4 調査結果の概要
(1)生活の満足、不安
日常生活全般の満足度は高いが、将来への不安も強い。特に、健康、介護、収入の不安が多い。
ア 日常生活全般についての満足度(Q1)
日常生活全般についての満足度をみると、「満足している」が24.6%で、「まあ満足している」57.9%となっており、両方を合わせた「満足(計)」は82.5%となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「満足(計)」は3.1ポイント低下している。
- 注)
- 平成6年は、65歳以上の者が対象。なお、平成11年及び16年の調査結果について、65歳以上の者に限定して再集計した場合は次のとおり。
- 「満足」(11年27.7%、16年24.9%)、「まあ満足」(同59.1%、同57.5%)、「やや不満」(同10.8%、同13.6%)、「不満」(同2.4%、同4.0%)
イ 将来の日常生活への不安(Q2)
将来の自分の日常生活への不安をみると、「多少不安を感じる」が53.8%と過半数を占め、「とても不安を感じる」14.1%と合わせた「不安を感じる(計)」は67.9%とほぼ3人に2人の割合となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「不安を感じる(計)」は4.3ポイント高くなっている。
ウ 不安を感じる理由(Q2-SQ:複数回答)
将来に不安を感じる人の、不安を感じる理由をみると、「自分や配偶者の健康や病気のこと」が71.7%と最も高く、次いで「自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」51.8%、「生活のための収入のこと」31.3%等の順となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「生活のための収入のこと」が5.0ポイント高くなっている。
- 注)
- *は調査時に選択肢がなく、データが存在しないもの。
(2)家事分担
家事は「夫婦共同ですべき」が増加。
家事についての意見(Q19)
家事分担についての意識をみると、「妻がするものだが、夫も手伝うべきだ」が39.6%、「夫婦共同ですべきだ」は29.5%、「妻がすべきだ」が28.8%となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「夫婦共同ですべきだ」が9.0ポイント高く、「妻がすべきだ」が9.1ポイント低くなっている。
(3)移動、外出
外出時の利用手段は、自動車・バイク・スクーターやバス・電車が最多。道路の段差、傾斜や放置自転車が外出時の障害。
ア 主な外出手段(Q21:複数回答)
自分一人で利用できる外出手段をみると、「自動車・バイク・スクーター」が48.8%と最も高く、次いで「バス・電車」47.2%、「家の近くの歩行(15分以内)」37.4%、「自転車(電動アシスト付き自転車を含む。)」35.0%、の順となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「自動車・バイク・スクーター」が10.2ポイント高く、前回の3番目から、今回は最も高い割合になっている。
イ 外出時の障害(Q22:複数回答)
外出するにあたって障害となるものをみると、「道路に階段、段差、傾斜があったり、歩道が狭い」が11.3%で最も高く、以下、「バスや電車等公共の交通機関が利用しにくい」が9.6%、「交通事故が多く不安」が8.5%、「道路に違法駐車、放置自転車、荷物の放置などがある」が7.5%、「街路灯が少ない、照明が暗い」が7.2%等の順となっている。
- 注1)
- 平成6年は、65歳以上の者が対象。
- 注2)
- *は調査時に選択肢がなく、データが存在しないもの。
(4)高齢者向け情報
高齢者向け情報の情報源は、役所、自治体の広報誌、テレビ、新聞の順。字の小さなことや情報の信頼性に不満があり、健康、医療、年金の情報を求めている。
ア 高齢者向け情報の情報源(Q28:複数回答)
高齢者向け情報の情報源をみると、「役所、自治会の広報紙」が54.9%と最も高く、次いで「テレビ」39.6%、「新聞(タウン紙を含む)」37.2%、「友人、隣人」31.8%等の順となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「役所、自治会の広報紙」が8.1ポイント高く、「テレビ」を抜いて前回2番目から、今回は最も高い割合に、また、前回最も割合の高かった「テレビ」が9.3ポイント低くなっている。
- 注1)
- 平成6年は、65歳以上の者が対象。
- 注2)
- *は調査時に選択肢がなく、データが存在しないもの。
イ 日常生活情報について不満な点(Q29:複数回答)
日常生活に関する情報に対する不満をみると、「字が小さくてよめない」が14.1%、「どの情報が信頼できるかわからない」が11.5%、「情報量が多すぎる」8.8%、「情報の内容がわかりにくい」8.7%等の順となっている。
ウ 欲しい日常生活情報(Q30:複数回答)
日常生活に関する情報で、もっと欲しい内容をみると、「健康づくり」が20.2%、「医療」が16.6%、「年金」が15.8%、「趣味、スポーツ活動、旅行、レジャー」8.5%等の順となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「年金」が4.5ポイント高くなっている。
欲しい情報の傾向が、将来に不安を感じる理由(Q2-SQ)と一致しており、不安の解消のために、情報を求めていることが伺える。
(5)「高齢者」についての認識
(年齢を問わず、)「70歳以上」を高齢者と認識する者が最多。
高齢者とは何歳以上か(Q31)
一般的に高齢者とは何歳以上だと思うかをみると、「70歳以上」が46.7%と最も高く、次いで「75歳以上」が19.7%、「65歳以上」が14.0%等の順となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「75歳以上」が5.0ポイント高く、「65歳以上」を抜いて2番目の割合になり、逆に、「65歳以上」が4.3ポイント低くなり、3番目の割合になっている。
なお、今回の調査結果と、一般の者(20歳以上)を対象とした既存の調査を比較した場合、最も多いのは「70歳以上」であり、「65歳以上」を高齢者と思う者は少数となっている。
また、一般の者と比べ、60歳以上の者の方が、「70歳以上」を高齢者と思う割合が高くなっている(一般:67.6%→60歳以上:77.6%)。
- ※内閣府:
- 年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査(平成16年)。調査対象は、全国20歳以上の男女6,000人。
(6)高齢社会に必要な政策
重点を置くべき対策は、収入、介護、バリアフリー、犯罪防止など。前回に比べ、犯罪防止が増加。
日々の暮らしに関し社会として重点を置くべきもの(Q32:複数回答)
本格的な高齢社会の到来に備え、日々の暮らしに関し、社会として重点を置くべき対策をみると、
- 「老後を安心して生活できるような収入の保障」が52.6%、
- 「介護サービスが必要な時に利用できる体制の整備」が33.8%、
- 「高齢者の体が不自由になっても生活できる住宅の整備」28.2%、
- 「高齢者の外出・利用に配慮した移動手段・公共交通の整備を含む高齢者に配慮した街づくりの推進」28.1%、
- 「身近に対応してくれる相談体制の整備」22.4%、
- 「犯罪防止対策」20.1%
等の順となっている。
前回調査(平成11年)と比較すると、「高齢者に対する犯罪(窃盗、詐欺)の防止対策の推進」が12.0ポイント、「高齢者の外出・利用に配慮した移動手段・公共交通の整備を含む高齢者に配慮した街づくりの推進」が4.2ポイント、「老後を安心して生活できるような収入の保障」が4.0ポイント高く、一方、「介護サービスが必要な時に利用できる体制の整備」が8.8ポイント低くなっている。