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基準・認証制度等に係る市場開放問題についての対応

平成9年3月25日
市場開放問題苦情処理対策本部

「基準・認証制度等に係る市場開放問題についての意見」(平成9年3月17日、市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書)を最大限尊重し、市場アクセスの一層の改善に資するため、以下の対応を取る。

1.動植物・食品関係

1-(1) 農林水産省検疫と厚生省検疫の手続きの一元化

(1) 農林水産省の動物検疫に係る検査証明書と厚生省の検疫に係る衛生証明書については、関係省庁による協力をより積極的に推進し、関係国との二国間協議等を通じて我が国の基準を説明し、証明書の記載事項が農林水産省及び厚生省双方が求める基準を満たす内容となるように努め、不都合がないようにする。
(2) 衛生証明書の記載事項の不備を解消するため、輸出国に対して衛生証明書の記入事項の周知徹底を図る。
(3) 衛生証明書に記載される事項のうち、処理加工された食肉については、屠殺年月が判明している場合には、処理年月を不要とすることの検討を早急に行う。さらに、こうした記載事項の簡素化についての検討は平成9年度までに結論を出し、速やかに実施する。

1-(2) 食品検査の簡素化

生のピスタチオナッツの輸入時のアフラトキシン検査についても、カシューナッツ等のナッツ類と同様に検査対象から除外できるか否かを含め、生産・加工における保管、貯蔵等の状態及び検査成績等により、その取り扱いについて平成9年度中を目途に検討する。

2.医薬品・医療用具・化粧品関係

2-(1) 医療用具の未承認品目の輸入手続の緩和

(1) 医療用具の承認の要不要の範囲を含め、医療用具の規制は日欧米でそれぞれ異なっているが、国際的な整合化の推進に努める。
また、医療用具について、どのような条件が整った場合に承認を不要とするか、基準を公表する。さらに、医療用具の承認不要化を決定した際には、その決定に至った理由を公表する。
(2) マッサージ器や磁気健康器具等の家庭用医療用具の承認の不要化を検討し、平成9年度末までに結論を出す。
(3) 承認不要を希望する者に対して相談窓口を明確化するなど、承認不要化するための手続きを整備する。

2-(2) 化粧品等に関する規制緩和

(1) 医薬部外品の品質確保等の観点から備えなければならない試験検査設備については、平成9年度に自社所有以外のものの利用範囲を検討した上拡大するが、その際には、関連グループ会社の設備の利用について、化粧品も併せて検討する。
(2) 承認した成分のうち承認不要とすることが適当なものについては、年1回を目途に規格を整備した上で化粧品種別許可基準へ収載し、公表する。
また、化粧品種別許可基準に収載されていないが、配合前例のある成分については、知的所有権の保護の観点を踏まえつつ公表制度の導入を検討する。
(3) さらに、従来より、虚偽または誇大と思われる販売名、誤解を招くおそれのある販売名等は避けるよう、ガイドブックに事例を挙げて注意喚起しているが、都道府県によって取り扱いが異ならないよう更に連絡を密にし、また、都道府県への調査を基に、平成8年度内に事例の充実を図る。

3.工業関係等

3-(1) 内燃機関の承認の規制緩和

(1) 平成9年3月末までに、電気事業法に基づく技術基準を、ISO等の国際的な基準に整合的なものにする。
(2) (社)日本内燃力発電設備協会の自家発電装置の認定制度は同法令や国の認定制度等と関係ないことを積極的にPRし、また、同協会の紹介パンフレットについては平成9年6月までに改訂すること等、認定制度を受ける法的義務があるような外観を作り出さないよう同協会を指導する。また、同協会の認定がない製品を認めないという民間慣行が外国製品の輸入を妨げているようであれば、これを助長しないように努める。

3-(2) 非法定計量単位に係る販売規制の緩和

(1) 国際単位系であるSI単位への統一に引き続き取り組むとともに、海外各国におけるSI単位への統一動向を踏まえ、輸入活動や消費生活に支障をきたすことのないような計量法の弾力的な運用を進める。
(2) 弾力的な運用を実施した場合には、これを速やかに公表するとともに、地方の計量行政担当の担当者を含め周知徹底を行う。
また、運用の実績がある程度蓄積されたときは、計量法の販売規制の対象となるかどうかについて、輸入活動や消費生活に支障をきたすことのないような基準の設定を検討し、基準を設定した場合は、これを速やかに公表し、地方の計量行政の担当者を含め周知徹底を行う。

3-(3) 冷凍設備に関する規制緩和

これまでの保安実績等を踏まえつつ、平成9年度中に都道府県担当者及び関係事業者を含めた委員会において、指定設備以外の冷凍設備に係る資格者の選任に係る制度の合理的な在り方に関する検討を行い、できるだけ早期に結論を得、その検討結果に基づく措置の必要がある場合にあっては、平成9年度を目途に省令等の改正を行う。

3-(4) 附属冷凍に対する規制緩和

これまでの保安実績等を踏まえつつ、平成9年度中に都道府県担当者及び関係事業者を含めた委員会において、附属冷凍設備に係る規制について、その存否の必要性を含め検討を行い、できるだけ早期に結論を得、その検討結果に基づく措置を平成9年度中を目途に実施する。

3-(5) 容器再検査期間の緩和

高圧ガス及び火薬類保安審議会答申(平成8年1月)を受け、現在、関係事業者等を含めた委員会において、検査周期等の見直しも含めた容器再検査全体の今後の在り方を検討しており、今後、できるだけ早期に結論を得、同検討の結果を踏まえ、平成9年度中に結果を出すべく取り組む。

4.運輸・交通関係

4-(1) 漁船用推進機関の出力算定方法の明確化

(1) 漁船の推進機関の出力算定方法について、出力を規制することの必要性を含め平成9年度中に見直す。
(2) 平成9年度中に諸外国の制度を十分に研究し、特に、総排気量を客観的な基準として活用するなど国際的整合性のとれた規制とする。
(3) 新たな基準の策定に当たっては、漁業団体及び漁船関係団体から意見を聴取するだけでなく、工学的な問題も含まれているので、できる限り幅広い関係者から意見を聴取する機会を設け、それらを踏まえた基準を策定する。

4-(2) 高速フェリー建造に係る提出書類の軽減・秘密保持の確保

船舶整備公団における船舶の共有建造に際し、提出書類の軽減・秘密保持の確保等の実務的かつ技術的な問題について、国際的ビジネス慣行への整合化のために必要な措置を講じる。
さらに、公団の標準契約書の改訂に際しては、国内の造船所と同様に海外の造船業者からの意見も参考にするとともに、その英訳についても、同種の事業を行う他の政府関係機関の例も参考に積極的に対応し、海外造船所の便宜を図る。

4-(3) 港湾関係料金引き下げのための規制緩和

(1) 港湾運送事業について、港湾の安定運営確保方策を確立した上で需給調整規制を廃止するよう方針を転換するとともに、価格規制も併せて見直しを行う。このため、まず需給調整規制の廃止について平成9年度に行政改革委員会において審議を行う。
(2) その検討の過程においても、運賃・料金の多様化及び事業者の負担軽減を図る観点から、割引制度の一層の拡充を図るなど料金体系の弾力化を図る。
(3) さらに、具体的な規制緩和の実施に当たっては、制度に対する誤解が生じないようその周知徹底を図る。

5.情報・通信関係

5-(1) マイクロフィルムによる文書保存の規制緩和

税法上保存義務がある帳簿等については、帳簿保存の制度目的に配意の上、経済全体のコストベネフィットも考慮し、電子データによる保存を容認する場合の条件を勘案しつつ、税負担の公平確保の観点から必要な条件等の検討を行い、保存すべき全期間においてマイクロフィルムによる保存を認める方向で措置する。
また、平成9年度中に措置のための全ての手続きを終わらせる方向で措置する。

6.輸入手続関係

6-(1) 電算システムの活用による書類提出の簡素化

輸入の事後審査及び統計作成のため提出が義務づけられている通商産業省用インボイスに関して、事業者等の負担軽減の観点を踏まえ、インボイス提出義務の見直し(必要項目の削減、NACCS(通関情報処理システム)の利用)について、平成9年度を目途として結論を得るべく、前向きに検討する。

6-(2) 輸入貨物に関わる法令手続機関の集積について

(1) 厚生省と農林水産省のシステムと税関のNACCS(通関情報処理システム)とのインタフェース化により、具体的にどのような手続きが簡略化できるのか関係者に十分情報提供する。
(2) 輸入関連の電算システムのインタフェース化については、在外公館等に情報提供するなど、事前のPRに努める。
(3) 輸入手続関係省庁は相互の協力・支援体制を一層整備し、緊密な連絡体制の下でより一層の輸入手続の簡素化・迅速化を図る。その際には、輸入手続関連省庁連絡会議の場を有効活用する。
(4) 今後、既存港の整備や新港の開設等がなされる場合には、法令手続機関は一か所に集約することを前向きに検討する。

6-(3) 輸入貨物に係る「関税・消費税」納期限延長に関する手続きの簡素化

現在、別個に稼動しているSea-NACCS(海上貨物通関情報処理システム)とAir-NACCS(航空貨物通関情報処理システム)の両方に共通して「関税・消費税」納期限延長のための担保の設定ができるように、平成11年度のSea-NACCSの更改時期に合わせて両システムの改変を行う方向で措置する。

6-(4) 通関業者の保管する輸出入申告書等の保存の省略

真実性、見読性、保存性、証拠力といった観点に留意しつつ、電子媒体による保存を認めること等通関業者の書類保存に係る負担軽減措置を検討し、平成9年度中に措置のための全ての手続きを終了させる方向で措置する。

6-(5) 休日における海上貨物の通関・搬出の認可

休日における海上貨物の搬出の迅速化を図るため、政府部門の輸入手続きにおいて率先して対応することとする。このため、関係省庁で連絡を密にしつつ、特に、

(1) 税関においては、十分な行政需要がある海港については、行政効率等を勘案しつつ下関港以外についても執務時間外に職員を常駐させるなどの体制整備を図るよう努める。
(2) 厚生省の検疫所は、海港についても主要空港と同様に利用者のニーズに十分対応できるよう食品の輸入実態に応じ業務体制整備を図る。

7.その他

7-(1) 上陸審査基準等の見直し

(1) 在留資格の当てはめや審査基準に関しては、健全なビジネスを目的とする者が円滑に入国・在留できるよう、在留資格及び基準の内容について、その解釈や運用指針等を広く示すことにより、なお一層の明確化・透明化を図る。
(2) 「企業内転勤」の在留資格の5年の上限については、平成9年度のできるだけ早期に検討結果を出し、健全なビジネスを行おうとする者にとって支障がない期間に延長する。
(3) 「投資・経営」の在留資格については、従業員数、事務所の大きさといった形式的な基準によるだけではなく、「企業内転勤」の在留資格からの変更の場合等においては、その経営の実態を見て健全な運営が立証される場合には在留資格変更許可を柔軟に認めるように運用を見直す。