庁:運輸省
○ 報告書における検討結果
(1) 完成検査について、製造業者の品質管理体制に組み込まれている適切な検査方法により行うことを認め、また、検査方法の適否について簡易な書面審査による。こうした方針の一層の明確化及び周知のため、通達を発し、型式指定の取得の円滑化を図る。
(2) 排出ガス発散防止装置の耐久試験に係る外国検査結果に基づく劣化係数の受入れに際して、米国と同様のエンジンファミリーの考え方を受け入れる方向で、平成6年中に結論を得、速やかに実施する。また、製造業者が米国の耐久試験に代替的なものとして各個に考案する試験方法による劣化係数の受入れについては、個別に説明を受けて検討する。
(3) 熱害警報装置の義務付けについて、エンジンの失火状態等を検知して警報する又はエンジンの失火状態等を検知して燃料供給を止める等の新機構と熱害警報装置との同等性について、平成6年中に結論を得ることを目途に検討し、同等であれば受け入れる。
○ 対応状況
(1) 完成検査については、製造業者の品質管理体制に組み込まれている適切な検査方法により行うことを認めてきており、その運用の一層の弾力化にも努めてきている。また、検査方法の適否については簡易な書面審査によることとしている。こうした方針の一層の明確化及び周知を図るため、平成6年7月、通達「型式指定を受けた車両の完成検査の運用について」を発した。
(2) 排出ガス発散防止装置の耐久試験に係る外国検査結果に基づく劣化係数の受入れに際しては、平成6年12月、通達「『長距離走行実施要領等について』の一部改正について」により、排気量が一定程度異なるエンジン(米国でエンジンファミリーとして扱われているエンジンを含む。)の試験により計測された劣化係数の準用を認めるよう既に措置したところである(平成7年1月より実施)。また、製造業者が米国の耐久試験に代替的なものとして各個に考案する試験方法による劣化係数の受入れについては、個別に説明を受けて検討することとしている。
(3) エンジンの失火状態等を検知して警報する装置又はエンジンの失火状態を検知して燃料供給を止める装置を備えた自動車については、熱害警報装置との同等性が確認できたことから熱害警報装置の装着義務を課さないこととし、さらにこれらと同等の機能を有すると認められる装置を備えた自動車についても同様の措置を取る方針を平成6年12月に決定した。
現在、このための省令改正を準備中であり、平成7年7月を目途に省令の公布及び施行を行うこととしている。
3-(2) 電気自動車用電池に関する国内規制の緩和
○ 問題提起者:経済団体連合会
○ 所管省庁:自治省
○ 報告書における検討結果
ナトリウム-硫黄電池について、電気自動車用電池として使用する場合の安全性等について平成6年度から検討を行い、その結果を踏まえ、自動車の電源として一般に使用される場合等の取扱について早急に検討を進める。
○ 対応状況
平成6年度において、消防関係者、学識経験者及び関係業界の代表者で構成する「Na-S電池(ナトリウム-硫黄電池)に係る安全性の調査検討委員会」を設置し、電気自動車用電池として使用するナトリウム-硫黄電池の開発状況、構造、特性、危険要因、安全性について、調査・検討を行った。この過程で、外国においてナトリウム硫黄電池の事故が相次いで発生したこと等から生産が中止されたことが明らかとなった。また、このため、上記委員会においても、ナトリウム-硫黄電池を入手できず実験等が行えなかったことから、安全性についての確認を得ることができなかった。
なお、平成7年2月3日付けで、問題提起者から推進会議事務局に対し、ナトリウム-硫黄電池の生産・販売が中止された結果、本件に関する要望が消滅した旨の報告がなされた。
3-(3) 自動二輪車に関する規制の緩和
○ 問題提起者:駐日米国大使館
○ 所管省庁:警察庁
○ 報告書における検討結果
(1) 高速道路における自動二輪車の二人乗りの適否について、最近の大型自動二輪車の二人乗り走行の安全性について、問題提起者から提出されるデータ等の検討を行い、安全性に問題がなければ規制を見直す。
(2) 大型自動二輪車に係る免許について、指定自動車教習所における教習を修了し、技 能検定に合格した者に対し、公安委員会の行う技能試験を免除する制度を導入する方 向で、法令の見直しを含め速やかに検討を行う。
また、総排気量400ccを境に異なった技能試験を課すことの適否について、事故の頻度とエンジンの大きさの相関関係について問題提起者からデータの提出を得て、引き続き検討を行う。
(3) 高速道路における自動二輪車の制限速度について、根拠となるデータを速やかに問題提起者に明示する。
○ 対応状況
(1) 問題提起者から、その後、新規のデータ等の提出はできない旨の回答があったことから、今後の対応について検討している状況である。
(2) 大型自動二輪車に係る免許制度については学識経験者等や国民一般の意見を聴き、総合的に検討を行った。その結果、総排気量400ccを超える大型自動二輪車を制御し、安全に運転するためには高度な運転技能やその特性について十分な知識が必要となることから、現行の自動二輪車免許を廃止し、総排気量400ccを境に大型自動二輪車免許及び普通自動二輪車免許を設け、それぞれの車両特性に応じた技能試験を課すこととするとともに、大型自動二輪車免許について指定自動車教習所における技能検定制度を導入することとした。こうした制度改正のため、道路交通法の一部改正案を、平成7年2月閣議決定し、第132回通常国会に提出、本法案は4月に成立し、公布された。
今後は、上記法改正に係る下位法令等の整備を行い、平成8年度を目途に改善措置を実施する。
(3) 高速自動車国道における自動二輪車の速度制限の根拠となるデータを問題提起者に明示したが、上記データについて問題提起者から不十分なデータであるとの認識が示されたため、過去の事例に即した調査・分析等を行い、概ね1年後を目途に追加資料を問題提起者に明示することを考えている。
3-(4) アルミニウム製カー・フェリーについての国際基準をベースとした国内基準の早期確定
○ 問題提起者:駐日オーストラリア大使館
○ 所管省庁:運輸省
○ 報告書における検討結果
規格・基準の国際的整合化を推進する観点から、国際海事機関(IMO)における高速船に関する国際基準の検討作業に積極的に参画し、その基準発効(平成8年)にあわせて、可能な限りその基準に整合した国内基準を整備する。
○ 対応状況
IMOの委員会等に出席し、国際基準の策定作業に積極的に参画した(平成6年2月、5月等)。
高速船(アルミニウム製カーフェリーを含む)に関する国際基準は、国際海事機関(IMO)で議論、平成6年に採択され、平成8年1月に発効する予定である。
我が国は、その基準にあわせて高速船に関する国内基準を整備する予定であり、具体的には船舶構造関係法令等の改正を行い、国際基準の発効する平成8年1月を目途に国際基準との整合化を図る予定である。
4.建設関係
4-(1) 鋼構造建築物の耐火性能試験の国際的整合化
○ 問題提起者:駐日米国大使館
○ 所管省庁:建設省
○ 報告書における検討結果
(1) ISOにおける国際標準の改訂後速やかに耐火性能試験方法の国際調和を図ることとし、このため建設省総合技術開発プロジェクト「防耐火性能評価技術の開発」(平成5〜9年度)を実施する。
耐火性能試験について、同プロジェクトの中で、国際調和に向けての検討の方向付けを行う。
試験実施方法について、所要の実験により安全性を確認した上で改訂案を取りまとめる。
(2) 外国関係機関との協議により、本件に係る制度を含め、建築分野における相互認証制度の導入を推進する。
○ 対応状況
(1) ISO(国際標準化機構)での試験方法の改訂作業を踏まえながら、耐火性能試験方法の国際調和化を図るため、引き続き、建設省総合技術開発プロジェクト「防耐火性能評価技術の開発」を実施する。この検討に際しては、従来の加熱試験に加えて、載荷加熱試験を我が国に導入することを基本とするという方向付けを平成6年6月に行った。
更に、平成6年11月には、上記プロジェクトの成果を踏まえて、耐火性能試験方法の一部(鋼材温度の平均の取り方、鋼材の最高温度の測定時点)について国際整合化を行ったところである。
(2) 本件に係る制度を含め、建築分野における相互認証制度の導入を推進するため、外国関係機関との協議を進めている。各国関係機関との協議成立を踏まえ、速やかに相互認証制度の導入を行う。
(注)
加熱試験:
耐火被覆された鋼材等を加熱炉で所定の温度で一定時間加熱し、鋼材の温度が定められた最高限度を越えないか試験するもの。
載荷加熱試験:
耐火被覆された鋼材等を、負荷を与えた状態で加熱炉で所定の温度で一定時間加熱し、変形の程度等が、定められた限度を越えないか試験するもの。
4-(2) 壁紙(内装材料)の認証制度の国際的整合化
○ 問題提起者:駐日米国大使館
○ 所管省庁:建設省
○ 報告書における検討結果
外国製壁紙について、十分な防火性能を持つものについては、通則的認定の対象とし、性能試験を簡素化する。また、問題提起のあった製品の防火性能について問題提起者と意見交換を行い、所要の条件に該当するものについては、通則的認定の対象として取り扱う。
外国人事業者等に対する情報提供を充実する。
○ 対応状況
問題提起者側には、日本の防火材料の認定制度と試験方法等について、平成5年10月以降適宜説明を行ってきた。
通則的認定の仕組みについては、平成6年4月、建築・住宅関係国際交流協議会にこれらの制度についての相談窓口を設けたところであるが、外国人事業者が日本の防火材料の認定を受けるにあたり、日本の建築基準や通則的認定の仕組み等について理解できるように、分かりやすく説明をした英文のパンフレットを、平成7年3月、作成した。
4-(3) 特殊二階建て構造物に係る試験・認証要件の緩和
○ 問題提起者:駐日米国大使館
○ 所管省庁:建設省
○ 報告書における検討結果
今般問題提起のあった二階建て建築物の特性を適切に評価する構造計算方法により迅速に安全性を審査する。
○ 対応状況
所管省庁において、申請者との意見交換に基づき、本件の構造を適切に評価する構造計算方法の検討を進めたところ、申請者より、当該方法に基づいて安全性を評価する資料が準備されたため、平成7年4月、指定機関において技術審査の申請を受理した。
技術審査終了後、その評定書をもって、建築基準法第38条に基づく建設大臣認定の申請がなされれば、認定手続きを進める。
5.輸入手続関係その他
5-(1) 戦略物資に該当する物品を返品輸出する場合の手続の簡素化
○ 問題提起者:経済団体連合会
○ 所管省庁:通商産業省
○ 報告書における検討結果
戦略物資の返品輸出に係る許可権限を通商産業大臣から税関長に委任する制度について、包括許可の普及状況を踏まえ、対象地域の拡大について所要の見直しを行い、今後とも可能な限り手続の簡素化を図る。
○ 対応状況
平成7年4月から、戦略物資をクレーム処理等のため返品輸出する場合の許可権限を税関長に対して委任する範囲を拡大し、欧米諸国等向けの返品輸出をその対象に追加した(従来は、旧共産圏諸国等及び欧米諸国等を除いた地域向けの返品輸出がその対象であった)。
(参考)
なお、戦略物資の輸出規制に関連する制度として輸出許可・承認を必要としない旨を証明する非該当証明制度があるが、その改善を図るため、必要な調整を行った上で簡素化のための措置を検討し、早期に結論を得、平成7年度中に実施する。
5-(2) JISイアーブックの改善(国際基準との関係の明記)及び国際基準への整合化
○ 問題提起者:在日オーストラリア・ニュージーランド商業会議所
○ 所管省庁:通商産業省
○ 報告書における検討結果
JISイアーブックについて、国際規格との関係を速やかに明記する。
JIS規格の国際規格への整合化に努める。
○ 対応状況
海外の利用者等の利便に資するため、JIS規格と国際規格との整合関係について、平成6年8月発行のJISイアーブックにおいて明記した。
また、WTO/TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)に基づき、気候、地理的な要因などの例外分野を除き、JIS規格の国際規格への整合化に努める。
なお、国際規格への整合化を促進するため、平成7年度中にJIS規格の国際規格への整合化状況の調査を実施するとともに、調査結果に基づき3年以内に国際規格への整合化のために必要な措置を講ずる。