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基準・認証制度等に係る市場開放問題についての対応

平成6年6月24日
市場開放問題苦情処理対策本部

「基準・認証制度等に係る市場開放問題についての意見」(平成6年5月13日、市場開放問題苦情処理推進会議報告書)を最大限尊重し、市場アクセスの一層の改善に資するため、以下の対応を取る。

1.食品、衛生、医療関係等

1-(1) グレープ・ジュース濃縮液のJAS規格の改善

白系ぶどう果汁に対応するためのJAS規格の改正については、先般農林物資規格調査会で了承された改正案に基づき、平成6年7〜8月を目途に告示の改正を行う。

1-(2) 植物防疫制度の改善

植物防疫措置については、我が国への病害虫の侵入を阻止するため必要な範囲で、根拠、検査等の手続等を明確にし、科学的根拠に基づいて行うとの方針の下、改善措置を講じるための条件を明確化して協議を進め、速やかに結論を得る。

(1) 輸入時の検査等における害虫の取扱

検疫の対象としない害虫を可能な限り明確に示すことを将来的な課題として、今般の問題提起に係る以下の害虫等が国内で分布するものと同一の系統であるかを実証する方法の開発を推進するとともに、こうした手続についての国際的合意の形成に向けての国際植物防疫条約事務局におけるペスト・リスク・アナリシス等の作業に積極的に参画する。
・ニュージーランド産のキウイから発見されるナミハダニ
・同国産のアスパラガス等から発見される害虫及びオーストラリア産の切り花の害虫(輸出国検疫当局からの具体的な病害虫の提示を受けて対応
(2) 輸入禁止植物の解禁
解禁のための条件及び手続等についての具体的な情報を十分に提供し、以下の対応を取る。
・フランス産のりんごについては、同国からの解禁要請を受けて現在両国の専門家間で行っている技術的検討を速やかに進める。
・オーストラリア産のりんごについては、同国が現在実施している追加試験の結果を受けて、解禁手続を速やかに進める。同国産のマンゴウについては、本年に開催する同国との植物検疫専門家会合において検疫措置についての最終合意を得て、解禁手続を速やかに進める。
・コロンビア産ピタヤについては、同国専門家の受入研修等技術協力を積極的に行い、他の果実については、同国からの具体的要望を待って、それぞれ今後蒸熱処理による輸入解禁について専門家協議等の場で検討する。
(3) フルーツ・フライ・エリア・フリーダムの指定
オーストラリアから問題提起のあったフルーツ・フライ・エリア・フリーダムの指定地域の拡大については、同国からの具体的データの提出を受け、米国等が認めた際の調査結果をも活用して、速やかに所要の確認を行う。
(4) 低温処理
オーストラリア産のオレンジ及びレモンの低温処理の日本側植物防疫官による確認については、検査負担の軽減方策を十分に検討し、関係当局間で速やかに調整する。
(5) 輸出前検疫制度
コロンビア産切り花についての輸出前検疫制度の導入については、平成5年4月の同国からの要請を受け、同年9月に両国の植物検疫システムの概要を文書で交換したところであり、その可能性の検討を速やかに進める。
(6) 我が国の制度についての理解の増進
我が国の制度についての英文資料等については、理解をより容易にする等の観点から内容の充実を図る。

1-(3) 輸入食品等事前確認制度の活用等による食品の輸入検査手続の簡素化・迅速化

先般施行された輸入食品等事前確認制度(輸出国登録工場制度)については、所要の条件を満たす工場、食品等を申請を受けて速やかに登録する。その際、オーストラリアの第一次産業エネルギー省検疫検査局の登録データを活用することを検討する。

また、地方空港における輸入食品に係る検査業務については、今後とも外国人事業者等からの具体的改善要望がある場合には適切に対処する。

1-(4) 指定乳製品の輸入に係る外国検査データの受入れの促進

(1) (財)日本乳業技術協会が(特)畜産振興事業団の委託を受けて食品衛生法に基づいて実施している指定乳製品の輸入検査については、輸入食品等事前確認制度の施行のもとで、外国検査データを受け入れる。
(2) 同協会が畜安法及び不足払い法に基づいて実施している検査については、外国検査データの受入れの可能性に関し、できるだけ速やかに問題提起者と意見交換を行い、早期に結論を得る。
(3) 同協会における現行の検査基準・方法については、平成6年7月中を目途に、詳細な英文のガイドブックを作成し、外国人事業者の理解を容易にする。

1-(5) PEF(乳脂肪と植物油の混合油)の成分に関する分析方法

相互理解の増進の観点から、日本、ニュージーランド両国担当者による意見交換を速やかに行う(6月21日に意見交換を行った)

1-(6) 逆浸透膜型浄水器の社日本水道協会による型式承認の円滑化

(1) 今般問題提起のあった逆浸透膜型浄水器については、速やかに型式承認の可否を決定する。
(2) 給水装置の型式承認の申請に対しては適切かつ迅速に対応するとともに、技術革新の進展や新製品の市場参入への迅速な対応の観点から、型式承認制度の改善について速やかに検討を進め、検討結果を踏まえて、平成6年度中に(社)日本水道協会を指導する。

1-(7) 化粧品の輸入承認手続の簡素化・迅速化

(1) フロッピーディスクを用いた申請・審査システムを平成7年度より導入する等により、平成8年度を目途に輸入承認に要する処理期間の短縮を図る。
(2) フォルムアルデヒドから製造される成分の使用の可否については、中央薬事審議会における検討を速やかに進める。

2.工業関係等

2-(1) 衣料品の取扱ラベルに係る規定の改善

国内消費者の利便を踏まえて国内規定の十分な定着を図るとともに、中期的には規格・基準の国際的整合化の観点からISO規格にJIS規格を整合化させる方向で検討を進める。

また、JIS規格において衣料品ラベルの禁止事項を赤色で表示する規定については、規格・基準の簡素化のため、6年度中にJIS規格を改正し削除する。

2-(2) 木材のJAS規格

ラジアタ松の特性に配慮し、以下の対応を取る。

(1) JAS143(針葉樹の構造用製材)については、JAS600(2×4工法用製材)同様、ラジアタ松に関する品質の基準として、平均年輪幅に関する基準に代えて髄心部又は髄に関する基準を設定する可能性について、具体的試験方法、実施方法等についての問題提起者との意見交換に基づき、速やかに技術的検討を進める。
(2) JAS702(機械による曲げ応力等級区分を行う2×4工法用製材)については、材縁部における節の量と強度との相関関係について共通の理解を得るよう速やかに意見交換を行う。
(3) JAS601(集成材)及びJAS2054(構造用大断面用集成材)の規格改正作業に当たっては、ラジアタ松をより上位の等級に区分する可能性、及び個々の製材についてその都度等級区分を行う基準の導入を併せて検討し、平成7年11月を目途に結論を得る。

2-(3) 自動釘打器の所持許可制度の改善

今般問題提起のあったガス内燃式自動釘打器の場合、現時点で銃砲刀剣類所持等取締法の規制の対象から除外することは不適当であるが、今後は、安全機能の開発を待って、凶器としての使用可能性の面から、引き続き規制の対象とする必要があるかどうか適宜見直していく。

また、所持許可手続の簡素化により使用者・販売事業者の利便を図るため、本年6月10日、都道府県警察本部あての通達により、審査書類の統一、代理申請の容認、簡易な手続きによる代替器の使用の容認等の改善を実施した。

2-(4) 冷却機器等についての基準等の改善

高圧冷媒回収装置に関する日米の基準の重複する部分については、外国検査データの受入れの観点から、5月末に求めた米国側の精査結果及びそれを踏まえた具体的な提案を待って米国検査結果の受け入れを行うため速やかに検討を行う。

なお、政府調達における代替冷媒の使用については、通達の改正により、「オゾン破壊係数が0」の冷媒(HFC134a)を使用した遠心冷凍機を本年度より建設省の営繕工事においては対象としている。

2-(5) 電動車椅子のJIS規格

JIS規格の基準については、問題提起者に説明済。他に販売上の問題があるかについては問題提起者に照会中であり、問題があれば関係者間で協力の上適切に対応する。

3.運輸・交通関係

3-(1) 自動車に関する基準・認証制度等の改善

輸入促進の観点から以下の改善を行う。

(1) 完成検査については、製造業者の品質管理体制に組み込まれている適切な検査方法により行うことを認めてきており、その運用の一層の弾力化にも努めてきている。また、検査方法の適否については簡易な書面審査によることとしている。こうした方針の一層の明確化及び周知のため、7月を目途に通達を発し、型式指定の取得の円滑化を図る。
(2) 排出ガス発散防止装置の耐久試験に係る外国検査結果に基づく劣化係数の受入れに際しては、米国と同様のエンジン・ファミリーの考え方を受け入れる方向でデータ収集を開始したところであり、本年中に結論を得、速やかに実施する。また、製造業者が米国の耐久試験に代替的なものとして各個に考案する試験方法による劣化係数の受入れについては、個別に説明を受けて検討する。
(3) 熱害警報装置の義務付けについては、安全性の確保等その目的が確保される限り他の手段による代用を基本的に認める方針の下、エンジンの失火状態等を検知して警報する又はエンジンの失火状態等を検知して燃料供給を止める等の新機構と熱害警報装置との同等性について、本年中に結論を得ることを目途に検討し、同等であれば受け入れる。

3-(2) 電気自動車用のナトリウム・硫黄電池に係る規制緩和

ナトリウム硫黄電池について、電気自動車用電池として使用する場合の安全性等について平成6年度から検討を行い、その結果を踏まえ、平成8年度を目途にナトリウム硫黄電池に係る危険物の規制の緩和を行うこととする。

3-(3) 道路交通法令に基づく自動二輪車に係る制度の改善

(1) 高速道路における自動二輪車の二人乗りの適否については、最近の大型自動二輪車の二人乗り走行の安全性について、問題提起者から提出されるデータ等の検討を行い、安全性に問題がなければ規制を見直す。
(2) 大型自動二輪車に係る免許については、指定自動車教習所における教習を修了し、技能検定に合格した者に対し、公安委員会の行う技能試験を免除する制度を平成8年度を目途に導入する方向で、法令の見直しを含め速やかに検討を行う。
また、総排気量400ccを境に異なった技能試験を課すことの適否については、事故の頻度とエンジンの大きさの相関関係について問題提起者からデータの提出を得て、引き続き検討を行う。
(3) 高速道路における自動二輪車の制限速度については、根拠となるデータを速やかに問題提起者に明示する。

3-(4) アルミニウム製の船舶に係る基準・認証制度の改善

規格・基準の国際的整合化を推進する観点から、国際海事機関(IMO)における国際基準の検討作業に積極的に参画し、その基準発効(96年の予定)にあわせて、可能な限りその基準に整合した国内基準を整備する。

4.建設関係

4-(1) 鋼構造建築物の耐火性能試験等の国際調和

国際調和の観点から以下の対応を取る。

(1) ISOにおける国際標準の改訂後速やかに耐火性能試験方法の国際調和を図ることとし、このための技術開発プロジェクトを推進する。
耐火性能試験は、鋼構造建築物の構造安全性確保のため極めて重要なものであり、まず上記プロジェクトの中で、6月末を目途に、国際調和に向けての検討の方向付けを行う。
また、今般の問題提起に関連する一部の試験実施方法については、8月末を目途に、所要の実験により安全性を確認した上で改訂案を取りまとめる。
(2) 外国関係機関との協議により、本件に係る制度を含め、建築分野における相互認証制度の導入を推進する。

4-(2) 壁紙の基準・認証制度についての情報提供

外国人事業者等に対する情報提供の充実のため、本年4月、建築・住宅関係国際交流協議会に建築基準・認証制度についての相談窓口を開設したところであり、情報提供の一層の充実に努める。

4-(3) 特殊2階建て建築物に係る建築基準法第38条に基づく大臣認定

今般問題提起のあった2階建て建築物は、在来の建築基準に適合しない特殊なものであり、その特性を適切に評価する構造計算方法により迅速に安全性を審査する。

5.輸入手続関係その他

5-(1) 戦略物資の返品輸出の円滑化

欧米諸国等を対象とした戦略物資(武器等を除く)の輸出についての包括許可制度の導入(本年4月1日)により、返品輸出を含む輸出に係る手続の大幅な緩和が図られたところ。

また、戦略物資の返品輸出に係る許可権限を通商産業大臣から税関長に委任する制度については、包括許可の普及状況を踏まえ、平成6年度中を目途に対象地域の拡大を行う。

5-(2) JIS規格の国際的整合化の推進及びJISイアーブックの改善

JIS規格については、今後とも、GATTスタンダードコードで例外とされている分野を除き、国際規格との整合化の観点から厳重に見直す。

あわせて、JISイアーブックについては、国際規格との関係を明確化する観点から、平成6年度中を目途に改善する。