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市場開放問題苦情処理推進会議報告書のフォローアップについて(平成9年5月12日)

平成9年5月12日
OTO本部事務局

平成8年3月18日に取りまとめられた市場開放問題苦情処理推進会議報告書「基準・認証制度等に係る市場開放問題についての意見」を受けた政府としての対応の実施状況について、以下の通り報告する。

1.動植物・食品関係

1-(1) 輸出前の生果実の蒸熱処理のための植物防疫官の派遣

○ 問題提起者:駐日タイ大使館

○ 所管省庁:農林水産省

○ 報告書における検討結果

タイ側で将来マンゴウの処理施設の増加等があっても業務に見合う日本側植物防疫官の派遣を行うとともに、以下の対応をとる。

(1) 蒸熱処理については、現場であったとされる問題事例等に係る事実確認をまず行う。

(2) 日本側植物防疫官による確認を不要とすることの可能性及びそのための条件(例えば適切な設備と研修を受けた技術者の配置)について、日・タイ間で早急に話し合いを行う。

(3) 費用の問題については、たとえ派遣するにしてもその滞在期間を全体として短くする等の簡素化を行う等、タイ側の負担軽減の可能性及びそのための方策について、日・タイ間で早急な話し合いを行う。

○ 対応状況

日・タイ経済協議農産物専門家会合(平成8年4月26日)等において、以下の対応がなされた。

(1) 現場であったとされる問題事例については、基本的であるが重要な技術的措置の実施に問題があったこと、具体的には温度センサーの調整の不備、施設における開孔部の締め切りの措置の不備等の事実があったことを確認した。

(2) タイ側も蒸熱処理施設の維持管理に問題があったことについては認識しているため、日本側植物防疫官の派遣の必要性を認めた。

(3) 費用の問題については、両国の連絡を密にし、日本側植物防疫官の必要最小限の滞在日数を設定することにより、両国が合意し、タイ側の負担軽減を図っているところである。

1-(2) 輸出果汁に係るJAS規格の一部変更

○ 問題提起者:日本貿易会

○ 所管省庁:農林水産省

○ 報告書における検討結果

(1) 平成7年11月に検討を始めた果汁のJAS規格の改正について、平成8年度中を目途に具体案をまとめる。その際、輸入果汁の実態も踏まえつつ、なるべく包括的に(産地毎の規格ではなく)規格を設け、国際規格を十分勘案するとともに輸入品を十分視野に入れる。また、改正の検討にあたり、具体的な要請を受け、サンプルやデータの提出を待つではなく、外国のデータについても自ら広く収集するなど前向きな取り組みを推進する。

(2) 今回の改正の検討にあたり、オレンジ果汁における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素、灰分については、国際規格には規定されていない項目であるという点も踏まえ、果汁のJAS規格におけるその必要性につき、早期に結論が得られるよう努める。

○ 対応状況

(1) 果実飲料のJAS規格の改正の具体案が、平成9年3月21日、農林物資規格調査会(JAS調査会)専門委員会(技術)で了承された。改正案の検討にあたっては、主要な果汁飲料の原料原産国である米国、ブラジルなど外国の品質データ等を調査し参考にするとともに、食品の国際規格であるコーデックス規格との整合化を図った。今後同専門委員会(消費者)、同食品部会の了承を得て、事前意図公告、官報告示を行い、平成9年度末までに施行する予定である。

(2) 今回の改正にあたり、コーデックス規格にないオレンジ果汁(酸度を規定しているのは濃縮果汁のみ)における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素、灰分などの品質要件を削除し、品質要件は主にブリックス(糖分などの可溶性固形物)等によるものとした。

1-(3) 動物用飼料添加物の指定制度の見直し

○ 問題提起者:日本貿易会

○ 所管省庁:農林水産省

○ 報告書における検討結果

飼料添加物の野外効果試験に係る外国データの受け入れによる国内試験の簡素化については、飼料添加物の安全性の確保等にも十分配慮した上で平成8年度中を目途に農業資材審議会での検討結果をとりまとめ、それを踏まえた対応を行う。

○ 対応状況

農林資材審議会飼料部会安全性検討委員会における検討を経て、平成9年2月5日の第18回農業資材審議会飼料部会において、「飼料添加物の評価基準」の見直しについて、OECD理事会における「化学品GLP-OECD原則」(化学物質の安全性及び毒性試験等の各種試験成績の信頼性を保証するための措置)改定作業等を踏まえて検討することが答申された。

今後、平成9年度中を目途に、農業資材審議会飼料部会での検討及びそれを踏まえた答申を受け、その後速やかに「飼料添加物の評価基準の制定について」(農林水産省畜産局長、水産庁長官連名通達)の改正を行う予定である。

1-(4) 食肉中の薬物残留基準の国際的整合化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 報告書における検討結果

(1) すでに国際基準が設定されているものについては、食品衛生調査会における検討スケジュールを明確化し、できる限り速く、国際基準との整合性を図る。この場合、残留基準設定予定の動物用医薬品とその設定時期を明確にし、公表する。

また、国際機関における基準設定作業がある程度の段階に達したら、当該動物用医薬品の残留基準の設定の準備に着手できるかぎり早く残留基準の設定を行う。

(2) 国際基準が未設定であっても、資料収集を行い、米国、EU等の基準値を受け入れることも含めて、食品衛生調査会の意見を聴き、早急に国内の残留基準の設定を進める。

また、残留基準設定の必要性が高いと考えるものについては、安全性に関する資料を国際機関に提出する等、国際基準の設定に貢献する。

(3) 食品中の動物用医薬品残留基準の設定に関する食品衛生調査会での審議の一層の迅速化を図る。

(4) 個別の動物用医薬品に係る残留基準の設定につき、内外の要望等に基づきプライオリティリストを作成し、設定の時期的目途を含め平成8年度中に内外に公表する。

○ 対応状況

(1) FAO/WHO合同規格委員会において食品中に残留する動物用医薬品の国際基準(コーデックス基準)が勧告されたものは12物質あるが、我が国において既に基準値を設定していた(平成7年12月、施行は平成8年7月)オキシテトラサイクリン等6物質に加え、スルファジミジン等の5物質について、平成9年3月に基準値を設定した(平成9年10月施行予定)。

(2) 安全性等に関する資料の収集及び残留基準設定の必要性が高いと考えられる物質の国際基準設定への貢献については、毒性評価を行う国際機関(JECFA)において我が国の委員を通じ、幅広く資料の収集を行うとともに、安全性に関する資料の提出も実施している。

(3) 動物用医薬品の残留基準の設定に当たっては、個別専門的な評価(毒性や薬剤耐性等)を行う分科会の活用により、食品衛生調査会での作業の合理化を図り審議の迅速化を進めているところである。

(4) 残留基準値を設定する動物用医薬品についてプライオリティーリストを公表し(平成9年3月)、その中で、早急に基準値設定を検討する品目(モキシデクチン等4物質)及び必要な資料が整備され次第、基準値設定を検討する品目(アザペロン等14物質品目)を示したところである。

2.医薬品・医療用具・化粧品関係

2-(1) 「栄養補助食品」の位置づけの明確化と規制の緩和

○ 問題提起者:在日米国商工会議所、日本貿易会、東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 報告書における検討結果

中長期的に医薬品と食品の区分方法について、食品素材や成分に対する規制の緩和を含め、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を取ることを検討する。

形状(剤型)の制限については、消費者において自ら正しい選択ができ、両者を混同しないように明確に食品(栄養補助食品)として適切な表示がなされれば、廃止または大幅な規制緩和を行う。

表示の制限については、消費者の利益を第一に考え、食品においても適切な摂取方法や栄養補助的効能、注意表示等について表示ができることが必要との観点から、消費者が自分に必要なものを的確に選択できるような表示を可能とする。通常海外において食品として流通・販売されているものが医薬品として規制されることなく食品として取り扱いできるようにするため、ビタミンについては平成8年度、ハーブ(生薬)については平成9年度に、形状(剤型)及び表示の現行基準をできる限り緩和し、ビタミン、ハーブ以外のものについても、平成10年度からミネラルをはじめとして順次実施する。

○ 対応状況

医薬品と食品の区分方法に関して、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を取ることについて厚生省内において、関係部局による省内横断的な検討が平成9年3月に開始された。個別の品目についての取り扱いは、下記のとおり。

(1) ビタミンについて
主要な栄養素として食品等から摂取されることが我が国において広く認識されていると考えられているビタミンA、ビタミンB1等7種については、当分の間、明らかに「食品」と明示され、医薬品的な効能効果を標榜しないものについては、形状(カプセル剤、錠剤など)に関わらず医薬品に該当しないものとした(平成9年3月厚生省薬務局長通達)。

また、同通達によりビタミンB6等6種に関しても、当分の間一日当たりの摂取量が一定量を下回るものに限り、同様の取り扱いとした。なお、表示の制限については、服用時期服用量、使用上の注意等で消費者の安全を確保するために必要なものについては、一律に禁止することなく効能効果を想起するものでない限りは、個別に判断することとした。

(2) ハーブ及びミネラルについて
ハーブの成分の一種を、医薬品から食品への分類の変更を図ること及び医薬品のような形状(カプセル等)を使用した一部のミネラルを食品として流通を認めることについて、文献調査に着手した(平成9年1月)。専門家による検討等を行った上で、ハーブは平成9年度、ミネラルについては、平成10年度に実施することとしている。

2-(2) 化粧品の成分規制の緩和、輸入手続の簡素化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 報告書における検討結果

国際整合化を図ることを含め、化粧品規制全体の在り方についての見直しを平成8年度中を目途に行う。この際、以下の点について所要の対応を実施に移す。

(1) 種別許可基準の国際整合化を推進し、米国EU諸国等で使用の認められている成分については、それらの国の規制を参考に種別許可基準へ組み入れる。また、輸入時において、すでに承認済みの化粧品に含まれている成分と同じ成分からなる化粧品についての承認が不要となるよう、種別許可基準外の成分について、承認手続の際の提出資料等を基に成分の規格を定め、迅速に種別許可基準へ収載する。

(2) 営業所毎の輸入販売業の許可制の在り方について、責任技術者の配置、試験検査設備の設置という要件の必要性も含めて平成8年度中を目途に見直し、速やかに改善措置を講ずる。

(3) 製品輸入時に提出する輸入製品届出書の在り方について、実務上負担のかからないよう平成8年度中を目途に見直し速やかに改善措置を講ずる。

○ 対応状況

平成8年12月に設置された「化粧品規制の在り方に関する検討会」において、化粧品規制の在り方について、特に消費者の安全性を最大限配慮したうえでの規制緩和や国際的ハーモナイゼーションの実現について検討が行われている。平成9年3月には中間取りまとめが行われたところであり、さらにワーキンググループにおいて個別の課題を検討した後、平成9年度中に最終取りまとめを行う。

(1) 欧米諸国における使用成分等を考慮して、種別許可基準に約140 の新規成分を追加するとともに(平成8年8月)、従来の25種別から11種別に統合することにより分類の合理化を図った(平成9年3月)。

また、今後については、平成9年度以降も年1回を目途に収載成分の拡大をすることとしており、平成9年度については、5月より収載成分の選定を開始し、規格を整備した上で平成10年3月末までに告示する予定。

(2) 「化粧品規制の在り方に関する検討会」での中間取りまとめにおいて、責任技術者の資格要件の簡素化や自社以外の試験検査設備の利用の拡大を図ることとされた。

(3) 製品届出書の記載内容について、製品届出書のうち化粧品種別許可基準内の成分・分量については、具体的な量(%)の代わりに「適量」とする簡素化を実施し、実務上の負担の軽減を図った(平成8年3月厚生省薬務局審査課長通達)。

3.工業関係

3-(1) 絹製混交織織物等の事前確認手続の簡素化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:通商産業省

○ 報告書における検討結果

(1) 輸入する際の事前確認申請の受付が本省扱いになっている絹製混交織織物、絹製ベッドリネン等について、申請者の負担軽減のため、地方通商産業局経由でも平成8年4月から受付を行う。

(2) 事前確認申請書の記入項目の簡素化については、事例に応じ弾力的な運用を行うとともに、そのことを関係者に周知する。その他申請手続きの簡素化についても、不断の見直しを行う。

○ 対応状況

(1) 輸入注意事項55第26号(貿易局長名通達)を平成8年3月25日付けで改正し、申請が本省扱いになっている絹製混交織織物、絹製ベッドリネン等については、地方通商産業局経由でも受付できるようにした。

(2) 事前確認申請書の記入項目の簡素化については、平成8年3月25日より写真等の提出により、申請通りの貨物か否かを判断することも可能となる場合には、一部の記入項目の記載を免除するなど、事例に応じ弾力的な運用を行うこととし、事前に窓口担当者に口頭で伝えた。

3-(2) 高圧容器の認証の国際的整合化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:通商産業省

○ 報告書における検討結果

高圧ガスの種類の変更の手続きの簡素化を図るため、同一容器への複数充てんが可能なガスの種類の追加を平成8年度中に実施する。また、特別充てん許可を要することなく複数のガスを充てん可能にするためのガスのグループ化を、物理化学的観点から安全性の検討を行った上で、3~4年の間に逐次実施する。

○ 対応状況

同一容器への複数充てんを可能とする特別充てん許可について、許可の与えられるガスの範囲の見直しを行い、平成9年3月31日付で、「液化フロンを充てんする容器の取扱について」(昭和41年8月1日付け、環境立地局長通達) を改正し、新しいグループ( 液化フルオロカーボン502、同22、同115、同500、同134a、同12により構成) を追加し、従来よりも高い圧力で充てんが行えることとし、手続きの簡素化を図った。

また、平成10年4月までに上記以外のガスも含め、特別充てん許可を要することなく複数のガスを充てん可能にするためのガスのグループ化を図り、容器のガス名変更なしに、複数のガスの充てんが可能となるよう措置することとしている。

3-(3) 電気機器の防爆基準の相互認証

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:労働省

○ 報告書における検討結果

基準・認証制度の国際的整合化の観点から、以下の方向で見直しを進める。

(1) IEC規格またはそれと整合化されている外国規格と適合している旨を外国政府または外国政府が認定した機関により認証を受けた製品については、早急に我が国の型式検定に合格したものと同等の扱いとする。その際、規格の細部や解釈において我が国と外国とで不一致があれば、その統一を早急に図る。

(2) 上記の認証を受けていない製品についても、指定外国検査機関制度の広報に努め、特に輸入業者等からの要望の多い機関については、積極的に指定を進めることにより外国検査データの受入れをより積極的に推進する。

(3) IEC規格以外の規格について、相互認証に向けて、今後5年程度を目途に積極的に調査検討を行い、逐次必要な措置を講ずる。

○ 対応状況

(1) IEC規格等に基づき製造された防爆構造電気機械器具について、我が国の型式検定に合格したものと同等の扱いとする方向で、平成8年4月に学識者、専門家等からなる「防爆電気機器の検定制度等調査研究委員会」(以下、委員会という。)を設置、調査研究を始めたところであり、既に技術的調査として、(社)産業安全技術協会を通じて、スペイン、ドイツ及び韓国の防爆構造電気機械器具に係る試験・検定機関の実地調査、外国の試験・検定機関の職員との意見交換等を行っている。

(2) 型式検定に際し指定外国検査機関が作成した外国検査データの確認により、実機による検査が省略されるが、指定外国検査機関として、英国の一機関に加え、平成8年4月ドイツの一機関を指定し、その旨を都道府県労働基準局長に通知した。また、防爆構造電気機械器具の型式検定代行機関である(社)産業安全技術協会の会報誌や労働災害防止団体の広報誌等を通じて広報に努めている。

(3) 委員会においてIEC規格以外の規格についても技術的調査を引き続き行い、さらに調査結果を踏まえ、IEC規格以外の規格についても相互認証制度の実施に当たっての問題点等について分析、検討することとしている。

4.運輸・交通関係

4-(1) トレーラーハウス、キャンピングカーの輸入の円滑化

○ 問題提起者:駐日米国大使館

RVIA :Recreational Vehicle Industry Association
RPTIA:Recreational Park Trailer Industry Association

○ 所管省庁:運輸省、建設省

○ 報告書における検討結果

(1) 建設省は、トレーラーハウスのうち、キャンプ場においてキャンプのために使用されるもの及びキャンピングカーのように路上等を随時移動することが可能なものについては、一般に建築基準法の適用は受けないとしているとのことであり、その旨周知に努める。

(2) トレーラーハウス等の新たな規格・基準を整備することについては、既存法の枠内で新たに規格・基準を作ることにより対応するのか、新法(既存法の改正を含む)を制定することにより対応するのかについて、運輸省、建設省を始めとする関係省庁が検討を行い、1年以内を目途に結論を出す。このため、外国製トレーラーハウスがその構造等に改造を加えずにキャンプ場等において本来の目的に沿った使用方法がなされる場合、既存の法令等にどのように抵触するのか、また、その抵触する部分について、法令及びその運用等をどのように改めることによって対処可能なのかについて問題提起者の協力を得て、関係省庁は検討を行う。具体的には、関係省庁においては、問題提起者から提出されるトレーラーハウス等に関する各種スペック(特に、日本の現行の規制に抵触すると思われるもの)及び米国における規制等に関し、我が国の現行法令等との関係を速やかに検討する。

なお、当会議としても、適宜関係省庁より報告を求め、必要に応じ検討を加えていくこととする。

○ 対応状況

(1) トレーラーハウスのうち、規模、形態、設置状況等から判断して、随時かつ任意に移動できるものについては、建築基準法に規定する建築物には該当しないものとして取り扱う旨「トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて」(平成9年3月31日建築指導課長通達)により周知したところである。

(2) 問題提起者から提供の行われたトレーラーハウス等に関するANSI(American National Standard Institute)規格につき、OTO事務局において日本語訳を作成 ( 平成8年8月) するとともに、関係省庁において、同規格をもとに問題点を明らかにするための取り組みが行われた。また、平成8年10月、関係省庁の出席の下、OTO事務局により「トレーラーハウス等に関する会合」が開催され、関係省庁に対し、問題提起者側から米国におけるトレーラーハウス等の使用形態等に関して情報提供が行われた。問題提起者は、このANSI規格や会合による情報提供で不十分な点について、トレーラーハウス等に係る各種スペック及び米国における規制等の調査を続けており、その結果等に関し、今後我が国の現行法令との関係について各関係省庁により速やかに検討を行う。

なお、(社)日本自動車工業会及び(社)日本自動車車体工業会が定めたキャンピング・トレーラ等の構造基準の解釈につき、一部関係者に事実誤認が見られたため、平成9年1月に運輸省から文書にて連絡を行った。

4-(2) 船舶及び船舶用エンジン・推進装置等の輸入検査制度の見直し

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:運輸省

○ 報告書における検討結果

プレジャーボート、小型船舶用エンジン等に関し、以下の点につき前向きに取り組む。

(1) プレジャーボートについては、ISOの基準策定に貢献するとともに、同基準が策定された場合には、国内基準を速やかにこれと整合のとれたものとする。また、EU、米国等主要先進国の動向を踏まえて、これらの国の検査基準等に特に問題がないのであれば、その検査基準等を受入れ、当該国の合格証明書等の書類審査及び現物の確認のみで、日本国内での使用が認められるよう検討し、平成10年度末を目途に結論を出す。

(2) 海外試験機関の試験データの受入れを一層拡大するために現在試験データを受け入れられていない機関と検査方法等について積極的にすり合わせを行ない、申請者の負担を減らすよう努力する。主要な船級協会の試験データについては平成8年1月に発効した「旗国代行機関の承認に関するガイドライン」の実効を確認しつつ、安全上支障のない範囲で受入対象とする方向で早急に検討し平成10年末までに結論を出す。

(3) 外国企業への広報活動等によって、型式承認制度、認定事業場制度等の制度の更なる活用を図り、かつ改善に努める。例えば、認定事業場制度においては、ISO9000シリーズを活用して認定を進めるなどの方策について、平成9年度末までに検討し結論を出す。また、検査項目の削減、検査手続の簡素化等を技術の進歩を踏まえて積極的に進める。

○ 対応状況

(1) ISOにおけるプレージャーボートの技術基準策定に貢献するため、運輸省の指導のもと、日本小型船舶検査機構に設けられた調査検討委員会において調査・実験等を行うとともに、ISOの会議へ出席し、調査・実験結果の報告等を行った。現在、ISOにおけるプレジャーボートの復原性基準、構造基準等主要な安全基準は、素案の策定作業を進めているところであり、未策定の状態である。引き続き、調査検討委員会等による検討、ISOで実施される会議への出席等により、ISOにおける技術基準の策定に貢献するとともに、国際基準が策定された場合には、国内基準を速やかにこれと整合のとれたものとする。

また、EU、米国等主要先進国におけるISO基準の取り入れ状況を踏まえてこれらの国の検査基準等に特に問題がないのであれば、その検査基準等を受け入れ、当該国の合格証明書等の書類審査及び現物の確認のみで、日本国内での使用が認められるよう検討する。

(2) 海外の多数の試験機関と個別に船舶に搭載される多数の設備、機器について検査方法等のすり合わせを行うのは、必ずしも効率的でないことから、海外試験機関の試験データを申請者に負担をかけることなく活用することができるよう、国際海事機関(IMO)における国際的に標準化された試験データフォーマットの作成作業にかかる検討グループのメンバーとして作成作業等を行った。国際的に標準化された試験データフォーマットが作成された場合、標準フォーマットにより提出された試験データを受け入れ、これを活用する。

我が国に入港した外国船舶に対して立入検査(ポート・ステート・コントロール(PSC))を実施するとともに、アジア太平洋地域・欧州地域等におけるPSCの結果について情報交換を行ない、「旗国代行機関の承認に関するガイドライン」の実効の確認に努めた。これらの情報の蓄積等により安全上支障がないことが確認された船級協会については試験データの受け入れ対象とする方向で検討する。

(3) 海外関係者に対する各種説明会、舟艇輸入円滑化セミナー等を行い、我が国の検査制度等について広報活動を行った。その結果、平成8年度は海外製品8物件(平成8年度全承認物件の11%)が型式承認を取得した。

認定事業場制度においてISO9000シリーズを活用して認定を進めるため、認定事業場制度及びISO9000シリーズの認定における審査事項等について比較検討を行っており、さらに平成9年6月に検討会を発足させることとしている。検討会の結論を踏まえ、平成9年度末までにISO9000シリーズを活用して認定を進める等、認定事業場制度の更なる活用を図るための改善について結論を出す。また、平成8年10月運輸技術審議会に対して、船舶技術の進歩、船舶に関する国際規制の動向等を踏まえ、船舶の安全を図りつつ、船舶検査の受検者負担の軽減及び利便性の向上を図る観点から、船舶の定期的検査を見直すための諮問を行い、平成8年12月に定期検査の間隔と実施時期及び実施内容の見直しに加え、船舶検査の合理化を今後さらに一層推進していくべきとの答申を受けた。本答申等に基づき、内燃機関の製造認定事業場における完成検査の方法の合理化については平成9年度末までに中間検査における推進用機関及び発電機関の開放検査の合理化については平成9年度上半期に、それぞれ実施する他検査の合理化を積極的に進める。

5.建設関係

5-(1) 輸入住宅資材等に係る規制緩和

○ 問題提起者:日本貿易会、在日米国商業会議所、東京商工会議所

○ 所管省庁:建設省、厚生省

○ 報告書における検討結果

(1) 2×4工法用住宅資材について、諸外国で一般的に認められている規格等を我が国の制度に組み入れていくこととする。この際、海外の規格適合証明機関等と行っている検討、協議は早急に結論を得ることとし、外国で一般的に普及している住宅に用いられている資材等をパッケージで受け入れられるように配慮する。また、海外機関に対して協議への積極的な呼びかけを行うと共に、特に要請の多い資材については自らもデータ収集を行う。更に、2×4工法に係る建築規定については、平成8年度中に告示を性能規定型に改正する。性能基準の認証については第三者認証制度を導入する。

また、住宅金融公庫の2×4工法共通仕様書の構造基準が建築基準法による基準と同一であることを周知・徹底するための措置を早期に検討し、平成9年度初までに実施する。その際、共通仕様書以外の仕様書を使用することも自由であるということを周知・徹底すること、共通仕様書における告示の対象外の部材に係る規格については、建築基準法に違反しない限り修正できることを現在より一層明確に表現すること、同告示の性能基準化に合わせて、平成9年度版から仕様書も性能基準を示す形に改めること等の点を踏まえる。

(2) 住宅金融公庫融資の際に屋根材を不燃材料とする要件を平成8年4月から廃止する。この措置により、アスファルト屋根材については、準防火地域等の法的規制がある地域以外においては、建設大臣の指定を受けなくても公庫融資住宅の建築材料として使用できることとなるので、そのことについて周知・徹底を図る。不燃材料等の指定については、海外の試験データの受け入れの一層の促進を図るため、海外関係機関に対しての呼びかけを積極的に行うと共に、外国試験機関の指定を推進し、日本での認証手続きを円滑にする。

(3) 建築規制については、国際基準との調和、自己責任原則の導入及び民間の選択の自由の拡大の観点から、仕様規定中心の現行制度から、原則として内外無差別の性能規定型に改正する。このため、平成8年度中に新たな建築規制の制度的枠組みを策定する。その検討においては、上記の点を十分踏まえて盛り込むこととし、また改正を待たず積極的に対応する。

(4) 給水器具等に係る規制に関して、給水装置工事主任技術者制度の創設、給水装置工事事業者の指定要件の明確化等の措置を盛り込んだ水道法の一部改正を(第136回) 今通常国会にて行うことを目指す。

現行の給水器具の型式承認・検査制度については廃止し、以下の措置を講ずることとし、そのために必要な作業を平成8年度中に行い、平成9年度からの実施を図る。

1) 給水器具についての国の構造・材質基準を明確化することとし、性能基準化を図る。
2) 国の基準の明確化に伴い、給水器具は型式承認・検査を受けなければ使用できない実態を改め、第三者認証を受けることを義務づけない制度とする。
3) 第三者の認証に係る検査については、自社検査制度を導入するとともに、第三者が行う検査について抜取り検査を導入するなど、現行の型式承認における全数検査の大幅な合理化を図る。
4) 海外基準との調和を図るため、海外の認証機関との相互認証を推進する。
5) 水道事業者に対しては、国の基準に適合する製品についての重複検査の廃止等必要な見直しを求める。

○ 対応状況

(1) 現在、米国、カナダ等の海外関係機関と協議を実施し、建築基準に係る相互認証を推進しているところであり、これまで、米国及びカナダの規格に基づく製材を枠組壁工法に使用する建築資材として認定し、外国で一般的に普及している住宅用資材をパッケージで受け入れられるよう配慮した。また、米国、カナダ等の海外関係機関に対し積極的呼びかけを行うと共に、海外の規格・認証制度についてデータ収集を行った。さらに、枠組壁工法による住宅の構造方法に関する技術基準については、平成9年3月に告示改正により性能規定化を実施したところである。

平成8年度版住宅金融公庫の共通仕様書において、建築基準法等により規定されている部分を明確化することにより、共通仕様書中の構造に係る融資基準が建築基準法の規定と同一であることを明確にするとともに、現行告示に規定されていない部分の部材に係る規格については建築基準法等に違反しない限り修正できることを現在より一層明確に表現した。また、建築基準法等に適合していれば共通仕様書以外の仕様書を使用することができることを明記した(平成8年5月)。さらに、告示の改正を受けて、仕様書の改定を行う予定である(平成9年6月)。

(2) 住宅金融公庫住宅建設基準の改正により、屋根の建築材料に係る規定を廃止し(平成8年4月)、これにつき公庫利用の案内にこの旨記載する等周知・徹底を図った。

また、不燃材料等の指定については、その手続きの円滑化のため既に「試験結果取扱要領」及び「試験機関指定要領」を策定し、これに基づき国内外の試験結果を受け入れることを可能としているところである。米国及びカナダ等の海外関係機関に対し呼びかけを行い、今般、「試験結果取扱要領」に基づきカナダ及び韓国の試験結果を受け入れたところである(平成8年10、11月)。

(3) 建築基準法の基準体系について、素材・仕様・規格を詳細に指定する基準から性能を指定する基準への見直しを行い、新たな制度的枠組みを策定することとしており、平成9年3月に建築審議会から答申を受けたところである。今後法改正作業に着手し、平成10年の通常国会に法案を提出することを予定している。

(4) 給水装置工事主任技術者制度の創設、給水装置工事事業者の指定要件の明確化、全国統一を内容とする水道法の改正(平成8年6月、一部施行済)を行った。

給水装置については、以下のような措置により、型式承認・検査制度を改めた。

1) 水道法施行令の一部を改正する政令(平成9年3月)及び給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9年3月)の制定により、給水装置の構造・材質基準の明確化・性能基準化を図った(平成9年10月施行)。
2) 省令の制定による基準の明確化及び(社)日本水道協会による型式承認制度を廃止(平成9年3月)することにより、第三者認証を受けることを義務づけない制度とした。
3) 生活環境審議会水道部会給水装置専門委員会(以下、専門委員会という。)において、自社検査制度の導入及び抜き取り検査の導入などの内容を含めた、第三者認証機関が行う検査の具体的な実施方法について検討を行い報告書を取りまとめた(平成9年3月)。

今後この報告書の提言を踏まえ、第三者認証のガイドラインを策定し、周知徹底を図る。

4) 米国等海外の基準を調査した上で、海外基準との調和を図りつつ、WTO通報を経て給水装置の構造及び材質基準に関する省令を制定した。

また、平成9年度から海外の認証機関との相互認証を推進する予算を措置した。

5) 専門委員会報告書において、国の基準に適合する製品についての重複検査を行うべきではないことが明記されその周知を図り、さらに今後通達によりこの旨の徹底をする予定である。

5-(2) 海外建設資材の品質審査・証明事業の改善

○ 問題提起者:韓国貿易協会

○ 所管省庁:建設省

○ 報告書における検討結果

海外建設資材の品質審査・証明事業とISO9000シリーズの認証とで審査内容が重複する項目の有無について平成8年度早期に更に検討し、同認証を得ている企業の製品について審査を省略できるものについては省略する。

平成8年度より品質審査証明の有効期間を現在の1年から3年程度に延長し、審査料金を最大4割程度引き下げる。

○ 対応状況

海外建設資材の品質審査・証明事業とISO認証とで審査内容が重複する項目の有無について検討し、ISO9000シリーズの認証を得ている工場の場合は製造管理、品質管理等の項目については審査を省略することとした。

また、品質審査証明の有効期間を1年から3年に延長し、審査料金を最大4割引き下げることとした(海外建設資材品質審査・証明要領の改正平成8年9月27日施行)。

6.雇用・労働関係等

6-(1) 労働者派遣事業の見直し

○ 問題提起者:駐日フランス大使館

○ 所管省庁:労働省

○ 報告書における検討結果

(1) 労働者派遣事業の適用対象業務の範囲については、現行の16業務に12業務を追加する予定であるが、今後ともネガティブリスト化を含め適宜適切に見直しを行う。

(2) 許可に関する広範な規制については、労働者派遣法改正法案の中で措置される予定の手続の簡素化等と併せ、事業計画書等の関係書類の簡素化を速やかに実施する。また、現在中央職業安定審議会で行われている有料職業紹介事業の在り方の検討の中で、職業紹介事業との兼業に係る規制を大幅緩和するよう前向きの対応を図る。さらに、中央職業安定審議会でそれに引き続き検討する中で、派遣元責任者と派遣労働者との比率及び職務経験年数の規制について派遣労働者の保護にも配慮しつつ大幅に緩和することや事業所のスペースに係る規制を大幅に緩和することについて前向きの対応を図る。

○ 対応状況

(1) 労働者派遣法施行令を改正し、適用対象業務として11業務を追加した(平成8年12月16日施行)(参考)。

また、労働者派遣対象業務の範囲のネガティブリスト化、派遣期間、労働者保護のための措置等を中心に、労働者派遣業制度の全般的な見直しを進め、平成9年9月に中間的とりまとめを公表し、平成9年12月を目途に見直しの基本的方向を決定した上、その具体化に向けて法的措置を含め可能な限り速やかに措置することとし、中央職業安定審議会において平成9年1月28日より検討に着手したところである。

(2) 許可に関する規制の緩和

1) 手続・関係書類の簡素化
・労働者派遣法の改正により、許可の有効期間について初回を除き3年から5年に延長する等の手続の簡素化等を実施した(平成8年12月16日施行) 。
・労働者派遣法施行規則の改正により、事業計画書の記載事項の削減等関係書類の簡素化を実施した (平成8年4月1日施行)。
・労働者派遣法施行規則の改正により、派遣元責任者の変更の届出について、複数の事業所を有する事業所にあっては、派遣元責任者がこれらの事業所の間で異動する場合には、当該派遣元責任者の履歴書の添付を要しないものとする等関係書類の簡素化を実施した(平成9年4月1日施行)。

2) 職業紹介との兼業
・有料職業紹介事業と兼業する場合、それぞれの事業について専用入口を必要としないこととすることにより、一の事務室内で両事業を行うことを可能とした(職業安定局長通達により平成9年4月1日実施)。

3) 派遣元責任者
・労働者派遣法施行規則の改正により、派遣元責任者の選任比率について、派遣労働者 100人に1人の選任とした(従前は事業対象業務の区分別に100人に1人の選任)(平成9年4月1日施行)。
・派遣元責任者の職務経験要件について、従前の「雇用管理経験3年以上」の場合等のほか、「雇用管理の経験と派遣労働者としての業務の経験とをあわせた期間が3年以上(うち雇用管理経験が1年以上必要)」の場合も職務経験要件を満たすものとした(職業安定局長通達により平成9年4月1日実施)。

4) 事務所のスペース
従来の30㎡以上を20㎡以上に緩和した(職業安定局長通達により平成9年4月1日実施)。

(参考)追加した業務
1] 手配旅行に係る添乗の業務
2] 研究開発の業務
3] 事業の実施体制の企画、立案の業務
4] 書籍等の制作・編集の業務
5] 広告デザインの業務
6] インテリアコーディネーターの業務
7] アナウンサーの業務
8] OAインストラクションの業務
9] テレマーケティングの営業の業務
10] セールスエンジニアの営業の業務
11] 放送番組等における大道具・小道具の業務
(注1)病院における介護の業務については、引き続き関係者と調整
(注2)従来の16業務と合わせて計26業務となる。(1]の業務は施行令第2条第10号の業務の範囲を改正するもの)

6-(2) 職業紹介事業の見直し

○ 問題提起者:駐日フランス大使館、在日米国商工会議所

○ 所管省庁:労働省

○ 報告書における検討結果

(1) 許可の有効期間の更新に関してはできる限り簡素にするとともに、関係書類の簡素化を平成7年度内に実施し、その後も引き続き簡素化に努める。

(2) さらに、ILO第96号条約改定の議論の動向を注視しつつ現在中央職業安定審議会において行われている有料職業紹介事業に係る検討の中で、現行のILO第96号条約の下、以下について前向きの対応を図る。

1) 取扱職業の範囲については、ネガティブリスト方式の採用も含め最大限拡大する。
2) 手数料については、現行のILO条約に基づく規制の中でできる限り市場メカニズムを活用する工夫をする。
3) 事業所ごとの許可に係る規制を緩和すること、兼業に係すること、職務経験年数に係る規制について大幅緩和することなどの見直しを行う。

○ 対応状況

(1)
1) 許可の有効期間の更新手続について、以下の措置を講じた(職業安定局長通達により平成9年4月1日実施)。
・3年ごとの更新以外の更新において、更新手続に係るすべての添付書類を省略すること。
・職業紹介事業計画及び収支決算に関する書類の提出を要しないこと。

2) 許可に係る関係書類の簡素化について、次の措置等を講じた(職業安定局長通達により平成8年4月1日実施)。
・従業員の履歴書の提出を要しないこと。
・収支予算書の提出を要しないこと。

(2)
1) 取扱職業の範囲
平成8年12月24日の中央職業安定審議会における建議を踏まえ、職業安定法施行規則の改正により、取扱職業の範囲を大幅に拡大し、(参考)に掲げる職業以外を取り扱えることとして、ネガティブリスト化した(平成9年4月1日施行)。

なお、更なる取扱職業の拡大について、ネガティブリスト化の施行状況、平成9年6月のILO第96号条約の改定の結果等を踏まえ、方針を決定の上、法改正とともに改定条約の批准を行い、その具体化を図ることとしており、労働者派遣事業制度の見直しの基本的方向の決定に引き続き平成9年度中に検討を開始することとしている。

2) 手数料
平成8年12月24日の中央職業安定審議会における建議を踏まえ、職業安定法施行規則の改正により、紹介手数料の徴収額について、平成9年4月1日より、承認を受けることにより自由に設定できること(従前は就職後6ヶ月間に支払われた賃金の10.1%が上限)等の措置を講じた。

3) 許可に関する規制緩和

・手続、関係書類の簡素化
業安定法施行規則等の改正により、複数の事業所を有する事業主に係る手続について、代表者の氏名等事業主全体に共通する事項についての変更があった場合には統括事業所からのみ変更許可・届出の手続を行えば足りることとした (平成9年4月1日施行) 。
・派遣事業との兼業
労働者派遣事業を兼業する場合、それぞれの事業のための専用入口を必要としないこととすることにより、一の事務室内で両事業を行うことを可能とした (職業安定局長通達により平成9年4月1日実施) 。
・事務所のスペース
事業所の面積を取扱職業の範囲にかかわらず「20㎡以上」(従前は取扱職業が1増えるごとにさらに 6.6㎡ずつ加算)とした (職業安定局長通達により平成9年4月1日実施) 。
・紹介責任者
紹介責任者の経験要件等については、職業紹介事業に3年以上(従前は10年以上)従事した経験又は取り扱おうとする職業に3年以上(従前は10年以上) 従事した経験を必要なものとした (職業安定局長通達により平成9年4月1日実施) 。

(参考)
1] サービスの職業
2] 保安の職業
3] 農林漁業の職業
4] 運輸・通信の職業
5] 技能工、採掘・製造・建設の職業及び労務の職業
(注1)事務的職業及び販売の職業については、新規学校卒業後1年未満の者は除く。
(注2)従前の29業種は取扱職業とする。

6-(3) 上陸審査基準等の見直し

○ 問題提起者:駐日フランス大使館

○ 所管省庁:法務省

○ 報告書における検討結果

外国人が我が国に新たに企業を設立する場合に、その代表者等に在留資格を与える、又は、在留資格の変更を認めることが困難という状況は改める。

外国人が我が国に入国・在留する際の在留資格該当性及び上陸審査基準をより透明性の高いものとするため、規定の解釈等を明確に示す。また、外国人が外国企業との契約に基づいて、健全な経済活動を行うことを目的として、日本国内に新たに事務所等を開設しようとする際に、現行法令の運用の見直し等により、当該外国人に在留資格を付与する(在留資格の変更を認める)方向で改善策を講ずる。

○ 対応状況

今回提起された案件については、平成8年5月に「企業内転勤」(在留期間1年)の在留資格への変更を許可した。

在留資格及び基準の解釈を明確に示すことについては、既に一部の在留資格(「興行」「就学」)に関して対外的な広報を行っているところ、今後インターネット等のメディアを活用しつつ入国・在留手続を含めた形で分かりやすい広報に努め、平成9年秋を目途に順次実施する。

また、我が国に新たに事務所等を開設したことを理由とした入国・在留許可に係る審査処理に関しては、事業内容や規模等を総合的に勘案しかつ在留画策の手段として悪用されないよう留意しつつ、本件と同様の事情が認められるものについて、個別に地方入国管理局から法務省本省に案件を進達させた上で、個別に許否を判断するような形で柔軟な対応を行うこととしている。

7.輸入手続一般関係

7-(1) 輸入許可前貨物引取承認申請に係る担保の対象官署の共通化

○ 問題提起者:日本貿易会、東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 報告書における検討結果

各税関官署ごとに提供している輸入許可前貨物の引取承認のための担保(BP担保)を、平成8年度中に、Sea-NACCS(海上貨物通関情報処理システム)及びAir-NACCS(航空物通関情報処理システム)において、全国共通して、利用できることとする。

○ 対応状況

平成9年3月4日に関税法基本通達の改正を行い、Sea-NACCS導入官署についてBP担保を全国共通で利用可能とした。また、Air-NACCSについても同様とした。(平成9年3月24日施行)

7-(2) 輸入事前申告制度の導入

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 報告書における検討結果

平成8年4月に導入することとしている航空貨物に係る「到着即時輸入許可制度」については、利用者の迅速通関のニーズに十分応え得るよう、その適用の範囲や手続を含め運用面に配慮する。例えば、貨物の到着の確認を具体的にどのようにするのか等について、可能な限り利用者の利便に配慮し、文字通り「到着即時」に輸入が許可されるように実施する。併せてこうした制度ができたことを広く利用者に周知する。また、本制度の海上貨物への導入については、迅速通関の観点から、航空貨物における利用状況等をみて、検討する。

○ 対応状況

「到着即時輸入許可制度」については、その運用面に配慮し特に、迅速通関のニーズが大きい航空貨物のうち予備申告が行われた貨物について、その到着確認を電算システム(NACCS)により行い、貨物の到着確認が確認され次第、輸入申告を認め瞬時に輸入許可を行う等利用者の利便に配慮して、文字通り「到着即時」に輸入が許可されるように実施した。なお、同制度については、「関税法施行令の一部を改正する政令」の官報告示に加え、関税局長通達(平成8年4月17日付)により、各税関長宛通知し、職員への周知を図った。

併せて、関税週報により輸入者、通関業者等貿易関係者に周知したほか、各税関においても業界説明会等を開催し、輸入者通関業者等に周知徹底を図った。

7-(3) 特恵原産地証明書に係る輸入手続の簡素化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 報告書における検討結果

関税暫定措置法施行令を改正(平成8年1月1日施行)し、税関長が物品の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた物品については、特恵原産地証明書の提出を要しないこととしており、今後とも、利用者の利便を図るため、引き続き輸入手続の簡素化、迅速化に努める。

○ 対応状況

関税暫定措置法施行令及び同法基本通達を改正(平成8年1月1日施行)し、特恵関税を適用して輸入しようとする貨物について、税関長が当該物品の種類又は形状から原産地が明らかであると認めた場合には、特恵原産地証明書の提出を省略する取扱とし、特恵原産地証明手続の簡素化を推進することにより利用者の一層の利便の向上を図った。