65歳以上の高齢者人口は、平成13年10月1日現在、2,287万人であり、総人口(1億2,729万人)に占める割合(高齢化率)は18.0%となっている。このうち、前期高齢者(65〜74歳)人口は1,334万人、後期高齢者(75歳以上)人口は953万人となっている。
高齢者人口は平成32(2020)年まで急速に増加し、その後はおおむね安定的に推移する一方、総人口が減少に転ずることから、高齢化率は上昇を続け、27(2015)年には26.0%、62(2050)年には35.7%に達すると見込まれている。また、前期高齢者人口は27(2015)年をピークに減少に転ずる一方、後期高齢者人口は32(2020)年には前期高齢者人口を上回ると見込まれており、後期高齢者の占める割合は一層大きなものとなるとみられる。
都道府県別の高齢化率は、三大都市圏で低く、それ以外の地域で高い。平成12(2000)年現在、最も高い島根県で24.8%、最も低い埼玉県で12.8%となっている。今後、高齢化率はすべての都道府県で上昇し、37(2025)年には、最も高い秋田県で33.8%、最も低い滋賀県でも22.8%に達すると見込まれている。
高齢化率による市区町村の分布は、昭和55(1980)年、60(1985)年には高齢化率10〜15%未満を中心に集中していたが、平成12(2000)年には、高齢化率20〜25%未満が最も多く、分布の広がりも大きくなっている。
我が国の平均寿命は戦後大幅に伸び、平成12(2000)年には男性77.72年、女性84.60年となっている。また、65歳時の平均余命は、男性17.54年、女性が22.42年となっており、男女とも高齢期が長くなっている。
出生の状況をみると、合計特殊出生率は第1次ベビーブーム以降急速に低下して昭和31(1956)年に2.22となり、50(1975)年に1.91と2.00を下回った。平成12(2000)年現在1.36であり、過去最低水準にとどまっている。
平成13(2001)年の65歳以上の労働力人口は492万人であり、労働力人口総数の7.3%を占めている。今後労働力人口総数が減少に転ずる中、労働力人口の高齢化は一層進展していくものと見込まれる。
年金・医療・福祉における社会保障給付をみると、平成11(1999)年度は75兆417億円であり、国民所得に占める割合は、昭和45(1970)年度の5.8%から19.6%に上昇している。
世界の高齢化率は、2000(平成12)年の6.9%から2050(62)年には15.6%まで上昇するものと見込まれており、今後半世紀で高齢化が急速に進展する。
先進諸国の高齢化率を比較すると、我が国は1980年代までは下位、90年代にはほぼ中位であったが、21世紀初頭には最も高い水準となることが見込まれている。
65歳以上の者のいる世帯数は1,565万世帯であり、全世帯(4,555万世帯)の34.4%を占めている。内訳は、「単独世帯」308万世帯(19.7%)、「夫婦のみの世帯」423万世帯(27.1%)、「親と未婚の子のみの世帯」227万世帯(14.5%)、「三世代世帯」414万世帯(26.5%)であり、三世代世帯の割合が低下し、単独世帯及び夫婦のみの世帯の割合が大きくなってきている。
高齢者の子との同居率は、平成12(2000)年現在、49.1%となっており、低下傾向にある。
高齢者世帯の年間所得(平成11年の平均所得)は328万9千円となっており、全世帯平均(626万円)の半分程度に過ぎないが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、218万7千円となり、全世帯平均(219万8千円)との間に大きな差はみられなくなる。
高齢者の就業状況は、男性の場合、就業者の割合は60〜64歳で66.5%、65〜69歳で51.6%となっている。また、60〜64歳の不就業者(33.5%)のうち5割以上、65〜69歳の不就業者(48.4%)のうち4割近くの者が、就業を希望している。
女性の就業者の割合は、60〜64歳で41.5%、65〜69歳で28.7%となっている。不就業者でも、60〜64歳の不就業者(58.5%)の3割以上、65〜69歳の不就業者(71.3%)の2割以上が就業を希望している。
高齢者の健康状態について、平成10(1998)年における65歳以上の高齢者(入院者を除く)の有訴者率(人口千人当たりの病気やけが等で自覚症状のある者の数)は530.3である。日常生活に影響のある65歳以上の高齢者(健康上の問題で、日常生活の動作・外出・仕事・家事・学業・運動・スポーツ等に影響のある者。入院者、1か月以上の就床者を除く)の割合は、高齢者人口千人当たり203.3となっている。
65歳以上の在宅の要介護者(洗面・歯磨き、着替え、食事、排せつ、入浴、歩行のいずれか一つでも何らかの介助を必要とする者)の数は100万4千人、65歳以上人口千人当たりの割合は48.7となっている。また、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設における65歳以上の在所者数は、それぞれ29.2万人、21.1万人、9.8万人(65歳以上人口千人当たりそれぞれ13.3、9.6、4.5)となっている。
高齢者の近所の人たちとの交流について、「ほとんどない」が25.5%、「ほとんど毎日」が21.0%となっている。特に男性は「ほとんどない」が31.5%となっており、3人に1人が近所の人たちとの交流を持っていない。
高齢者の52.6%が何らかのグループ活動に参加している。具体的には「町内会・自治会活動」24.7%、「趣味活動」18.1%、「健康維持のための活動」14.0%、「社会福祉活動」8.7%の順となっている。
高齢者の住宅について、高齢単身主世帯の70.8%、高齢夫婦主世帯の76.6%が誘導居住水準(「住宅建設五箇年計画」における、住宅ストックの質の向上を誘導する上での指針)を満たしている。このうち、借家に住む世帯では、高齢単身主世帯で41.1%、高齢夫婦主世帯で34.0%の世帯が水準を満たすにとどまっている。
高齢者向けに必要な住宅の構造・設備の改造希望について、「特にない」は54.1%にとどまっており、半数近くが改造を希望している。改造の内容は、「手すりを設置したい」20.9%、「住宅内の段差をなくしたい」19.6%、「浴槽を入りやすいものに取り替えたい」11.0%、「浴室に暖房装置をつけたい」8.6%、「玄関から道路までの段差を解消したい」8.4%などとなっている。
高齢者が「現在住んでいる地域で不便に思ったり、気になったりすること」についてみると、「医院や病院への通院に不便」12.0%、「日常の買い物に不便」11.6%、「交通機関が高齢者には使いにくい」9.5%、「交通事故にあいそうで心配」8.2%、「近隣道路が整備されていない」7.0%などとなっている。
高齢者の交通安全に関して、65歳以上の高齢者の交通事故死者数をみると、3,216人で、交通事故死者全体の36.8%を占めている。交通事故死者数は、平成4(1992)年までは16〜24歳の若者が多かったが、5(1993)年に高齢者が若者の死者数を上回り、その後も高齢者の割合の増加と若者の割合の低下が続いている。
高齢者と犯罪、災害に関し、65歳以上の高齢者の犯罪による被害の状況を刑法犯被害認知件数でみると、平成12(2000)年は18万4,638件で、全被害認知件数の8.6%を占めている。
また、65歳以上の高齢者の火災による死者数(放火自殺者を除く。)は平成12(2000)年で646人であり、全死者数の約半分を占めている。